夢みたいで夢じゃない だって本当に夢みたいじゃないですか。 「サソリさんが笑ってるなんて夢みたいです」 「ああ?」 それも私の体で、フッと可愛く笑ったサソリさん。夢でもなきゃ見る事も出来ない。 だって、いつものサソリさんならククッとしか笑わないのだから。 「夢じゃなくても笑ってくれるんですね」 私と体が入れ代わったのは夢じゃない。だからこそ笑えないはずのサソリさん。 笑ったと思えば「殺すぞ」と言ってククッと笑うサソリさんしか見た事がない。まるで夢じゃないなんて嫌だとでも言っているみたいに。 「何が言いてーんだ」 「え、だからそのですね、そのままの意味ですよサソリさん」 フッと可愛く笑うだけのサソリさん。 夢じゃないなんて、嫌でもないかもしれないと言っているみたいだ。 そんなサソリさんは本当に夢みたいです。 [*前へ][次へ#] [戻る] |