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黒白ノ風
201 花束
 「サチ…なの?」
花束を拾おうともせずにカカシ先生は私を指差しながら呟いた。

…カカシ先生・・・私の墓参りに来たのか!?
悲しいぞ、オイ。
 「…まさか、今私の墓参りしようとしてた?」
 「・・・」
恐る恐る問いてみたのだが、返答はない。
…この無言のしようは肯定とみていいか。
 「やっぱ私って死んだことになってるんだ」
私の言葉にはっとしたように震える手で花束を拾いながら
 「・・・そりゃあそうデショ…2年間もいなくて、しかも暁に連れ去られていればねぇ」
そう震える声で言った。

 「いやー、心配かけました!…まぁこの通り生きてますんで」
 「・・・はぁ」
 「うわ、心配してくれてたんだ」
 「…どこにいたの?」
私のひやかしにも動じず、カカシはため息まじりに問いてきた。
 「綱手お姉サマに聞けば分かるとおも…」
ピーヒョロロロ…
返答の途中、耳に響くような鳥の鳴き声がした。
上を見ると頭上で伝令役の鳥が空を優雅に旋回していた。
これはカカシへの招集だ。
 「ナイスタイミング!カカシ先生いってらー」
 「…ハイハイ」
カカシは墓の出口付近までのそのそと歩いた後、気付いたように瞬身を使い、刹那に消えた。
 「…プッ」
…あんなに動揺したカカシ先生初めて見たよ。
いやー、いいものを見ましたな。

 「さて…と」
カカシ先生がいた場所から目をはなし、向き直る。
この墓石はどうしますかね。
そんなことを思っていた。
目の前にはくっきり水野サチと彫られた四角形の石が・・・
…あ!

・・・いいことを思いついた。
 「ふふ…」
墓地では私の不穏な笑い声が妙に響いた。

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あきゅろす。
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