黒白ノ風 201.5 字 〜カカシSide〜 一方、墓地でサチと別れた俺は瞬身の術で火影邸へと向かった。 …到着したころにはもうすでに里の上忍が顔を揃え、静かに待っていた。 「よし、揃ったな」 綱手様は室内を見回し、俺達、上忍が揃ったということを声に出して確認していた。 「今日、行方不明だった水野サチが無事帰還した」 綱手様の声に上忍達が反応する。 あの暁に連れ去られたんだぞ、無事帰還はおかしくないか? や、 スパイの可能性もありうるぞ。 などとひそひそと話す声が聞こえた。 その中には よかったなカカシ〜。 などと暢気に声をかけてくるアスマ、通称ヒゲの声もあった。 …まぁこのヒゲの言うことに同感している自分もいる。 2年近く俺が捜していた人物が見つかったのだ。 しかも何事もなかったかのように墓地に、サチ自身の墓を見ながら薄笑いをしていたのだ。 最初は見間違いだと思ったけど、近付けば近付くほどサチに見えてきて… 俺は思わず供える花束を地面に落とした。 そこで振り向いたのはサチで… びっくりしすぎて声が出なかったヨ。 …全く、ナルト以上にどっきりびっくりさせてくれる。 「水野サチの捜索、情報収集にあたっていた班は直ちに・・・」 「フー…」 一気に気がぬけた。 俺は綱手様の話をおぼろげに聞き、耳を傾けていた。 「…カシ…カカシ!」 「ん?…なーに?」 焦点を合わせないまま室内にかかっている掛け軸に目を泳がせていたところ、紅の声が聞こえたため、そちらに振り向いた。 「・・・ずっと言おうと思っていたんだけど…背中、おかしくないか?」 「…エ?」 背中? 俺は急いでベストのチャックを下げ、上忍ベストを脱いだ。 そして裏返す。 そこにあったのは “ハゲ” という二文字。 しかもマヨネーズで書いてあり、見事な筆文字だった。 「わぁーお」 絶対サチだ! どうりでマヨネーズくさいと思ったら… ・・・腕を上げたな。 いつ書いたんだ? 「…まぁこの通り水野サチ本人も元気だ・・・以上。散!」 他の上忍がそれぞ瞬身で帰る中、俺だけはとぼとぼと歩きながら火影邸を後にした。 ・・・もう勘弁してよ。 そう思いながら。 〜カカシSide終了〜 [←][→] [戻る] |