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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第33話 『雷光・Remix/暁(あか)く燃え立つチカラ、震えるほど抱きしめて』



キバットバットV世「『存在』の定義は古代ギリシャの哲学者、アリストテレスやプロトンの時代から、様々な観点で研究されてきた。
近代では、『物が在る』ということはもはや証明出来ないと言う意見も出ている」





(冒頭一発目からパンチをかますのは、当然のようにあのコウモリ)





キバットバットV世「しかし、これだけは言える。『存在』は『無』より遥かに価値があり、『無』は存在の否定において使われなかったことだ。というわけで、ウェイク」

恭文「『というわけ』じゃないからっ!!」





(そして、また止める人間が居る。そう、青い古き鉄)





恭文「おのれはどんだけフリーダムっ!? 現時点ではキバなんて影も形もどの話にも出てないでしょうがっ!!」

キバットバットV世「おいおい、何言ってんだ。電王クロスしてる時点で、俺や渡が同一世界に居るのは確定だろ?」

恭文「あぁそうだねっ! でも、おのれらは出てないんだよっ!? 拍手で来てる恐竜やにドギー・クルーガーさんとかも出てないんだから、自重せんかいっ!!」

フェイト「えっと・・・・・・StS・Remix、始まります。というか、どうしよう。あのコウモリさん、なんだか居着いちゃったんだけど」

古鉄≪放置しておけばいいでしょう。こういうのの相手は、あの人がきっちりやります≫

恭文「放置しないでっ!? 頼むから、みんなで一緒にツッコもうよっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



私と目の前の女は斬り合い、打ち合い、力をぶつけあっていた。





なんか、上の方で色々始まったらしいけど、気にしない。









≪いやいや、気にしろよっ! てーか、普通にボーイ達ヤバい感じだぜっ!?≫

「ふーん・・・・・・だからっ!?」

≪だからじゃねぇってっ! このまま苦戦してたら、今日発売のジャンプが見れねぇじゃねかよっ!!≫





そんな泣き言抜かす相棒を、私は右から打ち込む。

女は右の銃でそれを受け止めると、即座に左の銃をアタシの頭に向けてぶっぱなす。

それをしゃがんで回避。そのまま刃を引き、両手の刃を女の足元に向かって打ち込む。



女はそれを、後ろに飛んで回避。そのまま、両手の銃の銃口を向け・・・・・・私に乱射。





「あぁ、それなら安心だっ!!」



私は後ろに跳び、それらを回避。数回跳んで、体勢を整える。



「こんな騒ぎで、ジャンプ出てるわけが無いでしょうがっ! 今週号は来週号と一緒に発売だよっ!!」

≪それはそれで嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 俺はNARUTOの続きが気になるんだよっ!!
合併号でもないのにもう一週なんて、待てるわけねぇだろっ!?≫



私は・・・・・・To LOVEるっ!!



「アンタらっ! この状況で一体なんの話してんのよっ!!」



女は着地。こちらへ突進しながら、また両手で銃を撃つ。



≪「ジャンプの話だけど・・・・・・!!」≫





両手のアメイジアの刃が変化する。刃が一定間隔で分割され、それらがワイヤーで結ばれている。



蛇腹剣と言われる状態へと変化した。これがアメイジアの形状変換の一つ。サーペントフォルム。



そして、その蛇腹剣をしならせ・・・・・・!!





≪「なにかっ!?」≫



刃に白い雷撃を纏わせ、襲い来る弾丸を全て斬り払うっ!!



≪「てーか、ジャンプナメんなっ!!」≫



私は、しなる雷蛇越しに笑う。笑って・・・・・・踏み込む。



「逆ギレすんじゃないわよっ! このバカっ!!」





女も突っ込んでくる。距離は一瞬で縮まり、私はアメイジアを両手剣に戻して、斬撃を打ち込む。

そこから数度撃ち合って、女が大きく後ろに跳ぶ。そこで、女が止まった。

私の動きも、一瞬止まる。空気が、変わった。そうとしか言えない何かを感じた。



そして、女が私の後ろを凝視する。私は、咄嗟に大きく前に跳んだ。





「くそっ!!」



・・・・・・・・・・・・ズドォォォォォォォォォォンッ!!



≪姉御っ!!≫

「大丈夫だっ!!」



瞬間、私の居た場所が大きく破裂した。破裂して、大きな穴を開ける。

咄嗟に、距離を大きく取ってしまった。私より、女の方が『アレ』に近いくらい。



≪な・・・・・・なんだありゃっ!?≫





着地して振り返る。そして、見てしまった。・・・・・・体長は、4メートルほど。

2足で人型で全身銀色の・・・・・ガジェット? でも、これは形や印象が少し違う。

ぶっちゃけ、死神っぽい。もしかして、とっておきってやつですか?



あぁもう、面倒な時に・・・・・・!!





≪ガジェット・・・・・・じゃ、ねぇよな≫

「デザインが違い過ぎるしね。てーか、普通に生物的デザインだし」





そして今、私に対して行なったのは、両手の鎌を振り下ろした斬撃。



それだけ攻撃が止まるはずもなく、目と思しきレンズが輝く。



そこから、光線が放たれた。また私は、大きく跳んで避ける。





「あははは・・・・・・! よし、これで2対1っ!! さぁ、もう観念」



ズドォォォォォォォォォォンッ!!



≪「・・・・・・え?」≫



女が言葉を言い終わる前に、私の方に跳んできた。

そりゃそうだ。自分の所に、思いっ切り鎌が打ち込まれたんだから。



「な、なにすんのよアンタっ! 私は味方」



残念ながら、その理屈は通じないらしい。だって、女にも熱光線打ち込んできたんだから。



「・・・・・・アンタ、敵として認識されてるみたいだね」

「そ、そうみたい」



なるほど、見境なしってわけか。普通にそう来るとは・・・・・・お姉さん、ちょっと意外だよ。



≪姉御、まずい・・・・・・まずいぜ。ここで、あんなデカ物と戦闘したら≫



分かってるよ。ここは・・・・・・!!



≪「「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」≫





私は回れ右で全力疾走っ! 通路をひた走るっ!!

・・・・・・はぁっ!? 『メガーヌはどうした?』って・・・・・・このバカっ!!

このシチュで戦ったら、今度こそメガーヌごと巻きこんじまうよっ!!



相手の能力が不明なのに、そんな真似できるワケがないでしょうがっ!!



アレは脅しやらハッタリやら効きそうにないしっ!!





「ちょっとアンタっ! なんかでどーんといけないのっ!?」



後ろからガシャガシャと足音を立てながら、私らを追いかけるのは、銀色の死神。

それが撃ってくる光線を回避しつつ、私らは通路を全力疾走。



「・・・・・・待て待てっ! なんでアンタがいるっ!?」

「仕方ないでしょっ!? 私だって嫌だけど、逃げる方向こっちしかないんだからっ!!
まさかアンタっ! アレの脇を突っ切れとか、言うつもりじゃないでしょうねっ!!」

「よし、それでっ!!」

「出来るわけがないでしょっ!? てーか、絶対嫌よっ!!」




というわけで・・・・・・!!




≪「「とにかく、逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」≫










こうして、非常に辛い逃走劇は、幕を開けた。





そう、私のRemixは、まだとても遠いところにあった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・降参しますっ!!」



上の方で、なぎ君とフェイトさんがスカリエッティのヘタレ具合に対してツッコんでいた頃。

私とシスター・シャッハは、いきなりこんな事を言われた。



『はぁっ!?』





・・・・・・私達を地面に引きずり込んで、真下の通路に引きずり込んだのは、例の戦闘機人。

コードネームは、『ドンブラ粉』。なお、八神部隊長となぎ君のネーミングらしい。

なんでも、この子の能力は私も知ってる『ドラえもん』に出て来たひみつ道具と、全く同じとか。



というか、ちょっとショックだった。二人に『これが分からないのはトーシロー』だとハッキリ言われて。

確かに、そうなのよね。ネットで調べたら、本当にあっさり出てきたもの。

グーグルの辞書にも、変換が載ってるくらいだし。これ、本当に有名らしい。



とにかく、私達を引きずり込んでおいて、目の前の子はいきなりこんな事を言う。



言って、普通に両手を挙げた。いわゆる降参ポーズ。それに、私もシスター・シャッハも呆気に取られる。





「待ちなさい、ドンブラ粉」

「いやいやっ! そのアホなネーミングは一体なんですかっ!?」

「当然、あなたのコードネームです。それくらい察しなさい。というより、察せて当然です」



シスター・シャッハっ!? あなたもなぎ君達と同じなんですかっ!!



「察せるわけないでしょっ!? てゆうか、あのお姉さんみたいな真似はして欲しくないんだけどっ!!」

「あなた、ドラえもんをバカにしてるんですかっ!? だとしたら、それは大きな勘違いですっ!!
確かに声優交代劇で色々と言われていますが、いいではありませんかっ!!」

「そういうことじゃないからー! というか、バカになんてしてないよっ!? むしろ、私は今のほうが好きなんだからっ!!」



だけど、シスター・シャッハは構わずに詰め寄る。それに、水色の髪の子は、若干後ずさりする。



「とにかく・・・・・・あなた、ここまでしておいて、今更そんなたわ言が通用すると思っているんですか?
そして、ドラえもんをバカにするとはいい度胸ですね。ドラえもんをバカにするものは、ドラえもんに泣くのですよ?」

「いやいや、それは違うでしょっ!! というか、あの・・・・・・だめ? マジで投降する気満々なんだけど」



その子は言いにくそうにしながら、そのまま言葉を続ける。

なぜか、少しもじもじしているのが、ちょっと気になるけど。



「いやさ、ドクターはフェイトお嬢様と蒼凪恭文を、うちの姉妹と戦わせたかっただけだしさ」

『はい?』

「で、ドクターからの指示で、引きずり込んだらもう投降しろって言われてるんだ。
多分、他の姉妹達にも上のあれこれが終わったら、そういう風に言うんじゃないかな」

『はぁっ!?』





だから、邪魔な私とシスター・シャッハを隔離した? でも、一体なんのために。

普通に戦力を割くためなら、ここでガジェットとかが出てきてもいいわよね? でも、それもない。

だめ、今ひとつ相手の意図が読み切れない。これ、どういうことなの?



何か崩れる感じがする。私の母さんの仇は、私の想像する形とどこか違ってきてる。





「だから、この通りなんだけど。あ、武装関係は一切持ってないから、安心して?」

「そうですか。ならば、今の話は全て聞かなかった事にしましょう」

「だからちょっと待ってっ!? それを聞かなかった事にするって、色々間違って」



言いかけて、あの子が左に大きく飛んだ。そうしなければ、直撃を受けていたから。

・・・・・・シスター・シャッハの、ヴィンデルシャフトによる攻撃の直撃を。



「・・・・・・ち」

『舌打ちしたっ!? なんでそうなるっ!!』

「恭文さんから、ミッド剣友会の会合の折に教わったことです。
犯罪者の言葉など聞く耳を持たず、『もう喋るな』で叩き潰せと」



なぎ君、一体なに教えてるのっ!? あぁ、もしかしなくてもだからコレなのかなっ! うん、納得したよっ!!



『それは色々間違ってるからやめてー! あと、そんなことしたら最強物とかって言われるからっ!!』



そのまま、シスター・シャッハは私達のツッコミなんて聞かずに、普通に彼女ににじり寄る。

さすがにこれ以上は見過ごせなくて、私はシスター・シャッハに駆け寄って、羽交い絞めにして止める。



「シスター・シャッハ、抑えてくださいっ! さすがにそれはダメですからっ!!」

「ギンガ陸曹、離してくださいっ! 私は八神部隊長と騎士カリムから、あの二人のことを頼まれていたんですっ!!
その仕事の邪魔をした以上、彼女にはそれ相応の報いを受けてもらうのが当然のはずですっ! ですから、離しなさいっ!!」

「それでもダメですからー! というか、それはシスターの発言じゃありませんよっ!?」

「何を言いますかっ! そもそも、投降しておいて隙を狙うという風にするかも知れませんっ!! ここは徹底的に」



・・・・・・あ、なるほど。そういう手もある・・・・・・って、納得したらだめだから私っ!!



「ほら、あなたももっと謝ってっ!? そうじゃないと、私も止め切れないからっ!!」

「あぁ、本当にごめんなさいっ! 真面目に悪かったと思うので、その怖い瞳と殺気はどうか引っ込めてくださいー!!」



なんて、私達が慌しくギャグ的に騒いでいると・・・・・・なにやら音が響く。

それは、何かが走り回るような音。もっと言えば、巨大な動物が走り回る音と言うか。



「なに? この音」

「・・・・・・まさか」



シスター・シャッハが、あの子を見る。もちろん、殺気を込めた上で。



「いや、私はなにも知らないからっ! あの、ホントだよっ!?」





音は、どんどんとこちらへ近づいてくる。それに私達三人は非常に嫌な予感がしてくる。

その音は、私達の後ろの通路の方から、聞こえてきている。自然と、視線がそちらへ向いた。

その通路から、二人の人物が飛び込んでくる。一人は、聖王教会の騎士服を着た女性。



もう一人は、黒いボンテージを着て、両手に銀色の銃を持っている女性。



まるで、こちらへ飛び込むようにして、二人が必死に走ってきた。





「・・・・・・ヒロリスっ!?」



シスター・シャッハが、女性の方を見て叫んだ。



「あらま、シャッハっ! アンタなにしてんのっ!?」

≪てーか、ブルーガールまでっ! あぁもう、どうしてこんな時にここに居るんだよっ!!≫



ヒロリス・・・・・・あ、クロスフォードさんと、そのパートナーデバイスのアメイジアっ!? と、というかどうしてここにっ!!



「そこのドンブラ粉っ! アンタも早く逃げるわよっ!!」

「いや、だからドンブラ粉って言うのはやめてくださいよっ!!」

「アンタ、ドラえもんをバカにしてんのっ!?」

「だから、どうしてそうなるっ!? 全然違いますからっ!! 私には、セインって名前が」



ボンテージの女の言葉に、不満げにナンバーズの子が言う。だけど、言葉は止められた。

二人が出てきた通路から、天井を削り、砕くようにして巨大な死神が現れたから。



『・・・・・・なにこれっ!?』



身体は銀色で、まるで鬼のような顔に、両手にもった鎌。体長は、4メートルもある。

それは、まさしく死神。それを模してるとしか思えない巨人兵が、私達の前に現れた。



「・・・・・・あぁもうっ! 全員話は後っ!! とにかく走るよっ!!」





・・・・・・クロスフォードさんの言葉に私達は頷くと、必死に死神から逃げ出した。

後ろから死神が、ガジェットと同じ熱光線を目から放つ。

追撃されつつ、それを撃たれに撃たれまくって、それを避けながらも逃げる。



というか、なにこれっ!? なんでクロスフォードさんが居るのっ! そこから分からないしっ!!



とにかく走りながら事情を聞くことにする。そうじゃなきゃ、何も分からないから。





「ヒロリスっ! あなた、今度は一体何をしたんですかっ!?
これは間違いなく、あなたのせいですよねっ! ほら、早く答えなさいっ!!」

「というか、クロスフォードさんはどうしてここにっ!? あなた、引退組ですよねっ!!」

「よし、まずシャッハッ! いの一番に私のせいするって、おかしくないっ!?
あと、ギンガちゃんお久っ! いやぁ、しばらく会わない間に、また綺麗になっちゃってっ!!」

「あ、お久しぶりです。というか、ありがと・・・・・・って、そうじゃないですからっ!!」



なにさりげなく、軽く誉めて私の質問を無視しようとしてるんですかっ!? 普通に乗りかけましたよっ!!



「お願いですっ! 褒める前に私とシスター・シャッハの質問に、ちゃんと答えてくださいっ!!」

「あぁもう、分かったよっ!! 色々諸事情あって、ここに乗り込んでたのよっ!!」



いや、だからその諸事情ってなんですかっ!? まず、私はそこから疑問ですよっ!!



「で、そんなヒロリス・クロスフォードと私が、向こうの方でドンパチしてたのよっ!!」



続けて言ってきたのは、ボンテージの女性。黒髪で、金色の瞳の女。・・・・・・誰っ!?



「そしたら、いきなりあれがやって来て、見境なしで襲ってきたのよっ!!
ドンブラ粉、アンタアレがなにか知らないっ!? そう、知ってるのねっ!!」

「答えを聞く前に、納得するのやめてっ!? あとごめん、マジで分からないよっ!!
あんなの、私見た事ないし・・・・・・って、危なっ!!」



セインと呼ばれている女の子が、左に飛んで熱光線を避ける。もう一発飛んでくるので、私が動く。

彼女の後ろに回って右手を後ろに向ける。そうして、魔法を発動。



「トライシールドッ!!」



手の平に現れたのは、紫色のベルカ式魔法陣。というか、私の防御魔法。それが、熱光線を弾く。

・・・・・・これくらいなら、何とか防御出来る。威力は、ガジェットのそれとほとんど変わらないみたいだし。



「大丈夫っ!?」



続けてくる攻撃を、シールドで防ぐ。防ぎながら、私は声をかける。



「あ、あの・・・・・・ありがと」



素直にお礼を言ってきたので、ブリッツキャリバーで走りながらも、私は首を横に振る。

大丈夫という意味合いを込めて、その気持ちを彼女に伝える。



「ですがヒロリス、厚顔無恥なあなたなら、あれくらい指先一つで倒せるでしょうっ!? なぜ逃げてるんですかっ!!」

「倒せるわけがあるかっ! このバカっ!! てゆうか、ここじゃダメでしょっ!?
普通に人造魔導師用の素体と思われる人間が、、大量に寝てるじゃないのさっ!!」



・・・・・・確かにそうだ。私達がなぎ君達から離れるまでにも、かなりの数を見てる。



≪ここに来るまでに何回か攻撃したが、相当防御力も高いんだよっ!!
普通の暴れ方じゃ倒せねぇよっ! でも、この近辺じゃ普通じゃない暴れ方なんざ出来ねぇしっ!!≫

「とゆうかドンブラ粉っ! あなたの能力で、私達全員移動させられないのですかっ!?」



シャッハさんが、必死に声を上げる。もちろん、熱光線を避けながら。

私が最後尾になって、トライシールドでガードしてるからまだ大丈夫だけど、それでもかなりの数飛んでくる。



「だからドンブラ粉じゃないってっ! あと、この人数を全員なんて、無理っ!!」

「そう、だったら私だけ移動させなさいっ! それなら、問題ないでしょっ!!」

「アンタなにバカなこと言ってんのっ!? 自分だけ逃げようとか、そういうゆとりな行動はやめなっ!!」

「ゆとりでいいのよっ! この状況で生き残れるなら、私はダメダメなゆとり世代でいいのよっ!!
てゆうか、なにこれっ!? 色々片付いてくれたのは嬉しいけど、こんなの聞いてないわよっ!!」



と、とにかく目の前の事だよね。あんなの巨大なのを相手に大暴れなんて、普通にすごいことになるのは、明白。

というか、あの・・・・・・これ、どうすればいいのっ!? 普通に私、なんにもしてない感じがするんだけどっ!!



≪あぁもう、ラチがあかねぇっ! 姉御、ライジング・パニッシャー使おうぜっ!!≫

「あ、そっか。チャージ時間さえ稼げば、一気に潰せる。うし、ならそれで」

「却下ですっ!!」



あぁ、走りながらシスター・シャッハが、クロスフォードさんに怒りの表情を向けてるー!!



「あなた達、騎士カリムと私との約束を、破るつもりですかっ!? なにより、あれは完全な質量兵器ではありませんかっ!!」



なお、なぎ君がその『完全な質量兵器』を、弱めとは言え平然と使用することになるとは、今の私達は知らなかった。



「じゃあどうしろってーのっ!? そこのボンテージ娘の銃撃はさっぱりだし、私の通常斬撃もダメっ!!
こうなったら、最大火力で一気に潰すしか選択ないでしょうがっ! てーか、文句言うならアイディア出せっ!!」

≪シャッハのねーちゃん、マジでそんなこと言ってる場合じゃねぇぞっ!?
言ってる間に俺ら行き来止まりにぶつかって、普通に死亡コースだってっ!!≫

「それでもアレはだめですっ! あまりにも威力が大き過ぎるではありませんかっ!!
下手に被害を出したら、ここに囚われている方々まで木っ端微塵ですよっ!?」

≪「あぁ、それがあったっ! でも、それならどうすりゃいいのっ!!」≫



・・・・・・なお、後でレールガンによる攻撃だと聞いて、シスター・シャッハが却下した理由も分かった。

だって、レールガンなんて、普通に威力が出過ぎるもの。というか、やっぱり質量兵器は怖いよ。



「てゆうか、そこのナンバーズっ! アンタ、マジであれのこと知らないのっ!? それはちょっとおかしいでしょうがっ!!」



クロスフォードさんがそう聞くと、あの子は必死に首を縦に振った。

シスター・シャッハが睨んでるので、余計に力いっぱいに、首を振っている。



「おかしくても、その通りなんだよっ! 私、あんなのがラボに置いてあったなんて、知らなかったしっ!!」

「嘘だッ!!」

「嘘じゃないよっ! てゆうか、人の発言即行否定は、人としておかしくないっ!?」

「どやかましいわっ! てーか、テロリストに人の道を問われたくないしっ!!」

「あぁ、そうだよねっ! うん、それはすっごい納得だっ!! でも、私は真面目に知ら」



言いかけて、あの子が気づいたような表情になった。そして、気づいた事を恐怖混じりで口にした。



「・・・・・・あ、そうだ。もしかしたらドクターがまた、趣味全開で変なもの製造しちゃったのかも」

≪趣味全開って・・・・・・おいおい。あの変態ドクターは、そういうキャラかよ≫

「少しね。だって、変態だし。・・・・・・よし、ちょっと連絡を取ろう」



・・・・・・もう、味方とか敵とか関係ないね。いや、この状況だから仕方ないんだけど。

とにかく、あの子が通信を繋ぐと、出てきた顔がある。それは・・・・・・私の母親の仇。



「ドクターッ! また変なもの造ったでしょっ!!
おかげで私達、敵味方関係なしで無茶苦茶大変なんだけどっ!?」

『・・・・・・あぁ、こっちでもサーチしている。だがセイン』

「なにっ!?」

『私は、そんなものは造っていない』





一瞬、嘘かと思った。だけど、どうやらこれに関しては本当らしい。

瞳に、明らかな戸惑いの色が存在しているから。私には、そう見えた。

そしてそれは、クロスフォードさんとシスター・シャッハも、同じらしい。



あと、ボンテージの女も。全員、予想外過ぎて一瞬何を言っていいか、わからなくなってしまう。





「ドクター、マジ? ほら、どうせ後でバレるんだし、正直に言いなよ」

「そうだよ、言いな? どうせ私に木っ端微塵にされるんだしさ」



クロスフォードさん、落ち着いてー! 普通に怖いですからっ!!

というか、これって私のセリフじゃないかなっ!? あぁ、どうして私は抑えてるのー!!



『残念ながら事実だ。第一、それのデザインは私の趣味ではない』



そして、そんな理由なのっ!? 私は色々とビックリなんだけどっ!!

デザインって・・・・・・なんか、禍々しくて、死神っぽい。これは、スカリエッティの趣味じゃないんだ。



『セイン、何度も聞かれる前にハッキリ言っておく。私は本当に知らない』

「・・・・・・ちょ、ちょっと待ってっ!!」



ナンバーズの子が、動揺を隠しきれずに、走りながらも画面の中の男を見る。

それは、私達も同じ。だって、そうなると本当に色々とおかしいことになってくるから。



「それじゃあ私達、ラボの最高責任者であるドクターも知らないようなセキュリティメカに、追いかけ回されてるってことっ!?」

『そういうことに、なる』



ここは、ジェイル・スカリエッティの研究施設兼アジト。つまり、この男の城。

その男が知らないものが、勝手に作られ勝手に動いている。これはおかしい。



『とにかく、上の方はすぐにカタが付く。結果次第では、彼らにも対処を頼む必要も出てくるかも知れないな』

「ちょ、ドクターッ! ・・・・・・あぁもう、また勝手に通信切るしっ!!」










・・・・・・・・・・・・ちょっと待ってっ! じゃあ、今なお私達を執拗に追いかけてきている『アレ』は、一体どこから出てきたって言うのっ!?

少なくとも、私達管理局組の技術じゃない。というか、私達はこんなデザインの兵器は、作らない。

いや、その前に上の方のカタって、もしかしてなぎ君とフェイトさん? 二人とも、無事・・・・・・なのかな。





というか、今は私のことだよねっ!? うぅ、二人の心配の前に、自分の身を守らないとどうしようもないよっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・でもぉ、デス・キーパーもダメねぇ。もうちょっと上手く追い詰めていかないと」





ゆりかご最深部、ちょちょいとラボの様子をサーチしてると、面白いものを見つけた。

それはセインちゃんやあのボンテージ女が、デス・キーパーに追い回されてる図。

というか、ドクターも困惑顔。それも当然。ドクター自身も知らない兵器、それがラボにある。



そんなこと、本来ならあっていい訳がないもの。





「ふふふ、ドクターが知らないのはぁ、当然。
だってぇ、それはこのクアットロが生み出した『作品』なんですもの」










さて・・・・・・これは、そろそろ頃合かしらぁ。てゆうか、みんな案外使えないわねぇ。

でも、もっと使えないのよりはマシよねぇ。そう、あの出来損ないよりは、姉妹達はずっとマシ。

『ジェイル・スカリエッティ』になれなかったあの屑よりは、ずっとマシ。そう、マシなのよ。





仕方ないわねぇ。ここはやっぱり、この私・・・・・・クアットロが仕切るしかないでしょ。

あの屑の出来損ないでは、そして姉妹達では、『すばらしい世界』は作り上げられない。

このクアットロが、そしてクアットロが認めた『ジェイル・スカリエッティ』が神になる世界は。





なら、『すばらしい世界』は私が作るしかないでしょ? ・・・・・・これは、必要なことなのよ。

世界は、あまりに無駄なゴミ虫共で埋め尽くされているもの。浄化が絶対に必要。

そのためのゆりかごなんですもの。この小汚い世界を綺麗にして、新世界とその世界の神の母になるのよ。





ふふふふふっ! ・・・・・・・あはははははははははははははははっ!!




















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第33話 『雷光・Remix/暁(あか)く燃え立つチカラ、震えるほど抱きしめて』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・ドクターッ!!』



アジトの最深部。私は、モニターで蒼凪恭文とトーレの戦闘を見て、驚きを隠せなかった。

それは、ウーノも同じだ。まさか、こうまで差が付くとは思ってなかったらしい。



「・・・・・・彼を甘く見ていたようだ。まさか、トーレが一蹴されるとは」










というか、徹底的だな。・・・・・・トーレは、私の最高傑作の中でも、特に能力が高い。

戦闘経験も豊富で、能力的には彼よりずっと上のはずなのだが・・・・・・あぁ、これが答えなのだな。

我々のような『人形』では、自身を変革し続ける『人間』には、決して勝てない。勝てる道理があるはずがない。





生まれが、そして力の有無が問題なのではない。問題は、心根。そう、自身の変革を望む心だ。

自分の望むままに変わりたいと、自分の世界を壊したいと手を伸ばし続ける事。

それこそが、きっと強さだ。だからこそ、フェイト・テスタロッサも揺らがなかった。





彼女は、選んだのだろう。トーレとセッテが言った、『偽物の自分』でありたいと。

卑屈になっているわけでもなんでもない。自分の望む形が、それだった。

だから、彼女に我々の言葉は通用しない。つまり、彼女もまた変革者ということになる。





以前の私なら鼻で笑っていたのかも知れない。無意味だと言っていたかも知れない。

だが、もう言えない。答えは出てしまっているのだから。そう、今の我々では何も変えられない。

自身の事すら変えられない人形のままで作る世界など、結局は人形しか存在出来ない世界だ。





やっとそれが分かった。世界を変える前に、私達は自分を変えるべきなんだ。

いや、その前に自身が望む変革の形を見据える。それこそが、今の我々に必要な事。

この世界の革命など、必要がなかった。だから、トーレはこうもあっさりと負けた。





だが、これは決してトーレのせいではない。彼女が負けたのは私のせいだ。

最高傑作の一人と謳いながらも、私は彼女をただの人形とし、彼女の可能性を奪っていた。

もしトーレが『人間』だったなら、きっと勝っていたと思う。・・・・・・あぁ、そうなんだ。





私はやはり、無限の欲望の看板に泥を塗り続けていたんだ。もう、ここも確定だ。

生命の煌めきの素晴らしさを謳いながら、娘達から進化の可能性を奪っていたんだ。

私の知らない可能性を、認められない可能性を、排除し続けた。





清濁込みで命だと分かっていたはずなのに。進化の選択肢を、私は狭めていた。

どうやら、『すばらしい世界』はもう存在していたらしい。

それは、今までの私達の現状そのもの。私達は既に夢を手にしていた。





そして、人形が作る世界はこんなに簡単で、とてつもない可能性すら奪う。





こんなにも、世界を狭く感じさせてしまう。そうだ、私は・・・・・・奪い続けていたんだ。










『ドクター、こうなった以上即座に介入を。今すぐ、こちらでガジェット達を出撃させます』

「それはダメだ」

『ドクターッ!!』



そう、それでは意味が無い。これは、私が自分の意思で始めたゲームだ。

私が真なる『無限の欲望』になるためには、必要な通過儀礼。だからこそ、曲げられない。



「大丈夫。トーレはあの程度では、死にはしない。すぐに管理局に救助してもらえれば、助かるだろう」

『ドクター、どうなされたのですか? なぜいきなりそのようなことを』



なぜ? ・・・・・・今の状況を見れば、私でなくてもそう言いたくなる。言わない理由はない。

セッテは、もうすぐ潰れる。ここからは、2対1だ。もう負けは確定だろう。



「ウーノ。君は今すぐ管理局に投降を。多少ではあるが、罪も軽くなる。
そうだ、私達全員で逮捕後の捜査協力も受けよう。そうすれば、更に効果的だ」

『ドクターッ!!』

「結果的に君達を騙してしまった、私のせめてもの償いだ。聞いてくれ」





一応、トーレとセッテにも説明はした。まぁ・・・・・・殴られたが。そして、蹴られたが。

ただ、それでも納得はしてくれた。そして、私の提案に頷いてくれた。

二人は、今までの私が間違っているはずがないと言った。だからこそ、あの場に居る。



・・・・・・一応、投降も提案したが、また殴られた。今更そんな真似が出来るかと。

もっと早くに気づいていれば、娘達を『すばらしい世界』という幻想から守れたのだろうが。

私は犯罪者ではあるが、科学者だ。あくまでも自分の作品という観点にはなるが、娘達に愛情はある。



だからこそ、心苦しくも思う。色々と騙してしまった事は、本当にだ。



同時に、このまま一生会いたくないとも思う。次会ったら、その瞬間に袋叩きにされそうだ。





『ドクター、色々とおっしゃってる事が無茶苦茶です。というより、今更です』

「・・・・・・確かにな」

『とにかく、私は投降などしません。・・・・・・あなたが何を考えていようと、私は最後まで』










瞬間、通信が途絶えた。・・・・・・どうやら、投降の選択は無いらしい。

ウーノが自分から、こんな形で通信を切るはずがない。間違いなく、第三者に邪魔されたのだろう。

つまり、ウーノは敵の手に落ちた。とにかく、私は椅子から立ち上がり足を進め始めた。





向かう先は、あの戦いの場。約束は、守らなければならないだろう。・・・・・・私は、変われるだろうか。





新しい可能性をこの手に取り、進化し・・・・・・本当の無限の欲望に、なれるだろうか。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・探しましたよ」



なんというか、あっさりし過ぎてるくらいに、あっさり片付いてきてるね。

まぁ、途中でガジェットとかの抵抗がなかったからこれなのか。



「・・・・・・あなたは」

「どうも、初めまして。・・・・・・ナンバーズの1番であり、スカリエッティのもう一つの頭脳。ウーノ」



目の前の秘書とも言うべきオフィススタイルをした長い髪の女性は、無理矢理に僕のバインドを引きちぎろうとする。

だから、僕は上乗せでもっとバインドを数本追加してあげる。彼女は動きを止めた。自分の力では無理だと、判断したらしい。



「それで正解ですよ? 君の妹が、今の君と全く同じ事をしたらしいので一応警戒してたんです」



サリエルさんからその話を聞いてなかったら、ちょっと危なかっただろうけどね。

ここも、サリエルさんに感謝だよ。本当に色々助かってるし。



「・・・・・・さぁ」



まぁ、こんな話は置いておこうか。とりあえず、僕は僕の仕事だ。

右手をゆっくりと上げると、緑色の光が宿る。



「君の頭の中、少しばかり『査察』させてもらいますよ?」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・飛び交う刃を斬り払いながら、私は目の前の子と戦う。

戦いながら思う。この子達は、すごく気持ち悪いと。

口を開けば、『すばらしい世界』という単語ばかりを口に出す。





私は・・・・・・私達は、そんな世界を望んでいないのに。なぜ、気づかないの?

その世界には、あなた達しか居ない。あなた達が認めたものしか存在出来ない。

あなた達の価値観と気まぐれが、全ての命と時間を支配する。みんなはそれに怯える。





それをあなた達が『すばらしい世界』だと言える理由が、私にはどうしても分からないよ。

なぜ、それを私も望んでいると平然と言えるのか、私には本当に・・・・・・分からないよ。

悲しい気持ちになりつつも、舞うようにして赤い閃光を打ち込む。刃は、彼女に受け止められた。





そこからまた後ろに飛んで、距離を取る。・・・・・・ヤスフミは、ちゃんと自分のケンカを通した。

だから、私も・・・・・・そこまで思って、少し笑った。

前だったら凄く怒って、悲しんでたはずなのにって思ったから。でも、今は違う。





私達と違っても、同じ道じゃなくても、ヤスフミはヤスフミだって、信じられるから。

ピンク髪の子は驚いてる様子だったけど、私はそんなことない。勝って当然とさえ思ってる。

ヤスフミがこんな子達に負けるわけがない。ヤスフミ、私よりずっと強いもの。





だったら、私も・・・・・・やらなきゃいけないんだ。私も、負けたくない。もう絶対に負けたくない。

『すばらしい世界』にも、アリシアのクローンだという事実にも、今という時間にも負けたくない。

私は選んだから。偽者の自分でも、フェイトであることを選んだ。選んで、ここまできた。





そうして繋がったもの、分かった事がたくさんある。だから、守る。全部守るよ。

私の今までも、今も、これからも、全部・・・・・・守る。そこから繋がる大切なものも、全部守る。

・・・・・・再び襲い掛かってくる刃を斬り払いながら、私はファイズフォンを左手で開く。





少し乱暴目に開いて、左手の中指でコード入力。





≪0≫



袈裟に打ち込んだ刃を返し、また襲い掛かってきた回転する刃を、払う。

刃が接触し、火花が散り、衝撃が伝わるけどここは気にしない。



≪0≫





ピンク髪の子が右手で刃を持って袈裟に打ち込んできた。私はそれを右薙に払う。

それから袈裟に、右切上に振るい、彼女に迫る。彼女はそれを身を捻って避ける。

彼女の左手が動く。そして、近距離からピンク色の砲撃が放たれた。



私はそれを身を捻って、彼女の右サイドに回りこむことで回避。



回避しながら、エッジを彼女の背中に叩き込む。





「はぁっ!!」





彼女はそれを右の刃で受け止めようとするけど、遅い。

刃は彼女の背中を捉えた。そのまま振り抜くと、彼女はそのまま吹き飛ばされる。

だけど、すぐに受身を取ってこちらへ向き直る。でも、これでいい。



この間に私は、もう準備を整えてるから。最後のコードを、入力し終えた。





≪0≫





そして、エンターボタンを押す。このコード入力は、555ジャケット独自の機能。

機能は、音楽再生。使用者の『ノリ』を強化して、戦闘力を上げるというもの。

最初はビックリしたけど、今はこれの力を借りたい。・・・・・・というか、なんだろ。



少しだけ、私の素敵な彼氏を見習ってみようかなと、思ったりした。





≪The song today is ”FLAME”≫










鳴り響くのは音楽。それにピンク髪の子が顔をしかめるけど、気にしない。





というか、この曲・・・・・・はやてから勧められて聴いてみたら、好きになった曲だ。





えっと、米倉千尋さんの曲。私のカラオケでの十八番。というか、これが入ってたんだ。なんか嬉しい。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



色んな所で非常に大騒ぎしている頃、ピンク髪とフェイトは斬り合っていた。

ピンク髪が飛ばしてくるブーメランを、ファイズエッジで斬り払いつつ、フェイトは接近。

接近して、エッジを数発叩き込む。ピンク髪は、それを冷静に受け止め、流す。





でも、あの・・・・・・えっと、なぜに『FLAME』っ!? なぜに米倉千尋さんっ!?










≪この曲を使ったファイズのMAD、よつつべやニコ動にあるじゃないですか。
あなたもマイリストに登録してるでしょ≫

「そう言えば・・・・・え、アレはこれが原因なのっ!? 待て待て、どんだけピンポイントなのさっ!!」

「まぁ、いいではありませんか。フェイトさんは、機能の恩恵をちゃんと受けているようだし」



シオンが感心したように、フェイトの動きを見てる。・・・・・・確かになぁ。



「スカリエッティへの執念故にぶち切れて、醜態を晒すかとも考えたんですが、大丈夫のようですね」

「そうだね。そこは、僕も安心」










ピンク髪がカウンターで打ち込んできた刃を、しゃがんで避け、またフェイトは踏み込む。

踏み込み、腹を狙って右からエッジを打ち込む。それを、ピンク髪は後ろに大きく飛んで避けた。

いや、空を飛ぶ。飛びながら、空いている左の手の平を開く。手の平の先に、ピンク色の砲弾。





それが砲撃として放たれる。狙いは、もちろんフェイト。フェイトは、右に走ってそれを回避。

そこを狙って、ブーメランが飛ぶ。なお、数は二つ。後ろから飛んできた一つをエッジで受け止め、後方に流す。

流した後、上から襲ってきたものは、また右に跳んで避ける。そこを狙って、ピンク髪が上から飛び込む。





上段からいつの間にか用意した4本目のブーメランを左手に持ち、二刀を叩き込む。

フェイトは右に身を捻り、回避しつつ背中からエッジを叩き込んだ。

ピンク髪は左手のブーメランでそれを受け止め、右手のブーメランを上から叩き込む。





でも、それはただ空を切るだけだった。フェイトは大きく後ろに下がってるから。










「・・・・・・なぜ、そこまで本当の自分を否定するのですか」

「言わなかったっ!?」



フェイトが踏み込む。横薙ぎに叩き込まれた刃を、二刀を使って受け止める。

フェイトは両手でエッジの持ち手を握って、力任せに押し込む。



「もう喋るなってっ!!」










そのままフェイトは跳び、襲い来るブーメランを弾き、斬り合っていく。

なお、介入はフェイトから止められたけど、その代わりにお仕事中。それは青髪の処置。

僕は、青髪の手足を鋼糸で徹底的に縛り上げた。これで、動けないでしょ。





これだけやって抵抗してきたら、真面目に殺すしか手がなくなる。出来ればこれで止まって欲しい。

僕がそんな事をしている間にも、赤き閃光は、闇を斬り裂くために、幾度と無く振るわれる。

でも、それは決して破壊のためじゃない。フェイトは、僕よりずっと優しいもの。





人を惑わせ、狂わせる愚かな闇。それを斬り裂き、光をもたらす為に閃光の女神は抗う。

今という理不尽な時間に、『すばらしい世界』という妄想に、昨日までの自分に。

この段階で、僕はようやく気づいた。ファイズは、闇を切り裂き、光をもたらす閃光。





あのベルトは、フェイトに合ってるものかも知れない。もしかしたら、僕よりもずっと。

それに、フェイトの二つ名・・・・・・知ってるでしょ? その名は、『閃光の女神』。

もしくは、『金色の閃光』とも呼ばれてるし、色んな意味で、ファイズにお似合いなのよ。





というか、僕のベルト・・・・・・ま、いいか。他ならともかく、フェイトだもの。あげちゃっても、問題ない。

・・・・・・銀色の合計四刀の刃は、回転しながら、または手で保持されながら、そんな閃光を襲う。

だけど、消えない。自身が偽者と否定した閃光は、決して消えない。揺らぐこともない。





左右に飛び、刃で弾き、抗い続ける。赤き閃光は、幾度となく振るわれ続ける。

それを受け続けていたピンク髪の表情が、僅かに変わっていく。きっと、フェイトも気づいた。

最初は嘲りだった。自分達の言っている事が理解出来ない愚か者として、フェイトを見ていた。





でも、今は違う。表情は、戸惑いを含んだものになり、今は修正を始めている。

目の前の金色の髪をした女性に対しての認識を、修正している。し続けている。

自分達の認識が間違っていると、修正が入り始めている。入れながら、刃を振るう。





入り始めるけど、それは止まった。その理由は、ピンク髪自身にある。





ピンク髪は、鼻で笑って、自身の変化を否定したのだ。










「・・・・・・有り得ない」







フェイトと刃をぶつけ合い、せめぎ合いながら、ピンク髪は・・・・・・逃げた。

そう、コイツも結局は『すばらしい世界』に逃げた。疑問を持つ事から、考える事から、逃げたのだ。

ピンク髪は右足をあげて、フェイトを蹴り飛ばした。なお、攻撃のためじゃない。



フェイトから逃げて、目を背けるためだ。ピンク髪にとって、フェイトは既に害悪となった。



自分の知る世界を、創造主を否定する害悪はそのまま吹き飛ばされ、地面を転がる。





「ドクターの夢が、『すばらしい世界』が間違っているなど、有り得ない。
私もあなたも、創造主のために生き、尽くすのが存在意義であり全て」



この女は・・・・・! まだ逃げてんのかっ!!

あぁもう、マジで一味揃ってこの調子ってどういうことっ!? これはおかしくないかなっ!!



「なぜ、そこから逃げるのですか」





ピンク髪は、そのままフェイトに踏み込もうとする。

いや、空中を変わらずに舞っていたブーメラン二つも、襲ってくる。

僕は、手を出さない。だって、約束したから。あと・・・・・・うん、これが重要だね。



フェイトは、こんなことで負けるほど、弱くなんてない。





「なら、あなたは死ねるの?」



僕より、ピンク髪や青髪みたいに、今の世の中アンチをするしか能がないうざい連中より、ずっと強い。



≪Ready≫



聞こえてきたのは、電子音声。電子音声は、更に続く。



≪Exceed Charge≫



フェイトは、地面を転がりながらも右足をピンク髪に向けた。



「私に負けたら・・・・・・アルトアイゼンが言ってたみたいに、死ねるって言うのっ!?」



ピンク髪に、フェイトの右足から赤い閃光が飛ばされる。

それがピンク髪に突き刺さり、即座に赤い円錐型のスフィアへと変化する。



「もしそれが本当に出来るなら、逃げてるのは・・・・・・あなた達の方だよっ!!」





フェイトは立ち上がり、右手をスナップ。そして、フェイトはゆっくりと腰を落とす。

右足を前に出した状態でしゃがむ。右足には・・・・・・ファイズポインター。

形相から見える感情は、怒り。やるせなくて、悲しくて・・・・・・今の言葉が許せないと思ってる。



い、何時の間にエッジからポインターに、メモリーをセットしたのさ。分からなかったし。





「・・・・・・それが間違ってるなんて、言うつもりないよ」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



だって、私も同じだった。ずっとあなた達と同じだった。最初は、母さんを助けたかった。

泣いてるのなんて嫌で、何とかしたくて・・・・・・でも、助けられなかった。

次は闇の書事件が終わった後、私は・・・・・・自分と同じ誰かを助けたいと思った。守りたいと思った。





自分と同じような人達が泣いているのを止めたいと、ずっと思っていた。それが私の夢になった。

だから、執務官になった。だから、エリオやキャロの保護責任者になった。助けたいと思ったから。

それが、私の幸せだった。仕事が、エリオとキャロの笑顔が、温かい家族が、仲間が・・・・・・全てだった。





・・・・・・そして、それだけの人間になった。私は、9歳の頃から成長なんてしてなかった。










「自分から逃げて、世界から逃げて、『すばらしい世界』に引きこもろうとしていいわけがないっ! ねぇ、知ってるっ!?」





強くなんて、なっていなかった。昔は母さんの事だけ。そして、今は仕事とエリオとキャロ、仲間の事だけ。

『それだけ』で自分を埋め尽くして、誰かに必要とされて、与えられる仕事やわがままを受け入れた。

それをなんとかこなすなり対処するなりして、他者に認められる。そうして、私の存在意義は満たされる。



私はずっと・・・・・・人形としての私を続けていた。自分でも気づかない根っこの部分で、ずっと。

誰かから認められるという餌を与えられなくちゃ、生きられない存在。それが無くちゃ、自分を認められない存在。

それが私だった。私はいつの間にか『新しい私を始める』というあの時の決意に、泥を塗っていた。



私は、新しい私なんて始められていなかった。だって、気づかない間に新しい可能性を殺してたんだから。

例えば、仕事以外の事。新しい趣味とか、日課とか、始めようとしなかった。

恋愛も、そのひとつ。告白されても、仕事やエリオとキャロの事を理由に断ってた。



そうだ、言い訳にしてたんだ。仕事があっても、二人の事があっても、やれることは沢山ある。

なのに、それに目を向けようとしなかった。頑張る可能性を最初から捨てていた。

今あるものだけを見て、新しいものを自分の中に入れようとしなかった。



満足して、満たされて、受け入れられて・・・・・・ずっと、そのまま生きようとしていた。



変わらない、進化のない、優しくて緩い世界の中だけで終わろうとしてた。





「本当の逃げは、存在意義とか、誰かに認められるとか、そんな理由で自分を縛る事っ!!
今のあなたみたいに、自分から生まれる可能性を捨てる事なんだよっ!?」





それが怖かった。それに気づく事が。そして、ナカジマ三佐との話で気づいた事が。

凄く、怖かった。今もそれは変わらない。また同じようになってるんじゃないかと思うと・・・・・・怖い。

私はどれだけ抗ってもやっぱり人形で、誰かから認められなかったら、壊れちゃうのかなって、かなり。



だけど、もう逃げない。あの子が、教えてくれたから。私に向きあって気づかせてくれたから。

あの子は、何時だって壊してくれる。私の凝り固まった世界を、何度も・・・・・・何度も。

私はバカだから、何度も凝り固まっちゃう。だけど、その度に手を伸ばしてくれる。



そして、私の中にも沢山可能性がある。『それだけ』の人間にならなくていいんだって、想いを届けてくれる。



・・・・・・だから。





「自分を捨てて、ただ他者から与えられて、認められるだけの存在になろうとしてるっ! それで、本当にいいと思ってるのっ!?」










私は、あなた達を否定する。今のあなた達の全てを、『すばらしい世界』を否定する。





そんなもの、いらない・・・・・・! もう私は、人形になんてなりたくないっ!!




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・私も、きっと前はあなた達と同じだった。だから、あなた達の事はあまり言えない」



フェイトは、動いた。マントとツインテールにしている金色の髪をなびかせながら、走る。

襲い来るブーメランを左に動いて、避ける。



「あなた達しか居ない世界は」



次に襲ってきた刃も、右に動いて避ける。それからフェイトは、上に跳ぶ。




「あなた達しか認められない世界は・・・・・・!!」



跳んで、両足を突き出し、スフィアへと飛び込んだ。



「全部、否定するっ!!」





両足のブーツの底、前部分には、本来のフェイトのジャケットにはない装飾がある。



その装飾は、『φ』のマーク。それが赤く光り、突き抜ける。



もちろん、ファイズという名の意味を、闇を切り裂く閃光の力を、示すために。





「クリムゾン・・・・・・!!」



・・・・・・あの、フェイトさん?



「スマッシュッ!!」



フェイトがスフィアに飛び込むと同時に、ドリルのようにスフィアが高速回転を始めた。

てゆうか、ちょっと待ってっ! なんか技名、思いっきり叫んでるんですけどっ!?



「ぐ・・・・・・!!」



ピンク髪は、二刀でそれを受け止める。数秒、回転するスフィアと刃が、せめぎ合う。

ピンク髪は表情を歪めながら耐え、フェイトは必死に押し込む。



「死ぬ事がドクターの望みならば、死にましょう」



ピンク髪は、平然と言い切った。クリムゾンスマッシュに耐えながら、平然と。

表情も変えずに、舞い散る赤い火花をその身に受けつつ、ピンク髪はフェイトを見る。



「それがこの身の定めならば、順守するべきでしょう。
ですが、それはありえない。なぜなら・・・・・・」



そして、均衡が崩れた。



「勝つのは、私だからです」





ピンク髪は、両手の刃を広げるように打ち込み、フェイトを弾き飛ばした。

その衝撃ゆえか、右手のブーメランが砕けた。それから、ピンク髪が動く。

今なら、追撃をかけて仕留められるとか考えたに違いない。



だって、今のフェイトは空を飛べないんだから。・・・・・・僕も、実は一瞬だけそう思った。

でも、フェイトが弾き飛ばされたのは、実は思いっきり壁際。フェイトはそれに足をつけて、跳んだ。

多分、最初から壁際に飛ばされるのを、狙ってたんだ。そうして、上からピンク髪に一歩踏み込む。



だから、自分を狙って両側から飛んで来た二つのブーメランを、ギリギリで回避出来る。

刃がなびく金色の髪の一房を、マントを斬り裂くけど、それでもフェイトは避ける。

致命傷は負っていない。対価を払いながらも、ピンク髪へとフェイトは確かに踏み込んだのだ。





「・・・・・・るな」

≪Ready≫





その電子音は、まさしくその空中のフェイトから。その右拳には、ファイズショットナックル

・・・・・・てーか、これってテレビでファイズが実際にやってたコンビネーションじゃないのさっ!!

てーか、何時の間にナックルにメモリーを付け替えたっ!? 本当に僕、分からなかったんだけどっ!!



フェイトは飛びながらも、広がって無防備なセッテの胸元を狙っていた。



フェイトの左手が動き、ファイズフォンのエンターボタンを押す。





≪Exceed Charge≫

「ふざけるなっ!!」





ベルトから発生した光が、そこから伸びている赤いラインを通じて、ファイズショットに届く。

ファイズショットの先に、金色の光が宿る。光は、フェイトの右拳を包み込んだ。

ピンク髪は避けようとするけど、もう遅いよ。お前は、この期に及んで見下した。



フェイトが、『偽者の自分』にこだわる偽善者だって見下した。だから、負けるのよ。





「グラン・・・・・・インパクトッ!!」





金色の拳は、ピンク髪の胸元に叩き込まれた。胸元にめり込んでいるのか、音がする。



ピンク髪はそのまま後ろ向きに倒れる。いや、地面に叩き付けられた。



そして、赤い『φ』のマークが刻み込まれ、ピンク髪の身体が大きく震えた。





「な・・・・・・ぜ、で」





信じられない物を見るような目でフェイトを見ながら、ピンク髪はそのまま、意識を手放した。



残っていた左手のブーメランを手放したのを見て、フェイトは息を吐きながら、身体を起こす。



・・・・・・てーか、また技名叫んだっ!? フェイト、ちょっと頑張り過ぎじゃないかなっ!!





「・・・・・・そんなの、決まってる。私は、怖いから」



目を見開いたまま気絶したピンク髪を見ながら、フェイトは言葉を続けた。



「死ぬのも、人形になるのも怖い。だから・・・・・・だよ」



なぜか、僕の方を見て微笑みながらだ。



「・・・・・・そうだね」



・・・・・・悪いね、お前達の押し付けな善意なんて、お前達だけが『すばらしい世界』だと感じる今なんて、いらないのよ。

だって、僕達決めてるし。自分の居たいと思う場所を、行きたいと思う場所を、自分で決めるってさ。だから、要らない。



「てゆうかフェイト、今のコンビネーションどうした?
あれ、テレビでやってたやつでしょ? あと、技名も」



僕の言いたい事を、分かってくれたらしい。急におろおろし出して、僕を見る。

胸元で両手を押さえ、おろおろする姿は、とっても可愛いのである。



「え、えっと・・・・・・ダメ、だった?」

「いや、そうじゃなくて。どうしたのかが気になってるのよ」

「ヴィータから、ファイズの映像を見せてもらって、技名もウィキで調べて、それで」

「・・・・・・納得した」



師匠なら、普通に名シーン集とか作ってそうだもの。

きっと、あのコンビネーションもそれで見たんだね。分かります。



「あの、大丈夫だからおろおろしなくていいのよ?
怒ってないから。というか、すごくよかったから」

「そう? なら、あの・・・・・・ありがと」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・難しく考えなくていい。私は、私がなりたいと思う自分を、追いかけていいんだ。

執務官の仕事も、エリオとキャロの保護者も、それ。でも、それだけになるのは絶対にだめ。

何時だって新しい事を、新しい可能性を探し続ける。それがきっと、本当の意味で変わること。





あのね、始めて・・・・・・続けていくよ。組織やエリオとキャロ、あなたにも依存しない、新しい私を。

私はあなたの事が、好き。あなたの強さに、優しさに・・・・・・こころの輝きに、惹かれたから。

それでね、前にも話したけど一つ・・・・・・『なりたい自分』を、見つけたんだ。私の新しい形。





あなたに負けないくらい、側に居ても見劣りしないくらい、キラキラに輝いている自分。

強くて、優しくて・・・・・・いつでも新しい可能性と向きあって、諦めないで探し続けられる自分。

なんだか、あやふやだよね。凄く・・・・・・あやふや。でも、あやふやで、あいまいでいい。





ちゃんと私のこころの中にあるの。今の私の、新しい夢の形が。それでいいんだよね。

それでね、開けていくよ。私のこころ、アンロック。・・・・・・なんて言ってね。

・・・・・・もしも、あなたがティアや他の人を選んでも、ちゃんと歩いていけるように頑張る。





あなたがその背中で教えてくれたこと、伝えてくれたことを忘れない。

だから、心に嘘をつかないで欲しい。もしもティアや私以外の人に惹かれたなら、それでもいい。

あ、もちろん私も頑張るよ? うん、頑張って恋人から・・・・・・その、夫婦とか目指すんだから。





あと、ちょっと嫌だけど・・・・・・その、私とティアとリインの四人体制とかに、なるじゃない?

それで、私とティアと三人で、エッチなことしたいと、するじゃない?

そうなったら、が・・・・・・頑張るよ。色々はやてから本を借りて、勉強するし。





・・・・・・まぁ、それはないよね。ヤスフミ、心が狭いもの。今の三人体制だって、ギリギリみたい。

私とリインに悪いことしてるんじゃないかって、相当気にしてるようだし。

まぁ、ようするに何が言いたいかと言うと・・・・・・ティアへの宣戦布告かな。





簡単には諦めないし、別れたりしないよ? ヤスフミとの事だって、可能性の一つなんだから。

それでね、ただ縛り付けるだけじゃないの。あ、これもさっき言ったのと同じだね。

リイン以外の女の子に余所見なんて出来ないくらいに、素敵な女の子になりたいんだ。





・・・・・・後で一杯コミュニケーションしようっと。一杯好きだよって言って、一杯ハグして、一杯気持ちを伝えて。





それで・・・・・・そうなっちゃっても、いいよね? 事件が解決した後なら、大丈夫なんだし。










「・・・・・・フェイト、なんかやたらと嬉しそうだけど、どうしたの?」

「あ、ううん。なんでもないよ。というかヤスフミ、気づいた?」

「うん。・・・・・・魔力の完全キャンセル状態、解除されてる」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



つまり、『ケンカ』が終わったって言う事なのかな。





・・・・・・一応、ガジェットを除くとこれ以上戦力は無いみたいだけど。










「アルト、あのDQN共の配置はどうなってる?」

≪とりあえず、ここに二人とドンブラ粉。あと、先程ヴェロッサさんから連絡がありました。
ナンバーズの1番のウーノ、確保したそうです。それで尋問中とか≫



あ、そりゃよかった。で、ドンブラ粉は、下だよね。ギンガさん達・・・・・・まぁ、大丈夫か。

アレしかスキルがないなら、何かしらの武器を使ってくるのは、シミュレーションで検証済みだし。



≪廃棄都市部には、2Pカラーと赤髪アップに隊舎を襲撃してきた二人組の片割れが居るそうです≫

「そっちはスバル達か」

≪あと、高町教導官が魔王モードで撃墜したのが一人。あと、その片割れのメガネっ子が、ゆりかご内部で確認されています≫



えっと、4+3+2は・・・・・・9か。いや、10か。廃棄都市部に、隊舎襲撃の片割れが居るんじゃないかと思う。。

話を聞くと、前衛と後衛って組み合わせだったし、隠れてサポートとかしてるのかも。それなら、ありえる。



「とりあえず、僕達は結構温存出来たよね」



魔力完全キャンセル状態だったから、自然と魔力は節約出来てしまった。

ゼロタロスやファイズギア、消耗がぶっちぎりで激しいとかじゃないから、まだなんとかなったのよ。



「うん。これならすぐに、他へ救援も向かえる。でも」



フェイトが僕を見ながら言って来た言葉に、僕は頷く。・・・・・・うん、『でも』なんだよね。



「その前に、まだやることがある」

「・・・・・・さて、思いっ切りぶん殴ってやる」



おかげで、フェイトとラブラブ出来ないし。これは、正直ありえない。



≪・・・・・・自覚、無いんですね≫

「アルト、なんか言った?」

≪いえ、なにも≫




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



上がちょっと片付いた感じなのはいいけれどー♪ 私らはどうすりゃいいのー♪





こんなことを言うのはー♪ とっても簡単な事なのさー♪





普通にアレから今の今までー♪ ずっと追いかけっこが続いてるー♪










「・・・・・・って、歌ってる場合かっ!? 私っ!!」

≪姉御っ! 一人でボケて一人でツッコんで楽しいかっ!?≫

「楽しくないよっ! てーか、いつまでこうしてればいいのっ!?」



やばい、なんか普通に私らやばい。このまま解決せずに数話先まで、走り続けてる感じがする。

終わらないロードって言えば、かっこいいけどさ。でも、これには終わりが有ってもいいと思うのよ。



「こらドンブラ粉っ! 普通にこっちでいいんだろうねっ!?」

「だからその名前で呼ぶのやめてっ!? 定着するっ! これが定着しちゃうからっ!!」

「安心しなっ! もうとっくに読者の間では定着してるよっ!!」

「それは嫌なんだけどっ! ・・・・・・大丈夫、こっちは、素体培養器がある区画じゃないからっ!!」



・・・・・・あぁ、そうだろうね。普通にガジェットとかがある区画だよね。

なんか、見慣れたおにぎりが大量に居るから、すぐに気づいたさ。



「セインっ! この調子なら、もうすぐよねっ!?」



ボンテージ娘が、必死に走りながらも聞いたので、ドンブラ粉も頷きつつ答える。



「うんっ! あと5分もあれば、目的の区画に到着して戦闘に入れるっ!!」

≪で、目的の区画ってどこだよっ!!≫

「私や姉妹達の戦闘訓練スペースっ! そこなら、アンタの言った『普通じゃない暴れ方』をしても、平気っ!!」



でさ、私は非常に気になってることがあるの。そこじゃなくて、今の現状について色々と?



≪でもなんか、ガジェット達がこの不毛な追いかけっこに加わってる気がすんのは、気のせいかっ!?≫

「しかも相当数ではありませんかっ! あなた、コレを罠かと100人の人間に聞いたら、100人ともそう答えますよっ!?」

「ごめん、気のせいじゃないかもっ! 多分、あのデカぶつにコントロールされてるっ!!」

≪どうすんだよそれっ! 思いっきり状況悪くしてるだけじゃねぇかっ!!≫



あぁ、マジでシャッハの言うように、やたらと数が居るしっ!!

これ、私らだけで最終決戦ってやつっ!? ちょっとおかしいでしょうがっ!!



「でも、仕方ないんだよっ! こっちのルートじゃないといけないんだしっ!!」

「なんでよっ! 普通にこんな無駄に広いアジトなんだから、色々ルートあるでしょうがっ!!」

「それが、どういうわけか最短ルートのゲートが閉まって、道が潰れちゃってるんだよっ! ロックも私じゃ解除出来ないのっ!!」



はぁっ!? なんでよっ! ここ、アンタ達のアジトなのにそれなんて・・・・・・おかしいでしょっ!!



「ちょっとセイン、それどういうことっ!? てーか、普通にありえないでしょうがっ! ここ、アンタ達のねぐらなのにっ!!」

「知らないよっ! 私も、調べてびっくりしたんだよっ!? そうじゃなかったら、こんなとこ通りたくなかったよっ!!」



じゃあ、アレですかっ!? とにもかくにも必死に逃げ回ってろとっ!!

それで、50体とか来ているがジェット&デカ物を叩き潰せとっ! なんだよ、それっ!!



「あぁもう、マジミスったっ! こんなことなら、素直に廃棄都市部に行っておけばよかったー!!
せっかくのRemixで、なんでこんな貧乏くじっ!? 色々おかしいでしょうがっ!!」

≪姉御、今更だっ! てーか、普通にミッション話でもコレだったろうがよっ!!≫

「うるさいよっ! てーか、私とアンタだけRemixになってないんだよっ!?
みんなはともかく、私らだけがRemixになってないんだよっ! むしろ改悪だよっ!!」

≪あぁそうだったなっ! ごめん、俺もすっげー知ってたわっ!!
あぁ、どうなんだこれっ!? てーか、誰かこの状況をRemixして助けてくれー!!≫





こうして、まだまだ追いかけっこは続くのであった。・・・・・・まる。





「いや、だからまるじゃないってっ!!」

「クロスフォードさんっ! お願いですから一人でそれはやめませんっ!?」

「あぁ、私もマジでミスったー! あんなヘタレ陰険ドクターの依頼なんて断って、とっとと自由な人生満喫すればよかったー!! ねぇ、誰か私もRemixしてっ!?」





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ふふふ、セインちゃんごめんね〜。ちょっと、暇つぶしさせてもらってるわぁ。

だって、楽しくない事ばかりなんですものぉ。トーレ姉様は、ただの不良品になっちゃうしぃ。

ホント、あのチビのデバイスの言う通りよ。私達の存在意義をトーレ姉様は捨ててしまった。





捨てたから、みっともなく地べたに這いつくばってる。なのに、自分で死を選ぶこともしなかった。

セッテも・・・・・・本当にがっかり。正直、なんでFの遺産に負けたのかがさっぱり理解出来ないわぁ。

それだけならまだしも、セッテまでトーレ姉様と同じくだし、そこが更に理解出来ない。





なんのかんの言いながら結局死を選ばなかったんですもの。

無意味な生にしがみつき、二人は不良品になった。この二人は、私達姉妹の恥部よ。

あなた達、本当に死んで? もう生きてる意味も理由もないんだから、そうしてもらいたいのよ。




あぁもう、ホント各自の身体にこっちから操作出来る自爆装置とか仕込んでおけば良かったぁ。

あの恥部二人だけじゃなくて、他のみんなにもよ。そうすれば、あんな醜い姿を見ずに済んだのにぃ。

というか・・・・・・連中は普通にしぶといわね。ここは予想外だわ。というか、地上戦力は壊滅状態。





ルーテシアお嬢様も使えないし、ノーヴェちゃん達もサッパリ。というか、オットーが捕まったし。

ドクターはドクターで、妙な動き方をしてるし、もう地上はダメね。あとこっちは・・・・・・。

ふふふ、エース・オブ・エースは楽しそうねぇ。それに、こっちも・・・・・・楽しいでしょ?





動力炉と玉の間の両方をなんとかしようというのは、中々狙いが良いわ。

でも、だーめ♪ あなた達二人だけでは、戦力が圧倒的に足りない。知ってるぅ?

役立たずのトーレ姉様がぁ、こんなことを言ってたわ。それはもうとっても偉そうにねぇ。





『戦場においては、一騎当千のエースなど存在しない』・・・・・・ってね。

あなた達、エースと持てはやされているらしいけど、それだけじゃあ無理よ。

数が多い方が単純に強いし、その個の能力が高ければ、その分有利になる。これは常識。





そして、例え一対一でも能力が高ければ単純に有利になるわぁ。だから、本当に残念なのよねぇ。

まさか尊敬する姉様達や可愛い妹達を、『粗悪品』として見なければならないんですもの。

だってぇ、普通に考えてみてぇ? まず恥部達はぁ、魔力が完全キャンセル化された状態なのよぉ?





その状態に対して、対策を整えていたとしてもぉ、普通は負けるはずがないわよぉ。

私達戦闘機人は普通の人間よりずっと強いのよぉ? それなのに、アレでコレ。あり得ないわぁ。

特にトーレ姉様よ。自慢のライドインパルスも、いつの間にか錆びついていたのねぇ。





ただの人間に見切られるなんて、ありえない。あれかしら、相当油断したとかかしら。

そして、さっきも言ったけど廃棄都市部も廃棄都市部よぉ。はぁ、本当にダメな子達ばかりねぇ。

でも、いいわ。例えダメな子達でも連中の足止めをして、消耗させる事は出来るんですものぉ。





私達にとっての勝ちは、ゆりかご・・・・・・そして、この私が軌道ポイントに到着すること。

そう、それだけでいい。ドクターも他の姉妹達も、全員いらないの。

私は、自分のお腹をそっとさする。さすって・・・・・・笑う。私達の勝利の瞬間は、目の前だから。





もうすぐ、もうすぐよ。私は、神の母親になるの。そう、私は神を産む。

そして、神を産んだ私自身も、同じく神となる。そして、世界を浄化する。

地球にある『ノアの方舟』という話にあるように、汚れた世界を洗い流す。





そうして生まれる世界こそが、私達の目指す真なる『すばらしい世界』よ。




















(第34話へ続く)



















おまけ:劇場公開記念CM:ディード&やや・恭文&ミキ

(現在、2010年2月5日です)




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ディード「みなさん、劇場版リリカルなのはが公開されましたが、もうご覧いただけましたでしょうか」

やや「みんな、当然見たよねー!? もちろん、やや達も見たよー!!」

ディード「高町教導官とフェイトお嬢様の始まりの物語。そして、激しく繰り広げられるバトルの数々と切ない物語、是非劇上でご覧になってください」





(テロップ:なお、現在リピートキャンペーン実施中です。詳しくは劇場・公式HPで)





やや「というか、小さい頃のフェイトさん達、可愛かったですよねー」

ディード「はい。もちろん、今も素敵ですがそれとはまた違う魅力があります」

やや「うー、やや危機感感じまくりー! 赤ちゃんキャラとして、負けてられないー!!」

ディード「・・・・・・いえ、フェイトお嬢様達は赤ちゃんキャラではないのですが」





(テロップ:赤ちゃんキャラの時のフェイトさんも出たりします)





やや・ディード「「劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、全国の劇場で絶賛公開中っ!!」」





(テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





ディード「「やや、今度もう一回一緒に見に行きましょうか。私、リピートキャンペーンの特典画像が欲しいんです」」

やや「あ、ややもー! 絶対絶対、行きましょうねっ!!」

ディード「はい、必ず」





















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



恭文「というわけでミキ、フェイトが主役の映画はどうだったかな」

ミキ「・・・・・・いや、ネタじゃなくその通りなんだよね。でもさ、劇場ならではのシーン良かったよねー」

恭文「うんうん、フェイトの子ども時代の話とか、テレビでは無かった救いとかがあってさ」





(テロップ:新訳ですから)





ミキ「そして、パワーアップした戦闘シーン。空戦、凄かったねー」

恭文「なんか、台本に魔法少女とは思えない空戦の専門用語が書かれまくってたのを、忠実に再現したとか」

ミキ「じゃあ、あの砲撃も?」

恭文「あれはきっと、横馬の魔王っぷりを忠実に再現したんだよ」





(テロップ:新訳ですから)





恭文・ミキ「「劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』、全国の劇場で絶賛公開中っ!!」」





(テロップ:『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





ミキ「というかさ、ボク達も頑張ればあれくらい出来るかな」

恭文「出来ると思う。でも、僕はやっぱり突っ込んで斬る方が楽しいし」

ミキ「・・・・・・恭文、やっぱり脳筋だね」

恭文「いや、なんでそうなるっ!?」




















(本当に続く)




















あとがき



ミキ「というわけで、今回はフェイトさんとヒロリスさん達のお話だね。あ、今回のあとがきのお相手のミキです」

恭文「今回のタイトルは、米倉千尋さんのFLAMEのサビの部分ですね。どもども、蒼凪恭文です。
・・・・・・よし、次回の記念CMはボケまくろう。真面目にやるのは、ネタが尽きた」

ミキ「ちょっと直球すぎないっ!?」

恭文「だって、普通にネタバレは避けなくちゃいけないし、結構有りきたりな事しか出来ないのよ」





(ハイセンススペード、一応納得。そう、見てない人への配慮は必要なのだ)





ミキ「というか、あのヒロリスさん達が遭遇した巨大メカって」

恭文「一応、Remixではこういう形にした。もうアレだね、スカリエッティは完全に中ボスになったね」

ミキ「ほぼ原作通りだよね」

恭文「そうだね。だって、フェイトに二週間ほど緊縛プレイを強いただけで、自分はあっさり負けてるしさ」





(悲しいかな、ヘタレドクターはやっぱりヘタレなのだった)





恭文「で、一応これで僕達の方は片付いたのよ。次回からは、ティアナ達になのはに師匠、シグナムさんとリインの話です」

ミキ「えっと・・・・・・時間軸がここから巻き戻りまくるんだっけ」





(ハイセンススペード、自分サイズの台本を見ながらそう言う)





恭文「うん。まぁ、1話やったら31話で僕とフェイトにギンガさん達がアジトに突入した所に戻るーって感じ?」

ミキ「それである程度カタが付いたら、ようやく時間が進むんだね。・・・・・・ねぇ、そうするとヒロリスさん達は」

恭文「あれだね、リアルひぐらし状態だね。何度も遭遇し、何度も追っかけられ、何度もRemixを熱望する。
そして、トーレやセッテも同じく。何度も勘違いし、何度も僕とフェイトにぶちのめされる。まさしく、終わらない事が終わりだよ」

ミキ「・・・・・・あれみたいなガチなループじゃないから、それはまた違うけどね。でも、言いたい事は分かった」





(あーなたはいーまどこでなにーを♪)





恭文「テレビ版でもそうだけど、戦闘場所があっちこっちにバラケてるでしょ?
ある程度1話毎にキャラを絞って描かないと、ひっちゃかめっちゃかになって、分かりにくいのよ」

ミキ「確かに、テレビでもスターズ分隊とライトニング分隊って感じで、一応は分けられてたよね」

恭文「うん。まぁ、あくまでも僕とフェイト視点で話進めるんだったら、もうこっからゆりかごなり廃棄都市部に増援行けばいいんだけどね」

ミキ「あー、そういうのも有りと言えば有りだよね。でも、もうすぐ終わりかぁ」

恭文「・・・・・・終わらないかも」

ミキ「えっ!?」





(そう、色々構成を考えて、下手すると終わらない可能性が出てきた)






恭文「一応、Remixでもこの一件の後に電王オールスターズが来るのよ。だから、電王編?」

ミキ「え、やるのっ!?」

恭文「ただ、おまけみたいな話だから、やるにしても今あるクロス話のほぼコピペで、加筆修正版だろうけどね。
そうしないと、この場で一気にベガフォームとか、ヒカリとシオンとのキャラなりとか出せないのよ」

ミキ「あ、そういう事なんだね。この場でパワーアップのオンパレードはムリと」

恭文「うん。まぁ、キャラなり自体はドキたま本編で書くという方法もあるけど、RemixはRemixで独立して結末出すなら、やる必要あるかなーと」





(この辺り、まだ考え中なので実際にやるかどうかは、不明です)





ミキ「なら、一応は期待・・・・・・かな」

恭文「だね。とりあえずさ、難産だったスバル対ノーヴェはなんとか仕上がったから、あとはチートヴィヴィオと横馬だよ」

ミキ「そして、エリオ君とキャロちゃんだよね。ティアナさんはすぐに書けたのに、二人はまた苦労しそうとか」

恭文「ティアナはなぁ。ワイヤーアクションとかDTB見てたりしたし、力押しタイプじゃないじゃない? だから、やりやすいのよ。
まぁ、そんな訳で本日はここまで。お相手は、エリキャロ戦はやっぱり怪獣殴り合いしかないなと思う、蒼凪恭文と」

ミキ「アニメみたいに棒立ちは、Remixにならないと思うミキでした。・・・・・・やっぱり、ガチンコでグーかな」

恭文「それしかないね。殴り合って、周りの建物とか壊れて・・・・・・凄いことになるね」










(なんだかんだで、嬉しそうな二人。というか、仲良しに見える。
本日のED:米倉千尋『FLAME』)




















フェイト「うぅ、なんだかヒロさん達に申し訳ないよ。私だけRemixだし」

恭文「いいじゃん、24話で相当だったんだしさ。うん、フェイトカッコ良かった」

フェイト「あの、ありがと。・・・・・・でもやっぱり、嫌だね。
『すばらしい世界』じゃ、私の『なりたい自分』にはなれないもの。絶対、否定しなきゃいけない」

恭文「そんな気張らないの。・・・・・・フェイト、辛くない?」

フェイト「分かり合えそうもないという意味では、辛いかな。でも・・・・・・大丈夫。
うん、大丈夫だよ? 私は、私をRemixしていくって決めてるから。ヤスフミだって同じでしょ?」

ヤスフミ「・・・・・・うん、同じだよ」

シオン「・・・・・・お姉様、またフェイトさんとお兄様が」

ヒカリ「シオン、もう慣れろ。私はその覚悟を決めた」

シオン「それもそうですね。本当に、お兄様もフェイトさんもこれさえなければ」










(おしまい)





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