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小説(魔法少女リリカルなのは:二次小説)
Memory28 『もっと! 輝けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』


某所にある居酒屋個室――ここに会場で知り合った人達を招き、密かな会議を始める。そう、それは。


「はーい、これからAGEファンクラブ定例会議はじめまーす」

『はーい!』


ガンダムAGEファンクラブだ! いやー、恭文君のAGE-1が注目されてて、その関係で知り合ってねー! すっげー団員増えちゃった!


「えー、団長は先日ね、よさげな模型店に寄ったんだよ。そしたらめっちゃいい事があったんよ」

「なんすか、AGEのプラモが九十九パーセントオフだったとか」

「いや、そんなわけないだろ! ……ないよな?」

「ギャグのつもりなのに笑えない不思議」

「んで、いい事ってなにがあったんですか」


隊員AとBが早く早くと急かすので、上座にいる俺はまぁまとなだめ……三回転半捻りで天井を指差す。


「なんと……未来のAGE信者を作る事に成功した!」

『な、なんだってー!』

「しかも美少女!」

『うおおおおおおおおおおおお!』

「美少女――! 大事なことなので二回言った!」

「団長、マジぱねーっす!」


あははははははは! みんなそんなに興奮するな! それもこれも、あの青髪な子のおかげだよ!

だってめっちゃ良心的に、プラモの内容とかも説明してて……価格も凄かったしね! そうだ、アレはきっといい意味だ!


「さすがAGE愛のあまり、会場で警備員さんにお世話になるだけはありますね!」

「おい、それはほめてんのか! それとも貶してんのか!?」

「どっちもです!」

「ですよね! さて、みんな大好き最高にかっこいいAGE-1FWの次の相手だが」

「ユニコーンの改造機……確か、団長の先輩」

「あぁ」


右指を鳴らし、背後にモニター展開。そこに映るのはダーグ先輩らしい、野性味溢れる動きをしているユニコーン。

まさしく可能性の獣だよ、これ。可能性すげーよ、シャイニングフィンガーもOKなんだから。


「大丈夫ですかね」

「馬鹿野郎! 俺達が恭文さんを――AGE-1を信じないでどうする!」

「うむ、その通りだ。それにある筋からの情報だが、AGE-1FWの改造も確実に進んでいるようだ」


次にモニターが映し出すのは、二回戦のバトル。アデル用の肩や足パーツも使ったリペア状態ながら、地形と状況を活用した戦闘で勝ち抜いた。

ここから更に……その姿を想像し、団員達がざわざわとひしめく。


「なにも恐れる事はない」

「そうだ! AGE-1FWに恭文さんの腕! そして俺達の応援があれば敵なしだぜ!」

「よし! 大会本番は周りのお客さんに迷惑をかけず、かつ恭文君が戦いに集中できるように騒がずに、そして精一杯の気合いを込める事!」

『押忍!』

「でも迷惑をかけないよう気を付けるべきなのは、団長じゃないですかね?」

「あ、それ言っちゃう?」


笑いの絶えない素晴らしいファンクラブ……それがここにある。後は自慢の料理を振る舞いつつ、他の試合も観戦。

いや、探してみるとAGE機体を使ったファイターもそれなりにいてさ。俺達にとってはその全てが癒やし……ありがたやありがたや。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日はイオリくんの試合……でも、わたしには関係がない。それなのにどうして会場にきたんだろう。

晴れる空とは真逆に、心は曇ってばかり。ため息を吐き、会場入り口に背を向ける。帰ろう、わたしがいても。


「帰るのかい、お嬢さん」


そう思ったら目の前に影。見上げると、あの変なおじさんがいた。


「……変なおじさん」

「ここにいるという事は、ガンプラバトルに興味があるという証」


おじさんにウィンクされ、両肩を掴まれる。そして優しく……嫌悪感など全く沸かないほど、優しく紳士的に振り向かされる。


「さあ行こう」

「あ、ええと」

「これから向かう先には究極の戦いがある。入場は無料だしね」

「いえ、あ、その」



魔法少女リリカルなのはVivid・Remix

とある魔導師と彼女の鮮烈な日常

Memory28 『もっと! 輝けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ユウキ先輩――ザクアメイジングは宇宙(そら)を飛ぶ。リフター搭乗のジャスティスガンダムが追いすがり……凄い。

SFSも兼ねているバックパックリフター【ファトゥム-00】、その推進力は生半可じゃない。

ジャスティスガンダムもRGモデルを改良しているし、かなりの速度なのに。そんなリフターと同レベルの加速で宇宙を突き抜けていく。


そんなザクアメイジングに追いすがり、ジャスティスは右肩の【RQM51パッセルビームブーメラン】を取り出す。

鋭角的なスパイクにも見えるそれが右手で掴まれ、左薙に振るわれながら投てき。ビームの刃を出し鋭く回転――ザクアメイジングへ迫る。

でもザクアメイジングは右へローリング。更に振り返りながら、脇を掠めるビームブーメランには構わず射撃。


戦車砲を改造したと思われるロングライフルから、鈍い砲声が響く。次の瞬間、砲弾は追いかけるジャスティスの頭部と胴体上部に命中。

頭部が吹き飛ぶ中、ザクアメイジングはライフルを放り出し加速。その加速も一気に最高速度へと到達するもので、目を奪われる。

着弾衝撃で停止したジャスティスガンダムへ近づき、バックパックからヒートナタを取り出し唐竹の斬り抜け。


その交差は一瞬、瞬きなんてしていたら見逃すほどに流麗で圧倒的。胸に震えるものを感じていると、一刀両断されたジャスティスが爆散する。


≪――BATTLE END≫

「ユウキ先輩のザクアメイジングが、更にチューンされている……なんて人だ」


感動というより、もはや恐怖のレベルだ。この人はどうして……この年でこれだけの能力を発揮できるんだ。

他の出場者から見ると、明らかに能力が一桁違う。上げていた髪を下ろし、そんなユウキ先輩がほほ笑みながら僕達の方へ。

ザクアメイジングもしっかり回収し、そのまま試合会場の壁際へ引っ込んだ。


「あれだけの完成度を誇っていながら――!」

「は。オレ達の方が強いって、この大会で証明してやる」

「もちろん僕も楽しみにしている」


ユウキ先輩の声が後ろから……レイジは敵意むき出しで振り返った。


「でも、その前に三回戦へ集中した方がいい」

「……あー、キララってのか。それなら安心しろ、ある奴にも注意しろって言われたばっかでな」

「ふ、いらぬお世話だったか」

「そんなとこだ」


レイジが冷静……でも次の対戦相手って誰だっけ。えっと、キララっていうキラキラネームっぽい感じだったけど。


『ただいまより、第七試合を始めます』

「お、きたきた。行こうぜ、セイ」

「うん」


レイジと一緒に指定されたバトルベースへ。先を進むレイジに追いすがると。


『せーの!』


ん、いきなり野太い声が客席から。


『キララァァァァァァァァァァァァァァ!』


というか周囲から響いて、ついレイジと二人震えてしまう。更に妙にテクノな音楽が鳴り響く。

向かい側の入り口が開け放たれると、ピンクツインテールに白ビキニっぽい服装の……お姉さんがいた。

お姉さんは楽しげにうたいながら、スタッフTシャツを着ている人にライトアップされ入場。


「ハァ〜イ! みんなのアイドル、キララだよ! ――キララン♪」

『キララァァァァァァァァァァァァァァ!』


お姉さんは更にウィンク……スタイルはかなりいい、くびれもしっかり。でも、何か痛い!

「なんだ、あれ」

「ぼ、僕に聞かれても!」

「キララァァァァァァァァァァァァァァ!」

「「ラルさん(のおっさん)!?」」


ちょ、今ラルさんの声がしたんだけど! え、ラルさんも知ってるって事は……分かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

この人多分、アイドルか何かだよ! キララっていうのは芸名で……そうだそうだ、それなら分かる!

如月千早さんが世界大会出場とかして、その流れからガンプラをやっているアイドルが増えたってネットで言ってたもの!


「こんにちは、キララだよ。お手柔らかに……ね♪」

「……サクッと倒すぞ」

「ペース乱されちゃ駄目だよ!?」


やば、レイジがドン引きだよ! すっごいテンションも下がってるし! だ、大丈夫かな……今回のバトル!


「ところでビルドストライクは」

「……破損箇所はあれ以外なかった。そこは予備パーツに入れ替えているから、万全だよ。でも、ほんとどうして」

「セイ、お前言ってたよな。もう負けたくない……ってよ」

「あ、うん」

「だったら、気持ちを強く持て」


レイジが固い声でそう言って、僕の背中を強めに叩く。……励まして、くれてるんだろうか。

そう、だよね。レイジは昨日だって勘違いバリバリだったけど、僕の言葉を信じようとしてくれた。だったら僕も。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


≪――Plaese set your GP-Base≫


ベースから音声が流れたので、手前のスロットにGPベースを設置。ベースにPPSEのロゴが入り、更に僕とレイジの名前が表示される。


≪Beginning【Plavesky particle】dispersal. Field――City≫


ベースと僕達の足元から粒子が立ち上り、フィールドとコクピットを形成。今回は都市部……川が近いね。


≪Please set your GUNPLA≫


指示通りガンプラを置くと、プラフスキー粒子がガンプラに浸透――スキャンされているが如く、下から上へと光が走る。

カメラアイが光り、首が僅かに上がった。粒子が僕の前に収束。メインコンソールと操縦用のスフィアとなる。

モニターやコンソール、計器類は淡く青色に輝き、アームレイカー型操縦スフィアは月のような黄色。


コンソールにはガンプラ内部の粒子量も逐一表示され、両側に配置された円系ゲージが忙しなく動く。

レイジが両手でスフィアを掴むと、ベース周囲で粒子が物質化。機械的なカタパルトへと変化。

同時に前・左右のメインモニターにカタパルト内の様子が映し出される。


≪BATTLE START≫

「ビルドストライクガンダム!」

「行くぜ!」

『キララ、いっきまーす!』


レイジの操縦でビルドストライクはカタパルトを滑り、空へ飛び出す。そのままブースターの機動ウィングを展開し飛行開始。

向かい側からは……キララさんの髪と同じ色のガンプラ。流線型のボディに、両横へ張り出した上半身。

張り出す原因は肩アーマーに埋め込まれている大型スラスター。あれと同型が背部にも装備されている。


速射型のビームマシンガンと、左右の腰部側面にはビームサーベル。左右前腕部に110mm速射砲装備。

左側頭部からロッド型アンテナが伸びるそれは。


「ガーベラ・テトラだ! 本来ならガンダム試作4号機となるはずだった機体!」

『ご存じじゃないの!』

「それがなんだって!」


川上で正面衝突――距離五十というところでレイジがビームライフル三連射。

それに対しガーベラ・テトラは、両肩のスラスターを的確に噴射。左右へのローリングで細やかに回避していく。


「速い!」


言っている間にガーベラ・テトラが接近し、レイジはそれをシールドで防御。

吹き飛ばされながらも距離を取り、陸地――ビルとビルの間に着地しつつバックステップ。


「その程度!」


そのまま再度浮上し、ガーベラのビームマシンガン連射を回避。レイジは……よかった、テンションが元に戻ってた。

ガーベラはまき散らす弾丸で、地面を一直線になぎ払う。その間にライフルの出力を最小・速度重視に設定。

鋭い射撃で斜め上からマシンガンを打ち抜き、爆散させる。ガーベラはそれを放棄し、左へ回り込みながら再接近。


更にビームサーベル二刀を抜いてくる。イーゲルシュテルンとライフルでの拳聖射撃をすり抜け、頭上を取りながら唐竹一閃。

チョバムシールドで防御している間に、レイジはライフルを落とす……いいや、捨てる。

すぐさま右のサーベルを接続器部から回転させ、ビーム展開。発生部分をガーベラに向け、その左肩に突き立てる。


『ち……!』


更にそのままサーベルを抜き出し、相手のサーベルを横へ流しつつ刺突・逆風一閃。腕を根本から斬り落とし、ビルドストライクは右回し蹴り。

ただガーベラはすぐさま退避し、ケリをすれすれで回避。残った右腕から速射砲発射。

乱れ撃たれる弾丸達はとっさにチョバムシールドで防御するけど、サーベルをずっと突きつけられていたのが痛かった。


積層プラ板の弱いところを次々と撃ち抜かれ、シールドは崩壊。破片がまき散らされる中、弾丸を胴体部へ食らう。

ビルドストライクが爆炎を上げながら軽く吹き飛ぶけど、レイジは素早く軌道修正。ガーベラ・テトラとほぼ同時に陸地へ着地する。


「レイジ!」

「大丈夫だ! でもやるじゃねぇか、わざわざ対戦相手に変な事する必要もないくらいにな!」


ちょ、何言ってるの! いきなり失礼な。


『……そう言うって事は、見つけちゃったんだ』


そこでキララさんがとても……とても低い声を出し、そんな事を口にする。見つけた? 何を……この人は、何を言っている。


「……やっぱお前か。化粧や髪型が変わったくらいじゃ、セイはともかくオレの目は騙せねぇぞ」

「化粧? 髪型? レイジ、一体何を」

「声もそのままだしな」


声……声!? もう一度キララさんの声を思い返す。あの、悠木碧さんボイスは……まさか!


「ミホシさん!?」

『せいかーい……キララン♪』

「あの傷も、本当に……僕らと戦う事も知っていて」

『戦場に向かう前から、戦闘は始まっているの!』


ガーベラ・テトラが左に加速。大型スラスターによる突進力でビルの陰に隠れ……一瞬でこちらの背後を取ってくる。

ビルドストライクは機敏に振り返り、ガーベラ・テトラと袈裟の斬撃をぶつけ合う。

嘘だ……! 嘘だよ、ミホシさん! 僕もビルダーだから分かる! 確かにこのガーベラ・テトラにはオリジナリティはない!


でもすっごく丁寧に作って、すっごく強くて! 信じたくない、こんなの……!


「嘘だと言ってよ、ミホシさん!」

『嘘じゃないわー。大人は汚いものよ、セイ君。……如月千早のせいよ、全ては』

「チハヤが何したってんだ!」

『したわよ。事務所の方針でいきなりバンダイチャンネルに登録させられて、二十作以上も見たくもないアニメ漬けにされて。
ガンプラも、ガンダムも興味なんてなかったのに……アキバ系ガンプラアイドルなんて、ほんとね』


つまり如月千早さんの影響で、事務所からガンプラもできるアイドルになれって強制されて……!?

言葉の一つ一つに動揺していると、サーベルを構えながらの速射砲連射。零距離からのフルバーストは腕や胴体部にまたも命中。

衝撃に耐え切れず右腕が二の腕から破損。サーベルも地面へと落としてしまう。


たじろぐビルドストライクへ、ガーベラ・テトラは躊躇いなく右薙一閃。胴体部前面が抉られ、ダメージ表示が展開。


『ロボットの名前を大量に覚えさせられて!』


更にガーベラ・テトラはサーベルを投てき。それはこちらの左しつ関節を貫き、一気に動きを止められる。

これは、刹那・F・セイエイの得意とするビームサーベル投てき!? こんな技術まで持ってて、どうして!


『アイドルやってるんだか、ビルダーやってるんだかも分からないような生活を何日も、何か月も……!』


レイジは崩れたバランスを立て直し、一本足でぴょんぴょんと跳び下がる。まずい、レイジも冷静じゃない!

キララさんが持つ執念が、望んでもいない活動をさせられた恨みつらみが凄いから! これは、紛(まぎ)れもないプレッシャーだ!


『でも夢があった! だから諦めずに食い下がった……それだけの事よ!』

「嘘だ!」


叫んでいる間に、ガーベラ・テトラは僕達の落としたサーベルを拾い再利用。

そこからビームを展開し……レイジは慌てて左手でサイドアーマーのサーベルを取り出し、またつばぜり合い。

でも押し込まれるばかり……いや、レイジはイーゲルシュテルンをフル稼働。また速射砲の至近距離連射に晒されながらも、必死に抵抗する。


「本当にガンプラが、ガンダムが嫌いなら、こんなに強いガーベラ・テトラを作れるはずがない!」

『誰が自分で作ったって言ったー?』

「へ?」

『ツーショット写真と引き換えに、ファンに作ってもらったのよ――キララン♪』


……その言葉で糸が切れるのを感じた。作ってもらって、対戦相手に近づいて……そうか。


『私はどんな手を使ってでも勝つわ! 露出が増えれば知名度も上がる! 知名度も上がればマスコミだって取り上げてくれる!』


怒りはなかった。ただそうしてでも勝ちたい理由が、叶えたい夢がある。僕だってそれは否定できない。

僕だって理由があるから……それが本当に望んでいない事なら、きっとミホシさんは勝つ事で救いを求めた。

僕と、同じだ。分かる……ミホシさんの気持ちが、痛いほど分かる。でも僕にはレイジがいた。


自分勝手で自信過剰な奴だけど、僕の理想を叶えて……一緒に戦ってくれている。きっとミホシさんにとってのファンと同じ。だけど、だけど。


『その先にはメジャーデビュー! ファーストアルバム――武道館!』

「……レイジ、合図したら全力で後退。左腕は」


コンソールを叩き、こちらのサーベル出力を調整。向こうは僕達のサーベルを使っているし、機関砲撃の火力で押し負ける。

ビルドストライク、ごめん。吐き気がするほどの痛みを抱えながら、本体の全出力を左腕に集中。

ボディに充満しているプラフスキー粒子が活性化し、フレームという血脈に乗って腕へと集まっていく。


『ごめんね、セイ君……代わりにアリーナのチケットを送るわ!』

「くれてやる――!」


……そして手を通じ、サーベルへと凝縮される。ただひたすらに……結果こちらの粒子刃は一気に三回りほど太くなる。

限界を超えた出力ゆえに、サーベル基部が火花を上げる。そして向こうのビームサーベルも飲み込み。


「今だ!」


大爆発を起こす。サーベル基部二本も、壊れかけたこちらの腕も、もちろんガーベラ・テトラの右腕と機関砲も巻き込み、炎が生まれる。

その炎に煽られ、二機は吹き飛ぶ。いや……こちらは勢いに乗っての退避! 向こうとは受け止め方が決定的に違う!


『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


こっちも腕が吹き飛んだけど、向こうの武装も全て失われた! だからあとひと押し!


「レイジ、十二番のスロットを!」

「お、おう!」


ビルドストライクのバックパックがパージ。それは折りたたまれていた機種を一瞬で展開し、頭上へと加速。

トップスピードへはすぐさま到達し、操縦者のレイジは目をぱちくりさせる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


二回戦まで不戦勝だったから、どういう事かと思っていたら……これはまた。しかも実際に腕が立つのだから、余計に盤石というわけか。

分かってはいた。ガンプラを突き詰めればこういう事もあるんだと。ガンプラ塾で、そしてエキシビションマッチで嫌になるほどだ。

だが……たぎる。怒りと口惜(くちお)しさで血がたぎる。こんな事は止めなくてはいけないのに、その力がない。


僕はまだ自分の鍵を研ぎ澄ませていない。だから彼女のような人間を『解錠(アンロック)』もできないんだ。

それは必死に押さえ込みながら試合を見守っていると、ビルドストライクの左手及び保持していたサーベルが爆発。それには驚かされる。


「機体の粒子を集中し、自爆させただと!」


いや、あのままではさっきの二の舞いだ。斬りつけるにしてもやはり機体へのダメージが問題になる。

しかも相手はビルドストライクのサーベルまで奪っている。だからと言って左手を犠牲にするか。

よくやる――! そう、この自爆は覚悟の証。相手の武装を奪うと同時に、爆風も利用して一気に退避。


更にバックパックが分離し、飛行形態へ変形。飛び出した機首が向くまま、彼らは高く昇る光となった。


「あれはファイター……いや、ブースターか!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


込み上げてくる吐き気と痛みを必死に堪え、ブースターの各部出力制御。想定通りに動いているのを実感して、留飲が下がる。


「おいセイ、こりゃなんだ!」

「ビルドブースターだよ!」

「そういう事か!」

『何よそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ……あ』


そうですよ、ミホシさん。言ったでしょ? 隠し機能があるって……これは脱出機としての側面も持っている。

ガンプラバトル選手権は、一対一な上にトーナメントだから負けも許されない。

もし今回みたいに双方ジリ貧で相打ちになりかけた場合、決め手になるものが必要。


できればユウキ先輩戦までは出したくなかったんだけど。ザクアメイジングはブースターなんてなさそうだしさぁ。

ビルドブースターは高く――リングアウトすれすれまで上昇し、そのまま自由落下しながらUターン。

当然ビルドブースターは備えているビームキャノンも使用可能。だからレイジも狙いを定め。


「キララ……でいいよな! オレはどうにもならないことを無理やりにでもどうにかする、お前みたいな奴は嫌いじゃないぜ!」


それはやめてほしいな。まるで自分の事を言われているようで……いや、言っている。

レイジは笑顔で叫びながら、認めているんだ。ミホシさんの本気を。そこには嘘なんて微塵もないと。

ビームキャノンから赤い奔流を放たれ、それで逃げようとしたガーベラ・テトラの両足を撃ち抜く。


数百メートル先からの狙撃――でも両腕をもがれ、機動力も激減したガーベラ・テトラには避けられない。


「けどな――オレ達にも負けられない理由があるんだよ!」


そして神の鉄ついを思わせるように、第二射が放たれる。空気を焦がし、赤い雷鳴は地表へ降り立つ。

その中で横たわる、半死半生な花を散らすために。そう、夢という名の花を。


≪――BATTLE END≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


イオリくんのガンプラはどんどんボロボロになって、あのキララって人はやっぱり強くて。

もう負けちゃうって思ったら、翼が離れて空に飛んだ。それからビームが出て、キララ――ミホシさんのガンプラが倒された。

ピンク色のガンプラが爆発して消えて、勝負は決着。客席からおじさんと一緒に、試合会場へ入る。


どう言葉を伝えていいかは分からない。でも……やっぱり、踏み込まないままは嫌だったから。


「そんな……私の、夢が。キララの夢がぁ」


ミホシさんは涙目で崩れ落ちて、イオリくんはガンプラを手に取り落ち込んだ表情。そんなイオリくんを、あの子が肩を叩き慰めた。


「まぁ、あれだ。くよくよすんな」

「でも、もうガンダム談義をミホシさんとできないなんて」


そう、だよね。ガンプラがボロボロだし、あの人も結局悪い人で……え?


「……そっちかよ! え、お前はあの女が好きだったんじゃ!」

「あのねぇ……勘違いしてるみたいだけど、本当にそういうのじゃないよ。ただのお客さんって言ったじゃないか」


ただの、お客さん。じゃあわたし、勝手に勘違いしていただけ? イオリくんはそんなつもりなんて全然なくて。


「そうだ! もっとガンプラの楽しさを伝えたら、きっと好きになってくれるんじゃないかな!」

「アレで、か?」

「びえーん! わたしの努力がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「また一緒に頑張りましょう!」

「もっと強いガンプラ作るっス!」

「来年まで待てないー!」


どう見ても、無理じゃ。というか許してるの、ひどい事もされたっぽいのに。勝手な事を言って……どうして。

わたしは許せないよ。そうだ、一言言ってやる。もうイオリくんの前にこないでって。


「ていうかお前、それで許せるのかよ」

「僕も、同じだから」


でも踏みだそうとした瞬間、イオリくんの言葉が胸に突き刺さった。


「僕も勝つ事で夢を、理想を叶えようとしていた。レイジがいなかったら、もしかしたら」

「セイ」

「だから伝えたいんだ。ガンプラの楽しさだけじゃなくて、もっと別な気持ちも」


それはもちろん、わたしがぶつけようとした怒りじゃない。もっと深い何かをイオリくんは見ている。ずっと気になっていた、あの星の瞳で。

でもどうしてあんなにすぐ許せるんだろう。同じだから……それだけじゃない。でもそれが分からなくて、足が止まる。

……だったらそれも含めて知っていけばいい。そう考えて、鉛のように重かった足を方向転換。すると二人がこっちに気づいた。


「……委員長? 応援に来てくれたんだ」

「おめでとう。イオリくん、レイジくん」

「さんきゅー」

「ありがとう、委員長!」

「えっと、それから……この前買ったガンプラ、作り方が分からないところ、あるの。今度教えて……もらえる?」

「もちろん! あ、何なら今からうちのお店にくる!?」

「――うん、いく!」


それからイオリくんは、あの人にも声をかけた。あの人はすっごくびっくりしてたけど、だからこそイオリくんは本気をぶつける。

伝えたいという本気を、その中にある、夢を応援したいという本気を。確かにレイジくんが言うように、イオリくんは馬鹿なのかもしれない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


試合直前まで、形態で第三ブロックの様子を確認。セイとレイジ、きっちり勝てたみたいだね。

しかし相手もかなりの実力者……ならば、僕も続こうじゃないのさ。右肩を回しながら、指定されたユニットベース前へ。

リインと二人、のっそりとやってきたダーグと向かい合わせに立つ。


「ついにこの日がやってきたな、やすっち!」

「勝たせてもらうよ、ダーグ」

「そりゃこっちの台詞だ」


お互い威圧するように笑って、笑って……笑い続ける。楽しくなりそうだとワクワクしたところで。


≪――Plaese set your GP-Base≫


ベースから音声が流れたので、手前のスロットにGPベースを設置。ベースにPPSEのロゴが入り、更に僕の名前が表示される。


≪Beginning【Plavesky particle】dispersal. Field――Space≫


ベースと僕達の足元から粒子が立ち上り、フィールドとコクピットを形成。今回は障害物なし……真正面からのタイマンかぁ。


≪Please set your GUNPLA≫


指示通りガンプラを置くと、プラフスキー粒子がガンプラに浸透――スキャンされているが如く、下から上へと光が走る。

カメラアイが光り、首が僅かに上がった。粒子が僕の前に収束。メインコンソールと操縦用のスフィアとなる。

モニターやコンソール、計器類は淡く青色に輝き、アームレイカー型操縦スフィアは月のような黄色。


コンソールにはガンプラ内部の粒子量も逐一表示され、両側に配置された円系ゲージが忙しなく動く。

両手でスフィアを掴むと、ベース周囲で粒子が物質化。機械的なカタパルトへと変化。

同時に前・左右のメインモニターにカタパルト内の様子が映し出される。


≪BATTLE START≫

「蒼凪恭文」

「蒼凪リイン」

「ガンダムAGE-1FWリペア――目標を駆逐する!」


AGE-1はカタパルトを滑り、星々の輝きへと飛び出す。……そしてさほど経たず、二時方向に反応キャッチ。

距離は六百――いや、四百、三百!? この加速はと思っていると、モニターの一部がズームイン。

そこには緑色の光に包まれているユニコーンがいた。く、早速スーパーモードを使ってるし!


惰性などガン無視の鋭角的な機動。そこから放たれる赤い奔流――ビームマグナムを、接近しながらすれすれで回避。

跳ねるような連続ローリングで相手の惑いを惑わせつつ、背部MDユニットを回転。

ビームガトリング弾をまき散らし、まずはけん制。ユニコーンも一気に百メートル以内へ入りつつ、まき散らされた弾丸を回避。


そのまま上昇したかと思うと一気に下降し、後方へ回り込んでくる。

急停止し宙返り……至近距離で放たれたビームマグナムを避け、両足MDユニット展開。

小型ガトリングをまき散らすと、不意打ち気味の弾丸によってビームマグナムは撃ち抜かれ爆散する。


『足から弾丸だと!』


シールドからのビーム射撃を右ローリングで避け、振り返りながらソードライフルで逆袈裟一閃。

一気に踏み込んできたユニコーンは、ビームトンファーを展開し斬りかかっていた。

バツの字に振り下ろされる刃を払い、頭部バルカンも連射しつつ一気に右飛び蹴り。


バルカンの弾丸がユニコーンの頭部アンテナ、ツインアイカメラを叩くと、その超絶機動が一瞬停止。

そこで命中した蹴りでユニコーンを足場にし、もちろん両足のドッズガトリングを掃射。胴体部に軽い穴を開けつつもジャンプ。

その勢いにブーストも加味し、こちらも加速。もちろん両足MDユニットは回転を続けながら、ドッズガトリングをまき散らす。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


くそ、早速こっちの動きを上回ってきただと! スーパーモード的なのもなしでよくやる!

しかもこの弾丸、やべぇ! 何かボディに食い込んでやがる! それも払いつつ、やすっちを追いかける。

加速力及び最高速度、それに小回りもこちらが上。ならば……カレトヴルッフを両手で引き抜き、接近戦の構え。


まずは背部へ回り込み袈裟の斬り抜け。だがAGE-1は右へローリングし、更に左手でサーベルを取り出し展開。

振り下ろしたカレトヴルッフを横から叩き、斬撃をあっさり逸らしてきた。

交差しながらも振り返り、また近づき胴体に刺突――そうして螺旋を描くように急接近と離脱を繰り返し、プカプカと浮いている廃船へ。


緑色のボロっちぃボディを滑るように飛びながら、交差はいくども続く。だが幾ら打ち込もうと全く当たらない。

スピードでは捉えているはずなのに、こちらの攻撃がのらりくらりとかわされるんだ。

今度は足元への刺突……やすっちはこの船【ムサイ】の装甲を足場に着地。すぐさまジャンプし、斬撃を回避。


更に両足……あれはやべぇ! 今度はこちらが着地し、AGE-1の左サイドへ回り込む。

掃射される弾丸が船の装甲を容赦なく貫き、蜂の巣とする。更に回り込んだところでAGE-1がローリング。

サーベルを唐竹に振り下ろしてきた。カレトヴルッフで防御し、執ようなつばぜり合い……つばぜり合いだとぉ!


「このユニコーンが、見切られているというのか!」

『そういう事だよ!』


奴がサーベルを振り切ると、勢いに乗って吹き飛ばされる。しかもあのサーベルも何かおかしいぞ。

カレトヴルッフなら大抵のビーム攻撃やフィールドは斬れるのに、弾かれ続けているというか……ち、本領発揮ってわけか!

そりゃあガンプラ塾の連中と喧嘩できるくらいだ! これくらいは楽勝なのかもな!


なら……こちらへ向けられた背部ガトリングは上昇して回避。流れるようにまき散らされる弾丸も、左腕のシールドIフィールドで全てかき消した。


「こりゃ、ちまちまやってても意味ないなぁ!」


カレトヴルッフを背部へ仕舞い直し、シールドはパージ。もったいない? だって邪魔だろ、さすがにデカすぎる。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ユニコーンは両腕を腰だめに構え、ゆっくりと輝く手を開き、両手でシャイニングフィンガー発動。

言うなら獣の牙そのもの――触れた瞬間に敵を引き裂き、食らいついていく。そういうのなら俺の得意技だ。


『りょ、両手でシャイニングフィンガー!? なんなのですか!』

「ランチタイムに決まってんだろうが!」


もう一度加速し、AGE-1へ肉薄。右サイドへ回りこみつつ、左手でわき腹を狙う。

すぐさまソードライフルが右薙に打ち込まれるが、ビームすら切り裂ける刃は手と衝突し、徐々にひび割れていく。


『ち……!』

「無駄だぁ!」


輝く左手はソードライフルを食らい、かみ砕く。刃から銃身までを抉り、そのままAGE-1の脇を突き抜けた。

そのまま下がるAGE-1と距離を保ちつつ、左右の連続フィンガー。機体各部が悲鳴を上げまくってるが、耐えてくれよ……!

ようやく押し込めてるんだ。AGE-1は指先で肩アーマーや胴体、右側頭部を抉られながらも必死に逃げていく。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


私の試合はまだ……なので、余裕を持って試合観戦。プロデューサーのAGE-1、また動きがよくなっているわね。

でもそれ以上に相手が……いきなりフル稼働って、それだけAGE-1の実力を高く見ているんでしょうけど。


「わぁ、プロデューサーはまた……あの大きい人もすっごく強いね」


左隣に美希と、黒髪ポニテな彼女も登場。左肩には二代目なハムスターが載っていて、勢い良くこっちに手を振ってくる。


「美希。それに……やっぱりきたのね」

「ま、まぁ今日はお休みだったから。でも恭文、苦戦してるのか?」

「毎回相手が強いから」


苦笑しながらバトルに視線を戻す。傷ついていく装甲、勢いを増すばかりの牙……でもあっちの大きい人も焦っているみたい。

防戦一方とはいえ、動きが読まれて致命傷を避けられているんだもの。その辺りでプレッシャーを感じているのよ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


お互い遠距離武装をほぼ失い、真正面からの接近戦……ヤスフミも背中のガトリングが重いのか、乱打をすれすれでかわしながらパージ。

右手でもサーベルを抜き、二刀流で追いすがるユニコーンを何とかさばいていく。

しかしナタは……無意味ですね。恐らくソードライフルに使われているものと同じですから。


バルカンでけん制を続け、身軽になった分動きはより俊敏に。迫り続ける牙で傷だらけになりながらも、腕を切り落とそうと狙ってくる。

しかしダーグもそんな事は分かっていた。ユニコーンの機動性を生かしつつ、肩や腕は何とか保護。

ビームサーベルはシャイニングフィンガーで押しつぶせるので、防御自体は決して難しくない。


二機は至近距離での付かず離れずを繰り返し、フィールドを所狭しと飛び回る。

クイックターンやスラロームを繰り返し、フィールドアウトすれすれなところでUターン。

目で追いかけるのも厳しいほどの機動戦が繰り広げられ、注目している人達は歓喜の声を上げる。


でも毎回驚かされますね、ヤスフミのバトルには。やはり知性派……ダーグもこの対抗手段は意外だったでしょう。

あとはあの超火力をどうするかですが、そこも何かしらの手があると見ていいでしょう。


「……なるほどね」

「さすがはデバイスマイスターと言ったところでしょうか。……ならシャーリーもできそうですね」

「あはは、ありがと」

「ねぇほたる、というかシュテルさんも何がなるほどなのー!? だってだって、AGE-1ってトランザムとかしてるわけじゃないしー!」


どうやらメカいじりができるメンバー以外は、ヤスフミの動きが不思議な様子。シュテルも首を傾げっぱなしですし。


「それは、僕も疑問かも。実際一回戦のダーグさんは」

「トランザムに対し、スーパーモードを発動しました。ですがヤスフミは当たり前の事をしているだけ」

「当たり前の事?」

「適切な推力配置とバランス調整です」


みんながあっけに取られ、もう一度ヤスフミを――AGE-1を見る。思えば前の試合でその兆候はあった。

機動性では勝ると思っていた、キリエのノワール・スラッシャーにきっちりついていきましたから。

今のAGE-1ならば、レヴィのスプライトに対抗する事も難しくないでしょう。


「あー、なるほどね。プラモと言えど人型の戦闘機モチーフ。スラスターを増設するにしても、適切に配置すればより効果的と」

「正解です、ティアナ。更に言えばどのガンプラもデザイナーによって起こされ、ある程度完成されたバランスを持っています。
作中設定もその手助けをしていますから、そこも鑑みて改造すると……あのようになるわけです」

「ガンプラバトルは、ガンプラの出来によって性能が変わるからな。推力配置もその一つというわけか」

「そっか……ブースターをいっぱいつければいいんだ。よし」


奥様がまた勘違いされていますので、あとで訂正しましょう。今は試合に集中したいので。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ち、まさかソードライフルまでぶっ壊されるとは……! あっちこっちからアラームが鳴り響く中、ダーグが急加速。

こちらの背後に回り込んで……とっさに身を捻り、右のサーベルを一旦オフ。更に逆手に持ち替え……そこで衝撃が走る。


「ブロードアンテナ破損! 右メインスラスターも抉られたのです!」

「構うか!」


そのままサーベルを再展開。今突き出された右腕を至近距離で貫き、更に手首回転。

……それと同時進行でもう一つの隠し機体も操作。なおほぼ直感で、軌道確認などはリインに任せている。


「リイン!」

「十秒持たせてください! そのまま直進!」


回転によりローターと化したサーベルが、二の腕を中から抉りきる……まずは右腕!


『しゃらくせぇ!』

「九!」


でも今度はこちらの右腕が、ユニコーンの左シャイニングフィンガーに握り潰され爆散。


「八!」


そのまま振りかぶった左手が手刀となる。……あえて踏み込み、機体を伏せながら体当たり。

手刀が頭部アンテナの右側、更に右肩を粉々に砕く。それに構わず左のサーベルで胴体部に刺突。


「七!」


走る刃によって、ユニコーンは胴体部を貫かれる。このまま中から抉り斬ろうと、刃を返し。


「六!」


でもその寸前で、左手が腕を掴んで止めてくる。そして手首付け根が粉砕され……ちぃ!


「五!」


爆発の衝撃を利用し、一気に後退。ダーグは刺さったままのサーベルを抜き、握り潰す前にこちらへ投てき。

……それに合わせてさっきパージした二基を遠隔操作。あと四秒、稼げれば十分だ。


「四!」


身を逸らしたおかげで、サーベルはこちらの左肩を貫くのみ。でも着弾の衝撃で機体は一瞬停止。

ユニコーンが左手を振りかぶり、こちらに加速。スーパーモード状態なため、それはほぼ瞬間移動に近い接近。


「三!」

『メインディッシュだ!』


そんなユニコーンの背後からまき散らされるのは、ガトリングから放たれた弾丸達。

それをバックパックでまともに食らい、ユニコーンの軌道が僅かに乱れる。機体をあお向けに倒し、力も半減した左腕へ右回し蹴り。


「二!」


軌道を逸らした上で、無防備なユニコーンへ両足蹴り。深追いはせず一気に跳躍し、こちらへ飛んでくるブースターをチェック。


「一!」

『な、なんだ今のは!』


……なお今援護してくれたのは、さっきパージした背部MDユニットだよ。あれ、大型ビットも兼ねてるんだ。

まぁ今回は派手に動かさず、単なる遠隔操作っぽい攻撃にしてるけどね。そのためにわざわざ戻ってきたんだし。

とにかくフレーム型のブースターが戦闘エリアへ突入。それはドリルのように回転しながら、各部スラスターから粒子を噴射。


蒼色の竜巻を生み出しながら、その中へAGE-1を飲み込む。同時にダーグには距離を取らせ……よし、合流!

半壊気味なスラスターを吹かせ、竜巻内部でブースター【AMEMBO】へ接近。なおAMEMBOには赤色の分厚い四肢を搭載している。


「加速、相対位置合わせ……よし! ノーマルウェア、パージ! 両足MDユニットはこちらで制御なのです!」


AGE-1の両腕……ていうかその破片と、両足が付け根からパージ。それはリインの補助もあって、AMEMBOの裏側へ収められる。

そしてAMEMBOが反転。すると赤い四肢がAMEMBOからパージされ、AGE-1へセットされる。

それは豪腕と言うにふさわしき腕。それは筋肉を思わせるほど、力強き脚。赤をメインにカラーリングされた四肢に、エネルギーが満ち渡る。


飛び去るAMEMBOから離れ、竜巻を払いながらユニコーンの前へ再登場。更に離れていたMDユニット三機も操作。

うん、三機なんだ。さっきバックパックがやられたから、一機搭載できなくなったし。

背部ユニット一機は元通りの位置に、両足MDユニットもノーマル時と同じ形で再接続。


ユニコーンはAGE-1を――僕達をぼう然と、まるで神でお仰ぎ見るかのように見上げていた。


『馬鹿な、戦闘中の換装だと!』

「悪いねぇ! うちのチームは最初から二機体制だったのよ!」

「それじゃあいくですよ、AGE-1タイタス!」


……ちなみにズルとか言わないでね? 胴体部はそのままだから、ダメージがあると全開でいけないのよ。


「……とはいうものの、フル出力は胴体部が耐え切れないのですよ」

「一発ぶっ放せればいい! 各部ジェネレーター、及び磁気旋光システムのリミッターを解除!」

「はいです! MDユニット、DODSシステム解放――磁気旋光システムとリンク!」


両前腕装甲がスライドし、円筒形のスロットが展開。そこからビームが走って鋭く回転したかと思うと、それは腕を包むビームチャクラムとする。

両肩部のスリットからはビームスパイクをそれぞれ四本、更に両膝の同型スリットからも三本出力。

回転――そう、回転だ。粒子操作によって生み出された回転力によって、粒子が圧縮。


対象の分子構造そのものを崩壊させる、最強の矛と化す。……あくまでもなんちゃってだけど。

このタイタスも小説版では、全ての武装がこのDODS効果と重力場の応用で生み出されている。

DODSシステムはそんな再現も可能なほど、精密かつ正確な粒子制御技術――これはその一端。


こうする事で機体そのものをDODS効果込みのビームフィールドに包み、『ビームの塊』と化す。

でもまだだよ。MDユニット三基が高速回転。砲口にビームを集束・回転させる。

結果ユニット本体にもDODS効果が生まれ、ガトリングの回転に合わせてそれが広がっていく。


元々生まれていたDODSと重なり、折り合いながらより分厚く強い回転となる。これがMDユニットの本質。

これは単なるビームガトリングじゃないの。本体の回転をも利用し、より強いDODS効果を生み出す複合ユニット。

これが正真正銘、AGE-1タイタスの切り札――ドッズ突撃!


『だったらこっちも正真正銘の奥の手だ! リミッター解除! 全エネルギーをカレトヴルッフへ!』


ユニコーンは左手でカレトヴルッフを取り出し、そこにエネルギーを集中。……やっぱりきたか、シャイニングフィンガーがあるなら。


『シャイニングフィンガーソード――!』


剣もある。機体に充満している全てのエネルギーが、光となってカレトヴルッフを包む。

それは一気に肥大化し、五十……いや、百メートルにも及ぶ、巨大な粒子刃となった。


『これが』



最後の最後は……いや、僕達のバトルは最初からこうだった。真正面から、隠れる事も許さないタイマン。

それが楽しくて笑ってしまう。アームレイカーを引き。


『メインディッシュだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


タイタスは両腕を突き出しながら加速。ユニコーンは機体各部から火花を走らせながらも、巨大な刃を振り下ろす。

こちらはタイタスそのものを回転させ、DODS効果に拍車を掛ける。文字通り巨大な弾丸となったまま、振り下ろされる光の巨剣と衝突。

正面衝突した事で、視界が赤と緑の螺旋に染め上げられる。更に警告ウィンドウが展開しまくり。


サブモニターに映る機体フレームは赤く染め上げられ、そう持たない事を知らせていた。

だったら更に押し込むだけ……! 重くのしかかってくる両のアームレイカーを強引に押し込み、出力上昇。


「もっとだ……!」

『もっと!』


螺旋が激しくなり、光がひび割れていく。もうどちらの光が壊れているかも分からないほど、眩い景色の中。


『『もっと! 輝けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』』


力が、意志が、ガンプラに託した願いが交じり合い、極光が弾けてフィールドに広がった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


剣が砕け、その中を赤いせん光が走る。それにボディが貫かれ、一瞬カメラの映像が乱れた。

アラームウィンドウが次々と展開し、ユニコーンの異常を知らせる。はは……半端ねぇなぁ。

こっちの最大出力、飛び越えやがった。破損もそれなりにあったが、出力自体は問題なかったのによ。


何とか無事な頭だけになるが振り返る。すると背後にいるタイタスは、四肢が見事に吹き飛んでいた。

あのビットらしいガトリングも中程から裂けて大破。胴体部は今にも崩れそうで、カメラアイは点滅を繰り返すばかり。

更に四肢を運んできたブースターも、余波を食らってぶっ壊れたらしい。バラバラな状態でこっちに漂ってきた。


楽しかった。あぁ、楽しかったよなぁ。ここで終わるのは悔しいから、来年また挑戦してやろう。そう思いながら。


「ユニコーン、すまねぇ」


愛機に謝り、その最期をしっかり見届ける。力が抜けていくのを感じながら、消えていく粒子とフィールドを見送った。


≪BATTLE END≫


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「か、勝ったぁ」

「ですー」


今回はヤバかった……いや、いつもの事だけど。苦笑しながら、フィールドに残ったタイタスやソードライフルの破片を拾い上げる。

そして手の中で……形を保っていた胴体が一気に崩壊。大小様々な破片となり、AGE-1FWリペアは大破した。


「恭文さん!」

「……ありがとう、AGE-1。ゆっくり休んで」


これじゃあ修理というより、作り直しだ。AGE-1は……しっかり供養しよう。


「やすっち」


そしてダーグも同じように、両手でユニコーンを持って近づいてきた。

でも僕達の間に悲壮感はない。ただ笑顔……ただやり通したという笑顔だけだった。


「お互いボロボロだなぁ」

「だね。……負けてたわ、AMEMBOを用意してなかったら」

「だな! つまり出来は俺の方が上だったって事だ! おっしゃー!」

「その通りだけどなんかムカつく!」


そう、完成度ではやっぱり負けていた。奇策で何とかしただけで……これじゃあ駄目だという反省も出てきているわけで。


「来年は負けないからな!」

「来年も出るつもりなの!? ていうか、バトルするだけなら来年まで待たなくていいでしょ!」

「お、そりゃ確かに! でも出るからな! やっぱこれ楽しいわ!」


ダーグはもちろんと言わんばかりに、胸を張ってきた。……それにも笑顔で返し、再戦を約束する。

相棒の亡きがらはしっかりとケースに仕舞い、僕達は強く、固く握手。やっぱりガンプラバトルが楽しくて好きだと思った瞬間だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日はヤスフミの方が気になったので、第二ブロックの会場へ。到着がギリギリだったので立ち見だが……ゾクゾクするねぇ。

まさかあんな真正面からの殴り合いを見られるとは。特筆すべきはやはりDODS効果の再現だろうか。

頭の上であおも興奮気味に、俺の頭をペシペシと叩いてくる。でもちょっと痛いからやめてくれ。


「あおあおあおー!」

「あぁ、凄い試合だったな。これでヤスフミも決勝戦へは安泰……とはいかないか」

「あお?」


凄い試合だった。ヤスフミもまた一段階強くなりつつあるし、新世代のファイターも生まれているのは感じた。

俺もうかうかはしていられない……そう感じたが、問題はその対価だ。AGE-1は全損し、大会の進んだこの状況から作り直しだ。

ここまで残っているのはチハヤや星井美希も含めて強者ばかり。生半可な完成度では押し負けるのみだ。


かと言ってAGE-1では厳しい面もある。これで手の内は全て晒されたと言っていいだろう。

決勝戦までにAGE-1FWリペアを再制作できたとしても、それではチハヤに勝つのは厳しい。

……チハヤのバトルも見させてもらったが、ありゃ間違いなくなにか隠してる。つまり。


「このままじゃヤスフミは、確実に脱落するぞ」

「あお!?」


ヤスフミのビルダー・ファイター能力は世界レベルだ。デバイスマイスター、だったか?

それの資格を取ってからは、ビルダー技術はより高くなった。だが一つ、ビルダーとしては大きな弱点がある。

もちろんヤスフミはそこを自覚しているが、試合までの時間制限もある。なかなか厳しい事になってきたな。


決勝戦までに新しい機体を、もちろん新技術やギミックを盛り込んだ上で完成させる。

それは現状のAGE-1を越える完成度でなければ、原作設定という枠組みから飛び出したものでなければならない。

それができなければあおに言った通り……今ヤスフミは試されているんだよ、世界の壁にな。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


今日の全試合が終わり、唯世達を連れて夕方の道を歩く。今日の結果を受けて、仕入れなきゃいけないものができたから。

それに時間もかなり厳しい。予備機は完成しているけど、準々決勝と準決勝でどうなるか分からない。

かなりヤバい状況だねぇ。千早は今日も狙撃しまくりだったし、間違いなく決勝戦まで手が見えない。


もちろん美希も……幸いなのは、二人のうちどちらかとって状況だ。とにかく決勝戦……そこをゴール地点に頑張らないと。


「空海、りま、ごめん……決勝まで」

「大丈夫だ。新しいガンプラ作るんだろ?」

「AGE-1、粉々だもんなぁ。下手したらドローだったぞ」

「ティアナさんやシュテル達も訓練を見てくれるし、大丈夫よ。IMCSも延期になってるんだから、頑張りなさい」

「そうだよー。恭文、頑張ってー」

「ありがと」


くっついてくるクスクスを受け止め撫で、二人に感謝。……というわけで到着したよ、最寄りの模型店。

その中へ入って、迷いなく棚の一角へ立つ。やっぱり、僕はこれだよね。そう思いながら一つの箱を取る。


「あれ……蒼凪君、それってAGE-1じゃ」

「だよなぁ。修理するのではないのか」

「それじゃあ勝てないよ。でも今までの対戦・改造で培った技術は全部これに注ぎ込む。もちろん更に上を目指すけど」

「現状、AGE-1の手の内は全て晒されていますしね。AMEMBO、ビームを斬り裂くナタ、ドッズソードライフル、MDユニット」

「情報アドを握られまくっている状態では、いかに蒼凪殿と言えど厳しいか」


海里とムサシの言う通りだから辛いねー。その状況でなにを作って高めたいかと言われたら、これしか思いつかなかったわけで。


「先輩、大丈夫ですかー? ガンプラ、壊れちゃったし」

「大丈夫だよ。AGE-1は地区予選が終わったら、ちゃんと再制作するしね」

「できるんですか!?」

「時間がないから今は無理だけど……大丈夫、今は前を見ていないと」

「相変わらず運の悪い男だな、君は」

≪この人にとってはいつもの事ですよ≫


怒涛の身内ラッシュはクリアした。でもその対価はAGE-1……でも大丈夫。

AGE-1を作りながら感じた事、気づいた事は全部胸の中にある。だから魂を受け継いでもらうよ。

AGE-1と一緒に培った強さを全部叩き込んで、もっと進化せていくんだ。


それじゃあ、奇跡を見せてやろうか。


「……あれ、恭文!」


そこで後ろから――店の外から声をかけられた。振り向くとショーウィンドウ越しに黒髪ポニテ、白キャミな女の子が登場。

しかも肩には二代目ハム蔵……一代目は、去年天寿を全うされて。あ、ヤバい。遺言を思い出すと妙な辛さが。


「あー! 我那覇響ちゃんだー! え、恭文知り合いだったのー!?」

「なんという驚きの人脈……って、当然でちよややちゃん! 恭文は千早ちゃんと知り合いなんでちから!」

「あ、そっかー!」

「そうそう。でも、なんでこんなところに」


あの子は我那覇響――765プロ所属なアイドル。千早とは違ってまだお仕事は続けてるんだけど。

それで響は僕を見て、やや涙ぐみながら店へ駆け込み……人目も憚らず抱き締めてきた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


第三ブロックも三回戦終了。夕暮れの中ゆっくりと、会場玄関まで歩いていく。その付近はあかね色に染まっており、実に美しかった。


「さすがイオリ君、僕の想像を軽々と超えてくれる。それに恭文さんも」


戦闘中の換装、それに小説独自の設定を持ち込み再現するとは。面白い……実に面白い。

ただ惜しむらくは、AGE-1の状態だろう。あの破損では恐らく。


「彼のAGE-1はもう戦えない……全損だ」


そこで前から声がかかって、嫌な動悸が走ってしまう。それで足を止め、前を見ると……金髪へき眼の男がいた。

白地の制服に輝くロゴは『PPSE』。金髪をオールバックにし、頭頂部をやや立てた自信満々な男は。


「もちろん来週の準々決勝までに、同レベルの機体を作り直すのは不可能だ。それで強者揃いの上位入賞者をどうやって倒すか」

「アラン……アラン・アダムス!」

「久しぶりだな、タツヤ!」


嫌な動悸は吹き飛び、男へ駆け寄りしっかりと握手。彼はアラン・アダムス、ガンプラ塾で知り合ったビルダーだ。

夢を語り合った仲とも言うし、お互いその夢に遠慮なく巻き込むと宣言した……言わば戦友だろう。

アランはガンプラ塾を出てから、PPSE社ワークスチームへ所属。ビルダーとしてその才能を遺憾なく発揮している。


「驚かされたよ、二重の意味で!」

「口から出てたよ?」

「な……!」

「冗談だ。ヤスフミが出ていると知って、ボクなりに予測しただけだよ」

「これでは三重だな」


強かさもパワーアップしているようで、友の健在さに安心……していたが、そこでアランの表情が一気に曇る。


「……なら、嫌な意味で四重になる。タツヤ、心して聞いてくれ――メイジンが倒れた」

「メイジンが!?」

「命に別状はないが、ファイターとして再起は無理だ」


そんな、年齢で言えばまだ十分若いのに……そこで全てを察する。アランとて忙しい身だ。

しかも今年の選手権がスタートしている時点で、ワークスチームの顔となるメイジンが倒れた。

今頃PPSE社は大慌てだろう。だからアランはここへきたんだ、夢を叶えるために。


「タツヤ、以前ボクは君にこう言ったね。遠慮なくボクの夢に巻き込むと」

「……あぁ。そして、私も自分の夢に君を巻き込む――そう宣言した」

「その時がきた。……君には、ユウキという名を捨ててもらう」


アランの夢、それは……あの時と変わらない瞳でそう言ってくれる事、それは心から嬉しかった。

でも同時にそれは、僕が交わした約束を捨てる事にもなる。十年前と今、その二つの約束を。


(Memory29へ続く)







あとがき


恭文「というわけで、おまたせしましたダーグとのバトル。そしてAGE-1、昇天」

響(アイマス)「どうしてそうなったんだ!」

恭文「昇天だから」

響(アイマス)「理由になってないぞ!」


(安らかに……なおパーツはしっかり供養しました)


恭文「というわけで今回はビルドファイターズ第四話、それに僕とダーグのバトルで終了。
いろいろ変わったため、キララはファイターとしての実力を遺憾なき発揮」

響(アイマス)「あの人はアレだけど、実は強いんだよな」

恭文「かなりね」


(ネタバレになりますけど、ラストバトルでも平然と暴れてましたし)


恭文「お相手は蒼凪恭文と」

響(アイマス)「我那覇響だぞ。ただ今回は作品の話がメインじゃなくて……!」

恭文「美希、お誕生日おめでとう!」


(おめでとう。おめでとう……星井美希、誕生日おめでとう)


恭文「というわけで現在パーティー中。やっぱり自宅で大暴れ……でも火野の僕はどこに。パーティーが始まってもう大分経つよ?」

響(アイマス)「……今メールきたぞ。なんかおにぎり用のエビを遠洋漁業していたらしくて、もうすぐ到着するって。あおも一緒みたい」

恭文「またぁ!? 去年はサケだったよね! え、もしかしなくても天むすですか!」


(『もうすぐ……もうすぐ到着だー! 美希、待っていて!』
『あおあおあおあおあおー!』)


恭文「……一応調理場、片しておこうか」

響(アイマス)「だな。自分も手伝うぞ」


(がさごそがさごそ)


響(アイマス)「そ、それとあの……今日はいぬ美達も連れてきてるし」

恭文「うん」

響(アイマス)「お泊まり、してもいいかな」

恭文「あ、うん……大丈夫。その、一緒にだよね」

響(アイマス)「うん。な、なんか駄目だぞ。すっごく恥ずかしい」

恭文「でも、僕は嬉しいよ。ありがとう」

響(アイマス)「ううん」


(――それからきっちり五分後、ハ王とぷちが到着。新鮮なエビを使った、プリプリ天ぷらや天むすがごちそうされました。
本日のED:我那覇響(CV:沼倉愛美)『ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜』)



春香「……って、解説してないじゃないですか! いや、今は誕生祭の最中ですけど!
でもこうして見るととまとのビルドファイターズ編は、接近戦でのエグい体の削り合いが多い」

古鉄≪まぁ作者の好みですね。それとAGE-1が逆手持ちサーベルでユニコーンの右腕をえぐったのは、オブライトさんがやっていたアレです。
ビルドファイターズでもまた違う話数ですが、とあるキャラがやっています。……そうそう、ビルドファイターズトライでもフミナさんが≫

あずさ「あらあら、逆手持ちで突き刺すのって多いのねー。でも……そういえば春香ちゃんも、千早ちゃんも、いいなぁ」

春香「なにがですか!? あずささん、笑顔が怖いです! そ、それはそれとして……美希、もうちょっとでプロデューサーさん着くって」

美希「全く……美希を待たせるなんて本当にハニーは駄目駄目なの。これはきっちり叱らないと駄目なの」

あふぅ「ナノナノ!」

春香「でも嬉しそうだよね、二人とも」

美希「そ、そんな事ないの! 美希はハニーの事なんて、なんとも思ってないんだからね!?」

あふぅ「ナノ!」

春香「ハニーって言ってる時点で思ってるよね!」


(おしまい)






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