なな
緩やかな曲線を描く首筋に口づけて、耳たぶまで舌でなぞる。
藤太の身体が、びくりと震えた。
「惣次、なにを……っやめて……」
首を竦め、惣次の唇から逃れようと身をよじる。
だが、惣次を振りほどくなど、とてもではないが藤太には出来ない。
双子でありながら、二人の体格には歴然とした差があった。
「惣、次……っ」
這いずる舌が、形のいい耳をとらえ、嬲る。
熱い息を吐きかければ、藤太は過敏に反応した。
「んっ……」
耳の空洞へ舌を差し込み、執拗に刺激する。
たったそれだけのことなのに、藤太の唇からは艶を帯びた吐息が漏れはじめていた。
「にいさん……」
兄が、昼間とは違うもうひとつの顔を、自分の腕の中でさらけ出そうとしている。
そのことに興奮を覚え、惣次の手は藤太の薄い胸板の飾りへと伸びた。
「あっ……いやだ、やめ…っ!」
片腕で藤太の華奢な身体を抱え込み、もう片方の手でぽつりとした小粒の飾りを弄る。
すでに固くなりかけていたそこは、惣次の逞しい指先で揉まれ擦られて、みるみるうちに勃ちあがった。
「やっ…惣次、やめて、お願いだから、離して……くれ」
頬を上気させ、苦しげに訴える兄の姿も、惣次には欲を煽るものでしかない。
「嫌だよ、だって兄さん……」
「ぅ……惣……あっ」
「僕……見たんです」
丹念に乳首を擦り上げ、つま弾く。
その度声を漏らし肩を震わせる藤太の耳に、聞き逃しなど許さないとばかりに惣次は囁いた。
「抜く時、僕の名前を呼んだでしょう」
「…………!」
藤太が息を飲んだ。
「ここを――」
芯を持ち、固くなりはじめていた藤太の中心を、褌の上から軽く引っ掻く。
「ひっぁ……っ!」
一際高い声をあげ、藤太の身体がのけ反った。
「兄さんの頭の中で、僕はどうして……いたんですか」
「そ…うじ……いつ……」
息を荒らげ、身体を小刻みに震わせて、怯えた目で惣次を見る。
「……怖がらないで」
その姿にチクリと胸が痛んだ。つい欲に流されて、言葉選びを間違えてしまったかもしれない。
だけど、もう抑えることは出来ない。
こうなってしまっては、止める術など皆無に等しかった。
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