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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第69話 『Battle Begins/戦技披露会、開幕っ!!』



ラン・ミキ・スゥ『しゅごしゅごー♪』

ラン「ドキッとスタートドキたまタイムー。さて、今回のお話は」

スゥ「ついについにスタートする戦技披露会っ! 始まる前からクライマックスですぅっ!!」

ミキ「・・・・・・いや、スゥ。熱入れ過ぎだから。というか、そのはっぴと鉢巻はいったい」

スゥ「当然、恭文さんの応援のためですぅっ! 今日はスゥは応援団長なんですぅっ!!」





(立ち上がる画面に映るのは、湧き上がる熱気と決戦直前の独特の緊張感で満たされる会場)





ミキ「いや、応援団長って・・・・・・あぁ、もうここはいいや。とにかく、戦技披露会いよいよスタート」

ラン「恭文、なのはさん、頑張れ頑張れー!!」

スゥ「ファイトですよー! それではせーの」

ラン・ミキ・スゥ『だっしゅっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・・・・・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!





戦技披露会まであと2日というその日の夜、恭文とフェイトさんの声が響き渡った。



なので、当然だけどあたし達はそっちに行く。なお、場所は一階のリビング。



そちらに行くと・・・・・・テレビを見て恭文とフェイトさんが腰を抜かしていた。





「な、何っ!? 恭文どうしたっ! てゆうか、フェイトさんまでどうしたんですかっ!!」



二人は何も答えずに・・・・・・ただ、右手でテレビを指差す。なのであたし達はそっちの方を見る。

見て、なのはさんとヴィヴィオちゃん以外の人間が固まった。そして全力で叫ぶ。



えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

「み、みんなどうしたのっ!? というかあむさん達までって・・・・・・何かなっ!!」

「このテレビがどうかしたのかな」



それでなのはさんとヴィヴィオちゃんがテレビを観る。というか、あたし達も見てる。



『・・・・・・えー、それでは歌唄さんが魔法の事を知ったのはつい最近と』

『はい。・・・・・・とても大切な人と出会って、それが縁で。それから・・・・・・色んな事がありました。
色々失敗して、再スタートを切って・・・・・・なんだか不思議です。それでこんなところまで来たんですから』

『人の縁が結んだ不思議な繋がりですかぁ。いいですねぇー。
ちなみにその大切な人って・・・・・・ご家族か何かですか?』

『いえ、違います。私の・・・・・・大好きな人です。一生私の歌を届けたいと思う、とても大切な人です』



そこに映るのは、白い肩出しのワンピースを着た歌唄が居た。でも、番組がおかしい。

これ地球の番組じゃないもん。というか、さっきから『ミッド』とか『魔法』とかって言いまくってるし。



『そうですか。では・・・・・・今日の歌も』

『もちろんその人にもですけど、聴いてくれる全ての人に。歌はそのためにありますから。
こんな場を用意してくれたスタッフの方々も含めて、今の私のありったけで・・・・・・うたいます』

『分かりました。では、聴いていただきましょう。ほしな歌唄さんで・・・・・・『Heartful Song』!!』



それで司会者の人が隅にハケて、ライトが一端消される。そして歌唄にスポットが当たる。

うたい始めるけど・・・・・・始めるけど、あたし達はマジで呆然と見てる事しか出来なかった。



「あ、あむちゃん・・・・・・!!」

「ボク達、夢見てるのかな」

「夢じゃないと思いますぅ」

「じゃあ・・・・・・じゃあなんで、なんで歌唄がミッドに居るのっ!?」










いや、そこはマジで聞きたいんだけどっ! ねぇ歌唄、どういう事っ!?





アンタ、確か地球で歌手活動再開とかしてたんじゃっ! なのになんでこれなわけっ!!




















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご/だっしゅっ!!


第69話 『Battle Begins/戦技披露会、開幕っ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



舞台袖から、私はあの子の事を見てる。というか、見ていて楽しくなって来てて頬が緩む。





・・・・・・いやぁ、いい歌だよねぇ。私、こういう歌かなり好きかも。よし、今度カラオケでうたおう。










「・・・・・・クロスフォードさん」

「ん、何?」



そして私の右隣には、あの子のマネージャーの三条ゆかりさん。

やっさんと派手にやり合った三条海里君のお姉さんですよ。



「本当にありがとうございます。一応ミッド進出は計画には入れてたんですけど」



あっさりと言い切るこのお姉さんの神経をちょっと疑ってしまうのは、なんでだろう。

海里君に食い込める余地があるかどうか、調査を頼むくらいだしなぁ。なんというか、図太い。



「まさかこんなに早く第一歩を踏めるとは思ってなくて・・・・・・というより、助かりました」

「あー、色々難航してるらしいしね。でも、一種の新人発掘番組だし・・・・・・私はそれほど大した事はしてないよ?」



ただあの子の保証人というか、仲介役みたいな感じになっただけだし、これだって優勝どうこうという話にはならない。

ただ『デビュー前』の人間を出して、うたってもらおうという・・・・・・そんな簡単な企画。のど自慢に近いレベルでもある。



「それでも第一歩は第一歩です。何分、地球の方は色々と」

「大変と。で、だから」



私は振り返って、ゆかりちゃんの後ろの子達を見る。・・・・・・・普通にボロ泣きしてるし。



「うぅ、歌唄ちゃん・・・・・・良かったですねぇ。きっと恭文さんも聴いてくれてますです」

「バカ。聴いてるに・・・・・・うぅ、決まってんだろ? 歌唄、良かったなー」

「・・・・・・ぼろ泣きと」

「えぇ」





話に聞くところによるとあの子の芸能界への再デビュー・・・・・・相当難航しているらしい。

というか、決まった仕事が容赦なく相手方の都合でどんどんキャンセルされるのよ。

そうなる原因は、あの子が関わっていたイースター社。アレが各所に無言の圧力をかけてるらしい。



イースター社は地球だと相当な規模の会社。だからそこを敵に回すのを恐れて、みんなあの子を使いたがらない。

というかね、イースターの系列プロダクションを身勝手な理由で辞めたって噂が広まってるみたいなの。

そのために、あの子・・・・・・『ほしな歌唄』というタレント商品の信用度そのものがかなり落ちてるのよ。



この辺り、やっぱりイースター社が絡んでるらしい。全く、汚い連中だよ。

つまり歌唄ちゃんが再デビューするなら、そこの辺りの悪評を拭い去らなきゃいけない。

なおかつその圧力に打ち勝たなきゃいけない・・・・・・って、これなんて茨の道?



でも、そんなの1ヶ月やそこらでどうなるわけでもなく・・・・・・で、そこにたまたま私が来たのよ。

あそこの街で見つけた限定のバナナ羊羹ってのがどうしても食べたくなってさ、買いに行ったんだ。

そんな時に街でオフ中の歌唄ちゃんに遭遇したのよ。で、エルちゃんとイルちゃんとも初めまして。



やっさんとかから歌唄ちゃんの話は聞いてたから、興味があってそのまま話して・・・・・・色々あって意気投合。

というか、ゆかりちゃんとも話して最近の事情とかを聞いて、それならと思って一肌脱いだのよ。

もちろんそこの辺りは、ゆかりちゃんや歌唄ちゃん達の人となりを見た上で決めているのは了承して欲しいな。



気晴らしに近い部分はあるし、先に繋がるかどうかも不明だけど・・・・・・それでも、一歩は一歩。



だから歌唄ちゃん、あんなに楽しそうにうたってる。もうね、私から見ても凄いキラキラしてるし。





「これで地球での活動にも弾みが付けばいいんですけど」

「歌唄ちゃん的に?」



ミッドでうたっても、管理外世界である地球にはほとんど還元はされない。その逆もまた然りだけどさ。

ここならイースター社の手は伸びないし、歌唄ちゃんは伸び伸びうたえる。でも・・・・・・やっぱりうたいたいのは、地球らしい。



「えぇ。私達の償いは・・・・・・あそこじゃないと出来ませんから。それに歌唄のファンの子達も居る。
数こそ少ないですけど、今でも歌唄の歌を心待ちにしてる人達が居るんです。だから」

「そっか。そりゃあ沢山の場でうたえるようにならないといけないね」

「えぇ。・・・・・・よし、私ももうちょっと頑張らないと」










二人の償いは、奪ってCDにしたたまご達を取り戻す事。歌唄ちゃんは自分が輝く事で、連鎖的に新しい輝きを生み出す事。

ゆかりちゃんは、その輝きを沢山の人に見てもらえるように場を作っていく事。それが二人の償い。

というか、罪の数え方かも知れないね。向き合って、そこから一歩進んで・・・・・・笑って生きるために選んだ道筋。





なんて言うか、バカだよね。もっと楽な逃げ道もあるだろうにさ。でも・・・・・・私、そんなバカが嫌いじゃないんだ。





だからかな。歌唄ちゃんもだけど、その歌唄ちゃんを嬉しそうに見るゆかりちゃんの事も、キラキラしてるように見えるの。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「な、なぜ歌唄が・・・・・・いや、アレは幻覚だ。そうだ、アレはCGなんだ。実写に見えるCGなんだ」



あの衝撃の生放送の翌朝、恭文は中華粥をすすりながらもまだそんな事を言う。

なお、顔が軽く青冷めているのは絶対に気のせいじゃない。



「そ、そうだよね。ヤスフミ、最近のCG技術って凄いね。私達には実写にしか見えなかったよ」



それはフェイトさんも同じ。第一夫人として、やっぱり色々考える所はあるらしい。

なお、恭文と全く同じ表情なのは言うまでもないと思う。



「きっとアレだね。フロム・ソフトウェアみたいな変態企業が絡んでるんだよ。そうだ、そうに違いない」

「そ、そうなんだ。というかあの・・・・・・最近の技術発達って凄いね。私びっくりだよ」

「・・・・・・恭文、フェイトさんもそろそろ現実受け入れなよ。アレはマジで歌唄で」

「「そんな事ないんだからねっ!? アレは変態企業の仕業なんだからっ!!」」



そしてあたし達は同じ食卓を囲みながら、そんな二人を見て全員でため息を吐く。

でも・・・・・・マジで歌唄どうして来たの? だって恭文やフェイトさんも知らなかったわけだしさ。



「てーかよ、あのアイドルはマジでどうしたんだ? 俺はそこが気になってんだけど」

「確かにそうだね。歌唄ちゃんが次元世界に渡航するなら、誰か付いているはずだし。三条君、そこの辺りは」

「実は俺も全く聞いていません。ですから余計にその・・・・・・震えが来まして。
ですが、姉主導ではないはずです。姉はこちらに土地勘がほとんどありませんし、コネもありません」

「それなら余計に謎だよねー。歌唄ちゃん、どうやってこっちに来たんだろー。うーん・・・・・・やや分かんないー」



とりあえず、あたしも中華粥を食べながら色々考える。考えて考えて・・・・・・結論を出した。



「もしかして、歌唄も戦技披露会の応援に来たとか? ほら、それなら時期的にはぴったりだし」

「あ、なるほど。あむちー冴えてるー」

「でもあむ、誰が歌唄やゆかりさんをこっちの世界まで引っ張ってきたのかという疑問が消えないわよ?」

「あ、そっか」



そこでまた、全員考え込みつつも中華粥をすする。・・・・・・あぁ、こういうお食事も美味しいよね。

てゆうか、恭文の中華料理って結構好きかも。こう・・・・・・優しい味だからかな。



「・・・・・・ヤスフミ、とりあえず歌唄にメールかな」

「でも怖い。怖いよ。普通に何かこう、触れてはいけない何かに触れそうで怖いの」

「・・・・・・恭文さん、そこまでですか? 歌唄さんと向き合うって決めたんじゃ」

「それでも怖いのー! 普通に今自宅前とかに居るとか言われたら、僕心臓止まるよっ!?」

「いや、アンタそこまでっ!? てゆうかそれは」



言い換えけて、あたしは止まった。そして色々考えて・・・・・・結論を出す。

いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ! あたしもさすがにそれはなんか怖いんですけどっ!!



「恭文、ごめん。アンタの言いたい事はよーく分かった」

「そっか。うん、分かってくれて嬉しいよ」



・・・・・・などと話していると、普通にチャイムが鳴り響いた。それで恭文の顔から一瞬で血の気が引く。



「・・・・・・・・・・・・キュウ」

「あぁ、ヤスフミしっかりしてー! あの、大丈夫だからっ!! うん、きっと大丈夫だよっ!?」

「というかちょっと待ってっ!? フェイトちゃん達もあむさん達も何の話してるのかなっ!!
私、本当に置いてけぼりなんだけどっ! というかというか、どうなってるのー!?」

「ママ、大丈夫だよ。ママはドキたま/だっしゅではサブキャラだから、詳しく知る必要はないと思うな」

「ヴィヴィオまで私をいじめるのっ!? というかというか、サブキャラって言わないでよっ!!
私、原作主人公なんだからっ! そういうので頑張る必要あるんだからねっ!?」










戦技披露会まで後1日。それなのにあたし達は、いつも通りに騒がしい日常を過ごす。

なのはさんや恭文の訓練に付き合って、会場での色々な段取りなんかも決めて・・・・・・いつものように準備。

でも、ちょっとドキドキだな。凄く強い魔導師の人達が集まるって言うしさ。





戦うの好きなわけじゃないけど、それでも楽しみ。・・・・・・あ、それで言い忘れてた。





さっき鳴ったインターホンは、宅急便屋さんだったのであしからず。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そして、あっという間に戦技披露会当日。・・・・・・うん、びっくりするくらいに時間は早く進んだ。

なのはさんや恭文君の準備や調整の相手を、僕達がキャラなりする事で行う。

まぁ、あくまでも簡単なレベルだけどね。基礎部分の相手だけなら、なんとか出来るから。





応用に関しては、二人で軽く模擬戦したり・・・・・・それで色々と度肝を抜かれたりとか?





とにかく、現在は早朝。僕は・・・・・・あの人とまたまたバスケコートに来ていた。










「・・・・・・それっ!!」



しばらく前とは比べ物にならないくらいに綺麗なフォームで、その人は跳びながらシュートする。

そのボールは、綺麗にゴールリングの中央を通過。・・・・・・うん、本当に上達してる。



「よし、入ったー」



そう言って、桜色のラインが入っている白のジャージ一式を身に纏うなのはさんは、嬉しそうに笑う。

何本入っても、同じように笑って・・・・・・跳ぶ事が、以前よりずっと動けている事が嬉しいみたい。



「というかなのはさん、あの」

「ん、なにかな」



なのはさんは自分の方にバウンドしてくるボールを、しゃがんで拾い上げる。

そうしつつ、真後ろに居る僕の声に応えた。



「いいんですか? 戦技披露会当日なのに・・・・・・その、バスケしてて」

「いいの。・・・・・・あ、なぎひこ君には迷惑かな。朝早くに付き合わせちゃったし」

「いえ、そこは大丈夫です」



ただ・・・・・・なぁ。なのはさんは昨日の夜に『最終調整にどうしても必要なのっ! お願い』って言ってたんだよ。

僕、正直バスケが魔法戦の最終調整に必要だとはどうしても思えないんだけど。新魔法がコレに関係してるとかじゃないよね?



「もちろんね、なぎひこ君が何を心配してるかくらいは・・・・・・分かるんだ」



なのはさんは立ち上がって、静かにボールをバウンドさせ始める。

朝もやが立ち込めるコート内で、バウンド音がゆっくりと響き渡る。



「なぎひこ君、前に・・・・・・リズムが生まれる前に、私言ったよね?
思考と感情。理性と衝動は全く違う・・・・・・真逆にあるものだって」

「はい」



よく覚えてます。それで僕の悩みの一つが・・・・・・何か、解れた感じがしたから。



「でも、私あんな偉そうに言える立場じゃなかった。私もなぎひこ君と同じ。
・・・・・・私も自分の夢とか『なりたい自分』、分からなくなってたのかも」

「え?」

「私ね、いつの間にか局員を続けて、教導官を続けて、それで空を飛んでれば夢は叶ってると思ってたんだ。
そうしていれば、小さな頃に憧れていた『なりたい自分』になれて、それを続けられるって思って、どこかで油断してた」



少し悲しげな声でなのはさんはそう言って、ゆっくりと視線を上に上げた。



「それなりに出世して、立場が出来て、慕ってくれる教え子が居て・・・・・・そういうのもあったからね」



僕はさっきも言ったけど、なのはさんの真後ろ。だから当然、なのはさんの表情は見えない。



「今の私は幸せで、夢は一応でも叶って、今も追いかけ続けてるんだって・・・・・・根拠もなく安心してたように思うんだ」



どんな目でなのはさんがまだ明け切っていない空を見ているのか、僕には分からなかった。



「でもね、しゅごキャラの事を聞いて、なぎひこ君と仲良くなって・・・・・・リズムが生まれる瞬間に立ち会えてからかな。
あとはみんなのキャラなりを見せてもらったりして、そう思っていた自分に気づいて、それが嫌になった。だから」



言いながら、なのはさんが時計回りに振り向く。サイドポニーに纏めた髪が揺れて・・・・・・なのはさんが僕の方を見る。

なのはさんは、優しく・・・・・・自信に充ち溢れた顔で僕に笑いかけていた。



「ここから、また新しい私を始めていきたいんだ。今の私が描く『なりたい自分』を追いかけていくの。
・・・・・・まぁ、そう言っても今までとさほど変わりはないんだけどね」

「・・・・・・空を飛び続けられて、ヴィヴィオちゃんのホントにママになれる自分になる事・・・・・・でしょうか」

「うん。それをね、戦技披露会の前にちゃんと確認しておきたかったんだ。
なぎひこ君と一緒に跳んで、空に手を伸ばして、必死にボールを追いかけて」



なのはさんがまた空を見上げる。空は・・・・・・ついさっきよりも、少しだけ明るくなっていた。



「私の夢、私の『なりたい自分』の一つは、やっぱり空の中にあるんだって。
それが私の『最終調整』・・・・・・ううん、リスタートかな。・・・・・・なぎひこ君、ありがと」



なのはさんは僕の方に視線を戻すと、すぐにボールを軽めにパスしてきた。僕はそれを両手で受け止める。



「私、なぎひこ君とお話出来て・・・・・・こうやって仲良くなれて、すごく良かったよ」

「いえ。あの・・・・・・なのはさん」

「ん、なにかな」

「僕も同じです。なのはさんと会えて、こうやって仲良くなれて・・・・・・本当に良かったです」



なのはさんが居なかったら、リズムが生まれてくるの・・・・・・もっと遅くなってたかも知れないから。

色々話す中で感じた事、伝わった事で僕は答えを見出す事が出来たから。



「なら嬉しいな。・・・・・・あ、そうだ」

「はい?」

「それなら、また二人だけでどっかお出かけしちゃおうか」

「えぇっ!?」



僕は驚きの余り、ボールを落としかけた。だ、だってそれ・・・・・・デート、でしょ?

そうだよ、デートだよねっ! な、なんでいきなりそんな話にっ!!



「あ、なんだか嫌そうだなぁ。うーん、私ちょっとショックかも。うぅ、なぎひこ君までなのはをいじめるんだ」

「い、いえ。そんな事は・・・・・・というかあの、お出かけってどこに」



聞くのは色々だめなんだろうけど、僕はミッドの地理はあまり詳しくないもの。

あ、でも例のストライクアーツに関しては色々見てみたいかな。何気に興味あるんだ。



「うーん、そうだなぁ。今思いついたばかりだし、決めてはないけど・・・・・・よし」



なのはさんは、両手を腰の後ろに回して軽く繋ぐと・・・・・・そのまままた、空を見上げた。



「空が綺麗な所。沢山空が広がってる所に行こうか。それでたくさん写真を撮るの。
イクスヴェリア陛下、空が好きなんだよね? だったらそれをおみやげにするとか」

「あ、それいいですね。きっと陛下、喜んでくれると思います」



陛下は眠ってるからきっと写真を見るのは・・・・・・本当に長い先の事になるだろうけどさ。

でも、枕元に置いておけば、もしかしたら写真の風景を夢で見てくれるかも。ほら、そういう話ってあるでしょ?



「よし、決定だね。あー、楽しみだなー」

「・・・・・・はい。僕も楽しみです」





目の前で、明るく笑う人は僕より10歳も上で、大人の女性。というか、女の子のお母さん。

でも僕は、この人に対してずっととても近いものを感じている。それは今も同じ。

僕達は蒼い空に憧れて、その中に『なりたい自分』や夢を描いて・・・・・・だから『とぶ』。



いつだってありったけで、全力で『とんで』、自分なりの形に手を伸ばし続けていく。

もしも・・・・・・もしもこの人とずっとこんな風に繋がっていられたら、それは凄く幸せなのかも。

別に恭文君やあむちゃん達が思ってるみたいに恋人どうこうとかじゃなくてさ。



親友とか仲間とか、同志とかそういう形。そうだな、僕はそうしたいんだ。





「・・・・・・なのはさん」

「なにかな」

「また、会いに来てもいいですか? ミッドの空・・・・・・好きになりましたから」



胸の中に沸いた不安を少しだけ隠して、僕はそう聞いてみた。

なのはさんは嬉しそうな顔をして、そのまま頷いてくれた。



「うん、いいよ。いつでも来てくれて構わないから。あ、でも」



この人は、本当によく笑う。それで僕はこの人の笑顔が好きだったりする。

優しくて、明るくて、僕達の上に広がる空の色がそこに見えるから。



「今度は私がヴィヴィオと一緒に会いに行く。なぎひこ君とまたバスケもしたいし、色々お話もしにね。
あとは・・・・・・また一緒に服をお買い物とか? 『なでしこ』じゃなくて、なぎひこのあなたと一緒に。どうかな」

「・・・・・・はい。あの、いつでも来てください。歓迎しますから」

「うん、ありがと」










そこからまた、僕達は『最終調整』に入る。なのはさんは楽しそうにコートの中を走り回って、ずっと笑っていた。





でもなんというか・・・・・・あははは、恭文君達がまた心配しちゃうな。だって僕、この人と本当に距離感近くなったし。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



朝もやがかかる公園の中、僕とフェイトは軽くロードワーク。





特別な日ではあるけど、それでも気構えずにいつも通り。





ただ・・・・・・アレ、どうしよう。てーか先生も普通にタイミング遅いって。










「・・・・・・ヤスフミ、アレどうする?」



フェイトも同じなのか、僕の右隣を軽く走りながらそう聞いてくる。

なお、長い髪はピンク色のヘアバンドで一纏めにして後ろに流していたりする。



「まぁ、とりあえずロストロギア関係じゃなさそうだし・・・・・・マリエルさんやヒロさんサリさんに開発頼んでもいいよね?」

「うん、そこは大丈夫だと思う。だけど間が悪いね。
もうちょっと早かったら、普通に戦技披露会で使えたのに」

「いや、むしろ僕は良かったと思う。下手にバレるとめんどくさくなるし。
それに今は僕自身のバージョンアップの期間だもの。新アイテム導入は、やっぱその後だよ」

「あ、それもそうだね」





昨日の朝に届いた宅急便は、僕宛てのものだった。なお、差出人は先生。

旅先で色々あって、古代ベルカの技術を応用した新開発の素材を手に入れたらしい。

それは使用者の精神の波長に応じて色を変える、クリアカラーの金属素材。



もうちょっと言うと、刀剣関係に使うと相当の切れ味を見せるとか。先生も試してビックリしたらしい。

強度自体もかなりあって、そこは今のアルトの刀身と比べると確実に上。まさしくチート素材。

ちなみになぜそうなるかと言うのにも、非常に細かに詳しく書いてあった。まるでどこかの設定資料みたいに。



なんでも空気中にある『GN粒子』という魔力素に割合近い新発見の粒子を利用してるかららしい。

その素材はその粒子を極々自然に吸収して、そのエネルギーを切れ味に変換している。

言うなら、常に一定の集束状態を保ちつつ振るえるスターライトブレードですよ。まさしくチート素材。



しかもこの金属素材、持ってるだけで使用者もその粒子の恩恵を受けられるとか。

なんか、使用者の意志に応じて重力操作によって総重量をある程度変えられるとかなんとか。

まさしくチート素材。『ずるいよ、チート素材ずるいよ』と言われても仕方がない。



・・・・・・と、このような嘘な説明が凄い分量で書かれていた。それはもうどこかの設定資料のように。

ちなみにどの辺りから嘘かと言うと、『ちなみになぜそうなるかと言うのにも』の辺りからだね。

あ、ちなみになぜ嘘だというのが分かったかについてだけど、ここに関してはもう非常に簡単な理由。



・・・・・・普通に『GN粒子』とか『太陽炉』とか『LCL』とか『シンクロ率』とかアニメ的な単語が入りまくりだったからだよっ!!

てーかどの設定や説明もマジでどっかのアニメの設定資料から丸写しなやつばかりだったしっ!!

信用出来るのはマジで『ちなみになぜそうなるかと言うのにも』より前だけだよっ!? どうなってんのさ、あのクソじじいっ!!





「ヤスフミ、あのレアメタルの名前、なんだったっけ」

「とりあえず先生の手紙だと『魔剣』とかなんとか書いてたね。だから『魔剣X』なんて言ってたよ」



ちなみに、『魔剣X』はドリームキャストで発売されたアクションゲームである。うん、ここも嘘だね。



「・・・・・・そんなの、一体どこでどうやって手に入れたんだろうね。私は本当に詳しく聞きたいんだけど」

「どうしてなんだろうね。手紙には一切書いてなかったし・・・・・・うーん、謎だなぁ」





もうここまで言えば分かると思うけど、先生が送ってきたのはその金属の精製方法と、小量のその金属。

これは言うならサンプルだね。僕がさっき『ちなみになぜそうなるかと言うのにも』より前はホントだと言ったのはここが理由。

僕とフェイトで実際にサンプルを触って確かめたのよ。そうしたらもうびっくりびっくり。



僕は蒼、フェイトは緑色、なのはは白と本当に変化した。・・・・・・僕はまぁ、魔力光だって言えるの。

ただ、フェイトの緑やなのはの白は全く予想外。マジで魔力以外の何かに反応しているとしか思えない。

それで今のところ魔法が使えないあむ達にも触らせたりしたら、凄い楽しいお遊びになった。



ちなみにあむが虹色で、りまが黒、ややが赤に割合近いピンクで、なぎひこが空色。唯世が眩い金色だった。

それで先生はあれを精製した人達から許可をもらって、僕の誕生日プレゼントとして送ってきたのよ。まぁ、そこはありがたい。

ただ、問題もある。それを普通に宅急便で送ってくるってどういう神経してんだろ。しかも着払いだし。



しかもしかも、やたらと遠い世界から送ってきて・・・・・・金額が宅急便として考えると、凄まじい額だった。

そうだな、余裕でPS3が2台買えるくらいの額を通達されたと思って? なお、全額僕が払ったさ。

だから僕は手持ちのお金が足りなかったから、わざわざ近所のコンビニまで行ってお金降ろしてきたさ。



・・・・・・これ、本当に誕生日プレゼントッ!? いつぞやのチケットと同じ感じなんですけどっ!!

てーか着払いにするなよっ! 普通に僕達なんにも聞いてなかったんですけどっ!?

くそ、マジであのクソじじいは常識が著しく欠如してるしっ!  一体なんなんだよっ!!



あとあと、手紙でフェイトとの夜の生活について聞いてくるなー! 答えるわけがないだろうがボケっ!!



てーか、答えようなくないっ!? 通信端末も何も持ってない上に住所不定なのに、どうやって答えろとっ!!





「あとは・・・・・・貯金頑張る。ほら、なんだかんだで最近かなりの額使ってるし」

「そ、そうだね。例えばその・・・・・指輪とか」



さすがにロードワーク中に指輪を着けていて、なにかあってもマズい。

フェイトはそう思って、指輪は自宅に置いていたりする。



「まぁ、それはいいのよ。元々考えてたから。ただ、あの着払いがなぁ」

「・・・・・・相当額だったもんね。ヘイハチさん、お金ないのかな」

「宵越しの銭は持たないってやつ? でも、少しは持っていて欲しいんですけど」



とりあえず常時PS3が2台買えるくらいにはさ。旅暮らしなんだし、それくらいはいいでしょ。



「でも」

「何?」

「ちゃんと覚えててくれたんだね。ヤスフミ、良かったね」

「・・・・・・うん」



まぁアレだ。また来た時に・・・・・・ちゃんとお礼を言おう。そして代金は要求してやる。

今回は絶対ふんだくってやる。チケットの時は結局うやむやにされちゃったし。



「でも、なんか不思議だよね」

「え?」

「・・・・・・10年前、まさかフェイトとこうやって隣同士になるなんて想像してなかったから」



少し足を止めて、息を整える。フェイトは僕を軽く追い越すけど、同じように足を止めた。

それで髪を揺らしながら振り返って・・・・・・頷いてくれた。



「そうだね。私も想像してなかった。・・・・・・ヤスフミの事好きになって、付き合うようになるなんて。
それで・・・・・・キスしたり、エッチな事してコミュニケーションするようになるなんて、思ってなかった」

「・・・・・・エッチ。いきなりそういう話するんだ。フェイト、すっかりいやらしくなっちゃったね」

「エ、エッチじゃないよっ!? というか、一昨日もいっぱい頑張ったヤスフミに言われたくないよっ!!
あの、私達二人ともエッチでいやらしいんだよっ!? そこは絶対勘違いしないようにっ!!」



気にしてはいけない。だって、フェイトの方がエッチなのは決定だもん。



「でもさ、その通りなんだよね。だって僕達、最初は凄い喧嘩したし」

「・・・・・・うん、そうだった。でも、アレは私が悪かったんだよね。無神経に色々言い過ぎちゃったから」

「あとは僕も・・・・・・うん、やっぱり悪い事してたな。フェイトが心配してくれてたのは、伝わってたはずなのに」



10年・・・・・・かぁ。長いようで短いような、でもやっぱり長いような。



「それで仲良くなってからも喧嘩して、たまにつかみ合いみたいになって」

「模擬戦して、言い争いして、それでも決着がつかなくてしばらく膠着状態が続いて。
でも私達・・・・・・手だけは、離してなかったよね。ずっと、ずっと繋いでた」



フェイトは、言いながら両手を差し出す。僕は・・・・・・それをそっと掴んで、握りしめた。

同じように両手で、フェイトの優しい柔らかい手と僕の手を繋ぎ合わせる。



「・・・・・・うん」



そうやって色んな事があって、自分なりの『なりたい自分』を追いかけ続けて・・・・・・それで10年。



「それで10年前と同じく、世界の危機に立ち向かってるってのもアレだよね」

「確かにそうだね。でも、あの時とは色々違う事もあるよ?
私とヤスフミが繋がってる事や、あむ達が居る事。だから、きっと大丈夫だよ」

「・・・・・・そうだね。あのさ、フェイト」



繋ぎ合った手はそのままに、僕はフェイトを見上げる。

フェイトは頬を染めて、いつものように微笑みかけてくれる。



「これからも・・・・・・よろしくね」

「もちろんだよ。私の方こそ、よろしくね。あなた」










うし、もっと頑張ろう。これから先の10年・・・・・・ううん、もっともっと先の未来に今を繋げられるように。





変わらないまま変わり続けると決めた時の気持ち、変わらなかった夢と向き合うと決めた時の気持ち、無駄になんてしたくないから。





ここからまた一歩、僕は踏み出す事にした。隣に居る大好きな女の子と一緒に、また一歩。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



そして、ついにこの日がやってきた。あたし達は全員で本局に移動を開始。

戦技披露会は、本局内にある特設スペースで行われるらしい。

空戦の部、陸戦の部と分かれていて、クラスもエースとかストライカーとか色々。





恭文が出るのは最初の方で、陸戦の部らしい。なお、ここにあたし達は疑問を持った。

だって恭文、空飛べるもの。ただここの辺りは、あのレイオというおじさんが陸戦魔導師だからだとか。

あとは恭文の手持ちスキル的に、陸戦の方が色々と見栄えがいいという理由からこうなったらしい。





とにかくあたし達は会場入り。ガーディアンメンバー全員と、リースとディードさん引率の元でいいポジョションの席を確保。

ティアナさん達も来てるらしいけど、そこはそこでまた席が別とか。ここの辺り、局員さんだからだね。

あ、恭文となのはさんはもうウォーミングアップに入ってる。フェイトさんとリインちゃんとヴィヴィオちゃんも、二人と一緒に居る。





というか、セコンドだって言ってたな。フェイトさんとリインちゃん、それにシオンが恭文のセコンド。

あと、ヴィヴィオちゃんと元々頼まれてたらしくてこっちに来てるシャーリーさんがなのはさんのセコンド。

・・・・・・普通にセコンドなんて居るのはビックリだよ。マジで色々本格的だし。





あー、でも緊張してきた。というか・・・・・・普通に局員制服の人しか居ないし。










「キング、どうやら基本この披露会は、局関係者が主に出席しているようですね」

「そうみたいだね。まぁ、あまり見世物的にしてもダメという事かな。
蒼凪君の話からすると、大事なのはやったという事実とも言えるし」

「戦技披露会を行えるだけの技量を持った人間が居るという事を知らしめるわけだな。しかし海里、政というのも難しいものだな」

「そうだな」



海里とムサシ、それに唯世くんがなにやら難しい会話してるけど・・・・・・とりあえずあたし達はそれどころじゃない。

だ、だって完全に場違いじゃない? ほら、あたし達私服だしさ。



「よし、それじゃあ早速応援旗を出して応援を」

「うんうん、やっちゃおー!!」

「ちょっと待てっ!?」



そう言って、なんか凄い大きな旗を持ち出してきた空海とややをとりあえず止める。

なんか疑問顔でこっち見てるけど、そこはいいのよ。うん、そこはいいの。



「アンタ達、普通になにやってんのよっ! てゆうか、それはマジで他の人に迷惑だからやめてっ!!」

「そうだよ。相馬君もややちゃんも座って?」

「というか、いつの間にそんなの用意したのよ。私、ちょっとビックリしたわ」

「へへ・・・・・・ま、そこは色々とな。な、やや」

「うん、色々とねー。・・・・・・あ、アヒルちゃん達使って応援も」



だからそれダメだってばっ! 普通にこっちではキャラなりとか控え・・・・・・てないよねっ!?

そうだよっ! よく考えたらあたし達使いまくってないっ!? うわ、なんか今更だしっ!!



「あはは・・・・・・みんな、楽しそうですね。ね、ディードさん。・・・・・・あれ、ディードさん?」

「・・・・・・リース、この場は任せていいですか? 私、少し着替えてきます」

「いや、着替えて来ますってなんですかっ!? というか、その両手に持ったメイド服は一体なんですかっ!!」

「いえ、恭文さんの応援のために」

「どんな応援するつもりですかっ! それとその必死な目はやめてくださいー!!」



・・・・・・なんだろ、すっごいカオスだよね。てゆうか、あの・・・・・・ラン達も頭上でもう応援団もどきやってるし。



「頑張れ頑張れー! 恭文ファイトー!!」

「王の目の前で無様な戦いを見せでもしたら、タダじゃおかんぞっ!!」

「なのはさんも頑張れー! クスクス達、応援してるよー!!」



あー、でも周辺の人は見えてないからそこは嬉しいかな。いや、安心安心。



「ねね。シルビィ、ナナちゃん。このちっちゃい子達、可愛いねー」



・・・・・・え? いやいや、ちょっと待って。なんか普通に聞こえたような。というか、後ろから?



「こらアンジェラ、あまり騒いじゃだめよ。周りの人の迷惑になっちゃうから」

「でもシルビィー、凄く可愛いよー?」



あ、あはは・・・・・・なんかすっごい寒気するんですけど。あたし、後ろ振り向くの無茶苦茶怖いんですけど。

そ、そうだ。気のせいだよね? アレだ、今のはあの・・・・・・あたしの妄想なんだ。そうだ、そういう事にしておこう。



「それでもだめよ。てゆうか、さっき言ったでしょ? その子達、私達以外には基本見えてないんだから」



きゃー! なんかすっごい気になるフレーズを妄想が口走ってるー!!

や、やばいっ! あたしもしかして相当末期っ!? でも、変なもの食べたりとかは当然無いのに・・・・・・どうしてー!!



「・・・・・・でも、ちょっと気になるわね」



きゃー! なんか気にされてるっ!? あぁ、すっごい視線突き刺さってるしっ!!



「ね、あなた達」

「は、はい。なんでしょう」





とりあえずややとかが爆弾投げない内に、あたしが相手・・・・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

あたしこんなキャラじゃないのにっ! てゆうか、なんかすっごい個性的な人達なんですけどっ!?

制服にローブに獣耳に・・・・・・もうワケ分かんないしっ!!



・・・・・・アレ、ちょっと待って。普通に局員の制服じゃない? じゃあじゃあ、この人達って誰?





「あなた達、さっきから『恭文』って言いまくってたわよね? あとは『蒼凪』って」

「あ、そう言えば。・・・・・・もしかしてあなた達、ヤスフミのお友達かなにか?」

『・・・・・・え?』

「ほえ? ・・・・・・あー、そう言えばそうなのだー! ねね、みんな恭文のお友達なのっ!?
だったらアンジェラ達と同じなのだー! あのねあのね、アンジェラ達も恭文とはお友達なのだっ!!」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



それで色々自己紹介し合って、お話し合って・・・・・・うん、事態が飲み込めた。

この人達、普通にヤスフミの知り合いだったの。というか、昔の仕事仲間。

GPOっていう局の外部組織の人達で、恭文の応援に来てくれたみたいなの。





えっと、金色のポニーテールのお姉さんがシルビィさんで、その隣のややくらいの子がアンジェラちゃん。

それで赤いローブを羽織ってステッキを持った子がナナちゃん。

それで三人とも、どういうわけかしゅごキャラが見えてた。これには改めてビックリした。





それでプロミスランドがどーたらこーたらってナナちゃんが言ってたけど・・・・・・なんだろ、あたしには良く分かんないや。










「でも、凄い偶然よねー。まさかヤスフミのお友達と席がすぐ近くなんて」

「た、確かにそうですね。僕もかなりビックリしてます。えっと・・・・・・ニムロッドさん」

「ん、何かな」

「蒼凪君は、ニムロッドさん達が来てる事とかは」

「あー、知らないわ。少なくとも私達からは言ってない」



その言葉に、あたし達がちょっと意外そうな顔を三人に向けてしまう。だってその、かなり仲良いよね?

今でも定期的に連絡取ってるって言うし、同窓会もしたりするって言うし。



「というか」

「というか?」

「私達も普通にこっちで仕事上の手続きとかがあってね。その関係で見に来れただけなのよ。
実際は応援メールくらいしか送ってないから、恭文には言ってないの」



そう言ったナナちゃんの言葉に、あたし達は納得した。つまり見に来れたのは、本当に突発的なもの。

でも、それであたし達の真後ろ・・・・・・普通に凄い偶然かも。



「・・・・・・なんて言うかこれだけ居るのは・・・・・・ビックリだわ。アンタ達も恭文と同じキャラ持ちなのよね」

「うん、そうだよー。・・・・・・アレ、ナナちゃん。どうして恭文がやや達と同じって知ってるの?」



・・・・・・あ、そう言えばそうだ。だってシオンは恭文と一緒に行ってるし、ここには居ないもの。

しゅごキャラ生まれた事を報告してたとか? でも・・・・・・なんで? わざわざする理由がちょっと分かんない。



「もしかして恭文から聞いてるとかかしら」

「まぁそんなとこよ」



でも、これで正解では在るらしい。そしてそう軽く返してきたナナちゃんを見て、シルビィさんが少しおかしそうに笑った。



「シルビィ、何よ」

「ううん、なんでもないわ。でも・・・・・・そうよね。ちゃーんと報告してくれたわよね。
ヤスフミ、ナナちゃんとの約束を忘れてなんてなかったから」

「当然よ。この私との永遠の約束なんですもの。忘れるわけがないでしょ?」

「それでそれで、ナナちゃんとっても嬉しそうだったのだー」

「こらバカ猿っ! 変な事言うんじゃないのっ!! 私が何時そんな顔したって言うのよっ!!」



意味が分からないけど・・・・・・とりあえず、恭文は問い詰めた方がいい気がしてきた。

だって『永遠の約束』だよ? アイツ、またなんかフラグ立てたりしたとしか思えないって。



「それよりもほら、アンタ達も前向きなさい」

「え?」

「戦闘空間、準備出来始めたみたいよ」



ナナちゃんの言葉通り、あたし達の目の前のフィールドが・・・・・・あれ?

これ、砂漠かな。それで石の柱があちらこちらに点在してる。ま、またシンプルな。



「ねね、いいんちょ。こういう場合恭文ってどう戦えばいいの?」



ややがあんまりにシンプルなバトルフィールドを見て、疑問が出てきたのかいいんちょに聞いてきた。

なぜにリースやディードさんに聞かないのかとは言う事なかれ。リースはディードさんを止めるのに必死だったの。



「そうですね・・・・・・遮蔽物がほとんどありませんから、それに隠れてどうこうは無理です」

「蒼凪殿ならブレイクハウトによる物質変換があるが、それとて一時しのぎだ。
この状況でそれを使っても意味があるまい。つまりこのシチュエーションは」

「ただひたすらに相手と制限時間いっぱい使って、真正面からやり合えという事です」

「・・・・・・へぇ、君も君のしゅごキャラも凄いわね。
私達もそう思ってた所だったの。うん、中々板に入った分析だったわ」

「「きょ、恐縮です」」



いや、いいんちょに聞くと凄く楽だなぁ。もうね、分かりやすくて・・・・・・あれ?



「・・・・・・ちょ、ちょっと待ってっ!!」

「あむちゃん、どうしたの?」



・・・・・・相手と制限時間いっぱい使って、真正面からやり合えっ!?



「確か恭文の相手って、相当パワータイプでそういうのやらせたら無茶苦茶強いんじゃっ!!」

『・・・・・・あっ!!』



そうだよそうだよっ! 確かクレイモアとかアイシクルキャノンでもさっぱりかもーってっ!!



「それってつまり」

「つまり・・・・・・恭文にとっては、中々に不利なシチュって事か」



あたしがそこを口に出すよりも早く、空海が結論を出した。それで全員の表情が苦くなる。



「そうなるわね。実はね、私もGPOに入る前は局員だったんだ。
だから、レイオ・ガーランド教導官の事はちょこっと聞いてるの」



そう言ったシルビィさんの方を見ると、真剣な目で恭文が居るフィールドの方を見ていた。



「私の知る限りのヤスフミの手持ちスキルだけだと、隠れながらでもかなり苦戦すると思う。
それくらいに強い魔導師なの。その上真正面からだと・・・・・・あぁ、ちょっとマズいかしら」

「えー! そんなー!!」

「少なくともアイツがやりそうな、姿を隠しながらの嫌がらせとかは無理よ。
それにこの場だと、いくつも隠してるアウトコースな手札は封印でしょうし」



ナナちゃんがそう言ったのを見て、あたし達はこう・・・・・・軽く苦笑いしてしまった。



「・・・・・・恭文って、昔からそういう認識なんだ」

「ボク達の認識とさほどズレてないって一体」

「恭文さんは、昔から恭文さんだったんですねぇ」



しゅごキャラにまでここまで言われるなんて。恭文、アンタって一体なんなの?



「なんというかアイツ、相変わらず運が悪いわね。なんか呪われてるんじゃないの?」

「確か戦うフィールドって、ランダムだよね? あぅあぅ、恭文・・・・・・あーめん、なのだ」

「ヤスフミ、あなたの事は忘れないわ。安らかに眠ってね?」



言いながら、アンジェラちゃんとシルビィさんが手を合わせ・・・・・・って、やめてー! すっごい縁起でもないからやめてー!!



「とりあえず、私達も手を合わせた方がいいかしら」

「恭文、あーめんでち」

「あーめんソーメン冷ソーメンー。クスクスクスクスー」

「やや、運が悪くても恭文のお友達だから、安心して欲しいな? そこは絶対の絶対だよ」



だからりまもクスクスもややもペペも手を合わせるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

てーか、縁起でもないでしょっ!? ほら、まだどうなるか分かんないしっ!!



「いや、真城さん・・・・・・結木さんもそれはやめた方が。というか、蒼凪君は経験豊富な魔導師だもの。
きっと今この瞬間も、何か打開策を考えてるんじゃないかな。・・・・・・多分」



唯世くん、そこ言い切っていいよっ! なんですっごい弱気になっちゃうのかなっ!?



「というか、呆然としてるわね。ほら、見なさいよ。あの顔」



りまの言うように、全員で恭文の顔を見ると・・・・・・というか、恭文の全体像を見る。



「恭文君、固まってるね」

「完全に予想外って身体全体で訴えてんな」

「先程行われていた試合を見るに、陸戦の部は市街地や森林地帯などが主でした。
蒼凪さんもそこの辺りが来ると思っていたのでしょう」

「というか、そこは私達もよ。・・・・・・あぁ、ヤスフミきっと内心でも頭抱えてるわよね?
もう嫌がらせとしか思えない状況になっちゃってるもの」



恭文は動きもせずにただただ砂漠を見つめ続けていた。

それを見てあたし達は、自然と手を合わせ・・・・・・いや、これダメだから。



「・・・・・・やっぱり恭文、あーめんなの?」

「アンジェラちゃん、そこ必要ないからっ! いや、きっと大・・・・・・あぁ、なんかマズくないっ!?
あたし、すっごく心配になってきたんですけどっ! 恭文、アンタマジで大丈夫なのかなっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・さぁ、次は陸戦の部・エースクラスのファーストマッチですっ!!』



さて、観客席であむ達がそんな会話をしていた事、僕達はバトルフィールドで待機中。



『なお、実況は引き続き私、武装隊広報部セレナ・アールズ。解説は』

『ども。引き続き本局海上警備部、八神はやて捜査司令です』



なぜに狸が普通に戦技披露会の解説やってるのかとツッコむ余裕もなく、僕は呆然としていた。

だって、これから僕とレイオさんが戦うフィールド・・・・・・普通に砂漠だし。遮蔽物0だし。



「・・・・・・アルト、ジガン。最悪ゾーンまだ続いてたっけ」

≪いえ、一応終わったはずですよ? ただ、あなたの場合普段からマイナスゾーンですし≫

≪昨日もそのせいで5万近く散財したの。アレはまさしくリアル人生ゲームなの≫



あぁ、人生ゲームでもそういうのでお金使っちゃうマスとかあるしね。うん、言いたい事は分かるよ。



≪でも主様、人間諦めが肝心なの。頑張るの≫

「そっかぁ。これを諦めろってか。あははは、フザケんじゃないよコラ。
てーか、今理解したわ。神も仏も僕の敵だ。うん、10年目にしてようやく理解した」

≪今更ですよ。というか・・・・・・ほら、その神と仏に愛された方がとってもにこやかですよ?≫





あぁっ! なんかあのおっちゃんがこっち見てニヤニヤしてるー! すっごいニヤニヤしてるー!!

紅蓮の鎧に身を包んで、両手で2メートルほどの長さを持つバトルアックスを握り締めてるおっちゃんがニヤニヤしてるー。

くそ、マジで真正面から全力でやり合えとっ!? なんかのいじめかコレはっ!!



てーかアレかっ!? もしかして公開処刑かっ! 僕が散々局の評判落とすような事してるから、その嫌がらせかっ!!

・・・・・・いやいや、さすがにそれは・・・・・・ありえそうだな。

局上層部って人としての器が小さいのばっかりだし。さて、これはマジでどうしようか。



立てていた作戦の大半がパーになってしまった。何にしても正面衝突は避けたかったのに。

これじゃあ普通に物陰に隠れて見えない所でレールガンとか風属性の変換を混ぜた魔法とかもNGだ。

くそ、マジで飛車角落ちでSSランク魔導師とやり合えと? やっぱ神と仏は僕の敵だ。





『さて、今回のカードは嘱託魔導師・蒼凪恭文氏と本局教導隊所属、レイオ・ガーランド教導官です』



僕がもう『戦技披露会なんて絶対に出ない』と決意を固めている間にも、話は進んでいく。

そのためにマジで神様と仏様と局上層部は僕の敵だと思っても、それは絶対に罪じゃない。



『戦闘フィールドはご覧の通りの広大な砂漠。
・・・・・・八神司令、この組み合わせですがどう思われますか?』

『そうですねぇ、まず二人ともベルカ式の使い手ですから・・・・・・見所はお決まりですが、単純な力のぶつかり合いですね。
逃げるところも隠れるところもないですし、ベルカ式の魔導師の真髄、きっと見せてくれるんやないかと思います』



楽しそうに解説するんじゃないよっ! てーか助けてっ!? このフィールドチェンジさせてよっ!!



『なるほど。シンプルな舞台故に鍛え上げた技能・・・・・・力と力が正面衝突と』



誰が正面衝突するかボケっ! 普通にコレだと僕がお亡くなりコースでしょうがっ!!



『さて、それでは軽く選手紹介を。えー、蒼凪恭文氏は現在本局の次元航行部隊に所属』



所属してないよっ!? まるで僕が局員みたいに言うなー! 僕はこんな嫌がらせする局なんて嫌いなんだー!!



『あの閃光の女神、フェイト・T・ハラオウン執務官の補佐官として活躍中』



なお、僕の異名が『古き鉄』だと言うのは、基本言わないようにしてもらってる。

・・・・・・せっかく広まった悪評やマイナスイメージだもの。ここでそれが外見的な問題で払拭されても困る。



『最近だと、本局で噂のブラックダイヤモンドを完全封印したとかなんとか。
去年の戦技披露会でも卓越した技術を見せつけてくれましたし、期待大ですね』

『あぁ、そうですねぇ。あ、それで』

『はい?』

『なんかその事件の時に助けた子と、現在進行形でラブロマンスしとるとかなんとか。
相当熱烈にラブコールされとって、蒼凪氏もまぁまぁ悪い気がしとらんらしいです』

『おぉっとっ! それは凄い情報ですねっ!!』



ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! とりあえず狸黙れっ!!

てーかその情報いらなくないっ!? あと、僕だけでブラックダイヤモンド封印したわけじゃないからっ!!



『さて、そんな蒼凪氏のセコンドには三人。上司であるフェイト執務官と、同僚で同じく嘱託で元局員のリインフォースUさん』



そうそう、僕のセコンドは三人。・・・・・・アレ、三人? え、ちょっと待って。三人って何かな。

とりあえず、僕は右側に展開しているクリスタル型の空間モニターを見る。



『確かフェイト執務官とリインフォースUさんと八神司令は』

『えぇ、深い関係です。フェイト執務官は10年来の親友ですし、リインはうちの末っ子ですから。
あ、ちなみにそこのチビスケも同じく10年来の親友です。いや、いつも泣かされてばかりなんですよ』



黙れやボケっ! てーか普通に『チビスケ』言うなっ!! ほら、会場からなんか笑いが起きてるしっ!!



『そうでしたか。えー、それで蒼凪氏のセコンドのあと一人が・・・・・・アレ、資料に載っていませんね』



そりゃそうでしょ。だって・・・・・・今フェイトとリインと並んで映ってるの、局員でもなんでもないし。

ちなみに今はフェイトの肩に乗っているシオンではないので、あしからず。



『まぁアレやないですか? 局員関係やのうて、普通に友人で応援しとるとか』

『おぉっと、これはまたいいのかっ!? セコンドの三人目はツインテールが綺麗な少女だと言うのにっ!!
ブラックダイヤモンド事件で助けた少女とのラブロマンスは果たしてどうなったのかっ!!』



さすがに聞き逃せなくて、声を張り上げて実況席の方を見ながら叫ぶ。てーか、ツッコむ。



「よし、とりあえずそこの司会黙れっ! おのれはアレかっ!? 僕になんか恨みでもあんのかっ!!
そしてラブロマンス言うなっ! 色々あって親しくなって友達してるだけだしっ!!」

『とんでもないっ! 私はただ、おもしろおかし・・・・・・もとい、会場を盛りあげようとしているだけですっ!!
あと・・・・・・まぁ、アレですよ。ツンデレはドが過ぎると嫌われますよ? まぁまぁ私もそういうのが嫌いではありませんが』

「もうおのれは今すぐくたばれっ! てーか何言いかけたっ!? おのれは一体何を言いかけたんだよっ!!」



と、とりあえずもう一回画面を見てみる。もう奴らに期待しても全く意味がないのは明白だもの。

そして・・・・・・やっぱり僕は頭を抱えた。さっき見えていた現実は、やっぱり夢なんかじゃなかった。



『・・・・・・ひどいです。お兄様のしゅごキャラである私を忘れるなんて。しくしくしくしくしくしく』



嘘泣きしてるシオンも夢じゃないけど、ここは放置でいい。てゆうか、ここはどうしようもない。

だって、ここはシオンが見えてないのが大半なのに。それでどうしろと? てーかシオン、そこ分かってるよね?



『・・・・・・恭文、どうしたのよ。全く、私とのラブロマンスがバラされたくらいで動揺するなんてダメね』

『そうだぜ。お前、せっかくの晴れ舞台なんだしパーっといこうぜー?』

『恭文さん、ファイトーオーなのですよ』

「どうしたもこうしたもあるかボケっ! てーか、なんでここに居るのっ!?」



なお、さっきから司会が言ってたのは・・・・・・うん、歌唄だよっ!?

そして当然だけどエルとイルも居るさっ! もう分かり切った事だよねっ!!



「そしてラブロマンスは演じてないよねっ!? どこをどうしたらそういう話に」

『当然、アンタの応援に来たのよ』



え、僕のツッコミを無視ですかっ! ちょっとちょっと、どんだけ自由なのよっ!!



『あ、ヒロリスさんにここまで連れてきてもらったから』

『いや、あの姉ちゃん面白いよなぁ。それにアタシもエルも歌唄もマジ良くしてもらってさぁ』

『ネバーネバー感謝なのです。エル達の感謝フラグが立ちまくりなのです』



はぁっ!? ヒロリスさんって・・・・・・どういう事さっ!!



「なんでヒロさんと知り合ってるっ!? てーかちょっと待てっ!!
描写されてないとこで何があったのよっ! ・・・・・・フェイトー!!」

『ヤスフミ、あの・・・・・・ごめん。私もリインも、ここで歌唄を放り出すわけにもいかなくて。
あ、ラブロマンスに関しては大丈夫だよ? 私は気にしてないし、歌唄との事はちゃんと認めたいし』



顔を赤らめてそんな話しなくていいからっ! あと、それを認めちゃうのもどうなのかなっ!!



「リインー、シオンー」

『ヒロリスさん、すぐにどっかに消えちゃったから・・・・・・もうどうしようもないのです』

『お兄様、これはもう諦めるしかありませんね』

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! なんでこんなワケ分かんない事ばかり起こるわけっ!?

てーか、あれですかっ!? 20歳なのに厄年ですかっ! なんか色々おかしいわボケっ!!



『そんなセコンドをバックに蒼凪氏が振るうのは、一般的なベルカ式の騎士とは一線を画す鋭い剣技の数々。
砲撃をも魔力無しで斬り裂くその閃光が、この1年の間にどれだけ磨かれているか・・・・・・私、個人的にも期待しております』

『それでそんな蒼凪恭文氏に相対するのは、『スカー・レオン』『ザ・ヒート』という二つ名でお馴染みなレイオ・ガーランド』

「おいおい待てよっ! スカー・レオンはともかく、『ザ・ヒート』はやめろっつってんだろうがっ!!」





あのおっちゃんが声を不満げにあげるのには理由がある。それもとっても大事な理由が。

『ザ・ヒート』という二つ名は、単純に『暑苦しい』という理由で付いたものらしい。

いや、暑苦しいって言うか・・・・・・あのおっちゃんはガチに脳みそ筋肉のお人だよね?



もっと言うと『ブレイン・マッスル』だよ。・・・・・・あ、これは頭良さそうに聞こえちゃうな。





『全てを叩き潰す破壊の申し子。『スカー・レオン』とは、全ての攻撃を受け切ってなお倒れない鋼の獅子』

「無視すんなよっ! てーかそういう風に言うとカッコ良いからいいんだけどよっ!!」



いいんかい。てーかあなた、やっぱり単純な人ですね。



『その獅子の魂を持つ正統派重量級魔導師・・・・・・きっと私らに、その力の真髄を見せてくれるでしょう』

『つまりは、全てを斬り裂く力と全てを破壊する力のぶつかり合いになるわけですね』

『えぇ。ある意味ではその表現は矛盾したものです。力は力ですから。そやけど、現実はシビアです。
そして正直でもある。両者が振るう『力』がなぜ違うかが、この勝負ではっきりするでしょ』

『なるほど。それは期待大ですね』



うわ、なんか適当な事言って盛り上げようとしてるし。てーか司会もそこに乗っかるんかい。



『それでそんなガーランド教導官のセコンドは・・・・・・アレ?
あの、八神司令。私の気のせいでしょうか。ガーランド教導官のセコンドがちょっと・・・・・・アレ?』

『・・・・・・いや、気のせいちゃいますね。うちもはっきり見えてます。
なんですか、アレ。なんで『ともだち』の覆面着けてるんですか』

『ともだち?』



その言葉に首を傾げつつ、僕はレイオさんの方を見る。というか、レイオさんの周囲の空間モニターを。

それをよーく見ると・・・・・・二十世紀少年の『ともだち』の覆面を着けた二人組が確かに映っていた。



『あぁ、地球の方にある『二十世紀少年』いう漫画の登場人物です。アレと同じマスク着けてるんですよ』

『なるほどー。・・・・・・え、いやいや待ってください。それはおかしいですよ。
そんなマスクを着けた正体不明の人物が、ガーランド教導官のセコンドッ!?』



黒のタキシードに白のネクタイに・・・・・・あの、普通にブッチギリで怪しいんですけど。



『な、何アレっ! というかあの・・・・・・えぇっ!?』

『フェイトさん、落ち着くですよっ! 確かにブッチギリで怪しいですけど、落ち着くですっ!!』

『というかちょっと待って。あの片方の額に『H』って書かれてない? それにマスクから白い髪が』

『・・・・・・なぁ、あの髪・・・・・・アタシはなんかすっげー見覚えあるんだけど』

『イルさんもですか? 実は私もです。あのツヤやしなやかさ、とても覚えがあります』



歌唄とイルとシオンの言葉に、僕とフェイトとリインは目を見開いてもう一度よーくあのマスクコンビを見る。

・・・・・・た、確かにそうだ。それでそれで、その片割れには額に黒文字で『S』って書かれてる。



「がははははははっ! 俺のセコンド出来る奴がたまたま居なくてよっ!!
昔のダチに頼んで、ちと来てもらったんだよっ!!」



昔のダチっ!? ちと来てもらったって・・・・・・ま、まさかっ!!



『そ、そうですかぁ。えっと・・・・・・ちなみになぜ覆面を?』

「アレだ、プライバシーの保護ってやつだなっ! 何分今は魔導師でも何でもないしなっ!!
すまないがこのままで頼むっ! 何、コイツらも局員だから変なことは一切しねぇよっ!!」

『なるほど。それなら納得です』



あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! もう間違いないしっ!! アレ、絶対ヒロさんとサリさんだっ!!

てーかよーく見たら額に『S』って書かれてる方、すっごい苦労性なオーラだしてるもんっ! 間違いないってっ!!



『ヤ、ヤスフミ・・・・・・まさかあの二人って』



どうやらフェイトも気づいたらしい。だから軽く頬が引きつってる。なお、リインも同じく。

歌唄は合点が言ったような顔になってる。まぁ、そこは僕も同じだよ。多分このために歌唄をこっちに預けたんだ。



「多分間違いないよ。あぁもう、なんですかこのカオス試合。ここだけ空気違い過ぎでしょ」

≪いつもの事でしょ。それより・・・・・・始まりますよ≫

≪バトルフィールドのチェック、終わったっぽいの≫



ジガンの言うように、そろそろスタートらしい。なので、頭の中を一気に切り替える。



『ヤスフミ、ルールはもう大丈夫だよね?』

「当然。カートリッジ使用は制限なし、制限時間15分の一本勝負」





エースクラスは戦技披露会で言うと、ランク的には二番目のカテゴリー。

なお、最上位はエリートクラス。こっちがなのはとシグナムさんが出る方だね。

それにともない、試合時間も多少短くなってるのよ。エリートだと25分だから。



つまり、15分はこの脳筋なおっちゃんとガチに殴り合いだ。・・・・・・またキツいねぇ。





『うん、そうだよ。それで分かってるとは思うけど、最初から全力且つ真正面から勝負するのは避けて。
力と力の勝負だと、やっぱりヤスフミの方が不利ではあるから』

『基本は上手く立ちまわって、嫌がらせしまくるのです。・・・・・・まぁ、ちょっと予定とは違うですけど』



確かに。さっきも言ったけど普通に市街地戦とかを予測してたのに、これだしなぁ。

ただ、アウトコースを使うにしても手が無いわけじゃない。一応こういうシチュも想定はしてるもの



『でも、ブレイクハウトを活用すれば、砂漠だろうとなんだろうとそれは可能なのです。
恭文さんの長所、ドSな性格の悪さを思う存分発揮するですよ』

「・・・・・・リイン、後でぶん殴るから」

『どうしてですかっ!? リインはそんなところも含めて恭文さんを愛してるですよっ!?』

「それでも貶してるようにしか聞こえないでしょうがっ! 100人の人に聞いたら、100人ともそう言うに決まってるしっ!!」

『むー! そんな事ないのですっ!! リインはいつだって胸いっぱいの愛を恭文さんに届けてるですよっ!?』



そういう事じゃないからっ! 今は言い方の問題をしてるのよっ!? どうしてそうなっちゃうのさっ!!



『まぁいいじゃないの。性格悪いのは事実なんだし』

『ですです。恭文さん、エルが思うに自分を認める事も大事なのですよ?』

「よくないからっ! あと、全然違うからねっ!?」

『違わないわよ。あと・・・・・・アレよ』



む、三人目のセコンドがなんかエンジンかかってる。というか・・・・・・あはは、やっぱダメっぽいな。

僕、歌唄は振り切れないわ。うん、なんか画面越しでも久々に会えて、それは痛感した。



『私・・・・・・ちゃんと見てる。それでうたうから。うたって、背中を押す。
私は戦闘に関してはアドバイスは無理だし、それくらいはね』

『そこはアタシ達もだな。しっかり見ててやるから、頑張れよ』

『恭文さん、負けたらエルがお仕置きなんです。覚悟するですよ?』

「ん、みんなありがと。あー、それとさ。歌唄」

『なによ』





開始位置は互いの有視界範囲200メートル。まぁ、お決まり的な距離だね。

ちなみにこの距離、魔導師も騎士も一撃必勝がやりにくい距離だったりする。

だからこそ、初手の攻防が大事。でも・・・・・・あんま僕達には意味ないな。



なんにしても僕達は、最終的には真正面からぶつかるしかないんだし。





「来てくれて・・・・・・ありがと」

『・・・・・・別にいいわよ。てゆうか、迷惑じゃない?』

「全然。てーか、そう言っても帰る気ないでしょ」

『当然よ』



歌唄はどこか嬉しげに微笑みながら、僕の言葉に即答した。

白の薄手の長袖シャツを身に纏った歌唄は、そのまま僕を見つつも両腕を軽く組む。



『私、アンタの背中押すためにここに来たんだから』

「だと思った。だから・・・・・・もう言わない。歌唄も、フェイトやリインと一緒に巻き込んでいくから」

『そうね、そうしてもらえると・・・・・・かなり嬉しいかな』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



神様、俺・・・・・・もしかして厄年ってやつですか? てーかアレだな、お前敵だわ。





なんで俺、普通に休日なのにこんなクソ怪しい覆面かぶってこんな暑苦しい奴のセコンドしなきゃいけないんだよっ!!





ヒロは乗り気だが、俺はもう嫌なんだよっ! アレかっ!? 俺にくたばれと言いたいわけかっ!!










『・・・・・・さて、ここは一気に行くか』

「あぁもう、お前は落ち着けっ! 相手はやっさんだぞっ!? そんなバカやってどうするっ!!」

「そうだよ。レイオ、まずは冷静に。やっさんの性格の悪さなら、アンタを振り回すなんてワケないから」



とは言え・・・・・・コイツの手持ちスキル的に、それしかないんだよな。

誘導弾や砲撃の類も使えるが、それでも真骨頂はギガシャウターによるどつき合いだしよ。



「確かにフィールド的にはお前が有利だ。何にしても、時間いっぱい真正面からやり合うしかない」



空戦に持ち込むという手もあるが、恐らくそれはないだろ。やっさんだってそこは分かってるはずだ。

自分がレイオを捌くなら、空中ではなく地上の方が色々とやりやすいってな。



「ただそれは、逃げたり隠れたり出来ないというだけだ。やっさんならいくらだって流しようはある」

「そうだよ。なによりあの子、アンタみたいな格上相手に今まで散々やってきたんだ。
てーか、シチュの有利不利で揺らぐような叩き方は、私もサリも全くしてない」



当然今回みたいな形でレイオみたいなタイプとも戦ってる。で、結果は勝ちだ。

そうじゃなきゃ、フェイトちゃんと糖分振り撒いてるわけがない。ある意味あれはやっさんにとって、勝利のご褒美だ。



「まぁ、アンタに考えて動けとは言うつもりないよ。てーか出来ないでしょ」

『おう・・・・・・ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』



言い切るなよっ! てーかお前、俺らの話聞いてるかっ!? 普通にあくびするなってーのっ!!



「そうだとしても、これだけは覚えておいて。突破力と破砕力ではアンタが上でも、絡め手ではやっさんが上だよ。
なにより、このフィールドにはやっさんが使える『材料』がいくらでもある。それならここでやっさんが使う手は」

『分かってるよ。坊主は最初に俺を消耗させようとすんだろ? で、突撃もどうにかして流す。
あとは・・・・・・こっちは陸戦魔導師だしな。そういうところを突いて、足元から攻撃とかなんとかだ』

「・・・・・・なんだ、分かってるじゃないのさ」

『分かっちゃいるが、お前らの知っての通り、俺は細々としたのは苦手でな。まぁアレだ』



ずっとやっさんの方を見ていたレイオが、ギガシャウターを右肩に担ぎながら左に振り向く。

顔を向けるのは、俺らの顔が映っているであろう空間モニターの位置。そして奴はニヤリと笑った。



『全部受け切って・・・・・・ぶっ潰せばいいだけだろ?』

「・・・・・・ま、そういう事だな」





結局それしかないんだよな。レイオの長所は、火力でもなんでもない。重要なのはその打たれ強さだ。

防御を抜いても、どれだけ斬られても、撃たれても倒れない程に硬い鋼の肉体と精神。

それがレイオを『スカー・・レオン』足らしめている。中途半端な絡め手じゃ、コイツは止められない。



つまり、勝負の決め手はやっさんがレイオのそんな鋼を真っ二つに斬れるかどうか。

そして、レイオがその前にやっさんの鉄を粉砕出来るかどうか。この二点だ。

なんの偶然か、あの八神二佐と司会の適当な解説は、実はかなり的を得ていたりする。



純粋な力と力。この勝負の勝敗を決める事は、そのぶつかり合いの結果とイコールなんだよ。





「ただレイオ、それでもヒロの言うようにオーバーペースな消耗は避けろよ?
あと、相手の方が機動性云々が上だという事も忘れるな」

「やっさんの火力は絶対ナメない方がいい。アンタがいつも相手にしてる教え子10Dよりもずっと火力高いから」

『了解だ。んじゃ・・・・・・細かいとこは状況に応じてアドバイス頼むぜ、お二人さん』



レイオが、右肩に担いでいたギガシャウターを軽く持ち上げて、両手で持つ。そして、軽く右に振りかぶる。

やっさんは抜きの体勢を取って、正面を見据える。・・・・・・おいおい、何にしてもまずは正面衝突かよ。



『・・・・・・さぁっ! 試合準備も完了しましたっ!! 制限時間は15分の一本勝負っ!!
それでは1ラウンドマッチ、時間いっぱいっ! 試合・・・・・・開始ですっ!!』










司会の子の声と同時に、やっさんとレイオが同時に踏み込んだ。そして正面衝突する。





それにより砂は巻き上がり、二人の姿を覆い隠す。・・・・・・これがこの戦いの幕開けとなった。




















(第70話へ続く)




















あとがき



恭文「というわけで、拍手でも『飛車角落ちよりひどい』と言う感想があった戦技披露会第一戦です」

シルビィ「ヤスフミ、それは基本ヤスフミだけよ? 普通は手札全開でなんとかするんだし」

恭文「そういう奴らは魔導師としての覚悟が足りないのよ。
あのねシルビィ、魔導師ってのは穴蔵にこもってゴキブリとねずみを友達に」

シルビィ「それは何か間違ってると思うんだけどっ!? ・・・・・・とにかく、今回でドキたま/だっしゅも20話目。
ついに開催された戦技披露会と、その準備話はいかがだったでしょうか。本日のお相手はシルビア・ニムロッドと」

恭文「パワーアップフラグを立てつつもこのいじめに立ち向かう蒼凪恭文です」





(そう、拍手142でやってたあのクリアカラー金属、本格採用です。ちなみにこれでフッケバインを斬れる・・・・・・はず)





シルビィ「え、まさかそのために導入したのっ!?」

恭文「いや、色々考えたのよ。普通にForceNEXT張りの新装備開発もありだけど、僕やヒロさん達はこっちかなと。
ただ、ぶっちぎりで切れ味100%じゃなくて、あくまでも技量をフルで活かして初めてOKって感じ?」

シルビィ「ま、まぁそれなら・・・・・・いいのかしら」

恭文「もういいって事にしておく。でね、パワーアップした名前も考えてるんだ」





(え、もうっ!? 最悪精製に時間かかって、登場はVivid編って言うのを考えてたのにっ!!)





シルビィ「また気が速いわね。それで、どんな名前?」

恭文「えっと、まずアルトは『アルトアイゼン・アルカイック』になるの。
名前的にちょっとかぶってはいるけど、まぁ・・・・・・あのね」

シルビィ「・・・・・・ミキちゃん?」

恭文「・・・・・・うん。ミキが背中押してくれた事、絶対忘れたくないし」

シルビィ「ふふ、そうなんだ。ヤスフミ、ミキちゃんと仲良しだものね」





(お姉さん的には色々嬉しいらしくて、とってもニコニコである)





シルビィ「あ、それじゃあヒロリスさん達はどうなるの? さっき名前出てたけど」

恭文「・・・・・・うん、二人も名前考えてたんだ。どっからか話聞きつけてさ、それで」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ヒロリス「え、パワーアップの名前? そりゃあアンタ・・・・・・やっぱ『アメイジア・シャイニングデストロイ』でしょ」

サリエル「俺のは『超絶神・金剛』だな。しかしヒロ・・・・・・お前、ダサいな」

ヒロリス「はぁっ!? アンタ何言ってんのよっ! アンタのその厨二チックなのの方がダサいしっ!!」

サリエル「うるさいよっ! てーか厨二の何が悪いっ!? 男はな、みんな厨二なんだよっ!!
生まれついてから死ぬまでみーんな厨二なんだよっ! これは世界の常識だろっ!!」

ヒロリス「そんなのアンタだけだからっ!!」

アメイジア≪・・・・・・いや、姉御も同じだろ。なんだよ、シャイニングデストロイって≫

金剛「主、私もこう・・・・・・さすがにその名前は少し」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



シルビィ「・・・・・・壮絶ね」

恭文「そうだね。でも、問題ないと思うけどなぁ。どっちもかっこいいと思うし」

シルビィ「ヤスフミっ!?」





(説明しよう。蒼い古き鉄は普通にセンスがないのだ)





シルビィ「・・・・・・よし、私も再登場したし、第四夫人頑張るわ。
それでヤスフミのセンスを矯正するから、安心して?」

恭文「どうして第四夫人っ!? 普通にそれはやめてー! てゆうか、第三夫人を勝手に決定しないでー!!」

シルビィ「というわけで、GN粒子で切れ味が上がる新開発金属がどうなるかとか、私とヤスフミのロマンスにも期待しつつ本日はここまで。
お相手は、今回の再登場は第四夫人就任フラグだと信じて疑わないシルビア・ニムロッドと」

恭文「それだけは絶対ないと思う、蒼凪恭文でした」

シルビィ「もう、ヤスフミひどーい。私の事散々啼かせていじめて愛してくれたのに・・・・・・捨てちゃうんだ」

ヤスフミ「それIFでしょっ!? 本編ではそんな事してないよっ!!」










(どっちにしても似たような事をメルとまでしていると思った周囲の人達であった。
本日のED:GRANRODEO『HEAVEN』)




















シャナ(別の観戦席にて)「・・・・・・あのバカ姉、何してんのよっ! マジ信じられないんですけどっ!!
とりあえずあのおっちゃんは巻き込まれただけだろうけど、それでもこれはありえないでしょっ!!」

ギンガ「シャナ、ほんとにあの・・・・・・・アレ、ヒロリスさん達なの?」

チンク「確かに背丈は似てるが・・・・・・良く分かったな」

シャナ「はぁ? アンタ達何言ってるのよ。あんなバカな事するのは、ヘイハチ一門以外ではそう居ないでしょ」

ギンガ・チンク『・・・・・・確かに』

ウェンディ「また力強い理論っスね。でも・・・・・・ヤスフミ、どうするつもりっスか?
シチュ的には不利もいいとこっスよ。向こうの方がパワーでは優ってるわけっスから」

セッテ「確かに。ですが蒼凪恭文の真骨頂は、力押しではありません」

ディエチ「そうだね。真正面から突っ込みさえしなければ、きっと・・・・・・って、なんか突っ込んでるしっ!!」

ギンガ「なぎ君、何考えてるのっ!? ガーランド教導官相手にそれはダメだよっ!!」

シャナ「・・・・・・やっぱアイツもヘイハチ一門ね。もうバカさ加減が一般レベル超えてるし」










(おしまい)





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あきゅろす。
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