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頂き物の小説
第17話「話してわかることがある。一日一緒にいても、見てるだけじゃわからないこともある」:2



 僕らが連れ込まれたのは、行き止まりになっている路地裏。と言っても、道幅は結構広い。車一台分くらいなら入れそうだ。

 普通なら、数も多いし、相手は凶器持ち。絶体絶命な状況。もちろん、普通なら……



「ずいぶん楽しそうじゃねぇか坊主。こんなキレイな彼女を連れて歩いてよ?」



 僕達……というより、ティアナを品定めするような目でこちらを見ている悪党その1。

 顔だけ振り向きながらその様子を見ていると、他の連中も下種な笑いを浮かべている。

 いや、よかったねティアナ。キレイだそうだよ?



「つーワケで、お前にはもったいないからよ」



 どういう意味だ。



「このねーちゃんはオレ達で遊んでやるよ」

「だなっ! 姉ちゃん、オレ達と楽しいこと、しようぜ〜?」

「大丈夫大丈夫、オレ達、すっげー優しいからっ! ひゃははははっ!」



 ……要するに、ティアナで『自分達だけが楽しいこと』をしようとしているワケだ。ちょうどいいタイミングだったのかな?

 強盗だけで終わらせるのに飽きて、行動内容のエスカレート。よくある話だわ。まったく、不覚にも関わってよかったとか思ったじゃないのさ。



 そんなことを思って、悪党その2・3・4の話に耳をかたむける。



「おいおい、そんなことしちゃったら、オレ達犯罪者だぜ?」

「いいじゃねぇか、どっちみち、強盗したりしてるし……犯罪者なんだしさっ!」



 僕達に対して、ナイフを突きつけてきている悪党その5・6が、耳障りな言葉を並べると、その他のヤツらも、それに乗るように楽しそうに笑う。



「ひょっとして、カップルばかり狙っている強盗って……い、イヤだ……助けて……」



 少し、怯え気味な色をつけくわえて、僕はそう聞いてみる。確認は大事ですよ。間違ってたらアウトだし。

 そしてティアナ、ちょっと笑いそうになるなっ!



 とにかく、返事は後ろにいる悪党その5、その6から返ってきた。



「そうだよ……くくく、楽しいぜぇ、幸せそうにしている、お前らみたいな連中をこういうとこに引きづりこんで、じっくりといたぶるんだよ」

「そうすると、女の方とかが、涙目で『もうやめてください!』とかいいやがるんだよっ! 
 それが楽しくて楽しくて……やめられねぇよなぁっ!」



 …………うん。報告にあった通りのバカで助かるよ。



 おかげでこっちとしても遠慮なくぶちのめせる。と、ゆーワケで……





















「話は、聞かせてもらったぞ」





















 ………………へ?





 突然の声は僕らのものでも悪党どものものでもない。しかもビルの谷間に反響して出所もわからない。僕らだけじゃなくて、悪党どもも突然の乱入者の姿を探して辺りをしきりに見回している。



 けど……この声、なんか聞き覚えのある声なんだけど。



 そんな僕らの元に、再び声が響く――





「理もなき力におぼれ、力なき者をいたぶるその所業。
 この目でしかと、見届けさせてもらったぞ!」





「おい、あそこだ!」



 最初に気づいたのは悪党その3。ヤツの指さした先に、ソイツはいた。











 ………………あのー、その右手に握る大剣に、ものすごく見覚えがあるんだけど。











 けど……それ以上に度肝を抜いたのは、ソイツの顔を覆う、覆面と思われる……











「たとえ法の目を逃れようとも――」











「この仮面ライダーロ○ソンが逃がしはしない!」











 目のある辺りに穴を開けた、ローソ○の買い物袋。





 ………………何してんの、マスターコンボイぃぃぃぃぃっ!?







「てめぇ、何者だっ!?」



「今名乗っただろう! 仮面ライダー○ーソンと!」



 …………まぁ、何も知らない悪党どもにはインパクト大か。問いただす悪党その4に、仮面ライダーロー○ンことマスターコンボイは堂々とそう答える。

 つか……ノリノリだね。正体バレてないと思って開き直ってる?



「貴様らの悪行もここまでだっ!
 とうっ!」



 しかし、僕達のそんな困惑をよそに、マスターコンボイは跳躍。こちらに向けて跳び下り――ようとした瞬間、





「…………む?」





 マスターコンボイは現在ヒューマンフォーム。つまり人間の姿だ。

 当然、僕らと同じように服を着ている――具体的には下はジーンズ、上は半そでのシャツに袖なしのジャケットという、この時期に着るにはちょっと寒そうな格好。



 で……そのシャツの袖口が、すぐ脇を走っていたパイプの留め金、そのボルト部分に引っかかった。





「………………あ?」





 予定外の力が加わり、マスターコンボイの身体は空中でおかしな方向にかたむいて――





「…………ぶぎゃっ!?」





 左右の壁にあちこち、とりわけ頭を再三ぶつけまくりながら落下。しまいにはつぶれたカエルのような悲鳴と共に頭から地面に落下――いや、“墜落”した。











 ………………

 …………

 ……











 くっ、空気が……空気が痛いっ!



 地面に叩きつけられたマスターコンボイはピクリとも動かない……一転して気まずい雰囲気となったその場で、誰も、何も言えないし、何もできないでいる。





 だから……





「えいっ」





 そのスキを逃がさずに動く――僕は懐から一枚のカードを右手で取り出す。金属製の、さく○カードサイズの薄いカード。





 それを、片手で空へ放り投げるっ!





 これらの行動は、すべて一瞬の事。まるで、銃の早抜きのようなスピードで懐から取り出されたカードが、宙を舞う。





 次の瞬間、男達と僕とティアナ、あと目を回しているマスターコンボイがいた空間を、金色の雷撃が埋め尽くした。



















 ……その雷撃は一瞬だった。

 その場にいたすべての人間を打ち貫き、蹂躙し、踏みつける。そして、男達は倒れる。





 ま、復活されると厄介だしね。これくらいはさせてもらう。










 マスターコンボイが巻き込まれたけど………………うん、気つけ薬ということにしておこう。










「……で、ティアナ。大丈夫?」

「当然よ。つか、合図なしってどういうことよ?」

《私がクロスミラージュには合図を送っておきました。問題はありません》



 そう、僕達はあの雷撃の中、平然と立っていた。

 もちろん、ナイフを突きつけられていたので、その辺りの安全を、フィールド系魔法を使用して確保した上で。

 なぜこうなるのか? 簡単である。だって、事前に打ち合わせしてたし。



 ティアナとクロスミラージュには、今の電撃を完全に無効化できる、魔力フィールドの構築データを事前に渡してある。

 それを発動させれば……ノーダメというワケだ。当然、僕とアルトもね。

 いや、フェイトには感謝だよ。それができるように、あえて小さな穴を作る形で、魔法組んでくれたんだから。





「あぁ、一応言っておくね」





 僕はニッコリと笑い、ピクリとも動かない男達に言い放った。





「お前らじゃ、僕らから追いはぎなんか絶対ムリだから♪」

「……倒しておいてなに言ってるのよアンタ」

「気にしないで」



 軽く肩をすくめて答えると、僕はクルリと振り向いて、



「で、そっちは大丈夫ー?」



「も、問題ない……っ!」



 僕のかけた声に、気がついたマスターコンボイがムクリと起き上がる……すでに買い物袋は吹っ飛んでいて素顔はむき出しだ。



 そう。むき出しなんだけど……



「…………もう、危険はないようだな。
 私の出る幕がなかったのは何よりだ。では、さらばだ」





 ………………あのさ、マスターコンボイ。





「な、何のことかな?
 私は正義と平和を愛する戦士、仮面ライダー○ーソン――」



「すでに頭から吹っ飛んでるビニール袋のことを思い出せぇぇぇぇぇっ!」



 どうやらこの期に及んでまだ正体がバレてないと思っていたらしい。猫を被り続けるマスターコンボイの頭を、僕は素早く駆け寄って張り倒す。



「ば、バカな……オレの完璧な変装が見破られるなど!?」

「アレのどこが完璧な変装なのよ……」



 ティアナの言うことはまったくもって同感だ。顔を買い物袋で隠しただけだし、何よりオメガなんかセットアップしてたらバレバレだよ。



「そうか、しまった!」

「気づいてなかったんかいっ!」

《あーあ、ようやく気づいたのか、ボス?》

「オメガ、貴様まさか気づいていたのか!?
 ならばなぜ教えなかった!?」

《何言ってんのさ。
 バレバレの変装でバレてないと思っていい気になってるボスを見るのが楽しいのに、なんでその楽しみを捨てなくちゃならないのさ?》

「やかましいわっ、貴様っ!」

《さすがですね、オメガ。
 素晴らしいデバイスに育っているようで私は先輩として鼻が高いですよ》

「アルトは何を喜んでるのさっ!?」



 あー、なんかもーグダグダだよ。

 もうさっさとアイツらしょっぴいて帰らない?



「そうね。
 ………………って!?」

『《………………っ!?》』



 ティアナの上げた驚きの声で事態に気づいた――倒した悪党のひとりが、身を起こしてヨタヨタと逃げていく。

 おいおい、あの電撃くらってもう復活したっての?



 まぁ、あんなフラフラじゃ、捕まえるのは苦労はないけど――











「ぎゃあっ!?」











 それは一瞬のことだった。



 逃げようとしていた悪党の首に白い何かが巻きついた。勢いよく引き寄せられたそいつはビルの壁に叩きつけられ、悲鳴と共に血ヘドを吐く。





 って、何さ、アレ!?



「あそこっ!」



 気づいたティアナが一点を指さし、僕やマスターコンボイもそちらに視線を向けて――見つけた。



 人の姿をしてるけど人じゃない――クモの特徴をその身に現した“怪人”の姿を。

 ソイツが、いつの間にかビルの間にクモの巣を張って、その中央に上下逆にぶら下がっている――そこから放った糸が、悪党の男を捕まえ、ブッ飛ばしたのだ。



「…………お友達?」

「そんなワケないでしょ」

「同じくだ。
 だが……オレもティアナ・ランスターも、アレが何なのか知っている」



 だろうね。六課のみんなは、“JS事件”中にコイツの同類とやり合ってるって聞いてるし。











 まったく……チンピラ強盗を捕まえに来て、どーして瘴魔獣に出くわしてるのさ、僕ら!?





「詮索は後だ!
 どの道放置するワケにはいかない相手だ!」





 っと、それもそうだね。

 マスターコンボイの言葉にうなずき、僕は気合を入れ直す。そしてそれはティアナも同じ。











「………………散れっ!」











 声を上げたのはマスターコンボイ。その声を合図に僕らは散開して――クモ瘴魔獣の放った糸が、僕らが一瞬前までいた場所の地面にピタリと張りつく。



「アルト!」

《わかっています。
 今まで出番がなかった分、クライマックスでブッ飛ばしますよっ!》



 相手が次の糸の狙いを定めるけど――遅い。僕はアルトをセットアップして、一気にクモ瘴魔獣へと斬りかかる。



 けど――届かない。まるで大きなゴムボールをバットで叩いたみたいに、弾力のある不可視の何かがアルトの刃を受け止め、押し返してしまう。



「ったく、相変わらず厄介なフィールドだね!」



 アルトを止めた不可視の何か、その正体はあのクモ瘴魔獣の持つ力、“瘴魔力”という生体エネルギーでできたフィールドだ。ジュンイチさん達は“力場”って呼んでるけど。

 僕らの魔法でも破れないことはないけど……僕の魔力量じゃ、ちょっと気合入れないと難しい。



「アンタ、瘴魔獣とやり合ったことあるの!?」

「ジュンイチさんと“友達”なんだよ、僕はっ!」

「なるほどねっ!」



 それだけの説明で理解してくれるのはありがたい。突っ込む僕をティアナが援護。放たれる糸がオレンジ色の魔力弾に蹴散らされる中、さっき以上に刀身に宿る魔力を研ぎ澄ませたアルトを瘴魔獣に叩き込む!



 一撃はあちらさんのフィールドを斬り裂き、届く――けど、浅かった。瘴魔獣の腹を薄く斬り裂いただけで、致命傷に至らなかった瘴魔獣は間一髪で後退。僕から距離を取る。





「逃亡先の――選定が甘いっ!」





 ところがどっこい。そっちにはすでにマスターコンボイが回り込んでいる――オメガの一撃が思い切り瘴魔獣をブッ飛ばす!



 けど――







「むぅっ!?」







 瘴魔獣も負けてはいない。ブッ飛ばされながらも口から糸を吐き出し、それがマスターコンボイにからみついて縛り上げてしまう。



 って、何やってるのさ!? マスターコンボイ!?



 アルトで糸を斬りに行ってもいいけど、そんなことしてる間に向こうだって仕掛けてくる。悪いけど、ミノムシ状態で地面に転がるマスターコンボイはリタイアと思わせてもらう。



「ティアナ! 援護お願い!」



「わかってる!」



 僕の声を待たずしてティアナが僕の周囲に発砲、僕の周囲を駆け抜けた魔力弾が瘴魔獣に襲いかかり――その直前がすべて爆発、四散してしまう。



 よく見ると、瘴魔獣の周囲に細い糸が幾重にも張り巡らされている。アレがティアナの射撃を防いだってことかな?

 もちろん、普通ならあんな細糸でティアナの魔力弾をどうこうできるとは思えない。何かしらの細工が伴ってると思っていいでしょ。



「そうみたいよ……見て」



 僕に告げて、ティアナが一発だけ発砲。放たれた魔力弾が糸の一本に向かい――炸裂した。

 といっても、魔力弾の爆発じゃない。魔力弾に触れるなり、糸そのものが爆発を起こして魔力弾を吹き飛ばしたのだ。



 おいおい……あの糸そのものが爆薬ってワケ?

 威力はそれほどでもなさそうだけど、魔力弾程度ならあっさり吹っ飛ばすくらいの威力があるのは見ての通り。少なくとも……あの中には突っ込みたくないね。



 けど……これじゃ向こうだってこっちに向けて攻められないはず。仮に同じ糸でこっちを攻撃しようにも、自分の身を守るために張り巡らせた糸のトラップがそれを阻むんだから。



 相手の出方が読めない。警戒を強めることぐらいしかすることのない僕らの前で、瘴魔獣はクルリと背を向けて――











「って、逃げたぁぁぁぁぁっ!?」











 あー、くそっ、読み違ったっ!

 よく考えればすぐわかるじゃないのさ。アイツにしてみれば、通行人を襲って怖がらせるだけでエネルギー源である“負”の思念を回収できるんだ。

 何か企んでるワケでも、僕らに恨みがあるワケでもないんだし、アイツに僕らに勝たなきゃならない理由なんかカケラもないんだ。厄介だと思ったなら逃げたって何の問題もないんじゃないか!



「ティアナ! この糸蹴散らせる!?」

「とーぜんっ!」



 僕に答えて、ティアナがクロスミラージュをかまえる。

 構築されていくのは砲撃魔法の術式――ティアナ、砲撃も手持ちにあったんだ。



「まぁね!
 それより、ハデに蹴散らすから、巻き込まれないでよ!
 ファントム、ブレイz











 けど、ティアナの砲撃が放たれることはなかった。











 例のクモ瘴魔獣が戻ってきたからだ。







 と言っても、自分の足で戻ってきたワケじゃない。こちらに背を向けたまま、豪快に宙を舞って……要するにブッ飛ばされてきたのだ。

 そのまま、自分の張り巡らせた爆薬な糸の中に突っ込む――まるで爆竹が鳴り響くみたいに爆発の嵐が巻き起こり、瘴魔獣の全身を打ち据える。





 そして……





「………………あれ、お前ら……?」





 現れたのは師匠だった。





「ヴィータ、どうし……って、恭文、ティアナ!?」





 しかもジュンイチさんまで!?



「なんでお前ら……って、そうか、例のデート、今日だったっけか」



 こっちに質問しておいて勝手に納得しているジュンイチさん……その後ろで、瘴魔獣がゆっくりと身を起こすけど、



「おっと、逃がさないぜ」



 上空からビクトリーレオが舞い降りてきてその逃げ道をふさぐ――ロボットモードで路地裏なんかに下りてくるからちょっとせまそうだ。ヒューマンフォーム持ってるんだから、変身したら?





「なんか、巻き込んじまったみたいでごめんなー。
 オレ達、こーゆー瘴魔を狩って回ってたんだけどさ」



 あー、そういえばここ数日、そんな用向きで師匠と一緒に出歩いてましたね。



「まさか、また巻き込まれてるなんてな。
 相変わらず間が悪いのか運が悪いのか……」

《両方だと思いますよ》



 はいっ、アルトは黙るっ!



「なるほどね」



 そしてジュンイチさんも納得しないっ!



「ま、それはそれとして……乱入、よろしいかな?」



 それよりも今は瘴魔獣だ。気を取り直して尋ねるジュンイチさんだけど……むしろこっちからお願いしたいところですよ。早く終わらせたいし。



「そだね。
 ヴィータはそこで簀巻きになってるバカコンボイのサルベージ。ビクトリーレオはそのまま壁な」

「こらっ! 誰がバカコンボイだっ!」



 マスターコンボイから抗議の声が上がるけどとりあえず無視。ジュンイチさんは左手を――その手首に着けた腕時計型のツールを見せつけるように頭上にかざす。

 そして――告げる。



「ブレイク――アップ!」



 その瞬間、ジュンイチさんの全身が真紅の光に包まれた。

 ジュンイチさんの力、精霊力がジュンイチさんの周囲を覆ったんだ。炎となって燃焼を始めるそれを振り払った後には、ジュンイチさんの身体には炎に映える青色の部分鎧タイプのプロテクターが装着されている。

 そして何より目を引くのが、背中の一対の翼――液体金属製のそれは、飛行ユニットであると同時にジュンイチさんの意思によって自在に形を変える武器でもある、その名もゴッドウィング。



 腰に差してあった愛用の木刀“紅夜叉丸”はすでにジュンイチさんの右手の中――ジュンイチさんの“力”によって分解・再構築され、もうひとつの姿“爆天剣”へと変化する。





「紅蓮の炎は勇気の証! 神の翼が魔を払う!
 蒼き龍神、ウィング・オブ・ゴッド!」




 気合を入れるように演舞を決め、ジュンイチさんが名乗る――いや、どこのヒーローですか、あなたは。



「るせぇよ。
 それより、さっさと叩くぞ」

「りょーかいっ!」



 まぁ、僕もここからはノッていきますかね。ジュンイチさんと共に、僕は勢いよく地を蹴って瘴魔獣へと突撃する。

 当然、瘴魔獣も糸を吐いて対抗してくるけど――



「オレを止めたいなら――その10倍は吐き出せやボケぇっ!」



 “炎”属性のブレイカーであるジュンイチさんにはまったくの無意味だ。力任せにジュンイチさんが放った炎が、瘴魔獣の糸を一本残さず焼き払う。

 そして、その炎の中を突っ切るように僕が突貫。瘴魔獣をアルトの一撃でブッ飛ばす!

 狭い路地の中、瘴魔獣の身体は壁にぶつかって吹っ飛ぶ勢いが弱まって――今度はジュンイチさんだ。僕を追い抜いて瘴魔獣を捕まえると、僕に向けて投げ飛ばしてくる。

 なので――



「どっ、せぇいっ!」



 僕はそれを、アルトで豪快に打ち返すワケですよ。

 さすがに、僕じゃジュンイチさんみたく飛距離は稼げない。瘴魔獣の身体は無様に地面を転がって――



「サッカー好きなら……一度は打ちたいドライヴシュートぉっ!」



 そんな軽口と共に、距離を詰めてきたジュンイチさんが蹴り飛ばす。宙を舞う瘴魔獣の身体を、上空に回り込んだ僕がアルトで地面に叩き落とす!



「ま、ノーマル瘴魔獣じゃこの程度か」

「でしょうね」



 軽く肩をすくめるジュンイチさんの言葉に、僕がすぐとなりに着地して答える――そんな僕らの前で、身を起こした瘴魔獣は状況不利として逃げ出すけど、



「逃がすもんかよ、このヤロウっ!」



 そっちには師匠がいた。グラーフアイゼンの一撃で、瘴魔獣を僕らの目の前に叩き返してくれる。



「ナイスフォローだ、ヴィータ!
 決めるぞ、恭文!」

「とーぜんっ!」



 こんなの相手にダラダラと続けるつもりがないのは僕もジュンイチさんも同じ――僕はアルトのカートリッジを使用、刀身に通う魔力の量を一気に引き上げる。

 そしてジュンイチさんもフィニッシュ体勢だ。手にした爆天剣の刀身に“力”を流し込んで、刃が炎に包まれる。



 そのまま一気に加速。僕らは最高速度で瘴魔獣の懐へと飛び込んで――







おう――」



 ジュンイチさんの爆天剣の一撃が、すれ違いざまに瘴魔獣に打ち込まれた。そのままジュンイチさんは足を止めて――



「鉄――」



 次は僕だ。ジュンイチさんが駆け抜けたのとは反対側から、アルトを水平に打ち込む。



 そして僕も足を止める。となりのジュンイチさんと同時に振り向いて――







『連閃ッ!』







 二人同時に、大上段から振り下ろした一撃で瘴魔獣をブッ飛ばす!





 宙を舞い、瘴魔獣の身体が大地に叩きつけられて――





『Finish Completed.』





 僕らの宣告と同時、瘴魔獣は特撮の怪人の伝統よろしく爆発、四散した。





 うし、快勝っ!



「そうだな。
 相変わらず、お前と組むとやりやすいぜ」



 あー、そうですね。僕もジュンイチさんと一緒に戦うのは楽しいですし。

 そんな感じで僕らがハイタッチを決めて――何、アレ。



 なぜだろう、明りがこちらに迫ってきて……って、管理局員っ!?



 そう、この辺りに駐在していると思われる地上部隊の制服を来た局員が数名、こちらへと走ってきたのだ。



「さすがティアナ、連絡早いね」

「あたしは連絡してないけど……アンタじゃないの?」

「いや、僕じゃないし……アルト?」

《残念ながら私も違います……というか、今回は私の出番少なすぎです》



 だってしかたないじゃないのよ。いつもの調子で喋ってたら、魔導師だってバレちゃうんだし。



「じゃあ……」

「オレやヴィータ達も違うぜ」

「あぁ。
 マスターコンボイは……するワケないか、コイツの性格的に」

「どういう意味だっ!?」



 じゃあ、クロスミラージュ? いや、それならティアナが気づかないはずないし……じゃあ、誰?



「恭文ー! ティアー! 大丈夫ー!?
 って、どーしてお兄ちゃんとヴィータ副隊長がっ!?」



 ……何してんのこの人。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「……うん、わかった。こっちのことは心配せえへんでもえぇから。ほな、おつかれさま」



 そこまで話して、私は通信モニターを落とす……いやぁ、無事に解決したみたいでよかったわぁ。



「蒼凪ですか?」



 そう聞いてきたのは、シグナム。当然、今回の囮捜査についても知っとる。で、この場にはもう二人。



「はやて、どうだった?」

「ラブラブですか?」

「シャーリー、それは違うよ。囮捜査なんだから」



 いや、私も思ったけどな……そう、フェイトちゃんとシャーリーもいる。まぁ、関係者やしな。



「まー、ラブラブはしてないけど、ブラブラしとったら、思ったよりもはよう獲物が引っかかったらしくてな。スピード解決や。
 その後で、ちょっとゴタゴタしたみたいやけど……そっちも無事片づいたみたいやしな」



 さすがに、その“ゴタゴタ”にジュンイチさんが絡んでたんは黙っとくべきやろうな。またフェイトちゃんが暴走しても困るし。



 しかし……いやぁ、さすが恭文やわ。いい感じで即効カードを引き当てとるし。私はやってくれると信じてたで。

 捕まえるためにまた一回とか使ってもめんどいやん?



「よかった……あ、ヤスフミやティアは大丈夫かな。ケガとか、してない?」

「それも大丈夫や。つか、恭文おるのに、そないなことになると思うか?」

「ならないでしょうね」



 うん、それは私も思うてたわ。魔法が必要やと思ったら、非魔法能力者相手でも使うしな。



「というか、使ったんだよね。アレ……」

「使ったらしいで? まぁ、フェイトちゃんがしっかり威力設定してるおかげで、特に大ケガっちゅうワケやないけどな」





 ……恭文が犯人をぶっ飛ばすのに使ったのは、簡易型のカード型デバイス。アイツが常に複数枚常備しとる魔法装備や。

 カードに込めている魔法を、思念によるスイッチひとつで、一瞬で発動させる事のできる、文字通りの手札。



 そして今回は、フェイトちゃんの広範囲型の電撃魔法を入れたものを作成して、持っていったいうワケや。



 ただ、弱点がひとつ。一枚につきひとつの魔法を、一回しか使えん。再入力は可能やけど、現場やったらそないなヒマない。基本的には使い捨てや。

 ただ、即効性は大きいし、使用分の魔力もカードに一緒に入れとる。せやから、発動時に魔力を消費したりもせぇへん。

 今回やったみたいに、他の魔導師の協力があれば、自分が使えん魔法も使えるしな。その利点が気に入って、アイツも常備しとるっちゅうワケや。





「テスタロッサ、仕方あるまい。アイツは、お前とギンガとの約束を守るためにそうしたのだからな」

「……そうですね。ヤスフミの手持ちの魔法だと、広範囲攻撃は少し被害が大きくなりますし」

「あいつ、魔法に関してはハデ好きやからなぁ」





 まぁ、仕方ないんやけどな。きっちり決めるということができんと、アイツはSクラスやストライカー級には勝てんし。

 ただ、私としてはちょっと意外やった。ティアの前でクレイモアとかぶっ放すとか思うてたら、フェイトちゃんに頼み込んで、即時鎮圧用にカード作成やし。

 ……なんやかんや言うて、気を使ったのかもしれんな。あんま暴力的なことするのもアレとか考えて。





「……それと、どうも今回のことをホンマのデートとカン違いして、スバルが後つけてたらしいんよ。
 しかもマスターコンボイまで巻き込んで」

「スバルがっ!? そういえば、エリオとキャロが姿を見ないって言ってたけど……」

「まぁ、みんなには内緒にしてましたしね。確かにあのティアを見れば、そう思っちゃうかも」

「しかし、あいつは一体何をしているんだ。仕事もあるだろうに……」

「とにかく、恭文とティア……あと、巻き込まれついでにちょう首突っ込んだマスターコンボイは向こうで作らなあかん書類があるから、今日と明日は向こうでお世話になる。
 そいで、明後日から通常勤務に入るいうことになったから、よろしくな」

「了解しました」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……見事なカン違いで、僕達を尾行していたスバルに、みんなで軽く説教をかまして、ジュンイチさんと師匠が六課隊舎へと連行……もとい、連れて帰ったその後。

 僕とティアナ、マスターコンボイ、犯人確保の知らせを聞いて駆けつけてきたギンガさんは、現場での処置をあらかた終えて、108部隊の迎えの車に乗っていた。



 そして、その中で、ある人に通信をつなぐ。もちろん、事件の概要を報告するために。





『……わかった。犯人の尋問は、管轄の部隊に任せることになったから、お前らは明日中に報告書まとめて出しといてくれ。
 それで、うちの仕事は一応終わりだ』

「わかりました」

「了解です」

「まぁ……首を突っ込んでしまったからな」



 僕達が通信している空間モニターに映るのは、108部隊の隊舎の中にある部隊長室。

 そこの机に座って、僕達の報告を聞いていたのは、その第108部隊の部隊長である、ゲンヤ・ナカジマさん。

 言わずと知れたギンガさんとスバルの父親である。



『しかし、お前さんは相変わらずだな。魔法使って速攻でつぶすって……』

「まぁ、攻撃行動の制限は受けないって宣言してましたから」



 ……あ、その辺は報告書にもきちんと書いておきますから。普通の局員的にはNGなことくらいはわかってる。こうやって「事前に許可は受けてました」ってことを示しておくのは必要なことなんだ。



『おう、頼むぜ。
 しかし、久しぶりだな。八神やギンガ、それにスバルからもメールで聞いてはいたが、元気そうで安心したぞ』

「えぇ……なんとか元気です。いろいろあって泣いちゃうこともあるけど、僕は元気です」

『……話は聞いている。まぁあれだ、お前さんが悪いのは間違いないって……ことにしておこうぜ?
 お前らの言い分もわからなくはねぇが、あいつらのアレは筋金入りだからな』

「そうしてます……でも、ゲンヤさんも変わりないみたいで安心しました」

『おう、おかげさまでな。アルトアイゼンも元気そうだな。六課の連中に馴染みまくってるって聞いてるぞ?』

《おかげさまで、マスター共々六課のみなさんには良くしてもらっています。
 本当に、特にあなたの次女の方には少しばかりお礼をしてやりたいくらいに……
 まぁ、今回の出番が少なかったことに比べれば些細な問題ですが》





 まだ言うかアルト。そして、なにげに不埒な発言をしない。奇麗事言われてムカついたのはわかるけど。

 あ、それとゲンヤさんは、当然アルトがおしゃべりなデバイスかというのは知っている。

 というか……





『まぁそう言うなって。アイツのアレも筋金入りだからよ……そうだ。お前、明日恭文の書類作成が終わったらちょっと付き合え。気晴らしさせてやる』

《……わかりました。レベルはいくつにしますか?》

『最高レベルに決まってるだろうが。今度は負けねぇからな?』



 むちゃくちゃ仲がいいのだ。ゲンヤさんの将棋で、いい対局相手になっている。



「それで、父さん。なぎくんとティア、それからマスターコンボイには、今日は家に来てもらおうと思ってるんですけど」

『そうだな。俺も仕事が一段落したら帰るから、先に向かっててくれ』

「あの、さっきも思ったんですけど、話が勝手に決まっているのが非常に気になります」

《マスター、いつものことではありませんか。何を今さら》



 うん、わかってる。でもさ、一応抵抗するって大事だよ?

 そうして、ゲンヤさんとの通信を終えて、僕達は108部隊の人に、ナカジマ家へと送ってもらった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「……長かったなぁ」



 そう言ってあたしは、布団の中でひとりつぶやく。ここは、ナカジマ家のスバルの部屋。

 アイツとギンガさんと一緒にここに来てから、遅れて帰ってきたナカジマ部隊長と一緒にご飯を食べた。



 それから、交代でお風呂に入る。

 ギンガさんとナカジマ部隊長は、アイツにお休みを言って自分の部屋に入って、アイツはリビングのソファーで、マスターコンボイは寝袋を使って床で寝ることになった。



 まぁ、部屋がないそうだしね。

 というか、アイツが『ソファーで寝るというお泊りモードなことをしたい』などと言い出したからだけど……いや、アイツは本当に何なの?





 なんというか、ついていけない時がある。

 普通の、日常の中にいるアイツと、模擬戦なんかで戦っている時、今日みたいな実戦の場に立っている時のアイツとじゃあ、あんまりにも差がありすぎる。

 戦闘に入ると、一本線が切れるというか、過激で容赦がなくなるというか……あんなもん使ってまでどうにかするとは、最初は思ってなかった。



 もちろん、だからって、悪いヤツだなんて思ってない。

 まぁ、アレよ。一日デートして、アレコレ話してみて、その印象は強くなったかな。

 でも、アイツはなのはさんやフェイトさん達とは違う。もっと言えば、あたし達とも違う。たまに、なんで友達なのかが気になる時があるくらいに。

 だけど、それでもいいヤツだとは思う。別に、同じである必要なんて、ないしね。



 そんなことを思いながらあたしは、暗い部屋の中で布団に入ると、自分の右手を見る。

 今日、アイツとずっとつないでいたその手を。





 今日は楽しかったかな。男の子とデートするなんて、初めての経験だったし。

 アイツも、なんだかんだいいながらも、始まったら意外とちゃんとリードするのよね。自分は道路側歩いたりとか。話しやすい話題振ったりとかさ。





 でも、アイツは……どうだったんだろ? あたしと一緒にいて、楽しかったのかな。

 あたし、あんま楽しそうな顔とかしてなかったかもしれないし、つまんなかったかな?





 ……って、あたしは何考えんのよっ! とにかく、今日の任務は無事に終了。明日は、報告書作成か。しっかりやっていきましょ。





 そう思い立つと、あたしは布団を被って、瞳を閉じた。そしてすぐに眠りについた……一応、これだけは言っておくわ。










 おやすみ。あと、今日はありがとうね。

 ま、楽しかったわよ。ほんの少しだけね。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………むぅ。



 ソファで眠る恭文はすでに寝息を立てている――なんとなく眠れず、俺は寝袋の中で何度目かの寝返りを打った。



 別に、寝苦しいワケではない。



 気になることがあったからだ。





 あの戦い……クモの瘴魔獣を圧倒した、恭文と柾木ジュンイチのコンビネーション……見事なほどに呼吸が合っていた。

 互いの動きが相手の動きに連動し、ひとつの動きとして機能する――オレが恭文と組んだところで、あそこまでの連携はとてもではないがムリだ。



 あれが……二人が“友達”として積み重ねてきた時間の賜物、ということか……



「オレに…………そこまでのものを積み上げることができるのか……?」





 つぶやくようにもらしたオレの声には――当然のことながら、誰からも返事は返ってこなかった。





(第18話へ続く)





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次回予告っ!


恭文「と、ゆーワケでっ!
 『とまコン』内での僕が初めて戦った瘴魔獣はクモ型でした! やっほうっ!」

Mコンボイ「や、恭文……?
 なんだか、テンションがおかしなことになっていないか……?」

恭文「これがテンション上がらずにどうするのさっ!?
 最初に戦うのがクモ怪人っ! これは古来から伝わる仮面ライダーの王道だよっ!」

Mコンボイ「貴様のご執心の『電王』では1話で戦ったワケではなかったんじゃ……」

恭文「気にしちゃダメだよ、マスターコンボイ」

Mコンボイ「ダメなのか……?」

恭文「ダメなの」





第18話「結局、男はいくつになってもガキ大将」





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あとがき



オメガ《さて、展開が再び本家『とまと』再構成ルートに突入した第17話でした》

Mコンボイ「本家再構成ルートに入ったのはわかったが……話、飛ばされてないか?」

オメガ《えぇ、その通りです。
 本家『とまと』でいうところのミスタ・恭文の家での食事会とミス・ティアナとミスタ・恭文との模擬戦が丸々すっ飛ばされてますね》

Mコンボイ「どうしてまたそんな話に?
 少なくともティアナの模擬戦は作者も乗り気だったと記憶しているが……」

オメガ《まず、食事会ですが……ぶっちゃけ、ここでやる意味がないんです。
 展開的に私達『GM』シリーズ側のメンバーが絡みづらいんですよ。ミズ・ヴィータやミス・ギンガはともかく、私達やミスタ・ジュンイチにはあのタイミングで単独で来訪する理由がありませんから》

Mコンボイ「言われてみれば……確かに」

オメガ《あと、後の伏線的にもそれほど重要なイベントがないんですよ。本家『とまと』ではここでミス・ギンガがミスタ・恭文に局入りを薦める展開なんですけど、こちらのミス・ギンガはミスタ・ジュンイチのあり方に理解を示しているせいで、そういう方向に話をもっていけないんです。
 ミス・フェイトに代役をやらせてもいいですけど、それをやると、今度は勧誘が苛烈になりすぎて関係がこじれてしまう可能性がある……そこまでの大きな話は、できることならもっと先でやりたい。だからミス・フェイトにその役を任せることもできない、と……》

Mコンボイ「まぁ……柾木ジュンイチとのアレコレで、局員としてのあり方にずいぶん固執しているからな……確かに彼女に任せると勧誘が苛烈になりかねんか」

オメガ《で、食事会の話はやらないことに。
 あと、模擬戦についても同じような理由ですね。
 少なくとも、六課メンバーの精神攻撃への耐性の低さを露呈させるためにミス・ティアナとの模擬戦、という形は確実にないんです。ミスタ・ジュンイチのおかげでノリ重視の戦いや精神系の攻撃に耐性ついてますから、彼女とミスタ・恭文をぶつけてもミス・はやての狙い通りの展開にはまずなりません。
 必然的に、ここでもそういうのに耐性のないミス・フェイトが出てくるんですが……》

Mコンボイ「あ、わかった。
 また柾木ジュンイチとの確執がそこで出てくるワケだ」

オメガ《そういうことです。
 彼女を出すならむしろミスタ・ジュンイチとぶつけたい。けど、二人の本格激突はさらに先にとっておきたい、ということで……》

Mコンボイ「やはりボツ、と……」

オメガ《えぇ。
 まったく、作者も厄介な伏線を作ってくれたものです》

Mコンボイ「そこは……まぁ、展開上仕方ないんじゃないのか……?」

オメガ《まぁ、あの二人の問題については、我々はぶっちゃけ外野ですけど。
 私の出番につながらないのなら、ぶっちゃけどうでもいい話題ですね》

Mコンボイ「貴様は結局そこか!
 というか、いい加減この展開でツッコむのも飽きてきたんだが!?」

オメガ《気にしてはダメですよ。
 さて、それではそろそろ恒例の『GM』キャラクターの紹介にいきましょうか。
 今回はディセプティコン・メンバーの紹介の続き。幹部クラスの第3弾》

Mコンボイ「今回は……コイツだ」





ジェノスクリーム

出身:ミッドチルダ

所属:ディセプティコン

トランスフォーム形態:戦闘艇。底部からエネルゴンウェーブを放射することでスバルのウィングロードのように空中での機動も可能。

身長:6.2m

重量:18.5t

声のイメージ:西 凛太朗(『電王』クロウイマジン、『シンケンジャー』血祭ドウコク)

備考:ディセプティコンの四大幹部のひとり。
 基本的に無口で受け身。自分から積極的に動くことはないが、与えられた任務は愚直にこなすタイプ。
 量子飛躍によって全身を量子化し、空間と同化することが可能。その間は相手からの攻撃を含め、あらゆる外的干渉を遮断できる。その代償として自分から攻撃することもできないが、その能力を活かして主に敵戦力の足止めなどの役割をこなすことが多い。





オメガ《以上、その役回りのせいで四大幹部の中で一番影の薄いショックフリートの紹介でした》

Mコンボイ「そういえば……コイツ、“JS事件”の間も大きな活躍をしていないんだよな……
 さながら、縁の下の力持ちといったところか」

オメガ《その縁の下から出てこないのがこの人なんですよね》

Mコンボイ「いちいちこき下ろすようなコメントをするなよ……」

オメガ《いいじゃないですか。敵なんだからこき下ろしても》

Mコンボイ「いや、それはそうなんだが……」

オメガ《わかったなら口出ししないでくださいよ》

Mコンボイ「オレ……一応コイツのマスターのはずなんだがなぁ……」

オメガ《何を今さら。
 ……っと、そろそろお別れの時間のようですね。
 それではみなさん、また次回お会いしましょう》

Mコンボイ「オレの立場って……」





(おしまい)





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