★ スタホ殺人事件 ★
リベンジD
レースがスタートする。
シグマアルツァモーロは絶好のスタートを切ってハナを奪う。
「まずまずだな…。」
駿介は努めて冷静にレースを見ていた。
やがて画面が切り替わる。
1,000m通過が1′00″1
ほとんど団子状態で進んでいる。
4角曲がり始めたあたりでシグマアルツァモーロが動く。ランプが上がり始める。
「おおっ、今度は押し切ってくれるのか?」
駿介はちょっとニヤついてサテを眺めていたが、馬群の前の方に位置どりしていた2頭のプレイヤー馬パンクラスドリームとタンタンタヌキングもシグマアルツァモーロと同じように伸びてくる。
「同じ脚色なら逃げの方が有利」
駿介はそう言い聞かせてレースを見守る。
最後の直線でシグマアルツァモーロはMAXの2段階前くらいのあたりで光って逃げている。
しかし、後ろの2頭も叩き合いしながら伸びてくる。
ふと前に座っているパンクラスドリームとタンタンタヌキングのプレイヤーのサテのランプがMAXになっているのが目に飛び込んできた。
「げっ、後ろ有利かよ」
そう思った瞬間、シグマアルツァモーロのランプがそれまであがりかけていた流れから一転、下向きに急降下し始めた。
「くぁ〜、ダメだこりゃ…。」
駿介の脳裏にこの言葉が浮かんだと同時にシグマアルツァモーロの首が垂れた。
こうなるとあとは惰性のみ。
シグマアルツァモーロの外を2頭が叩き合いながら抜けていき、挙げ句、26.3倍のプレイヤー馬に差されたところがゴール板だった。
『C着か…。勝負弱いなぁ、こいつ…。まあ、演出だから仕方ないけど。』
駿介はボヤキながらシグマアルツァモーロを地下馬道で撫でていた。
「次は恵みの雨に期待したいですね…」
虚しいメッセージがサテに流れていた。
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!