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頂き物の小説
第12話「忘れた頃にやってくるのは、何も天災ばかりとは限らない」



三日間の、楽しくはあるけどあわただしく、休みにならなかったといえばまったくならなかった時間を過ごして、僕は六課隊舎へと舞い戻っていた。



 リインを抱きしめながらの眠りから覚めると、窓の外は非常にいい天気だった。

 そして、朝食を食べて朝風呂に入って、歩きながら(リインは、前日にはやてが置いていったお出かけバックの中)隊舎へと出勤してきた。



 みんな、三日ぶりになる再会にとても喜んで……くれてたはず。


 とにかく、今日の朝の予定は、再開される訓練の見学。その前に医務室へ行って、シャマルさんの定期検診を受けなければならない……



 気が重いよ、三日間ほとんど休めなかったようなもんだしさ。



 そんな鬱な気持ちを抱えながら医務室に向かっていた僕だけど……幸か不幸か、いや多分後者だろうけど……とにかく“執行猶予”が言い渡されることになった。





 その理由とは……





















「はい、確かに」



 目の前で僕の差し出した書類を受け取るのは、マリエル・アテンザさん。通称マリーさん。



 デバイスマイスターの資格も持ってる本局所属の技術屋さん。早い話がシャーリーの先輩だ。

 なのは達のデバイスも、元々はこの人が手がけていたらしい。



 で、僕らが今いるのは、クラナガンの先進医療センター。

 どうして僕がここにいるのか――別に僕の健康診断で何かあったとか、その健康診断をここでやることになったとか、そういう話ではない。



「手間かけさせちゃってゴメンね。
 スバルが、今日持ってきてもらうはずだった書類を忘れちゃったばっかりに……」

「いえいえ。
 あの豆芝には後日しっかり何かしらおごらせて、散財という名のオシオキを断行しますので」



 そう。あの豆芝が、このマリエルさんに提出する問診票を忘れやがったのが原因だ。今はギンガさんと二人で定期検診の真っ最中だからここにはいないけど。

 で、バイクを持ってる僕に声がかかり、こうして届けに来た、と……そういうこと。



 なんで定期検診で技術屋のマリエルさんが出てくるかというと……主治医のようなものなのだ。スバル達の。

 戦闘機人であるスバル、そしてギンガさんのことをずっと診てきたのがマリエルさん。今でも、定期検診の度にこうして本局から出向いてきてくれているのだ。



「その時はオレもおごってやる。
 オレがヤツに持ち物の確認をさせていればこうはならなかった……オレにも責任のある話だ」

「いや、スバルの歳で誰かからそうやって確認されなきゃならないってのも問題でしょ。
 つか、株成金のマスターコンボイにおごらせてもオシオキにはならないし」



 そしてスバルがいるならこの人もいるワケで――生真面目な顔でそんなことを言い出すマスターコンボイに、僕も苦笑まじりに答えを返す。



「しかし……貴様がスバルやギンガ・ナカジマの身体のことをすでに知っていたとはな」

「うん。
 前に、ギンガさんがその“身体”についてゴタゴタした時に、僕も巻き込まれてね……」

「『巻き込まれて』というあたりがまさに“貴様”だな……」

「お願いだからそこには触れないで」



 思わず顔をしかめた僕に苦笑し、マスターコンボイは軽く肩をすくめてみせる。



「だが、その辺りは早めにカミングアウトしておいた方がいいぞ。
 なのは達がそのことでどうしたものかと気をもんでいるし……」

「スバル……だね」

「そういうことだ」



 うーん、マックスフリゲートでのアレコレを考えると、絶対僕が自分達の身体のことを知らないって思ってるだろうしなー。



 けど、あの晩スバルからのメールの返信で悩んだ通り、僕の方から切り出す、というのも違う気がする。



「とりあえず……ギンガさんとかクイントさんに相談してみる。
 話すタイミングに気を遣う必要は確実にあるんだし……うん。二人の意見も聞いてみたい」

「そうか」



 ところでマリエルさん。



「どうなんですか? スバルもギンガさんも」

「あら、気になるの?」

「というか……同じく健康診断を控えてる身としては他人事とは思えなくて」

「あぁ、そういうこと」



 クスリと笑みをもらすと、マリエルさんは手元に表示されたデータに視線を落として、僕のさっきの問いに答える。



「健康的には問題のない範囲内だけど……スバルの右腕の負荷がちょっと気になるかな。
 ひょっとして……訓練とかであの子、振動破砕使ってない?」

「あぁ、けっこう」

《対物破壊能力が高いから、レスキューの際にも有効だから……と》

「一応、オレが監督して、やりすぎを警戒していたが……足りなかったか?」



 ISというのは、戦闘機人の持っている先天的な特殊能力。“インヒューレントスキル”を略してIS。

 で、スバルのそのISというのが今話題に出た振動破砕。簡単に言うと物質に強烈な振動を加えることで破壊する、というものだ。

 ただ……スバルの場合、自分の生まれにちょっとコンプレックスがあったせいか、今までそれほど使ってこなかったらしい。

 その分の経験の遅れを今取り戻そうとしてるんだけど……高速振動なんてものを生身の身体で乱発していれば、戦闘機人だろうが負荷がたまるのは当たり前か。



「そんなに心配しなくても大丈夫よ。ぜんぜん軽い負担だから。あくまでも『少し気になる』っていう程度、少し休めれば簡単に治るわ。
 そうね……訓練の時に使うなら、もうちょっと頻繁に休憩をはさんでくれれば、日常生活レベルの休息で十分なはずよ」

「了解した」

「僕も、なのはや師匠に伝えておきます」

「お願いね」











「…………恭文?」

「恭文くん?」











 そんな僕ら、というか僕にかけられた声は二つ。

 振り向いた先には……って、どーしてあなた達がここに?







 ジュンイチさんにクイントさん……でもってブイリュウ。







「『どうしてここに?』はこっちのセリフだぜ。
 お前、今日は六課でシャマルの健康診断だろ?」

「いや、豆芝が忘れた書類を届けに」

「昨日の今日でまぁたお前に迷惑かけてんのか、アイツわ……」

「それを言うなら、むしろ諸悪の根源は健康診断があるってのに僕をバイクメッセンジャーに仕立てたはやてでしょ」

「…………あの狸め、昨日のアレでは火力が足らんかったと見える」



 まぁ、あやつがそう簡単に引き下がるっていうのも、それはそれで不気味な気はしますけどね。



「それもそうだな」

「で……ジュンイチさん達はどうしてここに?」

「あぁ、大した用じゃないわ。
 単なる定期検診の付き添いよ」



 付き添い、って……スバルもギンガさんも、もう検診始まってますよ?

 そういうことなら、検診前から来ていてあげましょうよ。



「ん? あぁ、違う違う。
 付き添うのはスバルでもギンガでもねぇよ。
 アイツら、もう付き添いが必要な歳でもねぇんだしさ」



 けど、そんな僕の考えは見当外れだったみたいだ。パタパタと手を振りながらジュンイチさんがそう答えた、その時だった。







「パパぁーっ!」







 元気な声と共に、ひとりの女の子がジュンイチさんに飛びついてきた。

 年の頃はヴィヴィオと同じくらい。青色の髪を切りそろえたその顔立ちはどことなくあの豆芝やギンガさんに似てる気がして……







 ……で、誰?



《決まっているじゃないですか。
 さっき彼女はジュンイチさんのことを『パパ』と呼んでいたではありませんか。
 すなわち、彼女はジュンイチさんの娘。これで決まりですよ》



 だよね。

 ヴィヴィオの例があるからもう驚きゃしませんよ。

 あの子と同じく、父親になってあげた子……ってところかな?











「あぁ、違う違う。
 血のつながった、正真正銘の“娘”だよ」











 …………………………………………はい?



 ジュンイチさんが、飛びついてきたその女の子を引きはがし、けれど頭を優しくなでてあげながらそう答える。





 いやいや、マテ待て。血がつながってる……って、まぢですか!?

 だとしたら母親は誰よっ!? ジュンイチさんが腹を痛めて産んだ、なんてことはあるワケないんだし。

 さぁさぁ、ホントに娘だというのならこの子のママを明かしなさい。本人に確認取るから……













「こら、ここは病院なんだから、そんなに騒いだらダメでしょ」

「うん、おかーさん!」













 ……………………………………………………え?



 ちょっとちょっと。今なんて言いました?

 クイントさんのことを「おかーさん」って……えぇっ!?

 だって、クイントさんにはゲンヤさんがいるでしょーがっ! なんでジュンイチさんが『パパ』でクイントさんが『おかーさん』!?

 つかなんで『パパ』と『おかーさん』なのさっ!? 『パパ』と『ママ』、もしくは『おとーさん』と『おかーさん』でいいじゃないかっ!



《マスター、少し落ち着いてください。
 思考が脱線し始めています》



 っと、危ない危ない。COOLにいこうよ僕。

 とりあえずは事情を聞かないと。このままじゃヴィヴィオと会った時の再現だよ。



 そんなワケで……説明してもらえますか? お二人とも。



「もちろん」

「でも、そう多くを語る必要はないはずよ」



 僕の問いに、ジュンイチさんとクイントさんは笑顔で答え――女の子の頭をなでてあげながら、ジュンイチさんが告げた。



「この子の名前はホクト・ナカジマ。
 “オレとクイントさんの娘”、っていうより……」















「“ギンガとスバルの妹”って言った方が、通じるだろう?」















 ……確かに通じたよ。

 

 


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第12話

忘れた頃にやってくるのは、何も天災ばかりとは限らない

 


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「つまり……ホクトはスバルやギンガさんと同じく、クイントさんの因子から生まれた戦闘機人……
 しかも、そこへさらにジュンイチさんの因子まで……」

《だから、お二人と血がつながっている、と……》

「そういうこと」



 ホクトはマリエルさんに連れられて検査にGO。で、残った僕らでちょっとしたお話。

 話題はもちろん、今僕をしこたま驚かせてくれたホクトについてだ。



「で、“JS事件”の後、うちで引き取ることにしたの。
 今までがそうだったし、そのままジュンイチくんのところでもよかったんだけど、やっぱりスバルやギンガとちゃんとした形で“姉妹”になってほしかったから」

「そうなんですか……」

「つか、スバルや他の六課メンバーから聞いてなかったのか? ホクトのこと。
 オレ、てっきり知ってるもんだとばっかり思ってたから何も言わなかったんだけど」

「いや、妹ができたって話は軽く聞いてたけど……
 なんでか詳しくは教えてくれなかったんだけど……こういうことか」

「あー、そうだな。
 間違いなく、お前を驚かせようと思って黙ってたんだろうな、口裏まで合わせて。
 そうなんだろ? マスターコンボイ」

「そのようだな。
 まぁ、オレは興味がなかったから黙ってたんだが……マズかったか?」



 マズかったね。主に僕の精神衛生的な意味で。

 あと、マスターコンボイの人付き合い的な意味でも。いくら何でも周りに興味を持たなさすぎでしょ。



「そ、そうか?」

「そうだよ。
 別に仲良しこよしをやれとは言わないよ? 僕だって六課のみんなとそこまでするつもりはないし」



 うん。するつもりはない。だって僕は六課には仕事で来てるんだもの。そこで働く過程で仲良くなっていくならともかく、自分から“お友達”を作りにいくつもりはないのだ。



「けど、だからってまったく関わらないのはナシでしょ。
 正真正銘興味がない、っていうならそのままでもいいとは思うけどさ、スバルやフォワードのみんなみたいにちゃんと気を配れる相手だっているんだから、もーちょっと意識を向けるくらいはいいんじゃないかな?」

「むぅ…………」

「いや、そうやっていちいち考え込んじゃうのがダメなんだよ。
 もうちょっと気楽に気楽に」

《別に何をどうしようと意識することはありません。
 自分のしたいようにすればいいんですよ》

《そうそう。
 ボスはいつもいつも難しく考えすぎ》

「……わかった。
 以後気をつけよう」



 うーん……ホントにわかったのかなぁ……?

 なんか、イマイチ不安な気が……











《まぁ、これで暴走したならしたでいいじゃないですか。
 そちらの方がおもしろそうですし》

《ボスのことだから、絶対何かカン違いしてそうだよな》



 うん、お前らは黙れ。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「じゃあ……僕らは一足先に」

「気をつけてね」

「おぅ。健康診断、青信号が出るといいな」



 一応、僕としてはシャマルさんの健康診断が待ってるワケだし、あまり長居するワケにはいかない。一足先に帰らせてもらうことにした。



「マスターコンボイはどうする?」

「オレも一度戻る。
 スバルには終わったら連絡するように言ってあるしな」

「アイツの場合、言ってなくてもオレかマスターコンボイに連絡しそうだけどな。『迎えに来てぇ〜』って」

「あーあー、ありそうありそう。
 で、無視してると昨日のピンポンラッシュみたく催促がドドーンッ、と」



 ………………言っててシャレにならないような気がしたのは、きっと気のせいだろう、うん。



 とにかく、ジュンイチさんやクイントさんに別れを告げて、僕とマスターコンボイは一足先に六課に戻ることに。

 ビークルモードのマスターコンボイの後部コンテナにデンバードを積み込んで、いざ出発っ!



「これからどうする? まっすぐ帰る?」

「とりあえず、本屋に立ち寄ってもかまわんか? 購読している雑誌が発売日なんだ」

「雑誌? マスターコンボイが?」

《意外ですね、そういうのは買わないようなイメージがありましたが。
 失礼ながら、どんな雑誌を?》

「株の情報誌だ」

「…………あー、その線があったか」



 そんなことを話してると……フェイトから通信?



『恭文、今大丈夫?』

「うん。
 今、マスターコンボイと一緒に医療センターを出たところだけど……」

『そうなんだ。
 ちょうどよかった……かな?』



 ちょうどよかった、って、何が?

 ひょっとして……何かあった?



『うん。
 ちょっと、二人で臨海第4空港に向かってくれるかな?』

「臨海空港だと?
 そんなところに、何が……」



 フェイトに聞き返しかけて――マスターコンボイの言葉が止まった。



 そうだ。よく考えてみれば、理由を聞き返すまでもなかった。

 六課の活動内容と、向かう先のことを考えれば。



 つまり……



『“レリック”が密輸で持ち込まれたのが見つかったんだ。
 私達もすぐに向かうけど、二人の方が位置も近いから。
 とりあえず、先行して向こうの係員から話を聞いておいてもらえるかな?』

「わかった。
 まぁ……単なる密輸でしょ? 運んでたバイヤーがいるワケでもなし、なんとかなるでしょ」

『ゴメンね、ヤスフミ。
 シャマルの健康診断、まだなのに……』

「うーん……それを考えると、正直気が重いけどさ」



 でも、フェイトだってわかってるでしょ? 僕やアルトが六課に来た理由。

 これなんか、その理由にドンピシャじゃない。ケガとかして動けないとかならともかく、動ける以上は動かなきゃ。



「話を聞くだけなら問題ないでしょ。
 けど、できるだけ早く来てくれるとうれしいかな?」

『うん。そこは大丈夫。
 じゃあ、空港の物流ターミナルで』

「うん」



 最後にあいさつを交わし、通信終了――さて、マスターコンボイ。



「皆まで言うな。
 急ぐぞ、蒼凪恭文」



 こうして、僕らは六課に戻る予定を変更して、急遽臨海第4空港を目指すことになったのだった。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「…………わかった。
 オレもすぐに向かう」



 定期検診が終わるのを待っていたところに、ロングアーチからの緊急連絡――通話OKな区画まで出て応答したところ、どうやら新たに“レリック”が見つかったらしいとのこと。

 つーか、オレの情報網かいくぐってミッドに持ち込みやがるか……どこのバイヤーだか知らないけど、いい腕してやがる。まっとうなカタギだったならむしろ“Bネット”にスカウトしてるところだ。



 ……っと、それはいい。今は今回見つかった“レリック”の話だ。



 単なる密輸だから、“JS事件”のスカリエッティのように裏で動いてる連中もいないみたいだけど……だからといってモノがモノだ。対処を先送りにしていいものじゃない。





 それに……





「じゃあ、クイントさん。ホクトの方はお願い。
 ほら、いくぞ、ブイリュウ」

「ジュンイチくん……大丈夫?」



 とにかく、オレはホクトをクイントさんに任せて現場に……って、クイントさん、いきなり何ですか。

 たかが“レリック”の回収くらい、安全にさえ気を配ればそう厄介なことには……



「その割には、ずいぶんと気負ってる気がするけど?」



 ……バレバレでしたか。



「……実はさ、昨夜母さんから連絡があって」

「霞澄さんから?」



 いきなり挙がったオレの母親の名前に、今や母さんの大親友でもあるクイントさんが眉をひそめる――うなずいて、オレはウィンドウを開き、問題のメールをクイントさんに見せる。



「………………これ……っ!」

「そう。
 一応、はやてにも伝えて、情報の裏づけは頼んであるんだけど……」



 そして、オレの言いたいことを伝えるにはそれだけで十分すぎた。息を呑むクイントさんに、オレは努めて真剣な表情でもう一度うなずいてみせる。



 そのメール、その文頭にはこう書かれていた。





















 ――ミッドチルダへの、ディセプティコンの転送反応を確認――






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 しかし、臨海空港ね……



「そういえば……スバルがなのはと出逢ったのも、別の臨海空港だったそうだな。
 しかも、やはり“レリック”がらみで」

「らしいね。
 4年前の空港火災の時に会ったんだってさ――僕はその場にいなかったから、なのはやスバルからの話でしか知らないけど」

「なんだ、貴様はその時いなかったのか?
 貴様の性格なら、フェイト・T・高町に会おうと全力で出向いてきそうなものだが」

「………………クロノ提督の報告書地獄が」

「……当事からあんな調子だったのか? あの男は……」



 そんなことを話しながら、僕とマスターコンボイは空港に到着。今はマスターコンボイもヒューマンフォームになって、問題の物流ターミナルに向かってるところ。



 ……なんだけど、最初から職員の人に話して職員通路使わせてもらえばよかったかも。

 現在、旅客ターミナルのロビーのド真ん中。人ごみの中で思いっきり後悔してたりする。



「だが、職員通路では遠回りになる。
 ここを突っ切った方が早い」

「この人ごみをかき分けて進んでたら、むしろロスタイムになると思うんだけど」

「そこは心配ない」



 そう告げると、僕の前を進むマスターコンボイはふと足を止めた。

 どうしたのかと見ていると、その肩が震え始めて――



「………………オレ達の体型なら、すき間をすり抜けるのに苦労はないからなっ……!」

「泣くくらいなら提案するんじゃないよ……」



 いや、泣きたくなる気持ちはわかるんだけどさ……



《まぁ、今さら言っても仕方ありません。
 今は一刻も早く物流ターミナルに向かうことを考えましょう》

《ボスだって忘れたワケじゃないだろ? さっきの話》

「むぅ、わかっているが……」



 アルトやオメガが言っているのは、空港までの道中で詳細な情報を問い合わせていた時に聞いた話。

 なんでも、“JS事件”の時に“レリック”を巡って六課やスカリエッティ達と争っていたトランスフォーマーの一派、ディセプティコンがミッドチルダに戻ってきてる、というような話があるらしい。

 ジュンイチさんが霞澄さんからその話を聞いて、はやても裏づけを指示してその結果待ちということだけど……マスターコンボイはどう思う?



「おそらくは戻ってきているだろうが……今回の“レリック”に、果たして食いついてくるかどうか……といったところだな」

「根拠は?」

「ディセプティコンの首魁とは個人的にも面識があるが……基本的によほどの大一番でもない限りは勝てる戦しかしない男だ。
 柾木ジュンイチが柾木霞澄から連絡を受けたのが昨日の話だろう? 移動を含めた昨日の今日で、いきなり動きを見せるような男ではない。
 仮に今回の“レリック”を追ってきたとしても、こちらに一度腰を落ち着けてから奪取に動く算段だったはずだ」

《つまり……今回の“レリック”をディセプティコンが追っていたとしても、空港のチェックに引っかかったのは彼らにとっても想定外ということですか》

「そういうことだ。
 まぁ、エージェントを仕立てている可能性もないワケではないし、早く動くに越したことはない。アルトアイゼンの言うとおり、一刻も早く物流ターミナルへ……」









「マスターコンボイ?」

「え? マスターコンボイくん?」







 …………ん?



 突然の声に振り向く……けど、人ごみの中に紛れてしまっているのか相手の姿を確認することはできない。

 マスターコンボイ、今の声、知ってる?



「あぁ。
 一応知っているが……なぜヤツらが……?」



 そう答えたマスターコンボイが首をひねっている間に、声の主と思われる二人が人ごみの中から姿を現した。

 どちらもだいたい僕と同年代くらいの女の子。紫がかった髪を、ひとりはツインテールに、もうひとりはショートカットにまとめている。

 ……うん、背については触れないでおこう。悲しくなってくるから。主に僕が。



 で……マスターコンボイ。この子達は?



「泉こなたの友人だ」

「こなたの?」

「何よ、アンタこなたを知ってるの?」



 僕らのやりとりの中に上がったこなたの名前に食いついてきたのはツインテールの子……なんだかどこかの誰かを髣髴とさせるのはツッコむべきなのかどうか判断に困るところだけど。



「こなたは……まぁ、僕のオタク仲間ってところかな?
 で、僕は蒼凪恭文。そっちは?」

「あぁ、アンタがティアがメールで言ってた……
 私は柊かがみ。で、こっちは妹のつかさ」

「よろしくね、恭文くん」



 うん、妹さんの方は人当たりが柔らかい感じかな。人柄的な意味で好感が持てるタイプだ。

 そしてお姉さんはティアナがメールでどんなこと言ってたか詳しく証言してくれるかな?



「しかし、貴様らが二人だけで動いているのも珍しいな。
 他の連中は一緒ではないのか?」

「いつもいつも、みんな一緒につるんでるワケじゃないわよ。
 今日はみゆきもこなたも、他の子達も予定が合わなくてね。私達だけよ」

「デバイスの手入れ用のクリーニング液、切らしちゃって……地球じゃ手に入らないから、私とお姉ちゃんとで買いに来たんだよ」



 あー、あなた達、地球在住なんですか。

 そりゃ、地球じゃデバイスの手入れ用の品物なんか売ってないからね。そういうところは不便と言えば不便だよね。



「そうなのよね……
 でも……『珍しい』って言うならマスターコンボイだって。
 スバルも連れずに、こんなところで何してるのよ?」

「六課の“仕事”……と言えばわかるか?」



 そのマスターコンボイの言葉に、かがみの表情が変わった……えっと、ひょっとしてこの二人も関係者?



「まぁ、一応ね。
 それで……まさか、“レリック”?」

「あぁ。密輸で持ち込まれたものが空港のチェックで引っかかったらしい」



 モノがモノだけに小声で聞いてくるかがみに、マスターコンボイもまた小声で答える。



「まぁ、現時点での情報ではただ荷物に隠されていたのが見つかっただけ、ということらしいからな。
 そうそう厄介な事態にはなるまい」

「そうであってほしいんだけどねー」



 正直、僕の場合その辺がちっとも信用ならない。

 なんでか、僕の場合、何もしてなくたってトラブルやら騒動やらに出くわすことが多いからなぁ……

 昨日なんかその典型だよ。家で引きこもりやってただけで、どうしてあんなことになるのさ?



「…………貴様が来ない方が平穏に片づくんじゃないのか?」

「たまに本気でそう思うよ。
 たいてい、こういう時は何かしらのトラブルが……」



 僕がそこまで告げた時だった――轟音と共に僕らのいるロビーに振動が伝わってきたのは。



「マスターコンボイ!」

「貴様の悪運が的中したか……!
 物流ターミナルだ! 急ぐぞ!」

「りょーかいっ!」



 こうなったらなりふりかまっていられない。突然のことにあわてふためく群衆をかき分けて、僕らは物流ターミナルへと急ぐ。









 あー、くそっ、こっちはコンディションに人一倍気を遣わなきゃならない状態だってのに、なんでいつもこーなるかねっ!






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「で……どうして貴様らまでいるっ!?」

「“レリック”があって、そこで何かがあったって聞いて、ほっとけるワケないでしょ!?」



 けど……かがみやつかさもついてきた。声を上げるマスターコンボイにかがみがそう答える。



「一応聞くが、デバイスとトランステクターは?」

「どっちもあるよっ!」

「デバイスは持ってきてるし、トランステクターもこっちに来るのに合わせて、事前に108部隊に送って預かってもらってるから、すぐにでも呼び出せるわよ!」

「まぁ、戦闘手段があるならかまわんがな!」



 そう話すマスターコンボイ達……そっか、こなたの友達で仲間だったって言うなら、この子達も“JS事件”を乗り越えてきてるんだよね。

 少なくとも、手伝いを頼んでも大丈夫なくらいには強いってことか……正直あまりがんばりたくない僕としては非常に助かるよ、うん。



 そんなことを考えている間に、物流ターミナルに到着。

 もちろん、僕らはすでにデバイスを起動済み。僕はアルトを、マスターコンボイはオメガを手にし、かがみも拳銃型のデバイス“クーガー”を握り、つかさは腕輪型の端末型デバイス“ミラー”を身につけている。



 で……たどり着いてみると、物流ターミナルはひどい有様だった。

 壁の一角が大きく粉砕され、その破壊が及んだ天井の構造材があちこちに落下してる。



 けど……何があった?



 この様子は、明らかにいつぞやフェイト達が活躍した空港火災の時とは違う。火の手も上がってないし、“レリック”が暴発したというワケではないみたいだ。



 ということは……



「第三者による襲撃……?」

「たぶん」



 つぶやくかがみに僕がうなずいて――











「ところで……貴様はいつまで隠れているつもりだっ!?」











 突然そんなことを言い出し、マスターコンボイが素早く魔力弾を放った。すぐそばの、一際大きなガレキの山を吹き飛ばし、



「おいおい、いきなり攻撃たぁ、穏やかじゃねぇな」



 その向こうにいたのは、黒いボディにファイヤーシンボルを描いたヘビメタカー。



 けど……ただの車じゃないことは一目瞭然だった。



 だって、運転席がもぬけの空だもの。

 そして……





「ロックダウン、トランスフォーム!」





 宣言と同時にその車体がジャンプするように跳ね上がり――組み変わった。外装が展開され、様々なパーツがその配置を変え、瞬く間に1体の人型ロボットへとその姿を変える。



「夜露死苦ッ!」



 トランスフォームを終え、着地するなり右腕の鉤爪をこちらに向けて告げる……どこの暴走族ですかあなたは。



「この有様は貴様の仕業か!?」

「あぁ、そうさ。
 ちょいと仕事でね……ここにあるものに用があってね」



 マスターコンボイに答えて、ロックダウンと名乗ったそのトランスフォーマーが左の脇に抱えているのは――



「あぁっ! “レリック”!」

「それが狙いってことは……アンタ、ディセプティコン!?」

「おっと、そいつぁ違うな」



 驚くつかさのとなりでクーガーをかまえるかがみだけど、対するロックダウンは笑いながらそう答える。



「オレは流れの賞金稼ぎ。依頼があるならディセプティコンだろうがデストロンだろうがサイバトロンだろうが時空管理局だろうが、誰にでもつくのさ。
 で、今回の依頼人がこいつを御所望。だから奪った……そういうことさ」

「なるほどね。
 ずいぶんとビジネスライクなことで」

「そういう仕事なんでな。
 お前らも、用があったらいつでも呼びな。報酬さえ払えばお前らのためにだって働いてやるぜ」

「だったらさ、ちゃんと依頼するから、その“レリック”を返してもらえるかな?」

「そいつぁできないな。
 今受けてる依頼とその依頼は相容れないんでな。今の依頼人を裏切るワケにはいかねぇよ」

「…………そう言うと思ったよ」



 交渉決裂。ロックダウンに答え、僕は改めてアルトをかまえる。



 ロックダウンもまた、ボクシングのかまえのように両手を目の前でかまえて腰を落とし――



「――――――ッ!」



 先に地を蹴ったのはロックダウン――ただし、僕に向かってくるのではなく、後方に。



 不意討ちを狙ったのか、かがみがロックダウンに向けて魔力弾を撃ち放ったからだ。



 たて続けに飛来する魔力弾、ティアナのそれに匹敵するキレを見せるそれを、ロックダウンは冷静にかわし、弾いていく。やっぱ、賞金稼ぎなんて仕事してたら一筋縄じゃいかないかっ!



「蒼凪恭文! 前に出ろっ!
 柊かがみはガードウィング、柊つかさはフルバック!
 センターにはオレがつく!」

「りょーかいっ!」



 とっさに指示を出すマスターコンボイに対し、僕はもちろん、かがみ達も素直に従う――だって、僕はかがみ達の戦闘スタイルなんかまったく知らないんだから。

 そしてかがみ達も僕の戦闘スタイルを知らない。なら、どちらも知っているマスターコンボイの指示を信じるのが妥当ってものだ。



 だから……



「――――――ッ!」

「おっとっ!」



 マスターコンボイの配置を信じて、迷わず突っ込む。思い切り飛び込んでアルトを横薙ぎに振るう――けど、ロックダウンは右腕の鉤爪をアンカーとして射出。天井に引っかけて自らの身体を引き上げ、僕の斬撃から逃れる。

 けど――甘いんだよっ!



「逃がすもんですか!」



 鋭く言い放ち、大きく跳んだかがみがロックダウンの眼前に飛び出す――って、あなたガンナーですよねっ!? 撃つと思ってたのに、何フツーに前線に飛び出してますかっ!?

 そんな、驚く僕の目の前で、飛び出してきたかがみに対しロックダウンは冷静に対処。左腕の一振りで弾き飛ばそうとする。

 対し、かがみは空中で身をひねる――ロックダウンの一撃をかわし、至近距離から魔力弾を叩き込むっ!



 これにはさすがのロックダウンも後退する……けど、かがみも逃がさない。迷うことなく追跡し、距離を保ったままロックダウンへと銃口を向け、魔力弾を連射する。

 なるほど、かがみはこういうタイプか。足を止め、正確無比の射撃で目標を撃ち抜くセンターガードのティアナと違って、ガードウィングの機動性をフルに使って、確実に当てられるポジショニングを維持する……と。



「くそっ、チョロチョロとくっついてきやがってっ!
 カルガモの雛かよ、てめぇはっ!」

「へぇ、こっちにも、カルガモっているんだ!」



 一方、対するロックダウンは“レリック”をワイヤーで背中に縛りつけるとフリーになった左手をチェーンソーへと変形。右腕の鉤爪を交えてかがみを狙う。で、かがみもそんな反撃に注意しながらロックダウンを追いかける。

 当然、僕やマスターコンボイも黙って見てなんかいない。一気にたたみかけようと二人を追い――





「お姉ちゃん、ダメ、止まって!」





『――――――っ!』



 背後からのつかさの声に、僕らはあわてて散開――同時、天井の構造材が落下、僕らの前に落ちてる。

 あ、あっぶねーっ!? コレ、このまま進んでたらヤバかったわ。ありがと、つかさ。



「えへへ…………」

「それより、ヤツはっ!?」



 照れるつかさを無視したかがみの声に意識を切り替える。そうだ、アイツは――



「我ながら、今日はついてるね!
 ロックダウン、トランスフォーム!」



 いた。僕らの行く手を阻んだガレキの向こうでビークルモードにトランスフォーム――って、逃げるつもり!?



「そういうこった!
 あばよぉっ!」



 笑いながら僕に答え、ロックダウンは僕らに背を向けて走り去っていく――逃がすかっ!



「マスターコンボイ!」

「わかっている!」

《Human Form, Mode release》

「マスターコンボイ、トランスフォーム!」



 反応したのは僕だけじゃない。マスターコンボイもヒューマンフォームからロボットモードに戻り、ビークルモードへとトランスフォームする。

 そして、僕らを車体の上に乗せて発進。行く手を阻んでいたガレキを蹴散らしてロックダウンを追いかける。



 こっちも仕事なんだ! 逃がしてたまるかっ!





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「スプラング、ヴァイス、急いで!」

「おぅともよっ!」

「わかってますって、フェイトさん!」



 フォワード陣と私を乗せ、飛翔するのは六課のヘリとして移動手段を努めるスプラング……その機内で、私は彼やそのパートナーのヴァイスを急かさずにはいられなかった。



 発見された“レリック”を受け取るため、フォワードのみんなと一緒に空港に向かおうとしていたところに、はやてからの連絡。

 ディセプティコンがミッドに入ったっていう話は今朝一で聞かされていたけど……はやての追跡調査の結果、どうやら間違いないとのこと。

 すぐに恭文に知らせようとしたけど、通信に応答がない――向かった先が先なだけに、イヤな予感がする。

 外にいたからっていうだけで先行してもらったのは失敗だったかもしれない。ヤスフミ、まだシャマルの診断も受けてないのに……



「スバルは検診で動けないし……悪いタイミングが重なったもんね……」

「恭文達、大丈夫かな……?」

「一応、兄さんが一緒だけど……」



 ティアやエリオ、キャロもヤスフミのことが心配みたい。あずささんも、不安を口にこそしないものの、明らかに落ち着きがない。

 急がないと……











『こちらジェットガンナー! 熱源感知!』











「スプラングっ!」

「はいよっ!」



 そんな私の思考を中断したのは、スプラングのとなりを飛行していたジェットガンナーからの警告――ヴァイスとスプラングがとっさに機体を離脱させ、飛来した青色の閃光を回避する。



「今のは……っ!」

「“アイツ”の、プラズマキャノン!?」



 今の閃光、私達には見覚えがあった……けど、私がエリオやティアに同意することはなかった。

 なぜなら――



「ブラックアウト、トランスフォーム!」



 それよりも早く、攻撃してきた張本人が姿を現したから――飛来した戦闘ヘリがディセプティコンの幹部のひとり、ブラックアウトにトランスフォーム。そのまま私達を乗せたスプラングに襲いかかる!



「させないっ!
 ジェットガンナー、トランスフォーム!」



 けど、間一髪でジェットガンナーがそれを阻んだ。ブラックアウトに向けて突っ込みながらロボットモードにトランスフォーム。体当たりでその巨体を弾き飛ばす。



「今のうちに戦闘態勢を!」

「ありがとう、ジェットガンナー!
 ヴァイス!」

「わかってますって!」



 ジェットガンナーがブラックアウトを押さえてくれているスキに、ヴァイスがスプラングの後部ハッチを開けてくれる――いくよ、バルディッシュ!



《Yes, ser》



 バルディッシュが答えると同時、私達は素早くセットアップ。後部ハッチから空中へと飛び出し、ジェットガンナーに代わってブラックアウトの前に飛び出し、



「ジェットガンナー!」

「了解っ!」



 続いて空中に身を躍らせたのはジェットガンナーのパートナーであるティアナだ。後退したジェットガンナーが素早く彼女を拾い、背中に乗せて合流してくる。

 さぁ……いくよ!





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ヴァイスさん、僕達も地上に!」

「シャープエッジ達と合流して、地上からフェイトさん達を援護します!」

「わかってる!
 すぐ降下高度まで下げてやるからよ!」



 フェイトちゃん達が出撃して、次はあたし達――エリオくんやキャロちゃんに答えて、ヴァイスくんとスプラングは機体をあたし達が降下できる高度まで下げてくれる。



『こっちも受け止める準備は完了っ!
 めんどくさいから、早く降りといでよ!』

『姫、拙者が受け止めてみせるでござるっ!』



 地上からあたし達を追ってきていた面々からも通信が入る。それを受けて、エリオくん達がうなずいて――







「――――――っ!? まだダメっ!
 ヴァイスくん、スプラング、よけて!」

「ちぃっ!」

「このぉっ!」



 間一髪であたしが気づいた。とっさの指示にしたがってくれたヴァイスくんとスプラングが、地上から放たれた閃光を回避する。

 今の攻撃……ブラックアウトじゃない。まさかっ!?



「あずささん、あそこです!」



 さすがエリオくん。あたしと同じこと考えてたのか、いち早く攻撃の主を見つけ出していた。

 それは、1台の戦車。明らかに場違いな街中を、周囲の迷惑も顧みずに我が物顔で突っ込んでくる。

 さらに、その周囲を固めるのはパトカーに、装甲車に……地雷除去車。



 ディセプティコンのフォワードチーム!





「バリケード、トランスフォーム!」



 パトカーからトランスフォームするバリケード。



「ボーンクラッシャー、トランスフォーム!」



 地雷除去車からトランスフォームするボーンクラッシャー。



「ブロウル、トランスフォーム!」



 さっきあたし達を狙ってくれた戦車はブロウルに。



「レッケージ、トランスフォーム!」



 そして、装甲車からトランスフォームしたのは向こうのフォワードリーダー、レッケージ。



 今まで何度もあたし達と戦ってきた、ディセプティコンの地上部隊だ。

 それが、上空のあたし達に向けてそれぞれの火器を向ける――けど、甘いっ!



「ジャックプライム!」

「アイゼンアンカー!」

「シャープエッジ!」

「ロードナックル!」



『トランスフォーム!』



 こっちにだって、地上戦力は控えてる。あたし達とは別に陸路で空港を目指していたジャックプライム達が、レッケージ達と対峙する。





「……って、オレ達を忘れてんじゃねぇよ!」

「だなだなぁっ!」



 ……あ、ガスケットとアームバレットもいたっけ。



「本気で忘れてたのかよっ!?
 まぁいいやっ! 久しぶりのバトルだ! 思いっきりいくぜぇっ!」

「暴れてやるんだなぁっ!」



 ともあれ、参戦した暴走コンビはいつものように先陣を切ってレッケージ達へと突撃して――











 その眼前に、漆黒の竜が着地した。











 いや、正確には漆黒の恐竜型トランスフォーマーだ。その場で素早くスピンターン。強烈な尾の一撃でガスケット達をブッ飛ばす!



「なんでオレ達だけっ!」

「こぉなるんだなぁぁぁぁぁっ!」



 …………うん、それがキミ達の役どころだからだよ。



 一撃のもとにブッ飛ばされ、お空の星となってガスケット達が退場……その間に、あたし達もスプラングから降下してジャックプライム達と合流。あたし達もディセプティコンも、何事もなかったように対峙する。

 ……うーん、あっちもこっちも、すっかりあの二人のノリに慣れちゃってるなぁ。あの二人だけ明らかに空気違うのに何の疑問も抱いてないし。







「ジェノスクリーム、トランスフォーム!」







 そんなことを考えるあたしの前で、恐竜型トランスフォーマー、すなわちディセプティコン幹部のひとり、ジェノスクリームはビーストモードからロボットモードへとトランスフォーム。レッケージ達を率いるようにあたし達へと向き直り、告げる。



「久しいな、機動六課」

「それはこっちのセリフだよ。
 ミッドから逃げ出したキミ達が、どうして舞い戻ってきたのかな?」

「決まっている。
 貴様らによって頓挫させられた我らが主の覇業を、今再び貫くためだ。
 新たに見つかった“レリック”は、そのために我らディセプティコンがいただこう」



 コイツら……狙いは空港の“レリック”!?



「フェイトちゃん!」

「はいっ!」

「させるかよっ!」



 考えていることは同じだったみたいだ。あたしの声とほぼ同じタイミングで、フェイトちゃんは空港へ向かおうと転進して――けれど、ディセプティコンだってそう簡単にこっちの思うようにはさせてくれない。ブラックアウトが飛び出して、フェイトちゃんを狙ってエネルギーミサイルをばらまく。

 けど――



「させるもんですか!
 クロスファイア――」

「コンビネーション、シフト!」



 空に上がっているのはフェイトちゃんだけじゃない。ティアちゃんとジェットガンナーの放った誘導弾が、ブラックアウトの攻撃をことごとく叩き落とす。



「フェイトさん、ブラックアウトはあたし達が!」

「地上も僕達でなんとかするから!」

「お願い!」



 そして、ティアちゃん達がブラックアウトを、あたし達やジャックプライムくんが地上の敵を押さえている間に、フェイトちゃんが空港へと急ぐ――はずだったんだけど……



「――――――っ!?」



 瞬間、フェイトちゃんが空中で身をひねる――直後、ものすごいスピードで飛び込んできた何かが、わずかにかすめたフェイトちゃんのバリアジャケットのマントを浅く斬り裂く。

 ――って、斬撃!? まさかっ!?





「ジェノスラッシャー、トランスフォーム!」





 あたしの予想は大当たり。飛び込んできた翼竜型トランスフォーマー、ジェノスラッシャーが、フェイトちゃんの前でロボットモードへとトランスフォームする。



「ジェノスラッシャー!? お前まで!?」

「残念、オレだけじゃないぜ」



 しかも、援軍は彼だけじゃなかった――驚くフェイトちゃんにジェノスラッシャーが答えたのを合図に、その周囲に無数の幻が出現する。

 すべて同じ、海上戦闘艇の幻だ――そのすべてが空間の一点に集結すると、幻そのままの戦闘艇として空中に実体化。そして――





「ショックフリート、トランスフォーム!」





 戦闘艇がトランスフォーマーとしての正体を現した。ロボットモードへとトランスフォームして、ジェノスラッシャーと共にフェイトちゃんの前に立ちふさがる。



 ……って、ちょっと待って!



 ジェノスクリームにジェノスラッシャー、ブラックアウトにショックフリート……そしてディセプティコン・フォワードの四人……ディセプティコンの主力が勢ぞろいじゃないの!

 戦力を全部ここに投入してたら、一体誰が空港の“レリック”に……



















 ………………まさかっ!?





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「逃がすもんですかっ!」



 ガンナーとはいえ前衛。けれど前衛とはいえガンナー。かがみの射撃はロックダウンの足止めに大いに役立ってくれた。大きく弧を描いて飛翔した魔力弾がロックダウンの目の前に着弾。その足を止めてくれた。



「もう逃がしゃしないよっ!」

「フンッ、足を止めたくらいで、オレに勝ったつもりかよ!?」



 マスターコンボイの上から飛び降りる僕に答えて、ロックダウンもロボットモードにトランスフォームして身がまえるけど、



「勝ったつもりだけど?
 そうよね? つかさ」

「うんっ!」



 かがみとつかさが告げると同時、駆けつけてきたそれがロックダウンの背後に回り込んで逃走経路をふさぐ。

 2機の新幹線型トランステクターだ。1機は後部に大型のタイヤを1対備え、もう1機の後部には砲台が多数装備されている……見た目からして「高速型ですよ」「砲撃型ですよ」と自己主張しまくってるデザインだ。

 で……この2機がかがみとつかさの機体。二人が呼び出したそれを遠隔操作でロックダウンの後ろに回り込ませたのだ。



「さぁ、もう逃げ場はないよ」

《観念して投降することをお勧めしますよ。
 賞金稼ぎとしてのプライドもあるでしょうが、こちらとしては、これ以上抵抗するならそんなものは一切気にせず、全力で叩きつぶさせていただきます》



 アルトの切っ先を突きつけ、ロックダウンに告げる僕らだけど……もちろん、これで素直に投降するとは思ってない。

 そんなワケで、さっさとキレてかかってきてくれないかな? 手早く叩きつぶしてあげるからさ……シャマルさんの健康診断に引っかからない程度の労力で(ここ重要)。





 そして、そんな僕らの要望通り、ロックダウンは僕らに向けて思い切り地を蹴った。一気に間合いを詰め、左腕のチェーンソーを思い切り振り下ろしてくる。



 けど――



「甘いっ!」



 それに対して飛び出したのはマスターコンボイ。素早くロボットモードにトランスフォームし、再セットアップさせたオメガでロックダウンの斬撃を受け止める。

 高速で回転する刃が火花を散らし、行く手を阻む大剣を押しのけようとする――しかし、力勝ちしたのはマスターコンボイだった。力ずくでロックダウンのチェーンソーを弾き、押し返す。

 思い切り押し返され、たたらを踏むロックダウンに向けて僕が追撃――けど、向こうもムリな体勢のまま僕らと戦い続けるつもりはなかったみたいだ。そのまま後退してアルトの一撃をかわすと体勢を立て直す。



「やるじゃねぇか。
 たかが人間、あっさり逃げられると思ってたんだけどな」

「残念でした。
 お前の思い通りになんか、誰が踊ってやるもんか」

「踊ってもらうさ。今、これからなァ」

「冗談じゃないわよ!」



 ロックダウンに言い返し、ヤツの左サイドからかがみが飛び込む――けど、ロックダウンは冷静にその動きを把握していた。振り払うような動きで、左腕のチェーンソーを横薙ぎにかがみに向ける。

 飛び込んだかがみへのカウンターの形で、ロックダウンのチェーンソーが迫り――







《Radical Good Speed》






 消えた。



 ロックダウンの目の前から、かがみの姿が。



 目標を見失い、チェーンソーは甲高い音を立てながら空を薙ぎ――





「残念でした♪」

《Thunder Bullet》



「ぐわぁっ!?」



 背後に回り込んだかがみが、至近距離から魔力弾を発砲。背中にたて続けにくらい、ロックダウンがたまらず吹っ飛ばされる。



 かがみがやったことはごくごく単純。ロックダウンがカウンターを狙ったあの瞬間、かがみは高速移動魔法を発動。ロックダウンのチェーンソーをかいくぐってその背後に回り込んだのだ。

 で、当のロックダウンには、瞬間的に加速したかがみの姿を追いきれなかった、と。傍で見ていた僕達ですら一瞬消えたように見えたくらいなんだ。ロックダウンは完全にかがみの姿を見失っていたはずだ。







 というか……何ですかその魔法名は。

 “ラディカル・グッド・スピード”ってアレですか? デバイス名といい、粋でいなせなあの男ですか? アルター使いのあの男ですか?

 とりあえず確信したぞっ! 命名者は絶対にこなたでしょ!?



「まぁ、ね……
 それより、アイツだけど」



 答えて、かがみは改めてロックダウンへと銃口を向ける。

 そして僕やマスターコンボイも、それぞれの獲物を手にロックダウンへと向かう。つかさを除く3人でロックダウンを包囲する形だ。



「さて、どうする? まだやる?」

「今度こそあきらめたらどうだ?
 今なら、当分仕事ができなくなるくらいですむと思うがな」



「さぁて……そいつぁどうかな?」



 投降を呼びかける僕やマスターコンボイだけど……ロックダウンは今なお余裕の表情。

 こいつ……まだ何か隠してる?



「賞金が減っちまうから、あんまりやりたくなかったんだけど……なっ!」



 言って、ロックダウンが取り出し、頭上に掲げたのは……ケースに納められた“レリック”のケースっ!?

 ロックダウンのヤツ……一体何を!?



「――――――っ!
 いけない! ロックダウンを止めて!」



 かがみ!?



「アイツ……トランステクターを起動させるつもりよ!?
 アンタだって六課にいるなら聞いてるでしょ!? “レリックシステム”の詳細っ!」



 その言葉に――理解した。







 前にも話したと思うけど、“レリック”とトランステクターは密接なかかわりがある。



 というのも……トランステクターの素体、プロトフォームというのが……今ロックダウンが掲げている、あの“レリック”のケースだからだ。



 そもそも、“レリック”とトランステクターは対となった“聖王のゆりかご”のガードシステム。

 ケースがトランステクターとなり、“レリック”をコアとして内蔵し、人造トランスフォーマーとして起動する。

 そうやって聖王を、時にはコアである“レリック”を守るために戦う自立型ガードシステム……それが、トランステクターの本質。ゴッドマスターがゴッドオンできるのは、むしろ完全な副産物だったワケだ。



 そして、今ロックダウンがそのシステムを起動させようとしている。つまり――



「させるかっ!」



 自らを守るために暴れるにせよ、最悪ロックダウンに協力するにせよ、確実に敵が増える。そんなややこしいマネ、させてたまるかっ!

 ロックダウンを阻もうと突っ込む僕だけど――遅かった。ロックダウンが左手でケースにアクセス。同時、“レリック”のケースが強く、強く輝きを放つ!



「遅かった!?」

「お姉ちゃん!」



 かがみやつかさの声が響く中、“レリック”のケースから今度は緑色の光が。収束し、光の壁となったそれはケースを中心に周りを一回転。僕らやマスターコンボイ、そして周りの空港の設備や飛行機、車両にも次々に照射されていく。

 アルト、これ……!



《えぇ。
 これは……“スキャニング”の光です》



 スキャニング……トランスフォーマーが擬態する姿の情報を得るために対象をスキャンすること……

 つまり……あのケースがトランステクターとしてトランスフォームする対象をスキャニングしたってことかっ!



 くそっ、何にトランスフォームする……っ!? 機械の多いここじゃ、何に化けるか想像もつかないぞっ!



 警戒を強める僕達の目の前で、“レリック”を納めたケースはロックダウンの手を離れて空中に浮かび上がる――と、ケースはまるで袋が無数の糸にほどけていくかのように分解。中に収められた“レリック”が真っ赤な光を周囲に放ち始める。

 ほどけたケースは木が成長によって枝を広げていくようにその金属の糸を広げていき――そこに無数の部品が生まれ、組み合わせられていく。

 その中心部に“レリック”を収め、さらに周囲を、同じように生み出された装甲が覆っていく。そうして出来上がったのは――管理局の輸送機かっ! この空港のどこかに駐機してあったのか!?



 完成した輸送機はゆっくりと加速。僕らの周りを飛び回る。そして――





「ラグナッツ、トランスフォームっツ!」





 輸送機が人型にトランスフォーム。大型のロボットモードとなって地面に降り立つ。



 くそっ、起動を止められなかった……っつーか起動からボディの構築までが速すぎるでしょ!?

 けど、肝心なのはアイツが……ラグナッツと名乗ったあのトランスフォーマーが敵に回るか、それとも……ということだ。僕らは、そしてロックダウンも、用心深くその様子をうかがい……











「………………っツ?」











 当の本人、心底不思議そうに首をかしげてくれましたよ、えぇ。



「ここはどこっツか? っつーかいつっツか?
 オレっち、一体どうして目覚めたっツか? 聖王様はどこっツか?」



 こいつ……ひょっとして状況わかってない?



 けど、そうだとしたらチャンス! うまく丸め込めば、こっちの味方になってくれるかも!

 今こそ見せる時! 今までのアレやコレで磨き上げられた我が弁術っ!



《……マスター、カッコつけずに言えばいいじゃないですか。『舌先三寸』って》



 はいっ、アルトは黙るっ! ここで敵が増えるよりいいでしょうがっ!



 とにかく、僕はラグナッツを説得しようと口を開き――



「動じるな――ラグナッツとやら!」



 その言葉と同時――

















 僕らの周囲で電撃が荒れ狂った。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ――――――っ!



 “ゲイル”と名づけた愛用のカスタムバイクで空港に向かう道すがら、オレの“力”を感じ取る感覚がそれを捉えた。



 それは、おそらく出てくるだろうと思っていた“アイツ”の気配。



 フェイト達のところに他のディセプティコンメンバーの“力”が集まってる以上、必ず空港に現れると思っていたけど……読みが当たってもちっともうれしくないぞコンチクショウっ!



「ジュンイチ!
 何!? この“力”って……まさか!?」

「そっか、お前も、10年前にアイツと関わってたっけな!」



 ゲイルの後ろにまたがり、オレの腰にしがみついているブイリュウに答え、オレはゲイルをさらに加速させる。

 六課に参加するにあたり、緊急車両として使うことを考えて取り付けておいた即席のパトランプを鳴らし、法定速度をはるかにぶっちぎってハイウェイを駆け抜けていく。



 ったく、よりにもよって、恭文のところに出やがって!

 無事でいろよ、恭文、マスターコンボイ……あとなんでかいるかがみとつかさっ!





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あたた…………っ!
 かがみ、つかさ、大丈夫……?」

「大丈夫……
 とっさにクーガーがバリア張ってくれたから……」

「ビックリしたぁ……」

《マスターコンボイは大丈夫ですか?》

「この程度でオレが倒れるものか」



 よかった。マスターコンボイはともかく、かがみやつかさも無事か。

 突然僕らに向けて降り注いだ雷撃。なんとか僕らは防御が間に合ったけど……ったく、ジャマしてくれたのはどこの誰だよ?



《かなり高出力の雷撃でしたね。
 魔法ではなくスパークのエネルギーによるものでした。となると、相手はトランスフォーマーのようですが……》











「その通りだ」











 そうアルトに答えた声は頭上から。

 見上げると、そこには1体の大型トランスフォーマー……待て待て。まったく気配感じなかったんですけど。



 というか、アイツは……っ!





「ちょっ、冗談でしょ……っ!?」

「お姉ちゃん……っ!」



 柊姉妹の声もかすれてる。まぁ、ムリもないか。相手が相手だ。

 データで見ただけ、顔を知っているだけの僕ですら、全身の細胞が危険を訴えかけている。



「…………蒼凪恭文」

「何?」

「覚悟……決めるしかなさそうだぞ」



 ………………だよね。



 ごめん、シャマルさん。また疲れ、ためることになりそうです。

 あー、くそっ、なんでいつもこーなるのさっ!?







 こんな最悪のタイミングで出てきたこと、本気で恨むからなっ!





















 ディセプティコン・リーダー……マスターギガトロンっ!











(第13話へ続く)






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



次回予告っ!

Mギガトロン「フッ、ついにこの時が来た……っ!
 我らディセプティコンが、再び世界に覇を唱える時がっ!」

恭文「ったく、“JS事件”でぶちのめされておいて、まだこりないの?」

Mギガトロン「当たり前だっ!
 あの程度で、オレの野望をくじけるものかっ!」

恭文「へぇ、そりゃ大したもんだ。
 なのはのストライクフレームで腹を串刺しにされて、そこからエクセリオンバスターの零距離砲撃で身体に風穴を開けられたのが『あの程度』なんだ」

Mギガトロン「………………大したことない大したことない大したことない大したことない……(ブツブツ)」

恭文「しっかり気にしてるじゃないか……」





第13話「たまにはジャンプのノリも悪くない」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき



オメガ《……と、いうワケで本家『とまと』のストーリーラインにそってきた今までの話から少し寄り道。オリジナル編に突入した第12話でした》

Mコンボイ「ついに再登場したな。ディセプティコンが……」

オメガ《ボスにとってもミスタ・ジュンイチにとっても、六課にとっても因縁の相手ですからね……》

Mコンボイ「だな……
 …………ん? ちょっと待て。
 それって、つまりは蒼凪恭文とマスターギガトロンは因縁がないことにならんか?」

オメガ《なりますねぇ。
 で、そんなミスタ・恭文は今回の話の終了時点でマスターギガトロンと真っ向対峙中……》

Mコンボイ「なんでオレ達の因縁をアイツが代わりに拾った形になってるんだ……
 本当に運の悪い男だな、アイツも……」

オメガ《いいじゃないですか。
 読んでる読者は楽しめるんですから。きっとたくさん来ますよ、彼への励ましのメッセージが》

Mコンボイ「むしろ同情票が大勢を占めると思うんだが……」

オメガ《本家の方でミスタ・コルタタが企画した人気投票じゃ実際に多かったらしいですからね、同情票……》

Mコンボイ「そこは言ってやるな……一時期主人公なのに1位も危うい状況で、かなり情緒不安定だったらしいからな」

オメガ《その点ボスは気楽ですよね。
 うちの作者が前作でやったカップリング人気投票、ミス・ティアナと二人でぶっちぎり1位だったじゃないですか》

Mコンボイ「うん。それ以上何も言うな。
 うちの作者のサイトじゃないここでその話題はいろいろとマズイし……ヘタなこと言うと、オレやティアナが“鉄輝一閃”をくらいかねん」

オメガ《くらえばいいじゃないですか》

Mコンボイ「断固拒否するわ、バカ者がっ!
 ……っと、そんな脱線の兆しを見せ始めた話題はこのくらいにして……」

オメガ《では、恒例の『GM』シリーズのおさらいコーナーに行きましょうか。
 今回も最近の通例にのっとってキャラクター紹介です》

Mコンボイ「今週は……やはりコイツだな。
 今回の話で再登場を果たした“ディセプティコン”。そのリーダーであるマスターギガトロンだ」





マスターギガトロン

出身:セイバートロン星

現所属:独立勢力“ディセプティコン”リーダー

トランスフォーム形態:ジェット機、双頭竜、他未公開形態多数

身長:7.4m

重量:20.2t

声のイメージ:中村浩太郎(実写トランスフォーマーのメガトロンの声で)

備考:元デストロンの破壊大帝。
 かつてマスターメガトロンを名乗っていた頃のマスターコンボイによってその座を追われ、10年前に復権のためジュンイチを仲間に引き入れようとするが失敗。スバルやギンガを巻き込んだ戦いの末に敗れ去る。
 その際に死亡していたが、最高評議会によって“トランスフォーマーの“レリック”による蘇生”の実験台として再び復活する。
 その後最高評議会から離反し、“ディセプティコン”を組織し“JS事件”に介入。なのは達と死闘を繰り広げた。





オメガ《……とまぁ、登場したてで明かせる情報はこのくらいですか。
 ……この人の戦歴なんかどうでもいいでしょうしね。ボスに負けミスタ・ジュンイチに2回も負け、ミス・なのはにも負け……と負け星ばっかりですし》

Mコンボイ「まぁ、そこは悪役の宿命というヤツか……」

オメガ《ボスもデストロン時代はミス・なのはに負け星重ねてましたからね》

Mコンボイ「う、うるさいっ!」

オメガ《さて、最後にボスも軽くからかって日課も果たしましたし、今日はこのあたりでおひらきとしましょうか。
 お相手は、以前読者の方からプレゼントされたオメガモンのぬいぐるみ、実はあとがきでは常着してますよ〜、な私、オメガと……》

Mコンボイ「このオレ、マスターコンボイでお送りした。
 では次回、また会おう」

オメガ《注目しててくださいね。
 だって、ボスがとんでもないことになりますし》

Mコンボイ「なんか最後に不安をかき立てられたんだがっ!?」





(おしまい)

 




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