神の名鑑 天御柱命・国御柱命 天御柱命(あめのみはしらのみこと) 国御柱命(くにみのはしらのみこと) ・別称 志那都比古神(しなつひこのかみ) ・別称 志那都比売神(しなつひめのかみ) ・神格-風の神 。.:*・°☆.。.:*・°☆. 原始古代の人びとにとっての風の神は、ほかの多くの自然神と同じように目に見えない精霊であり、その気配を感じとるものだった。 では、古代日本人はそもそま風の神をどのように感じとっていたのでしょうか。 風の神の威力を感じさせるいちばん強烈な自然現象は、なんといっても襲来する台風であります。 台風は風水害を発生させて作物に大変な被害を与え、ときには多くの生命を奪う。 そのほかにも、冷夏をもたらし作物の育成を阻害し、疫病を運んできたり、海上に三角波を立てて船を転覆させたりする魔風は、今日でも恐れられている。 このようにさまざまな現象を起こし人間に脅威を与える風の神は、非常に恐ろしい神として感じられたはずであります。 古来、風は神霊の乗り物と信じられた。 乗ってくる神はやさしい神ばかりではなく、ときに悪風、魔風を操って人間の生活や生命を脅かした。 そこで人びとは、風の神のもたらす災いを防ぎ、被害軽減を願って祈るようになった。 台風や冷たい季節風に悩まされた地域には、かならず風の宮が祀られているといってもいい。 そのなかでも日本の代表的な風の神として知られるのが大和国(奈良県)の龍田の風神です。 古くから朝廷に重視されてきた有力な神です。 龍田の風神の祭の祝詞によれば、崇神天皇の御代に龍田の風神が現れ、以来、大雨洪水による不作の年が続いた。どんな神が災いを招いているか、占いをした天皇の夢に現れた。 その神は、みずからをアメノミハシラ命・クニミノハシラ命と名乗り、不作の災いを除くために龍田の宮を造営して手厚く祀ることを要求したという。脅威から転じて災害統御神に‥ 名前の「ハシラ」は、風の強烈なパワーを象徴する竜巻から、そうした強烈なパワーで災害をもたらしていた龍田(たった)の風神は、自分を手厚く祀ってくれたら、逆に豊作をもたらし、悪疫流行を防ぐ守護神となるだろうと告げたのでした。 これは古代日本人が神と接するときの大きな特徴のひとつである、つまり、神の側は、正しく祀られることによって豊作をもらたす守護神へ転化し、一方、人間の側は神を祀りあげることによって加護を受けるという、一種の相互依存的な関係ですね。 [*前へ] [戻る] |