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知らない雨に焦がれる。
イタリアへ

あれから鈴乃は三年生の修了を待たずに、家光の出国と共にイタリアへと発つこととなった。
平日の真っ昼間なため綱吉は学校だ。

「お母さん、いってきます。」

「いってらっしゃい、スズちゃん。
気をつけてね。」

「はーい。」

にっこりと笑って元気な返事を返す。

「行くぞ、スズ。」

「うん。」

呼んでおいたタクシーに乗り込んで、空港へ向かう。
行くのは九代目のお出迎えに行って以来だ。
空港に着くと、直ぐに飛行機に乗り込む。
なんでも九代目の自家用ジェットなんだとか。
席に着くと独特の圧力と共に離陸する。

「鈴乃。」

機体が安定するころに、家光が静かに名前を呼んだ。

「何?」

鈴乃が家光の方を向くと、家光は真剣な瞳で鈴乃を見つめていた。

「マフィアって分かるか?」

鈴乃は静かに頷く。

「俺はな、マフィアなんだ。
でも、テレビであるみたいに悪いことをするわけじゃない。
その地域に住んでいる人たちを守るんだ。」

鈴乃はただ黙って家光の話を聞く。

「そして、お前もマフィアにならなければならない。
あの雪を操る能力があるなら、避けることはできない。
これからは、修行だ。辛いことばかりだろう。
だがそれは、きっとお前の大切な人を守るための力になる。
やってくれるな?」

話し終わり、家光が鈴乃をじっと見つめる。
はっきり言って予想していなかった展開だ。
しかし、確実に決意を果たすための一歩になる。

「やる。
あたし、がんばるよ。」

みんなを守る。
まだ会っていないけれど、その決意を叶えるための大きな一歩を踏み出す。

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