★ スタホ殺人事件 ★
発動A
「さて、じゃぁ、うちも行きますか。」
駿介がにやっと笑って伊井に話し掛ける。
「おまえのだっておんなじようなもんだよ。」
伊井がムキになって答える。
「おいおい、うちのはFDの弥生3倍と2.8倍だからお前んとこのよりはいいオッズのはずだよ。」
駿介が余裕をみせて答える。
「どうだか?スタホは配合結果でどう転ぶかわかんねぇよ。」
伊井が言い返す。
「ほいじゃ、スプリングに…」
駿介がヴィクトルブラウンをスプリングに登録する。
配合した際には
頭突き→監視付草食べ→写真→馬運車(黄)
怪中怪コメで8馬身差と7馬身差コメが出ている。
駿介が気に入らないのは嫌いな尾花栗毛だったことだけだ。
「さてどんなオッズが出ますやら…」
今度はスプリングの出走オッズを駿介が食い入るように見つめる。
示されたオッズは
2.9倍
「あはは、ほらみろ、おんなじじゃねぇか。」
勝ち誇ったように伊井が笑う。
「外したんか?」
納得できずに渋い表情でサテ見つめる駿介。
レースは伊井のダルタニアスワンと違いヴィクトルブラウンは出遅れもなくスタートを切る。
差し馬だが馬群の前方に位置して最終コーナーにかかる。
「きっちり勝ってくれるのか?」
駿介が呟きながら大画面を眺めていると、馬場の真ん中を伸びてくるヴィクトルブラウン。
サテのランプもほぼレインボーで光っていて
「よし、初戦クリア」
と安心した瞬間、ゴール寸前で玉切れを起こしたかのようにランプが全消灯し、大外から何かが鬼脚で伸びてきて写真判定にもつれ込む。
「えっ?嘘」
ポカーンと口を空ける駿介。
隣の伊井も呆気にとられたような顔をして大画面モニターを眺めている。
「何だ?今の???」
今までみたこともないようなゴール板直前での大失速。
2人とも笑いさえ出ない。
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