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★ スタホ殺人事件 ★
決戦A

異次元の脚で迫る『スカイエメラルド』と粘る『トロッコトロトロ』、『ショッキングピンク』は既に大勢決しており、2頭の争いに絞られていた。

駿介の左では居闇が必死の形相でペイボタンを連打し、右では伊井がサテを両手でがっしり掴み、食い入るようにレース画面に見入っている。

レースは2頭並んだところがゴール板で写真判定となった。

見た感じでは内の『トロッコトロトロ』が粘ったように映ったが、写真判定のスローではハナ差『スカイエメラルド』が差し切っていた。

居闇がサテを叩いて悔しがり、伊井は小さくガッツポーズして喜んだ。

伊井は苦労していた2度目の完全制覇を達成した。

『おめでとう。』

駿介伊井に笑って伝えた。

『ありがとう。』

伊井がニッコリして答えたが、

『あとの亞穂菜ちゃんの対応、考えておけよ。』

と一言添えた瞬間、伊井の顔から笑みが消えた。

『ど、どうしよう…』

『知らない。』

駿介はイジワルな笑いとともに伊井に答えた。

伊井はスッと席を立ち、自動販売機でイチゴミルクを買うと、亞穂菜のサテに向かい、一言二言話し掛けると、ニッコリ笑いながらサテに戻ってきた。

一連の行動に駿介は驚いていた。伊井にこんな行動力があるとは思っていなかった。

『何て声掛けたんだよ。』

駿介が尋ねると、

『特別なこと言ってないよ。』

『だってお前嬉しそうに帰ってきたじゃないか。』

『ああ、「ごめんね、また頑張ろう」って声かけただけだよ。』

伊井も思い切ったことをしたものだ。それで亞穂菜が喜ぶとは思えなかったが、

『イチゴミルク大好きなんだって。』

という思いもよらない幸運が伊井を待っていたようだった。

片や居闇は憮然とした表情で、両手にメダルが入ったカップを持ってサテに戻ってきたところだった。

ちょうどその時、携帯にメールが届いたので見てみると、プニオさんから『SS貫禄でWBCS勝利!』の報告だった。完全に王道まっしぐらに突き進んでいるようだ。

このあと、『トロッコトロトロ』が宝塚を勝って菊花賞、『スカイエメラルド』は三冠賭けた菊花賞へ直行、『ショッキングピンク』は秋華賞へそれぞれ向かった。

秋華賞は『ショッキングピンク』が勝利し、4度目の対決となった怪物激突の菊花賞は、まくった『トロッコトロトロ』を『スカイエメラルド』が追い込み着差がハナ差まではダービーと一緒だったが、着順は逆転して『スカイエメラルド』の三冠はならなかった。

ブルースカイはプレイ中でも、申し出れば20分まで休憩できるサービスがある。駿介はこのサービスを使い、伊井を誘って昼飯を食べに出掛けた。

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あきゅろす。
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