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頂き物の小説
第8話 『世の中は思い通りにはならない。だけど、報われる時もある・・・んだが、語られない事もある』










・・・・・神は居た。





色々と辛い思いをした僕を、神は見捨てはしなかった。そう、神はいたのだっ!!





なんやかんやで、本日はお休み当日。今日から三日間は僕はフリーダム。そして幸せの時間だ。





・・・幸せの時間っていうと、なんかドロドロしてエロな感じがするけど、そんなことはない。










だって、今の僕の心は、この空と同じように、清々しいまでに晴れ渡っているからっ!!




















「・・・なぎさん、私達より嬉しそう」





白いワンピースに、ピンクの上着。まるでどっかのお嬢様ルックなキャロが何を言おうと、まったく気にならない。





「というか、さっきからはしゃぎまくりだよね・・・」





エリオは、ジーパンジージャンに白シャツ。僕とほぼ同じ格好。ま、僕は黒の無地だけど。





「でも、そんなに喜んでもらえると、誘った甲斐があったな。ヤスフミ、三日間よろしくね」

「うん、よろしくフェイト〜♪」





黒の薄手のカーディガンに、黄色いワンピースを着ているフェイトの声に、楽しげに返事。

あぁ、なんていうか・・・。





”エリオ、キャロ、ありがとう。本当に感謝してるよっ!!”

”なぎさん、それもう94回目・・・”

”一日20回近く言ってるよ・・・”





だって、そんな気持ちなんだよっ!





三日間フェイトと一緒・・・うぅ、一緒に暮らしてたというのに、これで感激するのは色々間違っているのだろうけど、そこはいいっ!!





とにかく・・・楽しむぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!




















≪・・・いや、あなたいい加減落ち着いてくださいよ。なんで頭から『♪』マークが出まくってるんですか?≫

「気にしないで」


















・・・とまぁヤスフミがフェイトさん達と旅行に行くみたいではしゃいでいるが、君らは今回脇役だから。







「≪えっ、マジ(本当ですか)!?≫」









はいそこ、地の文に突っ込むな・・・・・・

























魔法少女リリカルなのはStrikerS  外伝


とある魔導師と軌道六課の日常・外典


第8話 『世の中は思い通りにはならない。だけど、報われる時もある・・・んだが、語られない事もある』













◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
















「・・・それでシャーリーさん、バルゴラの解析はどうですか?」

「う〜ん・・・解析は進んでいるんだけどね・・・バルゴラの機能を開放するのは、難しいかも・・・」




シャーリーさんの言葉を聞き、俺は少しだけ肩を落とす・・・俺は今、デバイスルームでバルゴラの解析をシャーリーさんにお願いしていたところだ。




「・・・理由はなんですか?」

「うん・・・バルゴラには、基本形態の「ランチャーフォルム」、近接戦闘用の「エッジフォルム」以外にも、中距離戦闘用の「サイズフォルム」があることはわかったんだけど・・・システムを動かすためのプログラムが、今のバルゴラには存在していないの。」

≪なるほど・・・ゲーム機を持っていても、ソフトが無ければただの置物にしかならないことと同じか・・・≫

「・・・そんな感じかな?あ、カートリッジシステムのプログラムは残っていたから、使えるように調整しておいたよ?」


つまり、もうしばらくは今の戦い方か・・・でも、カートリッジシステムが使えるだけでもありがたいか・・・


≪そうだな・・・試運転もしてみたいから、訓練に参加するべきだな・・・≫

「あぁ・・・シャーリーさん、ありがとうございました。後は訓練で試してみます。」

「はいは〜い、じゃ〜ね〜♪」


・・・さて、スバル達は午後から訓練って言っていたから、それに混ぜてもらうか・・・







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











「・・・さてと・・・」


私はバルゴラを解析していた時に発見したデータを眺めながら、ため息をつく。









目の前のモニターにはバルゴラのスペックと戦闘時のバリアジャケットに、以前ジン君が使用した変装用のバリアジャケット、そして・・・隠されていたシステムの詳細が浮かんでいた。









「・・・確かに、ジン君の先生が機能の封印をするのも頷けるなぁ・・・こんなものを使っていたら、体に負担がかかりすぎるよ・・・」


・・・バルゴラに隠されたシステムが開放されれば、ジン君は更なる強さを得るけど・・・正直、身体が持つかどうかは分からない。



「・・・とりあえず、解析はさらに進めてみるか・・・」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「・・・あ、ヴィータさん。ちょっといいですか?」

「おう、なんだ?」


ヴィータさんを発見した俺は、訓練に参加していいかどうかを尋ねる。すると、ヴィータさんは快く承諾してくれた。


「しかし、お前もカートリッジシステムが使えるようになったのか・・・これで、試験も少しは楽になりそうだな。」

「えぇ・・・でも、俺は今までカートリッジなんか使った事ないので、どう使っていいかわからないんですよ・・・」




























「・・・ほう?それはいい事を聞いたな・・・」




















ガシィッ!












すると、俺の肩を誰かが強く掴む。俺は恐る恐る振り向くと・・・そこには、不敵な笑顔を浮かべたシグナムさんがいた。


「・・・シ、シグナムサン?」

「お前とは一度も刃を交えた事が無かったからな、ちょうどいい・・・ヴィータ、今日の模擬戦・・・フレイホークの相手は私がする。」

「おう・・・ほどほどにしとけよ〜」

「さぁ、フレイホーク。さっさと準備をしろ・・・お前はどれくらい楽しませてくれるかな?」

「ちょ、ちょっとシグナムさん!?模擬戦は午後からですよね!?」

「何を言う・・・今からに決まっているだろう?大丈夫だ、許可は取る・・・今すぐにな。」

「いや、おとなしく午後まで待ちましょうよ!?だ、誰か助けてぇぇぇぇぇっっっっ!!」

≪・・・マスター、あきらめよう・・・≫



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・あ〜、ジンの奴引っ張られちまったな・・・シグナムの奴、前よりバトルマニアになってないか?


「ヴィータ副隊長・・・今の声はなんですか?」


その声にアタシが振り向くと、ティアナとスバルがちょうど訓練着に着替えてきたところだった。


「あぁ・・・ジンの奴がな、カートリッジシステムが使えるようになったから訓練に参加させて欲しいって言ってきたんだけどよ・・・ちょうどシグナムにつかまっちまったんだよ。」

「うわぁ・・・それは大変ですね・・・」

「でも、ジンも強くなったって事だよね?模擬戦するの楽しみだな〜♪」


・・・そのスバルの言葉に、アタシとティアナが顔を引きつらせたのは偶然じゃないと思う・・・ここにもバトルマニアがいたのかよ。

アタシはティアナを引っ張ると、小さな声で話しかける。


「・・・ティアナ、明日は休みにしてやるから、ジンと二人でどっかに行って来い。申請はアタシが出しといてやる。」

「はぁ・・・ってえぇっ!?何言っているんですかヴィータ副隊長!?」

「声が大きいんだよ・・・シグナムが相手だぞ?限界まで戦うに決まってんじゃねぇか・・・そんな状態で訓練とかに参加させるとシャマルがうるさそうだからな・・・少し休ませたほうがいいんだよ。」

「・・・なら、別に私じゃなくても・・・」

「アイツと一番仲いいのお前だろ?・・・・・・とにかく、これは副隊長命令だからな。」

「うぅ・・・分かりました・・・」


ティアナが頷くと、アタシ達はシグナムとジンの模擬戦を見学する事にした・・・どうも不安だな・・・





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「さぁっ、どうしたフレイホーク!!貴様の力を見せてみろっ!!」

「そう言うんでしたらねぇ・・・同じ条件で戦ってくださいよっ!!なんで空飛んでんですかあなたはっ!?」

≪それに・・・いきなり蛇腹剣とはな・・・ますますもって厄介だ。≫


俺はレオーで小刻みに跳躍しながら、シグナムさんが振るうレヴァンテインの刃を避けているところだった・・・いや、いきなり空に上がって蛇腹剣はないでしょうよっ!?


「こなくそっ!!」

「ふっ・・・甘いっ!!」


俺は魔力弾を何発か放つが、その弾丸はレヴァンテインの刃にかき消される・・・やっぱ、射撃魔法じゃ厳しいか。


≪・・・マスター、せっかくカートリッジもあるのだ。砲撃魔法を試してみたらどうだ?≫

「・・・そうだな・・・けど、まずは足止めだっ!!」

≪了解した・・・sphere bullet≫


その言葉と共に、シグナムさんの周囲に球体の魔力弾が現れ、シグナムさんに向かう・・・全方位からの攻撃じゃ、防御に回るしかないよな?


「こしゃくな・・・レヴァンテイン!!」

≪ja≫


シグナムさんはとっさにレヴァンテインの刃を引き戻し、魔力弾の迎撃を行う・・・その隙に、俺はバルゴラを構え、バルゴラからカートリッジが放出される・・・さぁて・・・いくぜっ!!


「ストレイト・・・ターレットッ!!」


バルゴラの銃口から放たれた紺色の閃光は、シグナムさんへと襲い掛かる。魔力弾の対処に追われていたシグナムさんは、対応が遅れる・・・はずだった。


「紫電・・・一閃っ!!」


いつの間にか通常の剣に戻っていたレヴァンテインの刃が炎に包まれたかと思うと、シグナムさんはレヴァンテインを振り下ろし、砲撃を切り払った・・・マジかよ。


≪マスター・・・≫

「あぁ・・・一旦身を隠すぞっ!!」


ちょうどあたりに煙が立ち込めたので、俺はビルの陰に身を隠す・・・さて、どうする?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「あのおっぱい魔神・・・ほどほどにしておけって言ったのに・・・」



・・・ヴィータ副隊長がなんか頭を抱えて呟いているけど、その心情お察しします・・・


今、私達の目の前には・・・訓練場に現れたビル街が容赦なく破壊されていくのが見えた。しかも、その破壊をしているのが・・・シグナム副隊長なのだ。


・・・だって・・・縦横無尽に跳ね回るジンを、レヴァンテインを蛇腹剣にして追いかけるもの・・・その軌道上にあるビルが切り倒されていくのは当たり前だ。


「うん!!やっぱりジンもすごいよ!!だって、シグナム副隊長とあそこまで張り合えるんだもん!!」


・・・スバル、どこをどう見たら、あれで張り合っているっていえるのかしら?


「え〜?だって、ジンはシグナム副隊長の攻撃に当たってないんだよ?それに、ジンの攻撃をシグナム副隊長は防ぐ事しかしてないし・・・」


・・・確かに、ジンの機動力はこういった障害物が多いところでは最大限に発揮される・・・逆に、シグナム副隊長のあの蛇腹剣は、障害物が多い場所では目標に当てる事は難しいだろう・・・でも、ジンはギリギリで避けていたというのが現実だ。




「ぜってぇ・・・ぶっ飛ばす・・・」




・・・・・・ヴィータ副隊長、グラーフアイゼンを握り締めながらそんな事呟かないでください・・・ものすごく怖いんですけど!?




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








・・・まさか、ここまで心が躍るとはな・・・



私は空中に浮かびながら、姿を隠したフレイホークを待つ・・・今頃、奴は最大限の戦略を練っている頃だろう・・・





戦ってみて分かったが、フレイホークの戦いは蒼凪とはまた違う楽しみを感じさせてくれる・・・



しかも、フレイホークはまだデバイスの力を完全に解放できていない・・・ならば、成長速度は蒼凪をも上回るはずだ、ますます楽しみが増える・・・



フフフフフフ・・・お前がどれほど成長するのかが楽しみだぞ・・・・・・フレイホーク!!












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










ゾクッッ!!








な、なんだ?今・・・なんかへんなフラグ立てちまったような・・・気のせいだといいけど。


≪・・・マスター、どうした?≫

「い、いや・・・なんでもない・・・それで、残りのカートリッジは4つ・・・」

≪・・・ふむ、なんとかなるか?≫

「あぁ・・・行くぞ。」


さて・・・第2ラウンドと行こうか!!











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






さて・・・そろそろ・・・来る頃か?





「おおおおおおおおっっっっ!!」





私の想像通り、背後からフレイホークの声がする・・・振り向くと、足元に障壁を設置し、障壁を飛び跳ねながら私に近づいてくるフレイホークの姿があった。

その手に持つバルゴラは、銃身の下部から実体刃が飛び出している・・・おもしろい!!


「レヴァンテイン・・・カートリッジロード!!」

≪ja≫


レヴァンテインからカートリッジの空薬莢が放出されると、刀身を炎が包み込む・・・同様に、バルゴラの実体刃も、魔力に包み込まれるのが見えた・・・





「紫電・・・一閃!!」

「ジャック・・・カーバー!!」




二つの斬撃がぶつかり合い、衝撃が伝わってくる・・・素晴らしいなフレイホーク・・・お前は、戦いの中で成長しているのか・・・



「実に楽しいぞフレイホーク・・・お前との戦いは、テスタロッサや蒼凪との戦いよりも・・・・・・私の心を燃え上がらせるっ!!」

「そいつは・・・光栄ですね!!」

「・・・だが・・・まだお前は全力ではないな・・・お前の全力、この私にぶつけてみろっ!!」

「・・・後悔・・・しないでくださいね!!」


そう言うと、フレイホークは私に蹴りを浴びせて地面へと降り立つと、バルゴラの銃口を私に向ける。




・・・なんだ?魔力反応が上昇していく・・・・・・なるほど、それがお前の全力か・・・受けて経つぞ!!


「レヴァンテイン、ボーゲンフォルムだ!!」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



くそっ、これまで防がれるのかよ!?まったく・・・なんて人だっ!!


「実に楽しいぞフレイホーク・・・お前との戦いは、テスタロッサや蒼凪との戦いよりも・・・・・・私の心を燃え上がらせるっ!!」



刃をぶつけながら、シグナムさんがそう言ってくる・・・というか、なんか表情が輝いているんですけど!?


「そいつは・・・光栄ですね!!」

「・・・だが・・・まだお前は全力ではないな・・・お前の全力、この私にぶつけてみろっ!!」


・・・なら、ぶつけてやろうじゃないか・・・・今の俺の、全力を!!


「・・・なら・・・覚悟してくださいよ!!」


俺はそう言うと、シグナムさんに蹴りをいれ、そのままレオーのアンカージャッキを作動させ地面へと加速する。地面に降りると、俺はバルゴラをシグナムさんに向けて構えた。


「・・・バルゴラ、カートリッジ全弾ロードだ!!」

≪文字通り、最後の一撃だな・・・いくぞ!!≫


バルゴラからカートリッジの空薬莢が放出され、膨大な魔力がバルゴラに集まる・・・バルゴラ、大丈夫か?


≪問題ないな。この程度、ハイ・マスターが全力で放った場合の30%程度にしかならん。余裕すぎて歌でも歌いたくなるな♪≫


・・・歌わんでいいって・・・しかし、コイツの頑丈さは異常だよな・・・


≪そんな事よりいいのかマスター?シグナム殿もなにやら本気のようだが。≫


・・・へ?


俺がシグナムさんを見上げると、シグナムさんの右手に握られているレヴァンテインは、剣から弓の形になっている・・・あの人遠距離攻撃も出来るのかよ!?






・・・こうなったら、やるしかない!!見せてやるさ・・・先生から教わって・・・今までは使う事ができなかった・・・俺の、切り札!!







「貫け、流星!!」

「翔けよ、隼!!」




「レイ・ストレイトォォォォォ・・・・・・ターレットッッ!!」

「シュツルムゥゥゥゥゥ・・・・・・ファルケン!!」





俺が放った紺色の流星と、シグナムさんの放った音速の矢はぶつかり合い・・・爆炎と衝撃波に、演習場が飲み込まれた。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「・・・まさか、ここまでとはな・・・」

≪マスター、大丈夫ですか?≫

「あぁ・・・すまないなレヴァンテイン。」



・・・いくらリミッターが掛けられているとはいえ、シュツルムファルケンで相殺する事しかできなかったとは・・・あれが、フレイホークの全力か。

おかげで、攻撃の余波だけでバリアジャケットがぼろぼろだ。地面に視線を降ろせば、フレイホークのバリアジャケットは解除されていて、地面に倒れこんでいる・・・ふむ、私の勝ちか。

だが、私が負けてもおかしくなかったな・・・


















「こんの・・・・・・大バカやろぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」















・・・すると、いつの間にか接近していたヴィータがグラーフアイゼンを振り下ろし、私は地面に叩きつけられた。



「くぅ・・・何をする、ヴィータ!!」

「それはこっちのセリフだ!!なんでシュツルムファルケンまで使ってんだよ!?周り見てみろ周り!!」





周り?・・・私があたりを見回すと、ヴィータのいいたいことが理解できた。


演習場は・・・ぼろぼろになっていた。思わず、私の顔が引きつる。


『・・・そうねぇ・・・私も詳しい話を聞きたいわ・・・』


さらに、浮かんだモニターにシャマルの顔が映る・・・その顔は笑みが浮かんでいるが、眼は笑っていない。



『・・・とりあえず、ジン君を医務室に連れてきて・・・話はそれからよ。』





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








・・・ん・・・ここは・・・医務室か?・・・そっか・・・俺、シグナムさんに負けたのか・・・


「・・・あ、気が付いた?」

「じゃ、私シャマルさん呼んでくるね!!」


すると、視界に入ってきたのはティアナとスバルの顔で、スバルはすぐに医務室から出て行った・・・さて、状況を説明してもらおう。


「・・・ティアナ?・・・何でここにいるんだ・・・?」


俺がそう尋ねると、ティアナはため息をついて肩をすくめた。


「アンタとシグナム副隊長の模擬戦のおかげで、演習場がしばらく使い物にならないのよ・・・それで、今日の模擬戦は中止。ヴィータ副隊長は、シャマルさんと一緒にシグナム副隊長に説教しているわ。」


「そっか・・・んで、お前らは俺が目を覚ますまで待っててくれたって訳か・・・」

「そういう事・・・今回は災難だったわね。」

「そうだな・・・よっと・・・」


俺は身体を起こすと、大きく背伸びをする・・・ふむ、特に問題はないみたいだな。


「あ、それと・・・ヴィータ副隊長からなんだけど・・・」


・・・ん?ティアナの奴、なんで顔を赤くしているんだ?そんなに変な事なのか?








「違うわよっ!!・・・・・・明日さ・・・・・・私と・・・・・・どこかに行かない?」











・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?











「な、何よ!?そんなに私と出かけるのが嫌な訳っ!?」






「いやいやいやいやいやいやいやいや、もすこし詳しい説明を頼む・・・いきなりで訳が分からん。」




















・・・とりあえず説明を聞くと、ヴィータさんが粋な計らいをしてくれたらしい・・・とりあえず、お言葉に甘えておくか。


「それじゃ、明日隊舎に迎えにこればいいのか?」

「・・・そうね・・・そうしてもらえるとありがたいわ。」

「おう・・・」




・・・とまあ、こんな感じで俺とティアナは、明日一緒に出かける事になった・・・さて、どうしようかな?







≪・・・フフフフフフフフフフフ・・・マスターの初デートか・・・これはぜひ記録しなければ・・・≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





あー、暇やー。つか、うちの末っ子はホンマに・・・。





「主、仕方ないかと。リインは蒼凪を心から好いていますから。
元祖ヒロインとしては、危機感を持つのでしょう。出番が欲しいと泣き出しましたし」

「アンタいつからそんな軽い言い回しするようになったんやっ!?
いや、まぁ・・・そりゃ分かるで? なんやかんやであの子、登場回数少ないしなぁ」





部屋で、ザフィーラとヴィータと一緒に夕飯を頂きながら、そんな話をしとる。議題は、海鳴に男追っかけて休みとったうちの可愛い末っ子。

まだ8歳とかそこらなのに・・・育て方、間違えたんかなぁ。





「はやて、ザフィーラのセリフじゃねぇけど、バカ弟子とリインは、本当に繋がりが深いんだ。下手すると、アタシら以上にな」

「・・・せやなぁ。リインは、祝福の風であると同時に、古き鉄の一部やしな」

「それに、高町とヴィヴィオのことも気になったのでしょう。
第三者であり、普段から可愛がられている自分がいれば、多少なりとも棘が立つのを防げると考えたのでは?」

「あー、それがあったか。いや、しかしなぁ・・・」





なーんか、うちはちとヤキモチ妬いとる。相手は恭文。原因は、リインとの絆の深さや。

もちろん、リインと恭文は出会い方が出会い方やし、繋がり深いのは分かるで?

あの子にとっては、自分の命を守ってくれた恩人でもあるしな。



恭文も、リインを妹かなにかみたいに思うてるし、リインも、兄っちゅうか、大事な存在として思うとる。ある意味相思相愛や。



それにや、どんな理不尽な状況も覆せる、あの二人にしか切れない、最高の切り札があるしな。それもあるから、余計にそうなるのも分かる。

せやけど、主としては危機感覚えるんよー! いや、真面目な話やでっ!?





「・・・よし、今度リインと一緒に休みとって、好感度アップのために頑張るわ。つか、うちは努力が足りんのかもしれん」

「主、頑張ってください」

「まかせてーなっ! ふふふふ・・・恭文には負けんでー!!」

「バカ弟子も大変だな・・・」










うちは、窓から見える月を見上げて、心から思うた。そうや、うちは主人公の一人。せやから・・・恭文には、負けんっ!!








「主はやて、ここにいたんですか。」




すると、シグナムが部屋に入ってきた・・・聞いてるで。また大暴れしたようやな?



「・・・申し訳ありません・・・フレイホークとの戦いが、予想以上に楽しかったもので・・・」

「まったく・・・おかげでこっちは今日の模擬戦がつぶれちまったんだぞ?」

「ヴィータの言うとおりだな。もう少ししっかりしてくれ・・・お前の悪い癖だ。」

「・・・面目ない・・・」

「まぁまぁ・・・それで、ジン君と戦ってみてどうだったん?」

「はい・・・フレイホークとの戦いは、テスタロッサや蒼凪との戦いよりも楽しいです・・・フレイホークは、戦いの中で成長するタイプのようですから・・・」


何気なくうちが問いかけると、シグナムは眼を輝かせて喋りだす・・・・・・気のせいなんかな?どことなく、シグナムの顔がいつもと違うような・・・



”なぁなぁ、シグナム・・・なんか変やない?”

”そうだな・・・シグナムのあんな顔、初めて見るよ・・・”

”・・・どことなく、蒼凪がテスタロッサの事を話しているときの顔に似ていますが・・・”



・・・ザフィーラの言葉に、うちとヴィータは改めてシグナムの顔を眺める・・・すると、シグナムは話を中断して首をかしげた。


「・・・どうかしましたか?」

「い、いや・・・なんでもあらへんよ?」





・・・まさかなぁ・・・でも、これはこれで面白くなりそうや・・・





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




・・・次の日、俺はやけに早く眼が覚めた・・・やっぱ、緊張しているのかな・・・


≪おはようマスター。今日は清々しい朝だな・・・絶好のデート日和だ!!≫


・・・空中に浮かんでいるバルゴラは、やけにハイテンションで喋りかけてくる・・・お前、何がそんなに嬉しいんだよ。


≪なぜ?今まで恋愛のれの字も経験していなかったマスターが初デートなのだぞ!?幼少よりマスターの事を見てきた私にとっては、実に微笑ましい事だ!!ハイ・マスターもきっと喜んでくれる・・・≫





・・・そういや、デートなんてした事無いな・・・・・・デート?











・・・・・・・・・ティアナと・・・・・・・・・デート・・・・・・?






































≪・・・・・・マスター、現実世界に戻って来い。≫



・・・はっ!?いかんいかん、思考がフリーズしていた・・・今、何時だ?


≪そろそろ約束の時間だな・・・早くしないと、遅れるぞ?≫


やべっ!!急がないと・・・早く起きたのに、これじゃ意味がないじゃねぇか!?



≪・・・マスター、こんな調子で大丈夫なのか?≫








・・・一番不安に思っているのは俺だ・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「スバル・・・早く起きないと、遅刻するわよ?」


・・・う〜ん・・・もう朝・・・?ティア、おっはよ・・・


寝ぼけていた私の頭は、ティアの格好を見て一気に覚醒する・・・




ティアの格好は、いつものツインテールを下ろし、淡い緑のTシャツの上に白い薄手で長袖の上着を羽織っている。下はジーンズをつけて、茶色のブーツをつけている。




・・・えっと・・・ティア?どこか出かけるの?


「そ。今日は私休みだから、ジンと少し出かけるの・・・アンタはちゃんと仕事しなさいよ?」



そういうと、ティアは部屋を後にする・・・・・・え?ジンと出かけるって・・・・・・デート・・・?










「えええええええええぇぇえぇぇぇぇっっっっっっ!?!?!?」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






・・・スバル・・・うっさいわよ・・・部屋の外にまで聞こえるじゃない・・・


私が隊舎の前で待っていると、遠くからバイクの音が聞こえる・・・そして、私の目の前に黒いバイクが止まり、バイクに乗っていた人物がヘルメットを外す・・・その人物は、ジンだった。ジンの格好は白いシャツの上から黒い長袖の上着を羽織り、下は深緑のパンツに、黒に赤いラインのスニーカーをはいている。

そして、首からは待機状態になったバルゴラが掛けられていた。もともとのデザインもあって、アクセサリーに見える。


ジンは頭を掻くと、申し訳なさそうに答えた。


「わりぃ・・・遅くなっちまった。」

「何言ってるのよ。時間ぴったりじゃない・・・」

≪いや、マスターの奴ティアナとデートすると自覚して思考がフリーズしてな・・・慌ててバイクを飛ばしてきたのだよ。≫

「・・・バルゴラ・・・少し黙れ・・・」



そのバルゴラの言葉に、私は顔に笑みを浮かべた・・・


≪・・・それはひどいな・・・せっかく、初めてデートをするマスターの緊張を解してやろうというのに・・・≫

「だから黙れっていってんだろ!?ほら、さっさといくぞ!!」


そういうと、ジンは私にもう一つのヘルメットを投げる・・・まぁ、ジンがバイクで来たからうすうす思ってたんだけどね・・・しょうがないか。



私はヘルメットを被るとバイクにまたがり、ジンにしがみついた。



「それじゃ・・・どこに行こうか?」

「そうね・・・映画なんかどう?・・・ってなによ、その驚いた表情は?」


ヘルメットを被ろうとしたジンは、私の言葉に眼を丸くする・・・コイツ、私の事なんだと思っている訳?


「いや・・・まさか考えが同じになるって思わなかったからさ・・・」


・・・・・・え?じゃあ、つまり・・・


「それじゃ、行くとするか・・・しっかりつかまってろよ!!」


ジンの声と共にバイクのエンジンが唸りを上げ、私達は映画館へと向かった・・・




・・・・・・まぁいいか・・・楽しみにしてるわよ?




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「へぇ・・・そんな事があったんだ・・・」

「あぁ・・・だから、今日はジンとティアナは休みにした・・・気分転換にはちょうどいいだろ。」


私とヴィヴィオが帰省している時にあった出来事を、ヴィータちゃんが話してくれた・・・シグナムさんの行動には、苦笑いをするしかないけど。


「・・・でも、ジン君の訓練メニュー、考え直さないといけないかもね・・・ヴィータちゃん、後でその模擬戦の映像見せてくれる?」

「あぁ・・・でさ、今日はどうする?」

「そうだねぇ・・・スバルを集中的に鍛えるのもいいし・・・ジン君や恭文君の訓練方法も考えてみたいし・・・」



『あー、現在六課にいる全員に告ぐ。』


そんな風にヴィータちゃんと話していると、全体放送が聞こえてきた・・・何かあったのかな?






































『ただいま報告により、ティアナ・ランスター二等陸士と、出向中のジン・フレイホークがデートに行った事が判明した・・・よって、大至急二人を追跡!!六課の総力を挙げて二人のデートを観察するでっ!!』






『だあああああああぁぁぁぁっっっっ!!』






思わず、私とヴィータちゃんはずっこける・・・は、はやてちゃん何言ってるのかなっ!?二人を追跡って・・・それより仕事しようよっ!?


「はやて・・・何考えてるんだよ・・・」



ヴィータちゃんも同じ気持ちみたい・・・というか、こんな事で皆が動くわけ・・・










「なにぃっ!?あの野郎ついにデートにこぎつけやがっただとっ!?」

「こうしちゃいられねぇ・・・おいっ!!今すぐ二人の位置を捜索しろっ!!」

「ヴァイスさん、ヘリの準備できました!!」

「よっしゃあっ!!」

「皆、部隊長の放送聞いた?」

「あのツンデレと名高いランスターさんをおとした人がいるなんて・・・」

「これは、ぜひとも調査しなきゃっ!!」








・・・・・・・・・・・・・・・あ、あれ?なんで皆ノリノリなのっ!?!?!?





「準備は整ったようやな・・・・・・」

「は、はやてちゃん!?」

「はやて・・・いつ来たんだよ・・・」



すると、いつの間にかはやてちゃんが準備を整えていた。その隣にいるのは・・・ス、スバルッ!?


「お、なのはちゃんにヴィータもええタイミングでいるなぁ・・・一緒に行くで。」

「ふぇっ!?」

「は、はやてっ!?」


なんかいたずらを考えたような笑みを浮かべたはやてちゃんは、私とヴィータちゃんを引っ張ってヘリに連れて行く・・・なんで私たちまでっ!?





「ヴァイス・・・二人の位置は掴めたんか?」

「はいっ!!どうやら、映画館に向かっているようです!!」

「そうか・・・このコースやと、その後繁華街に行きそうやな・・・ようし、緊急出動や!!繁華街で待ち伏せするで!!」








はやてちゃんの言葉と共に、ヘリはまっすぐ繁華街に向かう・・・なんでこんな事になってるのっ!?




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






・・・フヒヒヒヒヒヒヒ・・・あの二人、いつくっつくかなぁと思ってたんやが・・・予想以上に早かったなぁ・・・スバルが朝大騒ぎしておらんかったら、気づかへんかったわぁ・・・


「あ〜はやて・・・あいつらの休みは、アタシが言い出した事なんだけど・・・」

「違うでヴィータ。あの2人はいつくっついても可笑しくなかったんや・・・ヴィータの行動は、あの二人がより積極的に動くためのきっかけだったんや。」

「・・・で、スバルはどうして一緒に?」

「いえ・・・ティアとはずっと一緒だったし、やっぱ気になるというか・・・今回は恭文の時みたいに捜査とかじゃないんですよね?」




・・・そうや、今回は恭文とティアのように捜査の為という訳やない・・・完璧なプライベートや。




さぁ〜ここからは気合入れていくでっ!!



「・・・はやてちゃん・・・もしかして、ひがんでる?」
















・・・・・・・・・・・・ソンナコトナイデ?











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「さぁて・・・何を見るか・・・」

「ちょっと、何も考えないで映画にしようと思ったのっ!?」



・・・うぅ・・・耳が痛いぜ・・・しょうがないだろ?ティアナが見たい映画に合わせようと思ったんだから・・・お、「さらば電王」のチラシがある・・・公開は・・・12月からか。



「ねぇ・・・これなんか面白そうじゃない?」


そう言ってティアナが指差したのは・・・・・・20世紀○年・・・・・・確かこれ、地球の作品だよな・・・面白そうだけど・・・


「・・・それでいいのか?恋愛映画とかもあるみたいだけど・・・」


俺がそう尋ねると、ティアナは首をかしげ、その後柔らかい笑みを浮かべた。


「そこまで気にしなくてもいいわよ?今回はアンタの気分転換も兼ねてるんだし・・・ほら、さっさと行くわよ!!」

「お、おいっ!?」


俺はティアナに背中を押されながら、映画館へと入っていった。










・・・・・・映画の内容?


十分楽しめた。というか、続きが気になる。絶対次も見にこようと思った。


・・・ヤスフミの奴、これの原作持ってないかな・・・原作を知っているともっと楽しめそうだし・・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





・・・映画も終わって、私とジンは昼食を近くのお店で取ると、繁華街に向かった・・・平日の昼間と言う事もあり、人はまだ少ないほうだ。

それからの私達は、ゲーセンでゲームをしたりして楽しい時間を過ごしていた。




ゲーセンから出ていろいろお店を回っていると、ギンガさんに頼まれた捜査の時に立ち寄った洋服店が見えてくる・・・あ、まだあの洋服あるんだ・・・


「・・・なんだよ、その服欲しいのか?そういや、ヤスフミとの時もそれ見てたな・・・」


すると、ジンはそんな事を呟く・・・なんでアンタがそんな事知ってんの・・・って、そういやあの時はコイツ、スバルと一緒に私達を尾行していたんだっけ・・・


「そんな言い方するなよ。俺は巻き込まれたんだから・・・そうだ、ちょっと来い。」


そういうと、ジンは私の手を掴んで、お店の中へと入っていく・・・ちょ、ちょっとっ!?




「いらっしゃいませ、なにかお探しですか?」

「あ、ショーウィンドウに飾ってあるフリルのついた青いワンピースなんですけど・・・コイツに試着させてくれませんか?」

「かしこまりました。それでは、こちらにどうぞ。」


お店の中でジンが店員と会話をすると、今度は試着室に案内されてさっき私が見ていたワンピースが手渡される・・・ま、試着するくらいならいいか・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





≪・・・マスター、どういう風の吹き回しだ?≫

「ん、なにが?」


ティアナの試着を待っている間、バルゴラが俺に声を掛けてくる・・・というか、お前なんで今まで喋らなかったんだ?


≪それは、マスター達の行動に水を差すほど野暮な性格をしていないからで・・・ってそうじゃないっ!!マスターの事だ・・・ティアナにあの洋服をプレゼントするつもりだろう?≫


・・・やっぱばれてたか・・・


「ま、いいじゃねぇか。しばらく大きな買い物はしていなかったから、お金はまだあるし・・・それに、あいつの喜ぶ顔が見たいんだよ。」

≪・・・マスター、悪いことは言わない・・・とっととティアナと付き合え。それで、思う存分イチャイチャしろ。≫

「いや、何言ってんだよお前・・・ついでに、店に入ったのはもう一つ理由があって・・・確かめたい事があるんだよ。」

≪確かめたい事?・・・あぁ、あれか・・・≫


バルゴラとそのことについて相談しようとすると、試着室のカーテンが開かれた・・・














「・・・どう・・・似合って・・・いるかしら?」













・・・そのワンピースをつけて顔を赤らめているティアナは、想像以上に綺麗だった。





「・・・あぁ、とても似合っているよ・・・すいません、その服購入するんで、彼女の今の服装に似合う靴を選んでもらえますか?」

「かしこまりました。そうですね・・・こちらなんかどうでしょう?」

「ちょ、ちょっとっ!?・・・・・・・・・いいの?」


俺と店員が話していると、ティアナがちょっと慌てたような声で俺に尋ねる・・・・・・ま、そりゃ驚くよな?


「いいっていいって。俺が買いたいんだからさ・・・プレゼントしてやるよ。」

「・・・・・・・・・ありがと・・・・・・・・・」




・・・・・ティアナはうつむくと、小さな声でお礼を言う・・・・・・なんか、ドキッとするな・・・・・・

















そんな感じで、ティアナにプレゼントした訳だが・・・・・・店員さんが気を利かせてくれて、すこしまけてくれた。それと、『いい彼氏さんをお持ちですね♪』と言われたので、二人の顔が真っ赤になったのは・・・内緒だ。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




・・・・・・お店から出た私の腕には、ジンにプレゼントされた洋服と靴が入った袋が提げられている・・・・・・ホントびっくりしたわよ。


しかも、お店の人にはカップルに見られるし・・・・・・そりゃ、カップルみたいな行動してたけど・・・・・・でも、ちょっぴり嬉しいかも。





「さ〜て、次はどこに行こうか・・・」

「そうね。すこしおなかも空いてきたことだし・・・あ、アイスでも食べない?」

「別にいいけど・・・いい場所知っているのか?」

「えぇ・・・こっちよ。」



そういうと、私はジンの手を取って海沿いの方へと向かっていく・・・あのクレープ屋だと恭文と来た時とコースが一緒だし・・・あそこもおいしいから大丈夫よ。









”・・・ティアナ・・・そのままの状態で聞いてくれ・・・”





すると、ジンから念話が入ってくる・・・なによ突然?








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「・・・ふむ・・・目標は海沿いに移動中と・・・スバル、あそこに何があるか、わかるか?」

「えっと・・・確かアイス屋があります!!あそこのアイス、おいしいんですよ〜♪」



ほぅ・・・こんな時期にアイスか・・・まぁ、普通にうちも食べるけど。



それじゃ、追跡再開や〜♪・・・・・・ってなのはちゃん、ヴィータ、どうしたん?



「え゛!?な、なんでもないよ!!」

「そ、そうだぜっ!!あ、はやて、少しなのはと話したい事があるから、、先に行っててくれよ!!」




・・・・・・なぁんか怪しいなぁ・・・・・・まぁええわ。先に行ってるで〜
























「・・・・・・はやて・・・・・・ごめんよ・・・・・・アタシを許してくれ・・・・・・」

「ヴィータちゃん、あれははやてちゃんの自業自得だよ・・・スバルも・・・ごめんね?」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





近くのベンチに座ってアイスを食べているジンとティアナを発見すると、うちとスバルは草むらに隠れる・・・なかなかえぇ感じやなぁ・・・


「本当ですね〜・・・はぁ・・・ティアが遠くに言っちゃったような気分です・・・・・・」


まぁ、うちもあの二人がこんな短期間であそこまでいくとは思わんかったからな・・・さて、これでからかうネタも増えたし、そろそろ撤収と・・・











































「・・・・・・やっぱり、はやてさんが首謀者ですか・・・・・・」

「・・・・・・どうしてスバルもいるのかな、かなぁ・・・・・・?」






















・・・・・・後ろから聞こえてきた背筋の凍るような声に、うちとスバルはゆっくりと振り向く・・・・・・そこには・・・・・・ベンチに座っているはずのジンとティアナが、バリアジャケットを展開して立っていた。




まさか、フェイクシルエット!?というか、二人とも怖いでっ!?なんか目が単色つや消しになっておるしっ!!あかんてティア、ますますひぐ○しになるやんか・・・あ、ジンの場合は種○れやなぁ・・・・・・ってそうじゃなくてっ!!



「ね、ねぇティア・・・少し落ち着こうよ・・・」

「十分に落ち着いているわよスバル?・・・・・・今の私は、とてもKOOLだから・・・・・・」




あかんでティア!?それはあかん!!それに、何でバリアジャケット展開してるん!?こんなところで魔法なんかつこうたら・・・・・・







「大丈夫ですよ。結界魔法はなのはさん達が張ってくれましたし、責任ははやてさんに行くんですから・・・・・・」



さっきのはそれでかっ!?おのれぇ、いつの間に・・・・・・あ、ウソやウソ。反省しているで〜?









『・・・少し・・・頭冷やそうか』







・・・・・・そして、うちとスバルの視界を、紺色とオレンジ色の閃光が覆った・・・・・・




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




まったく・・・最後の最後に変なオチがついたじゃない・・・・・・でも、今日は楽しかったな・・・


部屋に戻った私は、隣のベッドで死んだように目を回しているスバルを眺めながら、ぼぉっとしていた。ベッドの脇には、ジンからもらった服と靴が入った袋が置かれている・・・思わず、顔に笑みが浮かぶ。



すると、端末から音楽が流れる。開いてみると、ジンからメールが来ていた・・・そういえば、あの後教えておいたんだっけ・・・


『件名:今日はお疲れ。


ん〜と、まだ起きてるか?

今日は楽しかったよ・・・最後にはやてさんとスバルが居なけりゃもっとよかったかもしれないけど。


それと、もしよかったら・・・また一緒にどこか行かないか?

まぁ、俺の試験が終わってからになると思うけど・・・


それじゃ、お休み。また明日な!!


ジン』



その文章はどこか簡潔だけど、アイツらしさが伝わってくる・・・まったく、変なところで律儀なんだから。



さぁて、どんな返事をしようかな・・・・・・




(第9話に続く)






おまけその1:古き鉄、帰還


「たっだいま〜・・・」

「おう、お帰り。」

「・・・・・・ジン、どうして僕の家に居るのさ?」

「ん?お前が帰ってくるのを見越して、合鍵で入った。」

≪それで、旅行はどうだったのだ?≫

「・・・けっこう楽しかったよ・・・そっちはどうだったのさ?」

「・・・俺らも、いろんなことがあったよ。」

≪それに、マスターがついにティアナとデートに行ったのだ。映像にして保存しているから、鑑賞会といこうではないか!!≫

≪それは楽しみですね・・・私も、マスターの行動を保存しておけばよかった・・・≫

「・・・アルト、お願いだからそれは止めて?」

「・・・バルゴラ、お前もだ。」






おまけその2:ウソ予告第4弾




・・・僕の目の前に現れたのは、ありえない存在・・・だった。


「あら、その言い方はヒドイですわね?私という存在は確かにここにいるのに・・・」


・・・その女性は・・・シスター服に青色の瞳、緑色の腰まで伸びたストレートのロングヘアー、身長は僕と同じくらい・・・

そう、僕が女装した時の姿・・・シオン・ソノバラそのもの。マジでこの世にいる訳がない存在なのだ。ちなみに、右手には大きなトランクを持っている・・・何が入っているんだよ。


「・・・まぁ、驚くのも無理はありませんわね・・・ただ、私はあなたと敵対する気はありませんよ?今は私も追われている身なので・・・助けてほしいのです。」


そうシオンが呟くと、シオンの後ろから現れるのは緑色の化け物・・・ワームと呼ばれる存在だ。

・・・・・・ちょっとちょっと待ってっ!?なんでこいつらがここにいるのさっ!?


「もう追いついてきましたか・・・仕方ありませんね。預かっていてください。」


そういうと、シオンは腰に銀色のベルトを巻きつける・・・そして僕にトランクを投げると、頭上に右手を掲げる。その手に現れたのは・・・真紅の、カブトムシのような物体。


・・・まさか・・・


「変身・・・」

≪HEN−SHIN≫


シオンがベルトに赤いカブトムシを装填すると、その身体は銀色の鎧に包まれる・・・・・・それは、「仮面ライダーカブト・マスクドフォーム」・・・TVの中にしかいないはずの存在だった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・つまり、あなたは私達に手助けしてほしい・・・ってことでいいんだよね?」

「えぇ・・・その通りです。私にも彼の記憶がありますから、あなた方を傷つけるつもりはありませんし・・・」

「しかし・・・なんでその姿なんや?別に恭文の姿のまんまでええと・・・あかん、混乱するだけやな。」

「・・・・・・いえ、私が擬態した時は、ちょうど彼が女装して聖王教会にいた頃でしたので・・・擬態して記憶を手に入れるまで、「女装した男性」だと思わなかったんですよ・・・」

「それじゃ、ひょっとして・・・」

「はい・・・・・・私は完全に雌・・・女性の体ですよ。」

『ええええええぇぇぇぇっっっっ!?』




・・・・・・ちょっと待って、何このカオス展開っ!?



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・サリ、こいつらぶっ潰すよ。」

「・・・奇遇だな・・・俺もそう思っていたんだよ・・・」

「「・・・変身っ!!」」


≪≪HEN-SHIN≫≫


「「キャスト・オフッ!!」」

≪≪CAST−OFF≫≫

≪CHANGE WASP≫

≪CHANGE SCORPEON≫



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「まったく・・・1人で突っ走りすぎだっての・・・」

≪・・・やっぱりマスターの記憶を持っているだけありますね。行動パターンが一緒ですよ。≫

「あなた達、どうして・・・」

「・・・理由は実に簡単・・・僕らにケンカを売ってきた奴を、叩きのめすだけだよ!!」


僕の言葉に、シオンは呆れたような笑いを見せる。


「まったく・・・でも、それがあなた方のいいところでしたね・・・それじゃ、行きましょうか!!」

「おうっ!!」


その言葉と共に、僕の手には青いクワガタ・・・「ガタックゼクター」が、シオンの手には、カブトゼクターが握られる。


「「変身っ!!」」


そして、僕らはそれをベルトに装填し、シオンはカブトゼクターの角を倒し、僕はガタックゼクターの角を開く!!


≪≪HEN-SHIN≫≫

≪≪CAST−OFF≫≫

≪CHANGE BEETLE≫

≪CHANGE STAGBEETLE≫


電子音声と共に、僕は「仮面ライダーガタック・ライダーフォーム」に、シオンは「仮面ライダーカブト・ライダーフォーム」へと姿を変える!!


「・・・あなた方にも、バラを捧げましょう・・・安らかに眠れるように・・・」


目の前にいる最大の敵・・・「仮面ライダーコーカサス」は、青いバラを空に投げながらそう僕達に告げる・・・



「・・・ふざけんじゃないよ。僕はねぇ・・・フェイトを護るって決めたんだ!!だから・・・こんなとこで死ねないんだよ!!」

「そうですわ・・・私も、今を生きる・・・そう決めたんです!!」

≪あなた、敵にする相手を間違えましたよ・・・ノリに乗ったら無敵のマスターと、性別が違うとはいえ同種の存在を相手にして・・・あなたが勝つと言う事は不可能です。≫

「それじゃ、いくですよっ!!」

「おっしゃぁっ!!」


その言葉と共に、僕とシオンの腰に「ハイパーゼクター」が装着され、リインが僕の中に、アギトがシオンの中に入る。

『ユニゾン・イン!!ハイパーキャストオフッ!!』

≪HYPER−CAST−OFF・FROST−MODE≫

≪HYPER−CAST−OFF・BLAZE−MODE≫


そして、再び僕らを包む鎧が変化して・・・僕は青に水色のラインが入り、背中から氷の羽を開放した「仮面ライダーガタック・ハイパーフォームFM(フロストモード)」に・・・

シオンはワインレッドにオレンジのラインが入り、炎の羽を開放した「仮面ライダーカブト・ハイパーフォームBM(ブレイズモード)」へと姿を変える。


「さぁて・・・ここからは正真正銘のクライマックスだ・・・」

「今の私達は、か〜な〜り強いですよ?」



とある魔道師と軌道六課の日常・外典

〜GEMINI of KABUTO〜


「・・・って、今回の俺らは脇役?」

「仕方ないわよ、あの二人で十分すぎるほどだわ。」





―駆け抜けろ、高速の世界(ヴィジョン)―












あとがき


ジン「え〜「とまと・外典」第8話、どうだったでしょうか?今回もお相手はジン・フレイホークと・・・」

バルゴラ≪今回は記録役に徹していたバルゴラだ・・・しかし、今回は作者も頑張ったな。≫(空中を飛び回るゼロマスクのリボーンズガンダム・・・まわりにフィンファングが飛んでいて結構危ない。)

ジン「・・・まぁ、ヤスフミ達に同行する訳にも行かないから、その間六課ではどうなっていたか・・・というのが今回の視点だな。」

バルゴラ≪おかげで、マスターとティアナの親密度もアップという訳だ。しかも、マスターはティアナにプレゼントまでするし・・・もう、恋人でいいじゃないか。≫

ジン「うっせぇよ・・・そこは作者に聞いてくれ。それで、おまけはというと・・・」

バルゴラ≪でたな、ウソ予告。≫

ジン「しかも、シスター・シオンとヤスフミの並び立つ姿って・・・絶対本編じゃ見られないな。」

バルゴラ≪そうだな・・・それでは、今回の話で出て来た魔法について紹介するぞ。≫


使用魔法解説

射撃魔法:スフィアバレット

空中に魔力弾を設置し、敵に向かって放つ魔法。魔力を大幅に消費するのでジンはあまり使用しないが、カートリッジシステムの使用によりその点を補えるようになった。


砲撃魔法:ストレイトターレット

バルゴラのメインともいえる魔法。威力はそこそこで、ある程度なら連射が出来るが、ジンの魔力だけでは不可能で、カートリッジを大量に消費する。


砲撃魔法:レイ・ストレイトターレット

ジンの切り札とも言える砲撃魔法。威力は高いが、現在のジンでは自身の魔力を限界ギリギリまで+カートリッジの使用によりようやく本来の出力の30%しか出せない。それでも、リミッター状態のシグナムが放つシュツルムファルケンと相殺できるほどの威力を持つ。





ジン「・・・こんな感じかな?」

バルゴラ≪まだまだ話したいことはあるが、今回はこの辺でお別れだ・・・次回もまたここで会おう!!≫


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