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■短編■
2015/9/8〜【3】


【居眠り王子とオレ 3】


しんと静まり返る中、どうやってこの場を切り抜けようかと考えていれば、国定が口火を切る。


「富山」

「な、なんだよ……」


真剣な表情のまま国定はオレを呼び、その声の調子から本気なんだというのがわかる。
誰かからラブレターを貰ったり(相手男だけど)屋上でこんな真面目な雰囲気になったり(相手男だけど)するのが初めてな為、自然と鼓動が速まり唇を噛む。
別に緊張する必要もないというのに……人生初の告白という事実に興奮してんのかオレ……相手国定だけど。


「富山、オレ……」


真剣な表情から一変して思い詰めた様なものに変わり、でもそんな顔もイケメンなんだな畜生とか関係ない事を考えながらもオレは口を開いた。


「国定、言いたい事はわかる。だけどオレはお前の気持ちに応えられないんだ……悪いけど……」

「え、どうして?なんで駄目なんだ?」

「……そーゆうのはさ、やっぱ女子に言うべきだよ。わざわざオレじゃなくても、喜ぶ子いっぱいいるって」

「それはオレが嫌だ。オレは富山が良い。富山だから意味があるんだ」

「ッ……」


そんな縋る様な声音でなんつー事を言ってんだコイツは……。
不覚にもドキっとしてしまい、頬に集まる熱に冷や汗が滲む。


「富山……」

「……ッ、だから!!オレじゃ無理だって!!国定にはもっと合う子が……」

「なんで無理だって言うんだよ?!オレは富山が良いんだ!!」

「無理なものは無理なんだよ!!オレ、お前と付き合うつもりは――……「オレは富山に起こして貰いたいんだよ!!」……は?」

「ん……?」


「付き合う事は出来ない」そう断ろうとすれば、オレの台詞に被せる様に国定が言葉を発した。
お互い喋りながらだった為、お互い疑問符を浮かべながらお互いを見遣る。


「富山、今なんて……?」

「国定こそ……え?起こしてって……?」

「オレは、良く寝ちゃうから席替えで隣になった富山にオレが寝てたら起こして欲しいってお願いにきたんだけど……」

「は……はぁ?!な、なんだよそれ!!おま……告白するとか言っといて内容それかよ!!告白どこ行った?!」

「あ、うん、だからオレと友達になって起こしてください、って」


どうやら話が噛み合っていなかったらしい……が、オレは悪くはないと思うの。


つづく

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まだ続きます。

2015/9/8〜2015/10/2.




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あきゅろす。
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