■短編■
2015/10/3〜【4】
【居眠り王子とオレ 4】
男に屋上へ呼び出された理由が友達申請と目覚まし時計役のお願いだった事に、脱力したけど一安心もした。
だって国定に愛の告白をされるんじゃないかと、ひやひやしたから。
「……てか、それこそオレじゃなくても良くね?反対側に女子いるじゃん。喜んで引き受けると思うぞ?」
「それじゃ駄目だって明美(アケミ)が言ってた」
「誰だよ明美……」
「さっきオレと一緒にいた幼馴染み。そいつが、女子に迂闊に頼めば勘違いされるからやめろって」
「……成る程、一理あるな。じゃあ、明美さんに頼めば良いじゃん」
「"嫌よ面倒くさい"と断られた」
「席も遠いからって……明美冷たい……」そう呟く国定にオレは明美さんの意見に頷いた。
確かに幼馴染みとはいえ、離れた席にいる奴を毎回起こしに行くのは面倒だ。
なら近くの、隣にいる男子に頼むのが一番手っ取り早い方法だと結論に至ったのだと理解した。
「次の席替えまでで良いからお願い出来ないかな?」
眉を下げて改めて申し出る国定に「うっ……」と息をつまらせる。
次の席替えは一ヶ月後。その短い期間の間だけなら別にオレに苦はないだろう……ただ起こすだけなんだし。
切実に頼むの国定を見て、オレは溜め息を一つ吐いた。
「……わかったよ。起こしゃ良いんだろ?」
「本当?ありがとう!!」
「因みに友達関係も一ヶ月で良いの?」
「えっ、それは酷くない?寂しくない?それは続けようよ。折角の機会なんだし」
「……あー……まぁ、良いか」
友達申請も引き受ければ国定は嬉しそうに微笑んだ。
うわぁ……、イケメンの微笑みの威力半端ねぇな。女子に騒がれる訳だわ。
そうして目覚まし 兼 友達となったオレは、国定と教室に戻ったのだ。
「いやはやこれで一安心だよ。安心したら眠くなっちゃった」
「いや寝んなよ!!もう五限始まるって!!国定?!」
席に着くなり俯せになって寝始めた国定を揺さぶるが、驚く事に普通に寝入りやがったこいつ……!!
「起こすだけで苦はない」とか考えてたのが甘かった……オレは初仕事で実感した。
焦る中、ふと明美さんと目が合い、彼女は拳を作りゆっくりと唇を動かした。
……いや、明美さん、「ガ・ン・バ・レ」じゃないですよ助けてよ……ッ!!
つづく
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続きます。
2015/10/3〜2015/11/1.
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