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情報屋、やってます。
6
倉庫の中がまた動揺でざわつく。

「ただし、」

それを諌めるように、櫻井弘人の強い声が場を制した。

「とーやくんを"dog"のメンバーに迎え入れるつもりはない」

「………つまり?」

「お前には"dog"専属の情報屋として動いてもらう。飼い主に忠誠を誓えない駄犬に俺らのチームの名前は与えない」

駄犬とは言われたもんやなぁ。

「つまり、お前はただの取り引き相手。これは一時的な契約だ。切ろうと思えばいつでもお前を切れることを忘れるな」

えらい独裁的やないか。
別にええけどな。

お前はそうやって俺を押さえつけるつもりなんかもしれへんけどな、最初っから主導権はこっちにあってんで?
そしてそれを口に出した方が負けや。

要は、お前らの負けや。

せいぜいあとはいいように利用されてくれ。

「わかった、必要以上に干渉せーへんかったらええんやろ?」

「そーゆーこと。基本溜まり場にも来るな」

あからさまな敵意に苦笑がもれる。
溜まり場にも来るなって、そこまで拒絶するか?
俺かてこないなとこ来たないけど、さすがに限界があるやろ。

「必要以上には、来ーへんわ」

「……来るなっつてんだよ」

「おっかないなぁ、副総長さんは」

とりあえず話は終わった。
これ以上の長居は無用。

ソファーから立ち上がり、目の前の二人を見下ろす。
「ほな、そろそろおいとまするわ。何かあったら連絡するから、よろしゅうな」

背を向けた瞬間、後ろから手首を掴まれた。

「透哉」

振り向けばずっと大人しくしていたアホが、立ち上がって俺の手首を拘束していた。

「溜まり場、きていいから」

思わずポカンと口を開けてしまう。
おいおい、副総長さんと言うてることちゃうで。
司令塔に背いてどないするつもりや。

「正行!」

「用なくてもいいよ。いつでも待ってる」

「正行お前、いくら惚れてるからってなぁ、」

「惚れてるからとかじゃねぇって」

相田正行は、胸ぐらを掴みにかかった櫻井弘人を、手首を掴んでない方の手で軽く制した。

「契約って何だ?干渉すんなって何だ?一緒にチームのために頑張ろうでいいだろ」

「こいつにそんなおままごとが通用すると思ってんのか…?」

牙を剥きそうな勢いの櫻井弘人に、相田正行はいつになく冷静やった。

「お前がチームのためを考えてくれてるのも、そのせいで用心深くなってるのもわかってる」

「じゃあ、」



「けど、俺だったらそんな態度取られる方が裏切りたくなるけどな」




「……………………」

「受け入れることにしたんだろ?だったら腹くくれ」

相田正行の目が再び俺を捉えた。

真っ直ぐな目。


憎いぐらいに憧れる。




「"dog"へようこそ」
















歯車が動き出す

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