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蒼い目。赤い目。最奥に。*鬼道兄妹

バイバイ、かみさま。様の企画に参加させていただきました!
時間軸的には兄妹が解り合えたあたりのつもりです。
抽象的な感じになってしまって申し訳ない出来で…!
先に謝りますごめんなさいでした。
企画参加させていただきありがとうございました!
これからも応援しています!









蒼い目のお話。


私の蒼い目は空を写したから蒼いんだって。
確か小さい頃お兄ちゃんが言っていた。


お母さんもお父さんも居なくなって、二人きりになってしまった。
何でなのかなんて小さい私には理解できるはずもなかった。
寂しがる私に、泣きじゃくる私に、私の蒼い目が泣いてしまったら空も一緒に泣いてしまうから、雨になってしまうから泣いちゃ駄目だって、お兄ちゃんはそう言った。
小さい私は雨が嫌いだった。
降ってくると心が灰色になってしまうから。
だから私は泣くのを辞めた。
雨が降るのが私のせいになるのが嫌で、お母さんが、お父さんが、恋しくなっても泣かなかった。
同じくらい辛いはずのお兄ちゃんが泣いていないんだから、私だって。そう思って笑って生きてきた。

違う家に行ってしまっても、帝国にいるお兄ちゃんが変わってしまったように思えても、蒼い目を濡らさないように勤めた。
一時期はお兄ちゃんを恨みさえした。

でもやっとお兄ちゃんの気持ちが解って、再会が嬉しくて、蒼い目は濡れた。
私が一生懸命涙を拭ったら、お兄ちゃんは笑って言った。

嬉しいときは泣いても良いんだって。
あのときと変わらない暖かさでそう言った。

ねえお兄ちゃん、私強くなったんだよ。
私、強くなったんだよ。

だからお願い。
お願いがあるの。



赤い目のお話。


お兄ちゃんの赤い目は私に代わって泣いてくれているからなんだねと。
再会した妹がそう言った。


違う家に養子に行って、春奈と連絡も絶った。
俺は義父さんが居ないところで密かに泣いていた。
自分が情けなかったからだ。
幼い妹に何もしてやれない。

でも義父さんに頼みに頼んでサッカーの大会に勝ったら、春奈もこちらへ養子に入れてもらえるように約束した。

それから俺はただただ勝利を求めた。
鬼道財閥の息子という重い肩書きも全部背負って、ひたすらサッカーに打ち込んだ。

辛いときもあった。

俺は人知れず泣いた。
きっと笑っているだろう春奈の分も、俺は赤い目を濡らした。
心で繋がっているなら春奈の辛さも俺の赤い目から流れるんじゃないかと、そんな不確かなことに希望を持って。

しかし帝国で強さを求め続けた俺は何かが変わってしまった。
春奈を遠ざけてしまった。
傷つけてしまった。

誤解が解けて、俺はやっと笑えた。
やっと春奈に触れられた。
泣きそうになった俺を見て春奈は言った。

もう泣かなくて良いんだよと。
あの時と違う強かさで言った。

なあ春奈、俺は弱かったんだ。
俺は、弱かったんだ。

だから頼む。
頼みがあるんだ。



蒼い目。最奥に。

今度は私も赤い目と、お兄ちゃんと一緒に泣くから。
これからは一人で泣かないで。


赤い目。最奥に。

今度は俺も蒼い目と、春奈と一緒に笑うから。
これからもずっと笑っていてくれ。


蒼い目。赤い目。最奥に。

これからはずっと一緒にいるから。



*蒼い目。赤い目。最奥に。

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