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作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
とある魔導師と彼女の鮮烈な日常TS第5巻 経過報告:01(サンプルあり)(2017/5/21)
[TOMATO] とある魔導師と彼女の鮮烈な日常 Third Season05『リミットブレイク』



古鉄≪というわけで、明日(2017/05/22)鮮烈な日常Third Season第5巻が販売開始です。今回はセイさん達の予選最終戦まで≫


(みなさん、何卒よろしくお願いします)


恭文「そして予定していた卯月達のライブは、次のFore Seasonに延期……作者ぁ!」


(ごめんなさい)


恭文「今回は本編七話に特別書き下ろし二本、それにTips六本です」

古鉄≪特別書き下ろしは片方短編ですが、まぁそちらは後ほど……さてさて、ついにCPの状況に一つの区切りが≫

恭文「今西部長達がもっと大人だったら……」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


『おのれの乗っ取り画策、そのキッカケはCPだ。前川みくと他二名による立てこもり事件』

「ウィ。961プロの人間はいなかったが、情報自体はすぐ伝わってきた。貴様が派手に大立ち回りをしたのもな。……とっとと制圧すればよかったものを」

『今更だけど後悔してるよ』

「それで少し注目していたところ、CPの連中は次々と問題を起こした。
アイドル部門の空気と統率を悪化させていった奴らは、紛(まぎ)れもなくがん細胞だよ」

『今西部長じゃなくて?』

「えこひいきと言っても、それは結果論でもある。部下の不始末は上司の不始末ゆえだ」


無論リハビリという形になったわけだし、上司としてフォローは必要だったとは思う。そこは完全にミスだろう。

だがその状況を引き起こしたのは、間違いなく武内プロデューサーとCPの罪だ。


「……だからこそ言い切れる。CPと武内プロデューサーはあの時点で、明確に処罰されるべきだった。
立てこもり犯の三人、及びそれを庇(かば)ったメンバーと武内Pはクビ。ニュージェネとラブライカのデビューも連帯責任として見直するのが妥当だろう」

『まぁね』

「小僧、貴様は会議にも参加していたそうだな。なぜ言わなかった」

『言ってアレなんだってー』

「結局温情処置に偏っただろうが、たわけが」


◆◆◆◆◆


「一つ……CP達がそのキッカケを担っているなら、乗っ取り反対派からすれば敵になる。二つ……今西部長はバリバリの常務派でしょ」

「あ……!」

「ミナミ、どうしましたか」

「どうしたもこうしたもないわよ! アーニャちゃん、忘れた!? 私達≪CP≫は、その今西部長のえこひいきで成立した……そう言われているのよ!」

「だとすると君達は、揃(そろ)って……必然的に、”今西部長達と同じ常務派”と思われかねないな」

『えぇ!』


察した鷹山さんの結論に、今更喚(わめ)くCPの面々。


「そ、そんなのないよ! みりあ達もあの……雅楽さんの事件、駄目だって思ってるもん! プロデューサーだって止めたよ!?」

「そこは大した理由じゃない。三つ……今挙げたことは、『攻撃理由の成立』を指すものだ。冷静に考えてみろ」


鷹山さんはみんなにも分かるように、冷静に、優しく、しかし厳しく言葉を贈る。


「『現状への不安要素』はそのまま、株の譲渡理由に繋(つな)がる。……反対勢力がそれを利用しないと思うか?」


みんなは質問の意図を察し、顔面蒼白(そうはく)となる。でも逃げは許さない……右人差し指でピンと指差すと。


「……ツッコミどころができた時点で、アウトって言いたいんですか」


かな子の柔らかい唇が、恐る恐る開かれる。


◆◆◆◆◆


「……これが765プロやら、あたしのいる三条プロだったら、まだ何とかなったんだけどねぇ。
実際志保が可奈達と揉(も)めたときも、恭文と社長達の判断で大岡(おおおか)裁きだったし」

「でも巨大企業≪346プロ≫では無理だ。……残念だったね」

「恭文、さん……」


そこで響く、死刑宣告の電話……武内さんは自分の携帯を取り、震える手で応対。


「はい、武内です……はい、はい……はい……なんですって……! 待ってください、それは!
……分かりました。では静岡(しずおか)から戻り次第、査察部の方へ出頭します」


出頭という仰々しい表現が使われ、卯月達がギョッとする。武内さんは電話を終了した途端、みんなに詰め寄られた。


「アンタ、出頭って何!? 警察ってことかな!」

「いえ……346プロ査察部です。予算横領などの企業内不正に備え、外部組織的に設立しているものなのですが」


それについては僕も覚えがある。みくの立てこもり事件やら、ニュージェネ問題で軽くお話をしたしね。

そんな査察部がここで出頭を命じるということは、すなわち”後ろ盾”の消失を意味するわけで。


「今西部長とちひろさん、更迭されたんですね」
『えぇ!?』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「美城の状況は単なる一ユニットへのえこひいきから、派閥闘争に激化……武内さん、ピンチ」

古鉄≪そしてCPもピンチ……まぁCPはさほどじゃありませんけど≫


(皮肉にも、これまでの状況が救いとなるのだった)


恭文「その辺りを利用して乗り切るならともかく……CP内にも今度こそ、拭えに亀裂が……!」

あむ「今度は何!?」

恭文「うぉ、出た!」

あむ「あたしはお化けか!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「十月後半頃行われる、アイドル部門全体参加が義務づけられた定例ライブ――。
これはアイドルと所属プロジェクトの出来映えを査定するためのもので、その成果によって予算や活動規模が変わります」

「あ、それならみくも知ってるにゃ! アイドル部門総出の豪華なフェス……そっか、それで出演アイドルはみんな全力で」

「はい。美城の慣例を踏襲したもので、正確にはアイドル部門に限ったことではないのですが」

「でも私達CPは、現時点で査定対象外だった」


プロデューサーさんが”事前に”話してくれたことを安堵(あんど)しつつ、ほっと一息。それで補足すると、プロデューサーさんがギョッとする。


「島村さん、それは」

「ついさっき、竹達さんから教えられました。……今西部長と設立前に約束を交わしていたそうですね。
私や凛ちゃん達のデビューも本来はもっと遅くて……十月までにユニットとして完成するか分からなかったから」

「……その通りです。ただ査定対象外というより、保留と言うのが正しいかと」

「保留?」

「ユニットが完成次第、次の大型イベントでの臨時査定という形になります。こちらも前例はありますので」


つまり形式上は問題がない。決して今西部長主導による”えこひいき”でもない。

そう説明されて、安堵するみんなに、私は冷や水をぶっかける。


「でも今回のライブが成功すれば、CPというユニットは完成するんですよね」


自分で言いながらゾッとしてしまった。

凛ちゃんも、未央ちゃんも……この話を聞いたときの私と同じ顔をして、視線を合わせ動揺する。


あんなに楽しみだった全体曲が。

一歩進もうと決めたはずの全体曲が。


とてもおぞましい……泥沼に思えてしまって。それがとても、悲しくて。


◆◆◆◆◆


「……一つ確認しておこうか。なんで、今まで言わなかったの」

「これ以上みなさんの心を乱したくないと……そう思い、時期を待つつもりでした。ですが竹達さんから強い抗議を受けて」

「……今がその時期だよね!」


杏ちゃんから本気の叱責を受け、プロデューサーさんは悔しげに拳を握り――。


「申し訳、ありませんでした」


深々と謝った。ただ静かに……これ以上は言い訳になると感じ、全力で。


「あぁ、もういい。……智絵里、かな子、よかったね。道が開けたかもしれないよ」

「え……」

「杏ちゃん、まさか……で、でもライブで頑張って、みんなから認められるのは駄目だって!」

「派閥闘争の要素が入っているなら、また話が変わってくるかも。……プロデューサー、今すぐに今西部長達と手を切って」

『えぇ!』

「査問委員会では必ず、こう言うの。部長達のえこひいきについては、何も知らなかった。
部長が常務に与(くみ)した行動も非常に遺憾であり、CPプロデューサーとして見過ごせない悪行だと」


それは確かに手を切る……徹底否定と言って差し支えないものでした。でも当然、プロデューサーには頷(うなず)けるものではなくて。


「杏ちゃん、待って! えっと、きらり達にも分かるように」

「部長達が常務の側(がわ)についているなら、離反すればいいだけだよ。正義がないってことでね。
つまりCP全体で常務反対派に周り、今後生まれるであろう乗っ取りの流れを利用する」

「……きらり達で、961プロの味方をするってこと!?」

「杏達の両親が問題としているのは、現会長と常務……及びその派閥による支配構造と、その下でのアイドル活動だ。
それを打開する流れがあるのなら、乗っかれば生き残る道もある。でも、そのためには邪魔なものもある」

「……部長さん達にゃ?」


もう聞くまでもない質問だけど、みくちゃんが声を出して確認……杏ちゃんは渋い顔で頷(うなず)いた。


「そうして杏達の姿勢を示す……部長や常務達の生み出す流れは、全く望んでいないってさ」



◆◆◆◆◆


「みなさんもお願いします。そんな言葉だけは決して……口が裂けたとしても、言わないでください」

「Pちゃん、何を言ってるの!? 部長達が間違っていたのは確かなのに!」

「だとしても理屈ではなく、人の心を――二人と紡いできた絆(きずな)を大事にしてください」

「そんなもの無意味だ。……状況は既に派閥闘争。これは生けにえ在りきの魔女裁判なんだよ? 説得で無罪放免なんてあり得ない」

「今西部長も……千川さんも、今までCPのために尽力してきました。今日の我々があるのもお二人のおかげです」


プロデューサーさんはやっぱり頷(うなず)かない。決して揺らがず、諭すような口調で……いつもより厳しめに、杏ちゃんに語りかける。


「その恩を仇(あだ)で返すような真似(まね)は、たとえ話だったといけません。もう二度と言わないでください」

「だからぁ、その”恩”と尽力が不正の温床だって言ってるよね。もうね、たとえ話でもいいから否定してよ」

「双葉さん、これはプロデューサーとしてのお願いです。あなたの頭脳が卓越しているのは理解しています。
……しかしそれゆえに、今のあなたはアイドルとして……いいえ、人として通すべき筋を違えています。もうやめてください」

「何度でも言う。今西部長達と手を切って、常務反対派に回って……その馬鹿な考えは今すぐ変えて」

「なら自分も何度でも、プロデューサーとして通達します。……あなたは間違っている。
部長達がどう思うか……それを考えてください。理屈ではなく人の心を……思いを」

「その結果美波に愛想を尽かされた分際で、よくそんなことが言えるね」


……そこでプロデューサーの頬が引きつる。あぁ、やっぱり……美波さんも同じ意見だったから、余計に否定したいんですね。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


恭文「定例ライブはアニメセカンドシーズンのあれだね。ちょっと掘り下げていく感じで描写しています。
アニメより状況が悪く、今後の仕事も両親の許可が下りない状況……それで重要性を黙っていたという」

古鉄≪全体曲の実施がそことどう絡み、なぜマイナスになるか。詳しくは本編をご覧ください≫

あむ「前巻までのアレは何だったの!?」

恭文「心を一つにしても、大人が台なしにしてくれるってことだよ。TV版エヴァと同じ」

あむ「駄目なやつじゃん!」


(劇場版はみんな頑張っていたのに、三作目では……いや、大人も必死なのだろう。
本日のED:高橋洋子『残酷な天使のテーゼ』)





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