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頂き物の小説
第六話『休日最終日……俺は違うけどな』



……無限書庫で手伝いをした翌日、休みだというのに珍しく俺は早く起きた



「お、5時か……少し早く起きすぎたか?」


《普通だ、マスター。平日はいつもこのくらいなのだから、早すぎるという事はない》


「そうだったな。さて、約束は9時だったよな?」


《そうだ。その辺りに行くと昨晩にメールを送ったのだろう? 忘れてないようで安心した》



そんなに俺は物忘れが酷く見えるのだろうか……。その言い方だと俺が普段から色々と忘れているように取れるからやめてくれないか?



《私をスリープのまま放置していたのはどこの誰だったかな……》



それを言われると辛い……。それにその話は外部端末を造ることで和解したじゃないか……もう持ち出さないでくれ



《ふぅ……そうだったな。それで、マスター。何を作って持っていくんだ?》



ホールのショートケーキと、クッキーを数種類持ってこうかと……



《まぁ、8時に家を出れば充分なのだし、間に合うか……》



普通ならな。でも、なんか早く出掛けないといけない気がしてな……うん、7時に出よう



《……時間内にできるのか? 7時に家を出るならなおさらだろう。なにせ2時間しかないのだから……》



そうなんだよな。2時間じゃケーキを作れても雑になっちまうし、仕方ない……アレ使うか



《アレ?》

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

《…………………………なんだ、ここは……》



ラミアが何か言ってるけど、とにかく材料の点検だな



《マスター、頼むから説明してくれ。ほれ、読者も何が『なんだ』とは分からないではないか》



仕方ない。今、俺の周りにある風景は巨大な西洋の城が聳え立ち、青空が広がる南国のビーチだ

ちなみに、転送魔法とか使ってないからな。魔道具と呼ばれるモノを使っている


ぶっちゃけ、その魔道具の中だ。そして、この魔道具の名称は『ダイオラマ魔法球・改』だ


この魔法球の効果は、外での1時間が魔法球の内部だと1日となることだ

つまり、逆浦島現象だな。これを利用すれば、1日が最大24日になる。他に城の中枢にある部屋で、いつでも魔法球の中の環境を操作することができる

これにより、様々な環境下で修行が可能となる

ちなみに、管理局の基準に当てはめるとぶっちぎりでロストロギアに認定されるだろう代物だ

なにせ、これを造る技術が管理局には無いからだ。報告をしない理由は、中で経過した日数分早く歳をとる以外は危険はないし、報告した時に作成する書類が面倒だからだ


しっかし、これを使うのは何年振りだ?
あまり使う必要ないし、思い出さんでもいいか。さて、これだけ暑かったら作業中に食材がダメになるな……



「レゾア、ベルテ!」


『はっ!』



俺が大声で、名前を呼ぶと、砂浜にいきなりメイドが現れた

青い髪に青い瞳な無表情なメイドが『レゾア』


赤い髪に赤い瞳なニッコリ笑顔なメイドが『ベルテ』


この魔法球の中を管理し清潔に保っているのがこの2人だ

この2人の仕事は、魔法球の中を管理し綺麗に保つことは当然として、城内部に造られた庭園で食物を作ることだ


特にベルテが丹念に世話をしている果樹園にあるミカンはみずみずしく甘い


あと、レゾアが作った野菜も無農薬で栄養価が高い


他に豚や牛などを飼っている区画もあるが割愛する


この2人を呼んだ理由は簡単



「この魔法球の中の環境を冬にしてくれ。ケーキを作りに来たんだが、他にもやりたいことがあるんでな……」


「かしこまりました……すぐに変更して参ります」


「少々お待ちを、ご主人様〜♪」


レゾアは礼儀正しく、ベルテは楽しそうに返事をして、また消えるように居なくなった


それから数分後、暑かったビーチが、今は涼しい砂浜に変わっていた


秋の末の海岸を想像してくれればいい。俺がその涼しさに頷くと、目の前にレゾアが再び現れた



「環境を変更いたしました。御用の際はまたお呼びください」


「じゃ早速……厨房にベルテが育てた果物を持ってくるように伝えてくれ。一番の出来のやつな」


「かしこまりました」



そう言い、また消えるレゾア

俺は気にせずに厨房へと向かう。その途中でラミアに色々と質問責めにあったが、簡単に説明して終わらせた


あとで知りたいことをリストにしろと付け加えたから、あとでちゃんと相手しないとな


厨房に入ると、既に籠一杯にさまざまな果物が置かれていた

その中から使うものだけを取りだし、作業を始める


定番な苺のショートケーキ、クッキー各種を作り終え、その他に苺のチョコケーキを作った


ついつい楽しくて、紅茶のシフォンにチーズケーキまで作ってしまった……さて、できたから次はっと保存だな


俺は右袖を捲り右手首を露出させる。そこには漆黒の宝石が輝く黒い腕輪がある

その腕輪に意図的に魔力を流すと……


ビシッ……バキンっ!


空間に亀裂が走り、割れた。その穴の先は真っ暗で何も見えないが、形が崩れないようにケーキとクッキーをしまう……


この穴の向こう側はいわゆる異次元空間で、その空間では『時間』という概念が存在しない世界が広がっている。で、この腕輪はそこへの扉を開く鍵にして門の役割をしている


能力的には倉庫だ。他の能力は、俺の力の封印と俺から5分間だけしか離れられないのと……まあ、他はいいだろ


詳しく説明してたら長くかかるからな


この腕輪の名前は『永遠門(エターナル・ゲート)』と言って、無限書庫にすら資料が存在しないロストロギア級の代物だ


アルカンシェルを食らっても傷一つつかない程の頑丈さと、あらゆる封印が無効化される能力もある

つまり、管理局の技術では破壊も封印もできない


これほどの腕輪をなんで俺が持ってるかと言うと……貰った、としか言えない


だってなぁ……これを貰うきっかけって事故みたいなものだったし、思い出すのも悲しいし……


とにかく、俺の人生の転機だったと言っておく

あの時の事故が無ければ、今の俺は存在しなかっただろうし


さて、どっちみち報告しないロストロギアは置いといて、余った時間はラミアの調整に使おうか……よし


「……レゾア」


「……ここに」



俺が名前を呼ぶとレゾアはすぐに現れた……俺の背後に



「ここは使い終わったし、ある程度は片付けといたから……あとは頼むな」


「はっ!」


「それと、冷蔵庫に2人の分も作っといたから仕事の合間か終わったあとにでも食ってくれ」


「お心遣いありがとうございます。では、仕事が終わった時にでもベルテと共に食べさせていただきます」


「ん、じゃ頼んだぞ」



俺はそう言って、厨房をあとにして、城内にあるデバイスルームへと向かった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

前にも話したと思うけど、六課………というか管理局の人間の朝は早い


特に、魔導師などで身体が資本な人間はなおさらその傾向が強いように感じる


例えば、朝早く起きて、仕事に響かない程度に(ここ重要)自主トレに励んだりする人が大多数を占める


かく言う僕もその一人。休みだと言うのに、ついつい早く起きて早朝ランニング程度はしてしまうのが悲しいところである


……レイも誘おうとしたけど、うんともすんとも言わなかった。ま、期待はしてなかったけどね


そうして、早朝ランニングから帰ってきたら、ベランダに木刀を持ち出して素振りをこなす


その後にお風呂に入ってご飯。これまた昨日や一昨日と同じだけれども、ご飯のメニューは違う


今日のランニングは少し足を伸ばして、朝早くに開店している美味しいと評判のパン屋さんで調達してきたパンの数々がご飯になる


一応、頑張って目玉焼きなど焼いておかずにしたりする。それと一昨日レイに貰ったビーフシチューもおかずにしている


パンは、バターロールにクロワッサン、ウィンナーロールに甘いのが欲しかったのでブルーベリーデニッシュ、シチューに合うと思ってフランスパンなど買っている


それをよく噛んで、牛乳を飲みつつ食べる。食べる。とにかく食べる


一応食パンや、一緒に売っていた手作りジャムなども買っているので、お昼はそれになる


で、なんで昨日と比べて手抜き感が増えた食事になるかと言うと……これから積みに積んだDVDの鑑賞会をするからだ


さて、なにから見ようかなっと………



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第六話『休日最終日……俺は違うけどな』


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

俺が厨房からデバイスルームに籠ってはや数時間……


ラミアの調整は順調だった



「ここが……これで。そこが……これで……」



時間を忘れ没頭していた。そんな俺を現実に引き戻したのは、セットしていたアラームだった



「……っと、もうそんな時間か。ラミアはこのままじゃ動かせないし置いてくか」



ヒロとサリの2人に会いにいく時間となり、俺はデバイスルームへの扉を俺の許可なく入れないように施錠した


レゾアは大丈夫なんだが、たまにベルテが悪戯するからな。戸締まりはしっかりとしないと


そして、俺はラミアをデバイスルームに残し、魔法球を出て本局に向かった

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

さて、ちょっとした都合で飛ばして……俺は本局にいる。ちなみに今立っているのは休憩室という名の談話室前だ。メールでそこにいるって書かれてたしな


まあ、さすがに仕事場でケーキ食べるわけにはいかないし、仕方ないけどな


少し服装を正して、談話室の扉をくぐった

すると……



「お、レイ。待ってたぞ」


「久しぶりだね〜。前会ったのって一年くらい前だっけ?」



入室した俺を親しげに出迎えてくれた一組の男女


白いセミロングの髪を、2つに分けている柔らかい顔立ちの女性。こちらが、ヒロリス・クロスフォード


そして、その隣に居る黒色の少し長めのざんばらな髪の男性が、サリエル・エグザ


恭文経由で知り合ったオタク友達となる。本局の特殊車両開発局で働くスタッフで、恭文のバイクや車を造って贈ってきた人達で、俺はヒロ、サリと呼んでいる


ちなみに、特殊車両開発局ではヒロが開発主任で、サリが副主任だ。ま、他のことでも世話になっているが、今はいいか……



「久しぶり、一年二ヶ月振りってところかな」


「そうか、もうそんなになるんだねぇ」


「ところでやっさんは元気か?」


「元気にしてるよ。今日は完全に引きこもりになるだろうけどな」


「やっさんらしい」


「それで、だ。部屋の礼がこれだ」



俺は、持ってきた鞄の中に腕を突っ込む……ように見せかけて、鞄の口に亀裂を造りだし、そこからケーキが入った箱を3箱とクッキーが入った袋を取り出した



「お、量多いねぇ〜」


「まあ、良い部屋だったからな。奮発したんだよ、こっちが定番のイチゴのケーキ。こっちが紅茶のシフォンケーキにチーズケーキ……あとは簡単なクッキーだな」


「うちの部署のやつらにも分けないと食べきれないな……」


「多いか、やっぱ?」


「大丈夫さね。まだ色々話したいんだけどね、もう休憩時間が終わるのよ。今度ゆっくり会える時にでもケーキの感想言うからね」


「すまんな、せっかく来てくれたってのに」


「気にするな。いきなり押し掛けたのはこっちなんだからさ。開発局のスタッフ達によろしく」



そうして、俺はヒロとサリと別れてミッドチルダに戻っていった。時刻はもうすぐお昼になろうとしていた


久々にラーメン食いたいし、最近美味しいって有名なラーメン屋にでも行きますか……

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



うーん、難しい………


ジャガイモ剥くのって、こんなに難しいの? 恭文は、スルスル剥けてるのに……



「当たり前だよ。僕はリンディさんやエイミィさんに散々仕込まれたんだから」


「あら、仕込んだなんて人聞きが悪いわね。うちに料理上手な息子がもう一人出来たらいいなぁ〜という希望をもって、教えたのに」


「リンディさん、それを仕込むって言うんですよ?」



なんて言いながらも、恭文は自分の分のジャガイモを全部剥き終わって、リンディさんは小麦粉から作る本格的なカレーペーストの仕込を続けている



「恭文君、野菜全部剥き終ったら、全部切って、炒めといてくれるかしら? あとは肉の下ごしらえもお願いね」


「了解っすー。スバル、焦らなくていいから怪我しないようにゆっくりね? 僕は他の野菜下ごしらえしとくから」



うーん、なんか逆な気がする……


普通、女の子が料理上手で、男の子が苦労しているのを『仕方ないなぁ』とか言いながら楽しく料理するのが図式だと思うのに


全く逆ってどういうことなんだろう?



「……いや、まずスバルの料理スキルが0だってのが、どういうことって話になるから」


「ごもっともです……」



だって、料理なんてする機会なかったんだもん。ずっと寮暮らしだし……



「リンディさん、ご飯炊けました」


「ありがとうティアナさん、それじゃあそれをお櫃に入れておいて、またご飯を研いで炊いてもらえるかしら?」


「了解です」



今、恭文の家のキッチンは戦場と貸している。お昼は、ヴィヴィオの要望でカレーライスになったところまではよかったけど、この人数。そして私はよく食べる


なので、大量のカレーとライスを仕込むのに四苦八苦している


リンディさんが陣頭指揮をとって、恭文は副隊長みたいな感じ、私は恭文の下について野菜の下ごしらえ


ティアは、一人暮らし用の最大五合まで炊ける炊飯器をフル活用して、ご飯を大量に仕込んでいる


ちなみに、アルフさんとなのはさんとフェイトさんに八神部隊長とリイン曹長とヴィヴィオは、恭文秘蔵の映像ディスクを先立って見ている


料理を手伝うといってくれたのだけれど、私とティアが手伝うからと言って、ゆっくりしてもらってるのだ。ほら、一応私達部下だし


リビングを見ると、なんかみんな楽しそうだけど、面白いのかな? うる○いし○くちゃんって



「面白いことは面白いけど、ヴィヴィオにあのノリは早い気がする……。
そういや、ティアナがご飯の研ぎ方知ってるなんてビックリしたよ。料理得意なの?」


「別に得意なわけじゃないわよ。
……訓練校のサバイバル訓練でちょっとやったことがあるくらいよ。どういうわけか、お米を研ぐことしかやらせてもらえなかったけどね」



それは、野菜を切るときに力を入れすぎてまな板まで切ったり、危なっかしい姿勢でフライパン握ったりしていたからだと思う



「ティアナまでそれなんだ。つか、よくそれでなのは達に下がっててとか言えたね……」


「そんな呆れ顔しないでよ。だって、私達はほら、部下なわけだし、ちゃんとしたいなって思って」


「いや、料理がちゃんと出来なきゃ意味無いでしょうが」



恭文の言うことは多分正論。だけど、それでも譲れない一線というのがある。局員は、大変なんだ



「それに、私は大丈夫だよ? ギン姉がやってるの見てたしっ!」


「ねぇスバル。シューティングアーツは見てるだけで上手くなった? それと同じことだよ」


《さすがマスター。ツッコミが素晴らしいです》



恭文の言葉が突き刺さる。でも、今こうしてやってるから、大丈夫だと、信じる。そう、自分を信じることが、未来を切り開くから



「いや、それは関係なくない? つか、アンタだって、包丁触らせてもらうことすらさせてもらえなかったじゃない」


「あー、ひょっとして『調理中に敵襲がくるかもしれないから、周りを巡回してくれ』とか言われたの?
って、まさかそんなわけないか。あははははは」


「……そうだけどなにか?」


「…………あー、ごめんスバル。うん、僕が悪かったと思う」


「別にいいけどさ。ほとんど料理とかしたことないし」


「ギンガさんとはしてなかったの?」


「うん、ギン姉が一人でアレコレ出来ちゃってたから」



なんていいながら、やっとジャガイモを剥き終わる。……長かったよ〜



「あー、安堵してるとこ悪いけどこれよろしく。剥き方はさっき見せた感じでお願い。
剥いてくれたら、あとは僕がさっとみじん切りにするから」



そう言って、恭文が私の前にドンっと出してきたのは、タマネギが………15個? え、ちょっとまって



「これ、私が全部やるの?」


「大丈夫、僕もにんじん終わりしだい手伝うから。出来るとこまででいいよ」



そう言って、優しくニッコリと恭文は微笑む。……さっきのフォローのつもりなのかな。それで誤魔化されるほど、女の子は単純じゃないよ?


でも……許してあげる。さっきは私が嫌なこと言っちゃったしね。あ、これでおあいこだからね?


私がそんなことを思っている間にも、恭文は包丁で人参の皮を器用に剥いて、みじん切りにしていく。うーん、やっぱり逆だよー



《スバルさん、料理スキルを蓄えてから言ってください。というより、マスターと比べるほうが間違ってます。
愛のために努力したおかげで、無駄にスキル高いんですから。翠屋で鍛えられたのは伊達ではありません》


「愛のためって、アンタ……」


「うー、それはそうだけど……。やっぱり悔しいー!」


「なら、スバルさんもティアナさんも、これから料理を始めればいいのよ。きっと必要よ?
いずれは恋人や、旦那様を持つかもしれないんですから」


「へっ、こ、恋人……旦那様っ!?」



カレーペーストを、額に汗を浮かべながら仕込み続けるリンディさんが、素敵な笑顔と共に私達にそう言ってきた


で、でもっ! 恋人とかってそんな簡単には……ねぇ? ティアは綺麗だけど、私はどうかわからないし


そりゃあ母さんに『いつか母さんみたいに両手でリボルバーナックルの重さをしっかり背負えるようになる』って言ったけど、でも……早いような



「あー、スバル。そんな顔真っ赤にしなくていいから。
リンディさんが言ってるのは、そういう特別な人が、自分の手料理を食べて『美味しい』と言っているのを想像しながら作ると、腕が上がるって意味。
僕も前におんなじこと言われたのよ。で、実際にその通りだった」


「な、なるほど……。勉強になりますっ!」



あぁ、ビックリしちゃったよ。いきなり恋人とかそういう話になるんだもの。でも……そういう相手に食べてもらうところを想像するか


うん、上達しそうな感じがするっ! だって……



「スバル、納得したからって、僕をガン見するな。……まぁ、事実かな。フェイトが美味しいって言ってくれるの、嬉しかったし」


「そっか。うん、そうだよね。なんか解るよ」


「アンタ、意外と一途なのよね。ちょこっと話聞いたけど、ビックリしたわよ」


「よし、リンディさん。なに話したんですか? つか、あの漫画読んでたのはそれが原因かっ!」


「……てへ♪」


《リンディさん、舌を出してそんなこと言うのはやめてください。それは、自分がロクでもない人間だと言ってるのと同じですよ?》



アルトアイゼン、その発言もどうなのっ!?


私達のそんな意見はおいておいて、リンディさんは何処吹く風で、カレーペーストを仕込み続けている。……さすが恭文の保護責任者。すごく強い



「……まぁ、それは置いといてだよ。
確かにスバルやティアナみたいに、隊舎に居たらなかなか作るタイミングないよね。調理実習とかないかぎりはさ」


「確かにね。……てーか、それはどんな学校よ? 前線メンバーの訓練に調理実習って」



ティアがご飯の仕込を終えて、タマネギを一緒に剥くために包丁を持って来てくれた。……うふふ、私の方がまだ上手だ



「なんか言ったバカスバル?」


「ううん、でも楽しそうだよ? みんなでアレコレいいながら作るのって。というか、今だって楽しいしさ、今度やってみようか?」


「別にいいけど………どこですんのよ?」



え? もちろんここで



「まてまてっ! なんでここっ!? 普通に隊舎の食堂の調理場使わせてもらえばいいじゃないのさ」


「そーよ、大体アンタやエリオは無茶苦茶食べるんだし、とてもじゃないけどここの設備じゃ足りないわよっ!」



うー、2人してそんなに言わなくたっていいじゃん。いいアイディアだと思ったんだけどなぁ………



「いや、どこが?」


「とりあえず、ここで作るなら、量が必要じゃなくて、人に知られたくないものとかにしてよ。今だって四苦八苦してるのにこれ以上は無理だって」


「あ、じゃあ設備をここに持ち込んで……」



あれ? 恭文とティアがため息を吐いて私から目をそらした。え、なんでどうして?



「……なんというか大変だね」


「まぁね、アンタも気をつけたほうがいいわよ? 下手すると、模擬戦の二の舞だからさ」


「うん、そのつもり。……さて、人参終わったからタマネギ手伝うよ。剥いたやつどんどん持ってきて」



なんか、2人とも酷いよ。なんか……涙出てくるしさ。うん、きっとひどい……



「バカ、それは私たちのせいじゃなくて……タマネギのせいよっ!」


「あー、やっぱこれなれないわ。涙が出てくる出てくる。悲しくも嬉しくもないのに流れる涙。これいかにってか?」



恭文、それよくわかんない……

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ふぃ〜、話題になるだけはあるな……

塩を頼んだけど、俺好みのさっぱりしたスープに、少し硬めの麺の歯応え……言うことなしだな

今度、恭文も誘ってまた来るか


そう俺が満足げに帰っている時刻はだいたい4時くらいだと思う……


ラーメンを食べた後、俺は今まで暮らしていたマンションを引き払い、置いてあった荷物は少なかったので、それを鞄に詰めて帰宅している


帰宅手段は気による身体強化を使っての走りだ。魔力じゃないから局のルールを破ってないよな、うん


まあ、さすがに見られたら問題になりそうなので、新たな我が家となるマンションのガレージの前に人影を見つけたので速度を緩める


そして、そこに居たのは……



「恭文……なんでへこんでるんだ?」



恭文とリインだった。もちろん、アルトアイゼンも居るの分かってるから……そんな妙なオーラを出すな、そして妖しく光るなよ……マジで怖いから



「……気にしないで。それよりお帰り、レイ……あの2人はどうだった?」


「ああ、元気そうで喜んでくれたよ。それと恭文のことを心配もしてたな」


「そっか……」


「で、なんでリインも居るんだ?」


「リインはお泊まりに来たです♪」


「ほう……それは、それは……じゃ、お兄さんからささやかなプレゼントだ。ほい♪」



俺は鞄の中に亀裂を作り出し、ケーキの箱を取り出した。これは恭文用に作っといたケーキで、イチゴの乗ったチョコケーキだ

もちろん、ホールの



「わ、わ……ケーキですか! 嬉しいです♪」


「レイの手作り?」


「ああ。出かける時にでも渡そうかと考えたんだが、時間がヤバかったからな」


「そうなんだ。うん、美味しくいただくね」


「う〜、レイさんのケーキ、リインは初めて食べるですよ。楽しみです♪」



リインは本当に嬉しそうだ。渡してよかったよ


会話を楽しみながらも歩いていたのでそれぞれの扉の前まで着いた



「それじゃ、おやすみ」


「おう……リインもアルトアイゼンもおやすみな」


「はいです」


《おやすみなさい、レイさん》



そうして、俺は一足先に扉をくぐった


ちなみに……



「そういえば、ラミアまた一言も喋らなかったよね?」


《と、言いますか……持ってませんでしたよ》


「え? そうなのですか!?」



という会話が交わされていることを俺は知らなかった。なお、ラミアはというとスリープモードで魔法球の中にあるデバイスルームのメンテナンスベッドに浮かんでいたりする


そして俺は、帰宅したあとすぐに魔法球の中に入り、DTDの負担軽減の作業に入った


魔法球の中で12日……外では12時間後にようやく負担が、なのはのブラスター3の約2倍にまで下がった。能力は少し下げたのが不満点だが……ここは仕方がない


で、次の1日は思いっきり休んで、それから魔法球の中で2時間だけベルテとレゾアの2人を相手に組手をして過ごした


そして、魔法球の中から出ると、ちょうど朝6時だったので、簡単な朝食を摂り、家を出たのだった



(第七話に続く)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


あとがき


レイ「なんか、中途半端な所で終わったな。ここまで書いたんだから続けていけたんじゃないか?」


ラミア《それだと、タイトルと噛み合わないからここで一旦切ると言っていたぞ》


レイ「確かに休日最終日って明記されてるし……それもわかるんだが、次はなんだっけ?」


ラミア《次は……検診だな》


レイ「そういえば、ドクターストップ宣告されてたっけ……俺はもう完全に絶好調。シャマルに強制連行されて説教され、滅界も使用禁止なんて言われたのは苦い思い出だけどな……」


ラミア《調子に乗って使うマスターが悪い。あの場面で滅界を使い理由はなかったというのに……その場のノリで使ったのだからな》


レイ「いや……やっぱあの技を見てどう対処するか見てみたかったんだから……はい、すみません。自業自得ですね」


(ボン○くん人形がやれやれと両手を振る)


ラミア《今回のあとがきはここまでとする……マスター、恭文殿となのは殿の検診の結果は……》


レイ「俺は大丈夫……ただ、問題は恭文となのはだと思うレイと……」


ラミア《ラミアだったりしちゃいます》


レイ「さて、登場したキャラの紹介をして終わりだ」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


名前:レゾア


容姿:腰まである青い髪に青い瞳の常にメイド服で無表情な美少女


スタイル:スレンダーだけど、出るところは出ているモデル体型


性格:常に礼儀正しく、冷静で思慮深い。効率を重視する傾向が強いので、理屈っぽいところがある。笑うことが滅多にない


趣味:家庭菜園、掃除




名前:ベルテ


容姿:腰まである赤い髪をツインテールにした、赤い瞳のメイド服で笑顔が絶えない美少女


スタイル:シグナムと同じ


性格:常に楽しそうで、明るく気ままに行動する。効率よりもいかに楽しくどれほど楽が出来るかで行動を決める


レゾアとは正反対な性格


趣味:家庭菜園、他多数



備考:『レゾア』と『ベルテ』はレイが造った魔導人形


動力は魔法球の中に満ちている魔力と、レイからの魔力供給の2つ。魔導人形であることを活かした持久戦を得意としている


魔導師ランクで表すなら『陸戦SS』はある。ちなみに腕と脚を構成する物質は、魔力を消滅させる鉱石を粉にして練り込まれた人工皮膚で、腕や脚でガードされれば、魔法は跡形もなく消滅する


役割的には、レゾアが作戦を考え、ベルテが従うという形になる


この2人の連携は恭文とリインの2人並みに優れている


武装は、眼からのビーム兵器、指の先からの小型ミサイルなどとぶっちぎりで質量兵器な武装が満載である



恭文達と絡むことはあるのか……現段階では不明なキャラである


最後まで会わない可能性の方が高いと思われる




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