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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第12話:あとがき



あとがき



≪はい、ギンガルート第2段。いかがだったでしょうか? 古き鉄・アルトアイゼンです≫

「どうもですー♪ レギュラー化しつつある、祝福の風・リインフォースUですよ〜」

≪なおすみません。色々改訂した結果、タイトルが内容に合わないので変更しました≫

「でもでも、どうしてこんなにギンガ話が多いですか? というか、フェイトさんはどうしたですかっ!?」





(青いウサギ、ため息を吐きながらどこかを見る。そして・・・告げる。)





≪・・・普通に書いてたらこうなったそうです。むしろ『ギンガヒロインでいいんじゃね?』と、リアル友人に言われたそうです≫

「まぁ・・・、そうですね。ある意味ギャルゲーの王道だったりしますね。『初恋の女性との思い出を振り切って、新しい恋に走る』というのは」

≪ただ、『長年の思いが成就する』という展開も捨てがたいのですよ。さぁ、どちらがいいでしょうね・・・≫

「悩むところですね」

≪展開的には、どちらも面白いですしね。
前に拍手で頂いたように、三角関係でもいいわけですし。・・・ですが、なぜコトノ○様の匂いがするのでしょう≫

「というか、そうなった時点でバッドエンドな感じがするですよ」

≪ですね。・・・とにかく、今回の衝撃事実です≫

「恭文さんと、アルトアイゼンがギンガとスバルの身体のこと・・・戦闘機人だというのを知っていたことですね」





(青いウサギ、妖精の言葉に頷く。結構、重い感じで)





≪まぁ、本当に偶然なんですけどね≫

「・・・というか、どうして黙ってたんですか?」

≪理由は、劇中のギンガさんのモノローグで言った感じです。それに、むやみやたらにするような話じゃありませんから≫

「なるほどです・・・。とにかく、これで次ですね」

≪さて、オリジナル展開突入ですが・・・次回、とんでもない衝撃が襲ってきます。そう、衝撃の展開です≫

「そう言って衝撃だったことなど、有史が始まって以来、一度もありませんっ!」

≪何を断言してるんですかあなたっ!
・・・とにかく、次回をお楽しみにっ!! それでは、お相手は古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

「祝福の風・リインフォースUですた♪ またです〜」










(いつものように、二人で手を振り・・・ED。
本日のED:「悲しみの向こうへ」)




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・つーわけだから」

『その、ごめん。エリオとキャロには、厳しく言っておくから』

「違うでしょうが。・・・・・・ちゃんと話して。言うんじゃなくて、フェイトも聞いて。
それで話して。そんな選別なんてして欲しくないって気持ちを」

『・・・・・・うん』



帰り道、何時ものようにノンビリ歩く。歩きつつフェイトに通信でお話。

当然さっきのバカなやり取りをだよ。色々考えたけど、フェイトに通告することにした。



『あのね、ヤスフミ』

「何? エリオを嫌いにならないでくれとかなら聞かないよ?」

『・・・・・・分かってる。ただ、それはエリオの出自の事とは関係なしだよね』

「当たり前じゃん」



即答するとフェイトが画面の中で安心したように笑った。それで、少しだけ気分が楽になる。



『でも選別か。・・・・・・耳が痛いな。私も心配になって、やりそうな時があるから』

「・・・・・・子が子なら、親も親かい」

『あ、もちろんしてないよ? 今までもそうだし、これからも。
ヤスフミの言う通りだもの。そんなの、絶対によくない』

「ならいいけどさ。でもフェイト、僕の正直な意見を言わせてもらっていい?」

『・・・・・・うん』



フェイトは何が言いたいか分かっている。でも、それでも・・・・・・勇気を持って頷いてくれた。



「フェイトはあの二人と縁を切るなり距離を置くべきだと思う。フェイト達はただ傷の舐め合いして自分達を『かわいそうな子』扱いしてるだけだよ。
はっきり言うけど、エリオとキャロのあれはフェイトの影響だよ。フェイトって逃げ場所があるせいでああなるのよ」



フェイトは悲しそうな顔をするけど、それでも僕の意見は変わらない。てーか変えようがないし。



『・・・・・・これから親子になっていく努力は、出来ないのかな』

「する前に自分の事だよ。大体、緊縛プレイ大好きな親なんて子が引くだけだし。
そもそもそうやって『頑張って変えていく』と言い続けた結果がそれなのを忘れてない?」

『それは・・・・・・うぅ、そこを言われると弱いです。でも、それは・・・・・・嫌なんだ』

「嫌でも僕はそう思う。今のフェイトは中途半端だよ。どっかで惰性で物を考えてない?
局員を続けてれば、与えられた任務をこなしてれば自然と成長して強くなれるってさ」



フェイトの表情が険しくなって、僕を軽く睨みつけてくる。



『・・・・・・なら、そういうヤスフミはどうなのかな』

「僕?」

『そうだよ。JS事件でヤスフミだって失敗や反省点が多かったよね。そこについての改善点は考えてるのかな』

「当たり前じゃないのさ。お願いだから考えなしで仕事続ければOKって考えてるフェイトと一緒にしないでくれる?」



フェイトの表情が更に険しくなるけど、でもその表情はすぐに変わった。



「なによりあの二人から・・・・・・レジアス中将とゼストさんから預かったものは、無視なんて出来る程軽くない」



僕が一番の反省点というか、考えてるところを出したから。



『・・・・・・預かったって、何をかな。何か物とか』

「違うよ。預かったって言うよりは、宿題かな。うん・・・・・・宿題だ。
ただ組織のためや世界のために愚直に働くだけじゃ、守りたいものは守れないってさ」

『そんな事・・・・・・ないんじゃないかな。ちゃんと力を貸してくれる仲間達が居ればきっと大丈夫だよ。
現に私には居るよ? 私は管理局を・・・・・・ここの仲間達の事を信じたい。信じられると思う』

「じゃあ二人はどうして死んだの? 僕の目の前で二人は別れの言葉も交わせなかったのかな」



フェイトは言葉を止めて、僕の顔を目を見開いて見た。・・・・・・うん、看取ったのよ。

いや、そんなレベルじゃない。ゼストさんとレジアス中将の死ぬ瞬間を、目撃した。



「フェイト、僕そこが未だに分からないんだ。どうしてあの二人があんな風に死ななきゃいけなかったのかな。
組織を信じて、仲間を信じて、誰かを守りたいって思ってたのに・・・・・・なんで道を間違えて死ななきゃいけなかったのかな」

『それは・・・・・・あの』

「二人がダメだったから? それもまた違うよね。二人だって被害者なんだから。
フェイトが信じたいと言った管理局そのものから裏切られた。そこはギンガさん達のお母さんもかな」

『・・・・・・うん』



目撃したから、その直前に少し話したから考える。何かを守るってどういう事なのかなと。

力があるだけじゃ、想いがあるだけじゃダメで・・・・・・改めて考えるとコレが難しい。



「そこの答えがやっぱり分からない。六課に入ったら余計に分からなくなった。てーかさ、六課ってムカつくんだわ。
何にも終わってないのにヘラヘラしてさ。それに自分もムカつくわ。だって僕・・・・・・まだ二人の墓参りにも行けない」

『あの、ごめん。お墓参りならその・・・・・・お休み調整するし』

「違う、そういう意味じゃないの。・・・・・・行く勇気が出ないんだ。二人の墓前で何を話していいか分からない。
だって世界はまだ何も変わってない。『これから変わっていくから信じて』なんてバカバカし過ぎて口にも出せない」



フェイトが画面の中で息を飲んだのが分かった。うん、そりゃそうだよ。だってそこはフェイトが何度も言った言葉なんだから。



『バカバカしい・・・・・・のかな』

「バカバカしいでしょ。そんなの今と過去を抜いた言葉だ。なによりそれは自分の罪を数えてない。
でもそれは局員になって世界や組織を変えるとか、そういうのじゃない。それじゃあダメなの」



それは確かに美しいかも知れない。二人が出来なかった事を出来るようにって・・・・・・そう考えるならさ。

でも違うと思う。それは結局『これから変わるので期待しててください』って言うのと同じ。つまりフェイトやみんなと同じなの。



「それじゃあバカバカしい言葉と同じだ。そんな言葉を言う前に僕は・・・・・・罪を数えた上での答えを出さなきゃいけない」



・・・・・・でも、まだ分からないの。僕は二人に、なんて言えばいいのか・・・・・・分からない。

今言ってもきっと『何も変わりませんでした』って凄まじく謝り倒すしか思いつかない。



『・・・・・・私はね』

「うん?」

『例えバカバカしくても、それでいいんじゃないかって・・・・・・思うんだ。それはどうしてもヤスフミの答えには出来ない?
未来に、変わっていく事に期待出来なかったらきっと一人ぼっちになっちゃうよ。だからみんなと同じように期待していくの』

「そう。でも僕はバカバカしいと思ってるから」

「・・・・・・うん」



あー、ダメだダメだ。こんな話するんじゃなかった。てゆうかどうしてこうなったんだろ。



「あー、失敗した。本当に失敗した。今はフェイトが親失格って言う話をしてるんだった。
具体的にどの辺りが失格かって言うと、スカリエッティと同類だって言う辺りで」

『ちょっと待ってっ! 確かにその・・・・・・アレだけど、それはひどくないかなっ!?
私はあの男とは違うよっ! あんな奴とは・・・・・・絶対にっ!! 訂正してっ! ほら早くっ!!』

「・・・・・・やっぱ変わってく事は期待出来ないわ。ちょっと挑発するだけでそんな風に激昂するから。
フェイト、本当にJS事件のアレコレで何にも学習してないでしょ。結果オーライだからOKって思ってるんでしょ」



フェイトがハッとしたような顔で僕の方を見た。僕は・・・・・・軽くため息を吐いた。



「フェイトも六課の連中も見てて思ったけど・・・・・・自覚、ないよ。局のトップはみんなを裏切ってた。それで死者が出てた。
フェイト達がどう思おうと、それで悲しい事が沢山生まれてた。裏切られて苦しんで・・・・・・結局ゴミみたいに捨てられた人も居る」



変わるわけない・・・・・・こんな事で、変わるわけがない。うん、今のフェイトを見てて思ったわ。

局は変わらないね。だって局員であるフェイト自身がなーんにも変わってないわけだし。



「フェイトもみんなも、そういう人達の事を完全に置き去りにしてる。だから笑えるし簡単に『信じて』なんて言えるんだ。
・・・・・・はっきり言ってあげるよ。お前ら局員なんて、全員死んだ方がマシだ。全員揃って裏切り者のくせになにを抜かしてるの」

『・・・・・・うん』

「じゃあ死ね。今そこで『うん』って認められるなら今すぐ自分を恥じて死んでよ。それが出来ないなら・・・・・・何も言うな」



またため息を吐いた。やっぱり僕は・・・・・・ハードボイルドにはなれないらしい。言わないようにしようって思ってたのに。

なんだろ、イライラする。六課の様子も、簡単に『信じて』なんて言える連中も・・・・・・本気でイライラする。



「とにかくエリオ達との接し方も、自分の今後の事もマジで考えて」



きっと必要な事だから、最後にここだけははっきり言っておく。本当にエリオ達を人形にしたくないなら絶対に。

・・・・・・本気でスカリエッティと同類になりたくないなら絶対に。それでフェイトは、静かに頷いた。



『分かった。あの・・・・・・ごめん。凄く、不愉快な想いさせて』

「謝るくらいなら最初からしっかり教育して、緊縛プレイにもなるなっつーの。バカじゃないの?」



フェイトは困ったような、泣いているような顔でまた頷いた。・・・・・・少しでも伝わってくれてるといいけど。



「・・・・・・あ、そう言えばさ」



実はあの二人と話をして昔の記憶を振り返りながら、思った事がある。だから、ちょっとやってみたかった。

まぁフェイトが乗ってくれるかどうかは微妙だけど・・・・・・乗らなかったら失踪しようっと。なんかやる気でないし。



「ね、フェイト。・・・・・・僕、フェイトに『ただいま』って言いたいんだ。だから、フェイトは『おかえり』って返して」

『え?』



歩を進めながらも、画面はその動きに合わせて移動する。ミッドの技術力が成せる技。

そんな技のおかげで、フェイトが思い出したように微笑んだのもちゃんと見れる。



『そう言えば、言ってなかったね』

「うん。あぁ、でも言いたくないか。フェイトはこんな嫌な事ばっか言う僕なんて嫌いだろうし」

『あの、そんな事ない。そんな事・・・・・・ないから。あの、理解してはいるから。
ヤスフミがキツい事言ったりするの、心配してくれてるからなのは理解してる』

「ならいいけど。それじゃあ早速・・・・・・ただいま、フェイト」

『うん。おかえり、ヤスフミ』



少しだけ何かが吹っ切れた感じがした。フェイトと二人、笑顔で言葉を交わして・・・・・・ようやく。

やっと帰りついたというか、腰を落ち着ける場所を見つけた感じがして嬉しかった。



「・・・・・・フェイト」

『何?』



だからかも知れない。何かこう、一歩を踏み出す力が心の中から湧き出したのは。



「僕、魔導師ランクの昇格試験受けるわ」

『・・・・・・えぇっ!? あの、いきなりどうしたのっ!!』

「うーん、なんかやっと帰ってきた感じがしたの。やっぱフェイトの『おかえり』が無かったせいかな」

『そうなんだ。帰ってきたから、ちょっと頑張ってみようという事かな』

「そうだね。てゆうか、なんか最近つまんない事ばっかだもの。今日の事を筆頭にさ。
つまんない部隊につまんないバカ共につまんない世界。ホント腹立たし過ぎて笑っちゃうわ」



フェイトは苦笑いするけど、気にしない。だから・・・・・・なのよ。だからなんでもいいから、なんか動きたくなった。

どうせ現状は変わらない。いざとなったら放り出す選択肢もあるけど、それは奥の手。だったら・・・・・・である。



「そういうの、全部吹き飛ばしたいの。・・・・・・あ、つまんなかったら放り出すけど」

『それは困るけど・・・・・・分かった。じゃあ、また明日はやてとお話してみようか。
スキルアップどうこうは抜きにして、つまんない事なんて吹き飛ばすために』

「うん。それと・・・・・・フェイト」

『何かな』

「・・・・・・少し言い過ぎた。ごめん」



フェイトは優しく微笑みながら、首を横に振った。



『ううん、そんな事ない。というか、私も無神経だったから。
だからヤスフミが悪いなら、私も悪くて・・・・・・ね、ヤスフミ』

「何かな」

『信じて欲しいと思う事は・・・・・・ダメな事なのかな』

「・・・・・・僕はそういうの嫌い。てーか僕はそれが言える程綺麗な手はしてないし」



うん、僕は・・・・・・僕の手はそれほど綺麗じゃない。少なくともフェイトやなのはよりは汚れてるさ。

こういう難儀な性格をしていると、それなりに面倒な事もあるってわけですよ。



「でも、ダメな事じゃないと思う。ただ今のフェイトや局員にそこを言う権利がないってだけの話で」

『・・・・・・やっぱり、そうなのかな』

「そうだよ。僕は外に居る分分かるの。嘱託仲間のネットワークもあるしね」

『そっか。それは・・・・・・キツいなぁ。うん、キツい』










月は白く夜空の上で輝いている。数は二つ。ミッドの月は二つあるから。





そんな月が昇る夜の時間を僕とフェイトは、通信越しだけど楽しく話しながら過ごす。





ようやく交わせた言葉のおかげで、少しだけ素直になれたから・・・・・・だから、僕達は笑っていられる。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・あのね、分かってはいるの。ヤスフミが厳しい事を言う時は、本当に心配してくれてる時だって。

というか、自分以外の人のため? 例えばエリオだったり・・・・・・キャロだったり、私だったり。あとはあの事件の被害者だったり。

あの子は優しいから、自分の事では本気で感情を荒らげたりしない。そうなっちゃうのは誰かのため。





だけど突き刺さった。スカリエッティと同類・・・・・・スカリエッティに言われた事を、ヤスフミにも言われるとは思わなかった。

それに分かってはいた。私達局員が世界全体から白い目で見られている事は。

特にその・・・・・・去年管理局の信頼が著しく低下する事件があって、そこに今年というのもあるから余計に。





だけど、ダメなのかな? それでも局は・・・・・・みんなと頑張って働いてきた職場は、私の夢なんだ。

少しずつでも何かが変えられると思って、そうやって頑張って・・・・・・これからもそうしようって決めていた。

続ける事が、私の理想を貫く事が、それが夢を叶える事になるって私なりに考えてたのに。





・・・・・・ううん、こんなの違う。今私が気になっているのはそこじゃない。私は今、ヤスフミが怖いの。

別に否定されたからじゃない。私やエリオとキャロがヤスフミの感情に触れちゃったのが原因だし。

怖いのは・・・・・・近くに居るのに、ヤスフミが遠く感じる事。ヤスフミが本当にこのままどこかへ消えちゃいそうな事。





ヤスフミは本当に局の事を嫌いになってる。でも私はそれが嫌。ここは私の・・・・・・みんなの居場所だから。

だから好きになって欲しい。ううん、ヤスフミにも居場所にしてもらって一緒に仕事をしていきたい。

ずっと前からヤスフミが局員になる事でそれが出来たらいいなって思ってたんだ。それが・・・・・・私の夢の一つでもあるの。





でもその夢が崩れてしまおうとしている。それは、やっぱり嫌。だけど・・・・・・ヤスフミの言ってる事も事実。

私達は市民を・・・・・・信頼してくれていた人達を裏切った。それも本当に最低な形で。

さっきも言ったけど去年も裏切った。でも、それでもみんなは信じて預けてくれる形になった。その上でコレだよ。





確かに『信じて』なんて言葉を今の状況で吐く事自体が薄っぺらい。

でも私は、やっぱりそこで『だけど』って考えちゃうの。それでも信じて、好きになって欲しいと考えちゃう。

今の私の在り方そのものが、ヤスフミの不信感を募らせているのにも関わらずだよ。





・・・・・・私、どうすればいいんだろう。というより、なんで今こんなに苦しいんだろう。

私は執務官になって、夢の部隊も出来て、ずっと追っていたあの男も逮捕出来て、みんな無事に隊舎に帰って来れた。

これ以上無いくらいに夢は叶っているはず。本当に上々という結果を出せたから、私達は勝ったんだ。





あの男を逮捕出来た事で私の評価も上がっているし、これから更に夢は叶うはず。それでみんなで通していける。

4年前・・・・・・はやてとなのはと一緒に見た、今ある不条理を変えて悲しい事を減らすという夢を。

なのははこのまま教導官だろうけど、私やはやてはもっと出世して・・・・・・権限も増えて上の方針に食い込めると思う。





そうすれば今までみたいに使われて終わるだけじゃない。局の在り方や問題点そのものを変える事も出来る。

それが結果的に悲しい事を減らして、私の元々の夢を叶える事にもなって・・・・・・だから頑張ろうって決めた。

だからヤスフミの言う事が最初は納得出来なかった。私だって、私なりに考えて道を決めて・・・・・・そう思ってた。





例え裏切り者でも、その分頑張って・・・・・・何かを変えられるはずだって。










「・・・・・・なのに」





月明かりが差し込む談話室の机に突っ伏して、そのまま深く・・・・・・深く息を吐く。

なのに、どうしてこんなに苦しいんだろ。あの子が笑ってくれないだけで・・・・・・なんでこんな。

ヤスフミのアレコレは気にせずにこのまま進んで良いくらいなんだよ。それが普通なんだ。



私にだって通したい理想くらいある。だから今まで頑張ってきた。それを続けるだけでいい。

自慢するようだけど、結果を出す事で認められた。母さんが教えてくれたように、ちゃんと大人として夢を叶えられている。

それに・・・・・・あの男と対峙して、勝った事で完全に過去を吹っ切った。私は私があの時描いた自分になれた。



それは嬉しい事で、実際嬉しくて・・・・・・なのに私は、その嬉しさをもう感じなくなってる。

その原因はヤスフミ。でもそれで別にヤスフミが嫌いになるとか、そんな事はない。嫌いになれるわけがない。

ただみんなの夢が叶って、笑っている中で・・・・・・どうしてあの子だけが笑えないのかが気になる。



どうしてあの子の笑顔だけが薄れて消えちゃいそうになるものに感じてしまうのかが、分からないの。





「私達の夢は、叶っているはずなのに。母さんやみんなもそう言ってくれてるのに。
なのにどうして・・・・・・こんなに私、泣きたくて悔しくて・・・・・・死にたくなってるんだろ」










そうだ、私は死にたいって思ってる。死んで消えてしまいたいって思ってる。

別に今日ヤスフミに言われたからじゃない。それよりももっと・・・・・・あぁ、そうだよ。

あの時通信で行き違ってからだ。あの時から私、ワケが分からなくなってきてた。





・・・・・・私、どうすればいいんだろ。また10年前に戻ったように感じちゃうよ。




















(おしまい)




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