作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間リローデッド第6巻経過報告:02(サンプルあり)(2017/6/29)
フィオレ「――そもそもあなたは、年上に対する敬意が足りません!
それを学ぶためにもしばらくの間、私を姉と慕うことから始めなさい!」
恭文「お断りだぁ! つーか、何度も言っているけど同い年だよね! なんでそれでお姉ちゃん!?」
フィオレ「いいんです! 物は試しと言うでしょう!」
恭文「そんな流れかぁ!」
(あーでもないこーでもないー)
古鉄≪というわけで、同い年コンビによる不毛な争いを尻目に、更なる経過報告です≫
あむ「いや、アンタのせいじゃん! ……それで今回は」
古鉄≪書き下ろし二つをご紹介します。ではどうぞー≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
渓谷を降りていくと、そこで停止状態にある狼を発見。
紋様が幾重も刻まれたボディは、全長数百メートルにも及ぶ。
尻尾は刃のように鋭く、その瞳は青く輝き続けていた。
更に四つ足外側についているスフィアは、火花を散らし消灯状態。……これが。
「それは俺達で何とか仕留めた」
「これが、スートガーディアン……!」
「想像以上に大きい。あの、卯月さん達が乗り込んだダバも」
「は、はい。同じくらいの大きさでした」
技巧の切り札≪ギナ=ゼアイ≫――!
「……だが、内部のギミックが面倒でな」
「ボス戦まではたどり着いたんだけど、時間切れで追い出されちゃったのー。それで改めての再挑戦なんだ!」
「追い出された? でも、エグザさんやクロスフォードさん、ヴィヴィオちゃんもいるなら……」
「正確には、昨日の後半戦終了がきた」
あぁ、そういう……わりとギリギリだったのね。内部攻略に入ったのが。
「コイツは他のガーディアンと違う。今の今まで監視体制も作られず、自立行動で生き延びてきた奴だ。
何があるか分かったもんじゃないから、こっちも最大戦力でリベンジなんだけど……」
「で、ギミックって一体なんですか」
「クイズ」
『クイズゥ!?』
ちょっとちょっと……仕掛けを解くんじゃなくて、謎解きなの!? 技はどうしたのさ!
……でもそこで、
ビシリと――何かがひび割れるような音が響く。
同時に駆動音が渓谷内でけたたましく響き、空間そのものが震え出す。
慌ててギナ=ゼアイを見ると、足下のスフィアが輝きを放って復旧。静かに……しかし確実に立ち上がり始めた。
「ちょ、なんで!? ギナ=ゼアイ、動きは止めたんだよね!」
「時間経過で復旧する仕組みだったか……!」
「ちょ、ヤバいですよ! 今は”魔瘴”の最中なのに!」
幸子が言っている間に、ギナ=ゼアイは跳躍――渓谷の外壁を連続三角蹴りで跳び、一気に上へ飛び出す。
それだけで大地が揺れ、あちらこちらから落盤発生。
『……いやあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁ!』
落ちてくる岩を避けながら、逃げ惑うしかなかった。
◆◆◆◆◆
「ふ……見つけたよ、技巧の切り札≪ギナ=ゼアイ≫! 律子さん!」
「……魔瘴中に行く手を遮るって、自殺行為なんだけど……まぁいいか! ファーストアタックさえ取れればこっちのもの!」
ですよねー! 竹達連合も追っているみたいですし、ここは早い者勝ち! 待ち受けて一発当てて、あとはひたすらに追いかける!
そうすれば問題なしと、≪ミスリルデーゲン≫を抜刀……手元で一回転させながら、その切っ先をギナ=ゼアイに向ける。
「全軍、突げ」
……号令をかけようとしたところで、風が吹く。それは予兆を含んだ風だった。
ギナ=ゼアイの眼光が鋭く輝いたかと思うと、その口が開かれ、レーザーサイトが照射。
それは甲高い電子音とともに、こちらに向けられ……!
「……退避ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「言われるまでもないって!」
真が、美希が、伊織達が答え、全力で右へ走ると……超巨大レーザーが照射。
それが雪を穿(うが)ち、大地を振るわせ……さらに、逃げる私達を追いかけるように、ギロチンバーストー!
しかも背中のスロットが開き、白煙が無数に照射……って、ミサイルまであるのぉ!?
更に速度を上げ、必死にスフレ氷河方面へと逃げる。……きゃー! 後ろから連続した爆発音がぁ!
「やばいのやばいの! 美希達、めちゃくちゃ目を付けられてるの! 春香が閣下だからぁ!」
「理不尽か!」
「春香、どうするのよ! 作戦が台なしじゃない!」
「だから理不尽かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「よし! 春香とは別方向に逃げよう!」
『異議なし!』
「ちょ、やめてよ! 組合リーダー放置で逃げるとかあり得ないし! 待って待って! 脇にズレていかないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
◆◆◆◆◆
左手でサークルシールドを、右手でショートメイスを構え深呼吸。
まずは右刃での刺突をシールドバッシュで弾(はじ)き、すかさずショートメイスで唐竹一閃。
鋭く走るスウェーで回避されても。慌てず詠唱――。
「我滾(たぎ)らせるは、炎弾の乱撃!」
攻撃魔法≪フレアガトリング≫を発動。ノーモーションで七時方向に……背後を取ったヒロリスさんに乱射。
ヒロリスさんは最初の三発を素早く切り払いながらも退避。合計十五発の炎弾を、爆炎ごと払いながら笑う。
その間に詠唱――! 再度の突撃と斬撃を防御しながら、押し込み、ヒロリスさんを押さえ込んで。
「我は謳(うた)う、驚天動地の豪嵐!」
トルネードを発生。でもヒロリスさんは私の斬撃を流し、自らその場でジャンプ。
発生した風に煽(あお)られながらも吹き飛び、空へと高く舞い上がる……! ダメージは!? 発生しているようだけど、直撃じゃない!
更に装備が変更され、二丁拳銃となった。そのまま上から弾丸が乱射……左に走りながらも、再度術式を詠唱。
「我は呼ぶ、絶倒の凍雨!」
今度はアイシクルレインを発動し、それに対抗。氷の矢と弾丸が正面衝突し、せめぎ合い、共倒れとなって粉砕していく。
そんな渦中を突き抜けながらも、またヒロリスさんが装備変更。
刃に雷撃を纏(まと)わせているので、こちらも時計回りに回転しながら……≪シャインストライク≫!
雷撃での唐竹(からたけ)双閃と、光の打撃が正面衝突――!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪というわけで、今回のアプリスクは……オーロラを見るはずが、なし崩し的にスートガーディアン攻略戦に飛び込むこととなりました≫
あむ「何やってんだか……! つーか春香さん達まで!」
古鉄≪ただ、こういう状況だからこそ……ふだんバトルしない組も戦えるわけで≫
(VR-MMO、便利だね)
古鉄≪では、続いていきましょう。こちらは鮮烈な日常TS最終刊近辺……346プロで起きた事件となっております≫
あむ「前回書き下ろしの続きだね。あのドリンク話……でも、マジでついていけない……!」
古鉄≪年代そのものが違いますしねぇ≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「な、なんかクイズが始まったんだけど!」
「いや、あれはアリかもしれないわね。だって出題されたまま死ぬとか……悔いが残るわよ」
「悔い!?」
「そうです……」
昔を懐かしみながら、あえての敬語……というか真似(まね)る!
「知力! 体力! 時の運!」
「そのフレーズは『アメリカ横断ウルトラクイズ』だな」
さすがに分かっている……やはりこの男、やるな。
「こつぶは昔はやった”つぶつぶオレンジ”だな……ああいうのを見かけなくなったが、懐かしい」
「あれ……つぶつぶ? 見かけなくなった? そんなはずは……」
「城ヶ崎美嘉の言う通りだぞ、長山専務」
「何!」
「まぁそこについては、後で説明しよう」
未熟……未熟未熟未熟! いやまぁ、年齢層を考えれば当然のことではあるのだが。
「八十年代初頭、”つぶつぶオレンジ&みかんブーム”をけん引したはごろもの「こつぶ」は、七十年代後半から出ていてな。
ポストウォーターの発売が九十年なので、正確には八十年代前期のドリンクとなる」
「ちょっと待てよ。思い出すから……あぁ、そうそう。当時の評判からして、維力はまずないな。
ポストウォーターも俺はいまいちで……まぁ、飲んで一番美味(うま)いと思ったのはこつぶだよなぁ」
「……倍率ドン! こつぶでいいですか?」
「今度はクイズダービーね」
「ちょ、ちょっと待て!」
奴は手すりに腰掛けながら、更に思案……。
「ふむ……そういう考え方もあるか」
納得のいく答えが出たらしく、奴は笑顔で左人差し指を立てる。
「正解は……」
◆◆◆◆◆
「……貴様、考えてみろ。これまで数多くの商品が世に出ては、消えていった。
ドリンクに限った話ではないが、人気がない、味が悪いなど……理由は様々だ」
「あぁ」
「もしも、もしもだ……そんな中に」
手すりに肘を突き、神へ祈るように頭を垂れる。そうして恐怖する……未熟だった私自身に。
「我々消費者に”先見の明がなかった”ために、消えたものがあるとしたら?」
「なん、だと……」
「まずキリンのポストウォーターについては、大ファンだったんだ」
「そうなのか?」
「一九九〇年、人間科学飲料なるキャッチフレーズで登場した奴さんには、当時まだ一般的じゃなかった”ライチ”がさり気なくフィーチャーされていた」
『ライチ!?』
「なぜかは分からんが、この珍フルーツ味のクセになる清涼感が気に入って、初期から飲みまくっていた」
「そ、そうだったのか。ライチを知らなかったから、悪くなったグレープフルーツみたいな味だと思っていたが……!」
男は腕組みしながら思い出しつつ、私の言いたいことを理解した様子。
「確かライチって、健康効果がたくさんあったよな!」
◆◆◆◆◆
あ、あれ……空気が重くなってきたぞぉ。というか黒井社長も自嘲モードに入っちゃって。
「生ものゆえに、今の我々には再評価すらできんのが口惜(くちお)しい……!
実は私にちょくちょく喧嘩(けんか)を売る若造と小僧がいてな。ソイツらもラーメン関係で同じ反省をしている」
「ラーメン?」
「以前は酷評した、ファミリー向けのチェーン店。それを今食べると……味が変化していないにも拘(かか)わらず、美味(おい)しいと感じたそうだ。
それは正しく舌の経験値が上がったから……ファミリー向けという言葉が褒め言葉だと、理解していなかったと……」
「それはまだ、再評価できるからいいんじゃ」
「いや、ラーメン屋に限らず飲食店関係は、ちょっとしたことで経営が傾く場合も多い。維力と同じく、再評価できない店も……」
何だろう、その若造と小僧にはすっごく覚えがあるんだけど。
「……それ、サリエルさんと恭文じゃ」
ほらー、美嘉ちゃんも気づいてるしー! つーか何をやってるの、二人揃(そろ)って!
「でもどうするの、この空気……! 反省会みたいになってるし!」
「相手は自殺志願者っすよね」
「……あ……!」
ヤバいと思ったら、あのおじさんはヒックと言いつつ、改めて川に向き直り始めた。
「そう、だよな。俺にできることは、死んで詫(わ)びることぐらい……俺自身が、八十年代ドリンク達と同じように」
『やっぱりいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あむ「ど、ドリンクってそこまでなの!?」
古鉄≪そこまでですね。というわけで、三十代の人には懐かしい名前も出てくるお話です≫
あむ「それ、つまりはあたしとか置いてけぼり」
古鉄≪うちのマスターも置いてけぼりですよ? さすがに生まれる前ですから≫
あむ「実食データも絡めると、辛いってことかー」
(そんなわけで、今日はおじ様達が主役です。
本日のED:『鉄骨飲料のテーマ』)
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