はち 「どうして僕の名前を呼んだんです」 「やめて……くれ、惣次……離せ」 藤太は、惣次の視界から逃れようと精一杯顔を逸らし、身体を強張らせた。 弱々しく呟き、震えが止まる様子もない。 それがまた、惣次の目にはやけにかわいらしく映った。 「兄さん」 薄い布越しに、藤太のまだ固くなりきらない陰茎の形を指でなぞる。 「っ……や…っ!触る…な」 彼はとにかく弟の腕から逃れようともがいた。 しかし、そんな抵抗も惣次は意に介さず、片手で器用に褌を解きにかかっている。 「どうして……こんなことをするんだ、惣次……っ」 「兄さんが悪いんです」 はらりと、畳の上に白い布が落ちる。 「貴方が僕の名を呼ぶから」 剥き出しになった下半身の茂みから、半勃ちの陰茎が顔を覗かせている。 使い込まれておらず、そこすら色素が薄い。 「見るな……!」 脚を閉じて懸命に逃れようとする藤太のソレに、そっと指を這わせ、掌で包み込んで柔らかく揉みしだいた。 「あっ…ぁ!……いや……嫌、だ、惣次…っ!」 「兄さんのここは嫌がってない」 まだ軟らかいそこを握り、上下に扱く。みる間に熱を持ち、そこは硬度を増して天を仰いだ。 「ほら」 「いや…っ、んっ…あ、あ」 先端には蜜が滲み始め、月の光で蒼く煌めく。 「惣…もう、やめ……っく、ぁあっ!」 鈴口を割り開き、親指の腹で強く擦ってやれば蜜が一際溢れ、ぬらりと惣次の手を濡らした。 「すごいね……」 「ん、はぁっ…ふ、ぁっ」 にちりと、濡れた音が牢に響き、藤太の耳をも犯して嬲る。 「兄さん……」 たまらなかった。 拒みながらの藤太の媚態は、惣次の欲を煽るだけ煽る。 藤太を握る手の力を少し強め、扱く速度を速めた。 「んうっ……く、駄目、やっ……!」 汗ばむ肌に髪を張り付かせ、藤太がいやいやをするように首を振る。 「もう、イきそうですか」 「なに……言って…っあっ、あぁっ、嫌…っいや…!」 強がりとはうらはらに、固く屹立したものは惣次に強く扱かれ切なげに涙を零している。 もう限界が近い。 「出していいよ、兄さん」 「はっ馬鹿っ、……んんっ……ぁっ!」 藤太が腹に力を入れた瞬間、びゅっと白濁が噴き出した。 [戻][進] [戻る] |