小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説) 第32話 『鉄対衝撃/さぁ、お前の罪を数えろ』 ???『しゅごしゅごー♪』 ???「今日もドキっとスタートっ! Remixタイムなのですっ!!」 ???「恭文とフェイトさん達は、ついにあの陰険ドクターと対決。さてさて、どうなるか」 ???「とりあえず、卒業式とホームランがなければ、大丈夫だと思うのです」 ???「・・・・・・お前、それよく言ってるけど、意味分かってんのか?」 ???「もちろんなのですっ!! えっと・・・・・・・なんでしょう」 (相方のボケに、ずっこける。とりあえず、気を取り直して立ち上がった) ???「と、とにかく前回の続きからだ。さぁ、ぶっとばしていくぞー」 ???「せーの」 キバットバットV世「中国のことわざに『人と交わる時には心で交われ。樹に注ぐには根に注げ』という言葉がある」 ???・???「・・・・・・え?」 (突然、妙なのが乱入してきた) キバットバットV世「木を育てるのは、目に見えない根に水を与えるようなもの。 同じように、人と付き合うにはうわべだけの付き合いではなく、心からの付き合いをせよ、という意味だ」 ???・???「・・・・・・へぇ」 キバットバットV世「人間関係において最も重要で、最も難しいことだな。 それを体現したのがTV版8〜9話と新訳1話のなのは達だ。勉強になったかい?」 (それに、二人が力強く頷く) ???「・・・・・・って、そうじゃねぇよっ! お前、誰っ!? てーか、なんで出てきたっ!!」 キバットバットV世「いや、拍手でこういうのが来てな。というか、可愛いお嬢ちゃん達だなぁ」 ???「あ、ありがとうなのです」 ???「お前も素直に礼言ってんじゃねぇよっ! てーか、そういうのは分かったけどとりあえず黙っててくれっ!!」 ???「そうなのです。エル達は、やることがあるのです。せーの」 恭文「だから、せーのじゃないでしょっ!?」 (あ、なんかまた乱入してきた) 恭文「なんでまたこれっ!? 色々とおかしいからっ!! そして、そこのキバットバットV世っ! お前も拍手で来たからって普通に登場するなっ!!」 ???「だってー、アイツらだけなんて、ずるいだろ? アタシらだってこれ、やりたかったんだよー」 ???「そうなのですっ! だから、問題ないのですっ!!」 キバットバットV世「そうそう。細かい事を気にする奴は、女にモテないぞ?」 恭文「うっさいわボケっ! てゆうか、普通にエルとイルは本編内に出てるんだから、大丈夫でしょっ!? とっくにキャンディーズを超えてるよねっ! どうしてそこでまた欲張っちゃうのっ!!」 フェイト「え、えっと・・・・・・とにかく、お話始まります」 古鉄≪私の華麗な活躍に期待してください。ドラグーンで、あの二人を一瞬で蜂の巣にしましょう≫ フェイト「それはお話にならないから、やめてくれないかなっ!?」 キバットバットV世「ウェイクっ! アァァァァァァァップッ!!」 ???・???「「ウェイクっ! アァァァァァァァップッ!!」」 恭文「そして、おのれらはフリーダムだなっ! もう何の会話してるかワケわかんないしっ!! ねぇ、真面目にシーン切り替わった後にシリアスとかだったら、どうするのっ!? 読者置いてけぼりでしょうがっ!!」 ???・???・キバットバットV世『がんばっ!!』 恭文「頑張れるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ・・・・・・理解出来ん。なぜ、アリシアお嬢様は我々を否定する。 アリシアお嬢様は、ずっと求めていたはずだ。本当の自分を。 それは、アリシア・テスタロッサ。決して、フェイトなどではない。 アリシアお嬢様、あなたや私のような人工的に生み出された生命体は、創造主が全て。 それから与えられた責務を果たすことで初めて居場所を、存在意義を持てる。それこそが、幸せなんです。 なのに、なぜそうやってご自身の生まれた意味を否定するのですか。なぜ、分からないのですか? あなたは、自分の根源を否定しているのと同じなんです。そう、あなたは我々と同じだ。 いいや、同じでなくてはならない。あなたのやるべき事は、ドクターの邪魔ではない。 それは、本当の自分となる事です。なぜ、それに嘘をつくのです。 ・・・・・・そうか、一人ではないからか。あのチビが、アリシアお嬢様を狂わせている。 我々の夢を、『すばらしい世界』の意義を、理解していないあの愚かなチビが。 あのチビが、アリシアお嬢様を不幸にしている。偽物の自分に縛り付けている。 なら、叩き潰すまでだ。そうすれば、アリシアお嬢様は目を覚ます。 我々の夢が我々のような存在や世界にとって、絶対に必要だと言う事を。 「・・・・・・セッテ、お前はアリシアお嬢様を止めて差し上げろ」 例の妙なアイテムを使って、ヒーローごっこを始めたチビを私は見る。 完全にバカにしている。あのようなおもちゃで、私達に勝てると本気で思っているのか? 「私は、あのチビを潰す」 だから、私自らの手で教えてやろう。自らの存在を見つめ、貫く私達の強さを。 『すばらしい世界』は、私達の・・・・・・世界を照らす光明。それを成す私達が、負けるわけがない。 「ですがトーレ」 「大丈夫だ。この状況なら、私達の方が有利だ」 なに、すぐに潰せる。私の速さに、私の強さに、あのチビがついて来れるわけがない。 ドクターや妹達が笑って暮らせる世界のために、お前には死んでもらう。 いや、お前は死ななければならない。お前は、『人』を狂わせる悪魔だ。 我々のような存在にとって、関わってはいけないゴミ虫。それがお前だ。 ・・・・・・アリシアお嬢様、大丈夫です。すぐに、助けましょう。 生まれた場所やタイミングは違えど、我々は同志であり、仲間です。 あなたの偽物の自分を、壊してあげます。 「・・・・・・行くぞっ!!」 ・・・・・・そのまま、最高速で突っ込む。なお、ISは使わない。 こんな奴に使う必要などない。私はチビの正面まで来たら、瞬間的に足を止める。 足を止めて、チビの右サイドを取る。とって、そのまま動きながらも引いていた右拳を放つ。 狙うは、胴体。奴の身体を貫くために、私は拳を振るった。そして、拳は的確に貫いた。 魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常 第32話 『鉄対衝撃/さぁ、お前の罪を数えろ』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「・・・・・・な」 そう声を上げたのは、青髪。・・・・・・そりゃそうだ。いきなり僕に攻撃見切られてんだから。 襲ってきた拳を、一歩前に踏み込む事で回避。踏み込みながら、身体を時計回りに回転させる。 それから右手をガッシャーから離して、拳を叩き込む。 青髪は僕に顔面を殴られている。そう、拳は確かに貫いた。 ただし、僕の拳が。拳は、まるでめり込むようにミシミシと音を立てる。 青髪の右足が動く。回転して、僕を蹴ろうとする。でも遅い。 殴られてる事に驚いているなんざ、三流もいいとこだ。お前、相手が僕じゃなかったら殺されてるよ? 「ナメてんじゃ」 言いながらも、僕はそのまま拳を打ち抜く。 「ねぇよっ!!」 『ドン』・・・・・・と音を立て、青髪の身体が宙を舞う。舞って、床に叩きつけられる。 床を転がりながら、滑りながらも起き上がり、僕を睨みつける。 鼻は折れ、そこから血が流れている。顔の真ん中が、赤く晴れている。 青髪は、右手の親指を鼻にやり、押し込む。そうして、折れた鼻を無理矢理元に戻す。 それを見て、鼻で笑ってやる。そして、そのまま左手を動かす。 左手に持ち変えていたガッシャーを床に刺してから、腕を上げて、クイクイと挑発してやる。 「・・・・・・他にも救援に行きたいし、あんま時間もないのよ。 ほら、叩き潰してあげるから、とっとと来てよ」 「出来ると、思ってるのか」 「出来ないとでも思ってるの?」 確かに、お前の動きは速いね。だけど、本当にそれだけだわ。 お前より数倍速くて強いのを、僕はたくさん知ってる。そう、知ってるのよ? 例えば恭也さんだったり、美由希さんだったり、美沙斗さんだったり、フェイトだったり。 こっちは、自分の時間感覚を引き伸ばすってチート技使う人達と、何度も斬り合ってんのよ。 そして、雷光と言うべき速度で踏み込める優しくて強い女の子と、何度も模擬戦して負け越してんのよ。 だから、あんな速度でちょっと真横に回りこんで攻撃されるだけで、終わるわけがない。 お前の両手首や両足首から生えてる、斬撃攻撃を可能とするフィンで斬っておしまい? ありえないね。てーか、完全にこっちをナメてやがる。お前より、恭也さん達の方がずっと鋭い。 ・・・・・・思考を、切り替える。必要なのは『魔導師』という枠の中に収まった戦い方じゃない。 必要なのは、純粋な『戦闘者』としての思考。魔法も、質量攻撃も、関係ない。 とりあえず、半殺しくらいは覚悟しとけ。免罪符は、アルト達を通じなきゃ使えないし。 まぁ、コイツ如きに本気になるのは色々と癪だけど・・・・・・ここは、納得する。 僕は答えない青髪に向かって更に手を動かして、クイクイと挑発する。 それに青髪はキレたのか、真正面から突っ込んでくる。右手で打ち込まれた拳を、僕も右拳で打ち返す。 「「はぁっ!!」」 黒色のガントレットに包まれた青髪の右拳とジガンに包まれた僕の右拳がぶつかり合い、衝撃が爆ぜる。 続けて、左拳が飛んできた。だから僕も、左拳を叩き付ける。拳が、同じようにぶつかり、再び衝撃が爆ぜた。 拳を引く。だけど、距離は変わらない。零距離で、僕達は次の行動に移った。次は右足による回し蹴り。 僕も青髪も同じように、回し蹴りをする。それもぶつかる。ぶつかり、また衝撃が弾ける。 それから胸元に向かって軽く足を引いてから、キック。 青髪はそれを両手を交差させる形で受け止め、そこから腕を思いっきり広げるようにして僕を弾き飛ばした。 僕は、踏鞴を踏んでよろめく。そこを狙って青髪が動く。 青髪が少ししゃがむと、次の瞬間に音がする。それは青髪のステップの音。 そして、青髪の姿が消えた。それからすぐ、後ろに気配がした。 それに向かって、振り返りながらも左足で蹴り。そうして、青髪の飛んできた左拳を止めた。 ・・・・・・やはり、力と力がぶつかり合い衝撃が爆ぜる。素手でのぶつかり合いは、互角らしい。 僕も青髪も、一歩も引かない。引かないけど、青髪が表情をしかめた。 口から僅かに、血が吐き出されている。・・・・・・もうここまで言えば、お分かりだろう。 拳や蹴りを打ち込んだ時に、皆様お馴染みの徹を込めた。理由は、威力補強のため。 純粋な打ち合いなら、僕は普通に負けるもの。それを数発も食らえば、戦闘機人でもこうなる。 ここまでチンクとか2Pカラーとかにも、徹は使ってないしね。データがなければ、対処されない。 フォン・レイメイの時に使ったのも、データは取られてなかったようだ。そこはちょっとありがたい。 青髪は左拳を引いてから、右拳が穿つ。・・・・・・いや、フィンで斬りつけてこようとしてきた。 僕は再び青髪の拳に向かって、自分の右拳を打ち込んだ。もちろん、徹込み。 青髪は表情をしかめつつも僕を睨み、そして踏み込む。どうやら、意地だけはいっちょ前にあるらしい。 僕も、合わせるようにして踏み込み、せめぎ合う。残念ながら、こっちも意地だけは負けない。 どうやら身体は相当に丈夫らしい。徹を何発も食らって、まだ動けるとは。 「・・・・・・なぜだ。お前は管理局を嫌っているはず。我々と同じはずだ」 ギリギリと、互いに潰すように押し込みながらも引かない。その状態で、青髪が声をかける。 「なのになぜ、ドクターの夢を、我々が作る『すばらしい世界』を否定する」 青髪が、この期に及んで哀れみを感じさせる声で言ってきた。 ・・・・・・本気で信じているらしい。いや、もはや妄信だね。 スカリエッティの夢を、『すばらしい世界』ってやつを、盲信している。 そして、それを作れる自分達が、他人に理解されて当然だと本気で思ってる。 「・・・・・・バカじゃないの?」 拳を弾き、左足を上げて腹を蹴り飛ばす。青髪はそれをまともに受け、後ろに飛んだ。 いや、踏みとどまった。また姿が消える。僕の左横に現れ刃を振るった。僕は左手を動かす。 「お前らみたいなうざったい生産性0の世の中アンチの言うことなんざ」 斬撃をジガンで受け止める。ジガンの装甲とピンク色の羽根型の刃がぶつかり、火花を散らす。 「信じるわけ、ないでしょうが」 ・・・・・・左手を捻って、青髪の攻撃を受け流す。受け流してすぐに、僕は右わき腹を狙って拳を叩き込んだ。 だけどそれが外れた。次の瞬間、右横からすごい衝撃が襲った。咄嗟に右のジガンでガードしたけど、吹き飛ばされた。 僕は壁に叩き付けられ、衝撃で壁が砕ける。そこから立ち上がり・・・・・・壁沿いに右に大きく跳んだ。 そして、今まで僕が背にしていた壁が砕けた。ピンク色の光に包まれ、飛び込んできた青髪が放った一撃で。 青髪は、僕に対して容赦のない蹴りを叩き込んでいた。それが、壁にクレーターを作っていた。 その間に僕は、ゼロガッシャーのところへダッシュ。距離はそんなに離れてなかったので、すぐに回収できた。 そして、青髪が・・・・・・僕を見ていた。それを見て、頭が痛くなった。青髪は憎しみを視線に込めながら、こちらを見ていたから。 「そうか、ならもういい」 青髪の足元に、歯車を模したテンプレートが生まれた。青色のそれが発生すると、見計らうように青髪のフィンが震え出す。 「ドクターの夢の中でお前が存在する権利を与え、お前の事を認めてやるつもりだった」 呆れたような、どうしようもなく聞き分けのない子どもを見放したような、そんな言葉が続く。 いや、違う。これは失望だ。そして悲しみだ。コイツは、悲しんでいる。 「我々の作る『すばらしい世界』の中で生きる権利。それがあれば、お前は間違いなく幸せになれる」 怒りの形相で裏切られたと言わんばかりに、人を見下した事を言う。それを見て、心のそこから思った。 コイツはダメだと。チンクは疑問を持ってたから、まだ救いがあった。まだ通じ合えた。 だけどコイツやあのピンク髪は、違う。多分、廃棄都市部でスバル達がやり合ってるのも同じくだ。 『すばらしい世界』を、戦闘機人としての自分だけを絶対のものとし、それのみが正しいとしている。 「お前が自らの立場も弁えず、我々が作る理想の社会を否定するならもういい」 そして、勘違いはまだ続く。てーか『もういい』と言いたいのは、僕達だ。 お前らのくだらない今の世の中アンチの思考と妄想のせいで、僕達はいい迷惑なんだよ。 フェイトのフラグはExまで立てられないし、最終決戦前だから、ちゅーも出来ないし・・・・・・!! うし、壊滅的に叩き潰すわっ! 僕の顔を見たら、お漏らししちゃうくらいにトラウマ刻み込んでやるっ!! 「お前など我々の『すばらしい世界』には必要ないっ! このゴミ虫がっ!!」 そして、青髪がまた閃光になる。僕はその突撃を往なした。 ゼロガッシャーの刃を前に出して、結構ギリギリである。衝撃で少しよろめく。 「・・・・・・IS! ライド・インパルスッ!!』 そして、横で斬り合ってるフェイトやセッテの邪魔にならないように青髪がピンク色の光に包まれたまま、飛び回る。 いや、跳ぶ。青髪は、空中の足場のないところを跳ね、僕を翻弄する。・・・・・・そんな生易しい言葉じゃない。 僕を、破壊しようとしている。跳びつつ僕に対して、両手首と両足首に生えているフィンで斬り付けてくる。 それをゼロガッシャーを逆手に持って、受け流す。閃光とガッシャーの刃が衝突する度に、衝撃と火花が空間を支配する。 火花を散らしつつ、閃光の攻撃速度が徐々に上がっていく。光の閃光が、僕の周りに飛び交う。 ・・・・・・なるほど。どうしてコイツが普通に身体丈夫なのか、分かったわ。というか、予測してた。 青髪は、中央本部襲撃の時にこれと同じ能力を使ってた。だから、一応ね。 で、高速移動って言うのは、実は身体への負担が大きいのよ。まず、単純に精神負荷の問題。 高速域の中でしっかりと意識を定め、身体をコントロールするのは、相当神経を使う。 例えば、ソニックムーブとかアクセルフィンみたいな感じなら、まだいいの。 でも、それ以上のスピード・・・・・・真・ソニックとかみたいな超高速で動き回るのは、色々とキツイ。 フェイトのそれが切り札なのは、魔力消費の他にそういう部分も関係しているから。 で、それに連動して体力的な負荷も大きい。青髪の身体の丈夫さは、ここの対策のためでしょ。 フェイトだって、あのスピードをずっと維持は相当キツイって言ってた。だからこそ、滅多に使わない。 だけど、青髪は先日の戦闘データや今の動きを見るに、それで長時間戦闘を行なってる。 他の能力も使えればいいんだろうけど、シングルスキルがナンバーズの基本のようだしね。 当然、デメリットに対する対策は整えていて当然ってことですよ。というか・・・・・・アレだよね。 もしかしたら、精神関係にも何か調整を受けているのかも。長時間の高速域での行動を行っても、支障が出ないように。 だから、こんなお話出来ない感じなの? 精神関係のバランスが崩れると、そのまま身体にも影響が来る。 その逆もまた然り。だから、そういう対策を整えて、マイナス方向に心情が動きにくくしてるとか。それなら、まだ納得がいく。 さて、状況は色々と悪い方向だね。魔力完全キャンセル化状態だから、フェイトの真・ソニックも出せない。 というか、本人が恥ずかしがってるんだし、使わせたくない。うん、彼氏として無理強いは出来ない。 つまり、僕がこのまま対処するしか無いということである。・・・・・・大丈夫。確かに、動きは速い。 でも、それだけ。本当にそれだけだ。コイツの攻撃には、なにもない。 薄っぺらい衝撃じゃ、鉄は砕けないのよ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 空間を跳び回る。飛ぶのではなく、跳ぶ。 あのゴミ虫を瞬間的に加速し、狙い撃つ。 アイツは、クズだ。確か、アリシアお嬢様を好いていると言っていたな。 だが、嘘だ。お前は、アリシアお嬢様をフェイトと呼ぶ。それが何よりの証拠。 お前は、偽物の名でアリシアお嬢様を呼ぶ。そうして、アリシアお嬢様を狂わせる。 我々は創造主の望みを叶えられなければ、存在価値がなくなるというのに。 ・・・・・・拳を打ち込む。蹴りを叩き込む。コイツの周囲を、最大速度で駆け抜け、飛び跳ねながら。 それを、ゴミ虫は避ける。いや、あの大剣で防ぐ。その度に火花と衝撃が爆ぜる。 だから、私は速度を上げる。閃光が、まるで網の目のように張り巡らされていく。 それは、糸でもなければ縄でも無い。私の高速機動の軌跡。・・・・・・私は速い。誰よりも、何よりも。 そして私は強い。こんなゴミ虫よりも、ずっとだ。そうだ、だから殺せる。そう、コイツは殺す。 我々の作る『すばらしい世界』にとっても、アリシアお嬢様にとっても、不必要な存在だからだ。 私のフィンがゴミ虫の大剣を斬る。ジャケットを斬り、備え付けられた装甲を削る。 ゴミ虫の栗色の髪を斬る。それによりゴミ虫の額が少し切れて、血が流れる。 ・・・・・・あがくな。だが、無意味だ。お前では、アリシアお嬢様を不幸にするだけ。 だから、殺そう。そうすれば、アリシアお嬢様は我々の元に来る。そして、本当の自分に気づく。 そうすれば、ドクターもお喜びになる。そうだ、ドクターの幸せのために戦い、働き、生きる事が私の全てだ。 私はそのために生まれ、作られた。だから跳ぶ。だから力を振るう。だから、駆ける。 ・・・・・・右拳を、ゴミムシの左サイドから打ち込む。それをゴミ虫は大剣を逆手に持ち、受け止めた。 そのまま戯れ程度にその場で拳を、蹴りを打ち込む。フィンで斬りつける。 ゴミ虫はそれを受け止め弾き、私に左薙に斬撃を加える。私は、跳んでそれを避ける。 避けて、一気に急降下。ゴミ虫の胴体を吹き飛ばすような蹴りを、両足で打ち込む。 そして、ゴミ虫は前転してそれを避ける。私の足は地面を砕き、クレーターを作るだけだった。 私の背後を取ったゴミ虫が、また刃を叩き込んでくる。私は振り向きながら右の刃を打ち込む。 フィンと奴の剣が、ぶつかり合い火花を散らす。だが、そのまま私は拳を振り抜く。 振り抜き、ゴミ虫を吹き飛ばす。そしてすぐに踏み込む。私は左拳を振り抜く。 ゴミ虫のがら空きの左脇腹を狙って、フィンで斬りつける。これで、終わりだ。 だが、ゴミ虫は瞬間的に大剣を私の左のフィンに叩き込む。そのまま、ゴミ虫は飛んだ。 振り抜き、距離を取って着地。また大剣を構えた。・・・・・・しぶとい。 だが、すぐに終わらせてやる。そして突きつける。お前達は何も分かっていないと。 いや、分かるはずがない。お前も、エース・オブ・エースも、普通だからだ。 我々やアリシアお嬢様とは違う。お前らは我々を閉じ込め、苦しめる檻だ。 私はいい。だが、妹達やドクター、アリシアお嬢様にそんな真似は許さない。だから、殺す。 お前を殺して、アリシアお嬢様を閉じ込める『フェイト』という檻を壊そう。それがアリシアお嬢様の幸せだ。 その次はエース・オブ・エース。最初にその檻を作った罪、命で贖ってもらう。・・・・・・ドクター、見ていてください。 あなたは迷う必要も、悩む必要もない。私達が作る『すばらしい世界』は全ての生ける存在にとって、夢なのですから。 そうだ、この夢は絶対に間違ってなどいない。間違っているのはこの世界の方だ。 ・・・・・・・・・・・・この時、私は気づくべきだった。私の方が速く、そして強い。 にも関わらず、私自身が『ゴミ虫』と比喩した人間が、私のスピードについてこれていることに。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ”あなた、大丈夫ですか? 圧されまくってますけど” 襲い来る攻撃を弾きながら、防ぎながら、僕は腰の相棒の言葉に答える。 ・・・・・・薄っぺらい。こいつらは、薄っぺらい。全部、『すばらしい世界』とスカリエッティの命令ありき。 ”大丈夫。・・・・・・この程度、過去幾度となく味わってる” ・・・・・・それが無ければ戦うことなんて、きっと出来ない。その理由も、生きていく意味も見つけられない。 ”雫の性悪に『パパ』と呼ばれた時に比べたら、まだ常識の範囲内だ” ・・・・・・いつぞやのエリオと同じように、その世界を、創造主を信じるがあまり、マジで人形になってる。 ”あぁ、『鬼いちゃん事件』ですね。まぁ、神速の連発に比べたら・・・・・・左です” 突き出された右拳を、ガッシャーの刃を盾のようにして防ぐ。・・・・・・アルト、あんがと。 ”なら、大丈夫ですか?” ”大丈夫。・・・・・・あと1分もらえれば、覚える” 確かに強く速い。そこは認める。そこだけは、事実だから。でも、甘い。 戦いってのはね、ノリのいい方が勝つのよ。それだけで勝てるわけが・・・・・・ないでしょ。 あえてもう一度言う。僕はお前より強くて凄くて・・・・・・カッコいい人達を、何人も知ってる。 だから分かる。だから言える。お前なんて・・・・・・全然怖くない。怖いわけがない。 だってお前は、ただ怯えて泣いてる子どもと変わらないから。 それがいっちょ前に理性と常識持ってるから、性質が悪いだけだ。さて、落ち着いていけ。 武器を弾く時、瞬間的にだけど相手の身のこなしが見える。相手の表情が見え、思考が感じられる。 そこから、この青髪の全てが見える。薄っぺらくて、『それだけ』の人間だからすぐに分かる。 ”なら、任せます” 分かるから、僕は10時方向から来た左拳での突撃を、ガッシャーで弾きながらもアルトの言葉に答える。 ”うん、任された” ・・・・・・こんな奴に負けたら、一生の恥だ。てーか、ヒロさんサリさんから砲撃魔法の雨嵐だし。そんなの、ごめんなのよ。 考えているその間にも、閃光は更に速度を増す。もうそれは一つの線が絵を描いているかのような状態。 それでも僕は、攻撃を捌いていく。ジャケットを斬り裂き、刃がぶつかり合い火花を散らすけど、それでも。 閃光が真後ろから襲ってくる。僕の首を両断するような角度で、今までで一番の速度で、フィンが襲いかかる。 僕は逆時計回りに身を捻り、ガッシャーでフィンを受け止める。いや、そのまま右側面へ流す。 流しつつ・・・・・・狙いを定めた。左手を、ガッシャーから離す。そして、あるものを出す。 それはアルトに収納していた小太刀。改修のおかげで、この状況でも出せる。 衝撃で空気が震え、フィンと刃が摩擦する事で大きく火花を上げる中、僕は動く。 刃は、鞘から抜き放たれた状態。それをそのまま青髪の腹部に当てる。そして、交差した。 交差する時に右足のフィンもぶつけて来たけど、それもガッシャーで防いだから問題ない。 さて、問題はここじゃない。青髪の腹部に、小太刀の刃を当てたまま僕達は交差した。 それも高速で。そうすると、青髪はどうなるか。答えは・・・・・・簡単だ。 青髪の右の脇腹から、血が流れる。だって、斬れてるの。 「・・・・・・トーレッ!!」 ピンク髪がフェイトと斬り合いながらも声をあげる。どうやら心配らしい。 ・・・・・・しかし丈夫だね。普通に胴体真っ二つかと思ったのに。 いや、違うか。手応えが浅かった。多分、咄嗟に自分で身を引いたんだ。 さすがに高速型なだけはあるよ。そういう反応は凄まじくいい。 「大丈夫・・・・・・だ」 そうだね。お前はさっき思った通り、相当頑丈に作られてる。 そして、それは単純な耐久力の増加にも繋がってる。魔法ありでも、苦戦はしてただろうね。 だけど残念だったね。もう1分経った。手応えと速度、動き・・・・・・しっかり見させてもらった。 僕はお前の動きも、お前の速さも・・・・・・もう、覚えた。 「この程度では、死なない」 そう、この程度では死なない。だから青髪は、僕を見据えながら構える。 ・・・・・・そして、跳んだ。また、僕の周りでうるさく跳ね回る。 「・・・・・・お前、もう死んでるよ」 襲い来る刃をガッシャーで弾く。というか、防御する。うー、やっぱ取り回しは向こうの方が上か。 こりゃだめだな。ガッシャーだけじゃ、隙を突けないと防戦一方になる。このままじゃジリ貧だ。 体力は、向こうの方が圧倒的に上。守ってばっかりだと負ける。なら、ここから攻め込みますか。 ・・・・・・てーか、マジですか? チンクの時にも思ったけど、マジでコイツら全員この調子ですか。 有り得なくない? これ。『すばらしい世界』が欲しいと思った理由は、まぁ・・・・・・さっきの話で分かった。 コイツら全員がそれが欲しくてコレって言うのも、なんとなく分かった。多分ヘタレドクターも同じ。 だけど、ありえない。その前に変えるべきことが、知るべきことがあるでしょうが。 人に変わる事を要求する前に、自分が変わるべきでしょうが。 どうして、お前らの中には『変われ』って感情しか見えないの? それ、違うよ。 どうして・・・・・・『自分を変えたい・進化したい』って思いが、かけらも感じられないのさ。 知ってる? 誰かに『変わって欲しい』はさ、時として自分が変わる可能性を殺すワードなんだから。 「お前は、最初から生きてすらいないよ」 だから僕は、左手の小太刀を一旦収納してからゼロガッシャーに手をかける。 「お前がホントに生きてるなら、さっきのフェイトの言葉を聞こうとしたはずだ」 ・・・・・・本当に『同じ』だと思うなら、通じ合えると思うなら、知ろうとしたはずだし。 手をかけてAパーツとBパースを切り離す。そして、持ち手を180度反対にする。 そしてもう一度接続。ガッシャーの刃の部分が傘のように広がる。 「だけど、お前は聞かなかった。『フェイト』を、否定した」 すると、オレンジ色の光に包まれて形を変えた。なお、これはゼロガッシャーのボウガンモードです。 もう一度小太刀を出す。今度は順手じゃなくて、逆手持ちにする。 「当然だっ!!」 上から青髪が跳び込んで来た。そして、見上げる僕の目の前から消えた。 僕はそのまま、振り向きながら右薙に斬った。背後から打ち込まれた青髪の砲撃を、小太刀でだ。 「偽物を否定して、何が悪いっ!!」 なお、魔力は使ってない。・・・・・・爆煙が僕とアルトを包み込む。そこに正面から、もう一発砲撃。 小太刀を順手に持ち替えた上で、袈裟に振るい砲撃を斬る。 「アリシアお嬢様は、逃げているだけだっ!!」 まだ砲撃が飛ぶ。砲撃を撃ちながら、青髪は叫ぶ。 「我々は、創造主の望みを叶える事が全て・・・・・・それが永遠の定めであり幸せっ!! それ以外の他のものを手にする必要など、ないっ!!」 苛立ち混じりにまた1発。一瞬だけ貫かれた爆煙は、より濃い形で巻き起こる。 「そうだ、それだけで・・・・・・それだけでいいっ! それこそが我々のような存在が、唯一生きる道なんだっ!!」 また1発・・・・・・2発・・・・・・3発と、撃ち込む。 「それが成せなければ、我々に生きる事など許されないというのに・・・・・・!!」 僕はそれを全て斬り払う。大丈夫、これは斬れる砲撃の範囲だ。 「なぜ分からんっ! 貴様は、アリシアお嬢様を殺そうとしているんだぞっ!?」 てーか、この状況だと防御魔法も使えない。斬らなきゃ、負ける。 「それはお前だろうが。お前は、フェイトの中にある可能性を殺そうとしてる」 砲撃の余波がジャケットを叩くけど、問題ない。この程度で、ゼロフォームはどうにかなったりしない。 「何がホントの自分で」 ・・・・・・右に殺気。僕は小太刀を左薙に打ち込んだ。そうして、跳び込んできた青髪と交差する。 右腕の二の腕がジャケットごと少し斬られる。もちろん、両断などはされていない。腕もちゃんと動く。 大丈夫。向こうの右腕のフィンは砕けたから。そして、青髪が交差してから足を少しだけ止める。 右腕を握り締めるように力を込めると、フィンが再生した。・・・・・・これではだめですか。 だけど、そのまままた跳び始めた。・・・・・・僕は左手の親指で、ゼロタロスのチャージボタンを押す。 「いや、違うか。何が自分にとっての『なりたい自分』かは」 ゼロタロスのバックル部分、オレンジのラインが光り輝く。 「それを決めるのは、結局自分だ。その答えは、自分の中にあるから」 自分の中からしか出てこないから。だから、自分で探すしかない。 僕は探したいと思った。向きあって、探したいと。だから、シオンとヒカリに出会えた。 「だから・・・・・・フェイトの『なりたい自分』は」 同じように、フェイトにだってある。『なりたい自分』が。未来への可能性が。 こころのたまごみたいに形にはなってなくても、ちゃんとあるんだ。 「フェイトの幸せは、僕にもお前にも、スカリエッティにも絶対に決められない。フェイトにしか決められない」 カードとバックルの中心部の装飾で形どられたラインが輝き、カードに力を与える。 ・・・・・・たまごが僕の中から生まれてから、ちょっと思った事がある。 僕はフェイトに自分の考えを押し付けただけなのかなと。ちょっとだけ迷った。 僕の言葉は、フェイトの可能性を殺してしまったんじゃないかと思ったの。 別の諦めを植えつけたんじゃないかと、不安になったことがある。 それをフェイトに見抜かれて、叱られた。そんなこと絶対にないと言ってくれた。 全部自分で決めて、自分で選んだことだと話してくれた。というか、キッカケは僕だけじゃないらしい。 CSSのコンサートに行った時に、スクールの生徒さんやフィアッセさんを見て決めたとか。 今までの自分も大事にするけど、新しい夢や可能性を探していって、キラキラに輝く自分になる。 いつか、自分のこころの中にも僕や歌唄のようなたまごが生まれるくらい、大事な夢を沢山見つけて輝きたい。 フェイトは本当に嬉しそうに、そんな未来が来る事が楽しいと言わんばかりに話してくれた。 それが嬉しくて、何かが解れたような感じがして、ちょっとだけ泣いた。フェイト・・・・・・困らせちゃったな。 「フェイトは、『フェイト』になりたいと言った」 キラキラに輝く自分。新しい可能性や夢と向きあって、逃げないで真っ直ぐに向かえる自分。 何かに依存したり、逃げたり、諦めたりしない自分。それがフェイトの目指す、『フェイト』の形。 「だったら、それでいいだろうが」 そうだ、それでいい。フェイトは、ちゃんと選んだ。逃げないで受け止めて、決めた。 僕の不安が杞憂のものだって分かって、本当に嬉しかった。というか、フェイトは輝き始めてる。 キラキラになりながら、新しい夢を探し始めた。僕は素敵な事だと思う。不満なんてない。 ・・・・・・シオンの言う通りだ。そうして通した答えだから、無限の価値があるのよ。 「何度も・・・・・・!!」 放たれるのは、砲撃。それを僕は、小太刀で斬る。発生した爆煙の中を突っ切るように、青髪が来る。 「同じことを言わせるなっ!!」 だけど、突き出された右拳は床を砕くだけだった。僕は、ボウガンの銃口を向ける。 青髪の右サイドを取りながらガッシャーの引き金を引くと、オレンジ色の矢が何発も射出された。 青髪はそれを、ピンク色の障壁を張って防ぐ。弾丸は弾かれて、青髪には届かない。 僕はガッシャーを撃ちながらも後ろに跳んでいたので、数メートルの距離が出来る。 「・・・・・・同じように、お前の幸せも生きる意味も、お前が決められる。お前が選べる」 青髪の言葉は軽く無視して、その状態を維持しつつ僕は言葉を続ける。 「スカリエッティから与えられたものだけが全部で、それが出来なきゃ生きてる意味がない? それだけを順守することが幸せ? そんなの、絶対に嘘だ」 立ち上がる青髪が僕を見る。・・・・・・まるで、どこかの化け物を見てるような目だ。 「それは、お前が自分の新しい可能性から逃げるための言い訳だ。 お前はただ、逃げてるだけ。『人』ではなく、『人形』であった方が楽だから」 「黙れ」 「黙らないよ。・・・・・・『人』は、変われる。世界じゃなくて自分が望むままに」 目の前のものを全く理解しようとしない人間がする目。僕が、色々な所で見てきた目。 何かとと繋がる未来を、可能性を殺す・・・・・・哀しい目だ。 「自分が描くままに、自分自身を変えられる。それが進化だ」 あやふやでも、あいまいでもいい。現実離れしていたって、いい。なんだって、いいんだ。 可能性は可能性だから。自分の想いから生まれる願いなのには、変わらないから。 「その可能性は、何時だって自分のこころの中に眠ってる。生まれ方も、力も、なにも関係ない」 僕にとってのシオンとヒカリ。歌唄にとってのエルやイルみたいに、たまに一つの形になってそれが出てきたりする。 そこまでいかなくても・・・・・・そうだ、あるんだ。何時だって、どんな時だって、誰にだって、可能性はこころの中にあるんだ。 「お前だって同じなんだ。お前の中にその可能性は、何時だって存在してる」 らしくはない。うん、らしくないと思う。でも、言わずには居られない。 上から目線でも、綺麗事でも、言わずには居られない。だって、僕は知ってるから。 「ううん、スカリエッティや他のナンバーズの連中のこころの中にだって、それはある」 夢と向きあって、あの子達と出会って、知ったから。僕はもっと進化出来ると。 僕が描く夢や『なりたい自分』に向かって、進む事が出来ると。 「お前が手を伸ばせば、何時だってその可能性の鍵は開く。自分と他人との違いだって、必ず超えられる。 僕や世界がお前をいいように変えるんじゃない。お前が自分でその形を探して、決めて、変わっていけるんだ」 青髪は、警戒を解かない。それでも、僕は踏み出す。構えずに、ゆっくりと。青髪の目を見ながらだ。 「マジで、それでいいの? そのままじゃお前は『すばらしい世界』なんて、一生手に出来ない」 青髪が、目を見開く。そして、殺気が強くなった。 「お前達が変えなきゃいけないのは、世界じゃない。・・・・・・変えるべきは、今。そして、自分自身だ」 「黙れっ!!」 青髪の両手両足のフィンが、激しく震える。そして、怒りの形相で僕を見る。 「言ったはずだっ!!」 青髪はまた突撃してくる。左手の小太刀を振るい、攻撃を弾き、往なす。 僕の周囲を飛び交う青髪の突撃混じりの斬撃と小太刀の刃が、幾度もぶつかる。 「私は、ドクターから与えられた意義だけでいいっ! それだけでいいと・・・・・・言ったはずだっ!!」 僕はその言葉を聞いて覚悟を決める。そして、鎖を噛み砕く。 開放されるのは、心の中でずっと戒められていた獣。 僕の声に呼応するように叫び声を上げる。皆様お馴染みの修羅モード開放。 ・・・・・・やっぱだめか。らしくもなかったし、仕方がないか。 もうお話どうこうでなんとかなる段階は、とうに超えてるわけだしさ。 「もうお前は、黙れっ! いや、死ねっ!!」 その度に火花が散る。青髪の表情が徐々に苛立ち混じりになる。・・・・・・うん、分かるわ。 なんで僕がISのスピードを見切れてるか、疑問を持ち始めてるんでしょ。そんなの簡単だよ。 お前の僕への殺意が、苛立ちがまき散らされてるからだよ。そこから動きを先読みするのなんて楽勝。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 何故だ。何故私の攻撃が見切られる。何故捌かれる。 私のIS、ライドインパルスはレーダーの追尾さえ振り切る。 というより、人間の視認速度すら凌駕している。なのに何故だ。 なぜコイツは私の速度についてこれる。・・・・・・そうだ、ついて来ているんだ。 防御の隙を突くように、死角を狙い私は攻撃を仕掛けている。 だがそれが弾かれる。最初はそれでも抜いていたが、今はもう身体に掠りもしない。 右手でフィンを叩き込む。・・・・・・あぁ、まただ。また私の攻撃は往なされた。 防御用の剣を斬ろうとするが、それすらも出来ない。両断されないように、ポイントをズラされてる。 なぜだ。それをやるにしても、私の攻撃を完全に見切れなければ・・・・・・・・・・・・いや、ありえない。 奴は戦闘機人でもなんでもないんだぞ? 普通の人間で、今は魔法すら使えない。 私のような速度域で動く相手と魔法なしで戦った経験があるとも思えない。 いや、そんな人間が居るはずがない。なのにコイツは慣れているかのように振る舞い、余裕すら見せる。 ・・・・・・落ち着け、これは錯覚だ。奴はただの人間。それにこの私が・・・・・・私達が負けるわけが無いんだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 青髪は僕に飛び込みながら、左足で蹴りを放ってくる。右に回転して避ける。 青髪の足がまた地面を砕く。そして立ち上がりながらも僕に踏み込む。 踏み込んで、閃光となる。左手を打ち込み、僕の身体を貫こうとする。 僕はそれを右に身体を捻りつつ避けた。 「黙ら」 そして、小太刀を唐竹に撃ち込む。 「ねぇよっ!!」 小太刀の刃は、空気を斬るだけだった。青髪は光に包まれたまま、右に大きく跳ぶ。 そして姿が消えた。僕は何も言わずに、自分の背後に視線を向ける。 その視線の先に居たのは、床を踏みしめ飛び出す閃光。それが僕に迫ってくる。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ゴミ虫が私を見ている。私を・・・・・・見ている。ISの速度で、一気に視覚外に移動した私を。 私は、そのまま攻撃を仕掛ける。もちろん最大速度でだ。だが、それを避けられた。 掠りもせず、防御もされずだ。それに頭に血がのぼる。なぜなら、これはありえないからだ。 私はドクターの最高傑作だ。それがなぜ・・・・・・ありえない。 私の速度は、人間の反応速度を超えている。それが私の力。 それを魔法なしで対処? 掠りもせずに回避? そんなこと、あるわけがない。 なのになぜこうなるっ! なぜ私は・・・・・・こんな奴に、ここまで手こずっているっ!! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 僕の背後数メートルから踏み込み、右手を振りかぶっていた青髪が驚いた顔をしている。 構わずに、そのまま拳を叩きつけてくる。今度は、左に動き避けた。フィンは、もう掠りもしない。 通り過ぎた所を狙って、僕は小太刀の切っ先を突き出した。狙うは、青髪の右脇腹。 ピンク色の光に包まれた青髪は、大きく左に飛んで僕と距離を取った。同時に攻撃も避ける。 その様子に青髪の苛立ちが、どんどん深くなる。だから、さっきから口を多く動かす。 動かして、僕を威圧しようとする。フェイトのことと絡めて、動揺させようとする。 もう、そんなの無駄なのに。 「お前が生きる道は、ただ一つだっ! ・・・・・・ドクターと我々の夢を、黙って受け入れろっ!!」 まだ・・・・・・言うかっ!! 「それこそがお前やアリシアお嬢様、引いては世界にとって唯一無二の幸せだと、なぜ分からないっ!!」 冷静には、してる。だけど、何かが降り積もっている。それは、感じる。 だからまた、青髪は光に包まれて、跳び回る。僕の周りをうるさく・・・・・・しつこく。 「そう。だったら」 もう、僕に攻撃が通用するはずがないのに。だけど、青髪はそれが分からないらしい。 そして、青髪が動いた。ライドインパルスなんて大層な名前の力を使いながら、また飛び込む。 僕の死角、5時方向から飛んできた攻撃を身を捻りながら右に動き、避ける。 それから、僕は小太刀の切っ先を青髪に向ける。距離は2メートルも離れてない。 青髪はこちらに背中を向けている状態。でも、振り向きつつあった。 そこの反応は、凄くいい。やっぱあの2Pカラー達とは、戦闘経験に差があるようだ。 僕の左腕に、青い雷撃がほとばしる。そして次の瞬間、小太刀が射出された。 衝撃波を撒き散らしながら、射出された小太刀は攻撃目標・・・・・・青髪を捉え、吹き飛ばす。 地面を数メートル滑るけど、すぐに立ち上がる。その右の肩口を貫く形で、小太刀が深々と突き刺さっていた。 ・・・・・・超電磁砲を使った。まぁ、威力は弱めだけど。 小太刀は衝撃波をまき散らしながら、青髪の胸元へ向かっていた。だけど、青髪は避けた。 でも、避けきれずに右肩を貫かれた。その間に僕は、開いた左手でゼロタロスからカードを引き出す。 引き出して、持ち手の下部分にあるスロットに、それを挿入する。 ≪Full Charge≫ 差し込んでから、右手でボウガンを構えつつ、左手はベルトのスロットにカードを戻す。 スロットからボウガンのようになったガッシャーの先、エネルギーがほとばしった。 それはオレンジ色で、火花のようにも見えた。ガッシャーの先を、オレンジ色のエネルギーが包み込む。 右肩を貫かれて、青髪が僅かに動揺している。そして、すぐに逃げようとする。でも、もう遅い。 狙うは、立ち上がろうとした一瞬の隙。一撃では倒せないなら、コンボで仕留める。 「お前の全てを徹底的に」 今すぐ、叩き壊してやる。そして、突きつけてやる。お前の、決定的な敗北ってやつをだ。 ・・・・・・僕は、ボウガンの引き金を引く。ボウガンの銃口は、的確に青髪に狙いを定めていた。 「ぶち壊す」 放たれたのは、『A』の形に似たオレンジ色の大きな矢。それを青髪は避けられずに左手のフィンで、受け止める。 受け止め、踏みしめる。そして、弾き返そうと力を込める。貫かれた右腕も無理矢理に動かし、耐えようとする。 だから、僕はもう一度チャージボタンを押す。先程と同じように、ラインが輝く。再び、ガッシャーを分解。 そこからガッシャーを大剣モードにチェンジ。それを右手で持つ。 左手でカードを引き抜き、ガッシャーのスロットに差し込む。オレンジ色の光が、刃を包み込んだ。 ≪Full Charge≫ そのまま、僕は走った。もちろん青髪に向かって、全速力。 10メートル程度開いていた距離は一瞬で無くなり、僕はガッシャーを振りかぶる。 「・・・・・・さぁ」 紡ぐのは魔導師になる前から・・・・・・記憶の中に残っていた言葉。 本当に小さい頃、誰かから教えられたような・・・・・・そんな程度にしか覚えていない言葉。 そして、たまに言う言葉。まぁ、ちょっとかっこつけたい時とかにね。 僅かに残っている記憶の中にある言葉を、今・・・・・・青髪に突きつける。 「お前の罪を数えろ」 僕は順手にゼロガッシャーを持ったまま、刃を青髪の胴に横薙ぎで打ち込んだ。 胴に刻まれるのは、『A』の形をしたオレンジ色のエンブレム。 二つの『A』に押されるように、青髪が吹き飛ぶ。そして、向かい側の壁に叩きつけられた。 その衝撃で壁にクレーターが出来て、その中に青髪が埋まる。青髪の身体に、ボウガンのAも刻まれた。そして、爆発が起きる。 青髪は爆発に飲み込まれる。だけど、僕は止まらない。この程度であの盲信女が止まるとは思えない。だから、不意打ちですよ。 「罪など・・・・・・ないっ! そうだ・・・・・・あるはずが、ないっ!!」 襲い掛かる衝撃に息を吐きながらも、爆発の中から青髪が途切れ後切れににそう呟いた。 呟きながらも、爆煙の中を飛び出して来る。両拳を、しっかりと握りながら。 「ドクターの、夢のため・・・・・・私・・・・・・はっ!!」 だから、僕はガッシャーの持ち手から離した右手を動かす。というか、ガッシャーを投擲する。 爆発を切り裂くように飛び込んできた青髪の目の前に、それを思いっ切りぶん投げる。 青髪の目が、ガッシャーの切っ先を捉えて見開く。身を左に捻り、ガッシャーを寸前で避けた。 ガッシャーの刃が、青髪の右腕の二の腕部分を浅く切る。そのまま、壁に突き刺さった。 青髪は避けつつ、腕を動かす。いや、動かそうとした。僕が何をするか分かったから。 「・・・・・・それだよ」 でも、中々動かない。左腕はボウガンのフルチャージ攻撃の衝撃のせいで、やっぱり反応が遅れてる。 右腕は、肩を貫かれているためにすぐには言う事を利かない。だから、青髪は左腕を動かす。 本当に意地だけはあるらしい。無理矢理に動かして、肩に突き刺さっている小太刀の柄に手をかけた。 「そう思い続け、自分の可能性を、未来を殺す事」 青髪が左手で掴んだ小太刀を肩から引き抜き、そのまま僕に向かって投擲。 血の付いた刃が鋭く本来の持ち主である僕に、空気を切り裂きながら飛んでくる。 僕は、それを左手で弾いた。アルトで弾けば、大きく隙が出来るから。 だって、その間に青髪が僕に突撃してくるもの。てゆうか、突撃してきてる。 「それがお前の罪だっ!!」 もちろんISを使用した上でなら、数メートルの距離など0も同じ。だから、やれると踏んだ。 もう既に光に包まれた状態で、青髪は突撃して来る。・・・・・アルトを抜いて、正眼に構えた。 手は、ジガンのおかげで全然痛くない。だから、大丈夫。 僕が払った小太刀が、床に回転しながら滑るように落ちていく。落ちて、音をたてる。 その音を聴きながら僕は、青髪に全速力で突撃した。そして、斬撃を打ち込む。 交差法で、相手の速度も生かした上での斬撃。これなら、一気に仕留められる。 青髪は避けようとする。身を包む光が、僅かにブレたから。 でも、遅い。既にお前は射程内だ。・・・・・・速度が速いってのも、問題だよね。 普通の移動なら、多分避ける余裕はあった。でも、お前は前に突っ込んだもの。 なにより、勘違いしている。お前は、僕の攻撃を避けられない。 お前を襲うのは九つの龍。全方位から襲い来る、乱撃術の極地。 これ避けられたら、僕はマジで天翔龍閃使うしかないのよ。 使えないのに使うしかないのよ。だから、潰れてろ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 確かに、手で払うのも意外だった。避けると思っていたから。もしくは武器で弾くだ。 そうすれば、隙が出来る。そこに私は突っ込んで、拳で腹を貫く。 スピードでは私が上だ。それで負けるはずがない。だが、話は変わってきた。 ゴミ虫が正眼で突っ込んで来た時に、とてつもなく嫌なものを感じた。私の経験が、叫んでいる。 頭の中が、ソレのみで埋め尽くされる。その叫びの内容は・・・・・・回避。 『避けろ・・・・・・避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろっ!!』と叫び声を上げる。 身体は少し鈍いが、私は咄嗟に反応した。大きく飛ぼうとした。 相手の攻撃の初動を見極めて、適切な回避をしようとした。 そうすれば、どんな攻撃でも選けられる・・・・・・はず、だった。 だが、『これ』は違った。・・・・・・私の頭を刃が叩き割る。そこから血が流れ、同時に身体中に衝撃が走った。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「飛天御剣流」 ・・・・・・壱・弐・参・四・伍・陸・漆・捌・玖っ!! 「九頭」 光に包まれた青髪と、僕が交差する。交差した瞬間に、衝撃が爆ぜる。 爆ぜて、僕は突き抜ける。目の前の歪んだ妄執を砕きながら。 「龍閃っ!!」 放たれたのは、回避も防御も不可能な絶対命中攻撃。青髪は咄嗟に避けようとしたけど、遅い。 つーか、突撃体勢に入ってるのにいきなりタイムラグも無しで方向転換なんて、誰も出来ない。 コンマ何秒という誤差が、確かに生まれていた。普通なら問題の無い誤差。まず、そこが一つの差。 そして、さっきの小太刀だ。まさか手で払うとは思ってなかったはず。これが、二つ目。 自分のように避けるか、得物で弾くと踏んだ。 だから、僕は時間を得られた。ほんの少しだけ生まれていた余裕を、突く事が出来た。 二つのほんの僅かな時間。それが積み重なって、確実な勝機となった。 青髪の身体は、まるでトラックに衝突されたかのように投げ出される。 投げ出されて、『バキボキ』と音を立てて床を転がる。そして・・・・・・音が、止んだ。 倒れて、霧散していく。戦意と覚悟、僕に対しての怒りや憎しみが。 音を立てて砕けて、砕けた破片が塵になっていく。 ・・・・・・あ、そうそう。これを忘れてはいけない。これがないと、パクリになるし。 「・・・・・・もどき」 振り向くと、頭や肩、腕・・・・・・身体のあっちこっちから、血を流しながら青髪が倒れていた。 加減はした。僕は、アルトを振るって峰に付いた血を払う。・・・・・・うん、峰なのよ? 攻撃は峰打ちで叩き込んだ。それで、刺突も柄尻で叩き込んだ。急所も、当然のように外してる。 で、残念ながらこの程度じゃ死にはしない。ガタイがデカくて色々調整されてる分、生命力だってあるんだから。 ・・・・・・青髪の身体は、力なく横たわる。もう、動かす気力もないらしい。それでも青髪は僕を見る。 傷だらけで、ボロボロの身体を動かそうとする。どこからか駆動音が響く。多分、青髪の身体から聴こえる音。 痛みに耐えながらも、青髪は僕を睨む。自分の傍らに立ち、余裕こいている僕を。 「・・・・・・な、ぜ」 「なにに対しての、『なぜ』さ」 僕は左手から新しい小太刀を出す。そして、その切っ先を青髪に向ける。 「私達の、何が・・・・・・悪いと」 僕は、何も答えない。その代わり、順手に持っていた小太刀を、逆手に持ち替える。 小太刀を、しゃがみながら青髪に突き立てる。それは、青髪の左肩を貫いた。 ・・・・・・小太刀の刃を回転させる。青髪の左肩を砕いた。これでもう、両手は使えない。 それだけじゃなくて、青髪の身体は完全に床に固定される。小太刀の刃が、楔となるから。 両腕が使えず、深々と刃は床に突き刺さっている。動こうにも、動けるはずがない。 「ぐぅ・・・・・・!!」 「そうだね、しいて言うなら・・・・・・まず一つ。僕にケンカを売ったこと。 二つ、僕の大事な電王のDVDを全部おシャカしてくれたこと」 うん、全部隊舎襲撃された時に、おシャカになったの。全12巻に劇場版ディスクは全部パー。 その残骸を見て、号泣したのも今ではいい思い出になってないよ。つーか、悪夢だよ。 「三つ、僕はお前みたいなアンチな思考と行動しか出来ない奴は嫌い」 さっきも言ったけど、究極の世の中アンチだもの。なお、挑発で言ってる。 自分の行動を『革命』って言い切れるのよ? それをバカにされると、嫌がらせになるでしょ。 「四つ、人の名前を、間違え続ける。あの子は、アリシアじゃない。フェイトだ。・・・・・・ねぇ、知ってる? 人の名前をボケでもないのに間違え続ける奴は、レジが打てない店員レベルでいらないのよ」 なので、某クーガーさんは除かれる。だって、アレは絶対わざと間違えてたと思うし。 「てゆうかお前・・・・・・惨めだわ」 青髪が、目を見開く。だから、笑ってあげる。嘲るように、笑みの中に鋭い刃を含ませる。 まだ勘違いは続いているらしい。続いているから、まだ抵抗しようとする。 だけど、動けない。徹底的に叩きのめしたしねぇ。 ・・・・・・にっこりと、笑顔で言い切ってあげる。少しだけしゃがみながら、優しくだ。 「・・・・・・知ってる? 斎藤一って偉人は、こう言ったよ」 うん、るろうに剣心でね。史実では、絶対言ってない。 「『己の信念を貫けなかった者は、死んでても生きてても惨めなものだ』・・・・・・ってさ」 なお、史実では絶対に言ってないと思われるので、あしからず。というか、言ってたら逆に怖い。 「これ、まさしくお前のことだよね」 言いながら、僕はあるものを取り出す。それは、ハンカチ。 そのまま、青髪の頭を掴んで引き上げ、口の中にねじ込んだ。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「んん・・・・・・」 違うと言おうとした。だが、口が動かない。そうだ、違う。私は・・・・・・惨めなどではない。 私はドクターの最高傑作の一人だ。それが惨め? そんなワケはない。 「あぁ、『違う』って言おうとしたんだね。でも、違わないよ。・・・・・・お前は、負けたから」 ・・・・・・私は、負けて・・・・・・いや、負けた。そうだ、負けたんだ。そして、仕事を通せなかった。 「・・・・・・いいか、よく聞け。お前はもう道を選んだ」 あぁ、選んだ。私は道を選んだ。それが、私の幸せだから。 生まれた時にドクターから与えられた、唯一無二の使命だからだ。 「お前が選んだ道は、与えられた仕事を通せなかったから、そこで全部が終わる道だ」 そうだ、私は・・・・・・通せなかった。他の姉妹達はともかく、私は通せなかった。 負けて、地べたに貼付けにされた。ドクターの期待を裏切った。私は、夢を叶えられなかった。 「だからお前は」 ≪マスター≫ いきなり口を開いたのは、ゴミ虫のデバイス。それに、ゴミ虫が言葉を止める。 ≪その先は、私が言います≫ 「いいよ」 ≪よくはありません。・・・・・・あなたは、それを言うべきではないですから≫ その言葉に、ゴミ虫は迷う仕草を見せる。それが、私には理解出来ない。 だが、それにゴミ虫は頷いた。それを確認したのか、デバイスが話しかけてきた。 ≪あなたは本当なら、地面に倒れた時点で舌を噛み切るべきでした≫ その言葉に、衝撃を受けた。・・・・・・舌を、噛み切る。それはつまり・・・・・・『死ね』ということ。 ≪その通りです。私は、あなたに『死ね』と言っています。というか、あなたに生きる権利なんてありません≫ 私の考えが丸見えと言わんばかりの口調でそう言い切ったのは、デバイス。それに、怒りがこみ上げてくる。 ≪私はあなたが死ぬべきだと、そうして当然だとすら思っています≫ 私は、私を見下すゴミ虫の右手にある刀を見る。それは、まるで哀れむように私に声をかけ続ける。 ≪あなたは潔く私達の目の前で自決して、スカリエッティの人形としての自分を、通すべきでした。 それが、あなたが選んだ道です。『それだけ』になることを選んだあなたが、やるべきことです≫ 理解、出来ない。コイツは、なぜこんな事が言える? なぜだ・・・・・・なぜなんだ。 私は、アリシアお嬢様と同じだと言うのに。同じ存在を、なぜこうまで。 ≪マスターやフェイトさんは、あなたとは決定的に違うことがあります。 それは・・・・・・あなたのように自分の可能性を、殺そうとしないことです≫ 理解、出来ない。コイツもゴミ虫も、何の話をしている。私自身の可能性? ここから変わる? そんなもの必要ない。私達はドクターの願いを叶える。それだけが全てだ。変わる必要など、ない。 ≪自分で自分の新しい可能性を、願いを生み出して信じる。 世界ではなく、自らが望むままに変わる。それが、私が思う『生きる』ということです≫ そうだ、だから望んだ。私はドクターの願いを叶える道を選んだ。お前に言われなくても、分かっている。 ≪先程、マスターがいった通りですよ。あなたは生きてなどいない。今こうしていても、自分さえ殺してる。 ハッキリ言ってあなたが居るだけで、ミッドの酸素と水と食料の無駄使いです≫ ・・・・・・理解、出来ない。コイツは何を言っている。私達は、生きている。生きて、創造主の命に従っているではないか。 ≪これはあなたが自分の『存在』の確立をスカリエッティに全依存した以上、絶対に払うべき対価と言ってもいいでしょう。 いいえ、それは・・・・・・あなただけじゃありませんね。あなたの姉妹も、チンクさん以外はその対価を払うべき存在と言える≫ 怒りが湧いてくる。コイツは・・・・・・私の姉妹に、『負けたら死ね』と言っている。許せ、ない。 ≪あなたは、なぜ生きてるんですか? 負けて、あなたは自分の存在意義を通せなかったのに。 あなたの言い方を借りるなら、あなたはもう生きている意味がない。そう・・・・・・無いんですよ≫ 立ち上がろうとする。身体に力を入れ、一気に飛び上がろうとする。 コイツは、壊す。私が殺す。許せない。まだ・・・・・・まだ私達を否定するのか。 なのに、なぜ否定する。お前とて、同じだと言うのに。そうだ、お前とて同じだ。 まぁ、いい。私には関係のない話だ。・・・・・・殺す。そして壊す。 コイツらと話しているだけで、頭がおかしくなりそうだ。そうだ、そうすれば楽に。 「はい、それまでだよ」 立ち上がろうとするとゴミ虫が動く。私の左足に、デバイスの切っ先を突き刺した。それにより、痛みが身体中に走る。 「アルト、もういい。コイツは、どうやら理解出来ないらしいから」 これは・・・・・・強化骨格に、到達してる? ≪そのようですね。全く、救いようがないですよ≫ 「・・・・・・さて、フェイトの相手で出てきたってことは、当然電撃対策とかは、してるんだよね」 また笑った。それに寒気が走った。抵抗しようとするが、身体はすぐには動かない。 ただ駆動音が響くだけ。そして、ゴミ虫の右手に何か迸った。 「でも、それはあくまで非殺傷設定で、身体の『外側から』攻撃を食らうことが前提のはずだよね」 私は思考が鈍っている頭で少し考えて、答えを出した。コイツは、恐らくデバイスを細工している。 だから、これまで色々な攻撃が出来た。遠距離攻撃はともかく、ガントレットに電流を発生させたりする程度なら、簡単に出来る。 先程の小太刀が射出された攻撃も、それの応・・・・・・まさ、かっ!! それに気づいた次の瞬間、私の身体が震えた。 「ががががががががっ!?」 生まれたのは、青い高圧電流。それが私を内部から焼き、身体を震わせていく。、 ・・・・・・確かに私とセッテは、アリシアお嬢様対策を立てていた。 それは、電撃ダメージの無効化。アリシアお嬢様の魔法特性を考えれば、当然だ。 だが、これは傷口から私の身体の内部に、直接的に電流を送り込んでいる。 コイツの・・・・・・言う通りだ。直接的な傷から電撃を流される事など、想定していなかった。 私達の対策は完璧。アリシアお嬢様がこんな形で追撃する可能性は、0%だった。 いや、なによりコイツが電撃の魔力変換を使えるなど、データになかった。徹底調査はしていたのに。 私の攻撃を完全に見切ったり、AMFによる魔力の完全キャンセル化状態でなおそれが使えるなど、想定外だった。 なぜ、コイツは私達のデータに無い事が出来る? なぜ私は・・・・・・電撃で、焼かれているんだ。 これでは・・・・・・だめだ。私の身体は、煙を上げながら完全に動かなくなった。 分から、ない。全く・・・・・・分から、ない。なぜ私は、こんな奴に・・・・・・負けた、んだ。 まだほんの少しだけなら動かせたアクチュエーターや人工筋肉が、完全にバカになった。 もう、立ち上がれない。指すら・・・・・・動かない。私は、何も出来ない木偶人形に成り果てた。 私の身体は、もう動かない。意識が・・・・・・切れる。死ぬ? 私は・・・・・・死ぬ、のか? いや、もうどうでもいい。なぜなら私は、もう役立たずの人形なのだから。そうだ、私は負けた。 役立たずの人形は、捨てられ、廃棄される・・・・・・だけだ。あぁ、確かにその通りだ。 お前達の言っている事が、ようやく理解出来た。そうだ、私は死ぬべきだ。死ななければならない。 私は、ドクターの・・・・・・最高、傑作。創造主の願いを叶えられなければ・・・・・・生きる、意味がない。 それが、私の・・・・・・選んだ、道・・・・・・だか、ら。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 電撃が終わった後、青髪は一瞬だけ目を見開くと、視線を床に落とす。 そのまま、動かなくなる。目を見開いたまま、焦点だけが消えた。なお、殺してない。 非殺傷設定って、やっぱり色々便利でさ。これでも殺さないの。ホントに便利過ぎてどうかと思う。 ・・・・・・でも、楽しくもないし、充実感もないね。全く、つまらない戦いだったよ。 正直、こんな痛々しいDQNな奴らとドンパチなんて、これ以上したくない。 命のやり取りは嫌いじゃないけど、これは楽しくないもの。なんなのよ、これ。 この調子なのが、現在暴れてるので9人とかそれくらいだよね? ああもう、頭痛いなぁ。 ≪・・・・・・いっそ、殺した方がよかったかも知れませんね≫ いきなり、そんな物騒な事を言ってきたのは、アルト。 てーか、今回は最後だけしか出番なかったからって、そういうことを言うのは、やめて欲しい。 ≪それも色々気になりますけど、今回は違います。 ・・・・・・この手のは、あれだけ潰しても、生きてる限り勘違いし続けますよ?≫ 「だろうね」 ≪周りに自分と同じ考えの人間が、何人も居ますから≫ 認められ、共有し、繋がる。これは、想いを強くする効果がある。 コイツも同じ。他の連中やスカリエッティとそうなることで、ずっとこれな可能性もある。 ≪ハッキリ言って、いつぞやのエリオさんよりずっと性質が悪いです。 エリオさんは一人だけだったから、アレで済んだんです。でも、今回は集団ですから≫ 「・・・・・・いいよ、別に。そんなことしても、僕が楽しくない」 ≪納得しました。・・・・・・というか、甘くなってません?≫ 「まぁ、ちょっとだけね」 刃を引き抜き、右薙に振るって切っ先に付いた血を振り払う。 「というか、今の流行りの男の子のタイプは、スイーツ系なのよ? この間、テレビでやってた」 まぁ、これもきっちり背負いますか。殺してはないけど、それでも・・・・・・罪は、罪だから。 うん、僕も数えるの。自分の罪を、しっかりと逃げないでね。じゃなきゃ、同じ穴のムジナだもの。 ≪でも、あなたは普通にエグいですね。体内に直接電流を流すとは≫ 「失礼な。僕はすごく優しいよ? つーか、後半のアレコレは全部アルトじゃないのさ」 「いいえ、お兄様は外道です」 「そうだな。恭文、私は悲しいぞ。まさかそこまで堕ちていたとは」 なんか、姿が見えなかったシオンとヒカリが突然に現れて、僕を呆れた目で見ていた。 「やかましい。てーか、今までどこに居たのよ。全く姿が見えなかったけど」 「私達、しゅごキャラですから。不思議空間に入り込んで、様子を伺っていました」 「同じくだ」 「え、そんなのあるのっ!?」 ・・・・・・まぁ、そこはいいか。これで、残りは1っと。いやぁ、サクッといけて嬉しいねぇ。 「フェイトッ!!」 「大丈夫っ! 手は出さなくていいっ!!」 こちらを見ずに、ファイズエッジでピンク髪と斬り合いながら、フェイトはそう言い切った。 『私を信じて? 私は絶対にそれに応えるし、後悔はさせない』と、力強く想いを込めてである。 ・・・・・・なら、任せますか。彼女を信じるのだって、彼氏の立派な仕事でしょ。 (第33話へ続く) おまけ:劇場公開記念CM:恭文&フェイト・あむ&ヴィヴィオ(Vivid編Ver) (現在、2010年1月24日です) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 恭文「というわけで、ついに劇場公開されたよっ! リリカルフェイトっ!!」 フェイト「ヤスフミ違うよ。これはリリカルなのはで、なのはが主役なんだよ?」 (テロップ:だけど、フェイトも主役です) 恭文「みんなは、もう見たかな? 空戦教導隊が監修した、劇場版ならではの迫力の空戦」 フェイト「飛び交う砲撃に魔力弾、そしてぶつかり合う想い。 私にとっての、なのはにとっての始まりの物語が、ここにあります」 (テロップ:本局執務官と、その補佐官もお薦めです) 恭文・フェイト「「『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、全国の劇場で絶賛公開中っ!!」」 (テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』) フェイト「私やなのはの始まりの物語、もし良ければ、ご覧になってください」 恭文「フェイト、甘いっ! これがセカンド・サードと続くためには、今回の映画の総合興行収入が大事なのよっ!? というわけで、みんなどんどん繰り返し見に行けっ! というか、お願いだからはやてに出番をあげてっ!!」 フェイト「えっと・・・・・・そこはお願いします。本人、今回出れなかったのを、相当気にしてるので」 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ヴィヴィオ(Vivid編ver)「あむさん、劇場版楽しかったですよねー。もう、ヴィヴィオ感動しちゃいました」 あむ(Vivid編ver)「そ、そうだね。というか、あたし達の時間軸だと」 ヴィヴィオ「細かいことは気にしなくていいですからっ! 気にしなくちゃいけないのは、今回の劇場版についてですよっ!! ・・・・・・ちっちゃなママ達が、全力全開で戦い、ぶつかり、通じ合うっ! 二人の強さに、全次元世界が泣いたっ!!」 あむ「ヴィヴィオちゃん、それどこのキンタロスっ!? というかこれ、地球限定でのお話だからっ!!」 ヴィヴィオ「そして、セカンド・サードも公開決定っ! 恭文とアルトアイゼンも、サードで大暴れっ!!」 (テロップ:あの二人は出ません) ヴィヴィオ「さぁっ! お前の罪を数えろっ!!」 あむ「いやいや、してないからっ! そしてあのフリーダムコンビが出るわけないじゃんっ!!」 (テロップ:本当に決まっていません。そして、例のテロップが出る) あむ・ヴィヴィオ「「『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』! 全国で絶賛公開中っ!!」」 (テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』) ヴィヴィオ「というわけで、あむさん。一緒にこのセリフいきましょう」 あむ「あ、うん。・・・・・・せーの」 あむ・ヴィヴィオ「「あたし(ヴィヴィオ)のこころ、アンロックッ!!」」 (テロップ:あたしのこころ、アンロック) あむ「・・・・・・って、違ーうっ! なんでまたこれっ!? おかしいじゃんっ!!」 ヴィヴィオ「あ、この間使った台本と間違えちゃった」 (本当に続く) あとがき なぎひこ「・・・・・・待って? 普通にコレ、あと1、2回で最終回でいい勢いだよね」 あむ「恭文とフェイトさんの戦いだけ描いておしまいなら、そうなるよね。 でも残念ながら、そうはならないんだって。理由は簡単、ラスボスが残ってるから・・・・・・だよね」 恭文「うん。というか、次回以降とんでもないことになるのよ。 僕もフェイトも、前回のサリさんやヒロさんギンガさんも、ここからが本番」 なぎひこ「てゆうか、普通にスカリエッティのキャラが」 恭文「いいのよ。てゆうか、とまと版スカリエッティはもう、実際にはヘタレで子どもなおっちゃんに決まったの。 それを原作キャラ崩れとか言われても、困るって。二次創作はそもそも、原作から深く追求していくのものよ?」 (・・・・・・と、どっかの質問箱に書いてあったらしい) 恭文「とにかく、ここからさらにカオスになるのは次回以降のお話なので・・・・・・本日のお相手は、蒼凪恭文と」 なぎひこ「えっと、またまた呼ばれた藤咲なぎひこと」 あむ「もうレギュラー気分な、日奈森あむです。・・・・・・それでさ、今日は私から相談なのよ」 恭文「なに?」 なぎひこ「あむちゃん、どうしたのかな」 あむ「・・・・・・ダイヤがマジ自由なんだけど。もっと言うと、しゅごキャラぷっちぷち」 (現在、『しゅごキャラパーティー』内で放送されているミニアニメでのダイヤが、色々と気になっているらしい) 恭文「あれでしょ? アニメ通してダイヤ教の信仰を強めようとしてるのよ」 なぎひこ「2010年1月23日分の放送でも、相当暴れてたしね。というか、てまりが」 恭文「あむ、ダイヤはもうあんなキャラなんだよ。 というか、原作10巻の最後でも片鱗はあったでしょ。何を今さら」 ダイヤ「ま、まぁね。・・・・・・でも、最初のキャラと違ってきてるような」 恭文「問題ないよ。というか、問題にしなきゃいけないところは、まだある」 なぎひこ「なにかな」 恭文「一つ。作者がまだ、劇場版を見に行けていないということ。 そしてもう一つ、まだ密林からなのはのPSP用ゲームが届かないということ」 (・・・・・・事実です) 恭文「それで、ニコ動にアップされてるプレイ動画とか見ちゃったさ。普通にそれで自分を慰めてるさ」 あむ「そ、そうなんだぁ。それはまた・・・・・・大変だね」 なぎひこ「というか、劇場版は一応僕達は初日に見たって設定なんだよね」 恭文「そうだよね。でも、話出来ないけどね。一応でもネタバレ回避って言うのもあるしさ。 ・・・・・・それでも、出来るだけ早く見に行きたいと思います。というか、ずっと楽しみだったし」 あむ「そうだよね。せっかく劇場版になったんだし、楽しみだよね」 (そう、楽しみなのです) 恭文「うん、楽しみだよ。劇場版『Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』」 あむ・なぎひこ「「・・・・・・は?」」 恭文「今回は、凛ルート再現だしね。あー、どうなるかな。マジで楽しみ」 あむ「ちょ、ちょっと待ってっ!? なのはさんの映画はどうなんのよっ!!」 恭文「いやだなぁ、あむ。公開されているのは『リリカルフェイト』だよ? なのはじゃないって」 あむ・なぎひこ「「なんか勘違いが持続してたっ!? というか、話をすり替えないでっ!!」」 恭文「というわけで、リリカルフェイトと『Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』はとっても楽しみですね。 本日のあとがきは、ここまで。あー、劇場でのフェイトとFate、早く見たいなー。蒼凪恭文と」 あむ「なんだか納得がいかない日奈森あむと」 なぎひこ「とりあえず・・・・・・両方見に行くんだから、問題ないと思う、藤咲なでしこでした。それでは、また次回に」 (さすがはなぎー。とっても冷静である。思わず、二人も感心してしまった。 本日のED:劇場版『Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』イメージソング・タイナカサチ『imitation』) 恭文「つーわけで、ようやく劇場でフェイトが大活躍するようになったね」 フェイト「そうだね。・・・・・・なんだか、感慨深いなぁ」 恭文「リリカルなのは自体は、もう最初にTVに出てから5年だしね。 というか、その前のとらハ3とか含めると、10年とか9年?」 フェイト「とらハの方に私は出てないんだけど、それでもすごいよね。 だって、元々なのははゲームの中の主人公の妹キャラだったのに」 恭文「それがスピンオフでアニメ化されて、三期までやって魔王になって」 フェイト「そこは言わなくていいんじゃないかなっ!?」 恭文「それで、劇場版だもんね。・・・・・・いやぁ、真面目に感慨深いって。 フェイト、とりあえず僕はサードからの登場だけど、よろしくね」 フェイト「うん、よろし・・・・・・って、ヤスフミはさすがに出ないよっ! というか、出たら怖いよっ!!」 (おしまい) [*前へ][次へ#] [戻る] |