奏の小説
意外
***
「ちょっと、なゆっ!!!!」
掃除の時間にまりちゃんが私を呼んだ。
「あ…え‥」
ヤバイ。ゼッタイ怒られる…
まりちゃんは私を屋上に連れて行った。
「ど―いうことなの?」
まりちゃんがいつもと違い低い声で言った。
「ど‥どーいうことって言われましても‥」
ひぇ〜;逃げ出したい。
「ふざけないでよっ!あたしの味方みたいなフリして何、茜と弁当食べてるのよ!朝、あたし言ったよね?
茜に裏切られたって…」
「え…」私、まりちゃんの味方みたいなことしたっけなあ?
「『え…』じゃないわよ!なゆが1人だったとき私、喋りかけてあげたじゃないのっ!その恩はないわけ?」
喋りかけてあげた?
本気で言ってるのか、この人は。
自慢や愚痴ばっかだったくせに。
聞いてるこっちはどんだけストレスたまったと思ってるんだよっ!
私の堪忍袋の緒が切れた。
「別に、頼んでもないし…恩なんてないよっ!」
「はぁ?それ本気で言ってるわけ?
最低っ!もうこれからわ話しかけてあげないから!!!二度とあたしの前に顔出さないで!」
そう言ってまりちゃんは屋上から出て行った。
「ふぅ〜…」
これでよかったのかな?
でも、まりちゃんにペコペコしてるのってもう限界だったし…
「大丈夫?」
ふと上から声がした。
「え?」
みると屋上の小さな小屋みたいな屋根の上に誰かがいた。
「…は、蓮下くんっ!?」
蓮下 望。ちぃちゃんとまりちゃんの好きな人。
今の聞いてた感じですよね〜;
「女の修羅場って奴だよな〜」
「ま‥まぁ;」
「俺、アイツ嫌いw自己中だよなっ。でもアイツ俺のこと好きなんだろ?」
蓮下くんの言葉にびっくりした。
「え‥えぇ!?」
「聞いちゃったんだよね〜さっきの奴とおまえが話してたの。確か『望くんのこと好きだったのに茜も好きだって言い出した〜』とかなんとか‥丸聞こえだったんすけど?」
「あ〜…」
あの時‥確かにまりちゃん声でかかったよーな。
「俺って正直モテんだよなwお前だけ特別でもないけど教えてあげようか?
俺、彼女いるんだよね〜」
「えええぇえええぇえ?!」
なんか驚くことばっかだ。
「誰か教えてほしい?」
私は黙ってこくんとうなずいた。
「隣のクラスの前川 唯。これ一応秘密な」
蓮下君がピースをして言った。
「前川さん‥ってモデルみたいな可愛い子じゃ?」
確か、蓮下君と同じくらいモテてた気がする。
「あいつ性格悪いけどなw」
は‥蓮下君も意外に性格悪そうなんですけど…
「あ、これが俺の本性。なんかお前にだったら自然に腹黒い俺になっちまったw
いつもは爽やか君を演じてるから、そこんトコよろしくな。あとさっき言ったことは全部秘密な〜」
そう言って蓮下君は去っていった。
うわ〜なんか意外だなあ;
まさか蓮下君があんな性格だったなんてっ!!!
ゼッタイ、黙ってるほうがかっこいいよ〜〜;
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