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頂き物の小説
第19話「世の中は思い通りにはならない。だからこそ、報われた時はすごくうれしいと思えるんだ」



 ……神はいた。





 いろいろと辛い思いをした僕を、神は見捨てはしなかった。そう、神はいたのだっ!





 なんやかんやで、本日はお休み当日。今日から3日間は僕はフリーダム。そして幸せの時間だ。





 ……幸せの時間って言うと、なんかドロドロしてエロな感じがするけど、そんなことはない。











 だって、今の僕の心は、この空と同じように、清々しいまでに晴れ渡っているからっ!























「……なぎさん、私達よりうれしそう」



 白いワンピースに、ピンクの上着。まるでどっかのお嬢様ルックなキャロが何を言おうと、まったく気にならない。





「というか、さっきからはしゃぎまくりだよね……」



 エリオは、ジーパン、ジージャンに白シャツ。僕とほぼ同じ格好。ま、僕は黒の無地だけど。





「まったく、日頃の落ち着きはどこに消えたでござるか……」

「………………日頃、落ち着いてるっけ?
 まぁいいや。ボクらに絡んでこない限りはめんどくさくないし」



 アイゼンアンカーとシャープエッジはいつも通りロボットモード……つか、二人ともヒューマンフォーム持ってないし。





「ま、最近こういうこともなかったし、たまにはいいだろうね」

「…………というより、どうしてオレが同行しているのか聞いてもいいか?
 いくらエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエの兄代理とはいえ、ライトニング分隊の休みにスターズ分隊のオレが……」



 で、ヒューマンフォーム持ちの二人はそっちに変身中。ジャックプライムはスバル達と同年代の少年の姿で、ジーパンに上着といった今時の若者系のファッション。

 一方、未だに自分がくっついて来ていることに疑問顔のマスターコンボイは……いつも通りのジーパン、半そでシャツ、袖なしのジャケット。うん、そろそろ見てるこっちが寒くなりそうだから厚着くらいしようか?





「まぁ……エリオ達フォワードと恭文はランク試験、テスタロッサも執務官試験の本番をその直前に控えている。
 これから先、訓練漬けの毎日になる……それを思えば、蒼凪の喜びようも当然か」



 で……イクトさんは僕の喜びの理由をちょっとズレて解釈中。ちなみに服装は平ズボンにワイシャツ、ジャケットといった感じ。





「でも、そんなに喜んでもらえると、誘った甲斐があったな。ヤスフミ、3日間よろしくね」

「うん、よろしくフェイト〜♪」



 黒の薄手のカーディガンに、黄色いワンピースを着ているフェイトの声に、楽しげに返事。

 あぁ、なんていうか……





“エリオ、キャロ、ありがとう。本当に感謝してるよっ!”

“なぎさん、それもう94回目……”

“一日20回近く言ってるよ……”





 だって、そんな気持ちなんだよっ!





 3日間フェイトと一緒……うぅ、一緒に暮らしてたというのに、これで感激するのはいろいろ間違っているのだろうけど、そこはいいっ!





 とにかく……楽しむぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!























《……いや、あなたいい加減落ち着いてくださいよ。なんで頭から『♪』マークが出まくってるんですか?》

「気にしないで」











とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜



とある魔導師と守護者と機動六課の日常



第19話「世の中は思い通りにはならない。だからこそ、報われた時はすごくうれしいと思えるんだ」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 あははは……なんていうか、恭文、子供みたいだね。





「仕方ないよ。本当にうれしかったんだと思うから」

「そうだね。話通りなら、フェイトさんと旅行なんて、最近はなかったんだし」





 まぁ、さすがにもう落ち着いて、フェイトさんと楽しそうに話してるけど……うん、やっぱりだよね。





「キャロ」

「何?」

「恭文、気持ちが通じるといいよね」

「……そうだね。うん、いっぱい泣いちゃったんだもん。そのぶん、幸せにならないとダメだよね」





 うん、そうだよね。いっぱい、いっぱいフェイトさんとの時間、作れるようにしないといけないよね。

 僕達が、恭文から借りちゃった時間、返していきたいな。











「…………でもさ、エリオくん」

「ん?」

「そうなると………………イクト兄さん、フられちゃうんだよね」

「………………あ」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 恭文……ようやく落ち着いたみたいだね。

 出発してからこっち、ずっと浮かれっぱなしで、危なっかしくて見てるこっちがヒヤヒヤしたよ。

 今は、上がりまくっていたテンションも元に戻って、フェイトと楽しそうに話してるけど……うん、それでもやっぱり楽しそうだ。



 …………ところでイクトさん。



「どうした? ジャックプライム」

「いや……イクトさんはフェイトと話さなくていいのかな、って」

「別にかまうまい。
 いつもはオレがテスタロッサと話している時間の方が長いからな……そのほぼすべてがエリオやキャロの扱いについての相談ではあるんだが。
 とにかく、いつもはオレがテスタロッサを借りているようなものだ――こういうところで埋め合わせをしておかないとな」



 …………これだよ。



 この人、コレ本気で言ってるんだもんなー。恋敵の恭文に塩を送るワケでも、恭文にフェイトは渡さないっていう自信のあらわれってワケでもない。恭文のフェイトへの気持ちを知った上で、本気で恭文を応援してるんだ。

 まるでジュンイチさんだよ。ボクの周りの人間、なんか鈍チンの人口比率高くないっ!?





 けど……イクトさんだって、フェイトとのつながりは、きっと恭文に負けてない。





 エリオのお兄さん代わりになって、その流れでキャロのお兄さん役にもなって……そういう意味じゃマスターコンボイも同じなんだけど、マスターコンボイはスバル達に引っ張られてフォワード組の中央に納まってることが多い。



 そんなマスターコンボイと違って、イクトさんはフォワード陣からは一歩引いたところから見守ってる立ち位置だから、“保護者”としての立場でフェイトと絡むことが多くて……そのおかげで“JS事件”を通じてすごく距離が縮まった。



 そりゃもう、普通にカップル認定してもいいくらいに。







 まぁ、恭文の気持ちも、8年間総スルーでもがんばってることも知ってるから、そう簡単に認定するワケにはいかないんだけど。







 一応断っておくけど、僕はフェイトがどっちを選ぼうとかまわないと思ってる。恭文を選ぼうとイクトさんを選ぼうと、そこはフェイトの問題だ。







 ただ……相手の気持ちに気づかないままフってくっついて、っていうのは、ダメだと思う。

 だって、さっきも言ったけど、恭文があれだけがんばってるのを知ってるから。気づかれないまま終わり、なんて、いくら何でも恭文が不憫すぎる。



 それに……今のところ本命扱いされてるイクトさんだって、エリオやキャロのことでフェイトと距離が近いってだけで、実際のところは自分の気持ちに対して自覚ない感じだし。そんなままでくっついても、きっと本当の意味で幸せになんてなれないよ。







 だから……フェイトがどっちかとくっつくなら、その辺の問題をきっちり片づけてからであるべきだと僕は思うワケですよ。



 恭文は8年間スルーの現状を打破して、イクトさんは自分の気持ちをきっちり自覚して……そして、フェイトは二人のそういう気持ちをきっちり受け止めて。



 その上で、フェイトがどちらかを選ぶ……そのくらいでないとダメだよ、このトライアングルは。









 と、ゆーワケで。





 僕は恭文を助ける。でもってイクトさんも助ける。

 二人ともフェイトに対してきっちり気持ちを伝えて、その上でフられて、くっつけばいいと思う。







「なのでイクトさん。、今すぐ恭文とフェイトの間に乱入してきてください」

「いきなりだな貴様はっ!?
 唐突にそれだけ言われても、何のことだかわからんわっ!」

「今の地の文で僕の主張はわかったでしょう!?」

「わかるかぁっ!
 貴様なぁ、いつもいつも、誰も彼もが地の文を読めるとは思うなよっ!」





 そいつはごもっとも。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………うむ、やはりわからん。



「なぜオレは、ここにいるんだろう……?」

「またそれでござるか? マスターコンボイ殿」

「いいかげん納得しなよ、めんどくさいなー」



 うるさいぞ、そこのトランスデバイス2名。

 そんなことを言われても、わからないものは仕方ないだろうが。



「だいたい、これはライトニング分隊の休みを利用しての旅行のはずだ。
 なぜスターズ分隊のオレがそれに同行してるんだ? しかもこのためにわざわざ改めて休みをとって」

「それはもちろん、マスターコンボイが姫の兄君だからでござるよ」

「それでなくてもマスターコンボイ、最近恭文やスバルと一緒に動いてばっかりで、二人との時間あまり取ってないんだからさ。
 こういうところで、ちゃんと気を遣っておくべきだと思うよ。めんどくさいことになる前にさ」

「…………そういうものなのか?」



 尋ねるオレに、シャープエッジもアイゼンアンカーも迷うことなくうなずいてみせる。





 むぅ……よくわからん。







 …………だが……言われてみれば確かに、あの二人の“兄”を名乗りながら、オレはアイツらに何もしてやれていない気がする。



 ならば……今回の旅行、確かにその埋め合わせにはいい機会かもしれない。



 仕方あるまい。この3日間くらいは、久々にアイツらの“兄”をやってやるか。











「………………簡単に納得したでござるな」

「根が単純だからノせやすいんだよねー、マスターコンボイって」







「………………?
 何か言ったか?」

『いや、何も(でござる)』





 ………………やはりよくわからん。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……ということで、ボク達が来たのは……ミッドの北部。

 首都から、飛行機で降り立ったのは、新臨海第8空港。

 4年前に焼け落ちた空港の跡地に建設された、まだピカピカの空港。



 ……あ、スバルさんがなのはさんに助けてもらったのって、ここなんだよね。





「そうだよ。私やジャックプライム、はやてにビッグコンボイ、アリシアに……それから、後で聞いた話だとジュンイチさんも、ここで救助活動に参加してたんだ」

「確か、オレのボディとなっているこのトランステクターも、その時に発見されたんだよな?」

「そうなんだ……
 じゃあ、兄さんにとっても、ここは大切な始まりの場所……なのかな?」

「そう言われても実感はないな。
 このトランステクターが発見された場所、というだけで、オレ自身はここに来るのは今日が初めてなのだから」

「恭文やイクトさんはその時いなかったの?」

「当然だ。オレは当事はコイツらとは知り合いでも何でもなかったんだ。
 あの時は……ちょうど仕事の絡みで聖王教会に詰めていた頃だな」

「僕も仕事。
 その時は別に仕事受けててバタバタしててさ……みんなの旅行には合流できなかったの。
 まぁ、いたとしても、大したことはできなかったと思うけどね」

《まぁ、救助のために天井撃ち抜いたどこかの魔王辺り一帯を凍結させて消火したどこかのタヌキのようにはいきませんよ……さ、バス来ましたよ》



 なんて話していると、ホテルの送迎バスが来た……今日は、ここで一日ノンビリ過ごす。というか、北部に来たのは初めてだから、楽しみだな。























 部屋割りはフェイトさんとキャロ。僕、恭文、マスターコンボイにイクトさん、ジャックプライム……それとは別に、アイゼンアンカーとシャープエッジはトランスフォーマー用の部屋を取ってる。

 ……うん、さすがに同じ部屋はアウトですよフェイトさん。





「でも、私達は家族なワケだし……」

「フェイト、僕はキャロとフェイトの着替えにいちいち気を使うのは非常に辛いんだけど」

「僕だって同じです。さすがに……」

「右に同じく、だ」

「よくはわからんが、こいつらがマズイというのならそうなのだろう」

「そういうワケで、フェイトはいい加減あきらめようか、うん」



 部屋をひとつにしようと言ったフェイトさんの意見は、僕達の正義によって却下された。

 そうして部屋に入ると……うわ、結構広いね。



「だね。うわ、ベッドがひとりひとつずつあるし。
 向こうも同じ仕様なんでしょう? フェイト、また高い部屋を……」

《というか、向こうは明らかにベッドとか余りすぎでしょう。
 部屋をひとつにしたかったのって、もしかして金額の問題でしょうか?》

「アルトアイゼン、さすがにそれはないよ。フェイトさんは執務官補佐になって長いから、結構なお給料だろうし……」

「エリオ、それはむしろ僕のセリフだよ。というか、10歳児が金の話をしないで……」

「何を言う恭文。
 金銭感覚がしっかりしているのはいいことだろう」

「いや、マスターコンボイ。
 エリオの歳でしっかりしすぎてるのも、またアレだと思うんだけどね」



 とにかく、僕達は荷物を置いて、部屋の戸締まりをしっかりとして……というか、オートロックなんだけどね。

 ………………イクトさん、壊さなきゃいいんだけど。

 とにかく、僕達はロビーで仕度を整えて待っていたフェイトさん達と合流。さっそく観光に繰り出した。





















「……で、恭文。どうして僕達は市場になんているのっ!?」

「知り合いのオススメだよ。ホラ」



 そうして、恭文が渡してきた1枚の紙……というか、メモを受け取る。そこには、ここの場所と、お店が書かれていた。



 その一番上に書かれたタイトルを、マスターコンボイが読み上げてくれる。



「……『くろすふぉーど印の、ミッド北部の隠れスポット』?」

「旅行に行くって話をしたら、ここはこの時間に絶対行っておけって力強く言われたんだよ。で、1時間並べとか」

「1時間っ!?」

「……というか、ヤスフミ。このくろすふぉーどってまさか……“あの”クロスフォード財団の関係者か何かなの?」

《そうですね》

「えぇぇぇぇぇぇっ!?」



 とりあえず、恭文が案内してくれたお店に並ぶ。

 ……あ、トランスフォーマー用に店の前にテーブルが並んでる。お店の人は大変そうだけど、これならヒューマンフォームになれないシャープエッジも平気だね。

 で、並んでる間に、驚きまくっているフェイトさん、それに恭文から説明を受けた。



 クロスフォード財団というのは、ミッドでも有数の財団……資産家で、管理局や、聖王教会の大株主のスポンサーとか。

 ……え、恭文、そんなにすごい所の関係者と知り合いだったのっ!?



「いや、偶然だよ?
 というか、その人は分家の方だから、本家とかに比べるとそんな影響力ないとか言ってたし。つか……」

《本家の方…………“JS事件”の時、ジュンイチさんの“最高協議会対策”できっちり持ち株の買収くらいましたからね……
 彼が株を売り戻してくれなかったら、彼女の分家筋もどうなっていたことやら》



 あー……そういえばジュンイチさん、そういうこともしてたんだっけ。



《あとは……ほら、マスターのデンバードや、フェイトさんが母神になる原因になった、トゥデイを作ってくれた人ですよ》

「あぁ……フェイト・T・高町の大暴走の引き金になったあのミニパトか」

「あああああっ! マスターコンボイ、それは言わないでっ!」

「あきらめろ、テスタロッサ。あれだけのことをやらかしておいて、印象に残らないはずもなかろう。
 …………で、アレを作ったのが、そのクロスフォードの人間なのか?」

「そ。ヒロリス・クロスフォードさんって言って、局の特殊車両開発部のスタッフさん。ここ2年くらいの間に知り合った友達なんだ」



 あれの開発者さんだったんだ……ビックリ……した……なぁ……



「でも、その人とヤスフミって、どういう経緯で知り合ったの?」

「うんとね……かくかくしかじか……というワケなの」

「同じゲームをしていて……」

「オフ会で会おうって話になって……」

「それで会ってみたら、関係者……本当にすごい偶然だったんだね。というか、私まったく知らなかったよっ!」

「だって、その時フェイトはフェイトで長期間任務とかしてたじゃないのさ。僕は海鳴で、フェイトはミッドに来ていたワケだし。そりゃ知らないって」



 ……恭文、なんかフェイトさんが不満そうだよ?



「フェイト殿、仕方ないでござるよ。
 今恭文殿が言ったとおり、出会おうにも接触の場がなかったのでござるから」

「そーそー。納得しとこうよ。ここでごねてもめんどくさいだけだよ」

「でも、本当にいろいろお世話になってるんだ。ミッドで引っ越す時も、物件紹介してくれたしさ」

「あそこ……なぎさんの家?」



 恭文は、キャロの言葉にうなずいた。というか、すごいね。マンションなんかも扱ってるんだ。



「え、あそこってクロスフォード財団の所有物件だったのっ!?」

「本家じゃなくて、ヒロさんの分家の方だけどね……というか、今度マンション名確認しなよ。表に思いっきり書かれてるよ?
 『メゾン・ド・クロスフォード』って」

「……バルディッシュ、気づいてた?」

《Yes Sir》



 ……バルディッシュは気づいてたのに、マスターのフェイトさんは知らなかったんだね。





「……僕、気づいてるもんだと思ってた」

《私もですよ。というかマスター、私……時々この人が執務官志望最有力株と言われるくらい優秀な魔導師っていうのが、信じられなくなるんですけど》

「そんなの関係ないからっ!
 ……ヤスフミ、今度、その人を紹介して」

「なんでっ!?」

「だって、ヤスフミが本当にお世話になってるみたいだし、ちゃんとあいさつしたいの。いいよね?」

「わ、わかった。時間を見つくろって紹介するから……とりあえずその真剣な目はやめて。今、一応休日よ?」



 あははは……ヤスフミ、なんか大変そう。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 恭文の友達オススメのお店は、本当に“当たり”だった。

 イチオシだって言われたモツ煮込み定食がすごくおいしくて。最初はお代わりできないのがもったいないと思ったけど、アレはアレでいいのかも。あんなおいしいの、いくら食べても満足できそうにないもの。







 そして……その後は、みんなで普通に観光を始めた。





 この地域は温泉もあるので、それ関連でいろいろ。










 ぷしゅー!










「きゃっ!」

「うわっ!」

「エリオ、キャロ、危ないっ!」

「……フェイト、大丈夫だから。ちゃんと距離はあるから」

「だっ、だって、間欠泉って危ないんだよ!? 前にアニマトロスで、エリオが吹っ飛ばされちゃってるんだからっ!」

《お願いですから、だからと言ってソニックムーブまで使って、一気に後方に逃げるのはやめてください。客が全員引いてるじゃないですか》

「そして、オレが巻き込まれてはね飛ばされもしてるしな」

「あぁっ! マスターコンボイ、ごめんっ!」





 間欠泉……すごかった。



 前にアニマトロスで体験したこともあるし、仕組みも理論としてはわかってるんだけど、やっぱり不思議。











「ほい、エリオ」

「ありがと。えっと……」

「これは……このまま食べていいのか?
 まだ半熟だと思うんだが……というか、ヘタに持つと握りつぶしそうなんだが」

「マスターコンボイ、力みすぎだ。
 これはそのまま塩をふって食べればいい。
 …………ほら、キャロ」

「ありがとうございます。
 パクっ! ……美味しいっ!」

「……きゃーっ!」

「……フェイト、何やってるの?」

《私、温泉卵に塩をかけようとして、全部ぶちまけた人、初めて見ましたよ》

「うぅ……これ、もう食べられな……え?」

「フェイトは僕の食べていいよ。つか、塩なくても十分だから」

「あの、ダメだよっ! それすごく塩辛いし……」

「玉子をムダにするよりまし……うん、なんとかいけるや。美味しい美味しい」

「ヤスフミ……あの、ありがと」



 恭文、その後、ずっと平気な顔してた。だけど、水をちょっと多めに飲んでたけどね。やっぱり、塩辛かったんだ。











「……泥風呂なんてあるんだね」

「そうだね。というか、これは温度高いからムリだけど、泥風呂は美容効果があるんだよ?」

「あ、それいいなぁ」

「キャロ、泥風呂に入ったら、お肌スベスベになるよ」

「ホントですかっ!? あ、でも……フェイトさんが入ったら、もっとスベスベかも。今だって、すごくスベスベですし」

「恭文、イクト兄さん……空が青いね」

「うん、青いね」

「青いなぁ」

「というワケで、なぎさん、イクトさん、触ってみて?」

「はぁっ!?」

「オレもか!?」

《さりげなく会話から外れようとしたのに、引き戻しますか》

「あ、私は大丈夫だよ? 腕くらいなら……はい、二人とも」

「いや、ちっとも大丈夫くないから!」

「蒼凪の言うとおりだ。
 頼むから恥じらいというものを持ってくれ、お前は……」



 ……恭文もイクトさんも、顔が真っ赤だ。まぁ、仕方ないかな。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 さて、いろいろ回って日も暮れて、晩ご飯はホテルの食事も味気ないということで、近くにあるって聞いた、各世界の郷土料理を出しているお店にやって来た。

 ……つかさ、なんで沖縄料理なんてあるのっ!? またピンポイントなとこをつくなぁ。



「でも、これ美味しいね。このゴーヤチャンプルーって言うの。
 こう、苦いんだけどそれだけじゃなくて、玉子がフワフワして、ちょっと甘くて……」

「初めて食べるが、あまりイヤな苦味ではないな」

「そうか。
 マスターコンボイは食物からエネルギーを摂るようになって日も浅いからな……隊舎や首都の食事以外は馴染みがないか」

「イクトさん、それ言うなら僕もだよ。
 僕もこういうの、あまり食べたことないもん」

「ジャックプライム、そうなの?」

「フェイトさんと一緒に出かけた時とか、そういうお店とか行かなかったの?」

「………………ごめん。行ったけど食わず嫌いしてたの」

「何をやってるでござるか……
 ……しかし姫、確かに美味でござるな、これは」

「そうだね。
 このブタの足も。トロトロして……保護隊にいた時の食事を思い出しちゃう」

《キャロさん、意外とカントリーガールなんですね》

「うん。豚さんや羊さんを捌いたこともあるよ? こう、食事になってくれてありがとうって、感謝しながら食べるの」



 ……かたや都会っ子。かたやカントリーガール。

 うん、上下関係は決まったね。エリオ、がんばれ。キャロはきっと強くてしたたかな女の子になるよ。



「というか恭文、平気なの?」

「何が?」

「だって……それ、お酒だよね?」



 そう、僕はご飯をいただきながら、某沖縄の地酒をちびちびいただいていた。あー、美味しい……



「あ、大丈夫だよ。ヤスフミ、すごいザルなの」

『そうなのっ!?』

《まぁ、10歳の頃から、グランド・マスターやレティさんやリンディさんに、散々付き合わされてましたからね。
 おかげで、普通に飲む分にはまったく酔わない体質になったんですよ》



 ……普段は飲まないけど。ミッドじゃあ、地球の地酒なんて滅多に味わえないからね。

 なお、『むむ、ちょっと意外。見た目からは想像できないよ』……とは、キャロの談。うん、ほっとけ。



「というか、フェイトさん……いいんですか?」

「まぁ、本当に酔わないから……吐いたりとかして、迷惑もかけないしね。一応認めてるの。あ、でも、基本的にはまだダメなんだからね?
 私もそうだけど、ヤスフミ、未成年なんだし」

「わかってますよー」



 なんて言いつつ、一口飲む。

 あぁ、この口に広がる香りがまたなんとも……やっぱ、泡盛美味しいなぁ。



「……あ、エリオとキャロはダメだよ? さすがに、10歳児に飲酒なんてさせるワケにはいかないし」

《意外とちゃんとしてますね、あなた》

「……ちゃんとしてないのに仕込まれたんでね。
 僕が11とか12で、どんだけ宴会に付き合わされたと? しかも、フェイトは逃げちゃうし」

「あの、逃げたワケじゃないよっ! ちょっとかかわりたくなくて……」

「フェイトさん、それ同じことですよ……」

「何やってるのさ、めんどくさい……」

「なぎさん、その頃から大変だったんだね……」

「苦労していたのでござるな……」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……とにかく、みんなで楽しくご飯を頂いた後、僕達はホテルに……戻ったんだけど……あの、フェイト?



「うん……」

「正直に言え、テスタロッサ……どこに落とした?」

「……ごめん、わからない」

「だぁぁぁぁぁぁっ! 何やってるのさ本当にっ!?」



 そう、フェイトは、キャロとの部屋の鍵を、見事に落とした。部屋の前に到着したらこれですよ。

 やっぱり、プライベートのフェイトは、一本ネジ抜けてるって……





「というか、こんな時にフロントのマスターキーも壊れてるなんて……」

「……よし、魔法でドアぶっ壊そうか」

「ダメだよヤスフミっ! それなら、窓を壊した方がいいよ。それなら、修復魔法で直すのも楽だし。
 ほら、ヤスフミだったら、気づかれる前にすぐに直せるよ」

「待ってよフェイト! なんでそんな物騒な事言ってるのさっ!?」

《こんなことなら、シャッハさんから物質透過魔法を教わっておくべきでしたね》



 そーだね。そうすれば、となり同士なんだし、一瞬で侵入できたというのに。よし、今度教わるか。



「イクトさん、前に地上本部で使った術で扉を開けることはできないんですか?」

「“言霊”のことか?
 できないこともないが……その場合媒介となるものは使い捨てになる。
 この場合は、どの扉のものでもいいから“鍵”を使うことになるんだが……今オレ達の手元にある鍵は自分達の泊まる部屋の鍵しかない。借り物の鍵を使い捨てるワケにはいかないだろう」



 「隊舎の鍵はアイナ女史に預けてきたからな」と付け加えて、イクトさんはフェイトに向けて肩をすくめる……何かわからないけど、イクトさんの手は使えないってことか。



「アルトアイゼン、ドアのロックのコンピュータに侵入して開けるっていうのはムリかな?」

《キャロさん、また大胆な方法を考えますね。ですが、それはやめておいた方がいいと思います。
 ここのロックは、それ対策が施されている物ですからね。ジュンイチさんやジーナさんならともかく、私などでは下手を打てば警察沙汰ですよ。やはり、ここはドアを破壊して……》

「だから、キャロもアルトアイゼンもどうしてそういう物騒な話をするのさっ!?
 あと、ドアのロックにハッキングするより、ドアを破壊する方が絶対に騒ぎになるっての!」

「そうだよキャロ。ガラスだったら、魔法を使わなくても割れるし、警報装置も大丈夫みたいだし。
 さっきも言ったけど、瞬間詠唱・処理能力持ちのヤスフミが修復魔法を使えばわからないよ」

「フェイトさんもその考えはやめてくださいっ! というか、局員がそんなことしちゃマズイですよっ!
 いや、そもそもこんな話になること自体がおかしいからっ!」



 うむぅ、ジャックプライムは昔からだけど、エリオも意外とツッコミキャラなんだよな。うん、これは僕は楽できるな。



「しないでよっ! どうして途中から適当に傍観してるのっ!? お願いだから一緒に考えてっ!」

「じゃあどうしろっていうのさっ!? ハッキングもダメ、破壊もダメじゃ、手段のとりようないでしょうがっ!」

「あ、でも問題ないかも。私とキャロも、この部屋で寝ればいいんだよ」

「あ、そうですね。それなら、ドアも窓も壊さなくていいですよっ!」





















 今、フェイトがすごくうれしそうに発言した。キャロも、とてもうれしそうに同意した。

 それを、僕らは聞き逃すことなどできなかった……よし。





















「恭文、ネカフェって近くにあったよね」

「うん、帰る時に何件か見かけたから」

「よし、ならばそこ行こうか。オレ達は男だし」

「ジャックプライム。オレ達はシャープエッジ達のところに世話になるか」

「そうだね。ボクらはトランスフォーマーだし」



 いい感じで話がまとまったので、部屋の外に出ようとすると……僕とイクトさんはフェイト、エリオとマスターコンボイはキャロに手を捕まれました。

 …………おのれ、ジャックプライム。ひとりだけ助かりおって。逃げずに待っててくれてるけど。



「何? 僕は早くネカフェに行って、幽○白書を全巻読破したいんだけど」

「放せ、キャロ・ル・ルシエ。オレもシャープエッジやアイゼンアンカーと旅先における深夜の最終決戦・枕投げに全力を尽くしたいんだ」

「そんなのダメだよっ! ほら、せっかくなんだし、一緒に寝ようよ」

「そうですよ、兄さんもっ!」

「……エリオはまだいいさ。僕らは男だよっ!? つか、どこで寝ろっていうのさっ!」

「僕だってイヤだよっ! お、女の子と一緒の部屋はさすがに……」

「エリオくん、他に女がいるのっ!?」



 そうなのっ!? うわ、意外とプレイボーイだね、おいっ!



「いないよっ! というか、女もいないよっ! キャロ何言ってるのっ!?」

「エリオ、正直に言った方がいいと思うよ?
 こういうのは、ちゃんとしないとダメ。キャロだって、正直に話せば納得してくれるよ」

「だから、いないって言ってるじゃないですかっ! というか、フェイトさんまでノらないでくださいっ!」

「エリオ何言ってるのっ! 戦いはノリのいい方が勝つんだよっ!?」

「それがここで飛び出す意味がわかりませんからっ! というか、本当に落ち着いてくださいっ!」



 大変だね、エリオ。じゃ、そういうことで……



「フェイト、なんで放してくれないのっ!?」

「そうだぞ、テスタロッサ!
 ここでお前が放せばすべて解決するんだ!」

「せっかくの旅行で、ヤスフミ達だけ勝手なんてダメっ!
 ……一緒に寝ようよ。その、迷惑は絶対かけないから。
 みんな一緒に『川』の字……は画数が足りないから、えっと……『河』の字でっ!」

「待て! その配置は誰がどこだっ!?」





















 ……結局、僕達の抵抗など無意味だった。





 ベッドを二つ並べて、マットレスを駆使して境目のでこぼこを埋める。

 並び順は左からマスターコンボイ、ジャックプライム、僕、イクトさん、エリオ、キャロ、そしてフェイト。





 ……いやいや、意味がわからないしっ! なんでベッドがしこたまあるのに、まとまって寝なくちゃいけないんだよっ!? ベッド動かしてまでっ!





 なお、抵抗は無意味でした。フェイトが、どうしてもそういう風に寝てみたいと言い出したのです。

 まぁ、エリオとキャロが間に入るワケだし、大丈夫と思って納得を……





 パジャマなどがなかったので、フェイトは購買で買いました。

 結構真剣に選んでました。普段はネグリジェだそうなので。

 キャロには、あえてエリオの予備のパジャマを貸しました。

 女の子が、男の子の服を借りて着るのは、萌えだからです。

 『あの、エリオくん……似合うかな?』って、上目遣いで見られながら言われた時のエリオは、茹蛸騎士でした。

 フェイトが、それを見て子供の成長に感動したのか、泣いてました。

 とりあえず、イクトさんと二人でチョップしてやりました。

 痛がっていました。

 で、フェイトとキャロは、着替えはお風呂場でやりました。

 着替えている間、すごく居心地悪かったです。

 僕らそろって頭を抱えてましたさそりゃ。





 とにかく、フェイトにだけは、極力目を合わせないようにした。うん、絶対に。










「それじゃあ……お休み。ヤスフミ、イクトさん。エリオ、キャロも……マスターコンボイにジャックプライムも」

『はい、おやすみなさい……』

「おやすみ。フェイト……」

「って、ボクパートナーなのに名前一番最後っ!?」

『ジャックプライム、うるさい』

「………………はい」





 そんなやり取りをしながら、僕らはベッドに入る。



 ……もちろん『河』の字じゃないよ? ちゃんとみんな並んで寝てる。言ってみれば『州』の字……あ、画数ひとりぶん足りないや。





 とにかく……お酒が入っていたということもあり、僕は……すごく気持ちよく夢の中へと突入した。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 わたしは、ゆっくりとベッドから抜け出す。





 だって……トイレだから。





 それで、なんやかんや(なぎさんに、こういう言い方をするとみんな納得してくれるって教わった)して、戻ってくると……あれ?





 フェイトさん、エリオくんのとなりにきちゃってる……





 あ、エリオくんに抱きついて……ちょっとイラってする。



 まぁ、いいか。今日はみんなで寝てるんだし、少しくらいは……ね。





 わたしは、さっきとフェイトさんと位置を入れ替える形でベッドに入る。そしてそのまま、眠りについた。





 ……やっぱり、幸せ。





 だって、こういうのって家族みたいだから。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……目が覚めた。だって、トイレに行きたくなっ……あれ?





 なんか暖かくて……えぇっ!?





 な、なんで僕フェイトさんに抱きしめられてるのっ!?





 叫びそうになる気持ちを必死に抑える。

 そして……フェイトさんを起こさないようにして、その腕から抜け出す。



 あー、ビックリした。というか、どうして?

 だってキャロが……あ、いつの間にか位置が入れ替わってる。



 何があったんだろうと頭を捻りながらも、僕はトイレに行く。



 それで、中でなんやかんや(アルトアイゼンが、言いにくいことでも、こういう言い方をすると、みんな納得してくれるって教えてくれた)とした。





 戻ってくると……あれ。





 フェイトさん、寝返りでも打ったのかさっきまで僕が寝てた場所に来ちゃってる。





 つまり……イクトさんのとなりに。



 これ……けっこうマズイんじゃないかな? 具体的には……うん、恭文が。



 だって恭文、フェイトさんのことが好きだから……イクトさんのこと、けっこう気にしてるんだよね。





 どうしよう? 間に入るにも狭いし、起こすワケにもいかないし……











 …………ゴメン、恭文。今度何かフォローするから。



 そして、僕はまたベッドに入る。今のところ唯一空いてる、キャロのとなりに。





 ……キャロも、ビックリするかな?





 でも、それはまぁいいや。



 ちょっとひっかかるものはあるけど……それでも、すごく幸せだから。





 だって、本当に家族みたいなんだから。





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………むぅ。



 不意に目が覚めて、ベッドの上で身体を起こす。

 理由は……まぁ、生理現象というヤツだ。





 やれやれ、この歳になって、尿意で起こされてしまうとは。酒を勧められないと安心して、茶を少し飲みすぎたか…………ん?











 ちょっと待て。










 なぜテスタロッサがオレのとなりで寝ている?





 そしてなぜ、テスタロッサとキャロにはさまれる形になっているエリオに抱きついている?











 これは、起こした方がいいのか……? だって、エリオのヤツが何やらうなされているし。











 …………いや、いいか。



 結局のところは単なる寝相だ。犠牲になっているエリオには悪いが、これも家族での雑魚寝の醍醐味とでも思ってもらうことにしよう。





 それに……オレに抱きつかれなくてよかったとも思うし。

 オレとて男だ。そうなればうれしくないとは言わないが……いろいろと世話になっているテスタロッサを鼻血まみれにはしたくないからな。





 そんなふうに自己完結しつつ、オレはトイレに行き、なんやかんや(悪いがこれで納得してくれ。具体的に語ると、食事しながら読んでいる読者が恐ろしいことになるからな)と済ませた。



 そして、戻ってきて………………おいおい。



 テスタロッサめ、今度は寝返りを打って反対側……つまりオレがさっきまで寝ていた場所に陣取ってくれている。



 解放されたエリオは穏やかな寝顔で眠っているが、これではオレが移動するしかないか……起こすワケにもいかないしな。



 軽くため息をつき、オレはテスタロッサとエリオの間に入ることにする。











 しかし……家族、か。



 家を出てからこっち、久しく忘れていたな、こういうのも。





 今度……エリオ達をオレの実家に連れていってやるのも、悪くはないかもしれないな……









 ………………だが、この配置……妙に緊張するのはなぜだろうな?





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……腕の中に、温もりを感じる。





 すごく暖かくて、優しくて……私がずっと前から知ってる温もり。





 何度も抱きしめてるその温もりに気づいたところから、私の眠りは覚めた。





 ゆっくりと重いまぶたを開ける……するとそこにあったのは、栗色の髪の男の子。





 私を強く抱きしめてくれる腕の感触に、少しだけ胸が熱くなる。



 だって、必要としてくれてるってことだと思うから。







 でも、どうしてヤスフミが私のとなりに?





 だって、エリオとキャロ、イクトさんが間にいたはずだし。





 ……あれ、私、ベッドの一番端の方にいたはずなのに、位置が変わってる?





 今の私の位置は、イクトさんと恭文にはさまれる形で……あれ? どうして?











 …………まぁ、いいかな。





 きっと、なんやかんや(ヤスフミが、こういう言い方をすると、いろんなものが納得できるって教えてくれた)あったんだよね。





 それに、ヤスフミとこうして寝てるの、初めてだし、ビックリしちゃったけど……別にイヤじゃないから。





 だって、かぞ……





「フェイト」





 腕の中の男の子が、小さくつぶやいた。





 起こしたのかと思って、その子を見る。





 だけど、その様子はなかった。





 もしかして……夢の中に、私が出てる?





 なんだか、ちょっとうれしい。





「好き……」





 ヤスフミの、私を抱きしめる腕の力が強くなる。





 そうしながら出てきたのは、いつも、本当にたくさん言ってくれている言葉。





 いつでも、どんな時でも、好きで、特別で、大事で、守りたいと言ってくれる。





 こんな私のために、たくさん力になろうとしてくれる。





「僕……味方に……なるから……」





 うん、そうしてくれてるよね。





 小さな身体の中にある、たくさんの想いと力、その全部を青い翼にして、私を包んでくれる。





 いつも、感謝して……しても、してもし足りない言葉。





 だけど……なんでだろう。





 私は、その言葉達にいつもとは違う、胸を貫かれるものを感じた。





 それだけじゃなくて、すごくうれしくて……切なくて……





 口にした時のヤスフミの表情が、苦しそうで必死な感じがして……











「………………くぅ……」











 そんな私の背後から聞こえるのは、イクトさんの寝息。





 でも……どうしてかそちらも無性に気になった。





 ヤスフミのことを考えていたところに、ちょうど聞こえてきて……もちろん偶然なのはわかってる。けど、それでもなんだか、私に対して自分の存在を主張しているように感じられた。



 まるで……ヤスフミだけじゃない、自分だっている。そう訴えているような……







 何なんだろう? この感じ……



 どうして私は、ヤスフミの寝顔にこんなにドキドキしてるんだろう。



 どうして私は、後ろから聞こえるイクトさんの寝息がこんなにも気になってるんだろう?





 私は、ヤスフミを抱きしめる腕を解いて、二人のちょうど真ん中で改めて横になる。





 けど、二人がすごく近くて……そんな二人の存在がすごく気になって……そっと、二人に手を伸ばして、二人の手を優しく握った。





 そうすると、なんだかすごく安心できて…………もう一度眠りにつくまで、ずっとその手のぬくもりを感じていた。





















 そして、それから数時間後。





 目を覚ましたヤスフミとキャロが、状況にビックリして大騒ぎになった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……翌朝、フェイトとキャロの部屋は、ホテルの人達がなんやかんやとしてくれたおかげで、無事に開くことになった。





 だけど……だけど……!











 なんであんな状況になってたんだよっ!?





 フェイトが僕のすぐとなりで寝てたと気づいた時に、僕がどんだけ肝を冷やしたとっ!?

 しかも、フェイトも意外と普通に……してなかったな。なんか、ちょっとだけ顔赤かった。なんだろ、あれ。





















《……まぁ、アレですよ。なんやかんやしちゃったんですよ》

「あぁ、なるほ……納得できるワケないでしょぼけっ!
 フェイト、端っこで寝てたんだよ。それがどうして真ん中まで侵攻してきてんのさっ!?」

「そ、そうだよっ! ……わたし、もうお嫁にいけないっ! だって、エリオくんが……あんな……あんな……」





 そう、頭を抱える状況は僕だけじゃなかった。キャロもだ。

 エリオに抱きしめられる形で眠っていたからさぁ大変。



 しかも、目が覚めた時にちょうどエリオが作為的な寝返りを打って、覆い被さってきたし。





「作為的じゃないよっ! というか……ごめん」

「あ、あの……大丈夫だよ? ほら、私達は……」

《フェイトさん、その一言で片づけられない事って、多いですよ?》



 うん、多いの。だから僕もドキドキしてる。



 だって……フェイトと、あんな近くで寝たのなんか初めてのことだから。





「けどさ……イクトさんもすぐとなりで寝てたんだよね?
 大丈夫だったの? いつもだったら鼻血の海で溺死するコースだと思うんだけど」

「ジャックプライム……一度オレのことをどう思っているか、とことん話し合う必要がありそうだな。
 …………まぁ、大したことではない。夜中に一度目が覚めてな……その時にだいたいの状況を把握していた。
 覚悟があれば、いくらオレでもそれ相応には耐えられるというものだ」

「いちいち耐えなければ危ないという時点で弱いな、貴様……」

「マスターコンボイは少し黙れ」





 そう、エリオとキャロ、そしてイクトさんの証言により、フェイトがなんやかんやとして、僕のとなりに来たそうだ。そして、あの状態……





「ね、ヤスフミ」

「何?」

「……ううん、なんでもない。ほら、いこう? みんなへのお土産、買いに行かなきゃ」





 ……フェイトが、ニッコリと笑って、出口を目指すために、歩速を上げる。エリキャロもそれにならう。なんやかんや言いながらだけど。



 僕もそれについていく。だけど、ちょっとだけ気になった。さっきのフェイトの表情が、どうしても引っかかった。



 真剣な顔だったから。何……言いたかったんだろ?





















 その後、再び市場に向かう。特産品売り場なんかも併設されていたので、そこを回る。



 まー、そこもなんやかんやとしながら……え、ダメ? わかったよ。じゃあ、本当にちょこっとだけね?





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ふむ……ティアナ・ランスターにはどうしたものか……
 スバルは特産品の食い物を適当に見繕えばいいが、アイツはそうもいかないからな……」

「パートナーなのに扱い悪いなぁ、スバル……」

「………………? ジャックプライム、何を言っている?
 あのスバルが、こんな程度の扱いで凹むとでも思っているのか?」

「…………信頼があるのかないのか、微妙だなぁ……」



「さて……ウミとカイの土産の肉は配達を頼んだことだし、ロードナックルやジェットガンナーには何が良いか……」

「なんでもいいよ。めんどくさいし」

「いや、よくないでござるからっ!
 ほら、めんどくさがってないで、兄者も選ぶでござるよ」





 トランスフォーマー組はマスターコンボイやジャックプライム、アイゼンアンカーとシャープエッジに分かれてお土産を物色中。



 つか……個性出てるね。スバルを食べ物で釣るのが前提のマスターコンボイとか、真っ先にウミとカイ用の肉を買いに走るシャープエッジとか。





 で、僕達も……





「……まぁ、オレからはこんなものか。
 蒼凪、そっちはどうだ?」

「こっちもみんなの分はあらかた。
 ……えっと、次はサリさんとヒロさんの分か」

「ね、ヤスフミ。そのサリさんっていうのも、お友達?」

「うん、ヒロさんの同僚。というか、ヒロさんと一緒に知り合ったの」

「……そっか」



 まー、お土産に関しては、事前にアレがいいとかコレがいいとかリクエストは受けてるしね。問題は……あれ、エリキャロは?



「うん、あそこで一緒におみやげ選んでる」



 フェイトが指さした方を見ると、本当にすぐ近くで、ガラス工芸の品を見ている。すごく楽しそうに。

 うむぅ、さっきまでちょこっと微妙な空気だったのに。子供の順応力はすごいなぁ。すぐに仲直りできるんだから。

 ……というか、フェイト。あとイクトさんも。



「何?」

「どうした?」

「いいの? 口出し……というか、一緒に選んだりしなくて」

「しないよ。というか、アレは二人が買うお土産だよ? 私が一緒に選んだり、自分からアドバイスしたらダメだよ」



 ……ウソ、フェイトがすごいまともだ。正直私、信じられませんよ。



《間欠泉から、充分に距離が離れていたにも関わらず、守ろうとしてソニックムーブを使った女性と同一人物とは思えませんね》

「まったくだな」

「そ、それは言わないでー!」



 ギャグ顔で慌てふためくフェイトを横目で見ながら、お土産を……あれ、通信?



『やっほー! やっさん、お休み堪能してるかな〜♪』



 ……僕がなんにもしてないのに、通信立ち上がるってどういうことだろ。



「堪能してますよ。つか、どうしたんですか。ヒロさん……だけじゃなくて、サリさんまで」

『いや、お土産のリクエストの追加でもさせてもらおうと思ってな』





 今つながった通信モニターに映る一組の男女。



 白いセミロングの髪を、二つに分けている柔らかい顔立ちの女性。こちらが、ヒロリス・クロスフォード。



 そして、そのとなりにいる黒色の少し長めのざんばらな髪の男性が、サリエル・エグザ。



 今まで何度か話しているけど、僕の友達。本局の、特殊車両開発局で働くスタッフさんである。なお、オタク。





「あぁ、それなら丁度よかった。今選んでるとこだったんですよ」

『お、そうか。じゃあ悪いんだけど、今、メールでリスト送ったから、それもお願い。
 わからないようなら、そこの店員さんなり、市場の人なりに聞けばOKなはずだから』

《また手際のいいことで……今確認しました。間違いなく送りますので……というか、開発局宛で本当にいいんですか?》



 だって、お酒もそうだし、事前のリクエストの中に生ものとかもあるのに。



『……やっさん、アルトアイゼンも、コイツにそれ言って意味あると思う?』

「……ありませんよね」

《あるワケがないですよね》

『何さアンタらっ! 私をなんだと思ってるっ!?』

「……あの」



 僕達がそんな楽しい会話をしていると……フェイトがやたらとかしこまっていた。



『ほえ?』

「……なんでヤスフミも含めて不思議そうな顔をするの?
 あの、ヤスフミのお友達……ですよね。ヒロさんに、サリさん」

『あぁ、そうだけど……やっさん、この怒りを感じるほどにナイスバディなおねーさんはだれ?』

『……ヒロ、自分がないからってそんなこぐべはっっ!』



 あ、画面の中のサリさんが吹き飛んでフェードアウトした。相変わらず良い攻撃するなぁ。



「あ、申し遅れました。私、現在は機動六課の分隊長を務めている、フェイト・T・高町です」

『……あぁ、思い出したっ! そうだそうだ、広報誌で見たことあるよっ!
 本局の航行部隊の切り札、あの高町なのは、八神はやてと並ぶ“トリプルブレイカーズ”の一角で、プライベートだとネジの外れた天然ってウワサのっ!』

「た、多分それです……」



 本当にそういうウワサ出てるしね。すごいよね、管理局って。



『あと……そっちのおにーさんは?』

「あぁ、自己紹介が遅れたな。すまない。
 六課に協力者として滞在している、炎皇寺往人という」

『炎皇寺……あぁ、ジュンイチが前に話してた』

「なんだ、柾木と知り合いか?」

『まぁ、やっさんつながりでね。
 いろいろ聞いてるよ。機械音痴だとか方向音痴だとか鼻血の海で溺死するキャラだとかその他いろいろ』

「………………よし、帰ったら模擬戦であの男をつぶす」



 なんかイクトさんが殺気立ってる……やめとけばいいのに。どーせいつもみたいに遊ばれて終わるのがオチなんだからさ。



『いやぁ、初めまして。本局の特殊車両開発部の開発主任、ヒロリス・クロスフォード。
 で、さっき吹っ飛んでそこで机とディープキスしてるのが、副主任のサリエル・エグザ。やっさんとは友達やらせてもらってる。よろしくね』

「あ、はい。よろしくおねがいします」

「こちらこそ」



 3人してお辞儀しまくりである。うむぅ、ヒロさんがちゃんとしてる。奇跡だ。



《いえ、奇跡ではないでしょう。敬語じゃありませんし》

『はい、そこうっさいよっ!?
 ……あー、やっぱこう言う場合は敬語使った方がいいのかな? かたやエリート。かたや開発局のしがないスタッフだし』

「あ、いえ。問題ありません。あの、おすすめのお店、本当に美味しかったです」

『あ、ならよかった〜。あそこ小汚いからさ、少し人を選ぶから、どうなるかなって思ってたの。喜んでくれたならうれしいよ』

「心配は無用だ。店の見た目で味を評価するような安物の舌を持ち合わせた覚えはないからな」



 本当にうれしそうな顔で笑うヒロさんに、フェイトやイクトさんも笑顔で返す……つか、こうやって係わり合いを持たれるとは思わなかったな。



「それと……って、順番が逆かもしれないんですけど、ヤスフミがいろいろお世話になっているようで……本当にありがとうございます」

『あー、いいっていいって。
 つか、色んな意味で有名な嘱託魔導師であるやっさんの現場行動への協力って名目だと、いろいろ好き勝手やれるしさ。
 うちらとしては、むしろ助かってるくらいなのよ〜♪』

「そ、そうなんですか……」

「というか、それで話が通るものなのか……?」



 ……うん、そうだよね。もちろん普通ならそれで黙らせたりなんてできないよ?

 でもね、ヒロさんって、“権力なし”でも“権力有り”を黙らせられるの。どうやってかって?

 とーぜんなんやかんやしてだよっ!



『いやー、でもやっさん』

「なんすか?」

『……がんばりなよ。こりゃ、とてつもなく大変だ。
 でも、アンタはアンタのノリを通せばいい。どんな状況でも、最初から最後まで、徹底的にクライマックスでね』

「……はい」



 フェイトとイクトさんが不思議そうな顔してるけど、そこはいい。ま、そうだよね。大変だけど……やることは、ひとつなんだから。



『ま、そういうワケだから、お土産よろしくっ! あと、やっさんもフェイトちゃんもイクトくんも、旅行楽しんでね。 そいじゃあまた〜♪』



 そうして、通信は終了。少しだけ、僕達の周りは静かになった。



「……あ、今度あいさつに行きますっていうの忘れてた」

「するつもりなのっ!?」

「当然だよ。だって、本当にお世話になってる人達なんだよね? だったら、ちゃんとしないと。それに……」

「それに?」

「なんか、最近ヤスフミと距離感じるし」



 ……え、距離って何がよ。普通にしてるのに。



「いろいろと感じるの。だから、もしあの人達に会いに行くなら、私も同行する。本局なら、名目はいろいろとつけられるしね」

「……りょーかい」

《大変な事になりそうですね、マスター》



 だね。あー、なんにも起こらないといいけど。











 とにかく、こんな話をしつつも僕達はお土産を購入終了。

 もちろん、持ち歩くワケにはいかないからそれらは隊舎宛てで配送をお願いする。あ、ヒロさん達は本局の方ね。



 その足で早々に中央本部へと向かい、本局に入る。

 なお、ヒロさん達には会いに行かない。だって、こっちの時間の都合があるのよ都合が。





 なぜならこれから僕達は……里帰りするのだから。





 目的地は、第97管理外世界。惑星名称は地球。



 そう、これから目指すべき場所は、その星の小さな島国の小さな海沿いの街。







 そして……僕らの故郷だ。





















(第20話へ続く)





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回予告っ!


スバル「うぅ……マスターコンボイさぁん……」

ティアナ「何よ、まだ凹んでるの?
 いいじゃない。たまには羽を伸ばさせてあげれば」

スバル「でも、マスターコンボイさんのパートナーはあたしなのに……
 なのに…………マスターコンボイさんだけご当地のおいしいもの食べに行っちゃうなんて!」

ティアナ「アンタが気にするところはそこなのね……」





第20話「男には、無意味とわかっていても通さなきゃならない筋がある」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



オメガ《さて、ミス・フェイトがベッドの上でゴロゴロと転がっていた19話です》

Mコンボイ「いや、メインに挙げるのがそれか!? もっと他にあるだろう!」

オメガ《え? あるんですか?》

Mコンボイ「迷うことなく断言した!?」

オメガ《だってそうでしょう。
 本家『とまと』でミスタ・エリオやミス・キャロを乗り越えミスタ・恭文にたどり着いたのに、こちらではそこにミスタ・イクトまで加わっているんですから。
 距離にして三人分、どれだけ転がってるんですか》

Mコンボイ「確かに、そこは否定できんか……
 となると、間にオレが入った方がよかったのかもしれんな。オレならば用便に目覚めることもないしな」

オメガ《ですね。
 前回かわいらしい寝ぼけ姿を見せてくれたボスならば、そう簡単には起きないでしょうね》

Mコンボイ「あの醜態についてそれ以上語るなっ!」

オメガ「まぁ、それ以前にその案には致命的な問題がありますが」

Mコンボイ「何だと?」

オメガ「仮にボスが間に入ってミス・フェイトの侵攻を阻止したとしても……今回ミスタ・エリオが二度に渡って犠牲になったミス・フェイトの抱き癖がボスに対して発動した場合、ボスはミスタ・恭文からにらまれることになるでしょうね」

Mコンボイ「よし、彼女には寝相の悪さを存分に発揮してもらうとしよう」

オメガ《変わり身早いですねぇ……
 さて、それでは次は『GM』シリーズの紹介にいきましょうか。
 とりあえず、前回でディセプティコンの幹部クラスが一通り紹介が終わったワケですが……》

Mコンボイ「『ですが』……何だ?」

オメガ《下っ端のフォワード連中、紹介する必要……あると思います?》

Mコンボイ「またぶっちゃけたな、貴様っ!?」

オメガ《まぁ、レッケージやバリケードはいいですよ。それなりにキャラ立ってますし。
 しかし、ブロウルやボーンクラッシャーはどうですか。『バカ』以上の説明がボスにできますか?》

Mコンボイ「………………できんな」

オメガ《でしょうね。
 やるにしても十把ひとからげで一気に終わらせるべきでしょぅね……ディセプティコンの紹介だけでもう5週も使ってるんですし》

Mコンボイ「いきなりメタな話題に切り替わったな」

オメガ《まぁ、そこはいいですよ。
 そんなワケで、基本やられ役なディセプティコン・フォワードをまとめて紹介です!》





レッケージ

出身:ミッドチルダ

所属:ディセプティコン

トランスフォーム形態:高速型装甲車

声のイメージ:山野井 仁(『マイ伝』スタースクリーム)

備考:ディセプティコン・フォワードのフォワードリーダー。
 沈着冷静な上に責任感も強く、我の強いディセプティコン・フォワードを見事にまとめている。





バリケード

出身:ミッドチルダ

所属:ディセプティコン

トランスフォーム形態:パトカー

声のイメージ:岡本信彦(『禁書目録』一方通行)

備考:ディセプティコン・フォワードのひとり。
 レッケージと共にジェノスクリームをサポートし、地上戦の要となる。





ブロウル

出身:ミッドチルダ

所属:ディセプティコン

トランスフォーム形態:戦車

声のイメージ:長嶝高士(『アバレンジャー』爆竜ティラノサウルス)

備考:ディセプティコン・フォワードのひとり。
 砲支援担当だが力押し一辺倒。ディセプティコンのバカ要員その1。





ボーンクラッシャー

出身:ミッドチルダ

所属:ディセプティコン

トランスフォーム形態:地雷除去車

声のイメージ:高口公介(『ゴセイジャー』筋グゴン)

備考:ディセプティコン・フォワードのひとり。
 あまり物事を考えず、戦いや暴れることが大好き。ディセプティコンのバカ要員その2。





オメガ《…………ホント、一番下の二人はバカ以外のコメントが難しいですね》

Mコンボイ「手厳しいことだな。
 確かにヤツらはバカだが、バカだからこその突撃が怖いというのに」

オメガ《おや、意外に買ってるんですね、あのバカども》

Mコンボイ「実戦闘能力はあなどれるものではないからな。
 バカだからそれを発揮しきれないだけで、ヤツらが実力を真に引き出せば、決してあなどれるものではない」

オメガ《言いたいことはわかりますが……キャラ紹介をネタに相手をこき下ろすこのコーナーでそんなマジメな話をされても困るだけなのですが。
 そういうことは本編でやってくださいよ、本編で》

Mコンボイ「いつの間にか紹介コーナーの趣旨が変わっている!?」

オメガ《え? 最初からそうじゃありませんでしたっけ?
 ……まぁ、そんなボスのカン違いはともかく、今週もそろそろお開きの時間とあいなりました。
 それでは、また次回お会いいたしましょう》

Mコンボイ「次回もよろしく頼む」





















Mコンボイ「………………あれ、いつの間にかオレがカン違いしてることになってる!?」





(おしまい)






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