ace of diamond
肝試し(倉亮)
「亮さん怖いっスよ。」
「クス、倉持のばーか」
夜。倉持と亮介の二人で青道の敷地内を歩く。
なぜかというと、肝試しをしているから。
初めは倉持と亮介とも脅かす方だったが、前に亮介の脅しでトラウマになった人がいるから、純が丁重に断った。
脅かされる方になった亮介は不満で、いつも脅す役をやっている倉持を道連れにすることにした。
なので今回は、倉持と亮介は脅かされる方。
一本の蝋燭を頼りに・・・と言っても、照明でいくらかは明るい。
倉持に蝋燭を持たせ、亮介はニコニコしながらすたすた歩いた。
面白いことに、倉持がめちゃくちゃビビりで亮介のイタズラ心が動く。
倉持を先頭に歩かせて、亮介は後ろから楽しそうに歩いた。
仕掛人は最初に来る人のタイミングで脅かすから、倉持はベストポジションで脅かされるのだ。
驚く倉持を見て亮介は楽しんでた。
「亮さん怖いッスよ。俺、先頭嫌っす。」
震える声で倉持は弱々しく訴える。
「クス。いいじゃん。度胸をつける為に倉持を先頭にしてあげたんだからさ」
亮介の前では何も通じない。どんな言葉も亮介の耳には届かない。
「嫌っす!もう俺限界ッスよ」
「うるさいな。なら、」
亮介は言うと、トコトコと倉持の隣に近寄り、ニコッと微笑んだ。いくらか倉持もその笑みのおかげで余裕を取り戻せた。
が、それはつかの間だった。亮介は横から倉持が持っていた蝋燭を奪い取り、先に駆け出して二人の間に少し距離が出来た。
「くーらもち」
悪戯気に亮介は倉持の名前を振り返り呼ぶ。
案の定、倉持がみっともない顔をしていたのを亮介は確認し、一人で先にゆっくりと歩き進めた。
(ビクついて、泣いたりしたら面白いかもね。)
そんなことを亮介は思っても、倉持を見ることはしなかった。最後にデザート感覚で楽しむのが、亮介のモットーであるから。だから今は振り返ったりはしない。
ーギュッー
(えっ?)
亮介の思考が一瞬止まり、再度また確認する。
亮介の腰を何かが、抱きしめている。しかも内臓を出したいのかというくらい、力強く抱きしめていた。
この匂いは・・・、一人しかいない。
「クス」
「亮さん」
そう、倉持だった。倉持の真剣な顔に亮介はたじろぐ。
「何処にも行かないで下さい。」
「ばーか。俺は何処にもいかないさ。倉持が言うならね」
二人の夜空に星が流れた。
☆えんど★
最後で駄作を読んでくださり、有難うございます!
今回は夏をテーマにしてみました。
夏で部活のメンバーがいて、夜。そんな日は、肝試ししたい!そんな感じで書き始めました。やはり吟は、『ばーか』を言わせるのが好きみたいです。
最後に再び、駄文を読んでくださり有難うございます!
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!