お前なんか嫌いだ
「名前、テメー」
「はい。何でしょうかサソリさん」
「大嫌いだ」
これはその、この間の告白のお返事を丁寧にしてくれたのでしょうか。
名前なんて早々呼ばれないのに、呼んでくれたと思えば大嫌いだと言われた。
「ごめんなさい」
「遅ェーよ今更。天地がひっくり返ろうが気持ちは変わらねー」
つまり大嫌いらしい。
サソリさんそう言って無愛想にそっぽを向いた。
でも顔が赤いのが見えた。無愛想だけれど愛らしい。さすが中身はサソリさんでも体は私だ。
サソリさんは嫌いだと言え、サソリさんを好きな私の体はサソリさんが生意気でも、素直になるらしい。
それはそうだ。
いくらサソリさんが嫌いだと言え、サソリさんを好きな私の体がサソリさんの手によって触られたのだから。
もちろん中身は私だけれど、そんな事を私の体だけは知らない。
「嫌いの割には良い声でてましたよサソリさん」
「…………!」
体は私、でも中身はサソリさんはやっぱりお前なんか嫌いだという顔をした。
でもやっぱり体だけはビクンと震え上がってた。
やっぱり体だけは私らしい。
「あれは俺の意思じゃねーんだよ、この体が勝手にした事だ」
「やっぱり好きなんですね」
「どうしたらそう理解するんだテメーは」
私が嫌いなサソリさんの体は、サソリさんの体した私を好きらしいですよ。
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