カナヅチ
甘い考え
茜は泳ぐことが好きで部活に入りたかったらしい。
でも1人で入部するのは嫌だと言う我儘な意見をあたしは、じゃあ入部しなければいいのに、とぼんやり聞いていた。
茜はいきなり獲物を見る目になってあたしを見た。
気付くのがあと1秒でも早かったら、水泳部に入部するなんて失態をしなかっただろう。
それに生憎あたしはカナヅチだ。
そんな人が水泳部に入部していいのかすらも謎だったけど、さっきのやる気のない顧問を見て毎日サボればいいんだ、と開き直ることにした。
茜が1人で部活行くの嫌だ、とか言いだしたら浮輪でも持って浮かんでよう、なんて甘い考えばかりで満たされていた。
「さぁ瑞葉!早速見学に行くよ!」
はりきった茜は、またあたしの腕を掴み引きずった。
「あたし自分で歩けるから!」
茜の手を離して後を追う。
そういえば水泳部の部員は何人いるのかとか、何も知らないや。
格好いい先輩とかいたらいいな、と少しわくわくしながら体育館横の屋内プール向かった。
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