作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間リローデッド第6巻経過報告:01(サンプルあり)(2017/6/29)
古鉄≪というわけで、アガルタの女は一旦休憩……幕間リローデッド第6巻は明日(2017/06/30)販売開始です。みなさん、何とぞよろしくお願いします≫
(よろしくお願いします)
古鉄≪さて、不夜城のキャスターは井上喜久子さん十七歳ということですが……≫
(おいおい!)
古鉄≪今回、あなたは引かないんですね≫
恭文「まだ第4節の二段目クリアという段階なのに、気になるキャラが出てきてー!
絶対第二弾ピックアップで出てくる! それにドレイクオルタも……こっちは、多分だけど」
(出てくるといいですね)
恭文「では、そんなFGOの話から続く形で、まずはApocrypha編です。
いよいよ最終決戦が見えてきましたよー」
古鉄≪なお”彼”がいないことや、何人かが早期退場したことで、アニメと被る心配はなくなりました≫
恭文「あ、それと今更ですが……そんなアニメのネタバレもあるかもしれないので、初見の方は注意です」
あむ「今更ぁ!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……お前、知っていたのか」
俺はふて腐れた声で告げる。キャスターはやはり眩(まぶ)しい朝日を思わせる、仰々しい動きで、両腕を振り上げた。
「『我らは夢と同じもので紡がれ、その儚(はかな)き一生は眠りに始まり眠りに終わる』――というわけで、えぇ。もちろん知っておりました」
あんまりに、あんまりに……あんまりに当然な顔で言ってくれるので、つい右拳を握ってしまう。
「あれは、イカれているのか」
「さて、どうでしょう。正気か狂気か……そんなことはさ細な問題では?
我らのマスター≪天草四郎時貞≫は苦難と絶望の道のりを歩み、あの結論に至ったのです。
ならば、吾輩は万難を排して、それを叶(かな)えるだけでしょう」
「……てめぇの頭がおかしいのは、よーく分かっている。だが……それでも、聞くぞ」
「はい!」
「……なんでそんな、朗らかに笑って協力できるんだよ! アイツ、まともじゃねぇぞ!」
「無論、面白そうだからに決まっているではありませんか!」
躊躇(ためら)いなく笑顔で言うなぁぁぁぁぁぁぁぁ! 迷いはないのか! 迷いは! しかも、面白そうだとぉ!?
◆◆◆◆◆
「で、姉さんが……なんだって」
「勘違いされているようですが……私はフィオレ様を、自身のマスターとして認めています。彼女が死ねと言ったなら、喜んでそれに従いましょう」
アーチャーは苦笑。……敵意を見抜かれているのが辛(つら)いな。だが、どういうことだ?
その言葉に嘘はない……はずだ。それなら、当主にふさわしいのも分かるはず。
「なるほど……フィオレの人間性だね」
だが蒼凪恭文は、納得した様子でため息。
弟の俺ですら分からないことを、容易(たやす)く理解したコイツに……軽い嫉妬を覚えた。
「やはり、あなたも気づいておられましたか。察するに桜セイバーも」
「まぁ、マスターと戦った後の彼女を見れば……自然と?」
「そりゃ、どういうことだよ。言っておくが俺の考える限り、おじさんの跡を継げるのは」
「おのれ、そりゃ実力の話でしょ」
「あぁ」
「ちなみにセレニケさんやゴルドのおっちゃん達は?」
そりゃお前……っと、そうか。コイツは外部の人間だから、そこは詳しくないんだな。
資料では知っているだろうが、実際の印象は……そんなところだろう。
「ゴルドおじさんは、姉さんに次ぐ有力候補だ。……まぁ、人間的な器ではアレなんだが。
ただここで重要なのは、みんながそれぞれ学んだ魔術……その知名度や進展具合だ」
「錬金術は割とメジャーなんだ」
「アインツベルンって大家もあるし、おじさん自身もそれと打ち合えるだけの実力者だからな。
……なお、俺は論外。お前さんみたいな戦闘者でもないしな」
「そうかな。僕から見れば……カウレス、おのれの方がフィオレより優秀だとおもうよ」
「はぁ!?」
◆◆◆◆◆
「だがなんで、わざわざこんなことを」
「当然でしょう。迷うものを導くことが教師の勤め――英霊になったからと言って、生前からの勤めは疎(おろ)かにしませんよ」
「――な、なるほど」
さすが……! 数多(あまた)の英雄を教導しただけはある。人間……じゃなくて、ケンタウロスが違う。
やっぱり野蛮なケンタウロス族にとって、例外中の例外ってのは本当だったんだ。
「だから、召喚……されたのかね」
姉さんには、暴力の中で人を導いてきたケンタウロスが……この男がふさわしいと判断されたのかもしれない。
「私がいなくなれば、マスターにとっての頼りはあなたと……蒼凪恭文だけです」
「分かっている」
「え、僕? でもフィオレとはそこまで親しいわけじゃ」
その台詞(せりふ)が信じられず、ケイローン共々面食らう。なのでケイローン共々、肩を寄せ合い脇にズレる。
「おい、ケイローン! どういうことだ!」
「……どうやらフィオレ様の気持ちには、全く気づいていないようですね」
「キスも迫られたのにか!」
「魔力供給でしたし、彼女の立場ゆえに……と考えているのでしょう」
「面倒くせぇ……!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、今回はのんびりムード……とはいかなくて」
古鉄≪あなたもケイローン先生に導いてもらってください。どうすれば器が大きくなるのかと≫
恭文「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(『夜空の星からいつでも見守っていますよ……いつでも、撃てるように』)
恭文「やめてー! 違うよね! いつでも狙っているのは蠍座……だっけ!? 混乱して忘れたー!」
古鉄≪では一応補足を。射手座の図式は、弓を引き絞ったケンタウロスで表現されますよね。
あれは蠍座が暴れ出さないように、その心臓≪一等星アンタレス≫に狙いを定めているんです≫
恭文「おぉそうだった! 西の空に狙いを定めているんだけど、大神ゼウスの命令でやってるのよ」
古鉄≪まぁそんな余談はさて置き……良かったですね。聖杯大戦が終わってからも見守られていて≫
恭文「いいことなの!?」
(蒼い古き鉄、納得しかねるらしい)
古鉄≪まぁそんなマスターはさて置き、続きをいきましょう≫
恭文「さて置かないでもらいたい……!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
というわけで、一時的ですけど玉座に……セミラミスが座るべき場所に座り、遥かな天蓋を仰ぐ。
まだ気を抜ける段階ではありませんけど、それでもこの手ごたえが、この充実感は隠せそうにない。
「さてマスター、玉座の気分はどうかな」
すると脇でセミラミスが実体化した。
「失礼」
そう言って、玉座から立ち上がろうとする……が、彼女は私の肩をそっと制する。更に背後へ回り込んで、耳元で囁(ささや)き始めた。
「よい、そのまま座れ。……そら、お主が王になった気分はどうだ? 想像して見ろ――ここに詰めかけた英雄達が、頭を垂れて従う様を。
途方もない快感だろう? 王たる誇りが沸き上がってこないか? 全てを支配する悦楽に酔いしれたくはないか?」
それには、無言で首を横に振る。その上で載せられた手を握り、驚かせないよう立ち上がる。
「更に言えば、六導玲霞をそこに跪(ひざまず)かせて、王の特権として楽器のようにその嬌声(きょうせい)を奏であげ」
「……続けないでくれますか?」
というか、それは悪趣味すぎるでしょ。あはははは……え、なんですかこのしつこさ。私、セミラミスとは恋愛関係になった覚えもないんですが。
◆◆◆◆◆
やっぱり疲れていたみたいで……とても、気持ちのいい眠りだった。
でもそれから目覚めると、ゴルドおじ様と蒼凪恭文、アルトアイゼンが、テーブルを挟んで話し込んでいた。
なお桜セイバーとジャンヌは。
「「ぐぬぬぬぬ……!」」
隅っこでテーブルとチェス盤を挟み、思案を続けていた。あれは一体どういうことだろう。
この二人も、いつの間に仲良くなったんだろう。疑問一杯で苛(さいな)まれていたら、まぁぶっ飛んだ話をされて。
「アニメって……それからヒントを得るって……!」
「……だが、キッカケとしては有用だぞ。実際コイツが使う技は、アニメの技が多いらしい。それでカルナを倒したとも」
「あなた達はどうなってるんですかぁ!」
≪楽しみたいだけですよ、私達は≫
言い切らないでほしかった……! いや、無駄な期待だとは思ったけど! とにかく……こめかみをグリグリしながら、状況を納得。
なおヤスフミは、何やら考え込んでいる。私のことは気づいているんだけど、ジッとチェスの駒を……外しては入れてを繰り返して。
◆◆◆◆◆
「でもさ、なーんでジャック・ザ・リッパーなんて呼び出したんだろうね。いろいろ危ないのは分かるだろうに」
「その辺りはダーニックおじ様から聞いています。どうもヒョウマ・サガラは、慣例に不安を覚えたようで」
「慣例?」
「そもそも聖杯戦争において召喚されるアサシンは、既に決まっています。……ハサン・サッバーハ」
「聞いたことがあるな。山の翁(おきな)だっけ」
「えぇ」
やはりあちらこちらを旅していたとのことで、詳しいのですね。サラッと答えに行き着いたことで、ゴルドおじ様も鼻を鳴らす。
まぁ当然だ……というか、ちょっと厳しい感じですけど。でも不快感を含んだものではない辺りから、二人の関係がいいものなのは分かる。
ハサン・サッバーハとは、イスラム教の伝承に残る『暗殺教団』教主です。いえ、教主達と言うべきか。
この名前は個人を指すものではなく、教団の教主に代々襲名されてきた官位。暗殺者の語源と言える存在です。
歴代当主は十九人です。えぇ、そこで問題がありまして……。
「歴代当主達は、誰が最強のハサンなのかを競っているとされ、自らの秘伝を宝具『ザバーニーヤ』に隠しています。
冬木の聖杯戦争では、アサシンという言葉と、そのクラスそのものが触媒となり、必ずハサンが召喚される」
「ちょい待った。それならセミラミスやジャック・ザ・リッパーは」
「そこで亜種聖杯戦争です」
ヤスフミの言わんとしていることは分かるので、結論を出すのは早計と制する。
……そこはエルメロイ卿から聞いていないのですね。なんとまぁ……なら、お姉さんとしてしっかり教えましょう。
「まず大きな問題は二つ。……アサシンクラスそのものが、直接戦闘を苦手とすること。
更に十九人いる歴代ハサン達は、亜種聖杯戦争によってその宝具と姿見まで、全て明かされていること……ただ一人を除いて」
「ただ一人?」
「初代ハサンだけは、誰一人として召喚していないんです。それゆえに能力も……」
聖杯戦争において、真名や宝具の能力看破が如何(いか)に大事か……ここまでの戦いをくぐり抜けた者達なら、誰でも理解していること。
亜種聖杯戦争の繰り返しにより、そこも含めた……いわゆる定石が確立されていったんです。
まるで肌の荒れた鉱石が磨かれ、光沢を放つダイヤモンドに変貌するかのように。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪はい、原作小説でもやった話ではありますが、なぜジャック・ザ・リッパーが出てきたか。
まぁ今更ですけど、ちょっとしたおさらいも込みで話は進みます≫
恭文「……でもさ、フィオレと僕って一応同い年なんだけど。
フィオレがこのとき十九歳で、誕生日が七月十二日。
僕も十九歳で、誕生日は八月一日」
(なお未来の話になるVivid編でも、蒼い古き鉄と同じく二十二歳となっています)
フィオレ「何を言っているんですか。私の方が二十日ほどお姉さんですよね」
恭文「大した差じゃないよね!」
フィオレ「大きな差です!」
古鉄≪そうですよ、大きな差ですよ。あなたの大好きな年上ですよ≫
恭文「だから同い年ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! あと、誤解を招く言い方はやめろぉ!」
(こうして始まるのは、醜い同い年バトル――みんな、生暖かく見守ってあげよう。
本日のED:EGOIST『英雄 運命の詩』)
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