カナヅチ やっち 入学したてのあたしたちはやっぱり屋内プールに辿りつくのにも必死。 あちこち彷徨っていたら体育館が見えたから、そこに向かう。 確か体育館とプールは繋がってるはず。 体育館の中を見ると、多分バスケ部であろう人たちがバスケをしていた。 それを見学している1年生は20人はいると思われる。 その中に焦げ茶色の髪をツンツンにしている、見覚えのある男子がいた。 「あ、やっち」 やっち、もとい小塚靖晃(こづか やすあき)は小学生から一緒。 名前に小という字が使われているけど身長は大きいし、手足も長くサルみたいなやつだ。 でもその体格もあってかバスケは得意競技で上手いらしい。 「おうチビ。生きてたか」 「いやチビじゃないし。やっちがデカいだけでしょ!」 やっちは明らかにあたしを馬鹿にしていて、頭に手を乗っけて寄り掛かる。 茜とやっちは中学から一緒で仲がいいわけじゃないのか、今は何も会話をしていなかった。 [←][→] |