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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第31話 『最初に言っておくっ!!』



・・・・・・真実は、いつも本当に深い闇・・・・・・いや、深淵の中に隠れている。

例えば、いい意味でも悪い意味でも、空に浮かんで俺達をいつも照らしてくれる日の光。

優しく夜を照らし、微笑んでくれる、ミッドと言う世界を象徴する二つの月。





そんな世界の光が、直接的には届かない闇の中に、本当の事は存在している。

例えば、人の心の中。例えば、世界や組織、コミュニティという繋がりの中。

今回の事だってそうだ。真実は、俺達の目を避けるように隠れていた。でも、今は違う。





真実はもう・・・・・・俺達の目の前に、光の下にさらされようとしている。










『・・・・・・レジアスの奴は、もう使えんな』

『捨て置け、奴の代わりなどいくらでもいる』



明らかに、その『レジアス』という人物を上から見下した言葉。

そこに人の情など感じられない。あるのは、嘲りと身勝手な失望。



『問題は』

『スカリエッティ・・・・・・だな。ちと、自由に遊ばせすぎたか』



声は三つ。それの発生源は・・・・・・よく分からない。

少なくとも、人ではない。そう、人じゃないんだ。



『全く、ゼストの奴をもう少し有効に使えれば、スカリエッティの監視役として最適だったと言うのに』

『仕方あるまい。アレは生粋の武人、我らには御せぬよ』



また別の名前が出てきた。だけど、印象は全く変わらない。

喋っている三人は、それぞれ違う人間のはずなのに、全く同じように聞こえてしまう。



『戦闘機人事件のデータとルーテシア・アルピーノの身柄を餌に、かろうじて鎖を繋いでいるに過ぎん』

『あと・・・・・・アレだな』



なぜだろう、声は恐らく人工的に合成されたもの。

なのにも関わらず・・・・・・苦いものを感じるのは。



『ヘイハチ・トウゴウの亡霊達か』



いや、苦さじゃない。これは、嫌悪感だ。どうやら、連中はこの人物が相当に嫌いらしい。



『全く、我らの理想を介さず、好き勝手に暴れただけでは飽き足らんのか』

『それだけでなく、局を離れてなお、我らを苦しめるか。特にあの忌々しい小僧だ』



画面が開くと、そこに出てきたのは古き鉄。ヘイハチ・トウゴウから鉄を受け継いだ青年。

見ようによっては、10代前半に見える青年にも、同じような嫌悪感をぶつける。



『奴の時代錯誤も甚だしい暴走の数々で、局の威信は著しく損なわれている』

『アレらも近いうちに始末せねばならんな』



平然と、そんな言葉を吐いた。まるで、人をゴミのように扱う様に、こっちがイライラしてくる。



『ヘイハチ・トウゴウという存在は、そこにあるだけで我らが局にとって害悪だ。
いや、恥部と言っていい。完全に消してしまわなければ、意味がない。それから、新しい器だな』

『あぁ。・・・・・・新しい器を、指導者を選び、我々がその影で、我らが世界を導かなければならん。
そのための生命操作技術であり、そのためのゆりかご。そして、そのためのジェイル・・・・・・だった』

『今は、もう意味のないことよ。世界は、まだまだ我々が見守らなければならんな。
そして、守っていかなければならん。我々の『すばらしい世界』を』



そして、そんな声に耳を傾けている様子も見せず、端末に向かってぽちぽちと指を動かしている女が居る。



「・・・・・・お悩み事ですか?」

『いや、たいした事ではない。もうすぐ終わることだ。
・・・・・・お前にも、本当に苦労をかけるな』

「いえ。たいしてお役には立っていませんから」



女が顔を上げる。そして、にこやかに笑う。



『そのように申すものではない。我らが身を見てくれているだけでも、十分ありがたい』

「そうですか。ただ・・・・・・残念ながら、それも今日で終わりなんです」



女の姿が変わる。それは・・・・・・恐らく今回の事件で関わった人間なら誰もが知っている姿。

そう・・・・・・戦闘機人・ナンバーズのスーツを見につけていた。



『・・・・・・な、なんだそれはっ!?』



三人の内の一人の問いかけに、平然と女は笑う。

嘲るように、罵る様に、部屋の中で赤い薔薇の棘が、光る。



「簡単です。アナタ方は見誤りました。我が主・・・・・・ドクター・スカリエッティは」



女の笑みが深くなる。そして、右手が上がる。



「あなた方が生み出した『無限の欲望』は、あなた方という鎖を不必要と判断しました。だから」



そこには銀色に煌く爪。親指と人差し指と中指の三本に付けられた大型の獲物。



「その鎖を、私が・・・・・・断ち切るのよ」



そして、女の爪が振り下ろされようとした。



「あー、そこまでだ」



なので、俺は止める。そこでそれやられちゃうと、ここに来た意味がないから。



≪残念ですが、あなたにそれをやらせるわけにはいきません≫





女の動きが止まった。そしてそのまま・・・・・・顔だけ振り向く。その表情が、驚きに染まる。



当然だ、ここに居るはずの無い人間が居るんだから。つまり、俺が居た。





「・・・・・・いや、苦労したよ」





不思議な空間。薄暗く、板が何枚も空中に浮き、それが足場として形成されている。



そして・・・・・・そのど真ん中に存在が四つ。その後方20メートルほどのところに、俺は立っていた。





「レジアス中将の身辺。徹底的に洗って、不自然なものを一つ見つけた」





一つは・・・・・・当然、女。部屋の照明が気味悪くて、どうにも髪の色とか瞳の色が判別出来ないけど、美人。





「いや、あんまりに完璧すぎるもの、かな。だって、疑う要素が0だったんだから」



普通なら流しておくとこだったんだけど、それだけが妙に気になった。

俺は相棒を担ぎながら、足場を使って飛び、近づいていく。



「だから、それの足取りを徹底的に追った。・・・・・・ここに頻繁に出入りしていること。
そして、ここにある存在とレジアス中将のパイプ役になっていること。それを知った」

≪まさか、スカリエッティの手の者だとは思いませんでしたが≫



あぁ、そうだな。そこはちょっぴしビックリだ。つまり、あの襲撃も・・・・・・まぁ、いいか。

過去より今。なんとかしていくのは、今の事なんだから。



「・・・・・・よく気づいたわね、気をつけていたのに。私、何か失敗したかしら?」

「失敗って言える失敗はしてない。ただ、一つだけ誤算だったな。
・・・・・・俺さ、一度会ったいい女のことは、絶対忘れないから」



俺が笑ってそう言うと、見覚えのある爪を装着している女が・・・・・・嬉しそうに、笑う。

そう、嬉しそうに笑った。場違いなほど美しい微笑みに、思わず見とれてしまう。



『お、お前は』

『サリエル、エグザ。ヘイハチ・トウゴウの弟子』

『なぜここがっ!?』



そして、残り三つの存在。これが、俺の目的。



「よう、初めまして・・・・・・だな。亡霊その2だよ」



三つの培養器の中で、人の脳の形をしたものが浮いている。さっきから話していたのは、コイツら。



「あー、それと・・・・・・・お前らバカか?」

『なんだとっ!? 貴様、我らをなんだと』





瞬間、俺に対してそんな口を聞いて来たバカ脳の真横を、白い魔力弾が横切る。



・・・・・・大丈夫、まだ培養器は傷つけない。





「・・・・・・さっき言っただろうが。人の話はちゃんと聞けよ。そんなんじゃ、女にモテねぇぞ?」

≪主、仕方ないかと。彼らはもはや既にそれが出来る存在ではありません≫

「それもそうだな」





俺は今、凄まじく機嫌が悪い。原因は、もちろんこの腐れ脳髄トリオだ。

こんな奴らのために、ヒロの友達が傷つけられたりしたのかと思うと、イライラする。

こんな奴らのために、ミッドで戦ってる連中が、全員振り回されたかと思うと、マジで腹が立つ。



まぁ、ここはいいな。冷静に現状に対処だ。そして、躊躇いなく・・・・・・潰す。





「お前ら、最高評議会だろ?」





最高評議会。管理局を上から見下ろす、神様気取りの連中。それが、コイツら。

つまり、管理局のトップはこんな形で生きながらえていたわけだ。

肉体を捨て、脳だけで存在して、このバカデカイ組織のトップに居座り、動かしていた。



だから、残念ながらお話出来ない連中になってしまった。・・・・・・ある意味、哀れだ。





≪あなた方の先ほどまでの会話は、全て聞かせていただきました。
今回の一件、あなた方が黒幕というわけですね≫

「とりあえず、アレだ」



やっさんが、たまに言う決め台詞っぽいのがある。というわけで、俺も便乗させてもらう。



「さぁ、お前の罪を数えろ」



なお、この2年後に非常に驚く事になるのを、俺もやっさん当人も知らなかった。

というか、普通にやっさんもどうして言い出したか分からないって言ってたしよ。



『ふざけるなっ! 我らに罪など』

≪自覚がありませんか。なら、それが罪の一つですね≫





・・・・・・連中がスカリエッティという存在を作り出した。全部は管理局の利益のために。

そしてそのまま、スカリエッティのスポンサーになった。

だから、奴は今の今まで捕まるどころか姿すら確認されなかった。



そりゃ当然だ、捕まえようとする管理局のトップからアイツを守ろうとしてたわけだから。

で、もう察しが付いてると思うけど・・・・・・コイツらが、レジアス中将とスカリエッティを引き合わせた。

今、アコース査察官とシスターシャッハが必死で探しているゆりかごを隠した。



ゆりかごを解析して、局のために利用・・・・・・いや、もしかしたら戦力にしようとしたかも知れない。





「また随分上から見てくれてるな。てめぇら、救いようのないバカだわ。
この世界はな、お前らやスカリエッティのおもちゃじゃないんだよ」





ゼスト・グランガイツが隊長を務める部隊を全滅に追い込んだのも、コイツら。

そして、ルーテシア・アルピーノを利用し、ゼスト・グランガイツを縛り付けていたのも、コイツら。

言うなら・・・アレだよ、ショッカーとかの悪の軍団の首領だって。



あ、テレビ版じゃなくて原作・・・・・・漫画の方だな。



だってよ、アレだとショッカーの正体は日本政府ってことになってるし。





「もうお前らは役を降りて、舞台から引いた。いい加減自覚しろよ、自分らが引退組だってさ。
今、局や世界を引っ張って、変えていくのはお前らじゃない。もちろん俺でもない」



俺やヒロは、自分から舞台を降りた。本来なら、ここに居ること自体が間違い。

まぁ、そう考えると、俺の言ってることは説得力ないよなぁ。



「・・・・・・今という舞台に立って、主役として生きてる連中だ」



例えば、六課のメンバー。例えば、ギンガちゃんやナカジマ三佐。

そんな奴らが、今と言う舞台の主役。絶対に、俺らじゃない。



「俺やお前の出番は、とっくにもう終わってるんだよ。
おとなしく幕の内弁当でも食べながら、主役達の生き様を見てやがれ」

『何を言うか、この若造がっ! 貴様に一体何が分かるっ!!』

『我らの行動の全ては、この世界の行く末を思えばこそ』

「あー、アンタ。名前・・・・・・なんだっけ?」



とりあえず、3バカは無視。俺は女に声をかける。



「・・・・・・教える必要、あるかしら」

「あらま、つれないな。まぁ、そういうのは嫌いじゃない」

「随分物好きね。というか、あなたが会った女かどうか、まだわからないわよ?」

「分かるに決まってるさ」



俺が即答すると、女が驚いた顔をした。うん、そんな表情もとっても素敵だ。



「つーか、あの時のまんまだ。姿じゃなくて・・・・・・心がな」



だから、俺は笑う。嘲りではなく、当然だと誇るように。



「強くて、鋭い。棘付きの、綺麗な薔薇みたいな心だ。綺麗過ぎて、忘れたくても忘れらんないよ」



そして、左手の人差し指をピンと立てて、言葉を続ける。女に更に笑いながらだ。



「それで、教える必要もある。またこうやって会えたら、プライベートでも会ってくれる約束だろ?
名前も知らなきゃ、デートにも誘えないし、耳元で愛の言葉も囁けないさ」



女が思い出したような顔をして、笑う。そして、笑顔のまま・・・・・・答えてくれた。



「ナンバーズの2番目・・・・・・ドゥーエよ。久しぶりね」

「・・・・・・おう、久しぶり。でも、ドゥーエか。いや、いい名前だ」

≪それではドゥーエ女史、そこを、離れてもらえますか?≫



金剛の言葉に、笑みが消える。あの時と同じ、敵意を秘めた視線が、俺にぶつかる。



「そうはいかないわ。これの始末が私の仕事の一つですもの」

「大丈夫、仕事の邪魔はしないから」

「え?」



・・・・・・魔力弾を生成する。数は、三つ。

そして、金剛の切っ先を向ける。狙いは、三馬鹿。



「正直、どんなジジイでも一発は殴ってやらないと気が済まないと思ってたんだよ。
でもさ、殴る肉体が無い場合・・・・・・どうすりゃいいんだろうな」

≪撃てばいいと思いますよ?≫

「うん、俺もそう思ってた」



俺らがそう言うと、ドゥーエが驚いたような顔を見せた。どうやら、これは予想外だったらしい。



「・・・・・・いいの?」

「いいさ。・・・・・・こんな屑、アンタみたいないい女が、手にかける価値もない。
俺が背負って、そのまま地獄の三丁目まで持ってくさ」



そして、ドゥーエはそこから引いた。

なので、遮蔽物は無し。魔力弾がどんどんと大きくなる。



「あぁ、それと・・・・・・ここのデータバンクにハッキングしてるから」

≪あなた方のこれまでの所業を記した全てのデータ、本局のクロノ提督と、リンディ総務統括官と三提督宛てに送らせていただきました≫

『なんだとっ!!』



いやいや、驚くとこじゃないだろ。てーか、証拠って大事よ? こうすれば、逃げ場無くなるから。



≪あと、先ほどまでの自供と見られてもおかしくない、陳腐なやり取りもですね。
・・・・・・我々に、心から感謝してください。あなた方、自供する手間が省けましたよ?≫





ごめん、アコース査察官。俺、アンタの心遣いを無駄にしたよ。

あはは・・・・・・俺さ、無事に職場復帰できるかな?

あぁ、それと現在件のゼスト・グランガイツに関する情報も、六課宛てに送った。



あとは向こうさん次第だ。まぁ、行動は予測つくけどな。





「よかったな。これでお前ら全員、今すぐ本当の意味で舞台から降りる事が出来る。
つーか、今すぐ俺が全力全開で引きずり下ろしてやるよ。・・・・・・もちろん、答えは聞いてない」

『ま、待てっ!!』

『貴様っ! 我らにこんなことをしてタダで済むと』

「関係ねぇな」



三馬鹿をにらみ付ける。連中の言葉が、それだけで止まった。



「俺は、ここにお前ら助けに来たんじゃねぇ。
局の威厳や規律を守りに来たわけでも、世界を守りに来たんでもねぇ」



まだ勘違いしているらしい。俺は、俺達は、そんな崇高な目的のためになんざ、戦えない。



「・・・・・・俺はな、俺達に喧嘩を売った奴を、潰しに来たんだ。
もうこんなバカな事が起きないように、しっかりとな」

≪肉体があれば、まだ言葉で分かったのかも知れませんね。ですが、申し訳ありません。
私も主も、今のあなた方に伝えるべき言葉など、一つとして思いつきません≫





肉体は、ただの器じゃない。形や造りは違っても、ぶつかって、意思疎通するためのツールでもある。

だけど、コイツらはそれを捨てて、肌で世界を感じる事を放棄した。もう、お話なんて無理だよ。

もう、コイツらは人ではなくなった。人であることを、自分から捨てた。救いや情けを与えるだけ、無駄。



だから、思念の引き金に指をかける。・・・・・・しっかり背負うと、心に決めた上で。





「んじゃ、お疲れ様。先に地獄へ行っててくれ」



そのまま、思念でトリガーを引く。



「俺も・・・・・・いずれ、そっちに行くからさ」



ソフトボールほどの大きさの魔力弾は、そのまま飛び出した。

曲がる事も、防がれる事もなく、弾丸達は三つの自覚無き害意を、砕いた。



「・・・・・・さて、今度は名乗らせてくれよ? 俺はサリエル・エグザ」

≪そして私は、そのパートナーデバイスの金剛です。ドゥーエ女史、お見知りおきを≫

「えぇ、一応・・・・・・初めましてね。本当の顔で会うのは、初めてだから」

「あー、そういや以前は変装だっけ?」

「変装というのとは、ちょっと違うわ。私のISは・・・・・・ライアーズ・マスクと言うの。
これは、完全な『変身』を可能とする。それを使えば、どんなセキュリティやシステムもごまかせるの」



なるほどね。マジで暗殺・潜入向きのスキル持ちだったと。



「納得した。で、俺なんかにそんなこと教えてもいいわけ?」

「いいのよ。だって、ドクター以外で言うならあなたが初めてだもの。
私のISを見破ったのは。・・・・・・なんだか、不思議。私、とても嬉しいの」



そう言って、本当に嬉しそうに笑う。それは、さっき見た笑みよりも深く、美しかった。

いや、髪の色とかそういうのがさっぱりなのが惜しいね。凄まじく魅力的なんだから。



「で、俺としては、早速デートと行きたいんだけど。・・・・・・ご予定は?」

「これから中央本部へ行って、レジアス中将を、殺すわ」



またぶっちゃけるな。察するに・・・・・・口封じか。



「でも、あんまり意味がなくなっちゃったのよね。アナタがデータを全部送っちゃうから」

「あ、アレ嘘」

「・・・・・・はぁ?」

≪正確には、現在ハッキング作業中です。これが中々大変です。
おかげで、主のサポートがほとんど出来ません≫



あ、出てきたデータは片っ端から送ってもらってるから、まぁ・・・・・・半分正解ってとこだけどな。

で、ゼスト・グランガイツのデータを送ったのは本当。絶対必要だと思ったから、そこは最優先で。



「なら、私の仕事にも意味が出てくるわね。いいえ、その前に優先するべき事があるわ」



ドゥーエが構えた。右手を引き、爪の先を・・・・・・俺に向ける。



「サリエル・エグザ。そして金剛。あなた達を・・・・・・抹殺するわ」



そう宣言した表情は、先ほどの嬉しさは感じられなかった。

そこに居るのは、一人のプロのアサシン。決して枯れない、美しい薔薇。



「今のところ、真相に一番近いわけだもの」

「・・・・・・スカリエッティは負けるぞ? ゆりかごも、きっと潰される。
俺の弟弟子やら、その想い人にお仲間が、むちゃくちゃ頑張るしな」

「そうね」



あっさり認めた。主であるはずの男の敗北を。



「我が主は、負けるわ」



このお姉さんは・・・・・・本当にあっさりと。

思わず呆けていると、ドゥーエが笑った。



「私、そういう勘は鋭いの。なにより、無限の欲望は揺らいでいる。だから、きっと負けるわね」

≪ならば、ここで我々が戦う意味はないと思われますが≫

「いいえ、あるわ。・・・・・・例えそうだとしても、任された仕事はきちんとしないと。
そうしなかったら、アフター5になんて行けないし、素敵な出会いに身を任せる事も出来ないわ」



そして、笑ったまま、言葉を続ける。アサシンとしての顔は、崩れてない。

でも、それでも笑う。笑って・・・・・・俺に、殺意を向ける。



「例えば一般的な会社で考えてみて欲しいの。
上司に話も通さずにお先しちゃう部下なんて、最低だと思わない?」

「なるほど、そりゃ道理だ」



だから、俺は構える。金剛の切っ先を・・・・・・ドゥーエに向けた。



「なら、仕事はここで強制的に終わってもらおうかな。つーわけで、ぶっ飛ばすから」



・・・・・・金剛はハッキングを続けてもらわなきゃいけない。

つまり、ここからは金剛のサポートは抜きでガチに戦闘だ。



「それで、これから俺と朝までお楽しみコースだ」

「また強引ね」

「強引さ。目の前のいい女を逃がすような真似、俺はしたくないんでね」





いいね、楽しくなってきやがった。俺は久々にマジで神様に感謝してる。

試したいと思っていた事が、実際に出来るんだから。

俺のマジな技量だけでどこまでやれるか・・・・・・お楽しみってわけか。



てーか、もうこれ事件どうこうは関係ないよな。完全に私闘だし。





「そう。でも、簡単にはいかないわよ? 私、こう見えても仕事人間だから」

「そりゃあいけないな、余暇を楽しむことは、人生の大事な要素だぞ?」





なんて言いながら、互いに飛び出すタイミングを計る。そして・・・・・・なぜか二人とも笑顔だ。

どうやら、互いにこの緊張感がたまらなく楽しいらしい。

どこかで、気持ちが繋がっているような感じがして、俺はそれがとても嬉しかった。



生と死の狭間で、相手と繋がる感覚。実は、嫌いじゃない。



100の言葉より、1000の抱擁よりも、深く分かり合える感じがするから。





「・・・・・・それじゃあ」

「始めましょうか」










そして、俺とドゥーエは、この場で再び・・・・・・2年前の続きを演じることになった。





スカリエッティも、最高評議会も、ゆりかごも関係ない。俺らが俺らであるために、力をぶつける。




















魔法少女リリカルなのはStrikerS Remix


とある魔導師と古き鉄と機動六課のもしもの日常


第31話 『最初に言っておくっ!!』




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・とにかくや、最高評議会の事とか、スカリエッティの出自の事とか、もうどーでもえぇわ』



会議室に集まった前線メンバーを相手に、艦長席からはやては、もう投げやりにそんな事を言う。

非常に疲れた様子で、頭を抱えているので、全員がそれを見て困惑している。・・・・・・いや、全員じゃないか。



”ヤスフミ、あの・・・・・・これって”

”サリさんが、最高評議会の隠れ家に乗り込んで、大暴れしたらしいの”

”えぇっ!? じゃ、じゃあ・・・・・・今の話のあれこれって、もしかしなくてもっ!!”

”うん。サリさんが、データを送って来てくれてるんだ”



てーか、動くなら分からないように動こうよ。なんでそこで、こんな目立つ?

サリさん、無事に職場復帰出来るといいよなぁ。いや、無理っぽいけど。



”・・・・・・なのはには、黙っておこうか”

”そうだね。てーか、フェイトは大丈夫?”

”うん。まぁ、止められないんだろうなとは、思ってたから。
ただ・・・・・・うん、ただそれでもなんだ。一つだけ思うことがある”



なにかな。てゆうか、やっぱり自分達を信じて欲しかったとかかな。



”無事に、ちゃんと帰って来て欲しい”

”・・・・・・え?”

”だって、ヤスフミの友達で、兄弟子だもの。私とも無関係じゃない。
ヤスフミがたくさんお世話になっている人だし、そこは思うよ”

”そっか。うん、納得したよ”



とにかく、そんな投げやりなはやての話は、まだまだ続く。



『とりあえず、戦闘機人やガジェットが大量に侵攻してきとるのも、事実。
で、あのチートの塊がお空を優雅に飛んでるのも、事実や。うちらは、全力でこれを止めなあかん』



もう本気でキレてるらしい。言葉遣いが、色々とおかしいもの。



『・・・・・・もう負けは許されんで。うちらの選択は二つに一つ。
連中を叩き潰すか、ぶっ潰すかのどちらかや』



そして、はやては右拳を握り、ドンと机に叩きつける。



『あのはた迷惑なバカ共を、うちらで徹底的に、もう立ち上がれんように叩き潰すっ!!
容赦も迷いも、情けも見せたらあかんっ! えぇかっ!? 全員、徹底的にやったりっ!!』

『・・・・・・はいっ!!』

『声が小さいっ! もっと大きな声で返事せんかいっ!!
ほら、行くでっ!? ・・・・・・機動六課、ファイヤーッ!!』

『フ・・・・・・ファイヤーッ!!』



両手を上げて、はやてが叫ぶ。もうキレてるというか、やけっぱちに近いのは気のせいじゃない。

とりあえず、ギンガさんにスバル達、なのはにフェイト、アルトさんも、恥ずかしそうに必死で声を上げる。



「八神さん、そうとうキテますね」

≪シオン、今更ですよ。というか、もともとこういう人ですから≫



まぁ、息荒げに苛立ちを吐き出したはやては、とりあえず置いておこう。

ここからは、最終決戦のミーティングである。恥ずかしい空気は置いておくことにして、話が進む。



「・・・・・・いい? まず戦闘機人達は、廃棄都市部を真っ直ぐに抜けて、中央本部に向かってる」



なのはが、戦闘地域の地図を開いて、説明していく。ただし、当然のようにこのままでは行かない。

もう既に、108を含めた近隣の部隊が、防衛ラインを敷いている。連中は、これを突破する必要がある。



「だけど、防衛ラインを構成する魔導師は、対AMF・戦闘機人戦に慣れてないの。
だから、私達はその防衛ラインより前に出て、戦闘機人の相手をする」





僕達は、AMFも戦闘機人戦も慣れてる。僕に至っては、完全キャンセル化状態でも戦える。

だからこそ、先方を務めて、敵を止めるのだ。なお、ここにはもう一つ理由がある。

僕達の中には、連中に狙われてるのが居る。言わば、それで釣るのだ。



そして、恐らくそれは可能。そういう部分を抜きにしても、こっちの戦力をスルーはしないと思う。





「それで、私達は今から三つのグループに分かれて、それぞれ事件に対処する」










まず、ゆりかごへはなのはと師匠、はやてが行く。

で、廃棄都市部で戦闘機人達の足止めをするのは、スバル達。

スカリエッティのアジトへは、僕とフェイト、ギンガさんで行く。





・・・・・・それと、シグナムさんとリインは、それとはまた別行動。

例のゼスト・グランガイツと、アギトの相手をする。

まぁ、ここは仕方ないでしょ。リインと離れ離れは、実は予想してた。





リインだって、負けっ放しは嫌だろうしさ。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「・・・・・・うぅ、ごめんなさいです」

「謝らなくていいよ。・・・・・・自分のケンカ、しに行くんでしょ?」



ミーティングが終わって、もうすぐ出発という段階。僕達は、それぞれに出発の準備を始めた。

で、僕はリインと、少しお話。リインは、僕の言葉に強く、何度も頷いた。



「僕も、僕のケンカをしに行く。・・・・・・大丈夫だよ。で、叩き潰すよ」

「・・・・・・はいっ!!」

「シグナムさん、リインの事、お願いします」

「あぁ。お前も、テスタロッサとギンガの事、頼むぞ」



そのまま、二人は走って飛び出してった。ゼスト・グランガイツも、中央本部に向かってるらしい。

というか、レジアス中将にだね。・・・・・・まぁ、ここは任せるしかないか。



「・・・・・・なぎ君」



後ろから声がした。それは、ギンガさん。・・・・・・あ、そう言えば一つ疑問。



「ギンガさん、スカリエッティの所へはどうやって行くの? 空、飛べないよね」

≪まさかあなた、ずっとウィングロードで走るつもりじゃ≫

「あ、私とフェイトさんとなぎ君は、現場に転送してもらう事になったんだ。だから、大丈夫」



ギンガさんも、同じく戦闘機人。だから、僕とフェイトと一緒に行くのである。

魔力の完全キャンセル化状態の対策を整えた僕達三人が、アジト戦闘では必須と判断された。



「いよいよ・・・・・・だね」

「そうだね」

「・・・・・・ね、なぎ君」



うん、なに? というか、なんでまたそんな優しい目で僕を見るのさ。



「えっと・・・・・・なんでもない」

「そう」

「・・・・・・何を言おうとしたか、聞かないの?」

「死亡フラグっぽいから、聞かない。てーか、ぶっちぎりでそれよ?」

「そうなのっ!?」





そうなのよ。だから、聞かない。『後で聞けばいいや』とかも、考えない。



さぁ、ここからがこの数ヶ月の頑張りの見せ所だ。生存フラグの乱発、やりまくるぞー。





「ヤスフミ、ギンガ」



前から、フェイトが来た。そして、頷き合う。



”ね、ヤスフミ。シオンとヒカリも来るんだよね?”

”来るって言ってる。一応、アースラに残るようにとは言ったんだけど”

”だから、ヤスフミの両肩に乗ってるんだね”

”そういうこと”



正直、こんなことに巻き込んでいるのは、心苦しい。

僕も・・・・・・はやてやクロノさん達のこと、何も言えないな。



”ね、ヤスフミ。二人の事、大切なんだよね。なりたい自分で、ヤスフミの一部分なんだから”

”・・・・・・うん”



そのまま、転送ポートに三人で向かう。向かいながら、フェイトが念話で声をかける。



”だったら、信じて?”



優しく、落ち着いた・・・・・・いつも通りのフェイトの声。

それに、申し訳なさが少し薄れた。



”二人の、ヤスフミと一緒に戦いたい。側に居たいと思う気持ち、信じようよ”

”それで、いいと思う?”

”いいと、思うな。無理矢理じゃないんでしょ? 二人が、一緒に戦いたがってる。だったら・・・・・・ね?”

”・・・・・・分かった。なら、そうするよ。フェイト、ありがと”

”ううん”



とりあえず、ちょっと話そう。・・・・・・シオン、ヒカリ。



”はい、なんでしょうか”

”一回だけしか言わない。で、答えも聞いてないから。・・・・・・一緒に、戦って”

”・・・・・・はい、もちろんです”

”覚悟は、決めている。恭文、勝ちに行くぞ”

”・・・・・・うん”










とにかく、こうして僕達は出動した。





ゆりかごの軌道ポイント到達まで、3時間を切ろうとしていた。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『・・・・・・ヒロリス、聞こえる?』

「あぁ、よく聞こえるよ。悪いね、ロッサ。私の無茶につき合わせちゃってさ」

『大丈夫だよ。それで、そっちはどう?』





まぁ、素晴らしい感じだよ。あっちこっちに趣味の悪い装飾があるしさ。

なんつうか、今までの所業のみならず、アジトの内装のセンスまで最悪だね。

これだと、もうどうにもならないって感じだよね。あのドクターは。



今のうちに抹殺しておいた方が、世のためじゃないの?





『そうはいかないよ。少なくとも、局にはそのつもりは無いんだから』



基本的に生かさず殺さず確保して、洗いざらい吐かせるというのが、武装局員の正しい対応。

でも、それだけじゃない。あの男を吐かせて、色々と立証したい事件もあるから、それ。



『ま、状況によりけりだけどね』

「へぇへぇ、すみませんね。正しい対応が出来ないアウトローで」





聖王教会の教会騎士団が着用している、ローブのような共用騎士服(覆面つき)。

それを着用して、この気色の悪いラストダンジョンっぽい装飾の場所を走る。

そう、ここはスカリエッティのアジト。・・・・・・もうゆりかごは浮上を始めた。



そして、私は簡単に変装した上で突入だ。でも、まだ懐の中のパスケース・・・・・・切り札は切れない。

これを使うのは、あくまでもフェイトちゃん達と接触した時に限りだ。

アレなら、やっさん以外は完全に誤魔化せる。誤魔化せない理由なんて、ない。



それ以外は、聖王教会騎士その1として対処させてもらう。





≪・・・・・・なぁ、姉御。使わないって方向性では考えられねぇのか?≫



不満そうに、両手のアメイジアが呟く。・・・・・・アンタ、まだ不満なの?



≪もう十分、変装出来てるじゃねぇかよ。なんでそれ使って、二人揃って怒られる道を選ぶんだよ≫

「うっさいねぇ、私が使いたいんだからガタガタ抜かすな」

≪結局姉御の趣味かよっ!!≫



そうだけど何か問題ある? あー、例え接触しなくても絶対に使おう。

見せ場的な所で、絶対に使おうっ! そうして私は伝説になるんだっ!!



≪あぁ、その願いはきっと叶えられるさ。ミッドの歴史にも残るぜ? 今世紀最大の大バカだってな≫

「失礼な、こんな美女を捕まえて、言うに事欠いてそれかい」





でもさ、おかしくない? ここに至るまで、ガジェットに遭遇してないんだけど。

AMF濃度は相当濃いけど、肝心要の内部警備が手薄過ぎる。これ、なんで?



『とりあえず、君はどう動くつもり?』

「アンタ、この状況を見て、よく冷静で居られるね」

『冷静じゃないよ。僕も、少しおかしいと感じてる。今、恭文達も突入したようだけど、同じ感じらしいから』



だよねぇ。・・・・・・なんか嫌な予感がするなぁ。思いっ切り自爆とか、かますんじゃないの?



「・・・・・・しゃあないから、スカリエッティは、やっさんとフェイトちゃんに譲ってやろうじゃないのさ」

『あらま、大人だね。てっきりこの様子を見て、突っ込んでいくかと思ったのに』

「ま、向こうさんの方が長く追ってる感じだしね。ここで私が油揚げさらっても、アウトでしょ」



本当は八つ裂きにしてやりたい。それは事実。

でも・・・・・・ねぇ。なんか、フェイトちゃんと少し話したら、その気が萎えた。



「私はぶっちゃけロートルだもん。・・・・・・でも、フェイトちゃんは違う」



今を生きて、その時間の中を進んでる主役。私は、自分から舞台を降りた身。そこには、確実に差があるの。



「だから・・・・・ここで知ったような顔してあそこに介入ってのは、ちと躊躇うのよ。
まぁ、危なかったら助けるけどね。さすがに、見過ごすのは嫌だし」



なんかあったら、やっさん凄まじくヘコむだろうし。さすがにそれはなぁ。



「あと、私は自分より胸の大きな女は、基本的に好きじゃないのよ。なんつうか、ムカつくじゃない。
私は、牛乳飲んだりと頑張ったってのにさ。胸の分だけ、ここで頑張ってもらわないと不公平じゃん」

『・・・・・・あぁ、そうなんだ。そうだね、君はそういう人だったね』

≪なぁ、姉御。それだとあのブロンドガールは、そうとう頑張らないとだめだぜ?≫

「うん、だから頑張ってよ。そうすると、主に私のストレスが減るから」

≪結局、姉御の個人的感情かよっ!!≫





そうだけど何か問題ある?・・・・・・とにかく、そんなわけで私は、そことは少し別方向に進んでいる。

というより、その真下の通路。また、やたらとデカイなぁ。手がかかり過ぎでしょ。

ここに来たのは、スカリエッティどうこうというのとは、ちょっと違う。



ロッサが、自分のレアスキルで作り出した探査用の猟犬で、見つけたある物が原因。



で、私はそれに向かって全速力で走ってる。





「・・・・・・で、ロッサ。さっき言ってた事ってマジ?」

『マジだよ。いや、偶然の導きというかなんと言うか。でも、ヒロリス。・・・・・・よかったね』

「まだ、それを言うのは早いよ」



実際どんな感じかは、さっぱりなんだからさ。でも、最悪空っぽの墓なんて言う、悲しい状況は変えられるね。



『・・・・・・しかし、こっちは中々見つからないよ』

「アンタの猟犬でもそれとは・・・・・・なかなか狡猾に隠れてるね。
ま、がんばんな? 私は私のケンカをするからさ」

『了解』





そんな雑談を交わしてから、通信は切れた。

・・・・・・あんがと、ロッサ。アンタがいの一番に連絡くれた時、ちょっと嬉しかったわ。

とにかく、私は走る。・・・・・・マジで、ガジェットはほとんど居ない。だから、すぐに到着した。



そこは、先ほど何回か見かけていた生体ポッド置き場らしき場所。何人か、入っているね。



その中で一際目についたのは、薄い紫の髪を真ん中分けにした女。そして、素っ裸。・・・・・・まさか、また会えるとはね。





≪そうだな、久しぶりだな。・・・・・・メガーヌの姉ちゃん≫





そう、それはメガーヌだった。私の知る限りそのままな女が、そこに居た。数少ない気の合う女友達。



私より胸が大きいけど、それでも友達。・・・・・・なんつうかさ、なんかダメだね。涙・・・・・・出てくるよ。





「アメイジア」

≪今やってる。・・・・・・ダメだな、どこでどうやって開放すりゃあいいのかサッパリだ。
こりゃ、ロッサに期待するしかねぇぜ。俺じゃあ、ここのシステムの掌握は出来ねぇ≫





やっぱりか。くそ、サリが居ればまだ何とかなったかも知れないのに。



さすがにこれはなぁ。私の専門外だもん。ま、そこはいいか。・・・・・・アメイジア。





「・・・・・・動かないで。動くと撃つわよ」





後ろから気配がした。それに対応しようとした瞬間、かかったのは声。



出てきたのは・・・・・・声から察するに例の女。言葉から察するに、銃口を向けて来ている。





「いやぁ、餌になるかなと思って張ってたら、簡単に食いついてきてくれたんだから、びっくりよ」



ただし、私じゃなくて・・・・・・メガーヌに。



「また会えたわね、ヒロリス・クロスフォード」

「そうだね、ほんと嬉しいわ。で・・・・・・アンタ、それをどうするつもり?」

「簡単♪ アンタ、おとなしく捕まりなさい。そうすれば、このお姉さんは助けてあげる」

「なるほど、人質と」

「そういうこと」





そうかそうか、よくわかったわ。だから、私は振り向く。そして、にっこり笑顔を浮かべる。



すると・・・なぜか女の顔が引きつり、固まった。あれ、なんでだろうね?



まぁ、いいか。とりあえず私は、アレだよ。お姉さんは、一言言ってやりたいことが、あんのよ。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふざけんな」





アメイジア、スラッグフォルム行くよ。





≪了解だ≫





両手中指の指輪が光り輝く。白く、辺りを照らす。そうして、右手の中に生まれたのは一丁の銃。

形状は、大型で6発搭載リボルバー式で銀色。銃底に紫色の丸い宝石が、埋め込まれている。

これがアメイジアの遠距離攻撃用モード。スラッグフォルム。



基本はこれで銃撃戦ってのが使い方なんだけど・・・・・・実は、これを使用して一つ大技がある。





「・・・・・・聞こえなかった?」



左手から一発の弾丸を出す。リボルバーを展開。その中に弾丸を込める。

本当に一発だけ。暗めの赤色で彩られた弾丸を。そのままリボルバーを再び銃身に納める。



「アンタ、話を聞きなさいよっ! 動けばどうなるか」

「撃てよ」



右手を女に向ける。つまり、銃口が女を狙う。そして・・・・・・そのまま集中。



「・・・・・・どうした。撃ちたきゃ撃てよ。なお、私は撃つ。遠慮なくね」

「どうなっても、いいってわけ?」

「そうだね。・・・・・・うん、いいかな」



悪いね、メガーヌ。私、ここにアンタを助けに来たってのも、確かにあるのよ。

でもさ、それになにより・・・・・・通さなきゃいけないことが、あるのよ。



「私は、ここにアンタ達を叩き潰しに来たのよ。だから、それが成せないのは意味がない。
・・・・・・もう一度言うよ。撃ちたきゃ、撃て。ただし、その瞬間にアンタを殺す」



集中する。そして、私の周りに白い雷撃が。



「・・・・・・あぁもう、分かったわよ」



銃口が、こちらを向く。女は、メガーヌではなく私を見ている。



「へぇ、ずいぶん素直じゃん。ハッタリとか、思わないの?」

「ハッタリのつもり、ないでしょ? それくらい分かるわよ」

「まぁね」



私は、詠唱を中断。右手のアメイジアを、剣の状態にする。左手も、同じ。

そのまま、右の剣を突き出し、構えた。



「だから、力ずくで捕まえるわ」

「やれるもんなら、やってみなよ」










そのまま、私は踏み込む。目指すは、目の前の女。





囚われた大事な友達の前で、私は戦いを始めることになった。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



僕とフェイト、ギンガさんとシャッハさんは、普通にアジトの入り口の前に到着。で、突入である。

当然のように、突入である。あ、とても大切なことなので、二回言ってみました。

・・・・・・いやぁ、やっとあのバカをぶちのめせると思うと、嬉しいね。





なお、それはぬか喜びだった。突入したら・・・・・・ガジェットが、居ないのである。










「・・・・・・これは、どういうことでしょう」

「突入してからここに来るまで、ガジェットは一機も無し。AMFは濃いみたいだけど」

≪なんというか、予想と全然違いますね。なんですか、これは≫



四人で、薄気味悪いアジトを捜索していく。でも、真面目にこれはなんで?



「ガジェットとどんぱちして、フェイトがザンバーで天井斬ったりする様を想像してたのに」

「私、そんなことしないよっ!? ・・・・・・でも、どうしてなんだろう」

『簡単だよ。余計な邪魔が入らないように、私でシャットアウトしたのさ』



・・・・・・普通に画面が立ち上がった。そこに映るのは、青い髪に金色の瞳をした男。

そして、清潔そうな白衣を羽織った男は、僕やみんなの知っている顔だった。



「でさ、なんでガジェット出てこないんだろうね」



なので、当然のように無視した。



≪おかしいですよね。もしかして、この中は空なんじゃないですか?≫

「いや、もしかしたら餓死してるのかも知れませんね。・・・・・・犯罪者の末路としては、妥当です」

『待て待てっ! 君達はなぜナチュラルに私を無視しようとしているんだっ!?』

「そ、そうですよっ! シスター・シャッハまでどうしてそうなるんですかっ!? ・・・・・・というか、ジェイル・スカリエッティっ!!」



そう、画面に出てきたのは、スカリエッティ。普通に画面でご挨拶してきた。

なので、当然のように無視する。だって、どうせ会うことになるんだし。



「ほら、ギンガさんもフェイトも行くよ?」

『だから無視をするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 君はあれかっ!?
私の娘達と同じかっ! 私への扱いが悪すぎるだろうがっ!!』

「嫌だなぁ、無視なんてしてないでしょ」



にっこり笑って、言い切ってやる。なお、若干画面の中のおっちゃんが引いた気がするのは、気のせいだ。



「これからそっちに行って、徹底的にぶちのめすんだから、問題ないでしょ」

≪というか、そもそも何の用ですか≫

『・・・・・・いや、この状況でそう言うのは、むしろ私達だと思うのだが』



気にするな。こっちは色々とイラついてんのよ。ストレス解消したかったのに、出来ないのよ。

ガジェットも、戦闘機人も出てきてないから、普通にイライラぶつけられないでしょうが。



『まぁいい。・・・・・・実に簡単な用件だ。君達と、一つゲームをしたいと思ってね』



なので、僕達はそのまま歩き出す。なお、今回はフェイトとギンガさんとシャッハさんも一緒。

で、ギンガさんとシャッハさんが、地面にナチュラルに引きずり込まれた。



「・・・・・・ギンガさんっ!?」

「シスター・シャッハっ!!」



助けようとするけど、それは無理だった。だって・・・・・・上から、ガジェットV型が落ちてきたから。

僕とフェイトは、仕方なく走って前に飛ぶ。飛んで・・・・・・なんとか無事。



「・・・・・・フェイト、大丈夫?」

「うん、なんとか」

『ゲームは簡単だ。君達に、私の最高傑作と戦ってもらう』





で、その最高傑作が出てくる。・・・・・・青いショートの髪に、金色の瞳のでかい女。

ピンクの長い髪に、ヘッドギアを付けて、両手に独特な刃を持った女。なお、こっちもでかい。

確かコイツら、中央本部襲撃の時に、地上本部の空戦魔導師の大隊を一蹴した連中。



青髪が高速機動の近接型で、ピンク髪が確か、あれをブーメランみたいに投げるんだ。



なるほど、ボス戦の前に・・・・・・中ボスを片す必要があるってことね。本当にコイツ、お約束を守ってくれるわ。





『・・・・・・もしも、この二人に勝つ事が出来たら、私は抵抗せずに、君達に投降する。
もちろん、途中で増援を送ったり、妙な介入もしたりしない。そこは約束しよう』

「誰が犯罪者の約束など、信じるかっ!!」



今まで空気だったフェイトが、普通に話に加わった。いや、加わるタイミングを見つけた。

おかげで、なんだか嬉しそうに見えるのは、気のせいじゃない。



『・・・・・・おやおや、君からそれを言われるとは、心外だな。君も、同じく犯罪者のはずだが?
母親の言うままにロストロギアを集め、次元世界を危険に落とし入れた重犯罪者。それが、君だ』

「それは・・・・・・!!」



ばちこーんっ!!



「い、痛ぁ・・・・・・ヤスフミ?」

「バカ。こんな簡単な挑発に乗って、どうするのよ」



フェイトが、小さく唸った。そして、シュンとした顔になる。



「・・・・・・ごめん」

『え、えっと・・・・・・』

「てゆうかフェイト、犯罪者の言うことどうこうじゃないって。
コイツ、今の話を聞く限り相当へタレでダメ男なんだよ? まずそこでしょうが」

「あ、そうだね」

『君達は普通にひどいなっ! そして、ヘタレと言うのはやめてくれないかっ!?』



やかましい。てーか、おのれのこれまでの行動を鑑みれば、僕達の言葉は凄まじく優しいよ?



「で、こんな事をやるのは、通過儀礼ってわけ? 答えを見出すための儀式」



スカリエッティは僕の言葉に、嬉しそうに頷いてくれた。



『あぁ、チンクから聞いたのだな。・・・・・・そう、その通りだ。これは、儀式なのだよ』



まるで、構ってくれた事が嬉しい子どものように、瞳を輝かせる。



『私が今までの自分という鎖を噛み砕き、私自身の答えを見出すためには、これしかない。
・・・・・・実に、単純だろう? 君達が勝てば、君達管理局組が強く、正しいと証明される』



その瞳のまま、言葉を続ける。僕達も、喜べと言わんばかりにだ。



『そして、私が勝てば、私に対してその証明は成される』

「うん、分かったわ。・・・・・・お前が正真正銘のバカだってことはね。
チンクがあんな感じだったのも、このせいか」



青髪が表情を険しくして、こちらを睨む。だけど、どこ吹く風でそれを流す。

なお、ヘタレドクターは普通。興味深そうに、画面から視線を向ける。



「勝つから強い? 勝つから正しい? ・・・・・・バカじゃねぇの?
そんな考え方してる時点で、お前は三流以下のスーパーバカ野郎だ」

≪全く持ってその通りですよ。そんな考えだから、無視されるしヘタレなんですよ≫

「てーか、僕は管理局が正しいなんて思ったこと、一度もないし。まずそこから勘違いだ。
僕は、正しいとか、認められるなんてお題目が欲しいために戦ったことは、一度もない」



言いながら、僕はアルトを構える。見据えるのは、青髪とピンク髪。



『ほう、なら君は何のために戦う。もしや、彼女のためか?』

「そうだなぁ、状況によりけりだけど・・・・・・今はこれかな」



ニヤリと、嘲るように笑ってやる。視線を向けずに、画面の中に居る男を、思いっ切りだ。



「お前をぶった斬ってやるために、ここに来た。さぁ、御託はもういい。始めようよ。・・・・・・ケンカを」



フェイトも、同じく。バルディッシュを、二人に向けた。そして、ヘタレドクターは笑った。



「お前らが売って、僕達が買った。あとは、決着つけるだけでしょ」



僕を見て、納得したような、嬉しそうな、そんな笑い。その意図が、今ひとつ読み切れない。



「ドクター、このような奴のたわ言など、聞く必要がありません。
挙句、我々の革命をケンカ? 貴様、本当に我々をナメているようだな」

『いや、それで行こう。・・・・・・これは、私達と君達とのケンカだ。そうだ、それがいい。実に面白い』

「ドクターッ!!」



あらま、すんなり納得したし。ここは意外だ。



『なに、そうすればゲームが面白くなりそうだからな。ただし』



画面の中の男が右手の指をパチンと鳴らす。その瞬間、世界の濃度が変わった。

・・・・・・これ、魔力の完全キャンセル化状態っ!? くそ、やっぱりそう来たかっ!!



『ケンカである以上、私達も全力は尽くさせてもらう。それが、礼儀と言うものだろう』

「へぇ、分かってるじゃないのさ。・・・・・・見直したよ」

『誉めてくれて、嬉しいよ』



なお、これは比喩じゃなくて本気で。ここは向こうの領域。だから、こういう手が取れる。

なのに、そうしなかったら、それは本気じゃないということになるもの。



『あぁ、私はさっき言った通り、これ以上手出しはしない。それでは、楽しんでくれたまえ』



そのまま、通信が切れた。・・・・・・普通なら、ピンチなんだろうね。

でも、問題はない。だって、僕達は切り札を持ってるから。



「フェイト」



アルトを、一旦鞘に収める。そうしながらも、僕はフェイトに声をかける。フェイトは、頷いてくれた。



「うん」



そのまま、二人揃ってベルトを取り出す。555ギアと、ゼロタロス。

それを見て、二人は・・・・・・鼻で笑ってる。



「フェイト・・・・・・いや、アリシアお嬢様。サンプルH-1と同じように、あなたまでヒーローごっこですか?」

「違うよ。・・・・・・私は、自分がヒーローだなんて思えない。思ったこともない。それは、ヤスフミも同じ」



僕は、ベルトを巻きつけ、左のホルダーからカードを取り出す。

フェイトは、ファイズフォンのコードを入力する。



≪5・5・5≫

「あと、私はアリシアじゃない。フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだ」

「いいえ、あなたはアリシア・テスタロッサです。そんな偽者の自分に縋るなど、おやめなさい」

「トーレの言う通りです。・・・・・・抵抗は、無意味です。いえ、愚かです」



ピンク髪が、フェイトを哀れむような声でそう言って来た。いや、それは青髪もか。

どうやら、本気で今のフェイトに同情しているらしい。・・・・・・なんですか、このDQN共は。



「ドクターに付き従えば、あなたはあなたになれるのですよ? そう、あなたは本当のあなたアリシアになれる。
もう、偽物の自分フェイトの存在意義に苦しむこともなくなる。なぜ、それが分からないのですか」

「ドクターが作る『すばらしい世界』は、それを実現します」



疑いも無く、本気でそう思っている。それを、鼻で笑ってしまった。



「この革命は、あなた自身のためのものと言ってもいい。
ですから、こちらに来てください。アリシアお嬢様、あなたは私達側の人間です」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「シオン、ヒカリ、安全なように隠れておいて?」



お兄様が、普通に後ろに居た私達の方に声をかけた。まぁ、隠れる方法が無いわけじゃない。

私達のような不思議なキャラには、そういう手があるのはデフォですもの。



「待て、恭文。この状況なら私とシオンとで」

「頼むよ」



私達の方を振り向いて、お兄様が笑う。・・・・・・それを見て、私達は全力で頷いた。



「ありがと」



そのまま、お兄様は見据える。とても・・・・・・とても愚かな人形達を。



”お姉様”

”可哀想に。どっちがこちらに来るかは分からないが、地獄を見るのは確かだろう”

”お兄様、意外と短気なんですよね”





六課の中で一番の激情家なのは、実はお兄様だと思う。お兄様は、意外と感情的になりやすい。

だけど、激情家でありながらお兄様は実はとても冷静な一面を持っている。

どんなことにも動じない、鉄の心・・・・・・ハードボイルドと言えばいいのかしら。



普段のアレは、ある意味外キャラではないかと思う程に、お兄様はそういう部分が強い。





”あぁ。そして、我らが宿主の場合、怒れば隙が出来るどころか無くなっていく”





過剰な怒りは自身の隙を生み、力を半減させる。それは、当然のようにその身を危うくする。

本来なら、そうなる。でも、お兄様はリインさんやアルトアイゼンのお話を聞く限り、その逆。

怒れば怒るほど、感情が昂れば昂ぶるほど、冷静になり、刃が鋭さを増し、突けいる隙を無くしていく。



修羅モードは、その典型例。こういう状態になった時のお兄様は、とても強い。





”そこが恐ろしいというかなんというか。とりあえず、半殺しで済めば幸せだな”

”そうですね”










まぁ、気持ちは分かる。だって、私もちょっとカチンと来ているもの。





お兄様・・・・・・キレている。あの勘違いし続ける人形達に対して、かなり。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



とりあえず、二人を納得させてから、僕は敵を見据える。そして、また笑ってしまう。





コイツら、マジでフェイトの事を理解し切ってると思ってる。それが、おかしい。










「だったら、勝手にそう思っていればいいよ。・・・・・・もう、喋るな」



はっきりとした拒絶の言葉に、青髪とピンク髪が目を見開く。だけどフェイトは、言葉を続ける。



「私は、そんな世界いらない。そして、アリシアになりたいとも、思わない」



僕は、ゼロタロス上部のスイッチを左手の親指で、右側に押し込む。



「苦しんでも、悩んでも、私は死ぬまで、あなた達の言う『偽物の自分フェイト』で居たい」





それにより、ベルトから笛の音のような音楽が鳴り響く。

そんな中・・・・・・青髪とピンク髪は、本当に、心底哀れむような目で、フェイトを見ている。

コイツら、マジで一体なんなの? むしろ、僕の方がイライラしてくるんですけど。



まぁ、落ち着いていこうか。フェイトは、めちゃくちゃ冷静なんだ。僕だって、ちゃんとしなくちゃ。





「・・・・・・話しても、本当に無駄みたいだから、徹底的に叩き潰すよ。
部隊長命令だから、容赦はしない。覚悟・・・・・・しておいてね」



フェイトは、ファイズフォンを閉じて、高く掲げた。・・・・・・ちょっと恥ずかしそうなのは、気のせいだ。

とにかく、このまま二人揃って・・・・・・このワードを叫ぶ。



「「変身っ!!」」



フェイトは、ファイズフォンをベルトに押し込む。



≪Complete≫



僕は、ゼロタロスにカードを挿入。



≪Charge and Up≫





フェイトの身体に、赤いラインが走る。そして、バリアジャケットが変わった。

インパルスフォームの白のラインが赤に染まり、マントの裾も黒ではなく、赤になる。

そして、右足の足首近くの側部に、銀色のユニットが装着される。それは、ファイズにもあるもの。



ポインターを装着するためのユニットにより、両足は非対称の形へと変わる。





「・・・・・・え? あの、これって」





かくいう僕も、ベルトから弾けたオレンジ色の光に包まれて、姿を変える。

ベルトのバックル部分の円形の装飾が回転して、オレンジのラインが一つの模様として繋がる。

それが輝き、同じ色の光がはじけて、僕の身体を包む。そうして、ジャケットが再構築された。



黒いロングパンツに銀色の臑まで守る金属製のロングブーツ。太もも前面にはオレンジのライン。

ジガンは片手ではなく両手に装着され、手の甲には『Z』を模してると思われるマークが入る。

色は当然オレンジ。そして、インナーは少し青みを持ったものに変わり、真ん中に白のラインが入る。



首元には、丸い輪の形をして、中に『×』が描かれた銀色のアクセサリー。

上に着ていたジャケットは、オレンジ色に変わっていた。二の腕側面に黒色で金属製の装甲。

全てを装着し終えて・・・・・・僕は、右手を上げ、二人を指差す。



そして、声を上げる。この強さを、誓いを、今と言う時に刻み付けるために・・・・・・最初に言っておく。





「・・・・・・最初に言っておくっ!!」





そう、これがゼロフォーム。あの人達の姿を模した、僕の新しいジャケット。

だから、声をあげる。模しただけでも、これはゼロノスのベルトだから。

さぁ、刻み込もう。僕達の強さを、今という時間に。ありったけの力で。



そのまま、青髪とピンク髪を指差しながら、声をあげる。





「僕達はかーなーり・・・・・・強いっ!!」

≪ついでに言っておきます。・・・・・・特に言うことは、ない≫

「「だったら、言う必要ないと思うんだけどっ!?」」





腰の右側に装着されたゼロガッシャーのB(持ち手)パーツを手に取る。

そして、そのままその上に装着されている、Aパーツ(武器部分)に装着。

それの合体した状態のそれを引き抜くと、一振りの巨大な大剣が生まれた。



そしてフェイトは・・・・・・あれ? なんか自分の姿見て、ビックリしてる。





「あ、あれ? あの、仮面とかバーンとかって」

『はいはーい、説明しましょう』



・・・・・・シャーリーっ!? おのれ、なぜに普通に出てくるっ!!



『せっかくなので、ファイズの変身ではなく、ジャケットのバリエーションにしてみました。
ようするに、今のなぎ君と同じですね。・・・・・・その名も、クリムゾンフォームッ!!』

「クリムゾン・・・・・・フォーム」

「てーかシャーリー、話してなかったの?」

『うん。あ、それでも問題はないんだ。もちろん、その理由もある』



フェイトが、どこか嬉しそうに自分の身を包むジャケットを見る。

見ながら、シャーリーの続けてくる言葉を聞く。



『性能はインパルスフォーム準拠なので、問題なく動けるはずです。
ただし、魔力の完全キャンセル化だと、飛行とかは出来ませんので、あしからず』

「あ、そこは変わらずなんだね。・・・・・・シャーリー」

『あの、余計なお世話でした? もしかしなくても、相当ファイズに変身したかったとか』

「ううん、そうじゃない。・・・・・・こっちの方が、らしく動ける。ありがと」

『いえいえ』



言いながら、フェイトは右手をスナップ。その瞬間に出てきたものがある。それは、バイクのグリップ。

フェイトは右手でファイズフォンから、メモリーを抜き出す。それを、グリップに装着。



≪Ready≫



瞬間、グリップの先から、赤い刃が生まれた。気味の悪い照明の中で、それは斬り裂くために輝く。

なお、ファイズエッジです。オートバジンが無いので、こういう形になりました。



「・・・・・・んじゃま」



隣で、ファイズエッジを構えるフェイトを見る。フェイトは、僕の目を見て頷いてくれた。

そして、瞳で言ってる。『・・・・・・大丈夫だよ』と。だから、僕も頷いて、『分かった』と答える。



「うん、行くよ」










そして、僕達二人は全力全開で突撃した。僕は青髪、フェイトはピンク髪に向かう。





次の瞬間、空間に衝撃が生まれ、この場を支配した。




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



・・・・・・槍を振るう。空間を薙ぎ、点を突き、線を描いて刈る。

でも、そのどれもが当たらない。いや、かすりもしない。

いやはや、ここまでとは思わなかった。こりゃ、予想以上だわ。





ドゥーエが爪を振るう。それを俺は金剛の柄で受け止め・・・・・・流す。

瞬間的に、身体を左へと持って行き、数歩前進。

そのまま金剛の刃を左から振るって、攻撃する。もちろん、対象は目の前の女。





俺と行き違うようにして、少しだけ体勢が崩れたドゥーエの腹へ打ち込む。

だけど・・・・・・避けられた。というか、姿が消えた。

頭上に・・・気配。俺は後ろに大きく飛ぶ。そして、飛びながら見た。





俺の居た位置に向かって爪が振り下ろされ、床が砕けたのを。

ドゥーエはそのまま俺の方へ真っ直ぐ飛んでくる。

距離はあっという間に縮まり、空中で俺達は再びぶつかる。





ドゥーエを突く。それを身を翻すように避け、金剛の槍の柄に手をかける。

それに乗っかるようにして、俺の顔面に蹴りが飛んできた。

右からの回し蹴りを、俺はまともに食らう。てーか、普通にコレは痛い。




それにより吹き飛ばされて、近くの床に身体を叩きつけられる。

休む間も無く身体を後ろに回転させて、その場から離脱。

先ほどと同じように女が爪・・・・・・いや、蹴りをかまして、床を踏み抜いた。





そのまま、ドゥーエは俺の方に飛び込んでくる。突き出された爪を、俺は金剛で受け止める。





そこから、力と力で押し合う。ギシギシと、槍の刃と爪がせめぎ合う音が聞こえる。










「・・・・・・どうしたの? こんなことじゃ、私お仕事を終われないのに」

「あー、やっぱり? 俺も実は、ちょい足りないなと思ってたんだ」





ヤバイなぁ・・・・・・これは、マジでやばい。まさか、ここまで強いとは思わなかった。

懐に入り込まれたら、好き勝手に攻撃されたい放題だよ。

まぁ、レンジで得意不得意がハッキリ分かれてるから仕方ないんだけど。さて、どうする?



この調子でやってたら間違いなくアウト。ドゥーエは、確実に自分の間合いを維持してくる。

いつもなら遠距離攻撃に移行するんだけど、今回はそれもだめ。つーか、やりたくない。

これは、俺の腕試しでもあるんだ。そんなもん使ったって楽しくない。なら、覚悟、決めるか。



あとはタイミングだ。こういうのは、不意をつけるかどうかで、全部かかってくる。



いや、楽しいねぇ。楽しすぎて・・・・・・笑っちゃいそうだ。





「なにかいい作戦でもあるの?」

「そりゃもう、素晴らしいのがどっさりとね」

「そう。・・・・・・なら、見せてもらうわねっ!!」










そのまま、俺は爪を弾いて距離を取る。別の床に着地。

そしてそのまま・・・・・・構える。ドゥーエが飛び込んでくる。

そこを狙って、全力で突きを叩き込んだ。





でも、それは避けられた。ドゥーエが俺の突きを、しゃがんで回避。

まるで、どこぞの猫のようにはいつくばる。

そのまま、低く、これまた這うように飛び込んできた。





槍を元に戻してる時間は・・・・・・ない。戻している間に、死亡が決定だ。

ドゥーエが右手を振りかぶる。あと数瞬で突きは決まる。だから、俺は動いた。

俺は、金剛を放り投げた。ちょうど、ドゥーエの上に降りかかるように。





・・・・・・金剛、残りの処理はよろしくな。それを見て、ドゥーエの動きが一瞬止まった。

まさか、大事な相棒を放り投げるとは思ってたらしい。うん、俺もやるとは思ってなかった。

金剛が落ちてくるのを、左に移動して避け・・・・・・また飛び込んでくる。でも、それが隙だ。





だって、俺・・・・・・もうドゥーエの背後に回りこんでるし。ドゥーエがそれも気づく。

そして、右手の爪を、裏拳の要領で俺に打ち込んでくる。

俺は、踏み込んで、ドゥーエの右手首より上の部分を右手の手のひらで受け止める。






こうすれば爪は効果がなくなる。そして、心の中で謝る。

・・・・・・ごめんな、ちょっとだけ流儀を破るわ。

そのまま右手で、ドゥーエの手首を掴む。掴んで場違いにも、細い腕だと思った。





そして、すぐにその肘に左手で掌底を叩き込んだ。もちろん・・・・・・腕をへし折るため。

左手から伝わるのは、確かな手ごたえ。これは、間接を決めた上で、叩き込まれた掌底。

この一撃は、見事に強化骨格であるはずの彼女の骨を、へし折った。というか、肘を折った。





でも、次の瞬間腹に衝撃。俺はそのまま手首を離して吹き飛ばされた。つか・・・・・・蹴りかい。

俺は、胃の内容物が全部吐き出されそうになる衝撃に耐えつつ、受身を取り、着地。

彼女はもう踏み込んでいた。そして・・・折れたはずの腕を振り回し、爪を投げ飛ばした。





それだけじゃない。左の手を拳にして、思いっきり握り締める。アレ・・・・・・食らったら死ぬよな。

だから、俺はまず、飛んできた三本の爪を、俺は左に飛んで避けた。

爪は、虚空を飛び、部屋の中へ消えていく。そして、その隙に彼女が俺の胸元に、拳を叩きつけてくる。





・・・・・・でも、残念。俺はその胸元に飛んできた拳を、左の腕で受け止めた。

瞬間、腕から凄まじい痛みが走る。簡単だ。骨・・・・・・折れた。

でも、それにかまわず俺は拳を握り締める。握り締めるのは、右の拳。





右の拳を彼女の腹へと、叩き込む。そのまま・・・・・・中へとねじり込んで、衝撃を内部に伝える。

『ドン』という鈍い音と、接触部が空気を震わせる。そして、そのまま二人とも動かずに数秒が経った。

突然、彼女の口から少量の血が吐き出される。ドゥーエは、前のめりに倒れた。





俺は、それを無事だった右手で受け止める。それが、全ての決着になった。




















(第32話へ続く)




















おまけ:劇場版公開記念CM:スバル&良太郎・恭文&スゥ

(現在、2010の1月20日です)




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



スバル「あー、劇場公開まであと三日ー! 楽しみだなー!!」

良太郎「でも、すごいね。なのはさん達が映画だなんて」

スバル「はいっ! というか、良太郎さんだって何度も映画に出てるじゃないですか」

良太郎「それはそうかも知れないけど、やっぱりすごいよ」





(テロップ:電王のあの人も認める凄さです)





良太郎「というか、色々変わってるんだよね。フェイトさん達のコスチュームとか」

スバル「そうですね。だから、火力もバトルもパワーアップしてます」





(テロップ:バリアジャケットも一新な生まれ変わった始まりの物語、ぜひ劇場の大スクリーンでごらんください)





良太郎「というか、レイジングハートにトリガー・・・・・・これは流石に、魔法少女じゃないんじゃ」

スバル「こまけぇこたぁ、いいんだよっ!! ・・・・・・って、恭文が言ってました」

良太郎「そ、そうなんだ。でも、いいのかな」





(テロップ:細かいことはいいのです)





良太郎・スバル「「『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』! 2010年・1月23日、全国ロードショー!!」」





(『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





スバル「良太郎さん、一緒に見に行きましょうね〜♪」

良太郎「うん。・・・・・・あ、でもモモタロス達も見たがってるんだけど、どうしよう」

スバル「なら、超・てんこ盛りに変身すれば大丈夫ですよ」

良太郎「それは絶対大丈夫じゃないよっ! というか、周りのお客さんがビックリしちゃうからっ!!」




















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



スゥ「劇場版・・・・・・もうすぐですねぇ」

恭文「そうだね。全世界が待ちに待った、リリカルフェイトの始動だよ」





(テロップ:全世界が待ちに待っていた、新訳リリカルなのはの始動です)





スゥ「というかというか、スゥは映画館で映画を観るのは、実は初めてなんです」

恭文「あ、そうなんだ。なら、一緒に劇場でのマナーを復習しようか。
・・・・・・まず、人様に迷惑をかけないこと。うん、ここは重要だね」

スゥ「えっとぉ、上映中におしゃべりとか、飲食の音とかは控えめに・・・・・・ですよねぇ」

恭文「そうだね」





(テロップ:劇場では、静かに映画をお楽しみください)





スゥ「やっぱり、音関連は気を付けるべきなんですよねぇ」

恭文「でも、それだけじゃないよ? 例えば小型カメラで上映されている作品を撮影するのも、ダメだから」

スゥ「えぇっ! そんなことする人が居るですかぁっ!?」

恭文「居るの。なお、立派な犯罪だから。罰金が確か1000万とか超えてるはずだよ?」

スゥ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! そ、それは大変なのですぅっ!!」





(テロップ:劇場では、法律も守った上で映画をお楽しみください)





恭文・スゥ「「『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』! 2010年・1月23日、全国ロードショー!!」」





(『劇場版 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』)





スゥ「みなさん、劇場ではマナーと法律を守った上で、楽しくフェイトさん達の活躍を楽しみましょうねぇ? スゥとの、お約束ですよぉ」

恭文「そして、僕との約束だよ? あ、携帯の電源も切っておくようにね?」

スゥ「うんうん、そこも大事ですよぉ。みんなで、仲良く楽しく・・・・・・ですぅ」




















(本当に続く)




















あとがき



スゥ「というわけでぇ、あとがき初登場のスゥです〜。みなさん、Remix第31話はどうだったでしょうかぁ」

恭文「えー、どうも。蒼凪恭文です。・・・・・・で、スゥ。どうしたの?」

スゥ「簡単ですぅ。恭文さん、スゥは恭文さんにすっごく言いたい事がありますぅ」

恭文「うん、なに?」





(ほんわかクローバー、普通に息を吸い込み・・・・・・叫んだ)





スゥ「どうして恭文さんは、スゥとキャラなりしてくれないのですかぁっ!?」

恭文「・・・・・・はい?」

スゥ「Remixも31話っ! しゅごキャラクロスはもうすぐ40話で、二年目の『だっしゅっ!!』も決まりましたぁっ!!
なのに・・・・・・どうして未だに、スゥとのキャラなりが出てないですかぁっ!? ジャックフォーム出してる場合じゃないのですぅっ!!」

恭文「ちょ、ちょっと待ってっ! それRemixのあとがきで話すことじゃないでしょっ!!」

スゥ「細かいことは、いいんですぅっ!!」

恭文「よくないからっ!!」

スゥ「いいんですぅっ!!」

恭文「よくないのよっ!?」

スゥ「いいんですって言ったら、いいんですぅっ!!」

恭文「よくないって言ったら、よくないのっ!!」





(二人とも、そこで息を荒く突き始める。どうやら、色々きついらしい)





恭文「・・・・・・というかさ、スゥとのキャラなりって、後衛型って設定なのよ。
回復・補助したり、リモートのカードでアルトとジカンを巨大ぬいぐるみにして、戦わせたり」

スゥ「あぁ、拍手で来ていたアレですねぇ。でも、それがどうかしたのですかぁ?」

恭文「いや、特に関係ない」

スゥ「なんですかそれはぁっ!?」

恭文「とにかく、ここはRemixだから、Remixの話をしよう。うん、それがいい」

スゥ「そう言って、『なぎひこさん×なのはさん』の話をしたり」

恭文「大丈夫。それは、なのはの恋愛関係をRemixするお話だから」

スゥ「それは屁理屈だと思うですぅ」





(青い古き鉄、それでも色々と気にしないことにしたらしい)





恭文「でも、いよいよあのバカ二人と対決ですよ」

スゥ「それで、フェイトさんが変身しましたぁ」

恭文「なお、中央本部襲撃の時の邂逅がなかったから、セッテとのライバルフラグは立ってないね」

スゥ「そう言えばぁ、その時に恭文さんに負けたからぁ、ミッション話のラストで戦ったんでしたよねぇ」

恭文「そうだね。ぶっちゃけ、00ファーストシーズンのオマージュだけどね。
でも、作者的にはお気に入りのシーンですよ。あれで、いつものノリに戻るわけだし」

スゥ「ただ、今回はそういうフラグは立ってないんですよねぇ。
テレビでフェイトさん達が飛び出なければ、トーレさん達とは会えないのですねぇ」





(そう、だからこそのRemix)





恭文「隊舎の方に戻る選択そのものが、不満の一つだったしね。
で、当然のように二人も気持ち悪い感じですよ。この二人は、特にぶっちぎり?」

スゥ「どうしてですかぁ?」

恭文「まず、セッテはTV版にもあった話だけど、感情を抑制される処置が施されてるの」

スゥ「あ、ありましたねぇ。ディードさんとオットーさんも同じでしたよねぇ」

恭文「うん。ただ、二人はなんだかんだで感情的な部分が多いのよ。
ただ、セッテはブッチギリ。戦機と言っても差し支えない。で、トーレ」

スゥ「セッテさんの先生もしていて、スカリエッティさんの因子を組み込まれてる・・・・・・でしたよねぇ」

恭文「うん。まぁ、次回で色々暴れるから・・・・・・ここでは内緒かな。
でも、アレだね。やっぱ『すばらしい世界』ってキーワードを作ったのは、作者的にも正解だって」





(思いつきだったのだけど、成功でした。こう、軸が出来たので書きやすいです)





恭文「やっぱりさ、敵方って言うのは、ある程度の気持ち悪さというか、不透明さがあった方がいいのよ。
もしくは、ネガタロスみたいに思いっ切り分かりやすい感じ?」

スゥ「あとは、実は根っこから悪い人ではなかった・・・・・・という感じでしょうかぁ」

恭文「そうだね。二階堂とか歌唄やゆかりさんが、その類かな。まぁ、そんなスカリエッティやトーレ達との戦いは、次回からだよ」

スゥ「あとぉ、ヒロリスさんやなのはさん達の方ですねぇ」

恭文「まぁ、アレだよ。・・・・・・察して?」

スゥ「何をですかぁっ!?」

恭文「というわけで、本日はこれまで。お相手は・・・・・・次回、大暴れする蒼凪恭文と」

スゥ「マジギレした恭文さんは、とっても怖いのですぅ。スゥでしたぁ」

恭文「そんなことないよ? 僕は天使のように優しいと評判なんだから」

スゥ「そうなのですかぁ」










(青い古き鉄のことは大好きだけど、それでもそれは嘘だと思うほんわかクローバーだった。
本日のED:平沢唯(CV:豊崎愛生)『ギー太に首ったけ』)




















グリフィス『八神部隊長、ライトニング01とナハト01、相手の戦闘機人二人とエンゲージ。戦闘に入りました』

はやて「そっかぁ。で、どないな感じや?」

グリフィス『まず、フェイト隊長は落ち着いています。そして彼は・・・・・・キレてます。
可哀想に。あの相手の戦闘機人、もう二度と戦えないようにされますよ?』

はやて「同情する必要ないで? あの凶暴な奴を怒らせる方が悪い。
で、グリフィス君、次元航行艦隊の到着予測時刻は変わらずか?」

グリフィス『はい。艦隊がこちらに到着する頃には、ゆりかごは軌道ポイントに着きます。誤差は、約7分です』

はやて「7分・・・・・・たった7分やアニメやったら、タイトルコールしてちょお経ったくらいやで?」

グリフィス『でも、それだけ有れば』

はやて「ゆりかごからの精密爆撃は、撃てるやろうな。いや、狙い定めるだけで詰みや。
その瞬間に、ミッドの人間全てが人質に取られる。そうすると・・・・・・」

グリフィス『やはり、内部に突入して動力炉を止めるか、王の間に居るヴィヴィオを保護・・・・・・でしょうか』

はやて「内部を制圧して無力化。最悪、ゆりかごの進行速度を落とさんと話にはならんし、それしかないか。さて、どないしたもんか」










(おしまい)




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