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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第55話 勇人VS不良集団





◆◆◆



「――――これって、先生に言ったほうがよくないか?」




中庭の広い場所で、1人の生徒を百人単位で囲んでいる状況を見て『小日向雄真』は友人に言葉を投げ掛ける。




「うーん…さすがにこれだけ集まったら目立つし、言わなくても先生達も気づいてるんじゃないかしら?」



美少女の容姿をしているがれっきとした“男”である『渡良瀬準』が周囲の人だかりの中に指を差す。


その先には、確かに教師が数人いた。だが、教師達は騒ぎを止めようと動くわけでもなく、何故か苦笑していた。それが不思議でならなかった雄真だが、もう1人の友人『高溝八輔』こと通称『ハチ』がその疑問に答える。




ハチ「なんだ知らねーのか、雄真?」


雄真「何がだよ?」


ハチ「この学園の総会長の噂」






◆◆◆




「―――たった1人で百人の不良を滅殺したって言われてんのよ。だから春姫が出ていく必要はないって!」



この学園の魔法科に属している生徒『柊杏璃』は、魔法を使って争いを止めようと向かおうとしている『神坂春姫』を抑えて宥めている。




春姫「でもそれって、ただの噂でしょ!?」


杏璃「だーいじょうぶだって。先生達だって騒ぎを鎮圧しにきたみたいだけど、何か止めに来たっていうよりは観戦しにきたみたいな感じがあるし」



春姫や杏璃も知っている魔法教師を何人か見かけるが、その教師達はまるでスポーツ試合でも観に来たかのように、何処か期待したような眼で取り囲まれた総会長を眺めている。


たった1人を百人単位で取り囲んでいる状態を、何故そんな楽し気に観ているのか理解出来ない春姫は、周りの者達と同じ様に、取り囲まれた生徒を観る。





春姫「………………!」




春姫がその生徒を視界に入れた瞬間、頭の隅で何かが過る。





春姫(あの人……………)






◆◆◆





ハヤテ「―――昔何処かで会ったよーな気がするんですよね」


ナギ「そーなのか?」


ハヤテ「多分……結構昔の事なのでうろ覚えなんですけど」


伊澄「あの方は色んな人と関わっていますから……ハヤテ様も何処かで出会っていても不思議ではないですね」


ナギ「Σおぉっ、珍しく迷子になってないんだな、伊澄」


ワタル「俺が連れてきたからな!!」


ハヤテ「さすが伊澄さんの親衛隊隊長ですね」




大勢に囲まれている勇人を見て、ハヤテは心配気にナギ達に聞く。




ハヤテ「あの、あの方はお嬢様達のお知り合いですよね?」


ナギ「ああ、アストラルカンパニーの会長である勇人とはジジイが古い付き合いだからな。何度も会ってる」


ハヤテ「アストラルカンパニーって……あの大手企業ですか? あの年でトップって凄いですね」


ナギ「凄いというかなんというか……勇人はよく分からん。天才的な凄さがあると同時に、どーしようもない馬鹿な部分もあるからな」


ハヤテ「馬鹿と天才は紙一重って奴ですね……。助けなくてよろしいんですか?」


ナギ「大丈夫だろ、アイツなら。ヒナギクと同じ様に、アイツも負ける姿が想像出来ん」


ハヤテ「………そーいえば、ヒナギクさんはいないんですか? こういう争い、真っ先に止めに入るイメージがありますけど」


ナギ「ヒナギクなら、ほら……」




ナギが指差した方向には、数人の風紀委員と行動を共にしている、生徒会長の腕章をしたヒナギクがいた。




◆◆◆




ヒナギク「……………また会うとは思わなかったなぁ」


音夢「? ヒナギクさん、何か言いました?」


ヒナギク「ううん、何でもない」


音夢「それにしても勇人くん、何で毎回あーいうこと言うかなぁ」


佳奈多「………あの『お前らは俺様の奴隷』ってやつ?」


音夢「えぇ、まぁ………」


ヒナギク「風見学園ではよくある事件なの………?」


音夢「ブラックリストトップレベルの杉並くん程、何かする訳じゃないんですけど……。何かと敵を作る人で……」


佳奈多「苦労してるのね……」




◆◆◆




最初は特に囲まれてはいなかった。


だが、勇人が中庭の広場に入った瞬間から、ぽつり、ぽつりと、何処からともなく人相の悪い生徒が現れ始めた。


まるで細菌のように、全体の数が増えるにしたがって増殖スピードが増えていく。



1分も経てば、勇人はすっかり人間に囲まれてしまった。





勇人(ひぃ、ふぅ、みぃ…………二百……いや二百五十人位か?)



勇人を取り囲む生徒達は、様々な種類の制服に分かれている。


合併して鳳凰学園はかなりの生徒数になり、それにともない各学校の小規模の不良グループも数が増えて、これだけの各学校の不良が共通の敵を見つけ集っていた。



といっても、勇人に弱味を握られて奴隷となった、風見の生徒はさすがに集ってはいないが………。





勇人「あ゙〜〜〜、何か用か?」



勇人の問いに答えてか、周囲を取り囲んでいた二百五十人程の集団の中から、制服を着崩した柄の悪い男子生徒が歩み寄ってきて、口を開いた。




「テメーが総会長とやらの勇人かぁ?」



勇人「式で紹介はしたはずだぜ?」



「あー? そーなのかぁ? 生憎俺達入学式なんてメンドーなモンに参加する気なんざねーからよぉ、クソ真面目な生徒会さんとは違って」



その不良の言葉に、周囲の不良達がゲラゲラと耳障りな声で笑う。




勇人「で? 結局何の用なのよアンタ等」



「あ゙ぁ゙? 決まってんだろ。この学校をシメるのは誰かって事を教えに来てやったんだよぉ!」



やおら懐からバタフライナイフを取り出す不良。そいつの動きに合わせるように、周囲の者達も各々の得物を取り出す。





「なーにが『お前らは俺様の奴隷』だってんだよぉ!! クソ生意気な口叩きやがって。ちょっと強いからってイイ気になってんじゃねーぞ!!」



勇人「事実強ぇからな。お前らザコと違って俺様は最強だ。最強は伊達じゃねぇ」




いかにも相手を見下した言葉に、周囲の不良達は額に青筋を浮かべるが、勇人はそれに気づいてるか気づいていないか、更に相手を煽る言葉を呟いた。





勇人「後俺様は、お前らのように醜悪なツラはしてないイケメンだからな!!」




勇人のその言葉を最後に、不良達ははじけるように勇人へ襲いかかった。







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あきゅろす。
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