long(HYŌTEI) 大切なお守り 転入手続きに来た今日、最悪なことが起きてしまった。 (うさ吉、どこに行っちゃったの…) うさ吉とは今は亡きお父さんが僕に似てるからってくれた小さな白うさぎのぬいぐるみ。 お守りとして毎日持ち歩いてるんだけど、どこで無くしちゃったんだろう… 炎天下の中ずっと日向にいるのはアルビノの僕には肌がヒリヒリしてくるからキツイし、このまま見つからないんじゃないかと思うとだんだん涙が溢れ出そうになった時、背後から声を掛けられた 「なあ、これお前のか?」 訛りの入った喋り方をするその人の手にはうさ吉が乗っかっていた 「うさ吉!!」 その人の手からうさ吉を受け取るとぎゅーっと抱きしめる 「そいつ、うさ吉って言うん?」 「は、はい。だ、大事、なお守り」 「えらい単純な名前やなぁ」 その人を見上げる。 そこには背が高く、眼鏡を掛けた人が立っていた (お礼言わなきゃ…) 「あ、あの…」 「?」 「あ…ありがと、うございます」 その人は一瞬驚いた顔をしていたが、優しく笑って「お守り、見つかってよかったな」と頭を撫でてくれた。 なんだか気恥ずかしくなったので、立ち上がり礼をしてその場から立ち去る (うさ吉見つかってよかった。帰ったら肌冷やさないと赤くなるなあ…) [*前へ][次へ#] |