long(HYŌTEI)
二匹のうさぎ
《side忍足》
「うさぎのぬいぐるみ?」
氷帝学園の無駄に広い庭を散歩していたら可愛らしい白うさぎのぬいぐるみが落ちていた。まあ、女子のもんやろ。先生にでも渡しとくかと周りを見渡したら白髪に白い肌の男子生徒がうずくまりキョロキョロしていた
(ここにも白うさぎ…)
なんだか持っているうさぎのぬいぐるみに似ていて、まさかな、と声を掛けてみる
「なあ、これお前のか?」
振り返り俺の手元を見るとそいつはパアッと笑顔になり、うさぎのぬいぐるみを抱きしめた
(なんやこの可愛らしい生き物)
こちらを向いたその目は透き通るような紅い瞳でますますその手に持っている白うさぎのぬいぐるみに似ていると思った。
「あ、あの…」
「?」
「あ…ありがと、うございます」
ふわりと笑う目の前の白うさぎに俺の心臓はズドンと効果音を上げそうなほど撃ち抜かれた。いや、あかんって自分。あざとすぎひん?
平常心を装い笑いかけ頭を撫でると短くペコリと頭を下げ、去って行ってしまった。
「名前聞くん忘れた…」
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