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黒白ノ風
210 初罠
スピードを上げ、風を切る。
まるで私が風になって飛んでいるような感覚に陥った。

ザッザッ…
そう音を立てながら駆ける。
ザッザッザ…
ドカァン
 「ぎゃー!!」
突如白煙を上げながら地面が盛り上がるように爆発した。
…起爆札か!!
私はなすすべもなく、ただ爆風に巻き込まれた。
白煙が晴れた森にはただの布切れが残された。

 「危なっ!」
死の森ゲート入口で安堵の息をもらす私。
先程爆発した私は影分身。
私は影分身を作り、トラップの有無を確かめたのだ。

しかし、トラップの数は少なめだった。
走って6歩でトラップ。
普通仕掛けるなら入口1歩目が効果的。
しかし実際6歩目にあった。
仕掛けた相手は裏の裏でも読んだつもりであろうが私自身ではなく影分身が爆発したのでは無意味だ。

 「・・・」
前方を見ると爆音を聞いて出てきたらしい起爆札を仕掛けた方々がいた。
額あては木の葉マークだ。
私が爆死したとでも思って出てきたのであろうか。
 「…ぁ」

 「・・・こんにちはぁ」
しばしの睨み合い(無言の微妙な空気)を経て私はとりあえずと切り出した。
 「…巻物をよこせ!」
するといきなり相手は襲い掛かってきた。
真っ正直からの攻撃に対し、私はひらりと身をかわした。
真っ正直からつっこんでくる…この様子を見るとこのこ達はアカデミー卒業したてだということが分かる。

 「・・・」
戦うか?
勝者は目に見えている。
相手もそう思っているであろう。

 「・・・」
ザッ
私は相手の間を縫うようにして駆け抜けた。
戦うか・・・その答えは否だ。
中忍試験史上最短記録を目指しているのだから絡まれている暇はない。
なので弱そうな忍はスルーしてその場を突っ切ったのだ。

 「・・・」
しばしの間鬱蒼とした森を駆けたころ、走って中央の塔へと目指すのもだんだん飽きてきた。
少しチャクラを使ってしまうけど…
 「瞬身の術ー」
そう呟き、チャクラを練って印を組む。
私は瞬時にその場所から消えたのだった。

トッ
 「いっちばん!到着!!」
塔に到着するなり私は上機嫌でポーチをあさった。
出てきたのは巻物。
それぞれ天、地、人と記してある。
ペリペリ…
そう音を立ててアンコの説明の通りに巻物を同時に開いた。
…誰が出てくるかな?
そんなことを思いながら。

 「・・・」
…誰かな?
 「・・・」
カカシ先生だったら即刻地面に埋めよっと。
 「・・・」
それにしても遅いな。
 「・・・・・・・・・」
あれ?出てこない。
 「何で!?」
…むこうでつまってんのかな?
私は巻物を振り回した。
しかし、辺りには
バサバサ
という乾いた音が響くのみだった。

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