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黒白ノ風
211 弄過
 「全く、なーにやってんの?」
 「・・・は?」
突如視界が変わり、目の前には呆れ顔のカカシ先生がいた。
…ここは、森?
それも中忍試験を開始した時にとっくに過ぎた死の森ゲート。
 「え?・・・は?…?」
混乱気味だ。
わけが分からない。
ここはもう既に通過した場所で、瞬身で塔に到着して、巻物を開いた。
しかし、何も起こらなかった。
そこであわてふためいていた時に視界がいきなり変わった。

 「・・・サチってさ、幻術できなかったっけ?」
 「・・・」
…幻術?
そういえば最近やってなかったな。
まさか、幻術にかかっていた?
 「・・・いつかかったんだろ?」
 「ん?時限式のトラップ幻術だーよ」
 「…あぁ」
時限式のトラップ…
そんなもんあったっけ?
まぁいいや。

まだ混乱気味の頭をどうにか整理しようとする。
しかし未だにわけが分からなくて、ふとカカシに目をやった。
 「カカシ先生は何でそんなに怪我してんの?」
そこで目についたのはボロボロのベストと擦り切れたアンダーだった。
 「・・・覚えてないの?サチが幻術かかってるのに暴れてたから取り押さえようとしたら更に暴れてさ…」
しみじみと、明後日の方向を向きながらカカシは語った。
 「あは・・・」

 「そだ!中忍試験の結果は!?」
 「しっかーく」
 「…ぅえ〜」
 「…しょうがないでしょ・・・俺も少しがっかりしてんだからさ」
失格…今回で合格するつもりだったのに。
 「・・・へー、んじゃ帰るわ」
私は踵を返し、足に力を入れた。
その時
 「サチ!!…マヨネーズは置いていきなさい」
何を思ったかカカシはマヨネーズについて私を咎め始めた。
 「…持ってないよ?」
勘付かれたか?

 「いや、今マヨネーズ臭がした!」
確信を得ているのか手を前に突き出し、マヨネーズを渡せと私をせかす。
 「・・・ちっ」
大胆に舌打ちをすると懐からマヨネーズを取り出し、力任せにそれを投げた。
ヒュー
微かにも音を立てて高速で宙を一直線に舞うマヨネーズ。
ばし
マヨネーズが向かう先にはカカシ先生。
カカシ先生は見切ったぞと言わんばかりに華麗にマヨネーズをキャッチした。
 「…ぇ゛」
はずだった。

マヨネーズボトルはカカシ先生にキャッチされた時の衝撃に耐え切れず、破裂。
ボロボロのベストの上を彩るかのようにクリーム色の物体がぬるぬると滑っていく。
 「…はーい。確かに渡しましたよ・・・んではまた!」
怒りで震えるカカシ先生をよそに私は逃げるようにこの場から去った。


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あきゅろす。
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