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就寝2時間前(いー友)

ぼふん、ベッドに倒れ込むようにして友が飛び乗る。それからここ、と自分の隣を叩いた。

「いーちゃん寝よーよ!」

「最近お前にほだされて泊まってばかりいるんだが…」

「いーちゃんが心弱いからじゃないかな」

白いローブの裾から生足が見える。て言うかパンツ見えてる。
裾を引き下げて隣に転がれば、ころころと転がって僕の腕の中に収まる。相変わらず小さいな、なんて思ったら。
ん?
よく見れば背が伸びてないか?

「…おい友、最近変わったことは?」

「ん?いや、特には」

「なんか背が伸びてないか?お前19歳なのに」

「えー?」

ちょっとベッド降りて立ってみろと言えば、渋々と立ち上がる。その隣に立って。

「…おー?」

ちょっと高い気がする。今頃成長かと思ったが、あの日から友は止まった時間を進めていることを思い出す。
成長も有り得なくない。

「いーちゃん、なんか縮んだ?」

「お前が高くなったんだよ。病気の進行と同じだ」

「止まった時が動き出す…とか?」

中二のようなことを言うがとりあえず問題なのだ。成長が始まったなら、また病気の進行が有り得る。今度手術すると言うのに、なぜ今。

「…友、痛みやだるさはないのか?」

「ないよ」

「本当に?」

「ないってば。
大丈夫だよ、もう死ぬ前にたくさん抵抗するって決めたでしょ?」

確かにそうだが。
そうではなくて。

「直さんとか驚くよ…」

「直くんはいいよ。いーちゃんは?」

「僕?」

「いーちゃんは、僕様ちゃんが、成長して、どう思うの?」

一区切りずつ強調されて、若干成長したらしい友に見つめられる。
僕は、玖渚友を、どう思うか。

「…成長した友を」

「うん。続けて」

「少し悔しいと思って、それから、嬉しいのと」

友と一緒にいるなら、僕も一緒に。

「一緒に成長したいなぁって思った」

体だけではなく、心とか。
とりあえずは。

「…友のおねだりを断れるようにならないと、とか」

「いーちゃん最後はいらないよ」

でも。
にっこりと友は笑う。
それは何も変わっていなくて。

「嬉しいんだよ。僕様ちゃん、成長してもいいんだなって」

「していいんだ。お前は好きなことをしていいんだ」

「もちろん。手術終わったら外に遊びに行こうよ。もちろんいーちゃんも一緒に」

あと。目を擦りながら友は欠伸をする。

「さすがに眠いんだよ。寝ようよ」

「…うん、そうだな」

現在の時刻、夜の9時。
友にしてはかなり早寝だ。
ころんとベッドに転がった友を追いかけて毛布をかけてやる。隣に入って優しく頭を撫でて。

「おやすみ、友」

「おやすみなんだよ、いーちゃん」

ようやく眠りに着く。少し心配でしばらく見ているが、やがて目蓋が重くなってくる。
そうして、簡単に眠りに着いた。



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