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頂き物の小説
第24話:おまけとあとがき



おまけ



 いろんな意味であいさつは大事。そう、いろんな意味でアレって思ってもね。大事なのよ。いや、マジメによ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 それは、僕らがあのネーミングセンスがアレな瘴魔の新勢力とやり合ったあの日から数日前の出来事。





 僕とフェイト……そしてジュンイチさんは、菓子折りなど持って、本局にいた。










「……あの、フェイトさん」

「何かな?」

「いや、何かなじゃなくて……なんで僕達ここにいるのでしょうか?」

「当然、ヒロさんとサリさんにあいさつするためだよ」





 そう、先日のアレコレによって決定したいろんなこと。そのうちのひとつを成すためである。



 とにかく、僕達は技術開発局へとまず足を進める。そう、同い年の友達と話すのを楽しみにしてうきうきしている古き鉄を届けるためにだ。



 で、別にヒロさん達とあいさつする必要のないジュンイチさんの目的地はそっち。なんでも、蜃気楼の運用データをマリーさんが欲しがってるとか。

 ま、他のデバイスをコピーするデバイス、なんて他にはないからね、そりゃ技術屋としては興味もわくでしょ。





「しつれーしまーす」

「ちーっす」

「あ、みんないらっしゃい〜」

「マリエルさん、ごぶさたし」

「やっさんっ! ジュンイチ! いやぁ、やっと来たねぇ」

「いや、高町さんもご苦労様」





 …………………………………………あれ?



 変だなぁ。この部署って、この方達はいらっしゃらないはずじゃあ。





「サリさんっ!」

「ヒロ姉ちゃんっ!?」

《あなた方、どうしてここにっ!?》

「やっさん達の行動はお見通しってこと。マリーちゃんのとこに来るのは見えてたしね。
 あ、お土産ありがとうね〜。おいしくいただいたよ」

「いえいえ。あの……」

「ヒロさんサリさん、初めまして。フェイト・T・高町です」





 話し始めた僕やジュンイチさんを差し置いて前へ出てきたのは、フェイト。



 ……何だろう、リンディさんの影が見えることに、なんか悲しいものを感じるのは。



 やっぱり、そういう立ち位置なのかなぁ……





「あ、こちらこそ……一応初めましてなんだよね? ヒロリス・クロスフォードだよ。で、こっちが……」

「サリエル・エグザです。いや、おウワサはかねがね……というか、やっさん」

「なんっすか?」

「……お前、がんばってるんだな。なんか逆ハーフラグが立ったらしいじゃないの」

「いきなり何ぬかしてんのアンタっ!?」





 つか、誰から聞いたのその話っ!?



 あー、相変わらずワケのわからない人だ。僕もたいがいだけど、この人もたいがいだよ。





「ヤスフミっ! そんな口の利き方しちゃだめだよっ!」

「あー、気にしなくていいよ。歳は離れてるけど、オレ達は普通にダチだからさ。な?」

「はい。これくらいは普通普通」

「……そうですか。あの、なんだかすみません」

「まー、ここで話しててもマリーちゃんの迷惑だからさ。場所移そうよ。
 ジュンイチも、さっさとマリーちゃんにデータ渡して来なさいよー」

「ほーい」





















 と、いうワケで、同い年なコンビはそのままお話突入。僕とフェイトとジュンイチさん、ヒロさんとサリさんは、喫茶店に直行。一緒にお茶である。





 そして、お茶をしながらいろいろ話す。僕が六課に来てからのこととかをね。










「……機動六課、楽しいみたいでよかったじゃないか。いや、正直オレは心配だったんだよ。やっさん、“JS事件”の最中も相当だったのに」

「まぁ、分隊長のフェイトちゃんの前でアレだけど、ぶっちゃけるとありえないと思ったね。
 だってやっさん、ケガしたワケじゃないけど、書類の量がアレだったし。理想どころかリアルに書類に溺れかねなかったのに」

「反論できないです……なんというか、申しわけありません」





 まぁ、仕方ないけどさ。なんとか書類は片づいたし、みんなも何とかなってるし。



 でも……だよなぁ。本当にいきなりだったから、びっくりしたさ。僕は思いっきり勝利後ムードだったのに、第2期開幕だもの。





「ま、そこはいいさ。結果的には楽しそうだしね。昔からの友達や、新しい出会いもあるんだし、いいことだよ」

「あはは……なんとかやってます。いろいろ危険を感じる時もありますけど」

「メガーヌとか?」





 ……ヒロさんから飛び出した言葉に、僕は寒気がした。よし、帰る。



 フェイト、お願いだから手を離してよ。いや、それ以前にヒロさんの笑顔がここから僕を逃がしてくれないけどさ。





「やっさん、メガーヌと劇的な出会い方をしたそうだね?」

「……やっさん、やっぱお前おかしいわ」

「……ヤスフミ、何したの」

「僕は何もしてないっ! してないからっ!」

「………………まぁ、恭文の意志では、何もしてないわなー」



 つか、ジュンイチさんはともかく、どうしてヒロさんにその話がっ!? ……考えるまでもない。あの人、バラしやがったっ!

 みなさん、今日が最終回です。EDの内容? ……僕の死だよこんちくしょうっ!



「そんなことしないっつーのっ! ……つか、そうなったのって、あの子が調子乗ったからだそうだしね。逆にお礼言いたかったんだよ」

「……ヒロさん、お願いです。期待を持たせないでください。絶望を味わうのは一度でいいんです」

「アンタ、マジメに私をなんだと思ってる?」



 そこは気にしないでいただきたい。



「いや、オレ以上の暴君でぶしゃあっ!?」



 だって――今目の前であなたにブッ飛ばされたジュンイチさんのようにはなりたくないから。



 とにかく、生存は決定したようなので、席に戻る。フェイトの手は……このままでいいかな。



「でも、助けてくれてありがと。まったく、なんというか目が覚めても性格変わらないってどういうことさ」

「……あの人、昔からアレなんですね」

「……らしいぞ」

「アレだったなー」

「まぁ、だからこそ私とも馬が合うんだけどね」



 うん、納得した。だからこその友達関係だよ。



「……あの、ヒロさん。メガーヌさんというと」

「そうだよ、メガーヌ・アルピーノ。私の友達なんだよ」

「えぇぇぇぇっ!?」

「……あれ、知らなかったの?
 ちょっと、やっさん。どうして説明してないのさ」

「なんで僕がヒロさんの交友関係までフェイトに言わなきゃいけないんですかっ!?」



 あぁ、なんか、フェイトの瞳がまた怒って……



「……ヤスフミ、どういうことなの?
 というか、劇的な出会いって何っ!?」

「いや、どういうことと言われましても……」

「逆に聞きたいんだが、どーしてお前に教えなきゃならないのさ?
 恭文の交友関係、お前が一から十まで把握してなきゃいけない理由なんかねぇだろ」

「ジュンイチさんは関係ありません!」

「あるに決まってんだろ。
 恭文はオレの友達だ――その友達がプライベートほじくり返されてるのを見て、黙ってなんかいられるワケねぇだろ」

「………………っ!
 あなたがそんなだから、ヤスフミはっ!」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 うむぅ、やっさんも不憫だなぁ。つか、このおねーちゃんはちょっとおかしいぞ。





 いや、話を振った私も私なんだけどさ。サリがさっきから白旗上げまくってるし、ジュンイチもフェイトに対して完全に挑発モードだ。







 何つうか……アレだよね。

 やっさんのこと、ちゃんと見てるかどうか疑問だよ。まさかとは思うけど、ずっと子供のままで見てるんじゃないだろうね。





 これの目を覚ますのは骨が折れるよ。少なくとも、私にはムリだ。メガーヌも話聞いて、呆れたって言ってたしなぁ。





 とは言え……力にならないワケにはいかないよね。





 やっさんにとって、この女性は、守りたい人なんだ。こいつのことだから、きっと一生このままでも付き合うよ。





 さて、どうするかな。とりあえず……目を覚ますか。





 このおねーちゃんの、やっさんに対する認識が間違ってるにも程があるって、思い知らせなきゃ。





 つか……どうもジュンイチも同意見みたいだ。今ツッコんでる内容だって、根本をたどればフェイトちゃんのそういう認識に行き着きそうだし。





 言っとくけど、別にそれでフェイトちゃんに付き合えと言うワケじゃない。恋愛って言うのは、進むのも終わるのも、けじめがいるのよ。





 今のやっさんを、男として、しっかり見た上での答えが、そのけじめ。それなら、やっさんだってノーだろうが、納得するでしょ。





 だとすると、一番いい方法は……アレだろうね。魔導師的な実力も、それに拍車をかけてるんだろうし。





 なら、必要なことは……だね。うん、準備はしてるし、OKも出してるから問題ない。あとは勢いだ。




















「それじゃあ……ヒロさん、サリさん、ありがとうございました」

「あの、私の分までおごっていただいて……」

「あぁ、いいっていいって。おみやげ買って来てくれたお礼だよ。あ、でも……」

「でも?」

「また来てくれるとうれしいな。二人が来ると、私達は仕事をサボる口実ができ上がる」

『あははは……』





 冗談抜きでサボれるのがすごいけどね。このおねーちゃんもだけど、やっさんも相当有名だし。

 つかこの子、うちの局長と飲み友達なんだよ。ザルなうえに、話おもしろいから、宴会で重宝するとか。



 ……おかしいよね、いろいろとさ。






「ちょっとちょっとー、それは、オレが来たんじゃ楽しくサボれないってことかなー?」





 うん。まさにその通り。

 だって、ジュンイチが遊びに来ても仕事のアイデア方面の話題で盛り上がって、楽しく仕事はできても楽しくサボれはしないから。





「とにかく、ありがとうございました。あ、また連絡しますんで」

「あぁ、待ってるからな。あ、フェイトさんも、こいつのことお願いします。なんだかんだで手は焼かされるでしょうけど。
 ……お願いするのはおかしいかもしれないんですけど、やっぱ心配なんですよ。ダチなんで」



 サリ……



「……はい。必ず。それでは、お二人ともまた」

《マリエルさん、またお話しましょう》

「うん、またね。アルトアイゼン」










 そうして、やっさん達は戻っていった。あるべきところへだ……さて、サリ。





 私は、横にいる相棒を見る。どうやら、言いたいことはわかってるようだ。










「タヌキ」

「気にするな……これ、とりあえず12月までのスケジュール。さっき送ってきた」



 ……ふむ、だったらこの日だね。ちょうどやっさんもいないから、私達が直にぶつかれる。開発局の方は?



「問題ない。うちの局長は、話せることで有名だよ? オレ達みたいな、問題ばかりの最悪極まりない不良スタッフを、10年に渡って雇用してるんだから。
 飛び立つ跡を濁さないことと、必ず戻ってくることで了承は取りつけてる。あと、やっさんとまた酒飲ませろってさ。まったく、ザル同士は性質が悪いよ」

「まぁ、やっさんなら大丈夫でしょ。二日酔いもしないし。それなら、あとは私らの準備だけだね。そっちは?」

「デバイス関係だけだろ? どっちにしても、向こうと相談していかなきゃいけないんだし。
 お前も知っての通り、あの部隊はムダに設備と人員がそろってる。向こうでそろえられないものはないよ」

「そりゃそうだ」





 なら、後は当日までのお楽しみだね。いやぁ、久々……というか、2ヶ月ぶりくらいにおもしろくなりそうだなぁ。





「……あの、ヒロさんもサリさんも、本気ですか?」

「本気だよ。今日の分隊長殿を見て実感したよ。話どおりなら……結構ヤバイね。
 杞憂であることを願うけど……ジュンイチがあぁも積極的になってるところを見ると、たぶん杞憂で終わっちゃくれないね」

「あと、オレらとしても、このままやっさん放置ってのもちょっとアレだし。なんか、話聞いてるとちょっと煮詰まってるそうだからな。
 一応、向こうさんの編成も聞かせてもらったけど、確かに難しい感じなんだよね」





 ん? 何考えてるかって。そんなの決まってるじゃないのさ。





「あー、マリーちゃんは六課隊長陣と付き合い長いって言ってたよね?」

「はい。あの子達のデバイスのことで、いろいろと相談を受けてましたから」

「バラさないでね? つまんなくなるから」

「頼むよ? 久々に楽しめそうなんだからさ」

「は、はい……」










 ま、ヒントだけ教えるとだ……




















 私らにとっての最高のクライマックスが、もう一度来るかもしれないってことかな?




















(本当におしまい)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回予告っ!

ジュンイチ「あー、くそっ、逃げられたぁーっ!
 ダメだなー、我ながら。あそこで油断しちまうなんてさ」

恭文「ですよねー。
 やっぱり、戦えなくてもいいからなのはを連れてきておくべきでしたね」

ジュンイチ「………………?
 どうしてだよ?」

恭文「いや、よく言うじゃないですか。
 『魔王からは逃げられない』って」

なのは「恭文くんがひどいよーっ!」

ジュンイチ「あぁ、なるほどっ!」

なのは「ジュンイチさんも納得しないでっ!」





第25話「たいらんと・かたすとろふ」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



オメガ《と、いうワケで、新勢力登場編の後編にして“ジュンイチ無双”が炸裂した第24話でした》

Mコンボイ「また目立ちおって、あのバカ……
 もう完全に単独主人公気取りではないか。この『とまコン』はオレと恭文、そしてあのバカの三人で男性主役トリオだというのに……」

オメガ《読者の認識までそうなりつつありますしねー。
 実際、本家『とまと』の人気投票でもボスを差し置いてエントリーされただけでなく、紹介コメでも主役扱いでしたし。
 ……あ、でも、今回の“ジュンイチ無双”はちゃんと作者の意図によるものだったらしいですよ。展開上どうしても必要だったとか》

Mコンボイ「まぁ……だいたい想像はつくな。
 本編ラストの、フェイト・T・高町の反応だろう?」

オメガ《正解です、ボス。
 この戦いでミスタ・ジュンイチが本気を出して大暴れ。その実力の高さと、それによる周りへの被害を見て、ミス・フェイトの中の彼への対抗心が再び燃え上がる……と》

Mコンボイ「そして、第2クールの残り数話、クライマックスにつながるワケだ」

オメガ《そういうことです。
 どうやら、ボスとミスタ・恭文の友情がクローズアップされた前クールのクライマックスに対して、今回はミスタ・ジュンイチとミス・フェイトの関係が中心となりそうですね》

Mコンボイ「恭文にしてみれば戦々恐々なんじゃないのか……?
 あの二人が仲良くなるのは、ヤツ的にはあまりよろしくなかろうに」

オメガ《ですよねー。
 フラグ立って凹んだりしなきゃいいんですけど。
 …………さて、2週ほどお休みをいただいて再開する『GM』シリーズのオリジナル設定紹介。
 今回は、今回のお話で登場したミスタ・ジュンイチの強化形態、オーグリッシュフォームと皇牙オーガ爆天剣・“鬼刃きば”の紹介です》

Mコンボイ「この間登場したモーメントフォームの紹介はいいのか?
 『とまコン』での登場順序はあちらの方が先だろうに」

オメガ《あぁ、イグニッションフォームについてはいくつかをまとめて紹介したいそうですよ。
 と、ゆーワケで、以下がオーグリッシュフォームの概要になります》





・真紅の鬼龍“ウィング・オブ・ゴッド”オーグリッシュフォーム
皇牙オーガ爆天剣・“鬼刃きば

 ジュンイチが自身の“装重甲メタル・ブレスト”“ウィング・オブ・ゴッド”に精霊獣フレイム・オブ・オーガを“精霊獣融合インストール”させた結果、爆天剣共々強化された形態。
 イグニッションフォームのように特定の能力が特化して向上しているようなことはないが、その分全体的にパワーアップされており、フォームチェンジ前と同様の汎用性に富んだ戦い方を、より高い戦闘力によって行なうことができる。
 また、強化された爆天剣、“鬼刃きば”も本来の刃が巨大化、さらに新たに刃が形成されてはいるが、それ以外の特性はそのままであり、能力の行使においては従来どおりの運用となる。

 なお、イグニッションフォームと同じく制御のために精霊力を大きく消耗することになるが、プラネルを介してブレイカービーストから精霊力の供給を受けることでその負担を軽減することが可能。





オメガ《簡単にイグニッションフォームとの違いを挙げると、“全体的に強化され、特化して伸びる能力はない”、“制御のための力の供給源が自身以外にもある”といったところですか。
 特化型のイグニッションフォームを得た今となっては、パワーを上げた状態でフォームチェンジ前と同様の戦い方がしたい時のための形態、と考えるべきでしょうね》

Mコンボイ「特化した能力がない分、使い勝手がいいということか……
 逆に言えば、こうした“汎用性を維持したパワーアップ形態”がすでにあったからこそ、イグニッションフォームを編み出す際にあぁも極端な能力特化型にすることができたワケだ」

オメガ《あぁ、そういう見方もアリですね。
 …………っと、そんなことを話している間に、そろそろお開きのようですね》

Mコンボイ「そのようだな。
 では、また次回の話で会おう」

オメガ《フフフ……果たしてボスの見せ場がありますかね?》

Mコンボイ「サラッと恐ろしいことを言わないでくれるかっ!?」





(おしまい)






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