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◆一輪の花?(エムペ版)
A


兄は、その紙を受け取り素早く紙面に目線を走らせる。

「念の為、このビルの持ち主を割り出しておいてくれ」

再び兄から紙を受け取った八木さんは「はい」と、返事をすると、携帯電話を取り出し、大きな指でボタンを操作しだした。

どうやらどこかに連絡をとるようだ。

そんな光景を見ながら、兄がゆっくり口を開く。

「凛、ウチの連中の人員を今まで以上に増やしてはおくが、くれぐれも気をつけろ。ターゲットもだが――お前もだ」

今回のミッションでは、私の他にも、同じ警備会社の社員を数人程、学校や寮の事務員として、紛れ込ませてある。

そこに、また人員を増強。

私が思っている以上に、今回の件は大事のようだ。

「兄貴、まだ、私には話せないの?」

兄を含め、龍兄、五十嵐さんも、私に隠している事がある。

“なぜ、幸田君が狙われるのか”

今回の核心ともいえる理由が未だに知らされていないのだ。

それ故、ことの全貌が見えず、不安と戸惑いが混じった気持ちが私の中で渦巻いている。

「――悪いが、俺から話せる事はなにもない。依頼者の要望に反してしまうからな。どうしても聞きたいのであれば、龍巳に聞け」

そう言うと、兄は、私の未だ水気を含んだ髪をクシャリと撫でた。




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あきゅろす。
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