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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第10話 『とある魔導師の休日 最終日』(加筆修正版)



「・・・・・・やばい、なんかさっきから嫌な予感がしまくってる」





前回のあらすじ。海上隔離施設に、お届け物をした。

それで、突然に自宅を知らないはずのスバルの襲撃を受けた。

そしてそして、外にどうやらリインとはやてが居るらしい。



それも、スバル達と一緒に。要訳すると、とっても最悪。・・・・・・以上。





≪もう出たらどうですか? めんどいでしょ≫

「だめ。今出たらここが僕の家だとバレてしまう」

≪いや、もうバレてるでしょ≫

「いいや、まだバレてないっ! だって僕は・・・・・・アレだよアレっ!!
普通に名乗ってないよっ!? ほら、絶対違うってっ!!」



そうだ、そうに違いない。だからスバル達は、確証が持てないんだ。

そしてはやてとリインは、きっと空気を読んでくれてる。全ての事情を大体察してくれてるはず。



「よし、寝よう。果報は寝て待てだよ。うん、寝ちゃおう寝ちゃおう」

≪・・・・・・いいんですか、それで≫





僕は、アルトの言葉に心の中で『それでいい』と答えつつ、布団に入り込む。

やっぱり、疲れてたせいかすぐに・・・・・・眠気が来た。

そんな時だった。玄関のドアがガチャリと開けられる音がした。・・・・・・え?



待て待て、まさかピッキングッ!? なに普通に犯罪行為に走ってるのさっ!!





「・・・・・・恭文君、居るわよね」





その声に、寒気が走った。それは、我が家の家長様。

もっと言うと、第1話に出てきて傍迷惑な依頼をしてくれた提督さん。

もっと言うとその人は、家長の権限を行使して、うちの合鍵を持っている。



ただ、チェーンがかかってるから入れないだけ。



それでも合鍵を持っていることは、変わらない。やばい、逃げろ。逃げてしまえ。





「ヤスフミ、出てきてくれないかな」



きゃー! フェイトまで居るー!! 思わずムンクの叫びのポーズ取っちゃったしっ!!

声は出せないけど、思いっ切りあの絵画の顔でポーズですよ。フェイトの声が聞けたのに、全然嬉しくない。



「もう分かってるよ? ちょっと悪いと思ったけど、バルディッシュでサーチしたから」





そしてしっかり詰め手を打たれてる。流石に油断がない。

寝室で膝を突いて頭を抱えて、僕は転げまわる。

なお、声は出してない。普通に出してない。



てーか、何故に・・・・・・なぜに二人が居るっ!!





「あの、スバルが来たのも事情があることなんだ。
ちょっとビックリしたのも分かるけど、これはやり過ぎだよ。ね、出て来て欲しいな」



・・・・・・こうして、僕の7日間戦争は終わった。元ネタ分からない奴はググれ。

そして、終わりと同時に決定した事がある。僕のお休みが、全然お休みにならないことがだよ。



「アルト」

≪はい?≫

「とりあえず、鍵屋電話しようか。家の鍵取り替えてくださいってさ」

≪・・・・・・判断はお任せしますよ≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・とりあえず、居間に全員円になって会議ですよ。





なお、僕が非常に不機嫌なのは、言うまでもないと思う。










「・・・・・・で、なんでそこのストーカーを通報しちゃだめなんですか?」

「私、ストーカーじゃないよっ! というか、いくらなんでもヒドイよー!!」

「いや、スバル・・・・・・アンタは間違いなくそれくらいの事してるから。
でも、そこは私もか。なんか頭回らなくてさ。いや、マジごめん」

「安っぽい謝罪なんていらないから、ちゃんと事情を説明してよ。どうして、家に来たの?
それでどうして僕の休日の邪魔をしたっ!? ほら、何か恨みがあるなら、全部逆ギレしてやるから言えっ!!」

「だから落ち着きなさいよっ! てゆうか、逆ギレはやめてくんないっ!?」



スバル達が来たのは、ギンガさんの差し金らしい。普通に僕の様子を見てきて欲しいと、頼まれたとか。

・・・・・・って、どこのお母さんだよ、あの人。てーか、絶対どついてやる。



≪じゃあ、そこの四人はどうしたんですか≫

「うちとリインは、仕事に暇出来たから、ちょお遊び来たんよ」

「私も同じ感じね。一応依頼主として、現状を確かめておきたくて」

「私も実は同じなんだ。それで、たまたま1階で母さんとばったり会ったの。・・・・・・それでヤスフミ」



で、当然のように僕に対して非難が来るわけですよ。友達を無視するのは如何なものかと。



「ダメだよ。ビックリしたのは分かるけど、スバルもティアも友達だよね。
それを締め出すなんて、本当にだめ。ほら、ちゃんと二人に謝ろ?」



なので、ハッキリと通達してあげる。うん、それはもうハッキリと。



「フェイト、勘違いするのやめてくれる? スバルとティアナは現時点では友達じゃないし。ついでに、仲間でもない」

「ヤスフミ、なんて事言うのっ!?」

「本当の事だからそう言ってるだけだし。あくまでも同僚ってだけで、そんな関係になった覚えはない」



フェイトの厳しい声も、軽くお手上げポーズでスルー。

スバルとティアナの表情が僅かに歪むけど、気にしない。



「恭文君、今のは言い過ぎじゃないかしら。あまりに二人に失礼よ」



なので、当然の顔をしてリンディさんが出てくる。・・・・・・似たもの親子め。



「フェイトやはやてさん達からあなたの様子は聞いてるけど、少し力を抜いたら?」



とりあえず、はやてを見る。今右手で『すまん』と言っても許さないから。

まぁ、事情は分かるから何も言わないけど。部隊長として、後見人に聞かれたら普通答えるでしょ。



「あなたはスバルさん達と同じ部隊で働いていて、その上同年代だもの。
それだけ条件が整っていて、仲良くなれないはずがないわよ」

「別に僕、六課に友達作りしに来たわけじゃないんですけど。
ぶっちゃけ、二人と友達になる必要性すら無い。なんで仲良くしなくちゃいけないんですか」

「・・・・・・恭文君、本当にいい加減にして。言葉が過ぎるわよ」

「大体、それが可能な依頼をリンディさんはしてます?」



少しだけ目を細めてそう言うと、リンディさんは黙った。・・・・・・うん、してないもの。

あんだけ危険要素がある以上、力なんて抜けるはずがないし。



「黙るって事は、してないって事ですよね。それで口出しするの、やめてもらえます?」

「いいえ、する権利があるわ。私は六課の後見人として」

「僕、イチイチ後見人の立場持ち出す人、嫌いなんですけど。
それならそれで、最初から提督として話してくださいよ。小狡いにも程がある」



微笑みなんて浮かべつつ言い切ると、リンディさんが黙った。つーか、当然だ。

ここで口出しする権利など、あるわけないし。今日の僕は、虫の居所が悪いのよ。



「てゆうか、普通に器小さ過ぎ。それで後見人? 近所の世話焼きおばさんの間違いでしょ。
・・・・・・はやて、部隊長としては僕が友達作りにカマけて仕事を疎かにしたら、まずいよね?」

「まぁ、ぶっちゃけマズいな。リンディさんの言う事も確かに分かりますけど、今回はうちも恭文と同意見です」

「はやてさん、でもこれは」

「恭文、六課に何しに来たんですか? 仕事しに来たんですよ。友達作りとちゃう。そんなん、プライベートの事や。
部隊長としてはいくら人間関係上手く出来てもその仕事を通してもらわんと、恭文に来てもろうた意味がないし、居る意味もない」

「ですです。恭文さんが六課の中で新しく友達や仲間を作る必要性が実は無いって事、忘れちゃだめなのですよ。
人間関係は、最悪最低限でも充分です。なにより、今回悪いのはスバルとティアとギンガじゃないですか」



そうだそうだー。そこを抜かして僕が悪いとか言われても、困るんですけどー?



「恭文さんだって、いきなりはビックリするですよ」

≪真面目に私達、誰からも来ると連絡もらってないんですよ?
ごく基本的な事を言えば、そんな人間を友達だと思えるわけがないでしょ≫



あぁ、流石は悪友と元祖ヒロインとパートナー。

こういう時には頼りになる。僕にも味方が居たんだ。こんなに嬉しいことはないよ。



「その通りだよ。てゆうか、ありえないでしょ。家も教えてないのにいきなり訪問なんて。
リンディさん、真面目にこれストーカーとして通報出来ますよね? 僕、なんか言ってる事間違ってます?」

「・・・・・・間違っては、ないわね。確かにスバルさん達に非常識な所があったのは、否めないわ」

「で、そんな人間と仲良くなりたいとか、友達になりたいとか、被害者心理として言えると思います?」

「言えない・・・・・・わよね」





リンディさんがようやく分かってくれた所で、話を進めよう。

メールアドレス教えてるから、連絡することだって可能でしょ。それすら無しだよ?

ギンガさんも連絡無しだし・・・・・・絶対後で殴ってやる。



真面目に僕はビックリしたんだ。現段階で友達でもなんでもないスバルの顔があったのよ? ビビるって。





「・・・・・・ごめん。あの、ビックリさせたかっただけなの」

「うん、目的は達成したね。よかったね」

「うぅ、本当にごめん。私、全然恭文の気持ち考えてなかった」



とりあえず、大きくため息を一つ。・・・・・・様子を見る限り、真面目に悪気はなかったらしい。

なので、もうここまでにしておく。右手を伸ばして、頭をくしゃくしゃに撫でてやって、それでもう終わり。



「ふぁぁぁぁぁぁっ!! ・・・・・・恭文?」



ティアナも視線で『もう許してあげて?』と言ってるので、それで止めた。

とりあえず、覚えておくといい。正義と悪は、表裏一体。それを口先だけで裏返す事は、可能なのよ。



「よし、話は纏まったね? じゃあみんな帰って」

『なんでっ!?』



・・・・・・全員揃って、それを聞くっ!? なんですかコイツらっ! マジで今までのやり取りを理解してないしっ!!



「恭文、あの・・・・・・本当にごめんっ! 私、無神経で全然ダメだったっ!!
あの、もし許してくれないのなら、なんでもするっ! だから、お願い・・・・・・ちゃんと話をさせてっ!!」

「あーもう、違うっ! 別に僕はもうそこは気にしない事にしたからいいのっ!!
・・・・・・僕、今日は最後のお休みなのよっ!? この2日間は全く休めてないのよっ!!」





一昨日はなぜか行く必要のない学校見学に付き合わされた。

昨日は、なぜか途中で帰って良かったのにチンクさん達とお話。

まぁ、自業自得な部分が多々あるけど、僕は何にしても休めてないの。



だから、今日はゆっくりとダメに過ごす。そう決めた。それなのにコレなのよ。



フェイトは癒しだけど、今日は何かお怒りモードなので、無理っぽい。なんつう理不尽な。





「でもヤスフミ、スバルとティアも来てくれたんだし、いい機会なんだから交流したら?
そうだよ、そうしよ? それで息抜きして、楽しく休日を過ごせば」

「よし、僕はずーっと布団の中で寝てる。それならいいよ。みんなは好き勝手に遊んでていいから」

「それは交流にならないよねっ! というか、もうちょっと態度を改めようよっ!!
スバルとティアだって、こんな事ばかりだとヤスフミの事本当に嫌いになるよっ!?」

「むしろ僕が嫌いになりかけてるっつーのっ! てーか、フェイトは今までの話を聞いてなかったのっ!?
もうお願いだから休ませろー! こうやって話している間にもお休みの時間は削られてくのよっ!!」



そんな時、チャイムが鳴り響いた。なお、当然うちのチャイム。

僕の魂の叫びは、そのチャイムがもたらした衝撃によって消え去った。



≪・・・・・・来客、ですね≫

「あははははは。アルト、ハイブレードモード起動。ドア越しに串刺しにしてやる。
もういい。僕の休みを邪魔するなら、全員叩き潰してやる」

「ダ、ダメっ! ヤスフミ落ち着いてっ!? あの、私や母さんが悪かったと思うから、本当にアルトアイゼンをセットアップしようとするのはやめてー!!」

「古き鉄・蒼凪恭文、これより武力介入を開始するっ!!」

「意味が分からないよっ! あぁもう、本当に落ち着いてー!!」




















魔法少女リリカルなのはStrikerS  外伝


とある魔導師と機動六課の日常


第10話 『とある魔導師の休日 最終日』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




えっと、今非常に驚いています。うん、それもかなり。というか、すっごく。

今日の朝、ヴィヴィオが『恭文どうしてるかな〜?』と言ったのがきっかけだった。

それで恭文君のお家へ、全力全開で一緒に来たところまではよかった。





元々明るい内に、隊舎の近くに戻ろうと思ってはいたから、本当に大丈夫なの。





本当に、そこまではよかった。ただ、恭文君がかなりイライラモードだった。










「ご、ごめんね。メールは送ったんだけど」

「恭文、ヴィヴィオとママが突然来たから怒ってるかな」

「・・・・・・大丈夫。僕が、チェックしてなかっただけだから」





とりあえず、リンディさんとスバルとティアは帰ってもらった。

三人が居ると、完全に恭文君が休めないもの。

私達が来る前に一悶着あったらしくて、相当空気が悪かった。



特にリンディさんと恭文君の間がこう・・・・・・凄かった。

なお、フェイトちゃん達に確認したら、恭文君がぶった斬ったのが原因とか。

・・・・・・口、上手いしね。理論武装が凄い時があるもの。



三人を追い出す形になって、フェイトちゃんはとても不満そうだった。



だけど、それでも恭文君は現在、気にせずソファーに突っ伏してる。





「恭文、本当に大丈夫?」

「あー、うん。大丈夫だよヴィヴィオ。・・・・・・疲れてるだけ。
すっごく疲れてるだけ。どっかの誰かさん達のせいで、疲れてるだけ」





まぁ、もちろん恭文君も悪い所があったと思うの。うん、そこは確実に。

ただ・・・・・・なぁ。割合的には、それが少ないんだよね。

だってさ、普通に家の前に自宅を知らないはずの友達が居たら、びっくりするよ?



なお、私は絶対びっくりする。・・・・・・フェイトちゃんは、今ひとつ分かってなかったけど。



そうだよね、フェイトちゃんは分からないよね。うん、そういう子だって知ってたよ。





「ねぇ、神様ってどこにいるかな? 今ならぶち殺せそうな気がするんだ。
ほら、『とある』繋がりで右手で触れれば消し去れるよ。僕の右手は幻想を殺す手だしね」

「お願いだからそんな怖い事言わないでっ! そしてそれは間違いなく錯覚っ!!
恭文君の右手は、普通の手だよっ! 魔法とか何にも消せないよねっ!?」

「嘘だッ!!」

「嘘じゃないからっ!!」



あぁ、まずい。恭文君そうとうキテる。こう、いつもよりオーラが黒いもん。

というか、ソファーにうつ伏せになって泣き始めた。・・・・・・そりゃあ、なぁ。



「恭文さん、そこまでお休みしたかったですか」

≪スバルさん達が来るまでは、素敵な休日でしたから、余計にダメージが来たんですよ≫

「あぁ、よしよしなのですー。元気出すですよー」



リインは、恭文君の側で・・・・・・私からだと見えないけど、きっと頭撫でてるね。

小さな手で、優しく安心させるように撫でてるの。リイン、恭文君が辛い時はいつもそうだから。



「でもな、恭文。もうちょい人間関係にも力入れてくれると、うちもまぁ助かりはするんよ」



そんな恭文君にはやてちゃんが、テーブルの上でお茶とお菓子を頂きつつそう口にする。

なお、勝手に取り出して勝手に煎れてた。なお、私とフェイトちゃんも一緒に頂いてる。



「てーか、どないしたんよ。アンタの仕事場へのスタンスはまぁ知っとるよ? 納得もしとる。
でも、ここ最近はあんまりにこわばり過ぎちゃうか? 108とかでは、まだ緩いやんか」

「そうだよ。ヤスフミ、お願いだからみんなにもっと心を開いて。本当に、もうちょっとだけでいいんだよ?
その・・・・・・・私達が力を抜けない要因なのは分かってるの」



私の向かい側に座るフェイトちゃんが、恭文君の方を心配そうというか、申し訳なさそうな目で見ながら、そう言ってくる。

恭文君は、反応なし。ソファーでうつ伏せのまま、動いてない。



「だけど、それを理由に何か我慢してないかな。スバル達へのヤスフミの態度は、遠ざけてるようにしか見えないよ。
スバルもティアも、すごくいい子だよ? ヤスフミが向き合う気持ちを持てば、仕事も友情関係もきっと両立出来るよ」



フェイトちゃんは、返事がない恭文君の方を見ながら、ちょっと視線を険しくする。

本当に反応がない。それを見て、私もはやてちゃんも首を傾げる。



「ヤスフミ、聞いてるかな。お願いだから無視しないで。私、ちゃんと」

「フェイトママ」

「ヴィヴィオ、ごめん。今ちょっと大事なお話だから」

「だめ。ママ達、しー」



ソファーの近くに居たヴィヴィオが、ちょっと表情を険しくして右手の人差し指を口に当てる。

というか、声を潜めていたけど語気が強かった。まるで、フェイトちゃんを黙らせようとしてたみたい。



「恭文、寝ちゃってる」

「・・・・・・え?」



私達は、立ち上がって部屋の中央のソファーの方に向かう。すると、ヴィヴィオの言う通りだった。

腕を枕にして、うつ伏せの状態で恭文君はソファーの上で寝息を立ててた。



「ホントだ。あの、何時から」

「ついさっきなのです。もうストンと眠りに落ちたですよ」

≪そう言えば、さっきもすぐに寝ちゃいそうでした。やっぱり、疲れが溜まってたんですか≫

「てか、溜まらないはずがないか。・・・・・・もしかしたらそういうんが、原因か?
ここ最近、コイツが度を超えたお仕事モードに徹しようとするんは」





確かに、いつもの恭文君とはちょっと違ってた。いつもは、言われなくてももうちょっと力を抜くのに。

いつもだったら・・・・・・今日のことだって、もうちょっと上手く対処する。

スバル達に対してもそうだし、リンディさんに対しても下手に衝突なんてしなかった。



確かに疲れてると余裕なくなるし・・・・・・あぁ、そう考えると今までのあれこれが分かってくる。



恭文君、疲れてて余裕が無くて、だから糸を緩めないようにしてたんだ。





「ですね。ここまで休み無しでしたし、気持ちを抜く間もきっと無かったですよ」



その言葉に・・・・・・フェイトちゃんが、さっきまでのちょっと怒ってた顔から表情が変わってた。

その表情は、申し訳なさで一杯になってた。というか、私達みんな同じ。でも、すごい寝付きの良さ。



「まぁ、アレよ。スバル達との事は、もうちょいコイツが余裕取り戻してからでえぇんやないか?
てか、うちらが言う権利はきっと無いよ。ホントやったらコイツ、しばらく休ませんとあかんのやから」

「ですです。フェイトさん、それでいいですよね?」

「・・・・・・うん、そうだね。なんだか私、ダメだな。色々焦り過ぎてたのかも」










とりあえず、恭文君はこのまま寝かせてあげる事にした。その間に、私達は夕飯の準備。

折角の休日、序盤をダメにしちゃったお詫びというか、そんな感じ。

眠っている恭文君を起こさないように、私達は久々に幼馴染三人での団欒を過ごすことになった。





本当は恭文君も含めて四人だけど、今だけは・・・・・・色んな事から、開放してあげたいの。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・本当に、ぐっすりさんです」



試しに、ほっぺたをつついてみるのです。ぷにぷにの・・・・・・すべすべなのです。



「寝顔も可愛いのです。ふふふ、今だけリインが独り占めなのですー♪」

≪楽しそうですね≫

「楽しいですよ? リインは、恭文さんが大好きですから」



はやてちゃんとなのはさん達が料理を始めて、ヴィヴィオはそのお手伝い。

リインとアルトアイゼンは、眠っている恭文さんのお側で、ノンビリタイムです。



「アルトアイゼン」



リインは、近くに浮いているる青い宝石に声をかけます。

恭文さんと同じように、リインにとっても大事なパートナーのこの人に。



≪はい≫

「恭文さん、うなされたりとかは無いですよね?」

≪それはないですね。この人、あなたも知っての通りですから≫



恭文さん、お仕事とプライベートの切り替えが本当にちゃんと出来る人ですから。



≪ただ≫

「ただ?」

≪今回は、苦労してるようです。たった2ヶ月足らずで、本当に色んな事がありましたから≫

「・・・・・・そうですね」










この匂いは・・・・・・あぁ、カレーですね。リインは大好きなのです。ヴィヴィオもきっと好きですね。





リインは、また手を伸ばして・・・・・・両手で、恭文さんを撫でます。恭文さんの顔や額を。





目が覚めた時には、少しだけ疲れてるのとか苦しいのが、解消されていますようにと、願いを込めながら。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



鼻をくすぐったのは、香ばしい匂い。それで、とってもいい匂い。

それに意識が一気に目覚めて、僕は起き上がる。起き上がって、周りを見る。

・・・・・・あれ、なんか外の景色が黄色い。というか、夕焼けが見える。





そう、夕方の風景だった。てゆうか、僕・・・・・・何時の間に寝てた?










「あ、ヤスフミ起きたんだ」

「お目覚めの気分は、どうですか?」



左側・・・・・・玄関側から聞こえて来た声は、フェイトとヴィヴィオ。というか、フェイトが白のエプロン着けてる。

制服から上着を脱いで、その上から羽織るエプロン・・・・・・あぁ、なんか幸せ。



「うん、寝てたみたい。・・・・・・おかしいな。あの三人を叩き出した辺りから記憶がない」

「・・・・・・そこからあそこまで、うつつ状態で話してたんだ。あ、夕飯もうすぐ出来るよ」

「え、作ってくれてるの?」

「そうやでー。今日はうちら特製のカレーライスや」

「もうどっさり作ってるから、一杯食べていいよ?」



キッチンの中からは、ピンクのエプロンのなのはと紺のエプロンのはやてが居た。

なお、格好的にはフェイトと同じ。・・・・・・というか、フェイトはヴィヴィオと何してた?



「あ、ごめんね。ちょっとだけ保管庫を漁らせてもらってたんだ。
ヴィヴィオが見れるような物ないかなーって。・・・・・・ダメだった?」

「ううん、大丈夫。あ、R18コーナーには」

「そこは触れてないよ」





保管庫というのは、僕や友人が所有するアニメ・特撮・ゲーム関係のものを置く部屋。

置き切れない分とかを持ち寄ってたら、いつの間にかそういうのが出来上がったのよ。

ただ、中には大人以外お断りというものもある。色々な表現の関係でね。



これでもさ、うちにはリインがよく来るのよ。で、リインはまだ8歳。

さすがにそれで職業・殺し屋とか、デンドロバテスとか読ませたくはない。

ふたりエッチもヤバい。リインの中の熱が上昇しそうだから。



そんなわけで、そういうちょっと大人向けのものはR18コーナーと称して区別してる。

暖簾をかけて、すごくわかりやすくしてるのよ。どこぞのレンタルショップのAVコーナーみたいに。

なお、そこにマジで18歳以上対象な物はない。AVとか、エッチな本とかもない。



というか、家にはその手の類はない。・・・・・・そこで楽しそうにカレー作ってるタヌキのせいで。





「てゆうかアンタ、あんなコーナー作ってたんやな。うちもちょお見せてもらったけど、マジでエロなもんどこにもないし」

「あはは、どっかの誰かさんのせいで、師匠に殴られるしフェイトには悲しい目をされたからだけどなにか?」



マジでエロなもんを置いていて、それがはやてに見つかった事がある。

そうして、仲間内で緊急会議。非常にとんでもないことになったのは、言うまでもない。



「あぁ、そうやったな。いや、アレはマジ悪かった思うから、勘弁してや」

「一生許さない。一生恨み続けて、『IKIOKURE』な呪いをかけてあげる」

「自分、真面目にヒドイなっ! てーか、普通にムカつくしっ!!」



とにかく、それからしばらくしてカレーは完成。付け合せにサラダなんてのも作ってくれた。

で、当然のように料理スキルの高い三人が作ってるので、非常に美味しい。



「・・・・・・ヴィヴィオ、美味しい?」

「うん、とっても美味しい。恭文は?」

「僕も美味しい。・・・・・・あぁ、なんか生き返るなぁ。
フェイトとはやてと横馬の手料理なんて、何時振りだろ」



なんだかんだで、半年とかそれくらいいってるかも。うぅ、距離ってやっぱり大事だなぁ。

なお、カレーの中身はオーソドックスなビーフカレー。でも、その王道さ加減が素晴らしい。



「もう真夏ちゃうし、3日くらいは持つやろ。それくらいの量は仕込んどるから、自由に食べてえぇよ」

「・・・・・・てか、さすがに悪いね。僕、真面目にぐっすり寝てたし」



さすがにフェイトに言ったのは、ちょっと冗談だったしさ。



「大丈夫だよ。その、色々とヤスフミに負担かけちゃってたし、そのお詫びだから。・・・・・・ただ」

「ただ?」



フェイトは、カレーをすくうスプーンの手を止めて、少し口ごもる。

だけど、すぐに笑って首を横に振る。



「ううん、何でもない」

「・・・・・・変なフェイト」

「それで、どう? 疲れ、少しは取れたかな」



横馬にそう聞かれて・・・・・・表情が苦くなるのが分かった。やばい、そこが真面目に自信ない。



「明日、シャマルさんに怒られるかな。あぁ、怒られるよね。そうだよね。
だって、さっきまで寝てたのを除くと、僕フル稼働だし」

「あぁ、落ち込まないでっ!? シャマルさんには、私とフェイトちゃん達から話しておくからっ!!」

「もうそこは絶対やっておくから、安心してえぇよ。うん、絶対や」



なのはとはやてのみならず、フェイトも『うんうん』と頷く。なら・・・・・・まぁ、納得することにする。

ただ、それでも明日が怖い。普通に僕は、明日が怖いのだ。



「それでな、実はちょお相談なんやけど」

「何?」

「アンタ、魔導師ランク試験受けてみる気ないか?
もちろん、今より上のランクや。そうやな、Sランクなんてどうや?」

「あははは、絶対嫌だ」



言い切って、カレーを一口パクリ。・・・・・・あぁ、やっぱりいいお味だ。

何か和風の味付けがしてある感じがする。おダシに和風ダシ使ったとかかな。



「てーか、スキルアップとか興味ないってフェイトにも話してるんだけど」



僕がそう言うと、なのは達は、フェイトを見る。フェイトは苦笑いしながら頷いた。



「僕は仕事しに来たんだもの。スキルアップとか局員の友達作りとか、してる余裕ない」

「でも恭文君、今の実力に沿ったランクを取るのは、ある意味では義務みたいなものだし」

「興味ないし」



なお、僕が魔導師のランク昇格試験を今まで一度も試験を受けなかったのには、いくつか理由がある。

1・めんどくさい。2・興味ない。3・やる気が無い。・・・・・・この三つと、あと一つである。



「なぁ、ほんまにその性格直そうや。アンタのめんどくさいは理由にならんって」

「これから言うのが重要なんだよ。・・・・・・Sランクなんて、やりにくいだけだし。
間違いなく、人材制限に引っかかるレベルだし。僕、みんなみたいな天才じゃないんですけど」





例えば、部隊に正式な局員として入った場合、Sランク保有というのは、間違いなく足かせになる。

1部隊が保有出来る魔導師の能力には、制限がある。これが、人材制限って言う制度になるの。

と言っても、六課みたいな無茶な編成でもない限り問題のないレベルのもの。



ただ、なのはや師匠達のようなSランクor二アSランクと言ったレベルとなると、話は別。

1部隊では、一人か二人くらいしか保有することができない。

そんなので居心地のいい部隊を異動させられたり、入りたいところに入れないという事もある。



なお、僕の顔見知りの実話。それなら、生涯1Aランクを貫いたほうが楽だって。





「生まれついての凡人基質だもの。スペック勝負に走れるだけの力もないのに、そんなもんに関わりたくない」





あと、これが一番重要。今のなのは達みたいな、魔力リミッターなんぞかけられると、メンドい。

ただでさえ一般レベルな魔力が少なくなるのは、絶対に避けたい。

と言っても、本当にそうなるかどうかわからない。ならない場合も、やっぱりあったりする。



ただ高ランクってのは、どうしてもそういうものに関わりやすい。・・・・・・嫌なのよ、それ。





「あー、それがあったなぁ」

「でしょ?」



正直、先生レベルなら関係ないだろうけど・・・・・・そういうわけじゃないもの。

僕、資質だけで言えば弱いもの。それだけは、覆しようがない。



「ただな、せっかく色んなアレコレで腕も上げてるし、何かここに居る間にチャレンジしてみてもええんやないか?
もちろん、アンタは六課に仕事しに来たんや。ぶっちゃけ友達作る必要も、スキルアップのために時間割く必要もない」

「ただ、それでも何か目標を頑張ってもいいんじゃないかと?
・・・・・・悪いけど、無理。だって僕、しばらく局関連の事には興味持たない事にしてるし」



とりあえず、カレーを食べる手は止めない。冷めたら美味しくなくなるもの。

はやてやなのはが困った顔してるけど、それでも僕は変わらない。フェイトは・・・・・・苦笑いし続けてる。



「あともう一つ、僕はSランクになんてなりたくないし」

「恭文君、それはどうして?」

「僕のランクが上がるなら、AAA+まで」

「・・・・・・私、分かったよ。ヴィータだね?」

「うん」



師匠は、丁度そのランク。で、僕は師匠に勝った事が無い。

なのに上のランクって言うのは、やっぱ躊躇う。



「あぁ、そういう事ならうちも納得や。普通に弟子としては意地があると」

「そういう事。つーわけで、Sランク試験は受けないから」

「あの恭文君、頼むからもうちょっとだけ考えてくれないかな。ランク昇格は、不利益ばかりじゃないよ?
これから先、確実に一つの自信に繋が・・・・・・なんでもない。お願いですから、睨むのやめてください」










とにかく、僕達はカレーを平らげていく。そうしながら、アレコレお話。

でも・・・・・・あぁ、やっぱ資格を取ってスキルアップとか興味ないわ。なんて言うか、楽しくない。

それよりも思いっ切り楽しい戦い、したいなぁ。セッテと戦った時は楽しめたから、あれ以来はサッパリだし。





スバルは・・・・・・まぁまぁ楽しめた。でも、思いっ切りじゃない。・・・・・・ヤバいな、僕は発言が危ないって。





ホントにイギリス、行っちゃおうかな。なんか、こう・・・・・・ここは今ひとつつまらない。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



”うーん、これはマジでダメっぽいなぁ。恭文、ガチにやる気無くしとるし。
その上、『局関連』や。ここ、かなり重要やで?”



多分、JS事件のアレコレのせいだ。ヤスフミ、本気で局に対して嫌気が差してる。



”そうだね。・・・・・・そこまで、なんだ。でも、仕方ないのかな。
きっと恭文君、今はすごく疲れてるんだろうし”





その反動なのかな。見てて、気づいた。とにかく強い人と戦いたいって気持ちが強くなってるみたい。

それは・・・・・・ヤスフミの中にある、少し危険な感情。純粋に戦いを求める本能。

私もそういうのはあるけど、ヤスフミは下手をしたら私やあのシグナムとかよりもずっと強い。



たまに本気で命のやり取りを、楽しんでいる時がある。まぁ、自重する気持ちもあるんだけど。



もしかして、その気持ちまで溜まっている色んな疲労のせいで弱くなってる?





”一応、今の恭文君が望んでるような試験はあるよ? でも、試験内容はランダムだから”

”それに期待は出来んと。こりゃ、もうちょっと時間を置いてやな。今は多分どう言ってもあかんよ”

”そうだね。・・・・・・フェイトちゃん、大丈夫?”

”うん、大丈夫”










私、前にも言ったけどヤスフミが六課に来れば、色々変わってくれると思ってた。本当に色んな事が。

大事な友達が私達以外にも出来て、六課が好きになって、居場所の一つになる。

そうして、沢山変わってくれると思った。通りすがりなんて寂しいこと、言わなくなるとも。





でも、全然違った。今のヤスフミに必要なのは、きっと変化じゃなくて・・・・・・休息だった。

ただゆっくりと、疲れた心と身体を休める時間が必要だった。それは今も同じ。

だけど、今はそれすらない。今は・・・・・・それすら、私達のせいで作ってあげられない。





六課の中なら、私達の側だったら大丈夫だって考えていたのが、甘かった。

それだけじゃ、全然足りなかった。だから今日だってゴチャゴチャしちゃった。

さっきまでヤスフミは死んだように寝てた。私、なんだか自信がなくなってきてる。





全然ヤスフミのお姉さん、出来てない。ただこの子の力に、支えになりたいだけなのに、全然上手く出来ない。





どうして・・・・・・なんだろ。本当に長い付き合いで、ずっとお姉さんしてるはずなのに。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「じゃあヤスフミ、リインもお休み。また明日ね」

「うん、また明日」



ご飯を食べて、後片付けをしてから四人は帰る時間になった。

リイン? あははは、なんか今日は泊まるんだって。



「恭文、ディスクありがとね」

「ううん、大丈夫だから」



ヴィヴィオには、幾つかアニメや特撮のディスクを貸した。そういうの、今までは無かったそうだから。

ヴィヴィオのにっこり笑顔に、また気持ちが癒される。・・・・・・僕、この子は好きなのかも。



「あ、それと」

「何?」

「ランク試験、頑張ってみよう?」



唐突に言われた。それに、フェイト達が表情を変えたのが分かった。

そこには気づかない振りをして、ヴィヴィオに聞いてみる。



「・・・・・・ヴィヴィオ、どうして?」

「うんと、やってみたら楽しいかも知れないよ? そういうの、ヴィヴィオも覚えあるし」

「なるほど。それは道理かも。でも、取らない」

「どうして?」



ヴィヴィオが、僕を見上げながら首を傾げる。だから、にっこり笑って通達してあげる。



「僕がめんどくさいから」

「そんな理由だめー! もっとちゃんと考えるっ!!」

「それでもめんどくさいー! ダルいー何もしたくないー!!」

「うー、恭文がダメダメな大人だよ。ヴィヴィオ、知ってるよ? この間テレビで『ニート』って言う人が居て」

「ヴィヴィオ、それは違うからっ! てゆうか、僕働いてるしっ!!」



とにかく、僕は絶対試験なんて受けない。友達作りにも興味ない。

僕は、仕事しに来たのよ? これ以上無駄な心労を増やさないで欲しいよ。



「とにかくヴィヴィオ、明日また隊舎でね。それじゃあみんな、気をつけてね」

「うん。あの、恭文君もリインもお休み」

「はいです。お休みなのですよ〜」

「遅刻せんと来るんよ? あと、うちの末娘に如何わしい事はせんように」

「するかボケっ! それやったら、僕犯罪者じゃないのさっ!!」





なんて言いながらも、四人は外の廊下を歩き出す。僕とリインは手を振ってお見送り。

みんなの姿が消えてから、僕達は部屋に入る。

そうして気付いた、先ほどまでとは変わってシンっとした部屋の様子に。



・・・・・・よし、ホットミルクでも入れるか。何か、温まりたくなってきた。





「リイン、ホットミルク飲む?」

「飲むですよー」



冷蔵庫の中には牛乳がある。なので、それで暖かいホットミルクを作る。

僕もリインも甘いのは好きだから、蜂蜜をたっぷりと居れてうんと甘めに作る。



「よし、出来た」



それを僕はマグカップに、リインは・・・・・・って、リイン?



「恭文さん、恭文さんの服借りても大丈夫ですか?」

「いや、それは構わないけど・・・・・・あ、そっか」

「はいです。・・・・・・・アウトフレーム、フルサイズっ!!」





僕の寝床である和室に飛んでいってから、リインがそう叫ぶ。

すると、リビングとはドア無しで繋がっている和室から、光が漏れる。

それを見て、僕は自分が使っているのと同じサイズのカップを取り出す。



ちなみに、可愛いウサギの絵のプリント付きである。

その二つのカップにホットミルクを注ぎ込んで、リビングのテーブルの上に運ぶ。

すると、ダボダボのパジャマを着た、女の子が出てきた。



外見年齢にすると10歳前後。なお、リイン。リインは、いつもはあの妖精サイズの姿。

だけど、そのままでは不都合な場合というのも当然ある。

例えば、僕やなのは達の出身世界である地球に居る時だね。



地球には、リインサイズの人間もプカプカ浮いている輩も・・・・・・・うん、いないはずだ。

なんか海鳴に住んでると、その辺りに自信が無くなるけど、ないということにしておこう。

とにかく、そういう世界で魔法文明や次元世界との交流などが無い場合に備えているの。



それで、リインには10歳前後の体格に変身できる能力がある。





「・・・・・・てーか、泊まる時って、なんでかそのサイズの事が多いよね? 久々だったんで忘れてたよ」

≪リインさん、気にしないでください。マスターは色々と鈍いんです≫

「知ってるから大丈夫ですよアルトアイゼン」



・・・・・・いきなり失礼な事を言うなぁ。よし、ちょっと意地悪してやれ。



「そういう子には、ホットミルクはあげませんけど?」

「うー、別に失礼じゃないです。・・・・・・ホットミルク下さいです」

「聞こえないなぁ〜」



ちょっとだけ、意地悪をする。しながらも、僕はリインの方には近づいてるけど。

そしてリインは、恥ずかしがりながらも・・・・・・あれ、なんか描写おかしい。



「リインに、恭文さんの熱い・・・・・・熱いミルクを沢山」

「待て待てっ! なんでそんな頬染めて息荒げに言うのっ!? 絶対おかしいからっ!!」

「恭文さんの趣味を考慮したのです。ドSですから、絶対リインを辱めたいからそう言うと判断を」

「するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! ・・・・・・とにかく、これ飲んで」



僕は、リインにホットミルクを差し出す。

それをリインが慎重に受け取って、ゆっくりと飲み始める。



「・・・・・・美味しい?」

「はいです。あー、身体が温まります〜」

「ホントだね、ミッドは気候が年中安定してるからあんま分からないけどさ。もう冬なんだもんね」



なんだかんだで11月。そう、本当に・・・・・・本当にあっという間だ。

それでも僕は、あんま変わってない。あー、だめだな。マジで休養が必要なのかも。



「そうですね、六課が始まってもう半年過ぎてしまいましたです。
始まった時は、1年は長いなと思ってたんです」

「うん」

「だけど、ほんとにあっという間にここまで来てしまいました」

「そっか」





そう言いながら、二人して静かに、ゆっくりとホットミルクを飲む。目が合えば、お互いに優しく微笑む。

なんというか、リインとはいつもこんな感じ。すごくね、自然で居られるの。

・・・・・・たまに8歳とは思えない、凄まじいアプローチをされることがあるけど。



二人っきりでゆったりする時は、あんまり言葉を交わしたりとかはしないかも。



ただ、無言でお互いに神経を緩めて一緒に居る。・・・・・・なんか、どっかの熟年夫婦みたい。





「恭文さん」

「何?」

「今日はリイン、恭文さんをいっぱいっぱい癒してあげたいのですけど、大丈夫ですか?」

「・・・・・・へ?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



さて、今の時刻は午後10時になろうかという時間。ホットミルクを飲んだ後、リインとアニメ鑑賞会をしていた。

とは言え、明日からまた仕事なので、そろそろ寝ることにした。プレイヤーからディスクを取り出し、ケースに入れる。

リビングの明かりを最低限まで落として、アルトにお休みを言ってから、僕とリインは布団に入る。もちろん一緒の布団に。





なんというか、最初の頃はどきどきしたけど、今はちょっと違う。





別に普通になったとかじゃなくて、安心感が強いのかもしれない。










「・・・・・・ちょっとだけ、ドキドキしてるです。久しぶりですし」

「そっか、しばらくお泊りできなかったしね」





僕が六課とは別行動だったこと。そして、リイン自身も部隊長補佐という重要な役職に付いたこと。

そのせいで、リインとはしばらくこういうの無かった。六課が始動する前は、かなり頻繁にやってたのに。




「恭文さんも、最初から六課に居れば、毎日会えたですね」

「うー、ごめん」





・・・・・・実は、僕も六課に来ないかという話をはやて達から受けていた。

けど、僕はそれを断った。理由は簡単。一つの部隊で、1年間ずっと所属している。

その響きに、どうしても辛いものを感じてしまったから。と言ってもそれが全部じゃない。



一応さ、その前にクロノさんから六課が関わることになるレリックとガジェットに関して、話は聞いていた。

はやてが、それ対策で部隊を設立する動きがあることも。僕の能力的なものも込みで、誘われてた。

ただ、やっぱりなんだよね。一処にずっと留まるのは、好きじゃない。その理由は、6話で言った通り。



ワクワクとドキドキが、世界には沢山ある。色んな所に行けば、そんなワクワクとドキドキに沢山会える。

局が好きじゃないというのもあるけど、きっとこれも嘱託を続けている一つの理由。

今は・・・・・・あんまりそういうの無い。安心感を感じる前に、六課は仕事場だもの。仕事優先が基本。



・・・・・・旅、したいなぁ。てゆうか、普通に2日3日ならそれも出来たよね?



あははは、僕は休みの使い方、色々間違えてるなぁ。





「謝らなくてもいいですよ。恭文さんにだって、ちゃんと理由があったんですから。
でも、もし恭文さんが居たら、恭文さんだったらどう言うのかなって・・・・・・考えることが沢山あったです」

「・・・・・・そっか」





右手を出して、すぐ隣りに居るリインの頭を、そっと、優しく撫でる。

手の平から、柔らかい髪の感触が伝わってくる。リインの髪、艶もあるし柔らかいから触り心地がいい。

そうすると、リインの顔の赤みが更に深くなる。薄暗い部屋の中でも分かるほどに。



なんて言うか、癒される・・・・・・あぁ、さっき言ってたのってこういう意味だったのかも。



やっぱ、心配かけてた・・・・・・いきなりリインがギュッと抱きついてきた。





「・・・・・・リイン、どうしたの?」

「お疲れモードな恭文さんに、元気を注入してるですよ」



だからだろうか、リインはかなり強めに抱きついてくれる。だから、リインの匂いが漂ってくる。

優しくて甘くて、柔らかい女の子の匂い。何度も嗅いでるけど、この匂いは安心する。



「ありがと」



僕も両手をリインの小さくて細い身体に、強く抱き返す。その感触も、匂いと同じで柔らかい。

こうやって何度も抱きしめてるけど、安心感は全然変わらない。幸せなの、変わってない。



「恭文さん」

「何?」

「私、ここに居ますから。何時だって、恭文さんの側に居ます。
だから、寂しくて辛いなら、私に甘えてください。私も、甘えます」

「・・・・・・ありがと」



右手を少しリインの身体から離して、そっとリインの後頭部を撫でる。

リインが、少し息を漏らす。どうやら、心地いいらしい。



「じゃあ、今日は一杯甘えていい?」

「もちろんです」



リインは顔を僕の身体から離して、優しく微笑んでくれる。

いつもの明るい表情とはどこか違う、大人びた瞳で僕を見ている。



「私は、恭文さんの1番の味方で、元祖ヒロインですから」

「・・・・・・それ、やめない?」

「嫌です。それでそれで、恭文さんと『きゃー』な事も頑張るのです」

「それは頑張れないよっ! 少なくとも今は無理だからー!!」










リインを抱き締めながら、頭を撫でていく。というか、リインも僕の背中を撫でてくれる。

そうしている内に、僕の意識はゆっくりと夢の中へと吸い込まれていった。

腕の中に、柔らかく心地よい温もりを確かに感じながら。なお、『きゃー』な事はしなかった。





こうして、僕の三日間の休みは幕を閉じた。振り返れば全く休みになってない。

あははは、シャマルさんの反応も怖いし、ぶっちゃけ色々ミスジャッジを感じてるんですけど。

ただ、それでも楽しいことはあったので良しとする。頭の痛い事も多かったけど。





でも、まだまだこの物語は終わらない。だって、まだ10話しかやってないし。

休日が終わろうとも、僕と機動六課の日常はまだまだ続く。

・・・・・・非常に残念な事に。ワクワクとドキドキは、しばらく後回しらしい。





そして翌日。一つの大きな意味を持つ出来事が起こることになるけど、それはまた別の話とする。





そのキーワードは『伝えるべき事』・『飛ぶ意味』・『高町なのは』・・・・・・この三つ。




















(第11話へ続く)




















おまけ・リインの夢




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・恭文さん」

「なに?」



リインを抱き締めながら、暗闇の中で言葉を交わす。胸を支配するのは、深い安心感。

あぁ、これは癒しだよ。幸せだよ。元気出てくるから、不思議だよね。



「リイン、夢を見たです」

「夢?」

「はいです。・・・・・・初代リインフォースの夢なんです」

「お姉さんの?」





リインには、自分と同じ名前のお姉さんが居た。それが、初代リインフォース。

その人も、リインと同じで、高度な人格を有するユニゾン可能なデバイスだったと。

亡くなった理由については、詳しくは聞いていない。はやて達が辛そうな顔、するしね。



銀色の髪と赤い瞳をした、落ち着いていてとても優しい人だと聞いている。





「はいです。リインの中に、遺してくれてたです」

「・・・・・・リイン、ちょっとまって、それどういうこと? お願いだからもうちょっと分かりやすくお願い」

「あ、そうですね。これだけだと分からないですよね。えっと、まず」



その夢・・・・・・というより、それは初代リインフォースが遺した記憶映像らしい。

リインが地上本部と六課襲撃事件の時に怪我をした時。その治療中に見た。



「・・・・・・いやいや、どうやってよ。だって、その言い方だと普通にビデオメールとは違うんだよね?」

「はい。リインのリンカーコアに、直接遺してくれたんです」



いや、それをどうやって遺したかを聞きたいんですけど。

確か、お姉さんが亡くなったのはリインが生まれて来る前のはずだし。



「リインのリンカーコアは、はやてちゃんのリンカーコアをコピーして、そこから生まれました。
それで初代リインフォースの魔力とスキルは、そのはやてちゃんのコアの中に溶け込んでいます」

「・・・・・・なるほど。リインにっていうよりは、はやてのコアにその時残したわけか。
新しい祝福の風が生まれた時、その子が見れるように」

「はいです」



最初はぼんやりと、だけど・・・・・・それは徐々に形になって、リインに語りかけた。

一種のオカルトではあるけど、あり得ない話じゃない。少なくとも、リインは見てるんだから。



「というか、信じてくれるですか? マリエルさんとかは、普通に頭抱えてたですよ」

「リインは、ちゃんと見たんでしょ? 事実はどうであれ、だったら信じるしかないでしょ」

「・・・・・・やっぱり、恭文さんは恭文さんです。うぅ、リインはまた愛が深くなったのです」



嬉しそうに、リインが微笑む。それを見てると、僕までなんだか嬉しくなってくる。きっと、付き合いのせいだと思いたい。



「それ、はやて達は知ってるの?」

「えっと、知らないです。でも、言うつもりはないです」

「どうして?」

「大事なことは、胸に秘めて・・・・・・力にするって、教わりましたから」



なのはだ。なんか、その昔にそれっぽいことを言っていた。

普通にあの魔王は、名言っぽい事をたまに言う。



「納得した。でも、悪い子だね。家族に隠し事なんて」

「隠し事じゃないです。秘めているだけですよ」



まぁ、リインにとっては違うんだと納得した。でも、どんなメッセージだったんだろう。

ただ、ここは聞くつもりはない。だって、これはお姉さんがリインに当てたメッセージなんだから。



「沢山、沢山言葉をくれました。だから、凄く嬉しかったです」

「そっか」



それだけ言うと、リインは僕を抱き締める腕に、更なる力を込める。強く、何かを求めるように。



「でも、それをどうして僕に話してくれたの?
胸に秘めるなら、話すことはないと思うんだけど」

「いいんです。恭文さんは・・・・・・特別ですから」





確かに、僕とリインは色んな意味で繋がりが強い。

最初に出会った時、僕は友達って呼べる存在が居なかった。

だけど・・・・・・リインが友達になってくれた。うん、それはもうアッサリ。



僕にとってリインは生まれて初めての友達で、始まりをくれた大事な子。

大事な時間を、沢山くれた。だから、僕にとってもリインは特別。

フェイトとは意味合いが違うけど、好き・・・・・・なんだよね。大事な女の子。





「恭文さんが、リインに今をくれたんです。だから、特別なんです」

「・・・・・・そっか。リイン」

「はい」

「ありがと」

「はいです」










だからなのかな。こうしていると、力が湧いてくる。不安や恐れと戦う力が。





リイン、ありがと。僕・・・・・・一杯、元気もらってる。もうびっくりするくらい癒されてるわ。




















(本当に続く)




















あとがき



≪さて、恒例のあとがき。今回のDJは、私、古き鉄・アルトアイゼンと・・・≫

「機動六課部隊長。八神はやてでお送りします。・・・つか、自分。そのウサギ姿はやめんか?」

≪どうしてですか? こんなに愛らしいのに≫

「あほかっ! 邪悪さが染み出てるやないかっ!! なんで邪○とか三○目みたいなデザインにしとるんやっ!?」

≪簡単です。・・・なんやかんやは、なんやかんやだからですよっ!!≫

「意味分からんしっ! つか、33○探偵ネタはやめいっ!!
で、今回の話やけど・・・」

≪マスターとリインさんのピロートークですね≫

「うちの子はまだ子どもやっ! そないな表現はやめてっ!! まぁ、ある意味うちらよりも繋がり深いからなぁ。だからこその旧ヒロインやし」





(どこからか、『旧ヒロインって言うなですー!』という声が聞こえたけど、気にしないことにするウサギとタヌキ)





「誰がタヌキやっ!
まぁ、アレや。別にエロいことせぇへんのやったら問題ないしな」

≪いや、その発言もどうなのですか? あと、あなた方、どんだけオフィスライクな付き合い方してるんですか?≫

「なんやいきなりっ!?」

≪あまりに、隊長陣のプライベートな部分を、スバルさん達が知らなすぎるのではないかと言いたいのです。
SS01然り。7,8、9話然り。ちゃんと、プライベートでのコミュニケーション取れてないじゃないですか。
仲間ではある。ただ・・・上官と部下という区切りで付き合いすぎるのではないかと思います≫

「いや・・・部隊って、そういうとこやん? キッチリせぇへんとあかんよ」

≪完全に身内・関係者繋がりな部隊編成のクセしてなに言ってるんですか。
隊長陣が全員身内って時点でキッチリしてないでしょ。能力的な要素がちゃんと満たされていると言っても、間違いなくおかしいですよ。
キャロさんもSS01で『部隊というより、家族みたい』って話してるのに、どうしてフォワード陣と隊長陣で温度差があるんですか。
ようするに、あなた方の今の付き合い方は浅すぎるんですよ≫

「う・・・」





(うめく、部隊長。その様子を見て青いウサギ、ため息を吐く。力無く、仕方ない何かを諦めるように)





≪まぁ、この辺りはどうしようもない部分も多いですけどね。アナタの言うとおり、キッチリしなきゃいけませんし。難しいのでしょう≫

「でも、解決・・・していかなあかんかな?」

≪必要ないですよ≫

「ホンマかっ!?」

≪えぇ≫





(青いウサギ、ニッコリと笑って・・・断言する)





≪アレですよ。卒業後に縁が切れる典型的な関係ですから。あ、隊長陣とフォワード陣って枠に別れた上でですね≫

「アホかぁぁぁぁぁぁっ! それあかんやんっ!! めっちゃあかんパターンやんかっ!?
そないなことしたくないわっ!!」

≪贅沢な人ですね・・・。じゃあどうしろって言うんですかっ!?≫

「逆ギレするなぁぁぁぁっ! むしろうちが聞きたいわっ!!」
≪ということで、今日はここまでっ! お相手は私古き鉄・アルトアイゼンとタヌキがお送りしました。なお、この後は拍手のお返事コーナーです。
それでは、またー!≫

「自分なに華麗に無視してくれてんのっ!? ・・・え、ホンマにこれで終わり?
なに勝手に終ってくれてるんやっ! うちはこれからどないすればいいんやっ!! なぁ、誰か教えてーなっ! なぁっ!!」










(慌てふためきながら、終了コールに抵抗し、答えを求める部隊長。しかし、それに答える声は無い。無情にも、番組は終る・・・。
本日のED:『さよなら』)




















≪ということで、拍手のお返事です。いや、本当にありがとうございます。作者ホクホク顔をしております≫










※コルタタさんへ
恭文・・・その通りだ!そうだよな!
男たるもの例えいくつになってもヒーローに憧れるよな!
仮面ライダーになりたいと思うよな!いやいや君とは一度ゆっくりと話したいよ。

by18歳、男より





古鉄≪まぁ、マスターの場合は病気ですけど≫

恭文「ほっとけっ! えっと、拍手、ありがとうございます。というか、同志が居るのは嬉しいですっ!!
そうですよね。誰だってヒーローに憧れますよね。仮面ライダーになりたいって思いますよねっ!! 僕も、是非話したいです。
ちなみに、年代的にリアルタイムでは昭和ライダーはブラックとRXしか見れてないんですけど、平成は全部チェックしています。好きなのは・・・電王、カブト、ファイズ、クウガですね」

古鉄≪今言ったのは好きな順ですね。特に電王はブッチギリです。DVDが全巻ありますから。・・・作者ですらアレとかコレとかで見てるというのに≫

恭文「まぁ、アレとかコレとかに関しては無しにしようさ。
でも、本当にありがとうございます。随所にそんなネタが含まれつつ話を進めると思いますので、期待しててくださいっ!!」










※とある魔導師と機動六課の日常の感想 
一気に読ませていただきました〜。面白いです。いいっすね、恭文。
こんな主人公大好きです。
なんだか、なのは→恭文→フェイトな感じのトライアングルがありそうなのは気 のせいですか?
オリ主でその展開は珍しいので間違ってなかったらもっと掘り下げて描写して欲しいな〜。いじめられるなのはカワユス。
天然フェイト激カワユス。次回は前後編という事で期待してます。頑張ってくだ さい。

あと、師匠にももうちょっとスポット当ててあげてー



古鉄≪いや、あんな無駄な会話の多い駄文を一気に・・・。
ありがとうございます。まぁ、前後編でしたが、基本アホな話になってしまったので、申し訳なかったり・・・
あと、マスターを誉めてくれるのは嬉しいのですが、あの人調子に乗りやすいので、あまりやらないであげてください。
・・・マ、マスターを誉めていいのは、私だけなんだからねっ!?≫

なのは「アルトアイゼン、キャラ崩壊してるよっ! というか、なんでツンデレっ!?
あの・・・可愛いって言ってくれるのはありがたいのですが、いじめられないとダメなんですかっ!?
私、恭文君にいじめられないと可愛くないんですかっ!!」

師匠「ダメなんじゃねぇか? あっちこっちで魔王とか悪魔とか言ってるしよ。・・・いや、悪魔はアタシだけど」

なのは「ヴィータちゃんひどいよー!」

師匠「あと、リインもそうだけどアタシの出番も少なすぎだろっ! アタシ、アイツの師匠だぞっ!?」

古鉄≪これにかんしては申し訳ないです。今まではどうしても、マスターと初対面の人に焦点を当ててましたから。
スバルさん然り、ティアナさんやエリオさん達然り・・・。ただ、今後は出番を増やしていきたいと思いますので。というか、増えてます≫

師匠「なら問題ねぇ。ま、話の都合ってのがあるからな。・・・で、トライアングルするのか? ハートしちゃうのかおい」(小声)

古鉄≪・・・まぁ、あれこれ思案中ですね。細かく言うとネタバレになりますが、結構考えてます。
ただ、恋愛経験0な作者ですから、あまり高度なことは期待できないかと。
三角関係って聞いて、昔の少女漫画を思いつくような脳みそですから≫(小声です)

師匠「仕方ねぇかそれは。・・・よし、トライアングルはいいから、まずあとがきに出せ。アタシの出番は、それでいいってことにしてやるからよ」(小声なんです)

古鉄≪了解しました。師匠≫(しつこいようですが、小声です)










※アルトアイゼンとくれば、杭打ち機を連想しましたが、中身は親分のですか。 いえ、どちらも好きなんで今後の活躍に期待します。




「ありがとうです♪ 恭文さんとリインの活躍を、これからも応援しててくださいね〜。ちなみに、ヒロインはリインですっ!!」

≪・・・スルーしますね。それで、内容なのですが、そうです。中身は親分です。とはいえ、マスターはどちらかと言えばナンブさん方向です。
よく言ってますよ? 分の悪い賭けは≫

「嫌いじゃないですっ!」

≪いきなりですねあなたっ!≫

「というかというかっ! リインはこのセリフ、言う資格はあるのですっ!! 限りなく遠くて近い世界のリインは、これなのですからっ!!」

≪分からない方は、ウィ○でゆか○さんや、スパ○ボや、無○のフロンティ○などをチェックしてください≫

「でも、これはどうしてですか?」

≪えー、実を言うと・・・最初は杭撃ち機でした。こう、右手はそれで、左手は五連チェーンガン。それ一式でアルトアイゼンという構想だったそうです。
ただ、問題が・・・≫

「というと?」
≪・・・対人戦闘でそれは、描写的にエグイという結論になったそうです。こう、どうしてもアレだと。
非殺傷設定などぶっちぎりに見えてしまうと≫





(青いウサギ、天井を仰ぎ見る。そして想像する。・・・杭が、人を貫く姿を)





「確かにそれは・・・きついですね」

≪というか、それだと完全無欠にパクリなので、もうちょっと形を変えようと考えたそうです。
あとは、モンハ○のガンランスみたいなのとか、スバルさんのリボルバーナックルのようなものが候補でした。
ステークやバンカーは魔法にして、発射口や拳から、魔力の杭を撃ち出すなどもありました≫

「なら、刀になったのはどうしてですか?」

≪簡単です。試しにアレコレ書いて、一番しっくりくるのがこれだったそうです。
まぁ、『古き鉄』という名前は、稼動年数や、カートリッジの類を組み込まれていない私のデバイスとしての古臭さも指してると考えてください。
グランド・マスターと共に戦っていたときは、これに加えて、形状変換もありませんでしたから≫

「あと、私と声の似ている南○さんも剣ですし、そういうのも合ったのですか?」

≪あったそうです。方向性は違いますが≫

「なるほどです・・・。というか、なにげに裏設定な話になってしまいましたね」

≪まぁ、たまにはこういうのもいいでしょう≫




















古鉄(翌朝)≪・・・・・・さて、休みも終わりましたね≫

リイン「ですです。恭文さん、元気出たですか?」

恭文「それはもうバッチリと。ただ・・・・・・あはは、最後以外はミスジャッジが多過ぎた。
いっそ一人で軽く旅でもしてればよかったかも。そうしたら楽だったのに」

リイン「スバル達との距離をもうちょっと詰めれば、まだ楽になりますよ? エリキャロにはそうしたですよね」

恭文「うーん、でもなぁ」

リイン「・・・・・・もしかして、スバル達が局員だからそう言うですか? 局員だから、仲良くなりたくない」

恭文「かも、知れない。なんかこう、進んで深い付き合いになる気が、全く起きないの。
同僚だから、フォローくらいはするつもりだけどさ。あーもう、やっぱまだ疲れてるのかも」

古鉄≪というより、アレコレ考える時間も取れないのがダメなんでしょ。
休みをそのために使う事も出来たのに、あなたがお人好しに人のアレコレに付き合うから≫

恭文「あははは、やっぱミスジャッジだね。人の事の前に、まず自分だよね。
よし、次の休みはじっくり過ごす。それで・・・・・・また、お布団の中でいっぱいラブラブしたいな」

リイン「はいです。その時は、もちろんお付き合いするのですよ」(そう言いながら、優しく微笑む)










(おしまい)





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