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Uターン
レインとぼく
「いつもありがと」
「いや。気にしないで」
「ごめんね。何にもできなくて」
「気にしないでって」
「う、うん」
「嫌かい?」
「ううん。そういう事じゃなくって」
「言ってみなよ」
「ぼく、何にも出来ないのが、苦しくて」
「歩けるようになったじゃないか」
「でも、ここからは一人じゃ出られないし」
「ちょっとずつ、出来るようになればいいんだよ。レインは、頑張ってるよ。急がなくていいじゃないか」
「何か、みんなに恩返ししたいな……」
「そんなの、ありがとって言ってくれたら十分だよ」
「そうかな……」
「おれ、見返りを求めて君の世話してる訳じゃないぜ」
「おかあさんに頼まれたから?」
「そう思う?」
「思う」
「ま、それもあるんだけどさ、君の世話をしたいからだよ。君が歩けるようになったり、文字を覚えたりするの、自分の事みたいに嬉しいんだ」
「……」
「それにさ、おれたち友達だろ。あんまりさ、お礼しなきゃとか深く考えないでいいって」
「友達」
「そ」
「うん。ありがとうっ!」
「それでよしさ」
「……あ。気になってたんだけど」
「なんだ?」
「まだおかあさんと結婚しないの?」
「えっ……!? け、ケチャップと?」
「うん」
「い、いやっ。まだ若いし……って、向こうはおれの事どう思ってるか分からないし」
「好きなんじゃないかなあ」
「……ケチャップが結婚するなんて、嫌じゃないのか?」
「どうかな。嫌な人だったら、嫌だよ。血がつながってないから、こんな事言えるのかなあ……」
「ケチャップは君をつくったんだろ。血がつながってないとかつながってるとか、関係ないよ」
「そうだね……。ぼく、マイケルだったら、おかあさんがお嫁に行ってもいい」
「だから、まだそういうのはっ……」
「おかあさん嫌いなの?」
「いやそういう訳じゃないんだ!!」
「知ってるー」
「こいつ!からかいやがって!」
「っ……うぁ……」
「!……ごっごめん!」
「……ふふふ」
「嘘泣きしたな!」
「おかあさああああん」
「おいっ!やめろったら!」



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あきゅろす。
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