MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜 第56話 国士無双 ◆◆◆ 中庭の広場で起きているソレを、ただ眺めている生徒達は、何もする事が出来ず、ただ、その場に立ち尽くしていた。 立ち尽くしていただけではなく、その光景を観入ってた。 鳳凰学園生徒総会総会長、神爪勇人というたった1人の男の腕力が――――――――― ――――二百人を越える不良達を、圧倒していたのだから。 不良を相手に、神爪勇人の戦い方は実にシンプル。 殴る。 蹴る。 投げる。 握り潰す。 ただ、それだけだった。 魔法も超能力も錬金術も、格闘技術も必要としていない、実にシンプルな技の繰り返し。 だが……シンプル故に、その凄まじさを思い知らせる。 勇人が刃物を持った者の腕を殴れば、ただそれだけで相手の腕が嫌な音を立ててへし折れる。 ローキックを叩き込めば、それだけで相手の膝が破壊される。 相手の頭を掴んで投げれば、まるでロケットのように高く飛んでいき空の星となり。 パンチを繰り出してきた相手の拳を手で受ければ、トマトのように握り潰す。 踵落としを大地に蹴り出せば、ただそれだけで大地が割れ、地震が起きる。 勇人が吼えれば、ただそれだけで大気が震え、人が吹き飛ぶ。 アクション映画のように、華麗な体捌きで攻撃を避けて、刃物が身体に接触しても、身体の頑丈さに刃物が砕け散る。 それを遠巻きで観ていた生徒達は、いや、その場にいる二百人を越える不良達でさえも、その姿に心を完全に奪われていた。 まさに『最強』。 今の神爪勇人を語るには、その単語だけで充分だった。 いや、あえて更に1つあげるならば――――――――― 「…………“カッコイイ”!」 遠巻きで観ていた生徒の誰かがそう呟いた。 スポーツマンや俳優のような華々しいかっこよさではなく、暴れまわっているゴジラを重ねて観るような。 そんな小さな子供が憧れるようなかっこよさ。 たった1人で、二百人を越える不良を相手に立ち回っている、学園最強の総会長。 だが、本人に負けるつもりは微塵もない。 否、負けるという思考すらない。 そして………周囲にいる不良達は、同じような事を考えていた。 この男を――――倒せねぇ、と。 ◆◆◆ 勇人「んじゃ、ま。お前ら今日から俺様の奴隷な」 「「「「………はい………すいませんでした…………」」」」 周囲の不良全員を地に伏せて、その場で土下座させて謝罪を口にする不良達。 今回の騒ぎの件や、何処からか入手した不良各個人の脅迫ネタを、持ち歩いている脅迫手帳に記し、平和を乱す者達を見事奴隷にした。 その一部始終を観ていた生徒達は、皆同じことを心の中で呟いた。 ((((………コイツに逆らうのはやめよう……………)))) [*前へ][次へ#] [戻る] |