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とある魔導師と彼女の鮮烈な日常TS第3巻 経過報告:01(サンプルあり)(2017/3/9)
古鉄≪というわけで、鮮烈な日常Third Season第3巻sの経過報告です。
現在本編五話まで仕上がり、六話は序盤に手がかかった状態。世界大会編ということなんですが……その合間に起きた話で文量が増大≫
恭文「今回は第二ピリオド辺りで終わり……かなぁと。では、何が起きていたか……こちらをどうぞ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
夏のライブに向けて、合宿スタート……する直前のこと。
「卯月、346プロから離れることは」
「いや、無理だよ! デビューしたばっかりだし、今後の活動予定だってあるのに!」
「そこはお父さんも協力する。ほら、お前にも以前紹介した御園(みその)さん……いるだろ。お父さんの職場でお世話になっている。あの人に相談したんだが」
「パパ!?」
「あなた、ちょっと強引すぎよ。卯月も上手(うま)く行き始めているのに」
「それは、分かっているんだが」
パパから”何度目か”のお話がされていた。
プロデューサーさん達と予測した通りです。美城常務の一件で、アイドル活動に難色を示していて。
救いがあるとすれば、パパも強引で急すぎると自覚しているところ。だからママも止めてくれて。
「ただ美城常務の行動が……例の蒼凪恭文君、だったな。彼だからまだよかったとも言える」
「うん、それは……分かってる。プロデューサーさんや凛ちゃん達も言っていたから」
「そうだ。彼の行動力は一社会人としてあり得ない」
「……パパ?」
「否定しているわけじゃない。我々一般人では触れる機会のない、そういう事件を解決していったプロだ。
本当は彼のように、卯月のことも守る……そう言えるだけの力が私達にあればいいんだが」
「……それが、無理なのも分かってる。というか私も無理だし」
恭文さんから捜査技術を教わってはいるけど、それもちょっとずつ……うぅ、まだキャラチェンジには遠いようです。
「何より分からないんだ」
「分からない?」
「なぜ卯月が……自分の娘がリスクを払ってまで、346プロのアイドルでいるのか」
……その言葉は衝撃的だった。
「それも信頼できない上司達の手に預け、いつどうなるかも分からない中で」
いや、ある意味当然の疑問です。でも……それを答える術が、私にはなくて。
「それは……凛ちゃんと未央ちゃんが……CPのみんなが、プロデューサーさんが、いるから」
「だがその二人は自分のことばかりで、周囲や卯月に大迷惑をかけ続けた。武内君とて同じだ。
噂(うわさ)通りであれば、自分の復帰<リハビリ>に卯月達を利用した」
「そんなことは!」
「そして親の感情として、そんな”仲間”に……それを当然とした上役に、娘は預けられない」
そう、答えて……パパを納得させられるだけのものが、私にはなかった。それでパパの言うことが正しいのも、今の私には分かる。
◆◆◆◆◆
ようやくアイドルデビューして、ファンのみんなにみりあ達のお歌やダンスを見てもらって……毎日、とーっても楽しい。
みくちゃん達もデビューできたし、夏のライブも決まったし、全体曲もやるってお話された。
だから、もう大丈夫だよね。みりあ達、いっぱいいっぱい……いーっぱい! 頑張ったんだもん!
もうみんな、みりあ達のことを嫌ってない。みりあ達のことを許してくれてる。そう……思ってたのに。
そう、思いたかったのに。ううん、それとは関係ない……難しいお話が、また出てきて。
「……やだ!」
「みりあ、落ち着いて。アイドルになるなって言うわけじゃないの。ただね、346プロ以外もあるんじゃないかって」
「どうして!? だって、やっと……やっとデビューできたのに!」
「だが、美城常務って人がヒドいことをしたんだろう? そんな会社にみりあを預けてはおけない」
「大丈夫だよ! だってみりあ、毎日楽しいもん! 莉嘉ちゃんと、きらりちゃんと一緒にユニットでアイドルして……プロデューサー達だって!」
「……今までは言うべきか迷っていたが……その彼女達とも、距離を取れないかな」
パパとママが、みりあのアイドル活動を……やめられないかって、お説教してくる。
CPじゃなくていい。莉嘉ちゃんときらりちゃんとのユニット<凸レーション>じゃなくていい。
346プロじゃなくていい……どこか、別の事務所でまた一から頑張れないかって……。
「だから、やだよ! なんで!? なんでみりあの言うこと、聞いてくれないの!
楽しいって言ってるのに! アイドル、とっても楽しいって……悪いことなんてないって!」
「それは嘘だろう」
「嘘じゃないもん!」
「美城常務という人が……それに今西部長という人が、悪いことをして逮捕された」
「もう終わってるよ! ちゃんとごめんなさいってして、釈放っていうの……されたよ!」
「でも誰も許してないんだろう? 常務達がちゃんと反省していないから」
「違うよ!」
まただ……また、許さない話になってる。
「何で……何でなの! 間違ったら駄目なの!? 間違ったら許しちゃいけないの!? そんなのおかしいよ!」
◆◆◆◆◆
「だから前提を置いて。杏達の頑張りと、プロデューサー達が持たれている不信感は別問題。
それを杏達が拭おうとしたら、『それ見たことか』とツッコまれるよ」
『きらり達が、Pくん達に利用された……でも、それならどうすればいいの!? きらり、嫌だよ!
ようやくアイドルデビューできて、みんな……ちょっとずつ、きらり達のことを認めてくれて! それなのに!』
「でさぁ、この問題の厄介なところは、それが”プロデューサー”だけじゃないって話だ」
……そこで符と思い立って、クイーンを掴(つか)み、持ち上げ、手の中で軽く遊ばせる。
「これが完全にCPだけの問題なら、きらりの言うことにも納得できた。……杏達だけじゃない。
プロデューサーとも二人三脚で、新しいものを作っていく……とか」
『そうだよ! でも、駄目なんだよね……何が原因なのかなぁ』
「今西部長、美城常務……」
『……そっちも、きらり達が頑張るだけじゃ駄目なの? 常務さん達も謝ったなら、許してあげてーって』
「それらもまた被害者と言える。自業自得だけどね」
『え……ま、待って! 常務さん達も被害者って何かな! まさか……違うよ! みーくんはちゃんと正しいことをした!
悪いこと、悪いよって叱って……止めたんだよ!? なのに』
「そっちじゃない。……美城会長達オーナー一族だ」
続いて同じように取り出したのは、キングの駒だった。
「つまりここで、オーナー一族による美城常務への”えこひいき”が疑われるわけだよ。
もちろん今西部長やちひろさんもそこに入る」
『部長さん達も?』
「二人は美城常務に次ぐ立場でありながら、馬鹿を止めなかったもの。二人が止めたのは?」
『みーくんだけ……あれ、それって……』
「そう。CPが辿(たど)ってきた流れと被る……この辺りは立てこもり事件かな」
そこできらりが小さく息を飲み。
『あれ……あれあれあれ!? 杏ちゃん!』
杏の言いたいことを理解し、”これまでCPが犯してきた過ち”を振り返る。
そう……今346プロが置かれている状況。それは、今までの杏達そのままなんだよ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、前巻の騒動は未だ続く……余波は広がり、ついに親御さんの不信感まで招いてしまって」
古鉄≪346プロ動乱編の下地ができ上がりつつありますね≫
(爆破スイッチは入る直前。そこからは積み木崩し――)
恭文「まさに世紀末……ひゃっはー!」
古鉄≪あなた、まだ新宿特異点での空気を引きずってるんですか。……そんなんだからプロトセイバー、当たらなかったんですよ≫
恭文「そ、そもそも十連で出そうっていうのがその、甘い考えだと思うわけで」
古鉄≪リアル十連教はどうしたんですか≫
(作者的にも欲しかった……ネタになるし)
恭文「なら課金だ……課金したまえ……」
古鉄≪無理ですよ。Nintendo Switchとゼルダを買ったんですから。
まぁそんな大変な状況ですが、お仕事は進みます。卯月さん達も……ついに≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
世界大会が開始される三日前、私達CPはちょっと遠出。夏のライブに向けて、合宿スタートです。
それも都内から離れて、夏のフェスまでみっちり集中……なんですけどぉ。
降り立ったのは小松(こまつ)空港――石川県(いしかわけん)小松市(こまつし)にある共用飛行場。
防衛省の管理下であり、航空自衛隊小松(こまつ)基地と民航が滑走路を共有しています。
レンタカー(白いワゴン車)をプロデューサーさんが運転し、海が目の前にある合宿所へ到着。
街からはやや外れ、林(はやし)も近くにあり……吹き抜ける潮風を目一杯に吸い込む。
少し長めの階段をそのまま上り、学校のような民宿に到着です。
二階建ての木造民宿……は普通ですけど、その前には青い屋根の別館。
大窓にはカーテンも張られていませんけど、建物自体がフローリング仕様の大部屋となっていた。まるで体育館みたいです。
ふりかえると、階段を囲む木々の谷間から、青い海と空に入道雲――地平線が見える。あぁ、すっごく奇麗な光景。
――でも、それに見入っている暇は余りなくて。旅館の御主人と女将さんに挨拶をした上で、早速別館にて練習開始。
そして三日後……つまり、世界大会の開催日。恭文さんが、セイ君が戦いを始めたのと同じ頃。
「――しまむー、へばっている暇はないよ! もう一回いってみようー!」
「は、はいー」
「気合い、入ってるね」
「そりゃあもう! 今度のフェスは346プロのビッグイベント――しかも舞台はガンプラバトル世界大会の会場!」
そう……そのせいもあって、未央ちゃんが燃えています。
「今度こそ、最高のライブにしてやるんだから!」
「……私は、別に」
「あれ、しぶりんがローテンション!?」
「いや、だって」
凛ちゃんが消極的だったのでビックリしていると。
「だって、前のライブでは……」
俯(うつむ)き、背を向け、頭を抱える凛ちゃんに、私達は察してしまう。……いろいろ叩(たた)きのめされたのとか、トラウマなんですね。
「しぶりん、私はね……だからこそって思うの。やり残したこともきっとあって……だから、今回は!」
「その後も竹達さんに論破されたし、だからその、あんまり一直線すぎるのはやめようと……」
凛ちゃんの続く言葉で、気合い十分な未央ちゃんも崩れ落ちた。
◆◆◆◆◆
『そう……ガンプラバトル世界大会会場でのライブに向けて、邁進するCPのメンバー。しかし、彼女達にまたも試練が降りかかる』
「自分は今日の昼に一度、出かけなくてはなりません。明日は朝から……こちらは二日ほど留守にしますが」
「Pちゃん、お仕事?」
「はい。自分がいない間の監督役は、新田さんにお願いしました」
あぁ、だから美波さん、プロデューサーさんと並び立っていたんですね。それも……なぜか、とっても楽しげに。
「なので新田さんの指示に従ってください。……新田さん、それではまとめ役として、最初の仕事を」
「――今度のフェスでは各ユニットの曲だけではなく、私達全員で新曲をうたいます」
『自分達の全体曲――メンバー全員に電流走る』
「みんなでうたうの、楽しそうだにぃー!」
「どんな曲なんだろー!」
「みりあ、わくわくするー!」
はい……! ついにやってきました! CPの各ユニットがデビューして、ようやくたどり着いた全体曲!
これをステージで披露することで、ようやく……私達<シンデレラプロジェクト>は完成する。
それを前にみんなが高ぶるのは、致し方ないことで。ただそんな中、自分のほっぺたを抓(つね)る……未央ちゃんと凛ちゃん。
「……本田さん、渋谷さん、どうされたんですか」
「「いや……冷静さを、保とうと」」
「二人ともニュージェネ問題での反省を生かそうと、必死なんです……」
「傷とかが残ることは駄目よ? そうなったらSMだから」
「新田さん、その発言もどうかと……」
ほんとですよ! SMって……やっぱり美波さん、大人です!
『……彼女達はまだ知らなかった。これがCP完成の足がかりであり、そのために越えるべき最後の壁であると――』
◆◆◆◆◆
私達は早速練習開始。
曲と振り付けをビデオで確認しつつ、練習です……ひたすら練習です。
もう私達もプロのアイドル。デビューしているし、その経験もあれば……と、ちょっと思っていたんですけど。
「はぁ……はぁ……」
「何回やっても、振り付け全然合わないね」
『う……』
む、難しい……十三人全員で踊るのって、こんなに……難しかったんですかぁ?
『上手くいかない……何回やっても上手くいかない。その焦りが、メンバーの間で亀裂として忍び寄る』
「そういうみりあもCパート、若干速いよ」
「えー! そんなことないよ!」
「莉嘉もあそこは、もう盛り上がって全開ーって感じがいいと思うなぁ」
「それでアレンジしていったら、誰もついていけないって。とはいえ杏もまだまだだし……映像、見直してみようか」
「何それ! 莉嘉達が悪いって言うの!?」
「そんなことないもん! 普通だもん!」
「杏ちゃん! みりあちゃん達もストップ!」
息を整えていると、何やら怪しい空気に発展。
「杏ちゃん、今のは言い過ぎだと思うなぁ。はい、みりあちゃん達にごめんなさいってして」
「は?」
「それで、みりあちゃん達もごめんなさいってしてー」
「どうして!? むしろ杏ちゃんや智絵里ちゃん達が遅すぎ!」
「みりあもそう思う!」
「よし、予定通り凸レーションの意見は無視」
『予定通り!?』
杏ちゃんがまた剛速球を! あぁ……やっぱりこれまでのゴタゴタで、思うところがあるんじゃ!
「あ、杏ちゃんー!」
「杏もまだまだで、映像を見直して……って言ったじゃん。それでなんで杏が悪いの?」
「でもほら、言い方ってあると思うんだー。だから」
「でも蒼凪プロデューサーならこういうときは」
――こんにちは、では死ね!――
「とか言ってノリノリだろうし、杏も見習ってみるよ」
「みーくんのそういうところは真似(まね)しちゃ駄目ー!」
と、止めなきゃ……あ、駄目……息切れして、立てない……!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「おぉ、何ということだ。コイツらまた馬鹿をやって」
古鉄≪アホだなー≫
恭文「そうだよアホだよアホだよー!」
古鉄≪アホだなー≫
恭文「そうだよ」
あむ「アンタ達がねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
(現・魔法少女、飛び込みながら馬鹿二人にドロップキック)
恭文「軟式グローブ!?」
古鉄≪ちょっと、何するんですか。叩きつけるなら私達じゃなくて、この時代にしてくださいよ≫
あむ「どういうこと!? ていうか……またガチンコじゃん! しかもそれ、『学校へ行こう』のコーナーだよね! ラップだよね!」
恭文「何だと……それが分かるとは、やはり天才か」
あむ「そんなレベルじゃないし!」
(なお、本編にはガチンコ風ナレーションとかはありません)
あむ「だったら入れるなぁぁぁぁぁぁぁ!」
恭文「え、ないの!? 『次週! シンデレラプロジェクトにまたまた激震走る!』とかやりたいのに!」
あむ「やったら駄目じゃん!」
恭文「……あむ、何を言ってるのよ。やってなかったらマジっぽいけど、やったらガチンコっぽいでしょ? まだエンターテインメントとして楽しめるでしょ?」
古鉄≪そうですよ、演出ですよ。やらせですよ。マジだったら笑えないでしょ≫
あむ「何を緩和しようと頑張ってるの、アンタ達は!」
(今回の経過報告は、昔懐かし二十世紀末の空気でお送りしております)
恭文「ちぇー、あむが怖いから諦めるしかないかー」
あむ「あたしが悪いみたいに言うなぁ! 悪いのはアンタ達じゃん! ……でも、何でまた」
古鉄≪いろいろ大変みたいですよ、家で≫
(右も左も信じられない、まさしく世紀末状態になりつつある346プロ。
次回――卯月の世紀末救世主伝説が始まりま)
あむ「始めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(あべし!?
本日のED:TOM☆CAT『TOUGHBOY』)
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