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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
第1話 『モノホン魔法少女との遭遇。とりあえず・・・・・・魔王は見習え』:1



世の中には、理屈や常識では説明出来ない事・・・・・・いわゆる不思議な事が沢山ある。

ここ9年の間に、僕はやんなるくらいにそれを痛感した。例えば僕の中にある力・・・・・・魔法。

そして、大事なパートナーのお姉さんからもらった星の光と風と鉄を繋ぐ力。





例えば、僕と同じように魔法の力を持った人達。そして、その人達が暮らす次元世界という概念。

これらは地球の理屈や常識では説明出来ないもの。で、まだまだあります。

例えば鍛え上げた技と肉体、精神によってすさまじい強さを誇る人達とか、幽霊とか妖狐とか超能力者とか・・・・・・エトセトラエトセトラ。





あげく時の電車なんて言うものにまで遭遇した事もあった。

その中で未来の自分の孫と話したり・・・・・・なんて事もあった。

ただ、そんな僕でも未だかつて遭遇した事のないものがある。





それが・・・・・・魔法少女。皆様ご存知な、アニメになったりもしてる一つの題材。

全世界の女の子が一度は夢見る存在。それが魔法少女。僕はこれだけは一度も遭遇した事がない。

・・・・・・ん? 今『いやいや、なにおかしい事言ってんの? この話は何の二次創作よ。タイトル見なよ』とか思ったそこのあなた。





そう、そこのあなたよ。マウスなりキーボードなり携帯のボタンなり使ってるあなた。

ページを下へ下へと行こうとしているそこのあなたですよ。

なら逆に聞きたい。・・・・・・僕の周りに『魔法少女』そのものだってはっきり言えるやつ・・・・・・居る?





魔王は魔王だし、僕の恋人は少女というか女性だし、狸は狸で奇数日の夜には子作り頑張ってるらしいし。

豆芝はちょくちょく彼氏候補の人の所に行ってデートしてるらしいし・・・・・・ね?

そう、そういう事ですよ。もう一度言うけど、僕は未だかつて正真正銘モノホンな感じの魔法少女に遭遇した事が一度も無い。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無いったら無いんだよっ!!(逆ギレ)

とにかく今回は、そんな僕が一応それっぽい女の子と、その仲間と出会るお話。

ちょっと普段と違うゆるーく、夢があったりシリアスあったり・・・・・・という時間を過ごした時のお話である。





全ての始まりは、新暦77年の2月の話。僕は地球のある都市に足を踏み入れていた。










「・・・・・・たまご、ねぇ」

「なんだか可愛いですよね、たまごが何か色々トラブル起こすーって」

”可愛いだけならまだいいんでしょうけどね。ただ、今ひとつ不明瞭ですよ。
たまごってなんですか、たまごって。ロストロギアにしてももうちょっとセンスに気遣って欲しいですよ”

「アルトアイゼン、結構厳しいですね」

「いや、リイン。その前にツッコミ所が違うって言ってあげようよ。
たまごにセンス求めるのもおかしいでしょうが」





市街地をのんびりと歩きながら、僕は隣に居るリインとそんな話をしていた。今のリインは当然フルサイズ。

ジーンズ素材のロングスカートをなびかせながら、気持ちよさそうに歩いている。

・・・・・・そうこれはお仕事なのだ。用件は事件調査。ただ、直接的に何か起こったとかそういうわけじゃない。



この近くに住んで居る局の協力者から妙な情報が入ったの。

なお、当然僕とリインだけじゃなくてフェイトとシャーリー、ティアナも居る。

三人は当面の寝床の確保に回っている。で、僕とリインは別行動で街の様子を拝見。



で、話が逸れたけどその妙な証言というのは・・・・・・黒いたまごが空を飛んでるとか。

で、暴れている攻撃・・・・・・じゃなかった、光景が度々この都市で見かけられているというものだった。

今のところ人的被害なんかも無いし、魔法絡みな感じもしてない。



ただ、万が一に備えて一応の調査が必要と言う事で、本局所属であるフェイトに上司であるクロノさん直々の調査指令が来た。

恋人で仲間で補佐官でフェイトの騎士である僕もそれに同行・・・・・・という感じ。

・・・・・・いいもん、頑張るもん。今日は偶数日だから、フェイトとコミュニケーションする日だから頑張るもん。



でも街を歩きながら人の様子なんかを見るけど・・・・・・特に変な感じはしないんだよね。



ごくごく普通の一般都市だし。あ、あとは空が綺麗かな。うん、今見える夕焼けとかすごい綺麗。





「そうですよね。・・・・・・あ、恭文さん。あのチェックの制服可愛いと思いません?」

「あ、ホントだ。というか、結構多いよね」



チェックのスカートや半ズボンを履き、黒の上着にネクタイを締めている小学生くらいの子ども達を、さっきからよく見る。

近くに学校とかあるのかな?あー、そう言えば下校時刻ではあるから・・・・・・見かけるのも当然かも。



”あー、そう言えば”



念話で話しかけてきたのは、毎度おなじみ僕の相棒。胸元に光る相棒は・・・・・やっぱり自由な子。



”微弱ですが妙な反応、探知しました。たった今・・・・・・ですね”

”妙な反応?”

”もっと言うと、爆発音というか炸裂音というかそういうのです。
いきなりですが・・・・・・引き当てたかも知れませんよ?”





その言葉に僕はリインと顔を見合わせて・・・一気に駆け出す。

そうして数分後、アルトの誘導で到着したのは近くの遊歩道。

夕暮れ時だから、陽が差し掛かって綺麗・・・・・・って、そんな場合じゃないっ!!



僕達の視界に見えたのは、一人の倒れている女の子。

それと、その傍らに赤いバツマークを貼り付けた黒い・・・・・・なんか、性格の悪そうな顔したのが一匹。

そして、その妙ちくりんな奴の前には、一人の女の子。



僕達が何度か見かけた制服を着た子で、桃色のきちんとセットされた髪に意志の強そうな瞳・・・・・・あれ?





「・・・・・・恭文さん、なんか・・・・・・あの子の周りに小さい子が居ませんか?
こう、リインよりも小さい感じで、赤い子と青い子と緑の子」

”・・・・・・私も見えます”

「・・・・・・そっか、アレ幻覚じゃないんだ。アルトまで見えるんじゃそりゃ仕方ないよね。てーか、なにあれっ!?」



その子がそいつを正面に捉えたまま両腕を動かして、手を胸元に持っていく。



「あたしの心・・・・・・アンッ! ロックッ!!」





瞬間、その子の胸元にかけていたやけにかわいらしいデザインの南京錠が輝き、光に包まれ・・・・・・あれ?

赤い子がかわいいデザインのたまごに包まれて、女の子の胸元に吸い込まれる。

そうして服が脱げて・・・ハートが刻まれたリボンみたいなのに身体が包まれて・・・・・・あれ?



それで赤とピンクを基調としたサンバイザーを頭に装着。というか、サイドポニーに髪型が変わった。



両手にピンク色のポンポンなんて持ったチアガールルックの女の子に・・・・・・あれ? えっと・・・・・・あれ、なんて魔法少女?





【「キャラなりっ! アミュレットハートッ!!」】





ご丁寧に聞いてもいないのに名乗ってくれた上に、決めポーズまで取ったよ。

・・・・・・あれ? あ、これは夢か。そうだ、夢に違いない。

おかしいなぁ、いくらこの話では魔王がアレだから魔法少女分が存在してないからって、これはないでしょこれは。



え、ヴィヴィオ? どっちかって言うとこの話で言えば変身ヒーロー路線だって。

本人も将来的にはそっちの方向に行きたいって言ってるしさ。

というか・・・・・・なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!





≪「「なんか変身したっ!?」」≫



なにあれっ!? え、なんなのあれっ! もう一回言うけどなんなのあれっ!!

やばい、僕の心がアンロックだよっ! ドキドキし過ぎでブレイク・ザ・チェインだよっ!!



「や、恭文さん落ち着いてくださいっ! 冷静に・・・・・・冷静にですー!!」

「リインだってガタガタ震えてるじゃないのさっ! いや、あんまりにお決まり過ぎてもうそうするしかないの分かるけどっ!!」



なんて騒いでると・・・・・・あ、女の子がこっちに気づいた。というか、向いてきて・・・・・・目があった。



「・・・・・・え、えっと・・・・・・あの」

「ど、どうも」

「あ、どうも」



なんかすごく驚いた顔をしている。同時に、近くをふわふわ浮かんでいる青い子と緑の子もそんな顔。

なにか言いたいようだけど、自分でもそれがなにかよく分かってないらしい。なので僕は、ちょこっと気遣ってあげる事にした。



「・・・・・・大丈夫、ちゃんとそれっぽい補正がかかってたから、全部は見えてないよ?」

「そ、そっか。それならいいや」



僕の言葉に安心した表情を浮かべて、女の子が黒いチビに向き直り・・・・・・あ、またこっち向いた。



「だ、大丈夫じゃないしっ! え、もしかして・・・・・・見られたっ!?」

「大丈夫、ちゃんとそれっぽい補正がかかってたから、全部は見えてないよ? 確かに身体のラインはバッチリだった。
けど、小学生の身体で興奮するほどおじさんは堕ちてないし。アレだよアレ、あと6年経ったらそりゃあ興奮とかするかも知れないけど、今は大丈夫」



そう、大丈夫。大丈夫なんだ。だから僕は、リインとは基本パートナーなんだ。エロなんてないし。



「うん、大丈夫よ? あなたの純潔は守られてるから。でも・・・・・・あれだよ、仮に6年後も同じ体型だったとしても、落ち込んだらダメだよ?
需要と供給って言うのがあってね、それ次第だから。あ、なんならそうなった時の方法を今ここで伝授してあげても」

「必要ないっ! その方法すっごく必要ないっ!! てゆうか、なんでさっきと全く同じセリフっ!?
いや、なんかすっごい余計なのが後ろにすごい追加されてるしっ!!」



気のせいだ。若干まだ震えが走ってるだけなんだ。もう全然平気で全然大丈夫だし。



「それでね、その方法はもうすっごく簡単、コツは一つだけ。
『ちっちゃくても・・・・・・いい?』・・・・・・ですよっ! はい、リピートアフタミー!?」

「リピートするかぁぁぁぁぁぁぁっ! てゆうかなんでいきなりそんな話っ!?
お願いだからせめて会話してっ!! あと、そんなの絶対やらないからっ! やる必要も無いしっ!!」



な、なんですとっ!? まさか・・・・・・いや、そんなまさかっ!!



「今の自分に興奮して欲しいとっ!!」

「はぁっ!?」

「今ここで興奮してくれなかったら女として色々自信をなくすとっ!? 悪いけどそれは・・・・・・無理っ!!」

「そんなわけないからぁぁぁぁぁぁぁぁっ! そして何気に今のあたしを否定しないでっ!?
傷つくっ! それはそれでかなり傷つくからっ!! いや、その前にアンタマジムカつくんですけどっ!!」





なお、別に無計画でこんな事をしているわけではない。

交渉術だ。ねごしえーしょんなのだ。こうやって相手の情報を一つでも多く引き出す。

例えば・・・・・・相手の声や仕草、表情の変化に反応などをですよ。



これに関しては、ティアナも僕には負けるとよく言われる。





”・・・・・・それは多分皮肉ですよ”





そっか、そうだよね。うん、分かってた。だってこれ・・・おちょくってるだけだもの。

もっと言うと、あんまりな事態にドキドキし過ぎて混乱してるだけだもの。

でもさ、アルト。地の文に突っ込むのやめて欲しいな。うん、そこはやめて欲しい。



ほら、小説って基本そういうの無しって事になってるから





「てゆうか、今見た事は忘れてっ!? お願いだから今すぐ忘れろー!!」

「嫌だっ!!」



僕がそう即答すると、何故か女の子がずっこけた。



「はぁっ!? なんでよっ!!」

「忘れていい事なんて何もないんだよっ! 全部の記憶は必要で・・・幸せなんだっ!!」

「もっともらしい事言って煙に巻こうとするなぁぁぁぁぁぁぁっ! あぁムカつくっ!!
マジでムカつくっ! アンタ、一体なんなのよっ!?」

【あむちゃんっ! そんな事言ってる場合じゃないよっ!! ほらっ!!】



そう、そんな事を言ってる場合じゃなかった。黒チビが、僕達に向かって黒い弾丸を放つ。

・・・・・・これ、エネルギー弾? とにかく、僕は飛んできたそれらを後ろに下がりつつ回避。リインも同じく。



「ほう、僕にいきなり攻撃たぁ・・・・・・いい度胸じゃないのさ」



でも、おかげで混乱していた心がその動きを止めた。

いい感じで、心が戦闘モードに突入する。あの子は・・・・・・あ、こっちに飛んできた。



「・・・・・・とりあえず」



そして、そのまま僕とリインの手を取って・・・・・・大きくジャンプ。



「一旦逃げるよっ!!」

「・・・え?」

「と、飛んでるですっ!!」





高度数十メートルはあるね。その子は僕とリインの手を取って、いとも簡単に飛んだ。

眼下には夕暮れに包まれる街。・・・・・・待て待て、この子はマジで何者?

魔導師・・・・・・いや、違う。魔力反応はないもの。とにかく、そのまま近くの林に着地。




僕とリインもそこの芝生に腰を落とす。





「いい、この子と一緒にここでじっとしてて」

「嫌だ」

「うん、いい子だ・・・・・・はぁっ!?」



そのまま立ち上がり、もうすぐ迫ってくる黒チビの方へすたすた歩いていく。



「心遣いは嬉しいんだけどねさ、喧嘩売ってきた相手を前に引っ込むってのは、僕の性に合わないのよ」

「ちょ、待ってっ!!」



そのまま僕の左手を取る。・・・・・・むむ、歩けない。



「アレ、マジで危ないんだよっ!? さっきの見たよねっ!!」

「大丈夫、アレより危ないもんを僕はやんなる位に知ってる。
あの程度、100で言うなら・・・・・・3ってとこ?」

「はぁっ!?」

「つーわけで、アルト」



僕は胸元から宝石を外す。それを眼前に持っていく。



”・・・・・・本気ですか? 手札を晒すには早いと思いますが”

”確かにね。でも、これとたまごどうこうって話・・・・・・関係無いと思う?
この子、赤いたまごとユニゾンみたいに一つになっちゃったしさ”



ここは手札を晒してでも、情報やこの子との繋がりが欲しいところ。

・・・・・・助けようとした相手に助けられるってさ、結構衝撃的だと思わない?



≪まぁ、そういう話なら仕方有りませんね。一気に行くとしますか≫

「うん」

「・・・・・・え、今誰がしゃべったの?」

【あむちゃん、多分だけど・・・・・・その子が持ってる宝石】

「えぇっ!?」



とりあえず僕は左手を振り払う。そのまま数歩前に出る。もうすぐ・・・・・・あの黒チビが来る。



「あぁ、そうそう。僕が何者かって聞いたよね。せっかくだ、答えてあげるよ」



右手で持ったアルトを自分の目の前に持っていく。青の宝玉が、夕日の光を受けて煌めく。



「通りすがりの古き鉄だっ! 覚えておけっ!!」

【「・・・なにそれっ!?」】



その声にかまわず・・・・・・僕は声を上げる。



「変身っ!!」

≪Riese Form≫





身体が深い青・・・・・・僕の力の色に包まれる。そして、今まで着ていたジージャンとジーパンが消える。

あと、下着も。それからアルトを空高く放り投げる。それから下半身に黒のパンツが装着される。

両足には黒色の金属製のブーツ。空色の留め金がついている。なお、上半身には黒のインナー。



その上から更に白の装飾が施された別のインナーを装着。右手を前に上げ、伸ばす。

左手を同じように上げ、クロスさせる。白のインナーの上から青の制服然としたジャケットを装着。

両手に分厚い・・・・・・鈍い銀色のガントレットが装着される。皆様お馴染みジガンスクード。



左手を下ろす。右手を左に振りかぶり、右に振りぬくと手の中から白い光が走り、白いマントが出てきた。

それをマントはそのまま流れるように僕の背中に到着。マントは白く、黒の縁取りがされ、空色の留め金が首元で光る。

最後に高速回転しながらアルトが落ちてくる。アルトは蒼い光を放ち、柄尻に青い宝玉を埋め込んだ日本刀となる。



柄と鍔は黒く、鞘は青と白のラインが入っている。

僕は眼前へと落ちてきたそれを手に取り左の腰に差す。

最後に左でアルトを手に取り・・・・・・ポーズ決めっ!!



これで変身完了。・・・久々のフル変身シーンですよ。



なお、ちょっとだけバージョン違いだったりします。





「え、嘘。姿・・・・・・変わっちゃった」

【あむちゃん、もしかしてこの子・・・・・・キャラ持ち?
あ、でもちょっと違うかも。・・・・・・え、これなんだろ】

「・・・・・・最初に言っておくっ!」



・・・・・・弾丸をいくつも放ちながら、黒チビが迫ってくる。だけど僕はそれに微動だとしない。

だって・・・・・・当たらないから。そのまま右手で黒チビを指差し、この瞬間に、この時間に強さを刻み込む。



「僕はかーなーり・・・・・・強いっ!!」

【「な・・・・・・なにそれっ!?」】

≪ついでに言っておきます。本家本元から使用許可は得ています。あと、私が主人公です≫

「ついでのついでに言っておくっ! うっさいわボケっ!! 僕が主人公だよっ!!」





言いながらもそのまま飛び出す。襲い来る黒い弾丸の雨を避けながら、ひたすらに直進。

・・・・・・遅い、遅い遅い遅い遅いっ! こんなんでリーゼフォームの速さについてこれるわけないでしょうがっ!!

そのまま、鞘に収めた状態のアルトに魔力を込める。



そして打ち上げるのは皆様お馴染み・・・・・・・全てを斬り裂く青い刃。





「鉄輝・・・・・・!」



僕がの接近を止められない事に気づいて、黒チビは後ろを振り向いて逃げようとする。

だけど、そんなんじゃ逃げられない。僕はそのまま零距離へと踏み込み、アルトを抜き放った。



「一閃っ!!」



生まれたのは青い閃光。全てを斬り裂く刃は抜きで放たれ、黒チビを真一文字に斬り裂いた。



「・・・・・・瞬(またたき)」



目の前で、黒チビが叫びながら消えていく。そしてその代わりかどうかは知らないけど、あるものが生まれた。


それは黒いたまご。表面に赤いバツが付けられて・・・・・・ほら、正解だったでしょ?



「やっぱり関わりがあったか」

≪みたいですね≫



うん、自信はあった。だって最悪ゾーン突入してたし。えっと、まず朝家を出たら黒猫が前を通り過ぎたでしょ?

本局で空き缶踏んでコケて、転送ポート入った途端に故障発生で2時間足止めされて・・・・・・あははは、泣いていい?



≪しかし・・・・・・あなたの運の悪さもたまには役に立ちますね。
普通に歩いてるだけで、確信に触れちゃうんですから≫

「うっさいよ。とにかく、これは回収っと」





アルトを鞘に戻してから、右手を伸ばして、たまごを持つ。持った感じは・・・・・・普通だよね。



ただ、ここからが普通じゃなかった。そのたまごの色が変わったの。



羽の装飾が殻に描かれた、綺麗な白色のたまごになった。





≪・・・・・・これ、なんですか?≫

「僕に聞かないで」



白のたまごが、なんかもぞもぞしてるけど・・・・・・僕は普通にしっかりと握って逃がさないようにする。



「えっと・・・・・・つまりこれが元で、何かの原因でこれが黒いたまごになってた・・・・・・とか?」

≪まぁ、そう考えるのが妥当でしょうね。そうなると≫

「あの・・・・・・君っ!!」



後ろから声がかかった。振り向くと・・・・・・あ、魔法少女が居た。



「なに、魔法少女」

「魔法少女じゃないからっ!! ・・・・・・それ、返して? そのたまご、あの子のなの」



そう言って、女の子は視線である方向を指す。

多分、さっきの黒チビの横で倒れていた女の子の事を言ってるんだと思う。



「凄く・・・・・・凄く大事なものなんだ。だから」

「返さないって言ったら?」



意地悪く言うと、女の子の表情が険しくなる。というか、睨んで来た。



「そんなの絶対だめ。返して・・・・・・もらうから」



そう言って、女の子が構える。いつの間にか傍らに来ていた青い子と緑の子も同じ。

警戒心剥き出しにして、僕の事を見出した。・・・・・・なるほど、本気ですか。



「喧嘩売るなら、相手を見て売った方がいいよ? 言ったでしょうが、僕は・・・・・・かなり強いって」

≪こちらも少し事情込みなんですよ。このまま『はい、そうですか』は納得出来ませんね。
・・・・・・まぁ、色々調べた上でお返しするというのであれば、分かりますが≫

「ダメ。今すぐに返して」



うわ、言い切ったし。それで敵意と警戒心が増して・・・・・・これ、そこまで大事なものなんだ。



「アンタ達にどんな事情があるかは知らない。でも、あたしも言ったよね。そのたまごは凄く大事なものだって」

「ほう。、つまり・・・・・・負けると分かっててもやりあう覚悟は満々と。バカだねー」

「負けないよ。てゆうか、バカじゃないよ。大事なもの取られそうになったら、誰だって一生懸命取り戻そうとするよね」



・・・・・・ほう。中々吠えるね。



「なにより、負けるかどうかなんて・・・・・・やってみなきゃ分かんないじゃん」

【そうだそうだー! 私達の事、バカにしないで欲しいんだけどっ!?】



はぁ、しゃあないか。フェイト、みんな・・・・・・ごめん。僕、なんかハーフボイルド入ってるわ。



「やっぱバカなんだ」

「なっ!!」

「当然でしょうが。目の前の相手の強さを見抜く事、そうして無駄な戦いを避ける事。これだって立派な実力だもの。
やってみて負けましたーじゃ、お話にもならない。ただ・・・・・・僕はそういうバカが嫌いじゃなかったりする」



僕はそのまま女の子に背を向けて、歩き出した。



「え・・・・・・ちょっとっ!?」

「返してくる」

「え?」



首だけ振り返る。そして、呆けたような顔の女の子を見る。



「だって、あの子の大事なものなんでしょ? 可愛い女の子に嫌われるのもごめんだし、返してくる。
・・・・・・あ、でもどうやって返せばいいか分かんないや。よく分からないけど、割れたりしたらダメなんだよね」

「だめっ! それだけは絶対だめっ!!」

「だったら、悪いけど教えてくれるかな。このたまごの事、僕よりは詳しいんでしょ?」

「あ・・・・・・うん、分かった。てゆうか、手・・・・・・離せばいいから。そうすれば自分で戻ってく」



言われた通りに、僕はその白いたまごから手を離す。たまごは手から浮き上がって、そのままどこかへ飛んで行った。

・・・・・・いや、あの女の子の所にかな。方角的にはそっちぽかったしさ。



「これでいいの?」

「うん。てゆうか、あの・・・・・・ありがと」

「いいさ、別に。僕が同僚に叱られる程度で済むし」



それだけ言うと、僕はセットアップを解く。さっきまでの私服姿に戻った。

女の子も同じ。さっきまでの制服姿に戻った。



「・・・・・・お話、終わりですか?」

「うん、終わりだよ」



そう言って、後ろから空気を読んでリインがてくてくと歩いてきた。そのまま、左手を出して手を繋ぐ。

・・・・・・アレ、なんかおかしいな。でもまぁ、いいか。これもいつものノリだし。



「ね、君・・・・・・あとその子も、一体何者? なんか刀持ったり姿変わったりしたしさ。
×(ばつ)キャラ・・・・・・あ、あの黒いのなんだけど、それ見てもあんま驚いてないし」



なるほど・・・あれは×キャラって言うのね。あ、もしかしてあのたまごは×たまとか



≪まさか×のたまごは×たまとか言うんじゃ≫

「・・・・・・正解」

「またそのままなネーミングですね」

「僕はそのまま過ぎて怖いくらいだよ」



でもあの白いたまご・・・・・・綺麗で可愛くて、それでとても温かかった。

あとは見ているだけでこう・・・・・・ドキドキというか、優しい気持ちになったっけ。



「あー、それと」

「なに?」

「驚いてないとかそういうのは、全く問題ない。だって、世の中には不思議な事が沢山なんだよ?
時を越える電車があったり、魔法使いが居たり、超能力者が居たり」



右手で親指から指折り数えながらそう言う。・・・・・・うん、世の中には不思議な事が沢山。



「銃器持った奴100人相手でも、一人で倒せちゃうくらいに強い人達だっているし」

「なにそれっ!? てーか、そんなのあるわけないじゃんっ!! ・・・・・・いや、超能力者はありそうだけど」



うん、普通はそう思うよね。でもね・・・・・・事実なんだ。そして、それがまた恐ろしいの。



「というか、何者とかそういうのは僕のセリフ。そっちこそなんなのさ」



少なくとも魔導師じゃない。でも、あの跳躍能力は魔導師のそれ・・・・・・いや、それ以上?

軽い飛行能力も兼ねてた感じだし、なんなんだろう。アレは。



「・・・・・・でも、幸運なのかな。まさかこんなところで生粋の魔法少女に出会えるとは」

「だから、魔法少女じゃないからっ! そんな一昔前のと一緒にしないでっ!!」



・・・・・・中々ひどい事を言う子だ。あぁ、なのはが泣いてるよ。すごい勢いで泣いてるよ。

でもね、なのは・・・・・・おのれは魔王だから。魔法少女じゃないから。魔法でも少女でもないから。残念だったね。



「だから名乗ったじゃん。通りすがりの古き鉄だってさ」

「それじゃあ分かんないってばっ! 君、名前とか無いのっ!?」

「ある」



僕はあの子の顔を見る。夕日に照らされてるせいか、頬が赤く染まっているあの子を、真っ直ぐにだ。



「・・・・・・僕は、蒼凪恭文だよ。魔法少女」

「だから魔法少女じゃないってばー!!」

「・・・・・・あむちゃん、呼ばれたくなかったらちゃんと名前教えた方がいいよ」

「ボクもそう思う」

「ですですぅ」



うむぅ、中々鋭い所をつついてくる子達だね。いや、お話すると楽しくなりそうだよ。



「ほら、その子達の言う通りだよ。魔法少女と呼んで欲しくないんでしょ?
だったらまずは名前を教えなさい。全部そこからでしょうが」

「・・・・・・え?」

「・・・・・・なんでそんな不思議そうな顔するの?」

「あの、君・・・・・・もしかしてボク達の事、見えてるのっ!?」

「うん」



何を今更。もうバッチリ見えてるもん。すっごいくっきりクリアですよ。



「リインも見えてますよ?」

≪私もですね≫

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」










・・・・・・よく叫ぶなぁ。そんなんで疲れないのかね?





なお、この後でこの子達がなんでこんなに驚いたのかを、よーく思い知る事になる。



















『とまとシリーズ』×『しゅごキャラ』 クロス小説


とある魔導師と古き鉄とドキドキな夢のたまご


第1話 『モノホン魔法少女との遭遇。とりあえず・・・・・・魔王は見習え』





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