知らない雨に焦がれる。
雪
ふわふわと落ちていく白い雪をみていた。
初雪だ。すでに十分に小学校低学年の背ほどの雪だるまを作るのに十分なほど積もっている。
鈴乃が生まれてからこんなに降ったのは始めてで、前世でも南側の育ちだっため、これほどの大量の雪は珍しかった。
なのに、鈴乃は今、風邪をひいて寝込んでいる。
「スズ、具合はどうだ?」
布団の上に座ってしんみりと雪を眺めていると、家光が入ってきた。
ふだん家にいない家光がいるのは、めったに調子を崩さない鈴乃が風邪をひいたと聞いて任務に身の入らない家光への九代目の配慮だそうだ。
実際は、上司がとぼかしていたが。
「雪で遊びたいよ。」
鈴乃はもう熱が下がっていて、気分的には寝ていたくないのだ。
「駄目だ。
明日外に出て雪で遊ぶために今日はしっかり休んでおけよ。」
「えー……うん、わかった。
あーあ、雪が部屋にも入ってくればいいのに。」
鈴乃は口をとがらせて呟いた。
そのとき、ふわりと白い固まりが部屋の中へ入ってきた。
「………雪?」
突然、白い固まりは支えを失ったかのようにポトリと膝にかけた布団の上に落ち、染みていった。
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