Marco×Ace 6 ふ、と意識が浮上する。 なにやら、周りが騒がしい。 宴会か?と思う。 ならば、自分も参加したいと思って体を起こそうと力を入れるが、全く入らない。 それに、なぜかあたりは真っ暗だ。 とてつもなく体がダルい。 そこまで思って気づく。 ーーはは、俺、目ぇ瞑ってらぁ。そりゃあ、周りの景色も真っ暗だ。 くく、と心の中で笑って、無理やり目を開けようとする。 ーー開かねぇ…… 若干のショックを覚える。 ーー俺、そんなに衰えたか?というか、ここはどこだ。俺、今までどこにいたっけ? その時、ふわ、とおでこに誰かの手を乗せられる。 すぐに、その手がマルコの手だと気づいた。 その手は、エースの頭を優しく撫でる。 ーー気持ちいい 鬼の子と呼ばれ、父にも母にも頭を撫でられたことなどないエースにとって、それはとても新鮮で、嬉しかった。 義理の弟ルフィの祖父であるガープも撫でてくれるこたはあったが、彼のは乱暴で、撫でていると言えるのか分からなかった。 愛しい人の手は、優しくエースの頭を撫で続ける。 その感触が心地よくて、自然にふわりと微笑む。 周囲の喧騒がピタリと止んだ。 ーーなんだなんだ。なにが起きているんだ…… しかし、それを考えるには、今のエースの思考は回っていない。 頭を撫でられて安心したのか、再び眠りの淵に足を掛けたエースは無意識に手を己の手を伸ばし、その手を逃さまいと握り締める。 それと同時に、自分の意識がまた落ちていくのを感じた。 ピタリと頭を撫でる手が止まる。 それが寂しくて少し力を込めて手を握れば、それもむなしく、頭から手が離れていく。 あ、と思えば、次の瞬間、顔に影が差す。 ふわ、と唇に暖かい感触が伝わった。 すぐに離れたが、かわりに、また、優しく頭を撫でる暖かい感触。 優しい毛布に包まれたかのように、体がふわふわしている。 意識が、現実との狭間を揺蕩う。 どこかで声がする。 愛しい人の優しい優しい、暖かな声。 『ゆっくり休めよい』 その言葉に安心してエースはふわりと微笑んで、意識を手放した。 back/next [戻る] |