それが恋というものだ
心配じゃないなら何なんだというのは明らかにはならなかった
「大丈夫か、サソリの旦那」
しかし一方のこいつは明らかだ。明らかにサソリさんを心配していた。
「大丈夫なわけ、」
大丈夫な訳ない。サソリさんの体といえど中身は私なのだから。
傀儡が操れなければ、自分という名の傀儡を操る事も出来ず。
簡単に言えば、戦う事が出来ない有様だ。大丈夫なものか。
「いつからヒルコ無しじゃ戦えない体になったんだ、サソリの旦那」
「えーと、つい最近…」
つい口が滑った。
ヒルコ有りにしろ戦えない体になってしまっている所為だ。
「まじかよ旦那」
それが、まじなのだ。
真面目に滑らせた所為もあり、デイダラにもマジだと伝わった
「サソリの旦那、」
「な、何だ、デイダラ」
つまり、ヒルコ有りにしろ戦えない体だと伝わってもおかしくはない。
「何でヒルコに入らねーんだ!危ねーだろうが」
おかしくはないのに何も伝わっていなかった。逆におかしい。
「ヒルコはメンテナンス中なんだ」
「いつまでメンテナンスしてんだよ。大改造でもする気か」
どうやらサソリさんの異変よりこいつはヒルコの異変を伝えて欲しいらしい。
「仕方ねーな、戦えねーなら下がってろよサソリの旦那」
それはこいつがサソリさんに恋してるからだ。
ならば好きな人の異変こそ気付かない訳が無いのだが、恋してるからこそ気付かない。
「オイラが守ってやるよ、うん」
恋してる人間は、自分自身の異変で精一杯なんです。
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