知らない雨に焦がれる。 秘密 「もう一回……!」 雪が来るように願ってみる。 すると、ふわりと両手分くらいの雪の固まりが目の前に浮かんだ。 そっと指でつついてみる。 「冷たい。」 本物?とつんつんとつつき回す。 「スズ、ヨーグルト持ってきたぞ!」 見つかったらヤバい………よね? 隠す間もなくガラリと戸が開く。 「鈴乃、それは?」 珍しく家光が真面目な顔をしている。 「えっとね………雪で遊びたくて、部屋の中に来てくれないかな、って思ったら浮かんできた。」 鈴乃がそう言うと、カタリとヨーグルトをのせたお盆を脇に置き、家光は鈴乃としっかり合わせる。 「鈴乃、今度俺が仕事に行くときついて来てくれ。 それから、このことは決して他人に言ってはいけない。母さんにも、ツナにもだ。」 「うん、わかった。」 [*前へ][次へ#] |